JP2007031314A - アレルギー症状の改善作用を有する組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Th2偏向型の免疫系を正常な状態に戻すことでアレルギー体質を改善しつつ、ヒスタミン等の放出を抑制して花粉症等の症状を緩和できる複合的な効果を発揮するアレルギー症状改善組成物、アレルギー症状改善剤、アレルギー症状改善飲食品を提供する。
【解決手段】 ハナビラタケから得られる成分に、以下の(a)成分及び/又は(b)成分を含有させることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する組成物。
(a)ヒスタミン放出抑制作用又は抗ロイコトリエン作用を有する成分であって、例えば甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類
(b)粘膜を強化する作用を有する成分であって、例えばベータカロテン、セレン、亜鉛
【選択図】図2
【解決手段】 ハナビラタケから得られる成分に、以下の(a)成分及び/又は(b)成分を含有させることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する組成物。
(a)ヒスタミン放出抑制作用又は抗ロイコトリエン作用を有する成分であって、例えば甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類
(b)粘膜を強化する作用を有する成分であって、例えばベータカロテン、セレン、亜鉛
【選択図】図2
Description
本発明は、花粉症などのアレルギー症状の改善作用を有する組成物並びにそれを含有する花粉症などのアレルギー症状改善剤及び花粉症などのアレルギー症状の改善作用を有する飲食品に関するものである。
近年、先進国おいて、アレルギーは最も発症率の高い疾患の一つであり、特に代表的な疾患に花粉症や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などが挙げられる。特に花粉症患者は日本だけでも約2000万人に上るといわれており、さらに年々発症者が増加し、大きな社会問題にもなっている。
花粉症にはB細胞から過剰産生されるアレルゲン特異的IgE抗体、マスト細胞や好塩基球から放出されるヒスタミンやロイコトリエンと、Th1/Th2バランスのTh2側への偏向が直接的に関与していることが知られている。すなわち、体内に進入したアレルゲンは自然免疫系細胞に取り込まれて分解され、その一部の情報がMHCIIを介してT細胞へ提示される。抗原提示を受けたT細胞はTh2細胞へと分化・活性化され、IL−4などのサイトカインをB細胞へ作用させる。Th2細胞により刺激を受けたB細胞からはIgE抗体が産生され、マスト細胞や好塩基球表面に存在するFcレセプターに結合する。再度アレルゲンが体内に侵入してマスト細胞や好塩基球表面のIgE抗体に結合すると、細胞が脱顆粒してヒスタミンなどのケミカルメディエーターが大量に放出される上に細胞表面ではロイコトリエンなどが合成される。これら諸物質は、血管透過性を亢進させて鼻詰まりを引き起こしたり平滑筋を収縮させて気道収縮を起こす。一方、近年の生活様式や食生活の変化等によりTh1/Th2バランスがTh2側へ偏向し、アレルギー疾患の増加傾向の一因となっていることが明らかになりつつある。
現在、花粉症の症状を改善する方法としては、マスクやゴーグルや空気清浄機を使用して花粉との接触機会を少なくする方法、抗ヒスタミン薬や脱顆粒抑制能やロイコトリエン合成阻害能を有する食品、例えば甜茶やシソ葉など、を摂取する方法、アレルゲンそのものを定期的に注射することにより寛容を誘導する減感作療法などがあり、ある程度の改善効果が期待できる(例えば、非特許文献1、2、特許文献1、2参照)。しかしながら、花粉との接触機会を少なくする方法には技術的な限界があり、抗ヒスタミン薬や減感作療法は副作用が問題視されており、既存の機能性食品には十分な効果があるとはいえず、いずれも決定的でない。したがって、最低限、花粉に暴露しないよう日常的な清掃が推奨される一方で、Th2偏向型の免疫系を正常な状態に戻すことでアレルギー体質を改善しつつ、ヒスタミン等の放出を抑制して花粉症等の症状を緩和できる複合的な効果を発揮する機能性食品が望まれていた。
ところで、きのこ類の一種であるハナビラタケ子実体及び/又はその処理物、ハナビラタケ菌糸体及び/又はその処理物を有効成分とする組成物が、Th1/Th2バランスの改善効果とIgA抗体の産生促進効果をもっていることが示されている(非特許文献3参照)。Th1/Th2バランスが改善されることにより、IgE抗体の産生が低下しアレルギー体質を改善する。また、IgA抗体の産生促進により、病原性微生物の消化管粘膜への結合阻害、アレルゲン物質などの消化管壁の通過の抑制が起こり、結果としてアレルギー症状の発現を軽減する(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、症例によっては、ハナビラタケから得られる成分のみでは症状が顕著に改善しない場合も見られ、さらなる機能の向上が望まれていた。
