JP2003086403A - 高分子ptc素子 - Google Patents
高分子ptc素子Info
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- JP2003086403A JP2003086403A JP2001272138A JP2001272138A JP2003086403A JP 2003086403 A JP2003086403 A JP 2003086403A JP 2001272138 A JP2001272138 A JP 2001272138A JP 2001272138 A JP2001272138 A JP 2001272138A JP 2003086403 A JP2003086403 A JP 2003086403A
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- resin
- ptc element
- polymer
- resin composition
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 塗工方法を用いて作製した特性の安定したP
TC素子を塗工方法を用いて、効率的に且つ量産するこ
とができる高分子PTC素子を提供すること。 【解決手段】 導電性粉末3と結晶性樹脂4とを含む樹
脂組成物2を備え、電池や電子機器の回路等に異常発生
時に流れる過電流を防止する過電流保護素子に用いられ
る高分子PTC素子(10)において、前記樹脂組成物
2は、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂を少なく
とも1種含む。
TC素子を塗工方法を用いて、効率的に且つ量産するこ
とができる高分子PTC素子を提供すること。 【解決手段】 導電性粉末3と結晶性樹脂4とを含む樹
脂組成物2を備え、電池や電子機器の回路等に異常発生
時に流れる過電流を防止する過電流保護素子に用いられ
る高分子PTC素子(10)において、前記樹脂組成物
2は、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂を少なく
とも1種含む。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC(Posi
tive Temperature Coeffici
ent:正温度係数)を有する組成物を用いたPTC素
子に関するものであり、詳しくは電池や電子機器の回路
等に異常発生時に流れる過電流を防止する過電流保護素
子を用途とする高分子PTC素子に関するものである。
tive Temperature Coeffici
ent:正温度係数)を有する組成物を用いたPTC素
子に関するものであり、詳しくは電池や電子機器の回路
等に異常発生時に流れる過電流を防止する過電流保護素
子を用途とする高分子PTC素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からPTC特性を有するものとし
て、Y2O3を微量添加したBaTiO 3等のセラミッ
クPTCとポリエチレンを代表とする結晶性高分子に導
電性を有する一般的粒状のカーボンブラック粉末等を混
練して成形した高分子PTC組成物か一般的に知られて
いる。
て、Y2O3を微量添加したBaTiO 3等のセラミッ
クPTCとポリエチレンを代表とする結晶性高分子に導
電性を有する一般的粒状のカーボンブラック粉末等を混
練して成形した高分子PTC組成物か一般的に知られて
いる。
【0003】しかしながら、セラミックPTC組成物は
定常状態の抵抗率が〜約100Ω・cmと高いために、
数A程度の比較的大きな電流を流すことができない。こ
のことは、セラミックPTCが前記過電流保護素子とし
て用いることができないことを意味している。さらに、
セラミックPTCは所望形状に成形・加工することが困
難であり、耐衝撃性に劣る面がある。
定常状態の抵抗率が〜約100Ω・cmと高いために、
数A程度の比較的大きな電流を流すことができない。こ
のことは、セラミックPTCが前記過電流保護素子とし
て用いることができないことを意味している。さらに、
セラミックPTCは所望形状に成形・加工することが困
難であり、耐衝撃性に劣る面がある。
【0004】一方、過電流保護素子の用途としての高分
