JP2003081841A - 抗アレルギー体質強化剤 - Google Patents

抗アレルギー体質強化剤

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JP2003081841A
JP2003081841A JP2002170185A JP2002170185A JP2003081841A JP 2003081841 A JP2003081841 A JP 2003081841A JP 2002170185 A JP2002170185 A JP 2002170185A JP 2002170185 A JP2002170185 A JP 2002170185A JP 2003081841 A JP2003081841 A JP 2003081841A
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allergic
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JP2002170185A
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Ryohei Tsuji
亮平 辻
Yoshiko Kurokawa
淑子 黒川
Tsutomu Masuda
力 増田
Riichiro Uchida
理一郎 内田
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Noda Institute for Scientific Research
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Kikkoman Corp
Noda Institute for Scientific Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療や食品などに応用可能な安全な素材でか
つ簡便容易な投与方法で用いられる、Th1とTh2バランス
調節機能に起因する根本的な新規抗アレルギー体質強化
剤及び抗アレルギー体質強化飲食品を提供することであ
る。 【解決手段】 ラムダカラギーナン及び/又はカッパカ
ラギーナンを有効成分とする抗アレルギー体質強化剤で
あり、さらに、抗アレルギー体質強化がTh1/Th2
バランス調節機能に起因する抗アレルギー体質強化であ
る前記抗アレルギー体質強化剤である。そして、それら
の抗アレルギー体質強化剤を含有する医薬品である。さ
らに本発明は、ラムダカラギーナン及び/又はカッパカ
ラギーナンの有効量を含有する抗アレルギー体質強化飲
食品であり、さらに、抗アレルギー体質強化がTh1/
Th2バランス調節機能に起因する抗アレルギー体質強
化である前記抗アレルギー体質強化飲食品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラムダカラギーナ
ン及び/又はカッパカラギーナンを有効成分として含有
する抗アレルギー体質強化剤、それらを含有する医薬品
及び抗アレルギー体質強化飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のアレルギー症状の増加は、1999年
度厚生省抗アレルギー薬開発ガイドライン作製研究会に
よる体系的な報告にも示される様に、大きな社会的問題
となっている。すなわち、現在日本では、国民の20-30%
が何らかのアレルギー症状を有していると考えられ、身
近な花粉症やアトピー性皮膚炎の増加は誰もが目にする
ところである。一般に言うアレルギーとは、免疫学上4
つに分類されるアレルギー反応においてI型に分類され
る即時性のものである。すなわち、花粉・ダニ・卵・牛
乳などに含まれるアレルゲンと呼ばれる物質に、個体が
何らかの要因により免疫応答を誘導しアレルギー原因抗
体であるIgEが産生されるに至る。各アレルゲンに結合
するIgEは体中に運搬された後、肥満細胞や好塩基球上
に発現しているFc受容体を介して結合し、いつでもアレ
ルギー症状を呈することが出来る状況に至る。そして、
再び体内に取り込まれたアレルゲンがFc受容体を介して
結合しているIgEに結合することによりIgEを架橋する
と、肥満細胞あるいは好塩基球に蓄えられていたヒスタ
ミンの遊離とロイコトリエンの産生を促すことにより即
時性のアレルギー症状が惹起される。更に、アレルギー
とは上記の様な即時性のものに限らない。すなわち、ア
トピー性皮膚炎・喘息・潰瘍性大腸炎などに代表される
諸疾患は、同様のIgE・ヒスタミン・ロイコトリエンを
介する反応に引き続き、IL-5(インターロイキン-5)に
よる好酸球のアレルギー局所への浸潤が起こるなど様々
な遅発性の症状が惹起される。
【0003】従来からアレルギーの緩和・抑制・治療を
目的として、様々な薬剤や食品素材が用いられてきた。
すなわち、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するこ
とを阻害する抗ヒスタミン剤、ヒスタミンやロイコトリ
エンが肥満細胞や抗塩基球から放出されることを防ぐこ
と目的とした膜安定化剤、IgEがFc受容体に結合するこ
とを阻害する抗Fc受容体抗体、そして重篤な症状が発症
した後に免疫応答を抑制する免疫抑制剤などがあげられ
る。しかしながら、これらの薬剤はアレルギーをいつで
も発症できる状況にある個体、すなわちアレルギー体質
の人が如何に最終的なアレルギーを発症しないようにす
るか、あるいはアレルギー症状を緩和させるかを意図し
たものであり、アレルギー体質そのものを改善するもの
ではない。よって、アレルギー体質そのものを抗アレル
ギー体質へと強化することが可能な全く新しい予防・治
療方法や物質の発見が待ち望まれている。
【0004】近年、このような状況を解決する手段とし
て、アレルギー体質を形成するII型免疫応答の調節が考
