JP2003082482A - 耐候性鋼の防食法 - Google Patents

耐候性鋼の防食法

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JP2003082482A
JP2003082482A JP2001278639A JP2001278639A JP2003082482A JP 2003082482 A JP2003082482 A JP 2003082482A JP 2001278639 A JP2001278639 A JP 2001278639A JP 2001278639 A JP2001278639 A JP 2001278639A JP 2003082482 A JP2003082482 A JP 2003082482A
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Yoshinori Nagai
昌憲 永井
Takayuki Sato
隆幸 里
Toru Taki
徹 多記
Akira Yamazaki
曜 山崎
Hironari Tanabe
弘往 田辺
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Dai Nippon Toryo KK
Original Assignee
Dai Nippon Toryo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防錆性及び耐候性を長期間保持し、任意の着
色を可能にした、省工程の耐候性鋼の防食方法を提供す
る。 【解決手段】 浮き錆のみ除去した錆が残存する耐候性
鋼表面に、(a)湿気硬化型樹脂、(b)防錆顔料、(c)腐食
イオン固定化剤、及び(d)カップリング剤を含有する素
地調整剤の塗膜(A)を乾燥塗布量0.03〜2Kg/m2
手形成し、防錆剤を含有した防食塗膜(B)を、乾燥膜厚
30〜60μmで形成し、次いで、促進耐候性試験サン
シャインウェザーメーター照射300時間後の光沢保持
率が85%以上の塗膜を形成する着色上塗塗膜(C)を乾
燥膜厚20〜40μmで形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錆が残存する耐候
性鋼の新規な塗装方法に関し、更に詳しくは、耐候性鋼
の流れ錆(赤錆)を防止し、環境に調和した様々な着色
の付与を可能にし、更に省工程で、長期耐候性及び防錆
性を付与する耐候性鋼の防食方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に鋼構造物は、そのコストが安いと
いうこともあって炭素鋼を使用する場合が多い。しかし
ながら、炭素鋼は、空気中の水分(降雨、湿気等)や、
酸素が鋼材表面に接触して、短期間で赤錆が発生する。
この赤錆発生を防止する方法としては、塗料を塗装する
方法が一般的である。この方法は、塗装の塗替を極力減
らすため、耐久性の良好な塗装を施すことが一般的であ
る。
【0003】例えば、無機ジンクリッチペイント塗装→
エポキシ樹脂塗料ミストコート→エポキシ樹脂塗料下塗
塗装(2回)→エポキシ樹脂塗料中塗塗装→ポリウレタ
ン樹脂塗料上塗塗装は、耐久性15年以上有する代表的
な鋼材の塗装システムである。この塗装システムは、環
境と調和した色彩を付与した美観及び長期の防錆性が維
持できる長所があるが、一方では、この塗装システムは
膜厚が厚く、更に6回塗りが必要なので、完成までに時
間とコストがかかる。そこで、最近では鋼構造物に耐食
性の良い耐候性鋼を使用する場合が増加してきている。
【0004】耐候性鋼は、一般的にP、Cu、Cr、N
i等の元素を添加した低合金鋼である。この鋼材は、屋
外に於て十数年で腐食に対して保護作用のある錆(以
下、「保護錆」という)を形成し、以後防錆処理作業を
不要とする、いわゆるメンテナンスフリーになるといっ
た特性を有している。この腐食に対して保護作用は、い
わゆる錆をもって錆を制すものであって、この錆は、結
晶水を多量に含む無定型オキシ水酸化鉄が主体であり、
これが緻密で密着性の良い保護錆の形成に寄与するもの
と考えられている。
【0005】しかしながら、耐候性鋼の鋼材を無処理の
ままで使用すると、保護錆が形成されるまでの期間中
に、赤錆や黄錆等の浮き錆や、流れ錆を生じてしまい、
外見的に好ましくないばかりでなく、周囲環境の汚染原
因にもなると云う問題点を有していた。
【0006】また、従来例において、耐候性鋼の表面に
保護錆を得るための塗装による表面処理法があるが、そ
れでも保護錆が形成されるまでに数年間の長い期間を要
し、この間に塗膜自体の白化、ふくれ、剥離といった問
題点を引き起こしている。また、発生した錆を目立たな
くするため色調は、さび色に統一されており、炭素鋼へ
の塗装のように環境と調和した様々な色彩を付与する配
慮が全くなされていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】赤錆や黄錆の発生が
著しくなった既設の耐候性鋼は、そのまま放置し、保護
錆が形成されるまで放置するか、又は補修する場合、通
常、錆を完全に落とした後、有機ジンクリッチペイント
→エポキシ樹脂塗料下塗→エポキシ樹脂塗料中塗→上塗
塗料と4〜5回塗装するのが一般的であり、塗装工程が
多く、時間とコストがかかる問題点を有していた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、既設の浮き錆のみ除
去し赤錆や黄錆等のさびが固着し残存する耐候性鋼表面
に、防錆性を長期維持し、更に、耐候性の良好な樹脂及
び着色剤を含む着色上塗塗料を塗装することにより、耐
候性を長期間維持し、更に任意の着色を可能にした、省
工程の耐候性鋼の防食方法を完成したものである。即
ち、本発明は、浮き錆のみを除去した錆が残存する耐候
性鋼表面に、(a)湿気硬化型樹脂、(b)防錆顔料、(c)腐
食イオン固定化剤、及び(d)カップリング剤を含有する
素地調整剤の塗膜(A)を、乾燥塗布量0.03〜2Kg
/m2の範囲で形成し、次いで、防錆剤を含有する防食
塗膜(B)を、膜厚30〜60μmで形成し、更に促進耐
候性試験サンシャインウェザーメーター照射300時間
後の光沢保持率が85%以上の塗膜を形成する着色上塗
塗膜(C)を、乾燥膜厚20〜40μmで形成することを
特徴とする耐候性鋼の防食法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に用いる耐候性鋼は、SPA材、SMA材
と言われ、JISに規定されているものであり、既設の
暴露されて数年経過し、浮き錆の発生した耐候性鋼に適
用されるものである。次に、本発明の素地調整剤につい
て説明する。(a)成分について (a)成分は、錆層内部に含浸し、錆層内部の水分や、大
気中の水分により反応硬化し、錆層を強化させるととも
に、後述する防錆顔料や、腐食性イオン固定化剤、カッ
プリング剤等を固着化させるための結合剤である。この
ような機能を有するものであれば、従来から塗料用に使
用されている各種の湿気硬化型樹脂が使用可能であり、
具体的には、例えば、ウレタン樹脂(ポリイソシアネー
トポリマー)系や、エポキシ樹脂−ケチミン硬化系、ア
ルキルシリケート樹脂系、アルキルアルコキシシラン樹
脂系等が代表的なものとして挙げられる。
【0010】特に耐水性に優れた湿気硬化型ウレタン樹
脂が好ましい。湿気硬化型ウレタン樹脂としては、例え
ば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得
られる遊離イソシアネート基を有するウレタンポリマー
を好適に用いることが出来る。ポリオールとしては、ポ
リエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール等を
用いることが出来る。ポリエーテルポリオールとして
は、エチレングリコールやプロピレングリコール、ブタ
ンジオールジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサ
ンジオールヘキサントリオール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリストール等の水酸基を2個以上、好まし
くは、2〜6個有する炭素数2〜8個のポリオールに、
エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレ
ンオキサイド、テトラヒドロフラン等の、好ましくは、
炭素数2〜8のアルキレンオキサイドをアルカリ触媒等
の存在下で付加重合して得た分子中に2〜4個の水酸基
を持つポリアルキレンポリオールなどを用いることが適
当である。
【0011】ポリオレフィンポリオ−ルとしては、例え
ば、ブタジエンやイソプレンなどのジエン系化合物に、
例えば、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイ
ド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアル
キレンオキサイドを付加重合して得た分子量中に2〜4
個の水酸基を持つポリジエンポリオールを用いることが
適当である。ポリイソシアネートとしては、1分子中に
2個以上、好ましくは、2〜3個のイソシアネート基を
有する化合物が適当である。具体的には、例えば、2,
4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイ
ソシアネート、2,4−フェニルメタンジフェニルジイ
ソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシ
アネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、ビュ
レットポリイソシアネート化合物、イソシアネート環を
有するポリイソシアネート化合物、アダクトポリイソシ
アネート化合物を挙げることが出来る。これらのポリイ
ソシアネートは1種単独で、又は2種以上の混合物とし
て使用できる。
【0012】湿気硬化型ウレタン樹脂の製造方法は、特
に限定されることなく、従来公知の各種方法を利用でき
る。このような方法としては、具体的には、例えば、ポ
リオールと過剰のポリイソシアネートを重合させる方法
が挙げられる。過剰のポリイソシアネートは、ポリオー
ルの水酸基当量よりもイソシアネート当量が過剰である
ことを意味し、その当量関係をNCO/OHで表すことが出
来る。
【0013】特に、液状で低粘度の湿気硬化型ウレタン
樹脂を形成するためには、ポリオールの種類や、官能基
数、分子量等を考慮するとともにNCO/OHを、例えば、
2〜10、好ましくは、5〜10に調整することが好ま
しい。重合温度、重合時間も特に制限されないが、通常
水分の影響を避けるために、窒素気流下でポリオールと
イソシアネートを混合した後、例えば、50〜100℃
にて3〜8時間反応させるのが適当である。反応前、反
応途中及び反応終了後有機金属塩系ウレタン重合触媒や
安定剤、脱水剤、重合調整剤等を適量随時添加しても良
い。
【0014】(b)成分について (b)成分は、鋼材の腐食を防止するための防錆顔料であ
る。防錆顔料としては、従来から防食塗料に利用されて
いるものが特に制限なく使用可能である。このような防
食顔料としては、代表的には、リン酸アルミニウム、縮
合リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニ
ウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム等の(亜)リ
ン酸塩、モリブデン酸亜鉛やモリブデン酸カルシウム、
モリブデン酸マンガン等のモリブデン酸塩、その他ステ
アリン酸やタンニン酸、クエン酸イタコン酸、硼酸、タ
ングステン酸等の各種酸の金属塩やポリアニリン等が挙
げられる。
【0015】(c)成分について (c)成分は、錆層と鉄素地との界面に存在するCl-やSO4
2-等の腐食性イオン物質を捕集するとともに化学反応
し、水不溶性の複塩を形成し、腐食性イオンを固定化
し、不活性化するための腐食性イオン固定化剤である。
このような固定化剤の例としては、代表的には、ハイド
ロカルマイトやハイドロタルサイト等が挙げられる。 ハイドロカルマイトは、式、 3CaO・Al2O3・CaX2/m・nH2O (式中、Xは、1価又は2価のアニオンであり、mは、ア
ニオンの価数を表し、nは、20以下を示す。)で示さ
れる層状構造を持つ含水結晶性粉末である。アニオン
(X)としては、NO3 -やNO2 -、OH-、CH3COO-、CO3 2-等が
代表的なものとして挙げられる。これらアニオンは、塩
素イオンや、硫酸イオン等と接触するとアニオン交換
し、XであるNO3 -やNO2 -等を遊離するとともに、腐食性
イオン物質をハイドロカルマイト中に固定化し、不活性
化する。また、遊離した上記アニオンは、耐候性鋼材表
面に不働態皮膜を形成し、防食性を更に向上させる効果
を有する。
【0016】ハイドロタルサイトは、式、 Mg4.5Al2(OH)13CO3・nH2O (式中、nは、4以下、好ましくは、3.5を示す。)で示
される層状構造を持つ含水結晶性粉末である。これらア
ニオンは、塩素イオンや、硫酸イオン等と接触するとア
ニオン交換し、XであるNO3 -やNO2 -等を遊離するととも
に、腐食性イオン物質をハイドロタルサイト中に固定化
し、不活性化する。
【0017】(d)カップリング剤 (d)成分は、錆層への濡れ性や含浸性を向上させ、ま
た、その上に塗装する着色上塗塗料との密着性を向上さ
せるためのものである。具体的には、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、等の
シランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロ
イルチタネート、テトラオクチルビス(ジドデシル)ホ
スファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイル
チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホ
ニルチタネート等のチタンカップリング剤、その他アル
ミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリン
グ剤などが代表的なものとして挙げられる。
【0018】本発明の素地調整剤の塗膜を形成するため
の組成物は、以上説明した(a)成分〜(d)成分を必須成分
として含み、更に必要に応じて、活性水素を含まない炭
化水素系や、エステル系、ケトン系等の各種塗料用有機
溶剤、消泡剤や分散剤、脱水剤等の各種添加剤を含有す
る。各成分の配合割合は、(a)成分である湿気硬化型樹
脂100質量部に対し、(b)成分である防錆顔料は、例
えば、1〜95質量部、好ましくは、10〜50質量
部、(c)成分である腐食性イオン固定化剤は、例えば、
1〜95質量部、好ましくは、10〜50質量部、(d)
成分であるカップリング剤は、例えば、0.1〜10質
量部、好ましくは、1〜5質量部であり、(b)成分と(c)
成分の合計が5〜100質量部、好ましくは、15〜7
0質量部であることが適当である。
【0019】素地調整剤の塗膜(A)を形成するための素
地調整剤の塗膜(A)に任意に含有される有機溶剤の量