日本サプリメント協会著「サプリメント健康バイブル」p.74(2004) 大塚博邦著「花粉症」保健同人社発行(1999) 特開2000−041639号公報
特開2004−217604号公報
Jpn J Cancer Chemother Vo1.31(11),p.1761(2004)
特開2005-097133号公報
日本サプリメント協会著「サプリメント健康バイブル」p.74(2004) 大塚博邦著「花粉症」保健同人社発行(1999)
本発明は、上述の対症療法、減感作療法などの従来の方法に代わる/もしくは併用することができ、従来よりも優れた機能性成分からなる花粉症などのアレルギー症状を改善する作用を有する組成物並びにそれを含んだ製剤及び飲食品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、Th1/Th2バランスを改善してIgE量を低下させることによりアレルギー症状を改善する作用、かつIgA抗体の産生促進により、病原性微生物の消化管粘膜への結合阻害により感染を予防し、またアレルゲン物質などの消化管壁の通過阻止によるアレルギー反応を予防する作用で、アレルギー体質を改善する高い機能を有しているハナビラタケから得られる成分と、ヒスタミン放出抑制作用を有する成分、抗ロイコトリエン作用を有する成分、そして粘膜を強化する機能を有する成分を組み合わせることにより、アレルギー症状の緩和をしつつ、アレルギー体質の改善も行うことができること、さらにはそれぞれ単独成分よりも、複数の成分を共に用いることでアレルギー症状に対して、より優れた改善効果を発現することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の第一は、ハナビラタケから得られる成分に、以下の(a)成分及び/又は(b)成分を含有させることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する組成物を要旨とするものである。
(a)ヒスタミン放出抑制作用又は抗ロイコトリエン作用を有する成分
(b)粘膜を強化する作用を有する成分
好ましくは、(a)成分が、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類、ビタミンC、マグネシウム、DHAやEPAのω-3脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分である前記のアレルギー症状の改善作用を有する組成物であり、また好ましくは、(b)成分が、ベータカロテン、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンA、セレン、亜鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分である前記の改善作用を有する組成物であり、好ましくは、アレルギー症状が、花粉症である前記のいずれかに記載のアレルギー症状の改善作用を有する組成物である。
(b)粘膜を強化する作用を有する成分
好ましくは、(a)成分が、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類、ビタミンC、マグネシウム、DHAやEPAのω-3脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分である前記のアレルギー症状の改善作用を有する組成物であり、また好ましくは、(b)成分が、ベータカロテン、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンA、セレン、亜鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分である前記の改善作用を有する組成物であり、好ましくは、アレルギー症状が、花粉症である前記のいずれかに記載のアレルギー症状の改善作用を有する組成物である。
また、本発明の第二は、上記組成物を有効成分とすることを特徴とするアレルギー症状改善剤を要旨とするものである。
本発明の第三は、上記組成物を含有することを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する飲食品を要旨とするものである。