子PTC素子においては、セラミック系に比べて室温抵
抗が低いことや成形加工が容易であること等が特徴であ
るがゆえに、適している。
子PTC素子においては、セラミック系に比べて室温抵
抗が低いことや成形加工が容易であること等が特徴であ
るがゆえに、適している。
【0005】従来、高分子PTC素子を構成する組成物
の導電粒子として―般的にはカーボンブラックのよう
な、比較的嵩密度が大きく、粒度の小さい安価な材料が
用いられている。また、その原理は、前記導電粒子がポ
リマー中に所定の配合量で分散されている組成物中にお
いて、室温では導電粒子のネットワークにより低い抵抗
率を示しているが、ポリマー結晶融点Tmを境にして相
対的にポリマーの体積が増加して導電粒子相互間のネッ
トワークが切断されていくことにより、抵抗率が急に上
昇していく(いわゆるPTC特性)ことに基づく。さら
に、常温に戻ると、その導電粒子相互間のネットワーク
が復帰することにより元の低い抵抗値となる。
の導電粒子として―般的にはカーボンブラックのよう
な、比較的嵩密度が大きく、粒度の小さい安価な材料が
用いられている。また、その原理は、前記導電粒子がポ
リマー中に所定の配合量で分散されている組成物中にお
いて、室温では導電粒子のネットワークにより低い抵抗
率を示しているが、ポリマー結晶融点Tmを境にして相
対的にポリマーの体積が増加して導電粒子相互間のネッ
トワークが切断されていくことにより、抵抗率が急に上
昇していく(いわゆるPTC特性)ことに基づく。さら
に、常温に戻ると、その導電粒子相互間のネットワーク
が復帰することにより元の低い抵抗値となる。
【0006】さらに、このような高分子PTC素子の一
般的な製法として、例えば、熱可塑性樹脂を代表するポ
リオレフィン類等の樹脂、例えば、高密度ポリエチレン
等と良好な導電性を有するカーボンブラックや金属炭化
物等の導電性粉末を混練(又は混合)して、分散処理を
行う。その際に、2本ロールやニーダー等を用いる場合
では展延機やロール成形や押し出し成形等でPTC樹脂
組成物をシート状に作製し熱プレス機等で金属箔等や各
種金属でパターン化された金属電極2枚に挟んで成形す
る等の方法で加工(熱圧着)して、電極端子を取りつけ
て素子を作製する方法が挙げられる(乾式方法)。
般的な製法として、例えば、熱可塑性樹脂を代表するポ
リオレフィン類等の樹脂、例えば、高密度ポリエチレン
等と良好な導電性を有するカーボンブラックや金属炭化
物等の導電性粉末を混練(又は混合)して、分散処理を
行う。その際に、2本ロールやニーダー等を用いる場合
では展延機やロール成形や押し出し成形等でPTC樹脂
組成物をシート状に作製し熱プレス機等で金属箔等や各
種金属でパターン化された金属電極2枚に挟んで成形す
る等の方法で加工(熱圧着)して、電極端子を取りつけ
て素子を作製する方法が挙げられる(乾式方法)。
【0007】一方、3本ロール、遊星ミル、ダイノーミ
ル等で代表される湿式混合、分散した後に塗布する方法
(塗工方法)もある。
ル等で代表される湿式混合、分散した後に塗布する方法
(塗工方法)もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の塗工方法におい
ては、基本的に高密度ポリエチレン樹脂等のような特性
を有する樹脂、即ち、100℃以上の樹脂融点を有する
結晶性樹脂を用いる場合、常温で溶解可能な有機溶剤
は、ほとんどなく、約100℃で熱をかけながら樹脂を
シクロヘキサンやデカリン等の非極性かつ高沸点溶剤を
用いて溶解することは一部可能であるが、溶けてもその
溶解量は微量であった。さらに、樹脂の結晶化度や分子
量に関してその数値が大きければ大きいほど溶けなくな
り、―般的に分子量が3万を超えるような高密度ポリエ
チレン樹脂であれば溶解可能な有機溶剤がなく、即ち、
樹脂を溶解して導電性粉末と混合させて塗料化して、金
属箔上に塗工してPTCを有するシートを作製すること
はほぼ不可能である。
ては、基本的に高密度ポリエチレン樹脂等のような特性
を有する樹脂、即ち、100℃以上の樹脂融点を有する
結晶性樹脂を用いる場合、常温で溶解可能な有機溶剤
は、ほとんどなく、約100℃で熱をかけながら樹脂を
シクロヘキサンやデカリン等の非極性かつ高沸点溶剤を
用いて溶解することは一部可能であるが、溶けてもその
溶解量は微量であった。さらに、樹脂の結晶化度や分子