は、素地調整剤の塗膜(A)形成組成物の固形分が、例え
ば、20〜80質量%、好ましくは、30〜70質量%
になる程度が適当である。また、各種添加剤は、素地調
整剤の塗膜(A)を形成する組成物の固形分中、例えば、
0.1〜10質量%、好ましくは、1〜5質量%配合す
るのが適当である。
【0020】なお、(b)成分が前記範囲より少ない
と、十分な防錆力を発揮できず、逆に多すぎると、相対
的に(a)成分の量が少なくなり、錆層の強化(凝集
力)が不十分となりやすい。また、(c)成分の量が前
記範囲より少ないと、腐食性イオン物質の捕集、固定化
が不十分となり、逆に多すぎると、相対的に(a)成分
の量が少なくなり、錆層の強化が不十分となりやすい。
また、(d)成分の量が、前記範囲より少ないと、錆層
への漏れ性や、含浸性、その上に塗装する塗料との密着
性が不十分となり、逆に多すぎても前記効果の向上は認
められず、経済的にも不利である。
【0021】本発明の素地調整剤の塗膜(A)を形成する
ための組成物は、錆を有する耐候性鋼の浮き錆等の脆弱
個所をワイヤーブラシや、スコッチブライト(スリーエ
ム社製)等で、また、層状錆やコブ錆等の発生した腐食
の著しい個所は、動力研磨工具や手研磨工具にて除去す
る。但し、固着化した錆は除去する必要はない。このよ
うにして前処理した鋼材表面に、本発明の素地調整剤の
塗膜(A)を形成するための組成物を、刷や、ローラー、
スプレー等の手段で、乾燥塗布量(固形分換算)0.0
3〜2.00Kg/m2、好ましくは、0.05〜1.
50Kg/m2程度塗布し、乾燥させる。乾燥は、自然
乾燥でもよく、強制的に乾燥してもよい。このように素
地調整剤の塗膜(A)を耐候性鋼表面に形成すると、長期
間フクレや剥離しにくい塗膜が得られ、そのため耐候性
鋼は、長期防食性の優れたものとなる。
【0022】次に、本発明の防食塗膜について説明す
る。防食塗膜は、樹脂、防錆剤及び必要に応じて配合さ
れるシランカップリング剤や溶媒、更には分散剤、抗菌
剤、ハジキ防止剤などの各種添加剤を含有する防食塗料
から形成される。防食塗料の形態は、溶剤系、水系、無
溶剤系を問わない。防食塗料で使用される樹脂は、密着
性が良く、また腐食原因となる水や酸素を透過しにくい
樹脂を使用することが必要である。
【0023】このような樹脂の具体例としては、エポキ
シ樹脂、変性エポキシ樹脂、タールエポキシ樹脂、塩化
ゴム系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アクリルシリコン樹脂エポキシシリコン樹脂及
びこれら樹脂に硬化剤を併用したものが挙げられる。塗
料を構成する防錆剤は、有機系、無機系のどちらでも良
い。有機系防錆剤の具体例としては、鋼材表面を不働態
化し、電位を均一にする作用のある導電性ポリアニリ
ン、塗膜と鋼材の付着性を強固にする2−ベンゾチアゾ
コハク酸やジフェニルチオカルバゾン、N,N−ジフェ
ニルエチレンジアミン、S−ジフェニルカルバジド、フ
ェノシアゾリン、1,5−ジフェニル−3−チオカルボ
ヒドラジド、1,4−ジフェニル−3−チオセミカルバ
ジド、チオカルボアニライド、チオベンズアニライド、
チオアセトアニライド、
【0024】2−メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾ
トリアゾール、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール、
2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾセレナゾール、2−メルカプトベンゾキサゾール、
5−メルカプト−3−フェニルチアジアゾール−2−チ
オン、2−(o−ヒドロキシフェノール)ベンゾチアゾ
ール、2,2’−ジチオビズ−(ベンゾチアゾール)、
ジメチルヒダントイン、ピロール−2−カルボキシアル
デヒド、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアゾー
ル、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チ
オール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−
アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−
メルカプト−1,2,4−トリアゾール、
【0025】2−メルカプト−1−メチルイミダゾー
ル、2−メルカプトチアゾリン、2−アミノチアゾー
ル、3,5−ジメチルピラゾール、ヒスチジン、1,1
0−フェナントロリン、1,8−ジアザビシクロ(5,
4,0)ウンデセン−7等が代表的なものとして挙げら
れ、これらは一種もしくは二種以上の混合物として用い
ることができる。これら有機系防錆剤の添加量は、樹脂
(及び硬化剤)100質量部に対して、例えば、0.5
〜40質量部、好ましくは2〜10質量部添加すること
が適当である。0.5質量部未満では防錆効果が少なく
なる傾向にあり、一方、40質量部より多く添加して
も、添加した量に対応するほどの効果の向上は実質的に
ない。
【0026】無機系防錆剤としては、例えば、アルミニ
ウム粉末や、亜鉛粉末の他、リン酸アルミニウムや、リ
ン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸
カルシウム、亜リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシ
ウム、リン酸亜鉛アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、リ
ンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、
モリブデン酸カルシウム、ハイドロカルマイト等の防錆
顔料が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上の混合
物が用いられる。但し、クロム系、鉛系は毒性の観点か
ら好ましくない。これら無機系防錆剤は、樹脂(及び硬
化剤)100質量部に対して、例えば、1〜80質量
部、好ましくは、5〜60質量部添加するのが良い。1
質量部未満では、防錆性が不充分となり易く、一方、8
0質量部超える場合、塗料安定性が悪くなる傾向にあ
る。なお、有機系防錆剤と無機系防錆剤を併用しても良
い。
【0027】本発明においては、防食塗膜(B)を形成す
る組成物は、樹脂−防錆剤−耐候性鋼素材を複合化し、
密着性を向上させるためにシランカップリング剤を配合
するのが好ましい。該シランカップリング剤の具体例を
挙げると、γ−クロロプロピルトリメトキシシランや、
ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキ
シエトキシ)シラン、γ−(メタクリロキシプロピル)
トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、
【0028】N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルシラン、
γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン等が
代表的なものとして挙げられる。シランカップリング剤
は、樹脂(及び硬化剤)100質量部に対して、例え
ば、0.1〜20質量部、好ましくは、1〜5質量部添
加することが適当である。
【0029】0.1質量部未満の場合、複合化の効果は
うすく、一方、20質量部超えると、塗料安定性が低下
する傾向にある。防食塗膜(B)の膜厚は、30〜60μ
