JP2003082625A - 歪み検知機能付き防護柵及び異常検知システム - Google Patents

歪み検知機能付き防護柵及び異常検知システム

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JP2003082625A
JP2003082625A JP2001272761A JP2001272761A JP2003082625A JP 2003082625 A JP2003082625 A JP 2003082625A JP 2001272761 A JP2001272761 A JP 2001272761A JP 2001272761 A JP2001272761 A JP 2001272761A JP 2003082625 A JP2003082625 A JP 2003082625A
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plastic composite
fiber bundle
composite material
protective fence
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JP2001272761A
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Hiroaki Yanagida
博明 柳田
Tetsuo Yamaguchi
哲生 山口
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガードレール等の防護柵にあっては、設置場
所が広域に及ぶことが多く、その破壊、損傷を受けた箇
所の検知等が難しい。広域にわたって、防護柵の破壊や
損傷に加え、応力の作用等による歪み発生を効果的に検
知、監視できる技術の開発が求められていた。 【解決手段】 ガードレール4のビーム5に、棒状の導
電性繊維束含有プラスチック複合材10を一体的に取り
付け、ビーム5の変形に一体的なプラスチック複合材1
0の変形を、プラスチック複合材10中に一体的に埋設
されている導電性繊維束11の電気抵抗の増大として検
知するようにした歪み検知機能付き防護柵1及び、導電
性繊維束11の電気抵抗の増大に基づいて防護柵1の検
知信号出力部から出力された異常検知信号の受信した時
に、警報出力装置から警報を出力する異常検知システム
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路付帯設備とし
てのガードレール、地山斜面からの落石や土砂崩れや雪
塊の崩落等に備えて施工される防護柵、牧場の周囲に設
けられる牧柵等の動物飼育施設用の柵などである防護
柵、及び、防護柵の歪みや変形等の検知によって異常発
生を検知したものとして警報を出力する異常検知システ
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】道路付帯設備としてのガードレール、地
山斜面からの落石や土砂崩れや雪塊の崩落等に備えて施
工される防護柵、牧場の周囲に設けられる牧柵等の動物
飼育施設用の柵などである防護柵について、近年、この
防護柵に取り付けたセンサによって、防護柵に加わった
衝撃を検知したり、崩落土砂や落石等が防護柵に到達し
たことを検知することで、事故や災害等の異常発生を検
知するとともに、警報を出力して、救命、防災、補修、
復旧の迅速化等に役立てる技術がいくつか提案されてい
る。
【0003】例えば、特開2000−227989号
は、道路上で発生した事故を検知する事故検知装置に関
するものであり、防護柵(ガードレール)に与えられた
衝撃をセンサ(衝撃センサ)が検知したときに検知信号
を出力する端末装置を道路長手方向複数箇所に設置して
おき、事故発生時に前記端末装置から検知信号を通信衛
星経由で司令部(警察等)に通報することで、司令部に
て事故発生位置等を把握できるようになっている。しか
しながら、衝撃センサの検知信号を利用するものである
ため、路面上での車両の走行に伴う振動や工事による振
動等をも衝撃センサが検知して、誤作動しやすいといっ
た問題がった。
【0004】また、特開2000−4413号には、道
路に設けられた落石防護柵に設置した防護柵に付設した
網状体等の可動物(接触センサ)が崩落土砂や落石によ
って移動されることで、警報を出力する警告手段のスイ
ッチがオンされ、道路を走行する車両の運転手に異常発
生を警告するようにした落石・土砂等の崩落検知警告装
置が記載されている。しかしながら、崩落土砂や落石と
接触される網状体等の可動物に、犬や猫、鹿等の動物が
接触してもスイッチがオンされてしまうため、誤作動し
やすいといった問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来提
案されている異常検知装置(前述の事故検知装置や崩落
検知警告装置等)は、いずれも誤作動を生じやすいもの
であるため、長期の設置によっても誤作動を生じにくい
技術の開発が求められていた。また、このような異常検
知装置では、事故や災害等の異常発生の検知時に、防護
柵の変形や破壊の状況、異常発生現場の状況等をも検知
したい要求があるが、前述の特開2000−4413号
記載の技術ではこのような検知は不可能である。一方、
特開2000−227989号記載の技術では、ケーブ
ル状の衝撃センサが振動したときに観測される電圧変化
によって事故発生を検知するようになっており、観測さ
れる電圧変化の大きさから衝撃力の大きさも概略検知で
き、検知した衝撃力の大きさから事故の規模等の予測も
概略行える。しかしながら、このようなケーブル状の衝
撃センサは、間隔をおいて設置された固定用の治具の間
に張設して、治具間での張設部分の振動によって衝撃を
検知するようになっているため、治具間のスパンが変わ
ると振動特性も変わってしまうため、出来る限り、治具
間のスパンが一定に保たれるように施工して、振動の大
きさに対して観測される電圧値のばらつきを小さくする
必要がある。このため、この衝撃センサを利用した検知
装置では、施工上の制約が大きいといった問題もある。
【0006】さらに、地山斜面からの崩落土砂や崩落し
た雪塊等が道路等に流入することを食い止める防護柵用
の検知装置としては、崩落の規模をも検知できる適切な
ものがこれまでに無かったため、この開発が求められ
る。例えば、前述のケーブル状の衝撃センサを利用した
検知装置を適用しても、崩落した土砂や雪塊が防護柵に
衝突する時の衝撃力が小さければ、土砂や雪塊の崩落を
検知できないし、崩落の規模も検知できない。
【0007】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、施工上の制約が少なく、しかも誤作動しにくく、
さらに、防護柵の変形や破壊の状況、異常発生現場の状
況等をより的確に検知できる防護柵及び異常検知システ
ムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
発明は、地盤或いは構造物に立設された防護柵と、この
防護柵に1本又は複数本設けられ該防護柵の変形に伴い
一体的に変形する棒状の導電性繊維束含有プラスチック
複合材と、この導電性繊維束含有プラスチック複合材の
導電性繊維束の電気抵抗を測定する抵抗測定器と、この
抵抗測定器と接続され、該抵抗測定器によって前記導電
性繊維束の電気抵抗の増大が測定されたときに異常検知
信号を出力する検知信号出力部とを有し、前記導電性繊
維束含有プラスチック複合材は、1本又は複数本の前記
導電性繊維束が棒状のプラスチック材に該プラスチック
材の長手方向と並行させて埋設、一体化され、しかも前
記導電性繊維束が前記プラスチック材の長手方向に直交
する断面の中央部を避けて外側にずらされた位置に配置
されていることを特徴とする歪み検知機能付き防護柵を
前記課題の解決手段とした。請求項2記載の発明は、請
求項1又は2に記載の歪み検知機能付き防護柵におい
て、前記導電性繊維束含有プラスチック複合材は、導電
性繊維束が、前記プラスチック材の長手方向に直交する
断面の周方向のほぼ均等に分散された4カ所に配置され
ている断面構造になっていることを特徴とする。請求項
3記載の発明は、請求項1又は2記載の歪み検知機能付
き防護柵において、プラスチック材の長手方向に直交す
る断面の中央部を介して両側に対向配置された導電性繊
維束の対を有する前記導電性繊維束含有プラスチック複
合材が、前記対を構成する導電性繊維束の内の一方を、
前記防護柵によって仕切られた一方の領域の側、前記導
電性繊維束を前記防護柵によって仕切られた他方の領域
の側となるようにして前記防護柵に設けられていること
を特徴とする。請求項4記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載の歪み検知機能付き防護柵において、前
記導電性繊維束含有プラスチック複合材のプラスチック
材には、前記導電性繊維束に加えて、該導電性繊維束よ
りも伸び率が大きい強化繊維束が前記導電性繊維束にほ
ぼ沿って延在させて埋設されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載
の歪み検知機能付き防護柵において、前記防護柵に設け
られた複数本の導電性繊維束含有プラスチック複合材に
よって、該導電性繊維束含有プラスチック複合材間にて
導電性繊維束同士を電気導通可能に接続して複数本の導
電性繊維束含有プラスチック複合材を直列に接続してな
るセンサユニットが構成され、このセンサユニットの両
端にて導電性繊維束と抵抗測定器とが接続されているこ
とを特徴とする。請求項6記載の発明の異常検知システ
ムは、請求項1〜5のいずれかに記載の歪み検知機能付
き防護柵と、この歪み検知機能付き防護柵の検知信号出
力部から出力された異常検知信号を受信したときに警報
を出力するとともに、前記異常検知信号に含まれる情報
から前記異常検知信号を出力した検知信号出力部が設け
られている歪み検知機能付き防護柵の位置情報を出力す
る警報出力装置とを有することを特徴とする。
【0009】ここで防護柵とは、例えば、道路付帯設備
としてのガードレール、防風柵、防雪柵、地山斜面から
の落石や土砂崩れや雪塊の崩落等に備えて施工される防
護柵、牧場の周囲に設けられる牧柵等の動物飼育施設用
の柵等を指す。
【0010】本発明に係る歪み検知機能付き防護柵及び
異常検知システムでは、棒状の導電性繊維束含有プラス
チック複合材(以下、「プラスチック複合材」と称する
場合がある)が曲げ変形を受けたとき、導電性繊維束の
電気抵抗の増大を検知することで、プラスチック複合材
に生じた歪みを敏感に検知できることを利用して、防護
柵に生じた歪み、変形、破壊等を検知できる。導電性繊
維束は、炭素繊維等からなる連続する多数本の導電性繊
維を一体化したものであり、防護柵の変形や破壊に伴う
曲げ方向の歪みによって導電性繊維の一部又は全部が破
断することで、抵抗測定器にて測定される電気抵抗が増
大する。この電気抵抗の増大を検知することで、プラス
チック複合材に生じた曲げ歪みや曲げ応力を検知でき
る。
【0011】プラスチック複合材は、防護柵の変形時に
防護柵と一体的に変形するようにして防護柵に設けるか
ら、防護柵に歪みや変形が生じたら、防護柵と同様の向
き、大きさの歪みや変形がプラスチック複合材にも生じ
る。然るに、防護柵に歪みや変形が生じたときには、こ
れに追従するようにして、プラスチック複合材内に埋
設、一体化されている導電性繊維束に歪みが与えられ、
電気抵抗の増大の検知によって、防護柵に歪みが生じた
ことが検知される。本発明に係る歪み検知機能付き防護
柵は、棒状のプラスチック複合材を、外付け、内部への
組み込み、埋設等によって防護柵と一体的に変形するよ