量に関してその数値が大きければ大きいほど溶けなくな
り、―般的に分子量が3万を超えるような高密度ポリエ
チレン樹脂であれば溶解可能な有機溶剤がなく、即ち、
樹脂を溶解して導電性粉末と混合させて塗料化して、金
属箔上に塗工してPTCを有するシートを作製すること
はほぼ不可能である。
【0009】また、前記樹脂を溶剤に膨潤させて同様に
塗料化したものを塗工するという方法では量産性に乏し
い。
塗料化したものを塗工するという方法では量産性に乏し
い。
【0010】しかしながら、前者(乾式方法)に比べ
て、後者の方法すなわち塗工によるPTC素子の製造方
法によれば、大量生産に最適な方法である反面、前記に
示した樹脂が一般的な有機溶剤に不溶である等の塗料化
が困難な点やさらにPTC樹脂組成物の対金属電極への
接着力の弱いといった問題点があり、製造されたPTC
素子の諸特性が不安定であるといった問題があった。
て、後者の方法すなわち塗工によるPTC素子の製造方
法によれば、大量生産に最適な方法である反面、前記に
示した樹脂が一般的な有機溶剤に不溶である等の塗料化
が困難な点やさらにPTC樹脂組成物の対金属電極への
接着力の弱いといった問題点があり、製造されたPTC
素子の諸特性が不安定であるといった問題があった。
【0011】そこで、本発明の技術的課題は、特性の安
定したPTC素子を塗工方法を用いて、効率的に且つ量
産することができる高分子PTC素子を提供することに
ある。
定したPTC素子を塗工方法を用いて、効率的に且つ量
産することができる高分子PTC素子を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の高分子PTC素子の樹脂組成物において
は、PVdF樹脂が1種以上含まれており、さらに該樹
脂組成物に含まれる導電性粉末と前記樹脂物の組成比が
質量で、50/50〜97/3(%)であることとし、
金属電極に接する面に官能基を導入したPVdF樹脂組
成物が金属電極と前記樹脂組成物間に設けている構成を
採用した。
に、本発明の高分子PTC素子の樹脂組成物において
は、PVdF樹脂が1種以上含まれており、さらに該樹
脂組成物に含まれる導電性粉末と前記樹脂物の組成比が
質量で、50/50〜97/3(%)であることとし、
金属電極に接する面に官能基を導入したPVdF樹脂組
成物が金属電極と前記樹脂組成物間に設けている構成を
採用した。
【0013】即ち、本発明によれば、導電性粉末と樹脂
とを含む樹脂組成物を備え、電池や電子機器の回路等に
異常発生時に流れる過電流を防止する過電流保護素子に
用いられる高分子PTC素子において、前記樹脂組成物
は、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂を少なくと
も1種含むことを特徴とする高分子PTC素子が得られ
る。
とを含む樹脂組成物を備え、電池や電子機器の回路等に
異常発生時に流れる過電流を防止する過電流保護素子に
用いられる高分子PTC素子において、前記樹脂組成物
は、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂を少なくと
も1種含むことを特徴とする高分子PTC素子が得られ
る。
【0014】また、本発明によれば、前記高分子PTC
素子において、前記樹脂組成物に含まれる前記導電性粉
末と前記樹脂の組成比が質量で、50/50〜97/3
(%)であることを特徴とする高分子PTC素子が得ら
れる。
素子において、前記樹脂組成物に含まれる前記導電性粉
末と前記樹脂の組成比が質量で、50/50〜97/3
(%)であることを特徴とする高分子PTC素子が得ら
れる。
【0015】さらに、本発明によれば、前記高分子PT
C素子において、金属電極に接する面に官能基を導入し
たPVdF樹脂組成物を設けることを特徴とする高分子
PTC素子が得られる。
C素子において、金属電極に接する面に官能基を導入し
たPVdF樹脂組成物を設けることを特徴とする高分子
PTC素子が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
て図面を参照しながら説明する。
【0017】図1(a)及び図1(b)は本発明の第1
の実施の形態による高分子PTC素子の製造方法の説明
に供せられる断面図である。
の実施の形態による高分子PTC素子の製造方法の説明
に供せられる断面図である。