m、好ましくは、35〜50μmが適当である。なお、
30μm未満であると、防食性が不充分であり、一方、
60μm超えると、垂直面に塗装した場合、塗料がタレ
やすく、また乾燥が遅くなりやすい等の不具合が生じ
る。防食塗膜(B)は、上記厚みを有する限り、複数層で
形成してもよい。
【0030】次に、着色上塗塗膜及びそれを形成するた
めの着色上塗塗料について説明する。着色上塗塗料は、
樹脂、着色剤、必要に応じて配合される防錆顔料、シラ
ンカップリング剤、溶媒、分散剤、紫外線吸収剤、抗菌
剤などの各種添加剤を含有することができる。着色上塗
塗料の形態は、溶剤系や、水系、無溶剤を問わない。
【0031】着色上塗塗料に含まれる、結合剤としての
樹脂は、耐候性の良好な樹脂を使用することが適切であ
る。即ち、樹脂は、促進耐候性試験、サンシャインウェ
ザーメーター照射300時間後の光沢保持率が85%以
上、好ましくは90%以上維持する塗膜を形成する樹脂
であることが必要である。光沢保持率が、85%未満で
あると、塗膜に白化、フクレ、剥離等が生じるので好ま
しくない。
【0032】耐候性の良い樹脂としては、例えば、有機
樹脂や、有機無機複合樹脂、無機樹脂等を好適に挙げる
ことができる。有機樹脂の具体例は、塩化ゴム樹脂や、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フッ
素樹脂、及びこれら樹脂に硬化剤を併用したものであ
り、好ましくは、湿気硬化型ウレタン樹脂、フッ素樹脂
である。有機無機複合樹脂の例としては、加水分解性シ
リル基を有する有機樹脂と、一般式 R1 nSi(OR24-n 〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、
炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2であ
る。〕で示されるオルガノシラン又はその部分加水分解
物とから構成されるものを挙げることができる。
【0033】加水分解性シリル基を有する有機樹脂の例
としては、例えば、加水分解性シリル基を有するフッ素
樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を挙げることがで
きる。フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂に加水
分解性シリル基を導入するオルガノシランとしては、一
般式、 R1 nSi(OR24-n 〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、
炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2であ
る。〕で示されるオルガノシランである。
【0034】上記式において、R1としての有機基とし
ては、例えば、アルキル基や、シクロアルキル基、アリ
ール基、ビニル基等が挙げられる。ここで、アルキル基
は、直鎖でも分岐したものでもよい。アルキル基として
は、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、
i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブ
チル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ま
しいアルキル基は、炭素数が、1〜4個のものである。
【0035】シクロアルキル基としては、例えば、シク
ロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基
等が好適に挙げられる。アリール基としては、例えば、
フェニル基等が挙げられる。上記各官能基は、任意に置
換基を有してもよい。このような置換基としては、例え
ば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子や、臭素原子、フ
ッ素原子等)や、(メタ)アクリロイル基、メルカプト
基、脂環式基等が挙げられる。
【0036】R2としてのアルキル基としては、直鎖で
も分岐したものでもよい。このようなアルキル基として
は、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、
i-プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブ
チル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ま
しいアルキル基は、炭素数が、1〜2個のものである。
【0037】上記式で示されるオルガノシランの具体例
としては、例えば、メチルトリメトキシシランや、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシ
ラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピル
トリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリ
フルオロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシル
トリメトキシシラン、
【0038】γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチル
ジプロポキシシランなどが挙げられるが、好ましくは、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシ
シランである。
【0039】着色上塗塗料に使用される有機無機複合樹
脂は、上記の加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂等と、以下の式、 R1 nSi(OR24-n 〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、
炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2であ
る。〕で示されるオルガノシラン/又はその部分加水分
解縮合物とから構成される。ここで使用されるオルガノ
シランとしては、単独でもよく、又は2種以上の混合物
として使用してもよい。オルガノシランの縮合物として
は、ポリスチレン換算重量平均分子量が、例えば、30
0〜5000、好ましくは、500〜4200のものが
適当である。このような縮合物を使用することにより、
貯蔵安定性がよく、密着性のよい塗膜が得られる。
【0040】このような縮合物の具体例としては、市販
品として東レ・ダウコーニング社製のSR2402や、
DC3037、DC3074;信越化学工業社製のKR
−211や、KR−212、KR−213、KR−21
4、KR−216、KR−218;東芝シリコーン社製
のTSR−145や、TSR−160、TSR−16
5、YR−3187等が挙げられる。加水分解性シリル
基を有するフッ素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等
と、オルガノシラン又はその部分加水分解縮合物とは、
加水分解縮合反応によって反応し、塗膜を形成する。こ
の反応においては、上記有機無機複合樹脂の2成分の混
合物を、水、必要に応じて触媒の存在下で、40〜80
℃、好ましくは、45〜65℃で、2〜10時間撹拌し
ながら反応させる方法が適当であるが、この方法に限定
されるものではない。
【0041】上記反応に使用される触媒としては、例え
ば、トリメトキシボランや、トリエトキシボラン等のト
リアルコキシボラン;トリ−n―ブトキシエチルアセト