えられてきた。免疫応答は、ヘルパーT細胞I型(Th1)
による細胞性免疫(I型)とアレルギーに関連するヘル
パーT細胞II型(Th2)による液性免疫(II型)に大別
される。Th1とTh2の分類はMossmannらによりマウスで報
告(Annu. Rev. Immunol. 7: 145-173 (1989))がなさ
れてからヒトにおける有効性が確認され、現在では様々
な疾患・病態がTh1とTh2のバランスの崩壊により説明さ
れるに至った。すなわち、アレルギーは、全般にTh2の
行き過ぎであり、Th1の減弱化によると理解される。Th1
とTh2は共にその前駆細胞であるTh0よりサイトカイン等
による刺激を受け分化してくる。マクロファージや樹状
細胞などから主に産生されてくるIL-12とNK細胞とTh1
自体が産生するIFN−γ(インターフェロンガンマ)
はTh1細胞の分化を促進しTh2を抑制する。一方、NKT細
胞、肥満細胞そしてTh2細胞自体が産生するIL-4は逆にT
h2の分化を促進しTh1を抑制する。このように、Th1とTh
2は共存しない仕組みができていることから、一度Th2が
増強されアレルギー体質にバランスが傾くと、状況は更
にアレルギー体質へと移行していくと考えられる。
【0005】この様なTh1とTh2のバランスを調節しTh1
を増強する試み、即ち、アレルギー体質を抗アレルギー
体質に強化する試みとして、Th1の増強因子であるIL-12
の利用が注目を集めた(Am. J. Respir. Crit. Care. M
ed. 153: 535 (1996))。動物実験レベルでの解析では
確かに強力な効果を発揮するが、その強い副作用から臨
床応用がたいへん難しい状況にある。また、近年、結核
菌や大腸菌などの病原性バクテリアに多く認められる非
メチル化CpG-DNAにTh1増強効果が認められ(Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A. 93: 2879 (1996))、アレルギー
疾患への応用が期待されたが、物質の安全性の問題や投
与方法の危険性など多くの課題を含んでおり、実用化さ
れるに至っていない。一方、高齢化をたどる現代社会に
おいて、社会問題化しているアレルギー疾患による医療
費の増大は深刻な医療保険等の社会構造上の問題を引き
起こしており、これらの予防、治療を医療のみに頼るの
ではなく普段の食生活から改善することも、強く期待さ
れている。
【0006】一方、食品添加物として広く食経験のある
カラギーナン(カッパ・イオタ・ラムダなど)について
は、免疫増強に関わるアジュバント活性と免疫抑制活性
が報告されている。このアジュバント活性は、カラギー
ナンを静脈内投与、皮下投与あるいは腹腔内投与した場
合に認められる。一方、免疫抑制活性はカラギーナンを
経口投与した場合にも認められ、マクロファージの機能
を調節することによりT細胞依存性の応答が抑制される
ことが報告されている ( [1] J. Reticuloendothel. So
c. 28: 203-211 (1980). [2] J. Reticuloendothel. S
oc. 28: 213-221(1980). [3] Eur. J. Immunol. 16: 3
75-380 (1986) [4] Immunology 33: 423-432 (1977)
[5] Food Chem. Toxicol. 22: 615-621 (1984)) 。しか
し、何れの場合も投与方法を含めてその安全性、効果な
どの問題点が指摘されており、実際のアレルギー症の予
防、治療についての検討はなされていない。さらに、こ
れらの効果は、免疫抑制により得られる予防治療法であ
り、アレルギー体質を改善するものではない。
【0007】又、Frossardらはラムダカラギーナンをア
レルゲンと同時に予めマウスへ経口投与した時にのみ、
アレルゲン特異的な経口免疫寛容が誘導され、アレルゲ
ンの免疫により惹起されるアレルギー様のモデル応答が
予防可能であることを示している (Pediatric Research
49:417-422 (2001))。しかしこの報告は、ラムダカラ
ギーナンの免疫応答に重要な役割を果たすToll-like re
ceptor 4 (TLR4)に変異があるC3H/HeJマウスを用いた特
異な状況におけるものであり一般化は出来ない。更に、
Frossardらの結果は、その効果の達成のためには予めア
レルゲンの特定を行い、アレルゲンのカラギーナンとの
同時摂取を必要とする上、あくまで健常人、特に乳幼児
がアレルギー体質に今後なる場合の予防のみに応用が限
られたものである。このように、カラギーナンについて
は、これらの効果が報告されているものの、投与方法、
効果等に問題があり、アレルギー疾患の予防、治療剤と
して実用化されていない。更に、その効果も本発明のア
レルギー体質そのものを抗アレルギー体質へと強化する
予防、治療効果とは異なる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、医療
や食品などに応用可能な安全な素材でかつ簡便かつ容易
な投与方法で用いられる、根本的な新規抗アレルギー体
質強化剤及び抗アレルギー体質強化飲食品を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
解決のために鋭意研究を重ね、抗アレルギー体質への強
化となる指標をTh1とTh2バランス調節機能、すなわちI
FN−γとIL-4の産生調節活性とし、種々の物質につい
て新規な抗アレルギー体質強化機能の探索を行った。
その結果、ガラクトースからなる硫酸化多糖、カッパ及
びラムダカラギーナンに強い調節活性すなわち抗アレル
ギー体質強化機能があることを見出し、これらの知見を
もとに本発明を完成するに至った。更に、研究の過程に
おいて、特にラムダカラギーナンが抗アレルギー体質変
換活性を発現するためには増粘・安定化剤として食品加