本発明によれば、花粉症などのアレルギー症状の改善作用に優れた組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ハナビラタケは、カラマツなどに生えるきのこであって、非常に僅少な食用きのこである。これまで、このハナビラタケは成長が遅く人工栽培は非常に困難であるとされてきたが、近年、比較的短期間で栽培可能な新しい栽培法が確立され、商業規模での供給が可能となってきている。このハナビラタケには大量のβグルカンが含まれていることが明らかとなり、上述のTh1/Th2バランスの改善やIgA抗体の産生促進効果だけでなく、免疫賦活効果や美白効果を有することが確認され(詳細は、Biol.Pharm.Bull. 23(7)866−872(2000)、Biol.Pharm.Bull. 25(7)931−939(2002)を参照)、健康食品として広く利用されるようになっている。
本発明で用いられるハナビラタケから得られる成分は、ハナビラタケの子実体から得られる成分であっても、ハナビラタケの菌糸体から得られる成分であってもよい。ハナビラタケの子実体については、原料のハナビラタケは特に限定されるものではなく、天然ものでも、人工栽培により得られたものであっても良い。人工栽培の方法としては、従来から知られている人工栽培用の菌床を作製することにより行なうことができる(詳細は、特開平11−56098号公報、特開2002−369621号公報及び特開2002−125460号公報などを参照)。
また、ハナビラタケの菌糸体については、従来の液体培養法によって得ることができる。培地に使用する炭素源としては、グルコース等の単糖の他、デキストリン、グリセロール等、通常用いられる炭素源が使用できる。窒素源としては無機または有機窒素源が使用できるが、生育速度の観点からは有機窒素源を用いるほうが好ましい。また、必要に応じて微量元素やビタミン等の生育因子を添加することは通常の培養と何ら変わりはない。培養温度は15℃〜30℃、pHは2.5〜8.0が好ましい。培地成分には不溶成分を添加することが均一に生育させることができることから好ましい。培養期間は菌株により、数日から数週間程度に設定されうる。
本発明で用いられるハナビラタケから得られる成分は、上記したハナビラタケ子実体または菌糸体そのものを乾燥したものや乾燥後粉砕したものなどのほか、上記したハナビラタケ子実体または菌糸体を抽出処理して得られるハナビラタケ抽出物であってもよい。ハナビラタケ抽出物を得るための抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、アセトン、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、エーテルなど任意の液体を使用することができる。また、有効性や安全性をさらに高めるために、抽出液を希釈・濃縮した後、限外ろ過または逆浸透膜処理したもの、もしくはそれらを活性炭または各種樹脂で処理したもの、またはそれらの処理液を希釈または濃縮したものを使用することもできる。
また、本発明で用いられるハナビラタケから得られる成分としては、ハナビラタケ子実体やハナビラタケ菌糸体を酵素などで処理したものを用いることもでき、これらの酵素処理物を得るためには、例えば、セルラーゼ、エンド−1,4−グルカナーゼ、キシラーゼ、エンド1,3−グルカナーゼなどを含有する酵素剤で処理することができる。例えばトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)由来の酵素類を含有する製剤(商品名「セルロシンT2」エイチビィアイ社製)やヘミセルラーゼなどの市販の酵素剤、マンナーゼ、アラバナーゼ、ペクチナーゼなどの酵素剤を使用することもできる。
酵素処理条件は従来から知られている条件が好ましい。すなわちハナビラタケに対する添加割合は「セルロシンT2」を例にとると、0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%であり、0.1〜5質量%が最も好ましい。処理液のpHは2.0〜9.0、好ましくは3.0〜8.0であり、4.0〜7.0が最も好ましい。酵素作用温度は20℃〜70℃、好ましくは30℃〜65℃であり、40℃〜60℃が最も好ましい。また、酵素処理時間は、工程の都合により数分から数時間程度に設定しても差し支えない。
酵素処理後、処理液を加熱して酵素反応を停止させる。通常、80℃〜100℃で約10分間加熱して酵素を失活させる。その後、残渣を濾別せずに処理液を凍結乾燥やスプレードライなどの乾燥手段を施して粉末などの乾燥物としてもよいし、残渣を濾別した濾液を濃縮してエキスとしてもよい。本発明で用いられるハナビラタケから得られる成分は、これらの乾燥物や濃縮エキスを包含するものである。
