JP2003073760A - Snめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製造方法 - Google Patents

Snめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製造方法

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JP2003073760A JP2001260053A JP2001260053A JP2003073760A JP 2003073760 A JP2003073760 A JP 2003073760A JP 2001260053 A JP2001260053 A JP 2001260053A JP 2001260053 A JP2001260053 A JP 2001260053A JP 2003073760 A JP2003073760 A JP 2003073760A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撚線性およびハンダ付性が良好なSnめっき
極細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅
線の製造方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明に係るSnめっき極細銅線11
は、線径が0.1mm以下のSnめっき極細銅線におい
て、銅又は銅合金からなる極細銅線12の外周に、Sn
−0.2〜7.0mass%Cu系めっき層13を、
0.05μm以上の層厚で形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Snめっき極細銅
線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線の製
造方法に係り、特に、電子機器のケーブル用導体として
用いられるSnめっき極細銅線及びそれを用いた撚線並
びにSnめっき極細銅線の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型・軽量化の要求が
高まっていることから、電子機器のケーブル用導体にお
いては、線径が0.1mm以下の極細銅線が主流となり
つつある。この極細銅線の1つに、表面にSnめっきを
有するSnめっき極細銅線がある。
【0003】Snめっき極細銅線の従来の製造方法とし
て、dip法(溶融めっき法)と電気めっき法の二つが
主に挙げられる。
【0004】溶融めっき法は、極細銅線の表面をフラッ
クス又は還元ガスを用いて活性化した後、その極細銅線
を純Snめっき液中に浸漬し、極細銅線の外周に溶融S
nめっき層を形成するものである。また、電気めっき法
は、表面を活性化した極細銅線を純Snめっき液中に浸
漬すると共に、極細銅線と純Snめっき液との間に電圧
を印加して、極細銅線の外周に電気Snめっき層を形成
するものである。
【0005】これらのめっき法の内、溶融めっき法の方
が簡便で、経済性に優れていることから、Snめっき極
細銅線の製造には、一般的に、溶融めっき法が用いられ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、得られたS
nめっき極細銅線を複数本撚り合わせて撚線を製造する
際、撚線時に、Snめっき極細銅線同士が摺動すること
で、各線の表面でSnめっきカスが発生する。このSn
めっきカスが、撚線製造時に用いる治具であるニップル
に堆積することで、撚線に断線が生じるおそれがあり、
撚線性が良好でないという問題があった。
【0007】また、極細銅線のCuとSnめっき層のS
nが反応し、それらの界面にSn−Cu系金属間化合物
が形成されるが、Snめっき層の層厚が十分でないと、
Snめっき層全体がSn−Cu系金属間化合物層となっ
てしまう。このSn−Cu系金属間化合物は、ハンダ濡
れ性が良好でないため、結果的に、撚線のハンダ付性が