うにして設けることで組み立てることができる。棒状の
プラスチック複合材は、長さ等のサイズ、防護柵での設
置位置や設置向き等を選択することで、防護柵の具体的
形状等に幅広く対応して設置できる。
【0012】なお、導電性繊維束として、前述の炭素繊
維束等の通電によって発熱するものを採用した場合は、
このプラスチック複合材自体を発熱体として利用するこ
とも可能であり、例えば融雪等に利用できる。
【0013】複数本(例えば4本)の導電性繊維束が断
面周方向に分散配置されている構成(請求項2、3)の
プラスチック複合材を採用した場合では、各導電性繊維
束の電気抵抗の分布から、歪みや応力の方向性をも検知
できる。しかも、プラスチック複合材(プラスチック
材)の長手方向に直交する断面の中央部を介して両側に
対向配置された導電性繊維束の電気抵抗の測定値の関係
から、プラスチック複合材に生じた曲げ歪みや応力の大
きさを概略把握でき、防護柵の変形状況や破壊状況も概
略把握できるといった利点もある。防護柵の変形状況や
破壊状況から、発生した事故の規模、地山斜面で生じた
土砂や雪塊の崩落の規模等、事故や災害の発生現場の概
略の状況把握等が可能である。
【0014】プラスチック複合材は、導電性繊維束がプ
ラスチック材の補強材として機能する上、別途の補強繊
維束の埋設(請求項4)等によって、充分な強度を確保
できる。そのため、このプラスチック複合材自体を補強
材として用いることも可能である。
【0015】防護柵にプラスチック複合材を複数本設置
する場合は、プラスチック複合材間にて導電性繊維束同
士を電気導通可能に接続して複数本のプラスチック複合
材を直列に接続してなるセンサユニットを構成し、この
センサユニットの両端にて導電性繊維束と抵抗測定器と
を接続する構成(請求項5)を採用することで、一つの
抵抗測定器を介して、防護柵の歪みや変形等の監視をよ
り広い範囲にわたって行うことができる。ここで、セン
サユニットは、棒状のプラスチック複合材を防護柵と一
体的に変形できるようにして防護柵に複数本設置して構
成できるが、センサユニットを構成する複数本のプラス
チック複合材の配置は例えば一直線上に配列することに
限定されず、様々な態様が採用可能である。プラスチッ
ク複合材間での導電性繊維束同士の接続は、電線等を介
して電気導通可能になっていれば良く、例えば導電性繊
維束間の接続を行うプラスチック複合材間の距離が離れ
ていても、接続用の電線の長さや柔軟性等によって接続
すればよい。したがって、防護柵でのプラスチック複合
材の設置位置は自由度は高く、防護柵の形状、構造等に
よらず、センサユニットを効率良く組み立てることがで
きる。
【0016】本発明に係る異常検知システム(請求項
6)では、導電性繊維束の電気抵抗の増大が検知された
ときに、検知信号送信部からの異常検知信号の送信によ
って、所定の通報先に異常発生を通報できる。ここで所
定の通報先とは、例えば、道路での事故発生を検知する
異常検知システムでは、警察署や消防署(救急車出動要
請を受け付ける窓口等)、病院等であり、道路近くの地
山斜面からの落石、土砂や雪塊の崩落を検知する異常検
知システムであれば、警察署、消防署、道路管理事務
所、土砂や雪塊の崩落や落石の発生検知箇所に通じる道
路に設置された警報表示灯等である。通報先では、警報
出力手段が、異常検知信号の受信に基づいて警報を出力
して、異常発生を報知する。また、この警報に合わせ
て、前記異常検知信号を出力した検知信号出力部が設け
られている防護柵の位置情報も出力する。これにより、
異常発生箇所の位置が判明するため、被害の拡大防止、
救命、防災、補修、復旧の迅速化等に役立てることがで
きる。位置情報の出力は、例えば、異常検知信号に含ま
れる位置情報等に基づいて行うことができる。これによ
り、本発明に係る歪み検知機能付き防護柵が広域にわた
って多数配置されている場合でも、異常発生箇所の位置
を迅速に把握できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0018】(第1実施形態)図1〜図4は、本発明の
第1実施形態の歪み検知機能付き防護柵1及び異常検知
システム2を示す。図1は前記歪み検知機能付き防護柵
1が設けられた道路3を示す横断面図、図2は平面図、
図3(a)は歪み検知機能付き防護柵1を構成する防護
柵4としてのガードレール(以下、防護柵を「ガードレ
ール」と称する場合がある)を示す拡大斜視図であっ
て、ビーム5の裏面5a側のカバー6を取り外した状態
を示す図、図3(b)は図3(a)のビーム5上部での
導電性繊維束含有プラスチック複合材の固定状態を示す
断面図、図4はガードレール4に設けられたセンサユニ
ット100の構成の概略を示す正面図である。
【0019】図1〜図4において、歪み検知機能付き防
護柵1は、道路3の車道3aと、この車道3aの幅方向
(図1左右、図2左右)両側に設けられた歩道3bとの
間の境界にそれぞれ構築されている。この歪み検知機能
付き防護柵1は、前記車道3aと歩道3bとの間に立設
されて道路3の長手方向に沿って延在されたガードレー
ル4と、このガードレール4に取り付けられた複数本の
導電性繊維束含有プラスチック複合材10(以下「プラ
スチック複合材」と略称する場合がある)によって構成
されたセンサユニット100と、抵抗測定器60と、検
知信号出力部61とを有して構成されている。
【0020】前記ガードレール4は、道路3の長手方向
に沿った複数箇所に間隔をおいて複数立設した支柱7
と、この支柱7によって支持して道路3の長手方向に沿
って延在配置したビーム5とを有して構成されている。
前記ビーム5は、断面波形に成形した長尺帯状の鋼板で
形成されており、長手方向に直交する幅方向が上下方向
(以下、ビーム5の幅方向を指す場合に「上下方向」と
称する場合がある)となるようにして各支柱7の車道3
a側に固定されている。
【0021】図5(a)、(b)は、センサユニット1
00を構成する前記プラスチック複合材10を示す図で
あって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断
面矢視図である。図5(a)、(b)に示すように、こ
のプラスチック複合材10は、断面円形の真っ直ぐな棒
状に成形されたプラスチック材12中に導電性繊維束1
1が埋設されている構成であり、前記導電性繊維束11
は、プラスチック材12の長手方向(プラスチック複合
材10の長手方向と同じ)と並行させて該プラスチック
材12中に直線状に配置して埋設、一体化されている。
なお、プラスチック材12は導電性繊維束11間の電気
絶縁性を確保する絶縁材としての機能も果たす。
【0022】プラスチック材12は、ここでは、基材と
してのプラスチックに強化繊維束13としてガラス繊維
束を前記導電性繊維束11にほぼ沿って延在させて埋
設、一体化したFRP(繊維強化プラスチック)を採用
している。このプラスチック複合材10は、導電性繊維
束11と強化繊維束13とによって優れた強度が得られ
るものであり、ガードレール4に取り付けることで、該
ガードレール4の補強材としても機能する。このよう
に、導電性繊維束11と強化繊維束13とが長手方向に
沿って埋設、一体化されている棒状のプラスチック複合
材10は、引抜成形や押し出し成形によって連続的に製
造することができ、量産化が容易であり、低コスト化で
きる利点がある。なお、強化繊維束13の素材として
は、前述のガラス繊維以外、例えば、ボロン繊維、アラ
ミド繊維等も採用可能である。但し、強化繊維束として
は、前記導電性繊維束11よりも伸び率が大きいものが
採用される。
【0023】また、このプラスチック複合材10では、
プラスチック材12の長手方向に直交する断面の周方向
のほぼ均等に分散された4カ所に導電性繊維束11を1
本ずつ配置している(図1(b)参照)。但し、導電性
繊維束11の配置位置は、プラスチック材12の長手方
向に直交する断面の中心から外周に向かって該断面の半
径の二分の一のよりも外側の領域(図1(b)中、仮想
線Dよりも径方向外側の領域)であり、特に、図1
(b)の例では、導電性繊維束11の外側に1mm程
度、あるいはそれよりも小さい僅かな被り厚を確保し
て、プラスチック材12の外面近傍に配置、埋設してい
る。なお、プラスチック複合材10の断面径は8mmか
ら数十mm程度に形成される。
【0024】前記導電性繊維束11としては、連続する
炭素長繊維を多数本集合して樹脂で一体化して断面円形
のロッド状に成形した炭素繊維束を採用している。な
お、4本の導電性繊維束11の断面径は一定に揃えられ
ている。このプラスチック複合材10において導電性繊
維束11は、プラスチック材12の長手方向全長にわた
って延在させて埋設されており、プラスチック複合材1
0の強化繊維としての機能も果たす。さらに、前記導電
性繊維束11は、通電により発熱する発熱体としての機
能も果たす。
【0025】図8に示すように、このプラスチック複合
材10の長手方向両端部に設けられた通電用端子部14
は、該プラスチック複合材10の外部の電気回路と導電
性繊維束11とを電気導通可能に接続するためのもので
ある。例えば、図6に示すような電気接続部品20を用
いて通電端子部14間を接続することで、プラスチック
複合材10にて導電性繊維束11同士を電気導通可能に
接続できる。通電用端子部14としては、例えば、プラ
スチック複合材10の長手方向端部に位置する導電性繊
維束11先端部や、導電性繊維束11先端部に接続され
たピン端子等、各種構成が採用可能であるが、ここでは
図8に示すように、プラスチック材12の長手方向端部
の端面12aへのはんだ等の導電性金属の被着、導電性
金属薄板片の接着固定などによって膜状あるいはパッド
状に形成した導電層を採用している。この通電用端子部
14は、プラスチック材12に埋設されている複数本の
導電性繊維束11毎に個別に形成されており、通電用端
子部14間は導電層が形成されていない領域16を介し
て電気絶縁されている。
【0026】センサユニット100は、前記ビーム5の
裏面5a側(道路3幅方向両側の歩道3bに臨む側)に
て、複数本のプラスチック複合材10を、その長手方向
をビーム5の延在方向に沿わせた姿勢で、ビーム5の延
在方向に沿って直列に配列させてビーム5に固定し、隣
り合うプラスチック複合材10間で、それぞれの4本の
導電性繊維束11同士を電気導通可能に接続した構成に
なっている。導電性繊維束11同士の接続は、図6〜図
8に示す電気接続部品20を用いて行っている。また、
図7(c)に、プラスチック複合材10間での導電性繊
維束11の4本同士をこの電気接続部品20を用いて接
続した状態を示す。各プラスチック複合材10は、図示
しない固定金具や接着剤等によって、ビーム5に一体的
に固定されており、例えば自動車8(図2参照)の衝突
等によってビーム5が変形されると、ビーム5と一体的
に変形されるようになっている。
【0027】図4に示すように、ビーム5の裏面5a側
には、複数本のプラスチック複合材10をビーム5の延
在方向に沿って直列に配列、接続してなる2本のユニッ
ト(上ユニット101と下ユニット102)が該ビーム
5の上下方向の異なる位置に互いに並行となるように形
成されている。前記センサユニット100は具体的に
は、ガードレール4(詳細にはビーム5)の長手方向一
端にて、これら2本のユニット101、102の端部間
を電気接続部品20で接続して導電性繊維束11間を電
気導通可能に接続した構成になっている。したがって、
センサユニット100は、上下ユニット101、102
を構成する全てのプラスチック複合材10を導電性繊維
束11同士の接続によって直列に接続した構成になって
いる。
【0028】前記ビーム5には、上下方向2カ所を車道
3a側に突出させるようにして屈曲成形した部分によっ