工に用いられている濃度とは異なる摂取濃度が必要であ
ることを見出した。即ち、本発明は、 ラムダカラギー
ナン及び/又はカッパカラギーナンを有効成分とする抗
アレルギー体質強化剤であり、さらに、抗アレルギー体
質強化がTh1/Th2バランス調節機能に起因する抗
アレルギー体質強化である前記抗アレルギー体質強化剤
である。そして、それらの抗アレルギー体質強化剤を含
有する医薬品である。さらに本発明は、ラムダカラギー
ナン及び/又はカッパカラギーナンの有効量を含有する
抗アレルギー体質強化飲食品であり、さらに、抗アレル
ギー体質強化がTh1/Th2バランス調節機能に起因
する抗アレルギー体質強化である前記抗アレルギー体質
強化飲食品である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のラムダカラギーナン及び/又はカッパカラ
ギーナン(以下本発明カラギーナンという)とは、ツノ
マタ(Chodrus)などの褐藻に含まれる硫酸化ガラクト
ースからなる酸性多糖であるカラギーナンの一種であ
る。カラギーナンにはその他、イオタカラギーナン、ミ
ュウカラギーナン、ヌウカラギーナン、シーターカラギ
ーナンなどが知られる。ラムダカラギーナンは、2位の
硫酸化したガラクトースと2・6位の硫酸化したガラク
トースが交互に結合した骨格を有しており、一方、カッ
パカラギーナンは、4位の硫酸化したガラクトース残基
とアンヒドロガラクトース残基が交互に結合した骨格を
有している。いずれの本発明カラギーナンも高分子量の
多糖の会合物である。本発明に用いられるカラギーナン
としては、そのうち平均分子量100kD以上のものが
特に好ましい。また、本発明に用いるラムダカラギーナ
ン、カッパカラギーナンは、本発明の抗アレルギー体質
を強化するTh1とTh2のバランス調節活性を保持している
限りにおいて、上記構造に異なる部位の硫酸化・メチル
化・ピルビン酸化、および、アンヒドロガラクトース、
グルコース、キシロースなどの他種の構成糖の混在があ
ってもよい。本発明では、ラムダカラギーナン、カッパ
カラギーナンそれぞれ単独でも、それらを組み合わせて
も用いることもできるが、特に、ラムダカラギーナンが
好ましい。さらに本発明に好適に用いられる限りイオタ
・ミュウ・ヌウ・シータなど他種のカラギーナンが混在
していてもよい。又、本発明カラギーナンを含むカラギ
ーナンは、我が国では食品添加物として食品の増粘・安
定化剤として、高濃度で各種食品に添加され、広く安全
に利用されている。米国でもFDAにより食品添加物とし
て平均分子量100kD以上のカラギーナンが安全であ
ると認可されている(Federal Register 37: 15434 (197
2))。本発明においても、平均分子量100kD以上の本発明
カラギーナンが特に好ましい。
【0011】本発明においてアレルギー体質とはアレル
ギー疾患・病態における体質をいい、アレルギー疾患・
病態とは、例えば、ヒトをはじめとするウシ、ウマ、ブ
タ、ヒツジ、ヤギなどの哺乳動物の、アレルゲンとして
花粉、ダニ、ハウスダスト等に対するI型アレルギー、
食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、潰瘍性大腸
炎などをいう。
【0012】本発明の抗アレルギー体質強化とは、従来
の予防治療方法、すなわちアレルギーをいつでも発症で
きる状況にある個体、すなわちアレルギー体質の人が如
何に最終的なアレルギーを発症しないようにするか、あ
るいはアレルギー症状を緩和させるかを意図したものと
は異なり、アレルギー体質そのものを根本的に抗アレル
ギー体質へと強化することが可能な全く新しい予防・治
療方法をいう。アレルギー体質は、先にも述べたよう
に、II型免疫応答により形成される。免疫応答は、ヘル
パーT細胞I型(Th1)による細胞性免疫(I型)とアレ
ルギーに関連するヘルパーT細胞II型(Th2)による液
性免疫(II型)に大別され、様々なアレルギー性疾患・
病態における体質がTh1とTh2のバランスの崩壊により説
明される。すなわち、アレルギー体質は、全般にTh2の
行き過ぎであり、Th1の減弱化による。マクロファージ
や樹状細胞などから主に産生されてくるIL-12とNK細胞
とTh1自体が産生するIFN−γは、Th1細胞の分化を促
進しTh2を抑制する。一方、NKT細胞、肥満細胞そしてTh
2細胞自体が産生するIL-4は逆にTh2の分化を促進しTh1
を抑制する。このように、Th1とTh2は共存しない仕組み
ができていることから、一度Th2が増強されアレルギー
体質にバランスが傾くと、状況は更にアレルギー体質へ
と移行していく。換言するとTh1とTh2のバランスの取れ
た状態を保つことが抗アレルギー体質を形成する。すな
わち本発明の体質強化とは、Th2が増強されたアレルギ
ー体質をTh1とTh2のバランスを調節することにより抗
アレルギー体質に変換することをいう。従って、本発明
の抗アレルギー体質強化とは、Th1/Th2バランス
調節機能に起因する抗アレルギー体質強化であり、Th1
とTh2のバランスの調節、Th2応答減弱、Th1応答増強、
IFN-γ産生増強、IL-4産生抑制、IgE産生抑制などの機
能を単独もしくは併せて有する。
【0013】本発明の有効成分とは、抗アレルギー体質
強化機能を有する成分であり、上記、Th1とTh2のバラ
ンスの調節、Th2応答減弱、Th1応答増強、IFN-γ産生増
強、IL-4産生抑制、IgE産生抑制などの機能を単独もし
くは併せて有する成分をいう。本発明では、有効成分と
して本発明カラギーナンなどを挙げることができる。特
に有効な成分としてラムダカラギーナンが挙げられる。
本発明カラギーナンの有効量は、抗アレルギー体質を強
化することにより種々のアレルギー疾患の予防、治療の
機能を有する限り特に限定されないが、例えば、液状で
経口投与した場合のラムダカラギーナンの有効量は、0.