アセテートジルコニウム、ジ−n―ブトキシジ(エチル
アセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチル
アセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレ
ート化合物、ジイソプロポキシビス(アセチルアセテー
ト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセ
テート)チタン等のチタンキレート化合物、モノアセチ
ルアセテートビス(エチルアセトアセテート)アルミニ
ウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミ
ニウム等のアルミニウムキレート化合物などの有機金属
化合物が挙げられる。
【0042】なお、加水分解縮合反応物は、その反応で
生成するアルコール分により、又はそのアルコール分と
必要に応じて添加される後記有機溶媒とにより、溶液状
態のメルカプト基を持つポリオルガノシロキサン樹脂溶
液を合成することができる。
【0043】本発明の着色上塗塗料に使用される無機樹
脂としては、一般式、 R1 nSi(OR24-n 〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、
炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2であ
る。〕で示されるアルキルシリケートの加水分解縮合物
が好適に挙げられる。前記一般式中のR1としての有機
基としては、例えば、アルキル基や、シクロアルキル
基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。
【0044】ここで、アルキル基としては、直鎖でも分
岐したものでもよい。アルキル基としては、例えば、メ
チル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−
ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基等のアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル
基は、炭素数が、1〜4個のものである。
【0045】シクロアルキル基としては、例えば、シク
ロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基
等が好適に挙げられる。アリール基としては、例えば、
フェニル基等が挙げられる。上記各官能基は、任意に置
換基を有してもよい。このような置換基としては、例え
ば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子や、臭素原子、フ
ッ素原子等)や、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、
メルカプト基、グリシジル基、脂環式基等が挙げられ
る。
【0046】また、一般式中のR2は、炭素数1〜5の
アルキル基であり、例えば、メチル基や、エチル基、n
−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブ
チル基、t−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基
などが挙げられる。また、nは0又は1である。
【0047】このようなアルキルシリケートの具体例と
しては、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケ
ート、テトラ−n−プロピルシリケート、テトラ−i−
プロピルシリケート、テトラ−n−ブチルシリケートな
どのnが0の場合のアルキルシリケート;メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロ
ピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシ
ラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピル
トリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
【0048】γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシ
ラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエト
キシシランなどのnが1の場合のアルキルシリケート等
が挙げられる。アルキルシリケートの部分加水分解縮合
物は、塗装作業性等の観点から縮合度30以下、好まし
くは、10以下のものが好ましい。
【0049】なお、オルガノシランの加水分解を促進さ
せ、シロキサン結合で硬化させるために使用する硬化触
媒の具体例として、ジブチルスズジラウレート、ジブチ
ルスズジマレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジ
オクチルスズジマレエート、ジオクチルスズマレエー
ト、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;リン酸、モ
ノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ
ブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノ
デシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチル
ホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホス
フェート、ジデシルホスフェートなどのリン酸又はリン
酸エステル;ジイソプロポキシビス(アセチルアセテー
ト)チタニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセト
アセテート)チタニウムなどの有機チタネート化合物;
【0050】トリス(エチルアセトアセテート)アルミ
ニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム
などの有機アルミニウム化合物;テトラブチルジルコネ
ート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウ
ム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス
(アセチルアセトナート)ジルコニウムなどの有機ジル
コニウム化合物等が代表的なものとして挙げられる。
【0051】着色上塗塗料に任意に配合される防錆顔料
としては、無公害防錆顔料が挙げられる。このような無
公害防錆顔料としては、例えば、リン酸アルミニウム
や、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン
酸亜鉛、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リ
ン酸アルミニウム、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛
アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜
鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カル
シウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料が挙げられ
る。これらの防錆顔料は、一種もしくは二種以上の混合
物で使用することができる。但し、クロム系、鉛系は毒
性の観点から好ましくない。
【0052】着色上塗塗料に配合される防錆顔料は、前
記防錆塗膜に含まれる防錆剤粒子の溶出速度を調整し、
それにより、屋外暴露に対して、長期防錆性を向上させ
るため配合するものである。その配合量は、無機樹脂1
00質量部に対して、例えば、1〜80質量部、好まし
くは、5〜60質量部添加するのが適当である。1質量
部未満では、防錆性が不充分で、一方、80質量部越え
る場合、塗料安定性が悪くなる傾向にある。着色上塗塗
料に配合される、要望に合致した着色を施すための着色
顔料としては、具体的には、二酸化チタンや、酸化亜鉛
等の白色顔料、カーボンブラック、黒鉛等の黒色顔料、
モリブデートオレンジ、パーマネントカーミン、キナク
リドンレッド等の赤色顔料、キノフタレンイエロー、パ
ーマネントイエロー等の黄色顔料、フタロシアニングリ
ーン、フタロシアニンブルー等の緑、青顔料等の、通常
塗料用に使用されている各色の顔料が代表的なものとし
て挙げられる。更に、体質顔料を併用してもよい。着色
顔料は、その種類によっても異なるが、樹脂100質量
部に対して、例えば、0.1〜70質量部、好ましく
は、0.8〜50質量部添加するのが適当である。
【0053】着色上塗塗料に任意に配合されるシランカ
ップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルト
リメトキシシランや、ビニルトリクロルシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ
クリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレ
イドプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルジメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチ
ルエトキシシラン等が代表的なものとして挙げられる。
【0054】シランカップリング剤は、着色上塗塗料塗
膜と素材の密着性を向上させるため配合するものであ
り、その配合量は、樹脂100質量部に対して、例え
ば、0〜20質量部、好ましくは、1〜5質量部添加す
るのが望ましい。なお、配合量が20質量部越えると、
塗料安定性が低下する傾向にある。着色上塗塗料は、乾
燥膜厚50〜90μm、好ましくは、60〜80μmで
塗装することが適当である。50μm未満であると、隠
蔽性や耐候性が不充分となる。一方、90μm越える
と、発泡や硬化不良が生じやすくなり、また垂直面に塗
装した場合、塗料がたれる等の不具合が生じる。
【0055】着色上塗塗料は、促進耐候性試験サンシャ
インウェザーメーター照射300時間後の光沢保持率が
85%以上の塗膜を形成する。ここでいう促進耐候性試
験サンシャインウェザーメーターは、JIS K5400で規定
されるサンシャインカーボンアーク灯式の、実際の屋外
暴露と相関のある促進耐候性試験機であり、光沢保持率
とは、JIS K5400で規定される60度鏡面光沢度から下
記の式で計算された、光沢の残存の程度をいう。 光沢保持率=(サンシャインウェザーメーター照射30
0時間後の光沢)×100/初期光沢 (%)
【0056】本発明の方法を実施する場合には、例え
ば、浮き錆のみを除去した鋼材表面に、素地調整剤の塗
膜(A)を形成する組成物を、例えば、刷毛や、ローラ
ー、スプレー等の手段で、塗布量(固形分換算)0.0
3〜2.00Kg/m2程度塗布し、乾燥させる。この
ように素地調整剤の塗膜を耐候性鋼表面に形成すると、
屋外暴露に対して長期間フクレや剥離しにくい塗膜を提
供し、そのため鋼材は、長期防食性の優れたものとな
る。
【0057】次に、防食塗膜(B)を形成するための防食
塗料を、例えば、刷毛や、ローラー、スプレー等の手段
で、乾燥膜厚が30〜60μmとなるように塗装し、自
然乾燥又は80℃以下の温度で強制的に乾燥する。次い
で、着色上塗塗料を、ハケ、スプレー、ローラー等の手
段で乾燥膜厚が50〜90μmとなるように塗装し、自
然乾燥もしくは100℃以下の温度で強制乾燥させる。
【0058】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例に
より、更に詳細に説明する。なお、実施例中「部」、
「%」は、質量基準で示す。
【0059】(イ)素地調整剤の塗膜を形成するための
組成物の調製 以下の表1に示す成分を混合分散し、素地調整剤の塗膜
を形成するための組成物を調製し、密閉容器に貯蔵し
た。
【0060】
【表1】表1 素地調整剤の塗膜を形成するための組成
(単位:部)
【0061】注1)芳香族ポリイソシアネートプレポリ
マー;「スミジュールE21-1」(住友バイエルウレタン
社製商品名) 注2)リン酸アルミニウム系防錆顔料;「Kホワイト#
94」(テイカ社製商品名) 注3)実施例1〜3、比較例3では、ハイドロタルサイ
ト;「DHT−4A」(協和化学社製商品名) 実施例4〜6では、亜硝酸型ハイドロカルマイト;「ソ
ルカット」(日本化学工業社製商品名) 注4)「KBM403」(信越シリコン社製商品名)
(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) 注5)「アディティブTI」(住友バイエルウレタン社
製商品名) 注6)「BYK354」(BYKケミー社製商品名)
【0062】(ロ)有機無機複合樹脂の合成合成例1 還流冷却器及び撹拌器を備えた反応器に、フッ素樹脂
(ダイキン工業社製商品名ゼッフルGK550、固形分
60%)190gを仕込み、撹拌しながら、γ−イソシ
アネートプロピルメチルジメトキシシラン42gと、ジ
ブチルスズジラウレート0.05gとを加え、40℃で
4時間撹拌し、固形分67%の加水分解性シリル基を有
するフッ素樹脂(v)を合成した。
【0063】合成例2 還流冷却器及び撹拌器を備えた反応器に、キシレン55
部、及びイソブタノール40部を加え混合した後、撹拌
しながら85℃に加熱した。次にイソブチルメタクリレ
ート50部、2−エチルヘキシルメタクリレート35
部、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラ
ン15部及びアゾビスイソバレロニトリル1.5部の混
合溶液を85℃で3時間かけて滴下し、その後90℃に
昇温し、2時間維持して反応を終了させた。固形分50
%の加水分解性シリル基を有するアクリル樹脂(vi)を
合成した。
【0064】(ハ)無機樹脂の合成例合成例3 還流冷却器及び撹拌器を備えた反応器に、下記シリコー
ン中間体を添加し、60℃で3時間撹拌してアルコキシ
シリケート加水分解物(vii)(ポリスチレン換算質量平
均分子量(Mn)1500)を得た。 信越シリコン社製 KBM13 45.0部 信越シリコン社製 KBM103 25.0部 東芝ダウコーニング社製 SH6018 25.0部合成例4 還流冷却器及び撹拌器を備えた反応器に、下記シリコー
ン中間体を添加し、60℃で3時間撹拌してアルコキシ
シリケート加水分解物(viii)Mn 1800を得た。 信越シリコン社製 KBM14 13.5部 信越シリコン社製 KBM103 11.5部 東芝ダウコーニング社製SR2402 75.0部
【0065】実施例1 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(i)を0.1
Kg/m2となるよう塗装し、乾燥して、素地調整剤の
塗膜を形成し、その上に、下記組成の防食塗料を乾燥膜
