JP2003079271A - 生物農薬及びそれに用いる天敵昆虫の増殖方法 - Google Patents

生物農薬及びそれに用いる天敵昆虫の増殖方法

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寛 大井田
Fujio Katono
冨士夫 上遠野
Kiichi Shimizu
喜一 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は複数種の園芸害虫類に対して
効果のある生物農薬を提供することにある。 【解決手段】 ジオコリス・プロテウス(Geocoris pro
teus)及び/又はピオコリス・バリウス(Piocoris vari
us)を天敵昆虫とする生物農薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生物農薬及びそれに
用いる生物の増殖方法、特に天敵昆虫を用いた生物農薬
の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】園芸害虫の中にはアザミウマ類、コナジ
ラミ類、アブラムシ類、あるいはダニ類のように微小、
且つ殺虫剤に対して高度の抵抗性を示すものがあり、ナ
ス、トマト、ピーマン、キュウリ、メロン、スイカ、イ
チゴなどの各種作物にしばしば大きな被害を与える。殺
虫剤に対して高度の抵抗性を発達させている園芸害虫に
ついては、殺虫剤による防除は困難であり、我が国では
これに代わる適当な防除法に乏しい。そこで近年、海外
から導入された数種類の生物農薬が農薬登録され、使用
が開始されている。これらは害虫の病原体、あるいは天
敵となる昆虫などを散布し、害虫の増殖を抑制するもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
はいずれも一種類の害虫を対象とした生物農薬であるた
め、複数の園芸害虫が混発する環境下ではその利用効果
が低く、複数の生物農薬を導入する必要を生じ、費用が
増大するという課題があった。本発明は前記従来技術の
課題に鑑みなされたものであり、その目的は複数種の園
芸害虫類に対して効果のある生物農薬を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すために
本発明者等が鋭意検討を行った結果、一部の捕食性カメ
ムシに複数種の園芸害虫の捕食作用があることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明にか
かる生物農薬は、ジオコリス・プロテウス(Geocoris p
roteus)及び/又はピオコリス・バリウス(Piocoris va
rius)を天敵昆虫とする。また、前記生物農薬におい
て、ジオコリス・プロテウス及び/又はピオコリス・バ
リウスは成虫、若虫、又は卵の形態で散布されることが
好適である。また、前記生物農薬において、防除対象害
虫が鱗翅目昆虫類、アザミウマ類、ダニ類、コナジラミ
類、アブラムシ類、ヨコバイ類、カメムシ類、カイガラ
ムシ類及びトビムシ類からなる群より選択される一種又
は二種以上を含むことが好適である。
【0005】また、本発明にかかる天敵昆虫の増殖方法
は、ジオコリス・プロテウス及び/又はピオコリス・バ
リウスを、起毛性産卵材に産卵させることを特徴とす
る。また、前記方法において、天敵昆虫は鱗翅目昆虫
類、コナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類及びダ
ニ類からなる群より選択される一種又は二種以上を含む
餌により生育させることが好適である。また、前記方法
において、天敵昆虫の餌は鱗翅目昆虫類の冷凍卵である
ことが好適である。また、前記方法において、天敵昆虫
の卵又は幼虫を15℃以下に貯蔵し、孵化時期又は齢期
を調整することが好適である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる生物農薬の
好適な実施形態について説明する。天敵昆虫の選定 本発明にかかる生物農薬に用いられる天敵昆虫は、ジオ
コリス・プロテウス(和名:ヒメオオメカメムシ:以