悪くなるという問題があった。
【0008】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、撚線性およびハンダ付性が良好なSnめっき極
細銅線及びそれを用いた撚線並びにSnめっき極細銅線
の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係るSnめっき極細銅線は、線径が0.1mm以
下のSnめっき極細銅線において、銅又は銅合金からな
る極細銅線の外周に、Sn−0.2〜7.0mass%
Cu系めっき層を、0.05μm以上の層厚で形成した
ものである。
【0010】以上の構成によれば、めっき層の層硬度が
十分に高いSnめっき極細銅線が得られる。
【0011】一方、本発明に係るSnめっき極細銅線を
用いた撚線は、線径が0.1mm以下で、銅又は銅合金
からなる極細銅線の外周に、Sn−0.2〜7.0ma
ss%Cu系めっき層を0.05μm以上の層厚で形成
したSnめっき極細銅線を、複数本撚り合わせて形成し
たものである。
【0012】以上の構成によれば、撚線が容易で、ハン
ダ付け性が良好なSnめっき極細銅線を用いた撚線(S
nめっき極細銅撚線)が得られる。
【0013】また、本発明に係るSnめっき極細銅線の
製造方法は、銅又は銅合金からなる線径が0.1mm以
下の極細銅線の外周に、溶融Snめっき層を形成するS
nめっき極細銅線の製造方法において、めっき浴槽内に
Cu濃度が0.2〜7.0mass%の溶融Sn−Cu
系めっき浴を形成すると共に、溶融Sn−Cu系めっき
浴の、250〜350℃の温度範囲における温度分布を
±5℃以内に調整し、その溶融Sn−Cu系めっき浴中
に上記極細銅線を浸漬し、極細銅線の外周に、0.05
μm以上の層厚の溶融Sn−Cu系めっき層を形成する
ものである。
【0014】以上の方法によれば、撚線性およびハンダ
付性が良好なめっき極細銅線を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基いて説明する。
【0016】第1の実施の形態に係るSnめっき極細銅
線の断面図を図1に、第2の実施の形態に係るSnめっ
き極細銅線の断面図を図2に示す。ここで、図2(b)
は、図2(a)の要部Aの拡大図である。
【0017】図1に示すように、第1の実施の形態に係
るSnめっき極細銅線11は、線径が0.1mm以下の
Snめっき極細銅線であり、軟質銅或いは硬質銅よりな
る銅又は銅合金からなる極細銅線12の外周に、Sn−
0.2〜7.0mass%Cu系めっき層(以下、Sn
−Cu系めっき層と示す)13を、0.05μm以上、
好ましくは0.5μm以上の層厚で形成したものであ
る。
【0018】また、図2(a),図2(b)に示すよう
に、第2の実施の形態に係るSnめっき極細銅線21
は、軟質銅或いは硬質銅よりなる銅又は銅合金からなる
極細銅線12の外周に、層中に直径が2μm以下、好ま
しくは1μm以下のSn−Cu系金属間化合物24が均
一分散したSn−Cu系めっき層23を、0.05μm
以上、好ましくは0.5μm以上の層厚で形成したもの
である。
【0019】一方、本実施の形態に係るSnめっき極細
銅線を用いた撚線31は、図3に示すように、Snめっ
き極細銅線11,21を複数本(図3中では7本を図
示)撚り合わせて形成したものである。ここで言う撚線
は、撚線導体及び撚線導体を用いた電線・ケーブルの総
称である。
【0020】次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0021】極細銅線12の外周にSn−Cu系めっき
層13,23を形成することで、従来のSnめっき極細
銅線の純Snめっき層と比べて層硬度が十分に高いSn
めっき極細銅線11,21が得られる。この銅線11,
21は、Sn−Cu系めっき層13,23の層硬度が高
いことから、この銅線11,21を用いて撚線を製造す
る際、撚線の素線同士が摺動して生じるSnめっきカス