【0018】図1(a)に示すように、金属箔1の一面
に導電性粉末が含有された結晶性樹脂2を塗布し乾燥し
たものを2枚用意し、塗付面側を張り合わせて、熱プレ
スし、図1(b)に示すように、高分子PTC樹脂組成
物2が金属箔1からなる一対の金属電極に挟み込まれた
高分子PTC素子10が作製される。
に導電性粉末が含有された結晶性樹脂2を塗布し乾燥し
たものを2枚用意し、塗付面側を張り合わせて、熱プレ
スし、図1(b)に示すように、高分子PTC樹脂組成
物2が金属箔1からなる一対の金属電極に挟み込まれた
高分子PTC素子10が作製される。
【0019】図2(a)及び図2(b)は本発明の第2
の実施の形態による高分子PTC素子の製造方法の説明
に供せられる断面図である。
の実施の形態による高分子PTC素子の製造方法の説明
に供せられる断面図である。
【0020】図2(a)に示すように、金属箔1の一面
に、導電性粉末2が含有された官能基導入樹脂としての
結晶性樹脂5を塗布し、さらに、その上に導電性粉末2
が含有された結晶性樹脂2を塗布し乾燥したものを2枚
用意し、塗付面側を張り合わせて、熱プレスし、図2
(b)に示すように、高分子PTC樹脂組成物2が金属
箔1からなる一対の金属電極に挟み込まれた高分子PT
C素子20が作製される。
に、導電性粉末2が含有された官能基導入樹脂としての
結晶性樹脂5を塗布し、さらに、その上に導電性粉末2
が含有された結晶性樹脂2を塗布し乾燥したものを2枚
用意し、塗付面側を張り合わせて、熱プレスし、図2
(b)に示すように、高分子PTC樹脂組成物2が金属
箔1からなる一対の金属電極に挟み込まれた高分子PT
C素子20が作製される。
【0021】図3(a)及び図3(b)は本発明の第3
の実施の形態による高分子PTC素子の製造方法の説明
に供せられる断面図である。
の実施の形態による高分子PTC素子の製造方法の説明
に供せられる断面図である。
【0022】図3(a)に示すように、金属箔1の一面
に導電性粉末が含有された官能基導入樹脂としての結晶
性樹脂5を塗布し乾燥したものを2枚用意し、塗付面側
を張り合わせて、熱プレスし、図3(b)に示すよう
に、高分子PTC樹脂組成物2が金属箔1からなる一対
の金属電極に挟み込まれた高分子PTC素子30が作製
される。
に導電性粉末が含有された官能基導入樹脂としての結晶
性樹脂5を塗布し乾燥したものを2枚用意し、塗付面側
を張り合わせて、熱プレスし、図3(b)に示すよう
に、高分子PTC樹脂組成物2が金属箔1からなる一対
の金属電極に挟み込まれた高分子PTC素子30が作製
される。
【0023】本発明について、さらに詳しく説明する。
【0024】本発明のようなPTC素子に用いる樹脂と
しては、結晶性高分子が好ましく、さらには結晶化度が
l0%以上かつ樹脂融点が100℃以上のもの、例え
ば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチ
レン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、
ポリプロピレン(PP)、ポリメチレン(PM)、エチ
レン・プロピレンコポリマー、ポリフタジエン(PB)
等のポリオレフィン類、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフ
ツ素系、その他ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リエチレンオキサイド、フェノール樹脂等が挙げられる
が、本発明においては特にポリフッ化ビニリデンが好ま
しい。
しては、結晶性高分子が好ましく、さらには結晶化度が
l0%以上かつ樹脂融点が100℃以上のもの、例え
ば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチ
レン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、
ポリプロピレン(PP)、ポリメチレン(PM)、エチ
レン・プロピレンコポリマー、ポリフタジエン(PB)
等のポリオレフィン類、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフ
ツ素系、その他ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リエチレンオキサイド、フェノール樹脂等が挙げられる