0001%から0.2%が好ましく、特に0.0005%から0.05%が好
ましい。0.05%以上の濃度では増粘効果による効果の減
少の問題が生じるとともに、Th1とTh2バランスの調節活
性も減弱するからである。同様に、カッパカラギーナン
の有効量は、0.01%から0.5%が好ましく、特に0.05%から
0.5%が好ましい。
【0014】本発明カラギーナンは、抗アレルギー体質
強化機能を有する限り、その構造の一部が改変あるいは
修飾されていている誘導体であってもよい。本発明カラ
ギーナンの誘導体としては、例えば、薬理上許容される
塩、エステルあるいはプロドラック等が挙げられる。薬
理上許容される塩としては、特に限定されないが、例え
ば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ
土類金属(マグネシウム、カルシウム等)である。これら
の水酸化物または炭酸塩、アルカリ金属アルコキサイド
(ナトリウムメトキサイド、カリウムt-プトキサイド等)
との塩が挙げられる。また、塩としては、無機酸(塩
酸、硫酸、リン酸)や有機酸(マレイン酸、クエン酸、
フマル酸等)を付加した酸付加塩、更にはアミンの付加
塩、アミノ酸の付加塩等が挙げられる。なお、上記の塩
の水和物もここでいう塩に含まれる。エステルは、アル
コールまたはカルボン酸とのエステル化反応で生じるエ
ステルであれば特に限定されない。アルコールとしては
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール等が挙げられ、またはカルボン酸としてはギ
酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。
【0015】プロドラックとは、生体に投与された後に
ラムダカラギーナン及び/又はカッパカラギーナンに変
化して、抗アレルギー体質強化機能を発現する化合物を
意味する。安定性や吸収性の改善、副作用の低減等を目
的としてプロドラック化された本発明カラギーナンも本
発明でいう誘導体に含まれる。さらに、本発明カラギー
ナンは、精製された本発明カラギーナンのみを含むもの
に限定されず、抗アレルギー体質強化機能を有する限
り、本発明カラギーナンを含有する粗精製物であっても
よく、その使用形態により適宜選択することができる。
本発明の有効成分である本発明カラギーナンは、食品添
加物として世界各国で安全に食品に利用されており、容
易に入手でき、比較的安価で安全性の優れた物質である
ため、医薬品、飲食品等に広く利用することができる。
【0016】本発明の抗アレルギー体質強化剤は、本発
明カラギーナンを有効成分とするものであり、抗アレル
ギー体質を強化することにより種々のアレルギー疾患の
予防剤または治療剤として有用である。アレルギー疾患
としては、例えば、ヒトをはじめとするウシ、ウマ、ブ
タ、ヒツジ、ヤギなどの哺乳動物の、アレルゲンとして
花粉、ダニ、ハウスダスト等に対するI型アレルギー、
食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、潰瘍性大腸
炎などが挙げられる。本発明の抗アレルギー体質強化剤
としては、食品添加物として市販されているカラギーナ
ンを用いることができるし、また、各種紅藻類の抽出物
を用いることも出来る。本発明の抗アレルギー体質強化
剤は、上記アレルギー疾患の予防、治療を目的として投
与するとき、食品添加物(増粘・安定化剤)として通常
用いられている、安全の確認された濃度より、十分に低
い濃度で経口投与されるため、安全でかつ簡便に使用で
きる。これらの本発明の抗アレルギー体質強化剤は、単
独で使用してもよく、また、他の抗アレルギー剤と併用
してもよい。
【0017】本発明の抗アレルギー体質強化剤は、その
まま、若しくはこれを公知の医薬用担体と共に製剤化す
ることにより、例えば、アレルギー疾患の医薬品として
使用できる。本発明の抗アレルギー体質強化剤は、特に
経口投与に適しており、経口投与に適した固体又は液体
の医薬用無毒性担体と混合することが好ましい。本発明
の抗アレルギー剤などの医薬品は、例えば、錠剤、顆粒
剤、粉剤、シロップ剤等の経口剤や塗布剤として通常用
いられる方法で製剤化できる。医薬用担体としては、特
に制限はなく、経口投与に適したものが好ましい。例え
ば、固形担体(デンプン、乳糖、カルボキシメチルセル
ロース等)、液体担体(蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖
水溶液、エタノール、プロピレングリコール等)、油性
担体(各種の動植物油、白色ワセリン、パラフィン等)
が挙げられる。上記医薬品は、人および人以外の動物
(ペット、家畜)用としても使用できる。有効成分の投
与量は、患者の性別、年齢、体重、症状、疾患の程度、
投与スケジュール、製剤形態等により、適宜選択・決定
される。有効成分としてラムダカラギーナンを投与する
場合は、例えば、成人一人あたり一日に0.5〜500 mg 程
度摂取できるよう服用すればよいが、好ましくは、液体
状の製剤として、0.0005〜0.05 %の溶液にて一日あたり
50〜250 ml程度服用する。カッパカラギーナンを投与す
る場合は、例えば、成人一人あたり一日に15 mg〜1.5 g
程度摂取できるよう服用すればよいが、粘度を極力低下
させた液体状の製剤として0.01%〜0.5%の溶液にて一日
あたり50〜250 ml程度服用するのが好ましい。上記抗ア
レルギー体質強化剤は長期に継続して服用することが好
ましいが、一ヶ月間以上連続して服用するのが特に好ま
しい。
【0018】次に、本発明の抗アレルギー体質強化飲食
品(以下、本発明飲食品という)について述べる。本発
明飲食品とは、本発明カラギーナンを有効成分として含
有する飲食品であり、アレルギー体質を抗アレルギー体
質に強化することにより種々のアレルギー疾患の予防、
治療の効果を有する飲食品や健康食品として有用であ
る。アレルギー疾患としては、例えば、ヒトをはじめと
するウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどの哺乳動物
の、アレルゲンとして花粉、ダニ、ハウスダスト等に対
するI型アレルギー、食物アレルギー、アトピー性皮膚
炎、喘息、潰瘍性大腸炎などが挙げられる。本発明飲食
品は、一般の飲食品に本発明カラギーナンを添加するこ
とにより容易に製造することができ、特定保健用食品、
機能性食品、特別用途食品、健康志向食品、健康食品な
どに利用できる。本発明カラギーナンを有効成分として
含有せしめるべき飲食品は特に限定されないが、例え
ば、肉製品、加工野菜、惣菜類、乳製品、菓子、パン、
調味料、清涼飲料、果実飲料、酒類等が挙げられる。
又、本発明の飲食品の食品形態としては、液状飲食品が
好ましく、例えば、本発明の液状乳製品、液体調味料、
清涼飲料、果実飲料、酒類などが挙げられる。本発明飲
食品に含まれる本発明カラギーナンの有効量は、抗アレ
ルギー体質を強化することにより種々のアレルギー疾患
の予防、治療の機能を有する限り特に限定されないが、
例えば、ラムダカラギーナンの場合、0.0001%〜0.2%が
好ましく、特に0.0005%〜0.05%含有する液状飲食品が好
ましい。0.05%以上の濃度では増粘効果による効果の減
少の問題が生じるとともに、Th1とTh2バランスの調節活
性も減弱するからである。また、飲食品によっては、そ
の形態や飲食方法が異なるため、最終的にそれらの飲食
品が実際に飲食に供されるときのラムダカラギーナンの
最終濃度を上記の本発明の濃度になるように、本発明飲
食品のラムダカラギーナンの含有量を調節することが好
ましい。同様に本発明カッパカラギーナンの有効量は0.
