JP2003073765A - 水素吸蔵材料 - Google Patents

水素吸蔵材料

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JP2003073765A JP2001267934A JP2001267934A JP2003073765A JP 2003073765 A JP2003073765 A JP 2003073765A JP 2001267934 A JP2001267934 A JP 2001267934A JP 2001267934 A JP2001267934 A JP 2001267934A JP 2003073765 A JP2003073765 A JP 2003073765A
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Shinichi Towata
真一 砥綿
Masakazu Aoki
正和 青木
Tatsumi Hioki
辰視 日置
Akihiko Koiwai
明彦 小岩井
Akio Ito
明生 伊藤
Michiyo Kaneko
美智代 金子
Toshihiro Mori
敏洋 毛利
Katsushi Saito
克史 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素の吸蔵速度が速く、かつ水素吸蔵量の大
きい水素吸蔵材料を提供する。 【解決手段】 水素吸蔵材料を体心立方格子の結晶構造
を有するマグネシウム−リチウム系合金を含むものとす
る。軽量で、かつ水素との親和性が高いマグネシウムお
よびリチウムを主構成元素とし、その結晶格子が体心立
方格子であるマグネシウム−リチウム系合金を含むこと
により、単位重量当たりの水素吸蔵量が大きな水素吸蔵
材料となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可逆的に水素を吸
蔵・放出する水素吸蔵材料に関する。
【0002】
【従来の技術】水素を貯蔵できる水素吸蔵材料は、水素
エネルギーの実用化にむけて重要な材料である。水素吸
蔵材料としては、例えば、所定の条件下で気体の水素を
水素化物という固体の形で吸蔵し、別の条件下で水素を
放出する水素吸蔵合金等が知られている。水素吸蔵合金
等の水素吸蔵材料は、爆発性のある水素を安全な固体の
形で貯蔵できることから、例えば、電気自動車用電源等
に利用される燃料電池を始めとして、様々な用途への利
用が期待されている。
【0003】例えば、マグネシウムは、軽量で、水素の
吸蔵量が大きいことから水素吸蔵材料の一つとして注目
されている。しかし、マグネシウムやマグネシウムを多
量に含む合金は、水素の吸蔵・放出に高温を必要とし、
水素の吸蔵速度も極めて遅いことから実用に適さないと
いう問題を有している。
【0004】マグネシウムを含む水素吸蔵材料の水素吸
蔵速度を向上させるため、種々の試みがなされている。
例えば、特表平11−503489号公報には、ナノレ
ベルの微細な結晶粒子からなるマグネシウムの粒子に水
素を解離させる触媒を付着させた水素吸蔵材料が示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記水
素吸蔵材料は、母材となるマグネシウム粒子の製造過程
が煩雑であることに加え、吸蔵できる水素量も充分とは
いえない。
【0006】本発明は、このような実状に鑑みてなされ
たものであり、マグネシウムの利点を生かし、水素の吸
蔵速度が速く、かつ水素吸蔵量の大きい水素吸蔵材料を
提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の水素吸蔵材料
は、体心立方格子の結晶構造を有するマグネシウム−リ
チウム系合金を含むことを特徴とする。すなわち、本発
明の水素吸蔵材料は、マグネシウムとリチウムとを主た
