JP2003073515A - 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003073515A
JP2003073515A JP2001267944A JP2001267944A JP2003073515A JP 2003073515 A JP2003073515 A JP 2003073515A JP 2001267944 A JP2001267944 A JP 2001267944A JP 2001267944 A JP2001267944 A JP 2001267944A JP 2003073515 A JP2003073515 A JP 2003073515A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
parts
polypropylene
ethylene
propylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001267944A
Other languages
English (en)
Inventor
Taido Ogawa
泰道 小川
Yasunari Noritake
康成 則武
Hiroshi Nobuhara
博 延原
Kazuhiko Akiyama
和彦 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Marugo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Marugo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Marugo Rubber Industries Ltd filed Critical Marugo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2001267944A priority Critical patent/JP2003073515A/ja
Publication of JP2003073515A publication Critical patent/JP2003073515A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張り強度及び伸度が高く、しかも生産性の
良好な熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法を
提供すること。 【解決手段】 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)と、ポリプロピレン(B)と、下記式(1)で示
されるチウラム化合物からなる架橋剤(C)とを溶融混
練して動的に架橋させてなる熱可塑性エラストマー組成
物である。 【化1】 (式中、nは2以上の自然数である。またR、R
及びRは1価の置換基を表し、これらは相互に連
結していても良い。)このとき、更にチアゾール化合物
(D)及びチオ尿素化合物(E)を配合することが好適
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体(以下、EPDMと略すことがあ
る)とポリプロピレンと架橋剤とを溶融混練して動的架
橋させてなる熱可塑性エラストマー組成物及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
とポリプロピレンと架橋剤とを溶融混練して動的架橋さ
せてなる熱可塑性エラストマー組成物は、溶融成形可能
でありながら、エラストマーとしての性能も有するもの
であり、各種の用途に使用されている。
【0003】特開昭52−13541号公報には、ポリ
プロピレン及びEPDMゴムを加硫剤(架橋剤)ととも
に動的に加硫(架橋)してなる熱可塑性エラストマー組
成物が記載されている。加硫のために用いられる加硫剤
としては、過酸化物、アジド及び促進硫黄加硫剤が例示
されている。中でも促進硫黄加硫系が好ましく、硫黄、
テトラメチルチウラムジスルフィド及び2−ビス(ベン
ゾチアゾリル)ジスルフィドを併用する実施例が記載さ
れている。また、加硫剤として過酸化物を単独で使用し
たのでは加硫は不十分であり、過酸化物とフェニレンビ
スマレイミドを併用した実施例が記載されている。
【0004】特開平3−168235号公報には、ポリ
プロピレン、EPDM及び1,2−ポリブタジエンを過
酸化物架橋剤で動的に加硫した熱可塑性エラストマーが
記載されている。ポリプロピレンは遊離基を生ずる過酸
化物加硫剤と高温で混合されると解重合するところ、当
該公報記載の発明では、さらに1,2−ポリブタジエン
を配合すること等により、引張り強度及びモジュラスを
改良できるとしている。当該公報においては、過酸化物
加硫剤に加えて硫黄供与体を併用することもできるとし
ており、硫黄供与体としては、ベンゾチアジルジスルフ
ィド等のチアゾール化合物、ジペンタメチレンチウラム
ヘキサスルフィド等のチウラム化合物、N,N’−ジエ
チルチオ尿素等のチオ尿素化合物等が例示されている。
【0005】特開昭54−99156号公報には、熱可
塑性結晶状ポリオレフィン樹脂及び加硫されたEPDM
ゴムのブレンドからなり、そしてゴムがフェノール系加
硫剤で加硫されていることを特徴とするエラストプラス
チック組成物が記載されている。代表的な例として、ポ
リプロピレン、EPDM、フェノール系硬化性樹脂及び
加硫活性剤(金属ハライド、ハロゲン供与性重合体ある
いは金属酸化物)を使用した組成物が記載されている。
この組成物は、加硫剤として硫黄あるいは過酸化物を使
用して架橋する方法に比べて、耐油性に優れ、圧縮永久
歪が小さく、ブルームの少ない成形品を与えるとしてい
る。また、特開昭59−58043号公報には、そのよ
うな組成物を、二軸押出機を用いて一定以上の剪断速度