01%〜0.5%が好ましく、特に0.1%〜0.5%含有する液状飲
食品が好ましい。
【0019】さらに、本発明カラギーナンを有効成分と
して、そのまま、若しくはこれを一般に健康食品に用い
られる食品素材や種々の物質と混合することにより、抗
アレルギー体質強化健康食品とすることができる。食品
素材や種々の物質としては、例えば、糖類、食用たんぱ
く質、アルコール、ビタミン、増粘多糖類、アミノ酸、
カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等を挙げることが
できる。健康食品として食する場合、如何なる形態でも
良いが、例えば、錠剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤等の
経口剤として通常用いられる方法で製剤化できるが、食
品としての嗜好に適したものが好ましい。これらの健康
食品は、人および人以外の動物(ペット、家畜)用とし
ても使用できる。健康食品として食される場合の有効成
分の飲食量は、性別、年齢、体重、症状、飲食の形態等
により、適宜選択・決定される。有効成分としてラムダ
カラギーナンを投与する場合は、例えば、成人一人あた
り一日に0.5〜500 mg 程度摂取できるよう食すればよい
が、好ましくは、液体状の健康食品として、0.0005〜0.
05%の溶液にて一日あたり50〜250 ml程度服用する。カ
ッパカラギーナンを食する場合は、例えば、成人一人あ
たり一日に15 mg〜1.5 g程度摂取できるよう服用すれば
よいが、粘度を極力低下させた液体状の製剤として0.05
%〜0.5%の溶液にて一日あたり50〜250 ml程度服用する
のが好ましい。このように上記本発明飲食品を通常の食
形態の中で継続して毎日摂取することにより、飲食者の
体質が抗アレルギー体質に強化され、アレルギー症の予
防、治療に大きな効果が期待される。
【0020】
【実施例】以下に、試験例及び実施例により、本発明を
更に具体的に説明する。本発明の技術的範囲は、これら
の例により何ら限定されるものではない。 試験例1( 本発明カラギーナンによるTh1とTh2のバラ
ンス調節) 下記方法でIFN−γとIL-4を測定することによりTh1
とTh2のバランス調節活性を評価し、その結果を図1、
図2および図3に示した。 (1) ラムダカラギーナンは、シグマ社より購入したTy
pe III CarrageenanをPolymixin BカラムにてLPSの混在
を除去した後試験に用いた。 (2) [In Vitro Concanavaline A (Con A) 刺激法] Th
0細胞源としてNaive BALB/cマウスから脾臓細胞を常法
により調製し、RPMI-1640 (10% FBS, 50mM HEPES,0.1mM
2-mercaptoethanol, 100unit/ml penicillin, 100μg/
ml streptomycin)培地にて最終濃度2 x 106 cells/ml
になるよう2 μg/mlのCon Aと共培養した。この時様々
な濃度のラムダカラギーナンを加え48時間後に培養上清
中のIFN−γおよびIL-4をPharmingen社製OptEIA ki
tによるELISA法にて測定した。ラムダカラギーナンの結
果を図1左側に、カッパカラギーナンの結果を図2左側
の列に各々示した。 (3) [In Vitro スーパー抗原 (SEB) 刺激法] Th0細胞
源としてNaive BALB/cマウスから脾臓細胞を常法により
調製し、RPMI-1640 (10% FBS, 50mM HEPES, 0.1mM 2-me
rcaptoethanol, 100unit/ml penicillin, 100μg/ml st
reptomycin) 培地にて最終濃度5 x 106 cells/mlになる
よう10 μg/mlのSEBと共培養した。この時様々な濃度の
ラムダカラギーナンを加え48時間後に培養上清中のIF
N−γおよびIL-4をPharmingen社製OptEIAkitによるEL
ISA法にて測定した。ラムダカラギーナンの結果を図1
右側に、カッパカラギーナンの結果を図2右側の列に各
々示した。以上の実験から、ラムダカラギーナンおよび
カッパカラギーナンは、Naive Th0細胞が刺激を受けて
分化・増殖する際に、IFN−γ産生の増強とIL-4産生
の抑制をすることによりTh1とTh2のバランスをTh1方向
へ調節することが示された。 (4) [In Vitro抗原 (鶏卵アルブミンOVA)特異的 刺激法
1] 50 μg OVAを2 mgの水酸化アルミニウムに吸着させ
た抗原アジュバント混合液にて1週間おきに2度腹腔内
免疫をBALB/cマウスに行った。最終免疫から2週間後に
Th2細胞源として脾臓細胞を常法により調製し、RPMI-16
40 (10% FBS, 50mM HEPES, 0.1mM 2-mercaptoethanol,
100unit/ml penicillin, 100μg/ml streptomycin) 培
地にて最終濃度5 x 106 cells/mlになるよう100 μg/ml
のOVAと共培養した。この時様々な濃度のラムダカラギ
ーナンを加え72時間後に培養上清中のIFN−γをPhar
mingen社製OptEIA kitによるELISA法にて測定した。結
果を図3左側の列に示した。以上の実験から、ラムダカ
ラギーナンは、予めTh2に分化したT細胞が刺激を受け増