本発明で用いられる(a)成分は、ヒスタミン放出抑制作用を有する成分又は抗ロイコトリエン作用を有する成分であり、ここで、ヒスタミン放出抑制作用とは、肥満細胞表面上での抗原抗体反応の後に起こる脱顆粒の抑制作用をいう。抗ロイコトリエン作用とは、ロイコトリエン(マスト細胞や好塩基球、好酸球から算出される物質で、血管壁の透過性を亢進させ、血液の循環障害を起こして、鼻の粘膜が腫れ鼻づまりを引き起こす)の生合成を阻害し、症状を抑える作用をいう。(a)成分としては、前記したヒスタミン放出抑制作用又は抗ロイコトリエン作用を有する成分であれば特に限定はされないが、具体的には、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類、ビタミンC、マグネシウム、DHAやEPAのω-3脂肪酸、などが挙げられる。これらのうち、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類、ビタミンCが好ましく、さらに、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類が好ましい。これらは、市販されているものが好適に利用できる。
本発明で用いられる(b)成分は、粘膜を強化する作用を有する成分であれば特に限定はされないが、具体的には、ベータカロテン、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンA、セレン、亜鉛などが挙げられる。これらのうち、ベータカロテン、ビタミンA、セレン、亜鉛が好ましく、さらにベータカロテン、セレン、亜鉛が好ましい。これらは、市販されているものが好適に利用できる。
本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物中に含有されるハナビラタケから得られる成分は、0.1質量%〜99質量%で、好ましくは、1質量%〜80質量%、さらに好ましくは、2質量%〜50質量%である。
本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物は、上記したハナビラタケから得られる成分と、上記した(a)成分及び/又は(b)成分を含有させることを特徴とするものであり、ハナビラタケから得られる成分と(a)成分との組み合わせ、ハナビラタケから得られる成分と(b)成分との組み合わせ及びハナビラタケから得られる成分と(a)成分と(b)成分の組み合わせの3通りがある。
これらの組み合わせとしては、ハナビラタケから得られる成分と(a)成分と(b)成分の両方を含む組み合わせが好ましく、具体的には、(a)成分として、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類、(b)成分として、ベータカロテン、セレン、亜鉛のそれぞれ少なくとも1種類以上の組み合わせが好ましく、さらには、(a)成分として、例えば甜茶、シソ葉及びフキから選ばれる2種類以上、(b)成分として、例えばベータカロテン及びセレンのように2種類以上の組み合わせが好ましい。
なお、本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物には、上記の3成分に加え、必要に応じて他の成分を有していてもよい。そのようなものとしては、例えば、腸内環境を整える成分として乳酸菌、アラキドン酸の作用を抑える成分としてリノール酸、脂肪酸代謝をスムーズにし炎症発現物質の生成を抑える成分としてガンマ−リノレン酸などが挙げられ、本発明の機能を阻害しない範囲で添加することができる。
本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物の形状としては、粉末、溶液、懸濁液などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、錠剤、カプセル等任意の形状とすることができる。例えば粉末については、本組成物の構成成分が全て粉末状であればそれらを混合することで調製することができる。構成成分に液状のものが含まれている場合は、混合前もしくは混合後に、例えばシクロデキストリンなどの賦形剤を添加し、粉末化加工をすることもできる。
本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物は、アレルギー症状全般に効果を発揮し、花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などの環境アレルギーを抑制するが、その中でも特に花粉症に対して有効に作用する。
次に、本発明のアレルギー症状改善剤について説明する。
本発明のアレルギー症状改善剤は、上記した本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物を有効成分として含有するものである。組成物中のハナビラタケから得られる成分としてはハナビラタケ子実体乾燥物に換算して、成人1日あたり5mgから50g、好ましくは20mgから5g、さらに好ましくは50mgから3gを含有するものとする。ただし摂取する者の年齢、体重、症状、摂取期間などによって変化させることができる。1日あたりの量を複数回に分けて摂取することもできる。