が、本発明においては特にポリフッ化ビニリデンが好ま
しい。
【0025】この理由としては、前記結晶性高分子のな
かでも比較的室温で容易に有機溶剤に溶解しやすく、さ
らには耐熱性が従来のポリエチレン樹脂等に比べると高
く、耐リフロー性やPTC素子としての非トリップ状態
とトリップ状態との間のサイクル特性が向上することが
挙げられる。
かでも比較的室温で容易に有機溶剤に溶解しやすく、さ
らには耐熱性が従来のポリエチレン樹脂等に比べると高
く、耐リフロー性やPTC素子としての非トリップ状態
とトリップ状態との間のサイクル特性が向上することが
挙げられる。
【0026】また、本発明の導電性粉末は主として金属
炭化物が用いられ、チタンカーバイト(TiC)、タン
グステンカーバイト(WC)、ジルコニウムカーバイト
(ZrC)、バナジウムカーバイト(VC)、タンタル
カーバイト(TaC)、モリブデンカーバイト(Mo
C)等が用られるが、アセチレンブラック、ファーネス
ブラック等のカーボンブラックやグラファイト、カーボ
ンナノチューブ等の炭素系導電性粉末でも構わない。ま
た炭素系に限らず導電性を有したものであれば無機物、
有機物を問わない。
炭化物が用いられ、チタンカーバイト(TiC)、タン
グステンカーバイト(WC)、ジルコニウムカーバイト
(ZrC)、バナジウムカーバイト(VC)、タンタル
カーバイト(TaC)、モリブデンカーバイト(Mo
C)等が用られるが、アセチレンブラック、ファーネス
ブラック等のカーボンブラックやグラファイト、カーボ
ンナノチューブ等の炭素系導電性粉末でも構わない。ま
た炭素系に限らず導電性を有したものであれば無機物、
有機物を問わない。
【0027】好ましくは本発明では、価格的にも安価
で、比較的耐電圧の特性が良好なTiC粉末が用いられ
る。
で、比較的耐電圧の特性が良好なTiC粉末が用いられ
る。
【0028】そして上記のような高分子PTC樹脂組成
物を用いて、本発明では導電性粉末と結晶性樹脂の組成
比が質量で、50/50〜97/3であり、好ましくは
60/40〜90/10である。さらに、好ましくは6
5/35〜85/15であり、50/50以下では導電
性粉末が少ないために抵抗の低いPTC素子が得られ
ず、97/3以上では結晶性樹脂が少ないために接着性
が弱くなり良好なPTC特性(温度‐抵抗特性)が得ら
れないためである。
物を用いて、本発明では導電性粉末と結晶性樹脂の組成
比が質量で、50/50〜97/3であり、好ましくは
60/40〜90/10である。さらに、好ましくは6
5/35〜85/15であり、50/50以下では導電
性粉末が少ないために抵抗の低いPTC素子が得られ
ず、97/3以上では結晶性樹脂が少ないために接着性
が弱くなり良好なPTC特性(温度‐抵抗特性)が得ら
れないためである。
【0029】また、基本的に接着性の弱い本発明のよう
な結晶性樹脂には、一般的に官能基の導入や被着物と結
晶性樹脂の両方に親和性のある有機物(カップリング
剤、分散剤等)を用いたりするが、諸特性を考慮すれ
ば、官能基の導入が好ましい。
な結晶性樹脂には、一般的に官能基の導入や被着物と結
晶性樹脂の両方に親和性のある有機物(カップリング
剤、分散剤等)を用いたりするが、諸特性を考慮すれ
ば、官能基の導入が好ましい。
【0030】本発明によれば、図2に示すように、PV
dF樹脂に対金属への接着性向上を考慮して水酸基(O
H基)を導入したものを1層目として、主体となるPV
dF樹脂を第2層目として形成することにより、対金属
への接着は良好なものとなる。
dF樹脂に対金属への接着性向上を考慮して水酸基(O
H基)を導入したものを1層目として、主体となるPV
dF樹脂を第2層目として形成することにより、対金属
への接着は良好なものとなる。
【0031】上記のような高分子PTC組成物を用い
て、本発明の製造方法においては、図1乃至図3に示し
たように、例えば、金属箔1としてのCu箔上にTiC
粒子とPVdF樹脂を混合して塗料化したものを塗布
し、乾燥処理をして、所定の形状にカットする。また、
前記カットされた金属箔を2枚塗布面が内側になるよう
に対向させて、熱プレスをして所定の素子形状に打抜
き、素子の作製がなされる方法が用いられる)。
て、本発明の製造方法においては、図1乃至図3に示し
たように、例えば、金属箔1としてのCu箔上にTiC