る構成元素とするマグネシウム−リチウム系合金を含む
ものである。マグネシウムおよびリチウムは、それぞれ
水素化物を形成する元素である。しかし、リチウムによ
り形成される水素化物は極めて安定なものであるため、
リチウム単独では可逆的に水素を吸蔵・放出させる水素
吸蔵材料として適当ではないと考えられていた。本発明
者は、リチウムとマグネシウムとが合金化されることに
よって、形成される水素化物は比較的不安定なものとな
り、水素を可逆的に吸蔵・脱離させることができるとい
う知見を得た。本発明の水素吸蔵材料は、この知見に基
づいてなされたものであり、軽量で、かつ水素との親和
性が高いマグネシウムおよびリチウムを主構成元素とす
るマグネシウム−リチウム系合金を含むことにより、単
位重量当たりの水素吸蔵量が大きな水素吸蔵材料とな
る。
【0008】さらに、本発明の水素吸蔵材料を構成する
マグネシウム−リチウム系合金は、体心立方格子の結晶
構造を有するものである。マグネシウムの結晶格子は最
密六方格子(hcp)であり、リチウムの結晶格子は体
心立方格子(bcc)である。マグネシウムとリチウム
とを合金化させ、その結晶構造をリチウムと同じ体心立
方格子とすることで、水素の占有サイトになりやすい四
面体サイトが多くなり、より多量の水素を吸蔵すること
ができる。このように、本発明の水素吸蔵材料は、軽量
で、結晶格子が体心立方格子であるマグネシウム−リチ
ウム系合金を含むものであるため、単位重量当たりの水
素吸蔵量の極めて大きな水素吸蔵材料となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水素吸蔵材料につ
いて詳細に説明する。本発明の水素吸蔵材料は、体心立
方格子の結晶構造を有するマグネシウム−リチウム系合
金を含むものである。マグネシウム−リチウム系合金
は、上述したように、結晶格子が最密六方格子であるマ
グネシウムと結晶格子が体心立方格子であるリチウムと
が合金化され、その合金の結晶格子が体心立方格子とな
るものである。マグネシウム−リチウム系合金は、体心
立方格子の結晶構造を有するものであれば、マグネシウ
ムおよびリチウム以外の他の金属元素を含むものであっ
ても構わない。例えば、他の金属元素をさらに合金化し
た3元合金、4元合金の態様を採用することもできる。
また、マグネシウム−リチウム系合金の製造は、通常、
合金の製造に用いられる方法を用いればよく、例えば鋳
造等により所定の形状に製造すればよい。
【0010】上記合金に含まれるマグネシウムとリチウ
ムとの原子比は、特に限定されるものではない。結晶格
子を体心立方格子としやすくするという観点から、マグ
ネシウムの原子数を1とした場合、リチウムの原子数は
0.5以上であることが望ましい。一方、合金の製造プ
ロセスの複雑さを考慮した場合には、マグネシウムの原
子数を1とすると、リチウムの原子数は1.5以下であ
ることが望ましい。
【0011】また、本発明の水素吸蔵材料の水素吸蔵速
度を向上させるため、本発明の水素吸蔵材料を、上記マ
グネシウム−リチウム系合金の少なくとも表面に高水素
解離能物質が存在する態様で実施することができる。一
般に、水素を吸蔵・放出することのできる物質は、主に
水素を吸蔵する機能を果たしその吸蔵量が大きい物質
と、主に水素を解離する触媒機能を果たす物質とに大別
できる。本態様における高水素解離能物質とは、水素解
離能が高い物質、すなわち、主に水素を解離する触媒機
能を果たす物質を意味し、主に水素を吸蔵する機能を果
たす物質よりも水素解離機能が高い物質である。なお、
高水素解離能物質は、解離した水素原子を拡散し易くす
るため、水素透過性も高いものであることが望ましい。
このような高水素解離能物質としては、例えば、ニッケ
ル、CaNi5等の金属間化合物を始めとするニッケル
合金、パラジウム、Pd−Ag合金等のパラジウム合
金、LaNi5等の希土類系水素吸蔵合金、TiM