殖する際に、IFN−γ産生の増強を促すことにより、
Th1方向へ免疫応答を再調節することが出来ることが示
された。 (5) [In Vitro抗原 (鶏卵アルブミンOVA)特異的 刺激法
2] 100 μg OVAのフロイント完全アジュバント(CFA)と
の混合液を用いてBALB/cマウスの足しょ皮下免疫を行っ
た。免疫から2週間後にTh1細胞源として脾臓細胞とリ
ンパ節細胞を常法により調製し、RPMI-1640 (10% FBS,
50mM HEPES, 0.1mM 2-mercaptoethanol,100unit/ml pen
icillin, 100μg/ml streptomycin) 培地にて最終濃度5
x 106cells/mlになるよう100 μg/mlのOVAと共培養し
た。この時様々な濃度のラムダカラギーナンを加え72時
間後に培養上清中のIFN−γをPharmingen社製OptEIA
kitによるELISA法にて測定した。結果を図3中央および
右側の列に示した。以上の実験から、ラムダカラギーナ
ンは、予めTh1細胞に分化したT細胞が刺激を受けて増殖
する際に、IFN−γ産生を更に増強し、よりTh1方向
へ免疫応答を調節することが示された。
【0021】試験例2(本発明カラギーナンによるTh1
増強性IL-12産生) Th1の強力な増強活性を有するIL-12を測定することによ
りTh1とTh2のバランス調節活性を評価し、その結果を図
4に示した。BALB/cマウスに4mlの1%FBS含有等張化リン
酸バッファー(PBS)を腹腔内投与し常在性マクロファー
ジを回収した。RPMI-1640 (10% FBS, 50mM HEPES, 0.1m
M 2-mercaptoethanol, 100unit/ml penicillin, 100μg
/ml streptomycin) 培地にて懸濁後一晩CO2インキュベ
ーター中で培養し接着性のマクロファージのみを精製
後、最終濃度5 x 105 cells/mlになるよう培養した。こ
の時様々な濃度のラムダカラギーナンを加え24時間後に
培養上清中のIL-12をPharmingen社製OptEIA kitによるE
LISA法にて測定した。以上の実験から、ラムダカラギー
ナンはTh1細胞によるI型免疫応答の強力な誘導剤である
IL-12産生をマクロファージに誘導することが出来るこ
とが示された。
【0022】試験例3(本発明ラムダカラギーナンのTh
1とTh2バランス調節によるIgE産生抑制) In vivoにおいてラムダカラギーナンがTh1とTh2バラン
スを調節しTh2応答の減弱に至る活性を抗原 (OVA) 特異
的IgE産生減少を測定することにより評価し、その結果
を図5に示した。50 μg OVAを2 mgの水酸化アルミニウ
ムに吸着させた抗原アジュバント混合液で1週間おきに
2度腹腔内免疫をBALB/cマウスに行った。1回目の免疫
当日より生理食塩水に溶解したラムダカラギーナンを50
0 μlずつ7日目を除く28日目まで計24回連続投与し
た。最終免疫から2週間後に血清を調製し、OVA特異的I
gEおよびIgG2a抗体価をELISA法にて測定した。また、上
記と同様に免疫を行い、ラムダカラギーナンを500 μl
ずつ免疫後14日後より28日目まで計12回連続投与
し、最終免疫から3週間後の血清OVA特異的IgE抗体価を
ELISA法にて測定した結果を図6に示した。ELISAは以下
の通り行った。 Nunc社製ELISAプレートMaxisorpを50
μg/mlの濃度で0.1M NaHCO (pH8.2)に溶解したOVAを
用いてコーティングした。0.2%Tween-20含有PBS (PBS-t
ween) に溶解した1% BSAでプレートをブロッキングした
のち、1%BSA/PBSで希釈した血清を100μlずつ加え1時
間・室温で処理した。100 μlのビオチン化抗マウスIgE
抗体(Pharmingen社製1 : 500)あるいはIgG2a抗体(Pharm
ingen社製1 : 500)で結合したのち、100 μlのPeroxida
se-streptoavidine(Vector 社製、1:3000希釈)で更に
結合した。上記の試薬は何れも1% BSA含有PBSで希釈し
た。最終的に、TMB基質液(Moss社製)100 μlで発色
後、100 μlの0.05N HClで反応を停止し、ELISAプレー
トリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。以上の
実験から、ラムダカラギーナンは、マウス個体レベルに
おいてTh2により産生が誘導されるアレルギー要因・IgE
抗体の産生を抑制し、Th1により産生が誘導される抗ア
レルギーIgG2a抗体には影響を与えないことが示され、T
h1による抗アレルギー体質の強化が誘導出来ることが示
された。特にアレルギー性抗体であるIgEの産生誘導が
完了している14日後からラムダカラギーナンを経口投与
しても抑制効果が認められることから、アレルギー性抗
体をすでに持っているアレルギー患者にも有効であるこ
とが示唆された。
【0023】試験例4(本発明カッパカラギーナンのTh
1とTh2バランス調節によるIgE産生抑制) In vivoにおいてカッパカラギーナンがTh1とTh2バラン
スを調節しTh2応答の減弱に至る活性を総IgE抗体価を測
定することにより評価し、その結果を図7に示した。BA
LB/cマウスを用い、生理食塩水に溶解したカッパカラギ