粒子とPVdF樹脂を混合して塗料化したものを塗布
し、乾燥処理をして、所定の形状にカットする。また、
前記カットされた金属箔を2枚塗布面が内側になるよう
に対向させて、熱プレスをして所定の素子形状に打抜
き、素子の作製がなされる方法が用いられる)。
【0032】塗布(塗工)方法としては一般的なリバー
スロールコーター、コンマコーターやタイコーター等を
適宜選択して用いる。
スロールコーター、コンマコーターやタイコーター等を
適宜選択して用いる。
【0033】このような本発明のPTC樹脂組成物によ
れば、従来よりも大量生産に適した塗工方法を用いて諸
特性か良好かつ安定的なPTC素子を提供することがで
きる。
れば、従来よりも大量生産に適した塗工方法を用いて諸
特性か良好かつ安定的なPTC素子を提供することがで
きる。
【0034】次に、本発明の高分子PTC素子の製造の
具体例について説明する。
具体例について説明する。
【0035】本発明例および比較例で用いたPTC素子
の樹脂組成物について以下の表1に簡略にまとめた。
の樹脂組成物について以下の表1に簡略にまとめた。
【0036】
【表1】
【0037】(本発明例1)下記表2に示される材料を
樹脂組成物として調合(塗料1)して用いた。また、接
着層用には、下記表2で示す材料を用いた(塗料2)。
樹脂組成物として調合(塗料1)して用いた。また、接
着層用には、下記表2で示す材料を用いた(塗料2)。
【0038】
【表2】
【0039】まず、金属電極として厚み50μmのCu
箔からなる金属箔1上に、導電性粉末3と官能基導入樹
脂5とを含む塗料2を乾燥厚み10μmをねらって塗工
して、次に、導電性粉末3と結晶性樹脂4とを含む塗料
1を乾燥厚み90μmとして塗工した。次に塗工したシ
ートを塗布面同志を張り合わせて、カレンダー処理およ
び熱プレスを行い接着させた。これを所定の素子形状に
打抜き以下の表7に示した評価を行った。
箔からなる金属箔1上に、導電性粉末3と官能基導入樹
脂5とを含む塗料2を乾燥厚み10μmをねらって塗工
して、次に、導電性粉末3と結晶性樹脂4とを含む塗料
1を乾燥厚み90μmとして塗工した。次に塗工したシ
ートを塗布面同志を張り合わせて、カレンダー処理およ
び熱プレスを行い接着させた。これを所定の素子形状に
打抜き以下の表7に示した評価を行った。
【0040】(本発明例2)上記表2に示すように、導
電性粉末3と結晶性樹脂4とを含む塗料2を本発明例1
と同様の金属箔1上に乾燥厚み100μmとなるように
塗工して、本発明例1と同様に加工したものを評価し
た。
電性粉末3と結晶性樹脂4とを含む塗料2を本発明例1
と同様の金属箔1上に乾燥厚み100μmとなるように
塗工して、本発明例1と同様に加工したものを評価し
た。
【0041】(本発明例3)上記表2に示すものと同様
の塗料1を本発明例1と同様の金属箔1上に乾燥厚み1
00μmとなるように塗工して、本発明例1と同様に加
工したものを評価した。
の塗料1を本発明例1と同様の金属箔1上に乾燥厚み1
00μmとなるように塗工して、本発明例1と同様に加
工したものを評価した。
【0042】(本発明例4)下記表3に示される材料を
樹脂組成物として調合(塗料3)して用いた。塗料3を
本発明例1と同様に、金属箔1上に乾燥厚み150μm
となるようにと塗工して、本発明例1と同様に加工した
ものを評価した。
樹脂組成物として調合(塗料3)して用いた。塗料3を
本発明例1と同様に、金属箔1上に乾燥厚み150μm
となるようにと塗工して、本発明例1と同様に加工した
ものを評価した。
【0043】
【表3】
【0044】(本発明例5)下記表4に示される材料を
樹脂組成物として調合(塗料4)して用いた。塗料4を
本発明例1と同様に、金属箔1上に乾燥厚み150μm
となるようにと塗工して、本発明例1と同様に加工した
ものを評価した。
樹脂組成物として調合(塗料4)して用いた。塗料4を
本発明例1と同様に、金属箔1上に乾燥厚み150μm
となるようにと塗工して、本発明例1と同様に加工した
ものを評価した。
【0045】
【表4】
【0046】(比較例1)下記表5に示される材料を樹
脂組成物(比較塗料1)をラボプラストミル及び二本ロ
ールミルを用いて混練してシート化して(シート厚み3
00μm)、本発明例1と同様の金属電極箔2枚にはさ
み、熱プレスを行い、本発明例1と同様に加工、評価し
た。
脂組成物(比較塗料1)をラボプラストミル及び二本ロ
