JP2003083842A - 超電導コイル加振試験装置 - Google Patents

超電導コイル加振試験装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実機における超電導コイル・内槽、荷重支持
材、外槽の関係を再現して、かつ実機と同じ外槽から加
振することにより、実機での現象を忠実に再現できる超
電導コイル上下加振試験装置を提供する。 【解決手段】 超電導コイル上下加振試験装置におい
て、超電導コイル1が、荷重支持材2,3によって模擬
外槽4に固定される加振ロッド21と、この加振ロッド
21が真空槽12を貫通して連結される油圧加振機26
とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浮上式鉄道の超電
導コイル加振試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】浮上式鉄道の超電導コイルは、運転中に
電磁力や機械的な加振力を受けて振動する。この時、内
槽ヘリウム容器内で内部構成部品のフレッティング等で
熱が発生し、ヘリウムが蒸発する。この現象は、超電導
コイルを冷却する設備の容量に大きく影響するため、現
象の解明が重要になる。
【0003】浮上式鉄道用超電導磁石は以下のような構
造を有している。
【0004】図3はかかる従来の浮上式鉄道用超電導磁
石の一部破断斜視図である。
【0005】この図において、101は超電導コイル、
102は超電導コイル締付金具、103は内槽(内槽容
器)、104Aは左右荷重支持材、104Bは上下荷重
支持材、105は輻射シールド板、106は外槽(外槽
容器)、107は車載冷凍機、108は液体ヘリウムタ
ンク、109は液体窒素タンクである。
【0006】実機において、超電導コイル101を超電
導コイル締付金具102を介して固定した冷却容器であ
る内槽103を、荷重支持材104をもって、外槽10
6に固定した構造となっているが、この構造を再現した
試験装置はなく、あったとしても一部の荷重支持材を使
用したものであった。
【0007】図4は従来の浮上式鉄道用超電導コイルの
試験装置の模式図、図5はその超電導コイル部の概要図
である。
【0008】図4において、201は超電導コイルを収
納している内槽、202は液体ヘリウムタンク、203
は真空槽(真空容器外槽)、204は加振梁、205は
連結ロッド、206は連結ロッド205を介して加振梁
204を振動させるアクチュエータ、207はそのアク
チュエータ206を駆動する油圧ユニットである。
【0009】図5において、301は超電導コイルを収
納している内槽、OS1〜OS8はセンサーである。
【0010】図6は従来の超電導コイルの試験装置での
加振変形図であり、図6(a)はその超電導コイルの曲
げ状態を上から見た図であり、センサOS1〜OS8の
加速度出力を二回積分して変位としている。振動モード
(励磁定常試験は140Hz)の場合で、横軸は測定点
の位置(mm)、縦軸は変位(mm)を示している。図
6(b)はその超電導コイルの捩じり状態を上から見た
図であり、振動モード(励磁定常試験は190Hz)の
場合で、横軸は測定点の位置(mm)、縦軸は変位(m
m)を示している。
【0011】これらの図において、実線は超電導コイル
の上辺、点線は超電導コイルの下辺を示している。
【0012】図7は超電導磁石実機での振動モードの一
例を示す図である。
【0013】この図において、301は超電導コイルを
収納した内槽、302は外槽、303は液体ヘリウム・
液体窒素タンクを示している。
【0014】このように、実機の振動は、外槽302
と、超電導コイルを収納している内槽301の相互振動
であり、振動における外槽302の変形に伴って超電導
コイルが振動をしている。従って、超電導コイルが収納
されている内槽302における振動挙動を超電導コイル
の試験で再現するためには、外槽302と、内槽301
の間を締結している荷重支持材を試験において取り付け
る必要がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の超電導コイルの試験装置は、存在していたとしても荷
重支持材の一部を使用しただけであった。また、加振点
についても冶具の形状等、装置側の要因に左右され、必
ずしも実機と同じ加振条件を満足するものではなかっ
た。
【0016】このため、試験データと実機データの単純
比較ができず、いくつかの試験結果を集積して状況を考
察することが必要となるため、試験数が多く必要とな
り、多額の試験費用が必要であった。
【0017】本発明は、上記状況に鑑みて、実機におけ