て、該ビーム5の長手方向全長にわたって2本平行に延
在する凹溝5b、5c(裏面5a側から見た凹溝)が形
成されており、前記センサユニット100の上ユニット
101を構成するプラスチック複合材10は上側の凹溝
5cの溝底を形成する張り出し部5dに一体的に固定さ
れ、下ユニット102を構成するプラスチック複合材1
0は下側の凹溝3dの溝底を形成する張り出し部5eに
一体的に固定されている。張り出し部5d、5eは、い
ずれも、ビーム5を屈曲成形して車道3a側に張り出さ
せた部分であり、例えば、車道3a側での事故によって
自動車8がビーム5に衝突する場合、ビーム5に対する
最初の衝突箇所になりやすい。なお、センサユニット1
00を構成する上下ユニット101、102は、ビーム
裏面5a側に取り付けられるカバー6によって外側から
覆われるため、例えば歩道3b側を通行する歩行者によ
るいたずらや自転車の転倒等の不用意な衝突等を防ぐこ
とができる。このため、センサユニット100を構成す
る各プラスチック複合材10は、ビーム5の変形や破損
を伴うような外力が作用しない限り歪みや破壊が生じな
いようになっている。
【0029】図9に示すように、このセンサユニット1
00では、隣り合うプラスチック複合材10間での4本
の導電性繊維束11同士の接続によって、それぞれセン
サユニット100の全長にわたって連続する4本のセン
シング回路71〜74が形成されている。但し、このセ
ンサユニット100では、その全長にわたって、ガード
レール4に対する各センシング回路71〜74の配置位
置関係が一定になっている。つまり、このセンサユニッ
ト100では、該センサユニット100を構成する各プ
ラスチック複合材10を、図3(a)、(b)に示すよ
うに4本の導電性繊維束11が上下左右(以下、説明の
便宜上、下側の導電性繊維束11に符号111、上側の
導電性繊維束11に符号112、左側の導電性繊維束1
1に符号113、右側の導電性繊維束11に符号114
を付して説明する場合がある。なお、上下は図3
(a)、(b)上下、左右は図3(b)左右)の位置と
なる向きでガードレール4に固定しており、図9に示す
ように、プラスチック複合材10間での4本の導電性繊
維束11間の接続は、下側の導電性繊維束111同士、
上側の導電性繊維束112同士、左側の導電性繊維束1
13同士、右側の導電性繊維束114同士を接続してい
る。4本のセンシング回路71〜74は、センサユニッ
ト100を構成する各プラスチック複合材10の下側の
導電性繊維束111を接続したものがセンシング回路7
1であり、上側の導電性繊維束112同士を接続したも
のがセンシング回路72であり、左側の上側の導電性繊
維束113同士を接続したものがセンシング回路73で
あり、右側の導電性繊維束114同士を接続したものが
センシング回路74であり、この各センシング回路71
〜74の配置位置関係は、上下の各ユニット101、1
02でも変わらない。
【0030】図6〜図8に例示した電気接続部品20
は、プラスチック複合材10間で導電性繊維束11を4
対4で簡単に一括接続できる。この電気接続部品20
は、プラスチック複合材10の端部に連結して通電端子
部と電気導通可能に接続されるコネクタC1、C2を電
線21の両端に取り付けた構成になっている。なお、コ
ネクタC1、C2の構成は同じであるため、両コネクタ
C1、C2に共通の構成を説明する場合、「コネクタ
C」と称する場合がある。
【0031】このコネクタCは、プラスチック複合材1
0の長手方向両端部に形成されたネジ部17に螺着可能
な雌ネジを構成するリング部22の内側に、可動端子部
23と、付勢部材24(ここではスプリング。以下「ス
プリング24」と称する場合がある)とを収容した構成
になっている。前記可動端子部23は、リング部22内
にて該リング部22の中心軸線回りに回転自在かつリン
グ部22の中心軸線に沿って移動自在になっている端子
部本体27の前面27a側(図7(a)、(b)左側)
に、位置決めピン25と4本のピン端子26a〜26d
とを突設させた構成になっている。但し、端子部本体2
7ではピン端子26a〜26d間の電気絶縁性を確保し
ている。
【0032】このコネクタCをプラスチック複合材10
の端部に接続するには、まず、プラスチック材12の端
面12aに穿設されている位置決め穴12bに位置決め
ピン25を挿入し、次いで、ネジ部17にリング部22
をねじ込んでいけば良い。ここで、各ピン端子26a〜
26dは端子部本体27からの突出長を一定に揃えてい
るが、位置決めピン25の端子部本体27からの突出長
は各ピン端子26a〜26dに比べて数mm〜十数mm
程度長い。しかも、接続前の状態では、可動端子部23
は、スプリング24によってリング部22の接続方向前
端(図7(a)、(b)左側)へ押し出された状態にな
っており、位置決めピン25がリング部22から接続方
向前側に突出状態になっているから、位置決め穴12b
への位置決めピン25の挿入作業は、位置決め穴12b
及び位置決めピン25を目視確認しながら効率良く行え
る。
【0033】プラスチック材12の端面12aの位置決
め穴12bに位置決めピン25を挿入すると、コネクタ
20の4本のピン端子26a〜26dが、プラスチック
複合材12の端面12aの4つの通電端子部14に個別
に位置決めされる。そして、ネジ部17にリング部22
をねじ込んでいくと、各導電性繊維束11個別に設けら
れている通電端子部14に各ピン端子26a〜26dが
1対1で当接される。また、ネジ部17へのリング部2
2のねじ込みによって、可動端子部23がスプリング2
4を押し縮めつつリング部22後ろ側に向けて押し込ま
れ、このスプリング24の付勢力が各ピン端子26a〜
26dの通電端子部14に対する押し付け力として作用
するため、各ピン端子26a〜26dの通電端子部14
との間の電気導通可能な接続状態が確実に確保される。
【0034】図6に示すように、各コネクタC1、C2
の可動端子部23からリング部22後端に突出されたブ
ーツ部28の側面には、可動端子部23の向きを示す表
示28aが形成されている。図7(c)の模式図に示す
ように、電気接続部品20では、各コネクタC1、C2
における位置決めピン25及びピン端子26a〜26d
と表示28aとの位置関係が一致され、しかも、表示2
8aに対する位置関係が対応するピン端子同士が電線2
1の芯線21a〜21dを介して接続されている。この
ため、該電気接続部品20の2つのコネクタC1、C2
をそれぞれプラスチック複合材10の導電性繊維束11
と接続すると、各プラスチック複合材10の導電性繊維
束11の内、表示28aに対する位置関係が同じ導電性
繊維束11同士が電線21の芯線21a〜21dを介し
て接続される。
【0035】図7(c)は、電気接続部品20を、図
4、図9に例示したセンサユニット41を構成する隣り
合うプラスチック複合材10間の接続に利用した場合を
例示している。電気接続部品20の2つのコネクタC
1、C2をそれぞれプラスチック複合材10の導電性繊
維束11と接続した後、電線21の可撓性等を利用し
て、各コネクタC1、C2の表示28aが同じ側、例え
ば図3(b)右側を向くように向きを統一すると、この
電気接続部品20を介して接続されている各プラスチッ
ク複合材10の向きが位置決めされる。この状態では、
前述のように、表示28aに対する位置関係が同じ導電
性繊維束11同士が電線21の芯線21a〜21dを介
して接続されているから、例えば、各プラスチック複合
材10の下側の導電性繊維束111同士が電線21の芯
線21aを介して接続され、各プラスチック複合材10
の上側の導電性繊維束112同士が電線21の芯線21
bを介して接続されている。
【0036】図4、図9に示すように、抵抗測定器60
は、センサユニット100の両端にて導電性繊維束11
と電気導通可能に接続することで、4本のセンシング回
路71〜74に接続され、各センシング回路71〜74
の電気抵抗を個別に測定するようになっている。なお、
図9において、センサユニット100の各センシング回
路71〜74と抵抗測定器60との間を接続する接続回
路60aとしては、センサユニット100のセンシング
回路の本数と同じ芯数を有する電線等が採用される。但
し、図4に示すように、この歪み検知機能付き防護柵1
では、センサユニット100を構成する上ユニット10
1及び下ユニット102の、ガードレール4の延在方向
(長手方向)他端側に位置する端部間に抵抗測定器60
を接続するようになるため、例えば、ガードレール10
0の延在方向両端でセンサユニット100の両端に接続
した接続回路60aを介してセンサユニット100の各
センシング回路と抵抗測定器60とを接続する場合に比
べて接続回路60aの長さを短くできるといった利点が
ある。このため、例えば、抵抗測定器60を、センサユ
ニット100の一端或いは両端に直接コネクタ接続し
て、この接続に用いるコネクタ内の導電体(例えばピン
端子等)自体を接続回路とすることも可能である。
【0037】抵抗測定器60と接続されている検知信号
出力部62は、抵抗測定器60によるセンシング回路7
1〜74の電気抵抗の測定結果に基づいて、この歪み検
知機能付き防護柵1を構成するプラスチック複合材10
の曲げ歪みの有無を判定し、前記曲げ歪みの発生を検知
した場合に異常検知信号を出力する。つまり、センサユ
ニットを構成するプラスチック複合材10に生じた曲げ
方向の歪み(曲げ歪み)によって該プラスチック複合材
10内の導電性繊維束11にも曲げ方向が歪みが与えら
れ、導電性繊維束11を構成する導電性繊維(ここでは
炭素繊維)の一部又は全部が破断するから、抵抗測定器
60にて抵抗値の増大が観測される。そして、抵抗測定
器60による抵抗値の測定結果に基づいて、検知信号出
力部61がプラスチック複合材10の歪みの発生を検知
すると、検知信号出力部61から異常発生信号が出力さ
れる。プラスチック複合材10は、ガードレール4のビ
ーム5と一体的に変形するようになっているから、セン
シング回路71〜74の電気抵抗の測定結果に基づいて
プラスチック複合材10に生じた曲げ歪みを検知するこ
とで、例えば交通事故等(図2参照)に起因するビーム
5の変形を検知できる。なお、検知信号出力部62がセ
ンシング回路71〜74の電気抵抗の測定結果に基づい
てガードレール4(詳細にはビーム5)に生じた歪みを
検知するための具体的手法については、後で詳述する。
【0038】図4に示すように、本発明に係る異常検知
システム2は、道路3に沿って多数設置された歪み検知
機能付き防護柵1と、通報先(例えば道路管理事務所、
消防署等)に設けられ、検知信号出力部61から出力さ
れた異常検知信号を受信したときに表示パネルへの表示
や音声等によって警報を出力する警報出力装置62とを
有して構成されている。例えば、交通事故での自動車8
の衝突(図2参照)等によってガードレール4に変形が
与えられ、抵抗測定器60の測定値(抵抗値)に基づい
てガードレール4の変形を検知した検知信号出力部61
から出力された異常検知信号の受信によって警報出力装
置63から警報を出力することで、異常発生とほぼ同時
に異常発生を通報先に報知できるので、救助、救命、事
故車の撤去等のための作業員の迅速な派遣に役立てるこ
とができる。異常検知信号の通報先としては、警報出力
装置63は、前述の道路管理事務所、消防署、警察署等
の施設のほか、例えば、異常検知時に救命、救助、事故
車の撤去等のために現場に派遣される作業員が所持する
携帯端末(図10参照)等であっても良い。
【0039】なお、検知信号出力部61からの異常検知
信号の出力は、道路3に沿って設けられた通信ケーブル
を利用して伝送される信号(電気信号又は光信号)であ
っても良いが、ここでは無線(電波)信号を採用してい
る。通信ケーブル経由での信号伝送では、交通事故等に