の量が少なくなる。特に、Snめっき極細銅線21の場
合、Snめっきカスの量が非常に少なくなる。その結
果、本実施の形態に係るSnめっき極細銅線11,21
を撚線する時に、断線が生じるおそれがなくなり、従来
のSnめっき極細銅線と比較して、撚線性が向上する。
【0022】また、撚線時に発生するSnめっきカスの
量が少ないことから、銅線11,21を用いて得られた
撚線は、Sn−Cu系めっき層13,23の表面が平滑
又は略平滑で、表面状態が良好となる。このため、これ
らの撚線のハンダ濡れ性は、従来のSnめっき極細銅線
を用いて得られた撚線のそれよりも、良好となる。その
結果、本実施の形態に係るSnめっき極細銅線11,2
1を用いて得られた撚線においては、良好なハンダ付性
が得られる。
【0023】Snめっき極細銅線11,21において、
Sn−Cu系めっき層13,23の層厚を、0.05μ
m以上、好ましくは0.5μm以上と規定したのは、以
下の理由によるものである。
【0024】一般に、銅線にSnめっきを施す場合、銅
線表面のCuとSnめっき層のSnが反応し、それらの
界面に、Cu3SnやCu6Sn5のSn−Cu系金属間
化合物層が形成される。ここで、Snめっき層の層厚が
0.05μm未満であると、Snめっき層自体がSn−
Cu系金属間化合物層となってしまう。このSn−Cu
系金属間化合物は、硬くて脆いと共に、ハンダ濡れ性が
良好でないことから、Snめっき層自体がSn−Cu系
金属間化合物層になると、めっき導体(Snめっき極細
銅線)の機械的特性、例えば屈曲特性が低下すると共
に、Snめっき極細銅線と各種電子部品のハンダ付け時
に不具合が生じてしまう。
【0025】また、Snめっき極細銅線11,21にお
いて、Sn−Cu系めっき層13,23のCu濃度を、
0.2〜7.0mass%と規定したのは、Cu濃度が
0.2mass%未満だと、Sn−Cu系めっき層1
3,23の硬度が、純Snめっき層とあまり変わらない
ためである。また、Cu濃度が7.0mass%を超え
ると、Sn−Cu系めっき層13,23自体がSn−C
u系金属間化合物層になり易くなるためである。
【0026】Snめっき極細銅線21において、Sn−
Cu系めっき層23中に均一分散させるSn−Cu系金
属間化合物(Cu3SnやCu6Sn5)24の直径を2
μm以下、好ましくは1μm以下と規定したのは、以下
の理由によるものである。
【0027】金属間化合物24の晶出サイズを2μm以
下、好ましくは1μm以下に規定したのは、2μmを超
えるとSn−Cu系めっき層23の表面の平滑性が損な
われるためであり、また、Sn−Cu系めっき層23の
層厚の調整を行うために絞りダイスを用いる場合、金属
間化合物24がダイス部に堆積し、Snめっき極細銅線
21の断線の原因となるためである。
【0028】次に、本発明に係るSnめっき極細銅線の
製造方法を、図4に基いて説明する。
【0029】図4に示すように、先ず、極細銅線12を
送出ボビン41から送出すると共に還元炉42内を走行
させ、極細銅線12に還元処理を施し、表面の酸化層の
除去を行う。
【0030】次に、酸化層の除去後の極細銅線12を、
ガイドプーリ43a,43b間において、浸漬棒46に
よりめっき浴槽44内の溶融Sn−Cu系めっき浴45
中に浸漬させる。この時、溶融Sn−Cu系めっき浴4
5のCu濃度を0.2〜7.0mass%に、また、溶
融Sn−Cu系めっき浴45の、250〜350℃の温
度範囲における温度分布を±5℃以内に予め調整してお
く。このため、めっき浴槽44は、少なくともめっき浴
45の温度を測定する多数の温度センサ(図示せず)
と、温度センサからの信号が入力される調節装置(図示
せず)と、調節装置からの信号によりめっき浴を攪拌す
る攪拌装置(図示せず)を備えている。
【0031】めっき浴浸漬後の極細銅線12の外周には
Sn−Cu系めっき液が不均一に付着しているため、こ
の極細導線12を、絞りダイス47に挿通させ、極細導
線12の外周に付着するSn−Cu系めっき液の量を均