る超電導コイル・内槽、荷重支持材、外槽の関係を再現
して、かつ実機と同じ外槽から加振することにより、実
機での現象を忠実に再現できる超電導コイル加振試験装
置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕超電導コイル加振試験装置において、超電導コイ
ルが荷重支持材によって固定される模擬外槽装置と、こ
の模擬外槽装置に固定される加振ロッドと、この加振ロ
ッドが真空槽を貫通して連結される加振手段とを具備す
ることを特徴とする。
【0019】〔2〕上記〔1〕記載の超電導コイル加振
試験装置において、前記模擬外槽装置は、実機における
超電導コイルと内槽と荷重支持材と外槽とを有すること
を特徴とする。
【0020】〔3〕上記〔1〕記載の超電導コイル加振
試験装置において、前記加振ロッドの下端は前記模擬外
槽装置の片側の側面に連結し、前記模擬外槽装置のもう
一方の側は吊りワイヤにて真空槽の上蓋に吊設し、上下
方向の加振を起こすことを特徴とする。
【0021】〔4〕上記〔1〕記載の超電導コイル加振
試験装置において、前記加振ロッドと真空槽との間には
真空分離ベローズを配設し、上下方向の加振を起こすこ
とを特徴とする。
【0022】〔5〕上記〔4〕記載の超電導コイル加振
試験装置において、前記真空槽に加振機を取り付ける加
振機架台を設けるとともに、前記加振ロッドの上端には
ロードセルを配設することを特徴とする。
【0023】〔6〕上記〔3〕記載の超電導コイル加振
試験装置において、前記真空槽と加振機を取付け、前記
真空槽と前記加振機架台の下部に防振ゴムを具備するこ
とを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、詳細に説明する。
【0025】図1は本発明の実施例を示す超電導コイル
上下加振試験装置の模式図であり、図1(a)はその正
面断面図、図1(b)はその右側面断面図である。
【0026】これらの図において、1は超電導コイルを
収納した内槽、2は左右荷重支持材(8組)、3は上下
荷重支持材(2組)、4は模擬外槽、5は液体ヘリウム
タンク、6は液体ヘリウム供給管、7は液体ヘリウム回
収管、8はヘリウムの外部回収管、9は液体ヘリウムの
外部供給管、10は液体窒素供給管、11は液体窒素回
収管、12は真空槽、12Aは真空槽上蓋、13は液体
窒素シールド、14は吊りワイヤ、21は加振ロッド
(加振機構)、22は真空分離ベローズ、23は防振ゴ
ム、24は加振架台、25はロードセル、26は油圧加
振機(アクチュエータ)である。
【0027】この実施例では、真空槽12内において、
超電導コイルを収納した内槽1は、運転時と同じ極低温
状態・励磁状態に保たれ、超電導コイルは励磁状態にす
ることができる。油圧加振機26の加振力が加振ロッド
21を介して真空槽12内の模擬外槽4に伝えられるこ
とにより、実機と同じように模擬外槽4からの加振を再
現することができる。
【0028】図2は本発明の超電導コイル上下加振試験
装置での超電導コイルの加振変形図であり、超電導コイ
ルを横から見た図であり、横軸にセンサX座標(m
m)、縦軸に変位(mm)を示しており、図2(a)は
131Hz(1.3kN加振)、蒸発量増分6.7Wの
場合、図2(b)は181Hz(0.9kN加振)、蒸
発量増分12.8Wの場合を示している。
【0029】これらの図において、■は内槽(0de
g)、●は外槽(0deg)、□は内槽(πdeg)、
○は外槽(πdeg)を示している。
【0030】この図2(本発明の試験装置)と図6(従
来の試験装置)および図7(実機の振動模式図)との対
比から明らかなように、超電導コイルの実機の振動に適
合した振動を発生させることができる。
【0031】また、加振ロッド21と真空槽12との間
に真空分離ベローズ22を配設することにより、加振ロ
ッド21の駆動によっても真空槽12の真空を保持する
ことができる。
【0032】更に、真空槽12と油圧加振機26の間に
加振機架台24を設けるとともに、加振ロッド21の上
端にロードセル25を配設することにより、加振力(k
N)を正確に計測することができる。
【0033】また、真空槽12と加振機架台24の下部
に防振ゴム23を設けることにより、油圧加振機26に
よる加振を真空槽12に作用させることなく、油圧加振
機26による加振を忠実に模擬外槽4のみに作用させる
ことができる。
【0034】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、それらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0035】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下に示すような効果を奏することができる。