下、ジオコリス)及びピオコリス・バリウス(和名:オ
オメカメムシ:以下、ピオコリス)である。これらはア
ザミウマ類、コナジラミ類、アブラムシ類あるいはダニ
類などの殺虫剤抵抗性を発達させやすい微小害虫の卵、
幼虫、成虫を捕食する。次の表1に各種天敵昆虫(ダニ
を含む)の捕食対象害虫について検討した結果を示す。
【0007】
【表1】 捕食性昆虫、ダニ捕食対象 シ゛オコリス ヒ゜オコリス タイリクヒメハナカメムシ チリカフ゛リタ゛ニ ククメリスカフ゛リタ゛ニ チョウ・カ゛ 卵 ◎ ◎ △ × ×チョウ・カ゛ 若年幼虫 ○ ○ × × ×コナシ゛ラミ 類幼虫 ○ ○ △ × ×コナシ゛ラミ 類蛹 ○ ○ △ × ×アフ゛ラムシ 類成幼虫 ○ ◎ △ × ×アサ゛ミウマ 類成虫 ○ ○ ◎ × △アサ゛ミウマ 類幼虫 ○ ○ ◎ × ◎ハタ゛ニ類成幼虫 ◎ ○ △ ◎ × ◎…好んで捕食する害虫 ○…捕食が可能な害虫 △…捕食するが防除効果は低い害虫 ×…捕食が不可能な害虫
【0008】表1より、本発明にかかる天敵昆虫(ジオ
コリス、ピオコリス)は非常に多種類の害虫の各形態
(卵、幼虫、蛹、成虫)を捕食するのに対し、他の捕食
性昆虫(タイリクヒメハナカメムシ、チリカブリダニ、
ククメリスカブリダニ等)は捕食対象の指向性が非常に
高く、複数の園芸害虫が混発する実環境下での単独利用
は、効果に疑問があることが理解される。さらに一部、
生物農薬として実用化されている寄生性昆虫(オンシツ
ツヤコバチ、イサエアヒメコバチ、コレマンアブラバチ
等)は、一般に捕食性昆虫よりもさらに寄生対象の指向
性が高い傾向にある。
【0009】このように捕食性昆虫、あるいは寄生性昆
虫には多種類のものが存在するが、これらのうちで捕食
対象とする園芸害虫類の種類が広いものは非常に少な
く、この点で本発明にかかる天敵昆虫は有用性がきわめ
て高いことが示される。また、本発明にかかる天敵昆虫
は日本の在来種であり、野外でこれらの生物農薬を散布
したとしても生態的に何等悪影響を及ぼさない。しかし
ながら、従来、これらの天敵昆虫の生態に関してはほと
んど検討が行われておらず、単に小昆虫の捕食を行うも
のであると認識されているに過ぎない。大量増殖法に関
しても、国内では生息が確認されていない近似種のG.pu
nctipesについて増殖が行われたという報告があるのみ
で、本発明にかかる天敵昆虫については何等検討が行わ
れていなかった。
【0010】天敵昆虫の増殖方法 天敵昆虫の増殖は、餌として用いる園芸害虫オオタバコ
ガを大量飼育する工程と、天敵昆虫に餌を捕食させ所定
産卵場所に産卵させることの2つの作業からなる。
【0011】オオタバコガの維持管理は1,2齢幼虫を
集団で、3〜5齢幼虫を個体で飼育することによって行
う。集団飼育は孵化約1日前の卵をクッキングペーパー
(産卵台座)ごとシール容器に入れ、この上に昆虫幼虫
育成用人工飼料をおろし金などで細かく切削して載せ、
さらにこれらをペーパータオル1枚で覆ってから逃亡防
止用クッキングペーパーを蓋と本体との間に挟んで恒温
器中に保持する。翌日に孵化した幼虫は、25℃条件下
では約1週間で3齢幼虫になる。3齢以降は十分な摂食
量の確保と共食い防止のため小型プラスチックシャーレ
に上記人工飼料及び幼虫1匹を入れて個体飼育する。な
お、4〜5齢期間には摂食量が激増するため、5齢脱皮
時に人工飼料を追加し、その中で蛹化させる。蛹は蛹化
後に雌雄鑑別しクッキングペーパー切片を1枚入れたプ
ラスチック管ビンに移して羽化させる。25℃条件下で
は雌が雄よりも約1.5日早く羽化するため、雌雄同時
に羽化させて採卵に用いるには蛹化後に雌雄鑑別し、雌
の蛹のみを18℃条件下で約1.5日間保持して発育速
度を調整する。羽化後の成虫は、餌として吸水用ブドウ
糖液を濾液に含浸させたものを飼育ケージに置き、ここ
に雌雄30〜35対を放って交尾させた後、クッキング
ペーパー及び約2mm目のナイロンネットを蓋と本体との
間に挟んで産卵させる。産卵させたクッキングペーパー
は毎日新しいものと交換する。卵は累代飼育用とする場
合には25℃条件下に保持するが、天敵昆虫の飼料とし
て用いる場合には発育を停止させるため速やかに冷凍庫