一にし、Sn−Cu系めっき層の層厚が0.05μm以
上、好ましくは0.5μm以上となるように調整する。
【0032】その後、極細導線12の外周に付着したS
n−Cu系めっき液が冷却(空冷)されて凝固すること
で、極細銅線12の外周に溶融Sn−Cu系めっき層1
3,23を有するSnめっき極細銅線11,21が得ら
れ、この銅線11,21が巻取ボビン49に巻き取られ
る。Sn−Cu系めっき液を冷却させて凝固させる際、
冷却装置48により、極細銅線12に冷却空気(図示せ
ず)を吹き付け、強制的に冷却を行ってもよい。これに
よって、空冷による冷却を行った時と比較して、Sn−
Cu系めっき層13,23に対する極細銅線12のCu
拡散が抑制されることから、Snめっき極細銅線11,
21のハンダ濡れ性が更に向上し、延いては、ハンダ付
け性が向上する。
【0033】ここで、極細銅線12をめっき浴槽44内
の溶融Sn−Cu系めっき浴45中に浸漬させる際、銅
の溶解度が飽和に達しているめっき浴45の浴温度を低
下させると、それに伴って銅の溶解度が低下する。その
結果、溶解しきれなくなった余剰の銅が金属間化合物
(例えば、Cu6Sn5)の形で晶出するようになる。こ
の時、後述する温度条件でめっき浴45の温度分布の調
整を行うことによって、めっき浴45中に晶出する金属
間化合物のサイズを2μm以下に制御することができ、
このSn−Cu系めっき浴45中に極細銅線12を浸漬
することで、Sn−Cu系めっき層23中に、直径が2
μm以下、好ましくは1μm以下のSn−Cu系金属間
化合物24が均一分散したSnめっき極細銅線21を得
ることができる。
【0034】溶融Sn−Cu系めっき浴45の、250
〜350℃の温度範囲における温度分布を±5℃以内、
好ましくは±3℃以内に調整すると規定したのは、温度
分布が±5℃を超えると、めっき浴45の最も温度が低
い部分に粗大な金属間化合物が晶出し、この粗大な金属
間化合物がSn−Cu系めっき層13,23に分散する
ことで、Snめっき極細銅線11,21の断線原因とな
るためである。
【0035】
【実施例】(実施例1)直径がφ0.03mmの極細銅
線をめっき浴槽内の溶融Sn−Cu系めっき浴中に浸漬
させた後、極細銅線の表面に冷却空気を吹き付け、めっ
き層厚が0.7μm、0.8μm、0.7μmのSnめ
っき極細銅線を作製する(試料1〜3)。この時、溶融
Sn−Cu系めっき浴のCu濃度は、それぞれ0.5m
ass%、0.7mass%、1.0mass%に、ま
た、溶融Sn−Cu系めっき浴の温度分布は、一律33
0℃±5℃以内に調整した。
【0036】(実施例2)直径がφ0.03mmの極細
銅線をめっき浴槽内の溶融Sn−Cu系めっき浴中に浸
漬させた後、極細銅線の表面に冷却空気を吹き付け、め
っき層厚が共に0.8μmで、かつ、めっき層中に直径
が1.0μm以下の微細な金属間化合物が均一分散した
Snめっき極細銅線を作製する(試料4,5)。この
時、溶融Sn−Cu系めっき浴のCu濃度は、それぞれ
3.0mass%、5.0mass%に、また、溶融S
n−Cu系めっき浴の温度分布は、一律310℃±5℃
以内に調整した。
【0037】(実施例3)直径がφ0.03mmの極細
銅線をめっき浴槽内の溶融Sn−Cu系めっき浴中に浸
漬させた後、極細銅線を自然冷却(空冷)し、めっき層
厚が0.5μm以上のSnめっき極細銅線を作製する
(試料6)。この時、溶融Sn−Cu系めっき浴のCu
濃度は、3.0mass%に、また、溶融Sn−Cu系
めっき浴の温度分布は、330℃±5℃以内に調整し
た。
【0038】(比較例1)直径がφ0.03mmの極細
銅線をめっき浴槽内の溶融Sn−Cu系めっき浴中に浸
漬させた後、極細銅線の表面に冷却空気を吹き付け、め
っき層厚が0.7μm、0.8μmのSnめっき極細銅
線を作製する(試料7,8)。この時、溶融Sn−Cu
系めっき浴のCu濃度は、それぞれ0.1mass%、
10.0mass%に、また、溶融Sn−Cu系めっき
浴の温度分布は、一律350℃±5℃以内に調整した。