厚が60μmになるよう塗装し、乾燥し、更にフッ素樹
脂上塗塗料を乾燥膜厚が35μmになるよう一回塗装
し、乾燥した後、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシ
ールし、7日間自然乾燥させた。その塗装鋼の耐候性及
び防食性評価結果を以下の表2に示す。
【0066】 「防食塗料」 〔主剤成分〕 エポキシ樹脂溶液注7) 200.0部 リンモリブデン酸アルミニウム 29.6部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 6.4部 メチルエチルケトン 26.0部 注7)エポキシ当量450のビスフェノールA型エポキシ樹脂、 固形分50% 〔硬化剤成分〕 ポリアミドアミン樹脂溶液注8) 101.6部 キシレン 172.4部 注8)アミン価75mgKOH/g、固形分65%
【0067】 「着色上塗塗料」 〔主剤成分〕 フッ素樹脂溶液注9) 154.0部 二酸化チタン 55.4部 キシレン 61.6部 注9)樹脂の水酸基価45mgKOH/g、数平均分子量7000、 固形分65% 〔硬化剤成分〕 ヘキサメチレンジイソシアネート 17.6部 酢酸ブチル 53.6部
【0068】実施例2 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(i)を0.1
Kg/m2となるよう塗装し、乾燥して、素地調整剤の
塗膜を形成し、その上に、下記組成を有する防食塗料を
乾燥膜厚が60μmになるよう塗装し、乾燥し、次い
で、ウレタン樹脂上塗塗料を乾燥膜厚が60μmになる
よう一回塗装し、乾燥した後、裏面及び側面をエポキシ
樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。その塗装
鋼の耐候性及び防食性評価結果を以下の表2に示す。
【0069】 「防食塗料」 〔主剤成分〕 エポキシ樹脂溶液注10) 200.0部 リンモリブデン酸アルミニウム 29.6部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 6.4部 メチルエチルケトン 26.0部 注10)エポキシ当量450のビスフェノールA型エポキシ樹脂、 固形分50% 〔硬化剤成分〕 ポリアミドアミン樹脂溶液注11) 101.6部 キシレン 172.4部 注11)アミン価75mgKOH/g、固形分65% 「着色上塗塗料」 〔主剤成分〕 アクリル樹脂溶液注12) 154.0部 キナクリドンレッド 30.8部 キシレン 43.1部 注12)樹脂の水酸基価80mgKOH/g、数平均分子量12000、 固形分65% 〔硬化剤成分〕 ヘキサメチレンジイソシアネート 27.7部 酢酸ブチル 75.8部
【0070】実施例3 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(ii)を0.1
Kg/m2となるよう塗装し、乾燥して、素地調整剤の
塗膜を形成し、その上に、下記組成の防食塗料を乾燥膜
厚が60μmになるよう塗装し、乾燥し、次いで、合成
例1で作製した加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂
(v)及び合成例3で作製したアルコキシシリケート加
水分解物(vii)を含有しかつ下記組成を有する着色上塗
塗料を乾燥膜厚が35μmになるよう一回塗装し、乾燥
した後、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、
7日間自然乾燥させた。その塗装鋼の耐候性及び防食性
評価結果を以下の表2に示す。
【0071】 「防食塗料」 〔主剤成分〕 キシレン樹脂注13) 100.0部 芳香族ポリイソシアネート注14) 310.0部 亜リン酸亜鉛 210.0部 脱水剤注15) 16.0部 キシレン 43.1部 注13)三菱瓦斯化学工業(株)社製商品名; ニカノール3L(キシレン/ホルムアルデヒド樹脂) 注14)住友バイエルウレタン(株)社製商品名 スミジュールE21−1 注15)住友バイエルウレタン(株)社製商品名 アディティブT1(トシルイソシアネート) 「上塗塗料」 加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂(v) 130.0部 アルコキシシリケート加水分解物(vii) 40.0部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 2.5部 キナクリドンレッド 32.3部
【0072】実施例4 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(ii)を0.1
Kg/m2となるよう塗装し、乾燥して、素地調整剤の
塗膜を形成し、その上に、下記組成の防食塗料を乾燥膜
厚が60μmになるよう塗装し、乾燥し、次いで、合成
例2で作製した加水分解性シリル基を有するアクリル樹
脂(vi)及び合成例3で作製したアルコキシシリケート
加水分解物(vii)を含有しかつ下記組成の着色上塗塗料
を乾燥膜厚が35μmになるよう一回塗装し、乾燥した
後、裏面及び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日
間自然乾燥させた。その塗装鋼の耐候性及び防食性評価
結果を以下の表2に示す。
【0073】 「防食塗料」 〔主剤成分〕 キシレン樹脂注16) 100.0部 芳香族ポリイソシアネート注17) 310.0部 亜リン酸亜鉛 210.0部 脱水剤注18) 16.0部 キシレン 43.1部 注16)三菱瓦斯化学工業(株)社製商品名; ニカノール3L(キシレン/ホルムアルデヒド樹脂) 注17)住友バイエルウレタン(株)社製商品名 スミジュールE21−1 注18)住友バイエルウレタン(株)社製商品名 アディティブT1(トシルイソシアネート) 「上塗塗料」 加水分解性シリル基を有するアクリル樹脂(vi) 125.0部 アルコキシシリケート加水分解物(vii) 30.0部 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 1.8部 キナクリドンレッド 32.3部
【0074】実施例5 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(iii)を0.
1Kg/m2となるよう塗装し、乾燥して、素地調整剤
の塗膜を形成し、その上に、下記組成の防食塗料を乾燥
膜厚が60μmになるよう塗装し、乾燥し、次いで、合
成例3で作製したアルコキシシリケート加水分解物(vi
i)を含有しかつ下記組成の着色上塗塗料を乾燥膜厚が
35μmになるよう一回塗装し、乾燥した後、裏面及び
側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥さ
せた。その塗装鋼の耐候性及び防食性評価結果を以下の
表2に示す。
【0075】 「防食塗料」 〔主剤成分〕 エポキシ樹脂溶液注19) 200.0部 アルミニウムペースト注20) 35.6部 ミネラルスピリット 200.0部 注19)エポキシ当量210のビスフェノールA型エポキシ樹脂、 固形分100% 注20)アルミニウム粒子の平均粒径12μm、固形分75% 〔硬化剤成分〕 ポリアミドアミン樹脂溶液注21) 102.8部 キシレン 69.6部 注21)アミン価255mgKOH/g、固形分76% 「上塗塗料」 アルコキシシリケート加水分解物(vii) 125.0部 キノフタレンイエロー 32.0部
【0076】実施例6 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(iii)を0.