本発明のアレルギー症状改善剤は、種々の剤形とすることができる。例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができるが、これらに限定されない。また、製剤化には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。本発明のアレルギー症状改善剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。
次に、本発明のアレルギー症状改善作用を有する飲食品について説明する。
本発明のアレルギー症状改善作用を有する飲食品は、上記した本発明のアレルギー症状の改善作用を有する組成物を含有するものである。組成物中のハナビラタケから得られる成分としてはハナビラタケ子実体乾燥物に換算して、成人1日あたり5mgから50g、好ましくは20mgから5g、さらに好ましくは50mgから3gを含有するものとする。ただし摂取する者の年齢、体重、症状、摂取期間などによって変化させることができる。1日あたりの量を複数回に分けて摂取することもできる。
本発明のアレルギー症状改善作用を有する飲食品は、飲料を含む一般食品の形態とすることもできる。例えば、アレルギー症状の改善作用を有する組成物を原材料として、麺類、パン、キャンディー、ゼリー、クッキー、スープ、健康飲料の形態とすることができる。このような食品、飲料にはアレルギー症状の改善作用を有する組成物の他に、必要に応じて他の成分、例えば、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類などを、本発明の効果を阻害しない範囲で加えることができる。
上記した本発明のアレルギー症状改善剤及びアレルギー症状改善作用を有する飲食品に含まれることとなるハナビラタケから得られる成分は、食経験もあるきのこであるハナビラタケから得られるものであり、本発明のアレルギー症状改善剤及びアレルギー症状改善作用を有する飲食品の摂取量(投与量)は厳しく制限されるものではないが、概ね下限量は効果を発現しうる最低量、上限量は摂取のし易さ、経済性の観点から実際的な量が選択される。
同様に、本発明のアレルギー症状改善剤及びアレルギー症状改善作用を有する飲食品に含まれることとなるヒスタミン放出抑制作用を有する成分、抗ロイコトリエン作用を有する成分、粘膜を強化する機能を有する成分についても、摂取量(投与量)は厳しく制限されるものではないが、概ね下限量は、ハナビラタケから得られる成分と組み合わせた際、各成分に応じての効果を発現しうる最低量、上限量は摂取のし易さ、経済性の観点から実際的な量が選択される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
製造例1〔ハナビラタケ子実体の製造〕
ハナビラタケ子実体を以下の方法により製造した。すなわち、カラマツの大鋸屑、小麦粉、栄養分(バナナ、蜂蜜、エビオス、ペプトン、塩化カルシウム、ハイポネックス)および水を、大鋸屑:小麦粉:栄養分:水=100:11.5:1.9:51の重量比で含む菌床基材を準備した。この菌床基材(520g)を850ccのポリプロピレン製の培養瓶に入れ、常法にしたがって培養瓶を滅菌した後、ハナビラタケの種菌(16g)を接種した。その後、この培養瓶を23℃の温度下、56日間培養することによりハナビラタケ子実体を収穫した。子実体の重量は培養瓶1本あたり約100gであった。
ハナビラタケ子実体を以下の方法により製造した。すなわち、カラマツの大鋸屑、小麦粉、栄養分(バナナ、蜂蜜、エビオス、ペプトン、塩化カルシウム、ハイポネックス)および水を、大鋸屑:小麦粉:栄養分:水=100:11.5:1.9:51の重量比で含む菌床基材を準備した。この菌床基材(520g)を850ccのポリプロピレン製の培養瓶に入れ、常法にしたがって培養瓶を滅菌した後、ハナビラタケの種菌(16g)を接種した。その後、この培養瓶を23℃の温度下、56日間培養することによりハナビラタケ子実体を収穫した。子実体の重量は培養瓶1本あたり約100gであった。
参考例1〔マウスによるハナビラタケ粉末のIgE上昇抑制効果確認試験〕
1.試料
ハナビラタ粉末(平均粒径8μm)を、マウス1匹当たり2mg/kg、10mg/kg、30mg/kgとなるように、マウス用粉末餌(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社製)に混合した。
1.試料
ハナビラタ粉末(平均粒径8μm)を、マウス1匹当たり2mg/kg、10mg/kg、30mg/kgとなるように、マウス用粉末餌(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社製)に混合した。
2.実験動物、飼育