に移して保存する。以上の操作を繰り返してオオタバコ
ガを維持する。
【0012】なお、本発明にかかる天敵昆虫の飼料とし
ては、鱗翅目昆虫類、コナジラミ類、アザミウマ類、ア
ブラムシ類及びダニ類等を用いることができるが、特に
オオタバコガの卵に代表される殻の薄い鱗翅目昆虫類の
卵を用いることが好適である。つぎに、天敵昆虫の飼育
・維持と増殖法について説明する。ガラスシャーレに濾
紙を敷き、この上に飼料と新品のクッキングペーパー又
は脱脂綿の切片、及び水を含ませた脱脂綿を詰めた小型
のプラスチックシャーレを置いてから、天敵昆虫の成虫
約10匹を放つ。さらに逃亡防止のためにクッキングペ
ーパーを上蓋との間に挟んで保持する。餌交換は2,3
日毎とし、同様のシャーレを準備して毎回新しいシャー
レに昆虫を移して行う。なお、新品のクッキングペーパ
ー又は脱脂綿の切片は産卵場所として、水を含ませた脱
脂綿を詰めたプラスチックシャーレは水分保持用として
それぞれ利用する。また、逃亡防止用に挟んで使用する
クッキングペーパーにも産卵している場合もあるので、
毎回新しいものと交換する。成虫の餌交換で残ったシャ
ーレの濾紙及びクッキングペーパー、脱脂綿に付着して
いる卵は、成虫と同様に水分補給して孵化までその状態
で恒温器中に保持する。
【0013】25℃の場合、卵は約10日で孵化する。
孵化した幼虫は成虫とほぼ同様の方法で飼育するが、飼
料が不足しないよう、飼育する幼虫の齢期に応じて飼料
の量を調整する。また、餌の交換時はクッキングペーパ
ーのみを新しいものと取り替える。なお、必要に応じて
濾紙の交換及び水分保持用脱脂綿の水分補給を行う。以
上のような手順により、天敵昆虫を飼育、増殖するが、
羽化日を調整する必要が生じた場合には、天敵昆虫の飼
育温度を22〜28℃の範囲内で変更し、発育速度を調
整することができる。
【0014】
【実施例】実施例1 天敵昆虫の捕食性 本発明にかかる天敵昆虫の園芸害虫に対する捕食性を確
認する目的で次の実験を行った。小型のシャーレに十分
量の園芸害虫を入れ、ここにジオコリス又はピオコリス
の成虫1匹を放って、各飼料における1日当たりの捕食
数を調査した。
【0015】
【表2】 ジオコリス ピオコリス オオタハ゛コカ゛ 冷凍卵 13.8 24.3オオタハ゛コカ゛ 1齢幼虫 1.0 2.0ハスモンヨトウ 1齢幼虫 12.3 未実施 ミカンキイロアサ゛ミウマ 成虫 6.0 9.0ミカンキイロアサ゛ミウマ 幼虫 未実施 44.0アフ゛ラムシ 類成幼虫 3.8 6.2カンサ゛ワハタ゛ニ 成虫 4.3 6.7オンシツコナシ゛ラミ 幼虫 13.8 未実施ナカ゛カメムシ 類幼虫 未実施 1.2ヨコハ゛イ類幼虫 3.3 3.0
【0016】上記検討結果より明らかなように、本発明
にかかるジオコリス及びピオコリスは多種類の園芸害虫
に有効であり、しかもその捕食量も非常に大きい。ま
た、ジオコリス、ピオコリスは不完全変態で成長するた
め、孵化直後から死亡まで長期にわたり連続的に捕食が
行われ、その生涯捕食数は極めて大きなものとなる。次
に本発明者等は、カンザワハダニをイチゴに寄生させ、
ここにジオコリスの成虫を株当たり2匹放飼して1週間
毎にカンザワハダニ寄生数を調べた。
【0017】
【表3】 放飼前 6日 12日 20日 27日 33日 天敵放飼区 33.5 45.0 16.0 53.0 74.0 75.5 補正密度指数 31.6 5.9 19.6 19.3 11.0 葉の状態(目視) ○ ○ ○ ○ ○ ○ 天敵無放飼区 11.5 49.0 93.0 93.0 131.5 235.0 葉の状態(目視) ○ ○ △ △ △ × 補正密度:天敵無放飼区の密度を100とした場合の補正密度指数
【0018】上記表3より明らかなように、天敵放飼区
は無放飼区に比較し補正密度で1/5〜1/10程度と
なった。また、イチゴの葉の状態も天敵放飼区では特に
大きな異常は認められなかったのに対し、天敵無放飼区
ではカンザワハダニが増殖するにつれ葉の状態が悪化
し、33日目には回復不能な程度まで悪化した。以上の
結果から、本発明にかかる天敵昆虫は一株当たり2匹程
度でハダニ寄生数を十分に低減できることが明らかとな
った。