よる通信ケーブルの切断や、通信ケーブルを含む全体の
保守が必要となるため保守コストが高く付くといった問
題があるが、無線信号の場合、このような問題を生じる
懸念が無い。
【0040】図10は、警報出力装置62の一例として
の携帯端末63(ここでは携帯電話)を示す。この携帯
端末63は、異常検知信号(ここでは無線信号)を受信
すると、スピーカ64から音声によって警報を出力する
とともに、表示パネル65に、異常検知信号に含まれる
情報に基づいて、異常を検知した該当の歪み検知機能付
き防護柵1の位置を示す情報(位置情報66)と、破壊
レベル67と、応力方向68とを表示する。
【0041】位置情報66は、歪み検知機能付き防護柵
1毎に付した番号であり、この番号表示から、異常が検
知された該当の歪み検知機能付き防護柵1の位置を割り
出すことができる。一つの歪み検知機能付き防護柵1
は、道路3に沿って延在するガードレール4の数十m〜
数百mを利用して組み立てられており、例えば、高速道
路等の長大な道路では、道路に沿って多数の歪み検知機
能付き防護柵1を連続的に組み立てることで、交通事故
等の異常発生を広域にわたって監視することができ、ま
た、異常発生時にその位置を簡単に特定できる。なお、
位置情報66は歪み検知機能付き防護柵1の番号に限定
されず、例えば、住所表示(地番等)、地図画面上での
表示等であっても良い。この位置情報66の出力によっ
て、異常発生が検知された歪み検知機能付き防護柵1の
位置を簡単に把握できるため、救助、救命等のための作
業員の現場への派遣などをより迅速かつ的確に行えるよ
うになる。
【0042】また、破壊レベル67は、プラスチック複
合材10の破壊の程度を4段階で評価したものであり、
検知信号出力部61が、抵抗測定器60によるセンシン
グ回路71〜74の電気抵抗の測定結果に基づいて、異
常が検知されたセンサユニット100に設けられている
プラスチック複合材10の破壊の程度がどの破壊レベル
に属するかを判定し、異常検知信号を構成する情報とし
て出力する。応力方向68は、異常(プラスチック複合
材10の曲げ歪み)が検知されたときに、曲げ歪みが与
えられたプラスチック複合材10の引っ張り側の4本の
センシング回路71〜74の電気抵抗の測定結果から、
曲げに伴うプラスチック複合材10の引っ張り側と圧縮
側とを特定することで、プラスチック複合材10に歪み
を発生させている応力の方向を判定した判定結果であ
る。図10では、具体的には矢印によって表示している
が、応力方向68の表示形態としてはこれに限定され
ず、例えば文字情報による表示等、各種構成が採用可能
である。ここでは、図10の応力方向68の表示は、図
3(b)のプラスチック複合材10での上下左右の導電
性繊維束11の配置に準拠しており、応力方向68を示
す矢印の向きによって上下左右のいずれかが選択的に表
示される。つまり、応力方向68を示す矢印の向きは、
図3(b)において、圧縮側として判定された導電性繊
維束11を矢印の尾側、引っ張り側として判定された導
電性繊維束11を矢印の先端側として、圧縮側から引っ
張り側へ向かうように表示される。なお、破壊レベル及
び応力方向の具体的判定手法については、後で詳述す
る。
【0043】携帯端末63以外の警報出力装置62で
も、検知信号出力部61からの異常検知信号に基づい
て、異常を検知したことを報知するための警報に合わせ
て、異常を検知した歪み検知機能付き防護柵の位置を示
す情報(位置情報)と、破壊レベルと、応力方向とを表
示や音声によって出力する構成を採用する。
【0044】ところで、プラスチック複合材10に曲げ
歪み(湾曲又は屈曲の変形)が与えられた場合、プラス
チック複合材10の湾曲又は屈曲の外周側が引っ張り
側、湾曲又は屈曲の内周側が圧縮側となり、変形の外周
側に配置されている導電性繊維束11には引っ張り力、
変形の内周側に配置されている導電性繊維束11には圧
縮力が作用する。したがい、プラスチック複合材10の
ように、複数本の導電性繊維束を断面周方向に沿った複
数箇所に分散配置して埋設した構成の棒状のプラスチッ
ク複合材では、曲げ歪みが与えられた場合に各導電性繊
維束に与えられる歪みは一様では無い。前述の歪み検知
機能付き防護柵1でも、例えば前述の図2に例示したよ
うな事故による自動車8の車道3a側(一方の領域)か
らの衝突によって、ガードレール4のビーム5が局所的
に歩道3b(他方の領域)へ屈曲変形された場合、4本
の導電性繊維束11に与えられる歪みは一様ではなく、
車道3a側(図3(b)左側)に配置されている導電性
繊維束113には引っ張り力による伸び歪み、歩道3b
側(図3(b)右側)に配置されている導電性繊維束1
14には圧縮力による座屈が生じやすい。
【0045】本発明者等は、プラスチック複合材10に
係る試験片と、比較例の試験片とについて曲げ試験を行
い、歪み、応力の検知感度を比較した。この曲げ試験
は、図11(a)に示すように、棒状の試験片80を、
スパンLを確保して配置した一対の下圧子81、82上
に載置し、試験片80の各下圧子81、82による支持
位置の中間位置を、一定速度で移動させた上圧子83に
よって下方に押圧して試験片80に曲げ歪みを与える3
点曲げであり、試験片80の曲げ歪み、及び、試験片8
0に埋設されている導電性繊維束の電気抵抗を測定し
た。その結果を図12〜図16に示す。なお、導電性繊
維束の抵抗値は、試験片80に埋設されている導電性繊
維束に接続した抵抗測定器60による測定値、試験片8
0の曲げ歪みは、試験片80に取り付けた歪みゲージ8
4の測定データに基づいて算出した計算値である。歪み
ゲージ84は、上圧子83による試験片80の押圧位置
に対向させて試験片80の下面側に取り付けており、こ
の位置の試験片80の伸び歪みを精度良く測定する。
【0046】まず、図11(b)に示す断面構造の試験
片80(比較例。試験片の区別のため符号80aを付
す)と、図11(c)に示す断面構造の試験片80(実
施例。本発明に係るプラスチック複合材10。試験片の
区別のため符号80bを付す)とについて行った曲げ試
験の試験結果の比較を説明する。以下に試験条件を示
す。
【0047】(実施例)試験片80b:本発明に係る前
記プラスチック複合材10を径10mmの断面円形の棒
状に成形したもの。プラスチック材12中に埋設、一体
化されている4本の導電性繊維束11は、それぞれ、連
続する多数本の炭素長繊維を樹脂で一体化して、径1m
mの断面円形ロッド状に形成したもの。また、4本の導
電性繊維束11を、断面円形のプラスチック複合材10
の断面周方向の4箇所に均等配置した配置位置や、プラ
スチック複合材10の外面近傍に埋設、配置された各導
電性繊維束11の外側を覆うプラスチック材12の被り
厚等は、図1(a)、(b)等を参照して先に説明した
通りである。
【0048】(比較例) 試験片80a:径10mmの断面円形棒状のプラスチッ
ク材12の断面中央に導電性繊維束11が1本のみ埋設
されている断面構造。プラスチック材12の材質及び導
電性繊維束11の構成は、実施例の試験片80bと同じ
である。
【0049】試験:図11(a)に示したように、試験
治具を構成する3つの圧子81〜83の間に試験片80
を配置し、3点曲げ試験を行った。上圧子83の移動速
度は1.0mm/minである。試験治具は、JIS
K−7055の曲げ試験に準拠した構成になっており、
圧子81〜83は径5mmの断面円形ロッド状のもので
あり、下圧子81、82間のスパンLは100mmであ
る。比較例の試験片80aの試験結果を図12、実施例
の試験片80bの試験結果を図13に示す。
【0050】但し、図13(図14〜図16でも共通)
では、図11(c)に示すように、4本の導電性繊維束
11が上下左右に配置される向きで試験片80bを、試
験治具にセットしている。図13〜図16のΔR−bo
ttom、ΔR−top、ΔR−front、ΔR−b
ackは、それぞれ、試験片80bの4本の導電性繊維
束11の抵抗増加率(後述)の測定結果を示すものであ
り、ΔR−bottomは図11(c)下側に配置され
た導電性繊維束11(図11(c)中、符号11b)、
ΔR−topは図11(c)上側に配置された導電性繊
維束11(図11(c)中、符号11t)、ΔR−fo
rontは図11(c)中符号「11cf」の導電性繊
維束11、ΔR−backは図11(c)中符号「11
cb」の導電性繊維束11にそれぞれ対応している。
【0051】なお、図12〜図16において、縦軸の曲
げ応力(MPa)は試験片80に作用している曲げ応力
(計算値)である。抵抗増加率ΔR(%)は導電性繊維
束11について抵抗測定器60にて測定された抵抗値の
増加率であり、曲げ荷重を与える前の測定値(抵抗値R
0)と、曲げ荷重を作用によって上昇した測定値(R)
の増加分(R−R0)とから、 抵抗増加率ΔR(%)=(R−R0)/R0 の計算式によって算出したものである。
【0052】図12に示すように、比較例の試験片80
aは曲げ歪みが2.4%で破壊し始めている。導電性繊
維束11の電気抵抗は、曲げ歪み3.2%付近から上昇
しはじめ、試験片80aの破壊がかなり進行した5%付
近で大きく上昇している。
【0053】図13に示すように、本発明に係るプラス
チック複合材10である試験片80bは、曲げ歪みが
2.8%付近で最大強度を示している。また、曲げ歪み
が1.7%付近で、特にΔR−bottom及びΔR−
topに急激な上昇が見られる。但し、複数の試験片8
0bについて同じ条件で試験を行った結果、ΔR−fr
ont及びΔR−backは、試験片80bの曲げ歪み
が1.8%付近で上昇するものとしないものとがあり、
ばらつきがある。ΔR−bottomの上昇は試験片8
0bの引っ張り側の伸び歪みに伴う導電性繊維束11b
の導電性繊維(ここでは炭素繊維)の破断の進行に起因
するものであり、ΔR−topの上昇は試験片80bの
圧縮側の座屈に伴う導電性繊維束11tの導電性繊維
(ここでは炭素繊維)の破断の進行に起因するものであ
り、ΔR−bottom及びΔR−topの同時上昇
は、試験片80bの引っ張り側及び圧縮側の変形が同時
に進行していることを示す。試験片80bの曲げ歪みが
1.7%を超え5.0〜5.4%で試験片80b全体が
折れ曲がる(屈曲)まで、ΔR−bottomのみは曲
げ歪みの増大に伴う継続的な上昇傾向が1.7%付近か
ら4.3%歪み付近まで認められるが、他のΔR−to
p、ΔR−front、ΔR−backには、試験片8
0b全体が折れ曲がってしまう直前まで、継続的な上昇
傾向は見られず、プラスチック複合材10全体が折れ曲
がるような屈曲を開始する頃から破断(抵抗値が無限
大)に至る急激な上昇を開始する。
【0054】次に、実施例の試験片80bについて、圧
子81〜83の断面半径r、下圧子81、82間のスパ
ンLを変更して曲げ試験を行った。その結果を図14〜
図16に示す。図14〜図16では、下圧子81、82
間にスパンL=120mmを確保している。図14〜図
16では使用した圧子81〜83の断面半径rが異な
り、図13は5mm、図15は10mm、図16は20
mmである。下圧子81、82間のスパンL、圧子81
〜83の断面半径rを調整したこと以外の試験条件は、
図13と同様である。
【0055】図13〜図16の結果から、傾向として、
曲げ歪みの増大に伴う抵抗値(抵抗増加率)の上昇はΔ
R−bottomが最も大きく、次いでΔR−topが
大きくなっており、ΔR−front及びΔR−bac
kは試験片80bの破壊が進行して試験片80b全体の
座屈が開始(全ての導電性繊維束11の抵抗増加率が無
限大に至る急激な上昇により非常に大きくなっていると
ころ。概ね4.0%歪み以上。)されるまで、曲げ歪み
の増加に伴う抵抗増加率の上昇の関係が明瞭に現れな
い。また、図13〜図15では、曲げ歪み1.6〜1.