ールミルを用いて混練してシート化して(シート厚み3
00μm)、本発明例1と同様の金属電極箔2枚にはさ
み、熱プレスを行い、本発明例1と同様に加工、評価し
た。
【0047】
【表5】
【0048】(比較例2)下記表6に示される材料を樹
脂組成物(比較塗料2)をラボプラストミル及び二本ロ
ールミルを用いて混練してシート化して(シート厚み3
00μm)、本発明例1と同様の金属電極箔2枚にはさ
み、熱プレスを行い、本発明例1と同様に加工、評価し
た。
脂組成物(比較塗料2)をラボプラストミル及び二本ロ
ールミルを用いて混練してシート化して(シート厚み3
00μm)、本発明例1と同様の金属電極箔2枚にはさ
み、熱プレスを行い、本発明例1と同様に加工、評価し
た。
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】上記表7に示したように本発明例および比
較例で作製した素子について初期抵抗値(mΩ)、トリ
ップ後の抵抗値(Ω)、金属⇔樹脂組成物間の接着性と
耐電圧を測定、評価した。また各々の素子の評価数はn
=10として平均値および接着性の判定に関しては※2
のとおりとした。
較例で作製した素子について初期抵抗値(mΩ)、トリ
ップ後の抵抗値(Ω)、金属⇔樹脂組成物間の接着性と
耐電圧を測定、評価した。また各々の素子の評価数はn
=10として平均値および接着性の判定に関しては※2
のとおりとした。
【0052】表7の評価結果では、本発明例1と比べて
本発明例2では主体となるPVdF樹脂に官能基が導入
されているために、結晶化度が多少低下したためと考え
られるトリップ後の抵抗値が低い現象がみられた。
本発明例2では主体となるPVdF樹脂に官能基が導入
されているために、結晶化度が多少低下したためと考え
られるトリップ後の抵抗値が低い現象がみられた。
【0053】また、本発明例3では樹脂に官能基がない
ために接着性が低い。本発明例4ではフイラーが少ない
ために抵抗がΩ以上と高い。本発明例5では、樹脂が少
ないために対金属への接着が悪く、さらにそのために耐
電圧を測定して素子が破損(表中NG)した。
ために接着性が低い。本発明例4ではフイラーが少ない
ために抵抗がΩ以上と高い。本発明例5では、樹脂が少
ないために対金属への接着が悪く、さらにそのために耐
電圧を測定して素子が破損(表中NG)した。
【0054】また、比較例1では本発明の従来の作製方
法としてあげたが対金属の接着性が悪く、量産性に乏し
い。さらに比較例2では導電性粉末としてカ―ポンブラ
ツクを周いたが耐電圧が低いことと刻金属性接着性が好
ましくないことが判明した。
法としてあげたが対金属の接着性が悪く、量産性に乏し
い。さらに比較例2では導電性粉末としてカ―ポンブラ
ツクを周いたが耐電圧が低いことと刻金属性接着性が好
ましくないことが判明した。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高分子P
TC素子の樹脂組成物によれば、前記組成物に含まれる
少なくとも1種の結晶性樹脂かPVdF樹脂で、この組
成物のフイラー/結晶性樹脂の質量比が50/50〜9
7/3であり、さらに金属電極上にこの組成物を1層以
上設けることにより、従来よりも対金属への接着性が向
上し、さらに量産性の良好な塗工方法を用いることか可
能となるために、製造効率の良好な高分子PTC素子を
提供することができる。
TC素子の樹脂組成物によれば、前記組成物に含まれる
少なくとも1種の結晶性樹脂かPVdF樹脂で、この組
成物のフイラー/結晶性樹脂の質量比が50/50〜9
7/3であり、さらに金属電極上にこの組成物を1層以
上設けることにより、従来よりも対金属への接着性が向
上し、さらに量産性の良好な塗工方法を用いることか可
能となるために、製造効率の良好な高分子PTC素子を
提供することができる。
【図1】本発明の第1の実施の形態による高分子PTC
素子の製造方法の説明に供せられる断面図である。
素子の製造方法の説明に供せられる断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による導電性樹脂組
成物の2層構成を備えた高分子PTC素子の製造方法の
説明に供せられる断面図である。
成物の2層構成を備えた高分子PTC素子の製造方法の