6週齢BALB/cマウス(日本チャールズリバー株式会社製)を1群7匹とし、粉末餌CRF−1と水を自由摂取させて1週間、順化飼育を行なった。順化飼育終了時を、0週目とした。0週目より、各々の群にハナビラタケ粉末入りの粉末餌を自由摂取させた。ネガティブコントロール群には通常粉末餌を摂取させた。
6週齢BALB/cマウス(日本チャールズリバー株式会社製)を1群7匹とし、粉末餌CRF−1と水を自由摂取させて1週間、順化飼育を行なった。順化飼育終了時を、0週目とした。0週目より、各々の群にハナビラタケ粉末入りの粉末餌を自由摂取させた。ネガティブコントロール群には通常粉末餌を摂取させた。
3.マウス血清中IgE濃度の測定
IgEの測定にはIgE Mouse ELISA Quantitation Kit(BETHYL LABORATORIES,Inc)を使用した。
IgEの測定にはIgE Mouse ELISA Quantitation Kit(BETHYL LABORATORIES,Inc)を使用した。
4.実験条件
実験群としては、1)ネガティブコントロール(通常餌投与)群、2)ハナビラタケ2mg/kg投与群、3)ハナビラタケ10mg/kg投与群、4)ハナビラタケ30mg/kg投与群を設定した。0週目よりマウス1匹あたり0.1mgのオボアルブミン(OVA)を2mgの水酸化アルミニウムゲルとともに腹腔内投与し、マウスをアレルギー状態にした。OVA免疫は、0週目、2週目、4週目に実施した。5週目に採血を行って血清を調整し、IgE濃度を測定した。
実験群としては、1)ネガティブコントロール(通常餌投与)群、2)ハナビラタケ2mg/kg投与群、3)ハナビラタケ10mg/kg投与群、4)ハナビラタケ30mg/kg投与群を設定した。0週目よりマウス1匹あたり0.1mgのオボアルブミン(OVA)を2mgの水酸化アルミニウムゲルとともに腹腔内投与し、マウスをアレルギー状態にした。OVA免疫は、0週目、2週目、4週目に実施した。5週目に採血を行って血清を調整し、IgE濃度を測定した。
5.実験結果
各群における、血清中IgE濃度の測定結果を図1に示す。結果、5週間と比較的短い投与期間だったにもかかわらず、ハナビラタケ粉末の容量依存的なIgE濃度の減少が確認できた。したがって、ハナビラタケを含有する食品等を継続的に摂取することによりTh1/Th2バランスが改善され、結果としてIgE濃度が減少することが示唆された。
各群における、血清中IgE濃度の測定結果を図1に示す。結果、5週間と比較的短い投与期間だったにもかかわらず、ハナビラタケ粉末の容量依存的なIgE濃度の減少が確認できた。したがって、ハナビラタケを含有する食品等を継続的に摂取することによりTh1/Th2バランスが改善され、結果としてIgE濃度が減少することが示唆された。
実施例1〔受身皮膚アナフィラキシー反応〕
1.投与試料
試験試料のアレルギー症状改善剤の質量組成比は、ハナビラタケ(子実体熱風乾燥粉砕品)100、甜茶エキス粉末(丸善製薬製)150、シソの実エキス粉末(オリザ油化製)100、フキエキス粉末(オリザ油化製)50、ベータカロテン(共和ハイフーズ製)1.3、その他賦形剤(還元麦芽糖水飴やセルロース)598.7となるように調整したものを使用した。
1.投与試料
試験試料のアレルギー症状改善剤の質量組成比は、ハナビラタケ(子実体熱風乾燥粉砕品)100、甜茶エキス粉末(丸善製薬製)150、シソの実エキス粉末(オリザ油化製)100、フキエキス粉末(オリザ油化製)50、ベータカロテン(共和ハイフーズ製)1.3、その他賦形剤(還元麦芽糖水飴やセルロース)598.7となるように調整したものを使用した。
2.実験条件
BALB/cマウス(7週齢、雄)を4日間の予備飼育後、マウスを8匹ずつ6群に分けた。20μLのα-DNP IgE(10μg/mL)in PBSをマウスの耳に皮内注射し、おのおのの群に対し、22時間後に水に懸濁した甜茶エキスを500mg/kg、フキエキスを500mg/kg、シソの実エキスを500mg/kg、アレルギー症状改善剤を20mg/kg経口投与した。また、陰性対照には水のみを投与し、陽性対照には水の経口投与1時間半後にケトチフェンフマル酸(第2世代の抗ヒスタミン薬)を腹腔内に10mg/kg投与した。経口投与2時間後、5mg/mLのエバンスブルー色素を含む1mg/mL DNP-BSA100μLを尾静脈から投与した。尾静脈投与30分後マウスを屠殺し、耳を回収した。回収した耳を0.5%硫酸ナトリウム/アセトン(3:7)溶液1mLに浸した。24時間後、溶出液の吸光度(620nm)を測定した。