8%でΔR−bottom及びΔR−topに急激な上
昇(該当の同時上昇箇所に符号85を付した。以下「初
期上昇」)が見られるが、図16ではこの曲げ歪みの領
域でΔR−bottomのみに急激な上昇(図16中、
この急激な上昇を示す箇所に符号85aを付した)が見
られ、ΔR−topのはっきりとした上昇傾向は曲げ歪
みが3.0%付近に達するまで認められない。
【0056】図13〜図15にて前記初期上昇85が確
認されたところで試験を中断し、試験片80bを確認し
たところ、試験片80b上部の上圧子83との接触部分
に局所的な破壊が認められ、一方、図16の試験にてΔ
R−bottomのみの急激な上昇85aが確認された
試験片80bでは上圧子83との接触部分の局所的な破
壊はきわめて小さいものであった。このことから、前述
の初期上昇85は、試験片80b上部の上圧子83と点
接触されている部分付近の応力集中による局所的な破壊
に起因するものと考えられる。図13〜図15の試験条
件にて複数の試験片80bについて試験を行った結果、
前述の初期上昇85が見られない場合もあり、また、初
期上昇85時のΔR−topの値にもばらつきが大き
い。断面半径rの小さい圧子81〜83を用いた場合に
は初期上昇85の発現頻度が高く、断面半径rの大きい
圧子81〜83を用いた場合には初期上昇85の発現頻
度が低くなる。初期上昇85が発現しない場合は、図1
6に示すように、ΔR−bottomのみに急激な上昇
が確認される。
【0057】図13〜図16の結果、曲げ歪みに対して
試験片80bの引っ張り側の破壊が、他の箇所に比べて
先行して進行していくことが明瞭に判る。したがい、プ
ラスチック複合材10の4本の導電性繊維束11の内の
1本のみに抵抗値の上昇が検知された場合、プラスチッ
ク複合材10において該導電性繊維束11が埋設されて
いる側を引っ張り側、プラスチック複合材10の断面中
央を介して前記導電性繊維束11と対向する側を圧縮側
とする曲げ歪みがプラスチック複合材10に作用してい
ることが判る。つまり、4本の導電性繊維束11につい
て抵抗値の分布を把握することで、プラスチック複合材
10に生じた歪みの方向や、作用している応力の方向を
も検知することが可能であり、これら歪みや応力の方向
から、これら歪みや応力の原因となっている荷重の向き
も把握できる。
【0058】また、比較例(図12)と実施例(図13
〜図16)の試験結果の比較から、実施例のプラスチッ
ク複合材10は、比較例のように導電性繊維束の埋設位
置が断面中央部であるプラスチック複合材に比べて、プ
ラスチック複合材全体の曲げ歪みが小さい段階から引っ
張り側の導電性繊維束11に抵抗値の上昇が確認される
ことが明らかであり、感度が非常に敏感であると言え
る。したがい、この引っ張り側の導電性繊維束11に測
定される抵抗値の上昇の検知によって、プラスチック複
合材10の曲げ歪みの検知感度を向上させることができ
る。歪み検知機能付き防護柵1の検知信号出力部61で
は、センサユニット100の4本のセンシング回路71
〜74のそれぞれについて、引っ張り側の導電性繊維束
11(センシング回路)として抵抗値の上昇傾向が顕在
化するところに閾値を定めておき、センシング回路71
〜74のいずれかの電気抵抗の測定値(抵抗値)が前記
閾値を超えたところで、センサユニット100を構成す
るプラスチック複合材10に生じた歪みを検知したもの
として異常検知信号を出力するようにする。これによ
り、比較例のプラスチック複合材85aに比べてプラス
チック複合材10の歪みをより敏感に検知することがで
きる。
【0059】さらに、引っ張り側、圧縮側の導電性繊維
束11の電気抵抗の測定値に基づいて、その比較から、
プラスチック複合材10の変形や破壊の状況を割り出す
ことも可能である。つまり、前述の曲げ試験の結果(図
13〜図16)、プラスチック複合材10が曲げ歪みの
増大に伴って破壊していく過程で、引っ張り側、圧縮側
の導電性繊維束11の電気抵抗の測定値の関係が以下の
ような4段階で変化することに着目して、引っ張り側、
圧縮側の導電性繊維束11の電気抵抗の測定値の比較か
ら、プラスチック複合材10の変形や破壊の状況を割り
出すことができる。前述の4段階とは以下の通りであ
る。 (1)引っ張り側、圧縮側の導電性繊維束11のいずれ
も破断前であり、しかも、引っ張り側の導電性繊維束1
1の抵抗値のみが曲げ歪みの増大に伴って上昇する第1
段階。 (2)引っ張り側、圧縮側の導電性繊維束11のいずれ
も破断前であり、しかも、引っ張り側及び圧縮側の導電
性繊維束11の抵抗値が曲げ歪みの増大に伴って上昇す
る第2段階。 (3)引っ張り側の導電性繊維束11のみが破断に至っ
ており、圧縮側の導電性繊維束11の抵抗値が前記曲げ
歪みの増大に伴って上昇する第3段階。 (4)引っ張り側及び圧縮側の導電性繊維束11が破断
に至っており、プラスチック複合材10も折れ曲がるよ
うにして座屈している第4段階。
【0060】以下、プラスチック複合材10が曲げ歪み
の増大に伴って破壊していく過程での、引っ張り側、圧
縮側の導電性繊維束11の電気抵抗の測定値の関係の変
化をやや詳しく説明する。図13〜図16から判るよう
に、プラスチック複合材10に曲げ歪みが与えられる
と、まず、引っ張り側の導電性繊維束11の抵抗値が前
記曲げ歪みの増大に伴ってプラスチック複合材の応力
(MPa)が最大となるところまで上昇を継続する。こ
こで、圧縮側の導電性繊維束11の抵抗値については前
述の初期上昇85が発生する場合があるものの、曲げ歪
みの増大に伴う継続的な上昇傾向は見られない。最大応
力付近、詳細には曲げ歪みが最大応力を発生するあたり
或いはそれよりもやや大きいところでは、プラスチック
複合材10の破壊開始によって、曲げ歪みの増大に伴う
引っ張り側の導電性繊維束11の抵抗値の継続的な上昇
は一旦停止状態となる(抵抗値が不安定になる場合があ
る)が、その後、プラスチック複合材10の曲げ歪みの
さらなる増大によって応力が下降を開始し、プラスチッ
ク複合材10の破壊が顕在化してくると、この導電性繊
維束11の抵抗値が急激な上昇を開始し、無限大(破
断)に至る(図13〜図16では曲げ歪みが3.8〜
4.2%程度)。一方、圧縮側の導電性繊維束11の抵
抗値は、プラスチック複合材の応力(MPa)が最大と
なった後、引っ張り側の導電性繊維束11が破断する前
に、曲げ歪みが最大応力を発生するあたり或いはそれよ
りもやや大きいところから上昇を開始し、曲げ歪みの増
大に伴って上昇していく上昇傾向が、引っ張り側の導電
性繊維束11が破断した後も暫く継続される。そして、
圧縮側の導電性繊維束11の抵抗値は、引っ張り側の導
電性繊維束11が破断した後、さらなる曲げ歪みの増大
によってプラスチック複合材10の破壊(応力の低下)
が進行することで、上昇が急激になり無限大(破断)に
至る。
【0061】前述の第1〜第4段階は曲げ歪みの値の領
域によって区分けすることができる。引っ張り側の導電
性繊維束11の抵抗値の上昇開始から圧縮側の導電性繊
維束11の抵抗値の上昇が開始されるまでが第1段階の
曲げ歪みの領域(第1領域ε1)であり、圧縮側の導電
性繊維束11の抵抗値の上昇開始から引っ張り側の導電
性繊維束11の破断前までが第2段階の曲げ歪みの領域
(第2領域ε2)であり、引っ張り側の導電性繊維束1
1の破断から圧縮側の導電性繊維束11の破断前までが
第3段階の曲げ歪みの領域(第3領域ε3)であり、圧
縮側の導電性繊維束11の破断後が第4段階の曲げ歪み
の領域(第4領域ε4)である。なお、第1〜第4領域
ε1〜ε4の具体例を図16に記載した。
【0062】第1〜第4の各段階の曲げ歪みの領域(第
1〜第4領域ε1〜ε4)に対応するプラスチック複合
材10の変形や破壊の状況は以下の通りである。第1段
階の領域の曲げ歪み(第1領域ε1)では、プラスチッ
ク複合材10の破壊は微小又は破壊が無い。第2段階の
領域の曲げ歪み(第2領域ε2)では、プラスチック複
合材10の座屈破壊が進行し始める。第3段階の領域の
曲げ歪み(第3領域ε3)では、プラスチック複合材1
0の引っ張り側の破壊が進行しており、第4段階の領域
の曲げ歪み(第4領域ε4)では、プラスチック複合材
10全体を折り曲げたような座屈破壊を生じている。
【0063】引っ張り側、圧縮側の導電性繊維束11の
電気抵抗の測定値の関係から、プラスチック複合材10
に生じている曲げ歪みが第1〜第4領域ε1〜ε4のど
れに該当するかを特定できれば、上述したように第1〜
第4領域ε1〜ε4とプラスチック複合材10の変形、
破壊状況との対応関係により、プラスチック複合材10
の変形、破壊状況を割り出すことができる。これによ
り、プラスチック複合材10の破壊の程度や、プラスチ
ック複合材10を設置した構造物の変形や破壊の程度等
を、直接、プラスチック複合材10を観察しなくても把
握することが可能となる。
【0064】本発明に係る歪み検知機能付き防護柵1の
検知信号出力部61は、抵抗測定器60が4本のセンシ
ング回路71〜74についてそれぞれ測定した抵抗値の
測定結果に基づいて、プラスチック複合材10の破壊状
況が、前述の曲げ歪みの第1〜第4領域ε1〜ε4に対
応する4段階の破壊レベル1〜4のどれに属するかを判
定し、異常検知信号の構成情報として出力するようにな
っている。 (破壊レベル1)引っ張り側及び圧縮側の導電性繊維束
11のいずれも破断前であり、かつ、引っ張り側の導電
性繊維束11にのみ抵抗値の増大が検知されれば、プラ
スチック複合材11に生じている曲げ歪みは第1領域ε
1であり、プラスチック複合材10の破壊は微小又は破
壊が無い。 (破壊レベル2)引っ張り側及び圧縮側の導電性繊維束
11のいずれも破断前であり、かつ、引っ張り側及び圧
縮側の両方の導電性繊維束11に抵抗値の増大が検知さ
れれば、プラスチック複合材11に生じている曲げ歪み
は第2領域ε2であり、プラスチック複合材10の座屈
破壊が進行し始めていることが想定される。 (破壊レベル3)引っ張り側の導電性繊維束11が破断
されており、しかも圧縮側の導電性繊維束11に抵抗値
の増大(ここでの抵抗値は破断時の値よりも小さい値)
が検知されれば、プラスチック複合材11に生じている
曲げ歪みは第3領域ε3であり、プラスチック複合材1
0の引っ張り側の破壊が進行していることが想定され
る。 (破壊レベル4)引っ張り側及び圧縮側の導電性繊維束
11の破断が検知されれば、プラスチック複合材11に
生じている曲げ歪みは第4領域ε4であり、プラスチッ