【0019】実施例2 天敵昆虫の発育速度及び捕食量 天敵として利用する昆虫には高い増殖率と捕食能力が要
求される。増殖率は発育期間、すなわち卵〜幼虫期間
(1世代の所要日数)が短いほど高くなる。また、捕食
能力は単位時間当たりの捕食量が多いほど高くなる。そ
こで、次のようにして天敵昆虫の発育期間及び捕食量を
明らかにした。クッキングペーパーに産卵させたオオタ
バコガの冷凍卵を小型シャーレに入れる。ここに、あら
かじめ各温度条件下で孵化までの日数を調査したジオコ
リスの孵化当日の幼虫を入れて羽化までの脱皮の有無を
毎日調べ、各齢期及び1世代の所要日数(表4)と捕食
数(表5)を求める。同様の方法によりピオコリスにお
ける所要日数(表6)及び捕食数(表7)も求めた。な
お、いずれの実験においても幼虫の餌交換を2ないし3
日毎に行った。
【0020】
【表4】 ジオコリスの卵、幼虫期及び一世代の発育所要日数飼育温度 卵 1齢 2齢 3齢 4齢 5齢 一世代の合計 20℃ 23.5 12.7 10.5 10.7 11.7 18.2 87.1 24℃ 13.3 5.8 6.0 5.7 6.4 9.3 46.6 26℃ 9.9 5.8 4.4 4.7 5.5 7.3 37.4 28℃ 8.4 4.5 3.9 3.9 4.9 6.0 31.7
【0021】
【表5】 ジオコリス幼虫各齢期における一日当たりの冷凍卵捕食数飼育温度 1齢 2齢 3齢 4齢 5齢 世代平均 20℃ 1.0 1.4 2.6 3.3 4.1 2.7 24℃ 1.6 2.3 3.5 6.1 6.3 4.2 26℃ 1.9 3.4 4.6 7.9 11.2 6.3 28℃ 2.7 3.9 7.7 11.3 13.2 8.2
【0022】
【表6】 ピオコリスの卵、幼虫期及び一世代の発育所要日数飼育温度 卵 1齢 2齢 3齢 4齢 5齢 一世代の合計 24℃ 13.3 8.1 6.6 7.0 8.4 11.7 55.1 26℃ 11.1 6.2 5.1 5.5 6.7 10.9 45.4 28℃ 9.8 5.8 4.5 5.5 5.5 8.5 39.6
【0023】
【表7】 ジオコリス幼虫各齢期における一日当たりの冷凍卵捕食数飼育温度 1齢 2齢 3齢 4齢 5齢 世代平均 24℃ 2.4 4.1 6.0 12.8 16.2 9.2 26℃ 3.0 6.3 8.8 13.3 18.3 11.3 28℃ 4.0 8.6 10.5 21.7 26.2 15.5
【0024】前記表4,6に基づき、発育速度(1/合
計日数)と温度の関係を示したのが図1,2である。各
図とも、おおよそ15℃で発育速度が0となり、ほぼ発
育が停止することが理解される。実際、5℃程度でも天
敵昆虫は短期間に死滅はしないが、生育は停止し、この
傾向は15℃程度まで見られる。この結果、本発明にか
かる天敵昆虫を輸送する際などには、短期間(数日程
度)であれば温度を5〜15℃にすることで、摂食量な
どを減らしつつ、また所定の生育段階での維持が可能と
なる。また、30℃程度まで生育速度が増加し、特に生
育に悪影響はないことから、ハウス栽培作物へ適用した
場合のように、高温多湿な環境下に対する耐性も高いこ
とが認められる。つぎに本発明者等はピオコリス卵の飼
育温度(15L:15時間明環境/日)と孵化率、孵化
日数との関係を調べた。
【0025】
【表8】飼育条件 供試虫数 孵化虫数 孵化率 孵化日数 20℃15L 89 77 86.5 23.5 22℃15L 71 61 85.9 18.9 24℃15L 67 66 98.5 13.3 26℃15L 555 525 94.6 11.1 28℃15L 141 135 95.7 9.830℃15L 162 155 95.7 8.6 前記孵化日数について発育速度(1/孵化日数)を算出
し、その結果を図3に示す。
【0026】同図より、孵化日数についても前記幼虫期
の生育速度と同様に温度との相関が極めて強く、飼育温
度の制御により孵化時期の設定が可能となる。さらに本
発明者等はジオコリスについて、産卵当日の卵を所定日
数10℃条件下にて冷蔵した後、26℃、15L9D条
件下に移行し、保持した場合の孵化率及び孵化日数を調
べた。その結果を次の表9に示す。
【0027】
【表9】