ーナンを500 μlずつ週3回、4週間に渡り計12回投与
した。30日目に血清を調製し、総IgE抗体価をELISA法に
て測定した。ELISAは以下の通り行った。 Nunc社製ELIS
AプレートMaxisorpを1 μg/mlの濃度で0.1M NaHCO3 (pH
8.2)に溶解したPharmingen社製抗マウスIgE抗体でコー
ティングした。0.2%Tween-20含有PBS (PBS-tween) に溶
解した1% BSAでプレートをブロッキングしたのち、1%BS
A/PBSで希釈した血清を100μlずつ加え1時間・室温で
処理した。100 μlのPeroxidase標識抗マウスIgE抗体(S
BA社製1 : 7,500)で結合後、TMB基質液(Moss社製)100
μlで発色させた。100 μlの0.05N HClで反応を停止
し、ELISAプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測
定した。以上の実験から、カッパカラギーナンは、マウ
ス個体レベルにおいてTh2により誘導されるアレルギー
要因・IgE抗体の産生を抑制することが示され、Th2によ
るアレルギー体質の軽減が誘導されることが示された。
【0024】試験例5(本発明ラムダカラギーナンのTh
1とTh2バランス調節による血中ヒスタミン遊離抑制) In vivoにおけるラムダカラギーナンの抗原 (OVA) 特異
的IgE産生減少効果がアレルギー症状の軽減につながる
かを、血中ヒスタミン遊離への効果を測定することによ
り評価し、その結果を図8に示した。50 μg OVAを2 mg
の水酸化アルミニウムに吸着させた抗原アジュバント混
合液で1週間おきに2度腹腔内免疫をBALB/cマウスに行
った。1回目の免疫当日より生理食塩水に溶解したラム
ダカラギーナンを500 μlずつ7日目を除く28日目まで
計24回連続投与した。35日目に生理食塩水に溶解し
た抗原(OVA)100μgを腹空内投与し、10分後の血中に
存在するヒスタミン量を常法に従いHPLCにより定量
した(Loser C, Wunderlich U, Folsch UR. J Chromato
graphy 1988; 430: 249-262)。非免疫群のマウスに比
べ免疫群のマウスでは抗原を腹空内に再投与することに
より、ヒスタミン量は50 ng/mlから500 ng/mlへと大き
く増加したが、ラムダカラギーナンの経口投与群におい
ては顕著なヒスタミン遊離抑制が認められた。以上の実
験より、ラムダカラギーナンは抗原特異的IgE抗体価を
抑制することによりアレルギー発症の引き金をひくヒス
タミンの遊離を減少させ、アレルギー体質の軽減作用を
示すことが示された。
【0025】試験例6(ラムダカラギーナンの経口免疫
寛容に及ぼす影響) 本発明のラムダカラギーナンが、通常の腸管免疫応答で
ある経口免疫寛容に及ぼす影響を評価し、その結果を図
9に示した。0.5ml生理食塩水に溶解した5mgOVAをBALB/
cマウスに予め5日間経口摂取させることにより経口免
疫寛容を誘導した。この時ラムダカラギーナンを共存さ
せることによりラムダカラギーナンの経口免疫寛容に及
ぼす影響を評価した。最初の経口摂取から1週間および
2週間後に2 mgの水酸化アルミニウムに吸着させた抗原
(OVA)アジュバント混合液にて2度腹腔内免疫を行っ
た。最終免疫から2週間後に血清を調製し、OVA特異的I
gG抗体価をELISA法で測定した。ELISAは実施例3と同様
に行ったが、ビオチン化抗マウスIgE抗体の代わりビオ
チン化抗IgG抗体(Cappel社製1 : 1,000)を用いた。更
に、上記のマウスより脾臓細胞を調製しRPMI-1640 (10%
FBS, 50mM HEPES, 0.1mM 2-mercaptoethanol, 100unit
/ml penicillin, 100μg/ml streptomycin) 培地にて最
終濃度5 x 106 cells/mlになるよう100 μg/mlのOVAと
共培養した。72時間後に培養上清中のIFN−γをPhar
mingen社製OptEIA kitによるELISA法にて測定した。以
上の実験より、ラムダカラギーナンの経口投与は腸管免
疫において重要な機能である経口免疫寛容の誘導には全
く影響を与えず、上記に記述したTh1とTh2のバランス調
節による抗アレルギー体質増強が出来ることが示され
た。
【0026】実施例1(本発明の抗アレルギー体質強化
剤を含有する医薬品(抗アレルギー剤)の製造) ラムダカラギーナンを、以下の方法で調製し、医薬品用
シロップとした。ラムダカラギーナン粉末(Sigma社
製)よりエンドトキシンを除去後、滅菌精製水に溶解
し、この溶解液にチェリーシロップを穏やかに攪拌しな
がら添加して1000mLとする、下記組成のシロップ
剤を製造した。 <シロップ剤の組成> ラムダカラギーナン 0.05 g チェリーシロップ 833 mL 滅菌精製水 残余 このシロップ剤は、有効成分であるラムダカラギーナン
を 0.005%含有しており、1回当たり100 mLを服用
し、1日当たり 3 回服用することが好ましい。本剤
は、長期間継続して服用することが好ましく、特に花粉
飛散などアレルギー症状が予想されるより十分早い時期
に服用を開始することが好ましい。
【0027】実施例2(本発明の抗アレルギー体質強化
飲食品(液体調味料)の製造) 本発明の抗アレルギー剤を含有する食品として、以下の