【0039】(比較例2)直径がφ0.03mmの極細
銅線をめっき浴槽内の溶融Sn−Cu系めっき浴中に浸
漬させた後、極細銅線の表面に空気を吹き付け、めっき
層厚が0.04μm、0.03μmのSnめっき極細銅
線を作製する(試料9,10)。この時、溶融Sn−C
u系めっき浴のCu濃度は、それぞれ1.0mass
%、3.0mass%に、また、溶融Sn−Cu系めっ
き浴の温度分布は、一律350℃±5℃以内に調整し
た。
【0040】(比較例3)直径がφ0.03mmの極細
銅線をめっき浴槽内の溶融Sn−Cu系めっき浴中に浸
漬させた後、極細銅線の表面に空気を吹き付け、めっき
層厚が0.8μmのSnめっき極細銅線を作製する(試
料11)。この時、溶融Sn−Cu系めっき浴のCu濃
度は、5.0mass%に、また、溶融Sn−Cu系め
っき浴の温度分布は、240℃±5℃以内に調整した。
【0041】試料1〜11の諸元(Sn−Cu系めっき
層のCu濃度(mass%)、めっき浴温度(℃)、Sn−
Cu系めっき層の層厚(μm)、冷却過程)を表1に示
す。ここで、Sn−Cu系めっき層の層厚の測定は、コ
クール法(JIS8610-8619)により行った。
【0042】
【表1】
【0043】次に、各試料の表面状態の評価を行った。
その評価結果を表2に示す。ここで、表面状態の評価
は、電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。
【0044】
【表2】
【0045】表2に示すように、試料1〜7の表面状態
はいずれも良好であった。また、試料1〜3,7の試料
は、Sn−Cu系めっき層の表面が平滑であったが、試
料4〜6のSn−Cu系めっき層の表面には、直径1μ
m以下の微細な金属間化合物(Cu6Sn5)が認められ
た。
【0046】これに対して、試料8,11の表面状態は
いずれも不良であった。これは、試料8については、S
n−Cu系めっき層のCu濃度が規定範囲よりも高く、
試料11については、めっき浴温度が規定範囲よりも低
いことから、めっき浴中に溶解できない余剰の銅が金属
間化合物として晶出し、Sn−Cu系めっき層に、直径
約3μmの粗大な針状金属間化合物(Cu6Sn5)が分
散していることに起因する。
【0047】また、試料9,10の表面状態はいずれも
不良であった。これは、Sn−Cu系めっき層の層厚が
規定範囲よりも薄いことから、Snめっき極細銅線の表
面全体に、極細銅線表面のCuとSnが反応して形成さ
れる金属間化合物層が露出し、Snめっき極細銅線の表
面が凹凸であることに起因する。
【0048】次に、各試料を、7本ずつ、ピッチ3.3
mmで同心撚りして、10,000mの長さの撚線を製
造する。この時の、各撚線の表面状態、めっきカスの発
生状況、ハンダ付性の評価を行った。その評価結果を表
3に示す。ここで、めっきカスの発生状況は、撚線機の
ニップル部に堆積するめっきカスの量で評価を行った。
また、ハンダ付性は、撚線を共晶ハンダ浴に浸漬させた
際の、濡れ面積の大小で評価を行った。
【0049】
【表3】
【0050】表3に示すように、試料1〜6を用いた撚
線の表面状態はいずれも良好であった。また、めっきカ
スの発生は、撚線作業上、問題がなかった。即ち、撚線
工程中、めっきカスによる断線はなかった。特に、試料
3〜6は、撚線時に発生するめっきカスの量が非常に少
なかった。さらに、ハンダ付性は、試料6を用いた撚線
がやや良である以外は、大変良好又は良好であった。
【0051】これに対して、試料7を用いた撚線は、撚
線の表面状態は良好(平滑)であり、また、ハンダ付性
も大変良好であるものの、撚線時にめっきカスが多量に
発生し、断線が生じた。これは、試料7のSn−Cu系
めっき層のCu濃度が規定範囲よりも低いことから、S
n−Cu系めっき層の硬度が純Snめっき層の硬度とあ
まり変わりがなく、硬度不足であったことに起因する。
【0052】また、試料8〜11を用いた撚線は、撚線
時に発生するめっきカスの量は非常に少なかったもの
の、撚線の表面に微細な亀裂が認められ、表面状態が不