BALB/cマウス(7週齢、雄)を4日間の予備飼育後、マウスを8匹ずつ6群に分けた。20μLのα-DNP IgE(10μg/mL)in PBSをマウスの耳に皮内注射し、おのおのの群に対し、22時間後に水に懸濁した甜茶エキスを500mg/kg、フキエキスを500mg/kg、シソの実エキスを500mg/kg、アレルギー症状改善剤を20mg/kg経口投与した。また、陰性対照には水のみを投与し、陽性対照には水の経口投与1時間半後にケトチフェンフマル酸(第2世代の抗ヒスタミン薬)を腹腔内に10mg/kg投与した。経口投与2時間後、5mg/mLのエバンスブルー色素を含む1mg/mL DNP-BSA100μLを尾静脈から投与した。尾静脈投与30分後マウスを屠殺し、耳を回収した。回収した耳を0.5%硫酸ナトリウム/アセトン(3:7)溶液1mLに浸した。24時間後、溶出液の吸光度(620nm)を測定した。
3.実験結果
測定結果を図2に示す。値は平均値±S.E.となっている。甜茶エキス、フキエキス、シソの実エキス、アレルギー症状改善剤の全てで、P<0.01と有意にアレルギーが抑制されていた。アレルギー症状改善剤については、その投与量が非常に少ないにもかかわらず、甜茶エキス、フキエキス、シソの実エキス以上の効果が得られていることから、アレルギー症状改善剤に含まれる複数の有効成分が相乗的に作用したことが確認された。
測定結果を図2に示す。値は平均値±S.E.となっている。甜茶エキス、フキエキス、シソの実エキス、アレルギー症状改善剤の全てで、P<0.01と有意にアレルギーが抑制されていた。アレルギー症状改善剤については、その投与量が非常に少ないにもかかわらず、甜茶エキス、フキエキス、シソの実エキス以上の効果が得られていることから、アレルギー症状改善剤に含まれる複数の有効成分が相乗的に作用したことが確認された。
上記実施例1により、本発明のアレルギー症状改善剤は、複数の有効成分が相乗的に作用することで、それぞれ単独の場合と比較してアレルギー症状の改善効果が飛躍的に向上することが明らかとなった。
Claims (6)
- ハナビラタケから得られる成分に、以下の(a)成分及び/又は(b)成分を含有させることを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する組成物。
(a)ヒスタミン放出抑制作用又は抗ロイコトリエン作用を有する成分
(b)粘膜を強化する作用を有する成分 - (a)成分が、甜茶、シソ葉、シソ実、フキ、柿渋、柿の葉、柿の実、カテキン、ケルセチンなど各種ポリフェノール類、ビタミンC、マグネシウム、DHAやEPAのω-3脂肪酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分である請求項1記載のアレルギー症状の改善作用を有する組成物。
- (b)成分が、ベータカロテン、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンA、セレン、亜鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上の成分である請求項1又は2記載のアレルギー症状の改善作用を有する組成物。
- アレルギー症状が、花粉症である請求項1〜3のいずれかに記載のアレルギー症状の改善作用を有する組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を有効成分とすることを特徴とするアレルギー症状改善剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とするアレルギー症状の改善作用を有する飲食品。
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JP2005214296A JP2007031314A (ja) | 2005-07-25 | 2005-07-25 | アレルギー症状の改善作用を有する組成物 |
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---|---|---|---|---|
JP2007230977A (ja) * | 2006-03-03 | 2007-09-13 | Naris Cosmetics Co Ltd | 顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(gm−csf)産生抑制剤ii |
CN103800398A (zh) * | 2012-11-12 | 2014-05-21 | 苏州市洋海电子有限公司 | 有机锌与多穗柯甜茶提取物的组合物 |
KR101736916B1 (ko) | 2016-03-07 | 2017-05-29 | 오좌섭 | 프탈라이드 유도체를 이용한 아토피 피부염 개선제 조성물 |
-
2005
- 2005-07-25 JP JP2005214296A patent/JP2007031314A/ja active Pending
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