組成(1Lあたりの添加量)の濃縮2倍つゆを製造し
た。濃い口醤油(420 ml)、味醂(70 ml)、砂糖(95
g)、グルタミン酸ソーダ(5g)、コハク酸ソーダ (0.1
g)、5'-ヌクレオタイド (0.2 g)、かつお節 (20 g)、
そうだ節 (40 g)、さば節 (20 g)、ラムダカラギーナン
( 三栄源エフ・エフ・アイ 社製)(0.1 g)。これら
の調味料は、煮物、鍋物、スープなど各種調理において
利用することにより、一般の日常の家庭料理において抗
アレルギー体質強化効果を発揮することができる。
【0028】実施例3(本発明の抗アレルギー体質強化
飲食品(清涼飲料水)の製造) 本発明の抗アレルギー体質強化飲食品として、以下の組
成(重量部)の清涼飲料水を製造した。 <清涼飲料水の組成> ラムダカラギーナン( 三栄源エフ・エフ・アイ 社製 ) 0.002 % ショ糖 3.0 果糖ブトウ糖液糖 7.0 クエン酸 0.1 水 89.9 当該抗アレルギー体質強化清涼飲料水は、このまま飲料
水として好適あり、常用することにより、抗アレルギー
体質増強効果を発揮することができる。このようにして
製造された飲食品は、抗アレルギー体質強化作用を有す
る、特定保健用食品、機能性食品、特別用途食品、健康
志向食品、健康食品などとしても利用できる。
【0029】実施例4(本発明の抗アレルギー体質強化
飲食品(水)の製造) 本発明の抗アレルギー体質強化飲食品として、以下の組
成(重量部)の水を製造した。ラムダカラギーナン(
三栄源エフ・エフ・アイ 社製 )(0.002%)を、セラミ
ック濾過した水に撹拌溶解し、滅菌、無菌充填、密閉し
て水を製造した。当該抗アレルギー体質増強・水は、こ
のまま飲水として好適あり、また煮物、鍋物、スープな
ど各種調理において利用することにより、一般の家庭料
理において、常に抗アレルギー体質増強効果を発揮する
ことができる。
【0030】
【発明の効果】本発明により、ラムダカラギーナン及び
/又はカッパカラギーナンを有効成分とする抗アレルギ
ー体質強化剤及び該抗アレルギー体質強化剤を含有する
ことを特徴とする、医薬品が提供された。さらに、ラム
ダカラギーナン及び/又はカッパカラギーナンの有効量
を含有する抗アレルギー体質強化飲食品が提供された。
本発明の抗アレルギー体質強化剤、それらを含有する医
薬品等及び抗アレルギー体質強化飲食品は、Th1とTh2バ
ランス調節機能に起因する根本的な抗アレルギー体質強
化作用を有しており、種々のアレルギー疾患の予防、治
療に有効である。本発明のラムダカラギーナン及び/又
はカッパカラギーナンは、食経験のある安全な物質であ
り、さらに、経口投与により、また、その摂取時におい
てアレルゲンを必要としないため、日常的に、簡便かつ
容易に用いることができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】ラムダカラギーナンによる抗アレルギー因子
(IFN−γ)とアレルギー因子(IL-4)の産生調節。
【図2】カッパカラギーナンによる抗アレルギー因子
(IFN−γ)とアレルギー因子(IL-4)の産生調節。
【図3】ラムダカラギーナンによる抗原(OVA)特異的I
FN−γ産生のIn Vitro における増強。
【図4】ラムダカラギーナンによる常在性腹腔内マクロ
ファージからの IL-12の産生増強。
【図5】ラムダカラギーナンによるアレルギー性抗体[I
gE]の産生抑制-1。
【図6】ラムダカラギーナンによるアレルギー性抗体[I
gE]の産生抑制-2。
【図7】カッパカラギーナンによるアレルギー性抗体[I
gE]の産生抑制。
【図8】ラムダカラギーナンによる血清ヒスタミンの遊
離抑制。
【図9】ラムダカラギーナンの経口摂取マウスでの正常
経口免疫寛容の誘導。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 力 千葉県野田市野田399番地財団法人野田産 業科学研究所内 (72)発明者 内田 理一郎 千葉県野田市野田250番地キッコーマン株 式会社内 Fターム(参考) 2B150 AA01 AA06 AB10 AE46 DC13 4B018 LB08 MD33 ME07 4C086 AA01 AA02 EA26 MA01 MA04 NA14 ZB07 ZB13 4C090 AA09 BA40 DA23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラムダカラギーナン及び/又はカッパカ
    ラギーナンを有効成分とする抗アレルギー体質強化剤。
  2. 【請求項2】 抗アレルギー体質強化が、Th1/Th
    2バランス調節機能に起因する抗アレルギー体質強化で
    ある、請求項1に記載の抗アレルギー体質強化剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の抗アレルギー体
    質強化剤を含有することを特徴とする医薬品。
  4. 【請求項4】ラムダカラギーナン及び/又はカッパカラ
    ギーナンの有効量を含有する抗アレルギー体質強化飲食
    品。
  5. 【請求項5】 抗アレルギー体質強化が、Th1/Th
    2バランス調節機能に起因する抗アレルギー体質強化で
    ある、請求項4に記載の抗アレルギー体質強化飲食品。
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