ク複合材10全体を折り曲げたような座屈破壊を生じて
いることが想定される。
【0065】したがい、本発明に係る異常検知システム
2によれば、異常発生箇所から離れたところでも、検知
信号出力部61での破壊レベル1〜4の判定結果から防
護柵の変形状況、破壊状況を知ることができ、例えば、
図2に例示した交通事故の場合、事故の規模等を知るこ
とができる。また、例えば、破壊レベルが3又は4の場
合には防護柵の破壊が比較的大きく、交通の障害になっ
ている可能性があるなど、防護柵の応急補修の要否等が
判るため、警報出力装置62によって破壊レベル3又は
4が報知されたことに基づいて防護柵の補修用機器を準
備して異常発生現場に持ち込むことで、防護柵の補修を
迅速に行えるといった利点もある。
【0066】ガードレール4を利用して組み立てられた
歪み検知機能付き防護柵1並びに異常検知システム2の
場合、前述のような自動車8の衝突による車道3a側か
ら歩道3b側へのビーム5の局所的な変形の検知に限定
されず、例えば、倒木やトラック上からの積み荷の落下
等によってビーム5が局所的に下押しされて変形したこ
とも検知できる。この場合、図3(b)において、プラ
スチック複合材10の曲げ歪みによって、下側の導電性
繊維束111が引っ張り側、上側の導電性繊維束112
が圧縮側となるため、この一対の導電性繊維束111、
112に係るセンシング回路71、72の電気抵抗の測
定結果の比較(電気抵抗の増加量の比較、増加率の比較
等)から、破壊レベルを判定できる。
【0067】検知信号出力部61は、異常(プラスチッ
ク複合材10の曲げ歪み)を検出した際に、4本のセン
シング回路71〜74の電気抵抗の比較から、曲げ歪み
によるプラスチック複合材10の引っ張り側に位置する
導電性繊維束11と、圧縮側に位置する導電性繊維束1
1とを特定し、プラスチック複合材10の曲げ歪みの原
因になっている応力の方向を判定する。つまり、図13
〜図16に示すように、プラスチック複合材10の引っ
張り側に位置する導電性繊維束11は、抵抗値の上昇傾
向が最も早く現れ、破壊、破断も最も早いことから、破
壊レベル1、2では抵抗値増大率(または増加量)が最
も大きいセンシング回路、破壊レベル3では破断(抵抗
値が無限大或いは無限大に至る大幅上昇が観測される)
が観測されているセンシング回路を引っ張り側と判定
し、プラスチック複合材10の断面中央部を介して引っ
張り側の導電性繊維束11に対向する導電性繊維束11
に係るセンシング回路を圧縮側と判定する。判定された
応力方向は、前述のように、例えば図10の矢印(応力
方向68)による表示等によって出力、報知される。但
し、破壊レベル4では、全てのセンシング回路71〜7
4の抵抗値が無限大になってしまい、応力方向を特定で
きないため、応力方向の出力は無い。
【0068】さらに、この歪み検知機能付き防護柵1
は、道路3に立設されたガードレール4の変形及び応力
方向の検知によって、例えば地盤沈下による道路3の局
所的な破壊の検知や、大規模地震の発生による道路3の
破壊状況等の把握等にも利用することができる。つま
り、地盤沈下や地震等によって道路3が変形や破壊を受
けたときに、道路3と一体的にガードレール4も変形や
破壊を受けることで、センシング回路71〜74の電気
抵抗の増大から道路3の変形、破壊を検知でき、変形や
破壊の状況の概略も把握できる。大規模地震の発生時等
では、異常が検知されていない道路3を把握すること
で、避難路の設定や、救援物資の搬送路の確保等に役立
てることができる。
【0069】(第2実施形態)次ぎに本発明の第2実施
形態を説明する。図17、図18(a)、(b)に示す
ように、本実施形態の歪み検知機能付き防護柵40は、
道路41横や道路41近傍に存在する地山T斜面上に立
設されて地山T斜面から崩落した土砂T1や雪塊や岩石
(落石T2)の道路41(他方の領域)への流入を防止
する防護柵42を利用して組み立てたものであり、防護
柵42と、この防護柵42に取り付けた複数本のプラス
チック複合材10によって構成されたセンサユニット4
3と、このセンサユニット43の両端にて該センサユニ
ット43のセンシング回路71〜74と接続された抵抗
測定器60と、この抵抗測定器60に接続された検知信
号出力部61(図17では検知信号出力部の図示を省略
している)とを有して構成されている。
【0070】図18(a)、(b)に示すように、前記
防護柵42は、地盤に立設された複数本の支柱44によ
って、横方向に延在する細長形状の防護横材45を複数
本上下に配列状態に支持して、地山T斜面の勾配(図1
8(b)矢印P)に直交するようにして立設する壁状に
構成されており、上下に連設された複数本の防護横材4
5によって、支柱44の地山T斜面上流側(図18
(b)右上側。一方の領域)からの崩落土砂T1や雪
塊、落石T2等を受ける受圧面46を形成している。各
防護横材45には、その長手方向に沿わせるようにして
棒状のプラスチック複合材10が固定されている。この
防護柵42に設けられた各プラスチック複合材10は、
上下方向に隣り合うプラスチック複合材10間で4本の
導電性繊維束11同士を電気導通可能に接続して、複数
本のプラスチック複合材10を電気的に直列に接続して
なるセンサユニット43を構成している。センサユニッ
ト43を構成する各プラスチック複合材10は、図19
に示すように、2対、合計4本の導電性繊維束11の
内、地山T斜面の勾配Pに沿った方向に1対の導電性繊
維束11が対向配置され、前記勾配Pに垂直の方向に別
の一対の導電性繊維束11が対向配置されている。この
センサユニット43は、各プラスチック複合材10の4
本の4本の導電性繊維束11同士の接続によって形成さ
れた4本のセンシング回路71〜74を有している。な
お、プラスチック複合材10間での4本の導電性繊維束
11同士の接続には、ここでは、前述図6〜図8に例示
した電気接続部品20を採用しているが、電気接続部品
としては、後述のようにセンサユニット43の各センシ
ング回路71〜74の配置を一定に維持する接続を簡単
に実現できるものであれば良く、電気接続部品20以外
の構成も採用可能である。
【0071】センサユニット43を構成する各プラスチ
ック複合材10でのセンシング回路の配置位置は一定に
なっており、つまり、センシング回路71は各プラスチ
ック複合材10間にて勾配下流側の導電性繊維束11
(図19中11P1)同士を接続したものであり、セン
シング回路72は勾配上流側の導電性繊維束11(図1
9中11P2)同士を接続したものであり、センシング
回路73は下側の導電性繊維束11(図19中11P
3)同士を接続したものであり、センシング回路74は
上側の導電性繊維束11(図19中11P4)同士を接
続したものである。
【0072】各センシング回路71〜74は、センサユ
ニット43の両端での導電性繊維束11と抵抗測定器6
0との接続によって、抵抗測定器60に個別に接続さ
れ、個別に電気抵抗が測定される。また、抵抗測定器6
0に接続された検知信号出力部61は、抵抗測定器60
での各センシング回路71〜74の電気抵抗の測定結果
に基づいて異常(防護柵42の変形)が検知されたとき
に、異常検知信号を出力する。
【0073】ここで、図17に示すように、地山T斜面
には、複数の歪み検知機能付き防護柵40が勾配上下に
多段に立設されている。また、図17等では明示してい
ないが、歪み検知機能付き防護柵40は、道路41の延
在方向に沿った方向にも連設されている。各歪み検知機
能付き防護柵40は、所定の連絡先に設置された警報出
力装置(図示略)とともに異常検知システムを構成して
おり、検知信号出力部61から出力した異常検知信号に
基づいて警報出力装置からパネル表示や音声等によって
出力した警報によって、異常検知を報知する。警報出力
装置の設置場所は、道路管理事務所や警察署、消防署の
ほか、地山斜面下に通じる道路に設置されて自動車の運
転者に危険を連絡する防災連絡用表示パネルや、地山斜
面の下方に位置する住宅地に設置された防災放送用施設
等であっても良い。警報出力装置から出力される警報に
は、異常を検知した歪み検知機能付き防護柵40の位置
情報、破壊レベル、応力方向等の情報が含まれているこ
とが好ましい。破壊レベル、応力方向は、抵抗測定器6
0での各センシング回路71〜74の電気抵抗の測定結
果に基づく検知信号出力部61での判定結果を、検知信
号出力部61からの異常検知信号の情報の一部として警
報出力装置に出力したものである。検知信号出力部61
での破壊レベル、応力方向の判定手法は、前述の第1実
施形態にて説明したものと同様である。
【0074】各プラスチック複合材10は、防護横材4
5と一体的に変形するように固定されており、地山T斜
面上流側から崩落した土砂T1や雪塊、落石T2等が防
護柵42によって防護柵42が押圧され、この押圧力に
よって防護横材45に変形されると、防護横材45と一
体的に変形するようになっている。このとき、曲げ歪み
を生じたプラスチック複合材10において、勾配下流側
の導電性繊維束11P1が引っ張り側、勾配上流側の導
電性繊維束11P2が圧縮側となり、センシング回路7
1、72の電気抵抗の測定値の比較によって、防護横材
45の変形に伴うプラスチック複合材10の変形の検知
とともに、その破壊レベル、応力方向をも検知すること
ができる。また、この歪み検知機能付き防護柵40によ
れば、動物が軽く接触した程度では、プラスチック複合
材10に曲げ歪みが与えられないので、誤検知を防止で
きる利点がある。また、図示を略しているが、防護柵4
2には各プラスチック複合材10を受圧面46側から覆
うカバーを設けて、地山T斜面から落下した小石の衝突
等によるプラスチック複合材10の破損を防止すること
が好ましい。
【0075】また、図17に例示したように、この歪み
検知機能付き防護柵40を、地山T斜面に沿ってその上
下に多段に連設した構成では、異常を検知した歪み検知
機能付き防護柵40の位置から、地山T斜面上方から崩
落した土砂や雪塊、落石の下方への到達位置も把握でき
るといった利点もある。
【0076】ところで、このプラスチック複合材10
は、導電性繊維束11を通電によって発熱させることが
できることから、発熱体としても利用できる。例えば、
図17、図18(a)、(b)に例示した歪み検知機能
付き防護柵40を雪止め柵として機能させた場合、崩落
した雪塊の落下を防ぐ防護柵としての機能と、雪塊の崩
落を検知するセンサ体としての機能を兼ねる上、雪塊を