1.5、Zr(Fe、Cr)2等のラーベス相系水素吸蔵
合金、TiCrV等のチタン系水素吸蔵合金等が挙げら
れる。これらの一種、あるいは二種以上のものを採択す
ればよい。
【0012】また、高水素解離能物質の存在割合は、水
素吸蔵材料中全ての原子数を1とした場合に、原子比で
0.05以上2.5以下とすることが望ましい。0.0
5未満では、水素の解離機能が充分発揮されず、水素吸
蔵速度の向上が小さいからであり、2.5を超えると、
水素吸蔵材料の単位重量当たりの水素吸蔵量が低下する
からである。
【0013】そして、高水素解離能物質は、上記マグネ
シウム−リチウム系合金の少なくとも表面に存在すれば
よい。つまり、合金の表面のみに存在していてもよく、
また、合金の表面および内部に存在していてもよい。水
素吸蔵材料中に水素が速やかに吸蔵されるためには、気
体である水素分子が固体である水素吸蔵材料の表面に吸
着し、ただちに水素原子に解離して水素吸蔵材料の内部
に拡散することが望ましい。したがって、高水素解離能
物質がマグネシウム−リチウム系合金の少なくとも表面
に存在すれば、合金表面に吸着した水素は速やかに解離
され、水素吸蔵速度が向上することとなる。
【0014】例えば、高水素解離能物質が、ニッケル、
ニッケル合金、パラジウム、パラジウム合金から選ばれ
るいずれか一種以上である場合、これらの高水素解離能
物質がマグネシウム−リチウム系合金と合金化して合金
の少なくとも表面に存在している態様を採用することが
できる。本態様では、マグネシウム−リチウム系合金は
高水素解離能物質と合金化しているため、例えば、Mg
−Li−Ni合金、Mg−Li−Pd合金等の3元合
金、あるいは、Mg−Li−Ni−Pd合金等の4元合
金等となる。つまり、高水素解離能物質はマグネシウム
−リチウム系合金に固溶あるいは混合されて結合し、合
金の表面および内部に略均一に存在している。
【0015】また、もう一つの態様として、例えば、高
水素解離能物質が、ニッケル、ニッケル合金、パラジウ
ム、パラジウム合金、希土類系水素吸蔵合金、ラーベス
相系水素吸蔵合金、チタン系水素吸蔵合金から選ばれる
いずれか一種以上である場合、これらの高水素解離能物
質がマグネシウム−リチウム系合金と複合化して合金の
少なくとも表面に存在している態様を採用することがで
きる。つまり、本態様では、高水素解離能物質がマグネ
シウム−リチウム系合金と複合化している。複合化の態
様は、以下の3つに大別することができる。
【0016】第1の態様は、マグネシウム−リチウム系
合金の表面を高水素解離能物質で被覆して複合化する態
様である。この場合、マグネシウム−リチウム系合金の
表面の一部あるいは全体が高水素解離能物質で被覆され
る。被覆されるマグネシウム−リチウム系合金の形状、
つまり本発明の水素吸蔵材料の形状は、特に限定される
ものではなく、板状、薄膜状、粒子状、線状等種々の形
状とすることができる。例えば、板状や薄膜状のマグネ
シウム−リチウム系合金の表面に高水素解離能物質の薄
膜を形成することで被覆することができる。また、線状
のマグネシウム−リチウム系合金の表面に高水素解離能
物質を溶射等して被覆してもよい。なお、被覆方法は、
特に限定されるものではなく、例えば、溶射、めっき、
真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の
種々の方法から適宜選択すればよい。
【0017】第2の態様は、所定の形状に成形したマグ
ネシウム−リチウム系合金と高水素解離能物質とを圧接
して複合化する態様である。例えば、マグネシウム−リ
チウム系合金と高水素解離能物質とをともに薄い板状に
成形し、両者を重ね合わせて圧延加工等を施すことによ
り圧接すればよい。また、例えば、パイプ状に成形した
高水素解離能物質にマグネシウム−リチウム系合金を内
包させ、それを伸線加工することにより圧接してもよ
い。この場合、伸線加工は、その種類が特に限定される