【0028】前記表9より明らかなように、冷蔵日数が
10日までは孵化率の低下はあまり認められない。そし
て、15℃以下(10℃)での保存期間は26℃に移行
してからの孵化日数に影響しない。以上のことから、本
発明にかかる天敵昆虫の卵は15℃以下で貯蔵すること
により、おおよそ10日までの孵化時期調整を図ること
ができる。
【0029】実施例3 天敵昆虫の産卵場所 天敵昆虫を害虫防除に利用する目的で大量増殖するため
には、簡便且つ安価な飼育方法を確立する必要がある。
事前の観察により、ジオコリス及びピオコリスはいずれ
も植物体表面の毛茸などの柔軟な場所を好んで産卵する
ことが確認された。そこで、各種の柔軟な人工材料を用
い、産卵場所としての適性を確認した。数種類の人工材
料を入れたシャーレを用意してジオコリスまたはピオコ
リスを雌雄各5匹ずつ放ち、25℃に3日間保持して各
材料における産卵数を調査した。
【0030】
【表10】産卵場所 ジオコリス ピオコリス 脱脂綿 19 6 クッキングペーパー 2 1 綿棒 15 0 カイコ繭 15 1 平面繭 8 4 毛糸 7 4ティッシューペーパー 0 0 前記表10より明らかなように、本発明にかかる天敵昆
虫は、柔軟な材料のうちでも、特に起毛性材料の産卵場
所を好むことが明らかとなった。
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる生物
農薬は、ジオコリス及び/又はピオコリスを天敵昆虫と
することにより、複数の園芸害虫が混発するような環境
下での害虫駆除に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はジオコリス幼虫の飼育温度と発育速度の
関係を示す説明図である。
【図2】図2はピオコリス幼虫の飼育温度と発育速度の
関係を示す説明図である。
【図3】図3はピオコリス卵の飼育温度と発育速度の関
係を示す説明図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジオコリス・プロテウス(Geocoris pro
    teus)及び/又はピオコリス・バリウス(Piocoris vari
    us)を天敵昆虫とする生物農薬。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の生物農薬において、ジオ
    コリス・プロテウス及び/又はピオコリス・バリウスは
    成虫、若虫、又は卵の形態で散布されることを特徴とす
    る生物農薬。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の生物農薬におい
    て、防除対象害虫が鱗翅目昆虫類、アザミウマ類、ダニ
    類、コナジラミ類、アブラムシ類、ヨコバイ類、カメム
    シ類、カイガラムシ類及びトビムシ類からなる群より選
    択される一種又は二種以上を含むことを特徴とする生物
    農薬。
  4. 【請求項4】 ジオコリス・プロテウス及び/又はピオ
    コリス・バリウスを、起毛性産卵材に産卵させることを
    特徴とする天敵昆虫の増殖方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の方法において、天敵昆虫
    は鱗翅目昆虫類、コナジラミ類、アザミウマ類、アブラ
    ムシ類及びダニ類からなる群より選択される一種又は二
    種以上を含む餌により生育させることを特徴とする天敵
    昆虫の増殖方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の方法において、天敵昆虫
    の餌は鱗翅目昆虫類の冷凍卵であることを特徴とする天
    敵昆虫の増殖方法。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載の方法に
    おいて、天敵昆虫の卵又は幼虫を15℃以下に貯蔵し、
    孵化時期又は齢期を調整することを特徴とする天敵昆虫
    の増殖方法。
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