融解させる融雪体としても機能させることができる。
【0077】図20(a)〜(e)、図21(a)〜
(e)は、本発明に係るプラスチック複合材の断面構造
の例を示す。ここに例示したプラスチック複合材は全て
断面円形になっている。図20(a)〜(e)は、この
プラスチック複合材の断面外周部(側面近傍)に導電性
繊維束11を配置してプラスチック材12に埋設した例
であり、(a)は8本の導電性繊維束11を断面周方向
の複数箇所にほぼ均等に分散配置した例、(b)は前述
の図1(b)等に例示したプラスチック複合材10の断
面である。(c)は3本の導電性繊維束11を断面周方
向の複数箇所にほぼ均等に分散配置した例、(d)は2
本の導電性繊維束11を断面径方向に対向配置した例、
(e)は1本の導電性繊維束11をプラスチック複合材
の断面外周部(側面近傍)に配置した例である。図21
(a)〜(e)は、このプラスチック複合材の断面の中
心から外周に向かって半径の二分の一の位置(図21
(a)〜(e)中の仮想線18)に導電性繊維束11を
配置してプラスチック材12に埋設した例であり、
(a)は8本の導電性繊維束11を断面周方向の複数箇
所にほぼ均等に分散配置した例、(b)は4本の導電性
繊維束11を断面周方向の複数箇所にほぼ均等に分散配
置した例、(c)は3本の導電性繊維束11を断面周方
向の複数箇所にほぼ均等に分散配置した例、(d)は2
本の導電性繊維束11を断面径方向に対向配置した例、
(e)は導電性繊維束11を1本のみ配置した例であ
る。
【0078】ここで、図20(a)、(b)、図21
(a)、(b)に示す断面構造では、検知しようとする
歪みや応力に対する方向性が殆ど無いため、各種方向の
曲げ歪み、曲げ応力に対応して検知が可能である。ま
た、この断面構造のプラスチック複合材では、導電性繊
維束11の抵抗値の増大によって曲げ歪みの発生が検知
されたときに、各導電性繊維束11の抵抗値を比較し
て、抵抗値の増加が大きい導電性繊維束11の分布、位
置を把握することで、歪み、応力の方向をより詳細かつ
正確に把握、判定できるといった利点もある。
【0079】図20(c)〜(e)、図21(c)〜
(e)の断面構造のプラスチック複合材は、歪みや応力
の検知感度の方向性が強いことから、特定の方向の歪み
や応力の検知に適しており、検知しようとする特定方向
以外の歪みや応力を誤検知しにくいといった利点があ
る。このプラスチック複合材は、施工にあたって、検知
しようとする歪みや応力の向きに対応して、プラスチッ
ク複合材に曲げ歪みが与えられたときに引っ張り側とな
る位置に導電性繊維束11が配置される向きで設置す
る。つまり、図20(c)、(d)、図21(c)、
(d)の断面構造のプラスチック複合材は、複数本の導
電性繊維束11の内の一本が引っ張り側となる向きで設
置する。図20(e)、図21(e)の断面構造のプラ
スチック複合材は、プラスチック材に埋設されている1
本の導電性繊維束11が引っ張り側となる向きで設置す
る。
【0080】図20(a)〜(e)に例示した断面構造
の方が、図21(a)〜(e)に例示した断面構造に比
べて、導電性繊維束11の埋設位置がプラスチック複合
材の断面中心からの離間距離を大きく確保できる。然る
に、プラスチック複合材に曲げ歪みが与えられた場合に
は、図20(a)〜(e)に例示した断面構造の方が、
図21(a)〜(e)に例示した断面構造に比べて、引
っ張り側の導電性繊維束11に効率良く歪みが与えられ
ることとなり、前記曲げ歪みをより敏感に検知できる。
また、導電性繊維束11が複数本埋設されている図20
(a)〜(d)と図21(a)〜(d)との対比では、
図20(a)〜(d)の断面構造の方が、曲げ歪みが与
えられたプラスチック複合材の引っ張り側の導電性繊維
束と圧縮側の導電性繊維束との間の距離をより大きく確
保できるため、プラスチック複合材に曲げ歪みが生じた
ときの引っ張り側と圧縮側とで導電性繊維束の抵抗値の
違いがより明瞭に現れるようになり、プラスチック複合
材の歪みや応力の方向の検知をより確実に行えるように
なる。
【0081】なお、本発明は、前記実施の形態に限定さ
れず、各種変更が可能であることは言うまでも無い。例
えば、プラスチック複合材の断面構造は、前述の図20
(a)〜(e)並びに図21(a)〜(e)に例示した
ものに限定されず、他の構成も採用可能である。また、
プラスチック複合材の断面形状(断面外形)は円形に限
定されず、例えば、正方形や正六角形等の正多角形、楕
円形、長方形等も採用可能である。
【0082】本発明に係る歪み検知機能付き防護柵及び
異常検知システムの適用対象としては、前述のガードレ
ールや、崩落土砂、雪塊、落石防護用の防護柵に限定さ
れず、例えば牧場等に設置される牧柵、道路に沿って設
置される防風柵、防雪柵等が採用可能であり、幅広く適
用できる。また、前記実施の形態の図1等(ガードレー
ルへの適用例)では複数本のプラスチック複合材を一次
元的に連結した構成、図11、図12(a)、(b)等
では複数本のプラスチック複合材を二次元的に連結した
構成を例示したが、複数本のプラスチック複合材の一次
元的連結、二次元的連結の形態は図示したものに限定さ
れず、これら一次元的連結と二次元的連結とを組み合わ
せた構成等、各種採用可能である。
【0083】通電用端子部としては、プラスチック材の
長手方向の端面に形成した導電層に限定されず、例え
ば、プラスチック材の長手方向端面に突出させた導電性
繊維束自体、導電性繊維束先端に接続されたピン端子、
プラスチック材の長手方向端面から窪んだ凹所内に露出
された導電性繊維束先端等、各種構成が採用可能であ
る。通電用端子部に接続するコネクタ等も、この通電用
端子部の具体的構成に対応して電気導通可能に接続でき
る構成のものを採用することは言うまでも無い。
【0084】
【発明の効果】本発明に係る歪み検知機能付き防護柵及
び異常検知システムでは、棒状の導電性繊維束含有プラ
スチック複合材(以下、「プラスチック複合材」と称す
る場合がある)が曲げ変形を受けたとき、導電性繊維束
の電気抵抗の増大を検知することで、プラスチック複合
材に生じた歪みを敏感に検知できることを利用して、防
護柵に生じた歪み、変形、破壊等を検知できる。特に、
導電性繊維束がプラスチック材の断面中央部を避けて外
側にずらされている断面構造のプラスチック複合材の採
用によって、優れた歪み検知感度が得られるから、防護
柵が破壊していなくても、その歪みをも精度良く検知で
き、防護柵に作用している応力の検知も可能である。
【0085】複数本(例えば4本)の導電性繊維束が断
面周方向に分散配置されている構成(請求項2、3)の
プラスチック複合材を採用した場合では、各導電性繊維
束の電気抵抗の分布から、歪みや応力の方向性をも検知
できる。しかも、曲げ歪みを生じたプラスチック複合材
(プラスチック材)の引っ張り側と圧縮側とに位置する
導電性繊維束の電気抵抗の測定値を比較することで、プ
ラスチック複合材に生じた曲げ歪みの大きさや応力の大
きさを概略把握できることから、防護柵の変形状況や破
壊状況も概略把握でき、これによって、防護柵の変形状
況や破壊状況から、発生した事故の規模、地山斜面で生
じた土砂や雪塊の崩落の規模等、事故や災害の発生現場
の概略の状況把握等が可能である。
【0086】プラスチック複合材は、導電性繊維束がプ
ラスチック材の補強材として機能する上、別途の補強繊
維束の埋設(請求項4)等によって、充分な強度を確保
できる。そのため、このプラスチック複合材自体を補強
材として用いることも可能である。
【0087】防護柵にプラスチック複合材を複数本設置
する場合は、プラスチック複合材間にて導電性繊維束同
士を電気導通可能に接続して複数本のプラスチック複合
材を直列に接続してなるセンサユニットを構成し、この
センサユニットの両端にて導電性繊維束と抵抗測定器と
を接続する構成(請求項5)を採用することで、一つの
抵抗測定器を介して、防護柵の歪みや変形等の監視をよ
り広い範囲にわたって行うことができる。
【0088】本発明に係る異常検知システム(請求項
6)によれば、導電性繊維束の電気抵抗の増大が検知さ
れたときに、検知信号送信部からの異常検知信号の送信
によって、所定の通報先に異常発生が通報され、警報出
力手段が、異常検知信号の受信に基づいて警報を出力し
て、異常発生を報知する。また、この警報に合わせて、
前記異常検知信号を出力した検知信号出力部が設けられ
ている防護柵の位置情報も出力する。これにより、異常
発生箇所の位置が判明するため、被害の拡大防止、救
命、防災、補修、復旧の迅速化等に役立てることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の歪み検知機能付き防
護柵を示す図であって、歪み検知機能付き防護柵を構成
するガードレールが設けられた道路を示す横断面図であ
る。
【図2】 図1の平面図である。
【図3】 図1の歪み検知機能付き防護柵を構成する防
護柵としてのガードレールを示す図であって、(a)は
ビームの裏面側のカバーを取り外した状態を示す拡大斜
視図、(b)は(a)のビーム上部での導電性繊維束含
有プラスチック複合材の固定状態を示す断面図である。
【図4】 本発明に係る歪み検知機能付き防護柵及び異
常検知システムの構成の概略を示す正面図である。
【図5】 図1の歪み検知機能付き防護柵を構成する導
電性繊維束含有プラスチック複合材(以下「プラスチッ
ク複合材」略称する場合がある)を示す図であって、
(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面矢視図
である。
【図6】 図5のプラスチック複合材の長手方向端部の
ネジ部に螺着可能な構成のコネクタを有する電気接続部
品を示す斜視図である。
【図7】 (a)〜(c)は、図6の電気接続部品の構
成を示す断面図であって、(a)はプラスチック複合材
の通電端子部とコネクタとの接続前、(b)は接続状
態、(c)は一対のプラスチック複合材間を接続した状
態を示す。
【図8】 図2の電気接続部品の可動端子部を示す斜視
図である。
【図9】 図1の歪み検知機能付き防護柵を模式的に示
す図であって、特に、センサユニットの複数本のプラス
チック複合材間にて導電性繊維束同士を電気導通可能に
接続して形成された複数本のセンシング回路を示す。
【図10】 本発明の異常検知システムを構成する警報
出力装置の一例として携帯端末(携帯電話)を示す正面
図である。