【0036】(A)実機での現象をより忠実に再現させ
ることができ、良好な超電導コイルの試験を実施するこ
とができる。
【0037】(B)実機での現象を忠実に再現できるよ
うになったため、必要な試験数が少なくても評価がで
き、試験費用を低減することができる。
【0038】(C)加振ロッドと真空槽との間に真空分
離ベローズを配設することにより、加振ロッドの駆動に
よっても真空槽の真空を保持することができる。
【0039】(D)真空槽と加振機の間に加振機架台を
設けるとともに、加振ロッドの上端にロードセルを配設
することにより、加振力(kN)を正確に計測すること
ができる。
【0040】(E)真空槽と加振機架台の下部に防振ゴ
ムを設けることにより、加振機による加振を真空槽に作
用させることなく、油圧加振機による加振を忠実に模擬
外槽のみに作用させることができる。
【0041】(F)一部の荷重支持材を取り外して試験
することもできるので、荷重支持材の取付け状態をパラ
メータとして、発熱部位と発熱寄与度を調査することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す超電導コイル上下加振試
験装置の模式図である。
【図2】本発明の超電導コイル上下加振試験装置での超
電導コイルの加振変形図である。
【図3】従来の浮上式鉄道用超電導磁石の一部破断斜視
図である。
【図4】従来の浮上式鉄道用超電導コイルの試験装置の
模式図である。
【図5】従来の浮上式鉄道用超電導コイルの機械曲げ試
験装置の概要図である。
【図6】従来の超電導コイルの試験装置での加振変形図
である。
【図7】超電導磁石実機での振動モードの一例を示す図
である。
【符号の説明】
1 超電導コイルを収納した内槽 2 左右荷重支持材(8組) 3 上下荷重支持材(2組) 4 模擬外槽 5 液体ヘリウムタンク 6 液体ヘリウム供給管 7 液体ヘリウム回収管 8 ヘリウムの外部回収管 9 液体ヘリウムの外部供給管 10 液体窒素供給管 11 液体窒素回収管 12 真空槽 12A 真空槽上蓋 13 液体窒素シールド 14 吊りワイヤ 21 加振ロッド 22 真空分離ベローズ 23 防振ゴム 24 加振架台 25 ロードセル 26 油圧加振機

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)超電導コイルが荷重支持材によって
    固定される模擬外槽装置と、(b)該模擬外槽装置に固
    定される加振ロッドと、(c)該加振ロッドが真空槽を
    貫通して連結される加振手段とを具備することを特徴と
    する超電導コイル加振試験装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超電導コイル加振試験装
    置において、前記模擬外槽装置は、実機における超電導
    コイルと内槽と荷重支持材と外槽とを有することを特徴
    とする超電導コイル加振試験装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の超電導コイル加振試験装
    置において、前記加振ロッドの下端は前記模擬外槽装置
    の片側の側面に連結し、前記模擬外槽装置のもう一方の
    側は吊りワイヤにて真空槽の上蓋に吊設し、上下方向の
    加振を起こすことを特徴とする超電導コイル加振試験装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の超電導コイル加振試験装
    置において、前記加振ロッドと真空槽との間には真空分
    離ベローズを配設し、上下方向の加振を起こすことを特
    徴とする超電導コイル加振試験装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の超電導コイル加振試験装
    置において、前記真空槽に加振機を取り付ける加振機架
    台を設けるとともに、前記加振ロッドの上端にはロード
    セルを配設することを特徴とする超電導コイル加振試験
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の超電導コイル加振試験装
    置において、前記真空槽と加振機を取付け、前記真空槽
    と前記加振機架台の下部に防振ゴムを具備することを特
    徴とする超電導コイル加振試験装置。
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