ものではない。例えば、引抜き加工、押出し加工、圧延
加工、スエージ加工等の方法を単独で、あるいはこれら
の方法を組み合わせて用いればよい。
【0018】第3の態様は、マグネシウム−リチウム系
合金の粒子に高水素解離能物質の粒子を付着させて複合
化する態様である。例えば、マグネシウム−リチウム系
合金および高水素解離能物質をともに粉末状にし、メカ
ニカルグラインディング等の方法により、マグネシウム
−リチウム系合金の粒子表面に高水素解離能物質の粒子
を付着させればよい。
【0019】本発明の水素吸蔵材料は、その使用の態様
が特に限定されるものではない。例えば、粉末状、ペレ
ット状、線状等の態様で用いることができる。例えば、
水素吸蔵材料を粉末状あるいはペレット状とした場合に
は、それらを容器に充填して用いる。通常、水素貯蔵材
料からの水素の放出は、水素貯蔵材料の温度を上昇させ
て行う。よって、水素吸蔵材料を粉末状あるいはペレッ
ト状とした場合には、水素吸蔵材料を充填した容器全体
の温度を上昇させる必要がある。一方、水素吸蔵材料を
線状とした場合には、水素吸蔵線材としてそのまま使用
することができる。そして、例えば、線状の水素吸蔵材
料をコイル状に巻き、その線材に直接電流を流すこと
で、抵抗発熱により線材自体の温度を上昇させることが
できる。つまり、水素を放出させるために昇温する場
合、水素吸蔵材料そのものの温度を効率的に上昇させる
ことができ、かつ、昇温時の温度の制御を、例えば、電
流の電流値を調整する等により容易に行うことができ
る。したがって、本発明の水素吸蔵材料を線状にして用
いれば、取扱いが容易であることに加え、水素の放出を
効率的、かつ容易に行うことが可能となる。
【0020】〈他の実施形態の許容〉以上、本発明の水
素吸蔵材料の実施形態について説明したが、上述した実
施形態は一実施形態にすぎず、本発明の水素吸蔵材料
は、上記実施形態を始めとして、当業者の知識に基づい
て種々の変更、改良を施した種々の形態で実施すること
ができる。
【0021】
【実施例】上記実施形態に基づいて、本発明の水素吸蔵
材料を種々製造した。そして、各水素吸蔵材料について
水素を吸蔵させその吸蔵量を測定した。以下、製造した
水素吸蔵材料および水素吸蔵量の評価等について説明す
る。
【0022】(1)実施例1の水素吸蔵材料 (a)水素吸蔵材料の製造 マグネシウム−リチウム合金の表面をパラジウムで被覆
して複合化させ、パラジウムが合金表面に存在する水素
吸蔵材料を製造した。まず、マグネシウムとリチウムと
を原子比が1:1となるように混合し、高周波誘導炉に
て溶解してマグネシウム−リチウム合金を所定形状のイ
ンゴットに鋳造した。なお、得られた合金は体心立方格
子の結晶構造を有していた。鋳造したインゴットを厚さ
約1mmの板状体に切り出し、その板状体の表面にパラ
ジウムを真空蒸着して、マグネシウム−リチウム合金の
表面にパラジウムの薄膜が形成された板状の水素吸蔵材
料を製造した。本水素吸蔵材料を実施例1の水素吸蔵材
料とした。
【0023】(b)水素吸蔵量の測定 実施例1の水素吸蔵材料を、水素加圧チャンバーに入
れ、20℃、1MPaの水素加圧下に1時間暴露して水
素を吸蔵させた。そして、吸蔵した水素量を、圧力−組
成等温線(PCT線)に基づいてジーベルツ法により求
めた(JIS H7201−1991)。その結果、実
施例1の水素吸蔵材料の水素吸蔵量は6wt%であり、
多量の水素を吸蔵したことが確認された。
【0024】(2)実施例2の水素吸蔵材料 (a)水素吸蔵材料の製造 実施例1と同様、マグネシウム−リチウム合金の表面を
パラジウムで被覆して複合化させ、パラジウムが合金表
面に存在する水素吸蔵材料を製造した。まず、マグネシ
ウムとリチウムとを原子比が1:0.5となるように混
合し、高周波誘導炉にて溶解してマグネシウム−リチウ
ム合金を所定形状のインゴットに鋳造した。なお、得ら