良であった。この亀裂は、金属間化合物(又は金属間化
合物層)とSn−Cu系めっき層の界面に生じていた。
つまり、試料8〜11においては、Sn−Cu系めっき
層に分散する金属間化合物が粗大である(試料8,1
1)又はSn−Cu系めっき層に金属間化合物層が露出
している(試料9,10)ことから、撚線時に各試料の
表面に負荷された曲げ歪みを、Sn−Cu系めっき層が
吸収できず、亀裂が生じたと考えられる。さらに、試料
8〜11を用いた撚線は、Sn−Cu系めっき層に分散
する金属間化合物が粗大であったり、Sn−Cu系めっ
き層に金属間化合物層が露出しているため、ハンダ付性
が悪かった。
【0053】以上、本発明の実施の形態は、上述した実
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。 (1) めっき層の層硬度が十分に高いSnめっき極細
銅線が得られる。 (2) 撚線が容易で、ハンダ付け性が良好なSnめっ
き極細銅撚線が得られる。 (3) 撚線性およびハンダ付性が良好なめっき極細銅
線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るSnめっき極細銅線の
断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係るSnめっき極細銅線の
断面図である。
【図3】本発明に係るSnめっき極細銅線を用いた撚線
の断面図である。
【図4】Snめっき極細銅線の製造装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
11,21 Snめっき極細銅線 12 極細銅線 13,23 Sn−Cu系めっき層(Sn-0.2〜7.0mass
%Cu系めっき層) 24 Sn−Cu系金属間化合物 31 撚線 44 めっき浴槽 45 溶融Sn−Cu系めっき浴
フロントページの続き Fターム(参考) 4K027 AA06 AA25 AB02 AB12 AC15 AC32 AC55 AC64 AD18 AE02 AE03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線径が0.1mm以下のSnめっき極細
    銅線において、銅又は銅合金からなる極細銅線の外周
    に、Sn−0.2〜7.0mass%Cu系めっき層
    を、0.05μm以上の層厚で形成したことを特徴とす
    るSnめっき極細銅線。
  2. 【請求項2】 Sn−0.2〜7.0mass%Cu系
    めっき層中に、直径が2μm以下のSn−Cu系金属間
    化合物を均一分散させた請求項1記載のSnめっき極細
    銅線。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のSnめっき極細銅
    線を複数本撚り合わせて形成したことを特徴とするSn
    めっき極細銅線を用いた撚線。
  4. 【請求項4】 銅又は銅合金からなる線径が0.1mm
    以下の極細銅線の外周に、溶融Snめっき層を形成する
    Snめっき極細銅線の製造方法において、めっき浴槽内
    にCu濃度が0.2〜7.0mass%の溶融Sn−C
    u系めっき浴を形成すると共に、溶融Sn−Cu系めっ
    き浴の、250〜350℃の温度範囲における温度分布
    を±5℃以内に調整し、その溶融Sn−Cu系めっき浴
    中に上記極細銅線を浸漬し、極細銅線の外周に、0.0
    5μm以上の層厚の溶融Sn−Cu系めっき層を形成す
    ることを特徴とするSnめっき極細銅線の製造方法。
  5. 【請求項5】 極細銅線の外周に0.05μm以上の層
    厚の溶融Sn−Cu系めっき層を形成した後、その溶融
    Sn−Cu系めっき層を強制冷却する請求項4記載のS
    nめっき極細銅線の製造方法。
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