【図11】 プラスチック複合材の曲げ試験を示す図で
あって、(a)は試験治具でのプラスチック複合材の設
置状態、(b)〜(c)は試験片のプラスチック複合材
の断面構造を示す図である。
【図12】 図11の曲げ試験における比較例の試験片
の試験結果を示すグラフである。
【図13】 図11の曲げ試験における実施例の試験片
の試験結果を示すグラフである。
【図14】 図11の曲げ試験における実施例の試験片
の試験結果を示すグラフであり、下圧子間のスパンLを
変更した場合を示す。
【図15】 図11の曲げ試験における実施例の試験片
の試験結果を示すグラフであり、下圧子間のスパンLと
圧子断面半径とを変更した場合を示す。
【図16】 図11の曲げ試験における実施例の試験片
の試験結果を示すグラフであり、下圧子間のスパンLと
圧子断面半径とを変更した場合を示す。
【図17】 本発明の第2実施形態の歪み検知機能付き
防護柵を示す図であって、地山斜面から崩落した土砂、
雪塊、落石等から道路を保護する防護柵としての適用例
を示す図である。
【図18】 図17の歪み検知機能付き防護柵を示す図
であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図19】 図17の歪み検知機能付き防護柵に設けら
れているプラスチック複合材付近を示す側断面図であ
る。
【図20】 (a)〜(e)は、本発明に係るプラスチ
ック複合材の断面構造の別態様を示す断面図である。
【図21】 (a)〜(e)は、本発明に係るプラスチ
ック複合材の断面構造の別態様を示す断面図であり、特
に、断面中心から該プラスチック複合材の半径の二分の
一の位置に導電性繊維束を配置した例を示す。
【符号の説明】
1…歪み検知機能付き防護柵、2…異常検知システム、
3a…一方の領域(車道)、3b…他方の領域(歩
道)、4…防護柵、10…導電性繊維束含有プラスチッ
ク複合材、11,111〜114,11b,11t,1
1cf,11cb,11P1,11P2,11P3,1
1P4…導電性繊維束(炭素繊維束)、12…プラスチ
ック材、13…強化繊維束(ガラス繊維)14…通電用
端子部、40…歪み検知機能付き防護柵、42…防護
柵、43…センサユニット、60…抵抗測定器、61…
検知信号出力部、62…警報出力装置、63…警報出力
装置(携帯端末、携帯電話)、66…位置情報。
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月7日(2001.12.
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
発明は、地盤或いは構造物に立設された防護柵と、この
防護柵に1本又は複数本設けられ該防護柵の変形に伴い
一体的に変形する棒状の導電性繊維束含有プラスチック
複合材と、この導電性繊維束含有プラスチック複合材の
導電性繊維束の電気抵抗を測定する抵抗測定器と、この
抵抗測定器と接続され、該抵抗測定器によって前記導電
性繊維束の電気抵抗の増大が測定されたときに異常検知
信号を出力する検知信号出力部とを有し、前記導電性繊
維束含有プラスチック複合材は、1本又は複数本の前記
導電性繊維束が棒状のプラスチック材に該プラスチック
材の長手方向と並行させて埋設、一体化され、しかも前
記導電性繊維束が前記プラスチック材の長手方向に直交
する断面の中央部を避けて外側にずらされた位置に配置
されていることを特徴とする歪み検知機能付き防護柵を
前記課題の解決手段とした。請求項2記載の発明は、請
求項1記載の歪み検知機能付き防護柵において、前記導
電性繊維束含有プラスチック複合材は、導電性繊維束
が、前記プラスチック材の長手方向に直交する断面の周
方向のほぼ均等に分散された4カ所に配置されている断
面構造になっていることを特徴とする。請求項3記載の
発明は、請求項1又は2記載の歪み検知機能付き防護柵
において、プラスチック材の長手方向に直交する断面の
中央部を介して両側に対向配置された導電性繊維束の対
を有する前記導電性繊維束含有プラスチック複合材が、
前記対を構成する導電性繊維束の内の一方を、前記防護
柵によって仕切られた一方の領域の側、前記導電性繊維
束を前記防護柵によって仕切られた他方の領域の側とな
るようにして前記防護柵に設けられていることを特徴と
する。請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか
に記載の歪み検知機能付き防護柵において、前記導電性
繊維束含有プラスチック複合材のプラスチック材には、
前記導電性繊維束に加えて、該導電性繊維束よりも伸び
率が大きい強化繊維束が前記導電性繊維束にほぼ沿って
延在させて埋設されていることを特徴とする。請求項5
記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の歪み検
知機能付き防護柵において、前記防護柵に設けられた複
数本の導電性繊維束含有プラスチック複合材によって、
該導電性繊維束含有プラスチック複合材間にて導電性繊
維束同士を電気導通可能に接続して複数本の導電性繊維
束含有プラスチック複合材を直列に接続してなるセンサ
ユニットが構成され、このセンサユニットの両端にて導
電性繊維束と抵抗測定器とが接続されていることを特徴
とする。請求項6記載の発明の異常検知システムは、請
求項1〜5のいずれかに記載の歪み検知機能付き防護柵
と、この歪み検知機能付き防護柵の検知信号出力部から
出力された異常検知信号を受信したときに警報を出力す
るとともに、前記異常検知信号に含まれる情報から前記
異常検知信号を出力した検知信号出力部が設けられてい
る歪み検知機能付き防護柵の位置情報を出力する警報出
力装置とを有することを特徴とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01L 1/20 G08G 1/00 J 5C086 5/00 E01F 15/00 101 5H180 G08B 21/00 G01B 7/18 G G08G 1/00 (72)発明者 山口 哲生 神奈川県横浜市都筑区中川中央1−5−9 −1002 Fターム(参考) 2D001 PA05 PA06 PF11 2D101 CA06 CB00 EA02 FA11 FA22 GA32 2F051 AA06 AB07 BA07 2F063 AA25 BA30 DA02 DA05 EC01 EC07 ZA01 2F076 BA13 BB08 BD10 BE02 BE09 5C086 AA14 AA34 BA30 CA04 DA01 DA14 5H180 AA01 BB04 BB05 CC23 EE15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤或いは構造物に立設された防護柵
    と、この防護柵に1本又は複数本設けられ該防護柵の変
    形に伴い一体的に変形する棒状の導電性繊維束含有プラ
    スチック複合材と、この導電性繊維束含有プラスチック
    複合材の導電性繊維束の電気抵抗を測定する抵抗測定器
    と、この抵抗測定器と接続され、該抵抗測定器によって
    前記導電性繊維束の電気抵抗の増大が測定されたときに
    異常検知信号を出力する検知信号出力部とを有し、 前記導電性繊維束含有プラスチック複合材は、1本又は
    複数本の前記導電性繊維束が棒状のプラスチック材に該
    プラスチック材の長手方向と並行させて埋設、一体化さ
    れ、しかも前記導電性繊維束が前記プラスチック材の長
    手方向に直交する断面の中央部を避けて外側にずらされ
    た位置に配置されていることを特徴とする歪み検知機能
    付き防護柵。
  2. 【請求項2】 前記導電性繊維束含有プラスチック複合
    材は、導電性繊維束が、前記プラスチック材の長手方向
    に直交する断面の周方向のほぼ均等に分散された4カ所
    に配置されている断面構造になっていることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の歪み検知機能付き防護柵。
  3. 【請求項3】 プラスチック材の長手方向に直交する断
    面の中央部を介して両側に対向配置された導電性繊維束
    の対を有する前記導電性繊維束含有プラスチック複合材
    が、前記対を構成する導電性繊維束の内の一方を、前記
    防護柵によって仕切られた一方の領域の側、前記導電性
    繊維束を前記防護柵によって仕切られた他方の領域の側
    となるようにして前記防護柵に設けられていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の歪み検知機能付き防護
    柵。
  4. 【請求項4】 前記導電性繊維束含有プラスチック複合
    材のプラスチック材には、前記導電性繊維束に加えて、
    該導電性繊維束よりも伸び率が大きい強化繊維束が前記
    導電性繊維束にほぼ沿って延在させて埋設されているこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歪み検
    知機能付き防護柵。
  5. 【請求項5】 前記防護柵に設けられた複数本の導電性
    繊維束含有プラスチック複合材によって、該導電性繊維
    束含有プラスチック複合材間にて導電性繊維束同士を電
    気導通可能に接続して複数本の導電性繊維束含有プラス
    チック複合材を直列に接続してなるセンサユニットが構
    成され、このセンサユニットの両端にて導電性繊維束と
    抵抗測定器とが接続されていることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の歪み検知機能付き防護柵。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の歪み検
    知機能付き防護柵と、この歪み検知機能付き防護柵の検
    知信号出力部から出力された異常検知信号を受信したと
    きに警報を出力するとともに、前記異常検知信号に含ま
    れる情報から前記異常検知信号を出力した検知信号出力
    部が設けられている歪み検知機能付き防護柵の位置情報
    を出力する警報出力装置とを有することを特徴とする異
    常検知システム。
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