1Kg/m2となるよう塗装し、乾燥して、素地調整剤
の塗膜を形成し、その上に、下記組成の防食塗料を乾燥
膜厚が60μmになるよう塗装し、乾燥し、次いで、合
成例4で作製したアルコキシシリケート加水分解物
(x)を含有しかつ下記組成の着色上塗塗料を乾燥膜厚
が35μmになるよう一回塗装し、乾燥した後、裏面及
び側面をエポキシ樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥
させた。その塗装鋼の耐候性及び防食性評価結果を表2
にしめす。
【0077】 「防食塗料」 〔主剤成分〕 エポキシ樹脂溶液注22) 200.0部 アルミニウムペースト注23) 35.6部 ミネラルスピリット 200.0部 注22)エポキシ当量210のビスフェノールA型エポキシ樹脂、 固形分100% 注23)アルミニウム粒子の平均粒径12μm、固形分75% 〔硬化剤成分〕 ポリアミドアミン樹脂溶液注24) 102.8部 キシレン 69.6部 注24)アミン価255mgKOH/g、固形分76% 「上塗塗料」 アルコキシシリケート加水分解物(viii) 125.0部 二酸化チタン 32.0部
【0078】比較例1 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、全く塗装しないで、耐候性及び防食性
を評価した。その結果を以下の表2に示す。
【0079】比較例2 実施例1において、素地調整剤を塗装しないで着色フッ
素樹脂系上塗塗料を塗装し、その塗装鋼の耐候性及び防
食性を評価した。その結果を以下の表2に示す。
【0080】比較例3 5年間無処理で屋外暴露し、浮き錆を有する3×100
×300(mm)のJIS G3141に規定された耐候性鋼
(SMA400)表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチ
ブライト除去し、表1に示す素地調整剤(iv)を0.1
Kg/m2となるよう塗装し、乾燥した後、防食塗料及
び着色上塗塗料を塗装しないで裏面及び側面をエポキシ
樹脂塗料でシールし、7日間自然乾燥させた。その塗装
鋼の耐候性及び防食性を評価した結果を以下の表2に示
す。
【0081】比較例4 実施例1において、素地調整剤を塗装した後、防食塗料
を塗装しないで、着色フッ素樹脂系上塗塗料を塗装し、
その塗装鋼の耐候性及び防食性を評価した結果を以下の
表2に示す。
【0082】
【表2】表2
【0083】注25)サンシャインウェザーメーター3
00時間後の光沢保持率(%) 注26)屋外暴露2年 注27)複合サイクル試験1100C 注28)複合サイクル試験1100C後の2mm碁盤目
試験
【0084】表2からも明らかな通り、本発明の実施例
においては、塗装鋼に対して、任意の色に着色でき、ま
た塗装鋼に、優れた耐候性及び防食性を付与することが
できる。一方、無塗装の比較例1、素地調整剤の塗膜を
形成していない比較例2、素地調整剤の塗膜のみの比較
例3、及び防食塗料のみ塗装しない比較例4では、いず
れも赤錆が発生した。
【0085】
【発明の効果】本発明の方法により、防錆性及び耐候性
を長期間保持し、更に任意の着色を可能にした、省工程
の耐候性鋼の防食方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多記 徹 栃木県那須郡西那須野町下永田7−1414− 34 (72)発明者 山崎 曜 京都府相楽郡加茂町南加茂台9−8−4 (72)発明者 田辺 弘往 栃木県那須郡西那須野町朝日町8−15 Fターム(参考) 4D075 AE03 AE27 CA13 CA32 CB04 DA06 DB02 DC05 EA07 EA25 EB09 EB12 EB16 EB22 EB33 EB35 EB37 EB38 EB39 EB43 EB45 EB56 EC01 EC07 EC11 EC15 EC45 EC60 4K062 AA01 BA08 BA10 BA14 BB07 BB10 BB12 BB18 BB21 BB22 BC15 GA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浮き錆のみ除去した錆が残存する耐候性
    鋼表面に、(a)湿気硬化型樹脂、(b)防錆顔料、(c)腐食
    イオン固定化剤、及び(d)カップリング剤を含有する素
    地調整剤の塗膜(A)を、乾燥塗布量0.03〜2.00
    Kg/m2の範囲で形成し、次いで、防錆剤を含有した
    防食塗膜(B)を、膜厚30〜60μmで形成し、更に、
    促進耐候性試験サンシャインウェザーメーター照射30
    0時間後の光沢保持率が85%以上の着色上塗塗膜(C)
    を、乾燥膜厚20〜40μmで形成することを特徴とす
    る耐候性鋼の防食法。
  2. 【請求項2】 前記(a)成分100質量部に対して、(b)
    成分を1〜95質量部、(c)成分を1〜95質量部、及
    び(d)成分を0.1〜10質量部含有し、かつ(b)成分と
    (c)成分の合計が、5〜100質量部である請求項1記
    載の防食法。
  3. 【請求項3】 前記(a)成分が、湿気硬化型ウレタン樹
    脂である請求項1記載の防食法。
  4. 【請求項4】 前記(c)成分が、ハイドロカルマイト及
    び/又はハイドロタルサイトである請求項1又は請求項
    2記載の防食法。
  5. 【請求項5】 前記着色上塗塗料が、シランカップリン
    グ剤を含有する請求項1又は請求項2記載の防食法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017140613A (ja) * 2016-02-09 2017-08-17 ベック株式会社 被膜形成方法

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