れた合金は体心立方格子の結晶構造を有していた。鋳造
したインゴットから蒸着用のターゲットを採取し、その
ターゲットを用いてシリカガラス基板表面にスパッタリ
ングし、厚さ約100nmのマグネシウム−リチウム合
金薄膜を成膜した。さらにその合金薄膜の表面にパラジ
ウムをスパッタリングして、合金表面に厚さ約20nm
のパラジウムの薄膜が形成された薄膜状の水素吸蔵材料
を製造した。本水素吸蔵材料を実施例2の水素吸蔵材料
とした。
【0025】(b)水素吸蔵量の測定 実施例2の水素吸蔵材料を、シリカガラス基板ごと水素
加圧チャンバーに入れ、20℃、0.5MPaの水素加
圧下に1時間暴露して水素を吸蔵させた。そして、水素
分析法により水素吸蔵量を求めた結果、実施例2の水素
吸蔵材料の水素吸蔵量は8wt%であり、多量の水素を
吸蔵したことが確認された。
【0026】また、水素吸蔵後、実施例2の水素吸蔵材
料を、シリカガラス基板ごと真空チャンバーに入れ、3
00℃まで昇温して数時間放置した。その後、水素吸蔵
材料の残存水素量を水素分析法により測定したところ、
3wt%であった。つまり、上記水素吸蔵量の約50%
以上が放出されたことがわかった。したがって、本発明
の水素吸蔵材料は、可逆的に水素を吸蔵・脱離できるこ
とが確認された。
【0027】(3)実施例3の水素吸蔵材料 (a)水素吸蔵材料の製造 マグネシウム−リチウム合金の表面をLaNi5で被覆
して複合化させ、LaNi5が合金表面に存在する水素
吸蔵材料を製造した。実施例2の水素吸蔵材料の製造に
おいて、パラジウムの代わりに希土類系水素吸蔵合金で
あるLaNi5を用いた以外は、実施例2と同様に水素
吸蔵材料を製造した。本水素吸蔵材料を実施例3の水素
吸蔵材料とした。
【0028】(b)水素吸蔵量の測定 実施例3の水素吸蔵材料の水素吸蔵量を測定した。測定
条件、方法等は上記実施例2の水素吸蔵材料における測
定と同様とした。その結果、実施例3の水素吸蔵材料の
水素吸蔵量は5.5wt%であり、多量の水素を吸蔵し
たことが確認された。
【0029】(4)実施例4の水素吸蔵材料 (a)水素吸蔵材料の製造 マグネシウム−リチウム合金の表面をTiCrVで被覆
して複合化させ、TiCrVが合金表面に存在する水素
吸蔵材料を製造した。実施例2の水素吸蔵材料の製造に
おいて、パラジウムの代わりにチタン系水素吸蔵合金で
あるTiCrVを用いた以外は、実施例2と同様に水素
吸蔵材料を製造した。本水素吸蔵材料を実施例4の水素
吸蔵材料とした。
【0030】(b)水素吸蔵量の測定 実施例4の水素吸蔵材料の水素吸蔵量を測定した。測定
条件、方法等は上記実施例2の水素吸蔵材料における測
定と同様とした。その結果、実施例4の水素吸蔵材料の
水素吸蔵量は7wt%であり、多量の水素を吸蔵したこ
とが確認された。
【0031】(5)実施例5の水素吸蔵材料 (a)水素吸蔵材料の製造 薄板状のマグネシウム−リチウム合金とパラジウムとを
圧接して複合化させ、パラジウムが合金表面に存在する
水素吸蔵材料を製造した。まず、マグネシウムとリチウ
ムとを原子比が1:1.2となるように混合し、高周波
誘導炉にて溶解してマグネシウム−リチウム合金を所定
形状のインゴットに鋳造した。なお、得られた合金は体
心立方格子の結晶構造を有していた。鋳造したインゴッ
トを圧延加工して、厚さ約0.1mmの薄板とした。薄
板状の合金の両表面に厚さ0.05mmの薄板状のパラ
ジウムをそれぞれ重ね合わせ、圧延加工を繰り返して、
マグネシウム−リチウム合金層の厚さが約0.01mm
の薄板状の水素吸蔵材料を製造した。本水素吸蔵材料を
実施例5の水素吸蔵材料とした。
【0032】(b)水素吸蔵量の測定 実施例5の水素吸蔵材料の水素吸蔵量を測定した。測定
条件、方法等は上記実施例1の水素吸蔵材料における測
定と同様とした。その結果、実施例5の水素吸蔵材料の
水素吸蔵量は5.5wt%であり、多量の水素を吸蔵し
たことが確認された。