説明に供せられる断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態による導電性樹脂組
成物の1層構成を備えた高分子PTC素子の製造方法に
供せられる断面図である。
成物の1層構成を備えた高分子PTC素子の製造方法に
供せられる断面図である。
1 金属電極(金属箔)
2 高分子PTC樹脂組成物
3 導電性粉末
4 結晶性樹脂
5 結晶性樹脂(官能基導入樹脂)
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4J002 AA011 AC031 BB031 BB121
BB151 BD141 BD151 CB001
CC041 CF001 CH021 CL001
DA016 DA026 DA036 DB016
FA006 FD116 GQ00 GQ02
5E034 AA09 AB01 AC09 GA01
Claims (3)
- 【請求項1】 導電性粉末と樹脂とを含む樹脂組成物を
備え、電池や電子機器の回路等に異常発生時に流れる過
電流を防止する過電流保護素子に用いられる高分子PT
C素子において、前記樹脂組成物は、PVdF(ポリフ
ッ化ビニリデン)樹脂を少なくとも1種含むことを特徴
とする高分子PTC素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の高分子PTC素子におい
て、前記樹脂組成物に含まれる前記導電性粉末と前記樹
脂の組成比が質量で、50/50〜97/3(%)であ
ることを特徴とする高分子PTC素子。 - 【請求項3】 請求項1記載の高分子PTC素子におい
て、金属電極間に前記磁気組成物を挟み込んでなり、前
記金属電極に接する面に官能基を導入したPVdF樹脂
組成物を設けたことを特徴とする高分子PTC素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001272138A JP2003086403A (ja) | 2001-09-07 | 2001-09-07 | 高分子ptc素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001272138A JP2003086403A (ja) | 2001-09-07 | 2001-09-07 | 高分子ptc素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003086403A true JP2003086403A (ja) | 2003-03-20 |
Family
ID=19097549
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001272138A Withdrawn JP2003086403A (ja) | 2001-09-07 | 2001-09-07 | 高分子ptc素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003086403A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013539800A (ja) * | 2010-09-17 | 2013-10-28 | エルジー・ハウシス・リミテッド | 炭素ナノチューブを用いた、ntc特性が減少したptc素子用伝導性重合体組成物 |
-
2001
- 2001-09-07 JP JP2001272138A patent/JP2003086403A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013539800A (ja) * | 2010-09-17 | 2013-10-28 | エルジー・ハウシス・リミテッド | 炭素ナノチューブを用いた、ntc特性が減少したptc素子用伝導性重合体組成物 |
US8968605B2 (en) | 2010-09-17 | 2015-03-03 | Lg Hausys, Ltd. | Conductive polymer composition for PTC element with decreased NTC characteristics, using carbon nanotube |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081202 |