【0033】(6)実施例6の水素吸蔵材料 (a)水素吸蔵材料の製造 マグネシウム−リチウム合金の表面をニッケルで被覆し
て複合化させ、ニッケルが合金表面に存在する水素吸蔵
材料を製造した。まず、実施例1の水素吸蔵材料の製造
と同様にして、マグネシウム−リチウム合金を所定のイ
ンゴットに鋳造した。次いで、鋳造したインゴットを引
抜き加工により直径約1mmの線材とした。マグネシウ
ム−リチウム合金からなる線材の表面にニッケル微粉末
を溶射して、合金表面をニッケルで被覆した線状の水素
吸蔵材料を製造した。本水素吸蔵材料を実施例6の水素
吸蔵材料とした。
【0034】(b)水素吸蔵量の測定 実施例6の水素吸蔵材料の水素吸蔵量を測定した。測定
条件、方法等は上記実施例1の水素吸蔵材料における測
定と同様とした。その結果、実施例6の水素吸蔵材料の
水素吸蔵量は4wt%であり、多量の水素を吸蔵したこ
とが確認された。
【0035】
【発明の効果】本発明の水素吸蔵材料は、体心立方格子
の結晶構造を有するマグネシウム−リチウム系合金を含
むものである。軽量で、かつ水素との親和性が高いマグ
ネシウムおよびリチウムを主構成元素とし、その結晶格
子が体心立方格子であるマグネシウム−リチウム系合金
を含むことにより、単位重量当たりの水素吸蔵量が大き
な水素吸蔵材料となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 正和 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 日置 辰視 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小岩井 明彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊藤 明生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 金子 美智代 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 毛利 敏洋 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 斉藤 克史 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体心立方格子の結晶構造を有するマグネ
    シウム−リチウム系合金を含む水素吸蔵材料。
  2. 【請求項2】 高水素解離能物質が前記マグネシウム−
    リチウム系合金の少なくとも表面に存在する請求項1に
    記載の水素吸蔵材料。
  3. 【請求項3】 前記高水素解離能物質は、ニッケル、ニ
    ッケル合金、パラジウム、パラジウム合金、希土類系水
    素吸蔵合金、ラーベス相系水素吸蔵合金、チタン系水素
    吸蔵合金から選ばれる少なくともいずれか一種である請
    求項2に記載の水素吸蔵材料。
  4. 【請求項4】 前記高水素解離能物質は、ニッケル、ニ
    ッケル合金、パラジウム、パラジウム合金から選ばれる
    いずれか一種以上であって、前記マグネシウム−リチウ
    ム系合金と合金化して該マグネシウム−リチウム系合金
    の少なくとも表面に存在している請求項2に記載の水素
    吸蔵材料。
  5. 【請求項5】 前記高水素解離能物質は、ニッケル、ニ
    ッケル合金、パラジウム、パラジウム合金、希土類系水
    素吸蔵合金、ラーベス相系水素吸蔵合金、チタン系水素
    吸蔵合金から選ばれるいずれか一種以上であって、前記
    マグネシウム−リチウム系合金と複合化して該マグネシ
    ウム−リチウム系合金の少なくとも表面に存在している
    請求項2に記載の水素吸蔵材料。
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