で混練して製造する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
52−13541号公報、特開昭54−99156号公
報あるいは特開昭59−58043号公報に記載されて
いるように、固体である硫黄や、高分子化合物であるフ
ェノール樹脂を架橋剤として用いた場合には、溶融樹脂
中への分散性が必ずしも良好でなく、均一な架橋反応の
進行が困難であった。その結果、得られた熱可塑性エラ
ストマー組成物は、その引張り強度及び引張り伸度が不
十分であり、高度な強伸度特性が要求される用途に使用
するには限界があった。また、これらの架橋剤を使用す
る場合には、架橋剤の樹脂中への分散を良好にするため
に予め架橋剤を樹脂中に配合して混練しておく操作が必
要となる場合が多く、さらに架橋反応速度も比較的遅い
ために架橋反応に要する時間も長くなる傾向があり、生
産性が必ずしも良好ではなかった。
【0007】一方、特開昭52−13541号公報に記
載されているように、過酸化物を加硫剤として用いる場
合には、混練時に生成する遊離基によって、ポリプロピ
レンの分子鎖が切断されることが避けられない。熱可塑
性エラストマーのマトリックスを形成するポリプロピレ
ンの分子量が低下したのでは、組成物全体としての引張
り強度及び伸度に優れた組成物を製造するのは困難であ
る。例えば特開平3−168235号公報に記載のよう
に樹脂組成を変更することで改善するとしても遊離基に
よる分子鎖切断は本質的なものであって完全に回避する
のは困難である。このように、過酸化物を加硫剤として
使用する場合には、加硫反応は迅速に進行するので押出
機中で容易に架橋反応を進行させることができるが、強
伸度物性が混練条件の影響を受けやすく安定した性能の
熱可塑性エラストマー組成物を製造するのは容易ではな
い。
【0008】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、引張り強度及び伸度が高く、しかも生産
性の良好な熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方
法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体(A)と、ポリプロピレン
(B)と、下記式(1)で示されるチウラム化合物から
なる架橋剤(C)とを溶融混練して動的に架橋させてな
る熱可塑性エラストマー組成物を提供することによって
達成される。
【0010】
【化4】
【0011】(式中、nは2以上の自然数である。また
、R、R及びRは1価の置換基を表し、これ
らは相互に連結していても良い。)
【0012】このとき、エチレン−プロピレン−ジエン
共重合体(A)100重量部に対して、ポリプロピレン
(B)を20〜200重量部、架橋剤(C)を0.5〜
5重量部配合し、溶融混練してなることが好適である。
【0013】また、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(A)100重量部に対して、下記式(2)で示さ
れるチアゾール化合物(D)を0.5〜5重量部配合
し、溶融混練してなることが好適である。
【0014】
【化5】
【0015】(式中、Rは1価の置換基を表す。R
が水素原子の場合には、その塩であっても良い。また式
中のベンゼン環が置換基を有していても良い。)
【0016】さらに、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体(A)100重量部に対して、下記式(3)で示
されるチオ尿素化合物(E)を0.2〜2重量部配合
し、溶融混練してなることが好適である。
【0017】
【化6】
【0018】(式中、R及びRは1価の置換基を表
し、これらは相互に連結していても良い。)
【0019】また、本発明の課題は、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体(A)とポリプロピレン(B)と
を予め溶融混練して、その後二軸押出機中で架橋剤
(C)を配合してさらに溶融混練する上記熱可塑性エラ
ストマー組成物の製造方法を提供することによっても達
成される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体(A)と、ポリプロピレン(B)と、
下記式(1)で示されるチウラム化合物からなる架橋剤
(C)とを溶融混練して動的に架橋させてなる熱可塑性
エラストマー組成物である。
【0021】
【化7】
【0022】(式中、nは2以上の自然数である。また
、R、R及びRは1価の置換基を表し、これ
らは相互に連結していても良い。)
【0023】架橋剤(C)として用いられる上記チウラ
ム化合物は比較的低分子量の有機化合物であり、加熱状
態では粘度の低い液体となることが多いことから、溶融
混練時にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)
とポリプロピレン(B)の溶融混合物中に迅速に拡散す
る。その結果、架橋ムラのない均一な架橋構造を発現さ
せることが可能になるものである。
【0024】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)とポリプロピレン(B)とのブレンド物に対し動
的に架橋を施す際に重要なことは、ポリプロピレン
(B)のマトリックス中にエチレン−プロピレン−ジエ
ン共重合体(A)粒子が細かくかつ均一に分散し、しか
もそのエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)粒
子が十分な架橋密度で架橋されることである。組成物全
体として均質なものにできない場合、脆弱点が引き金に
なって破断しやすくなり、結果として引張り強度及び引
張り伸度が不十分なものとなる。
【0025】異なった樹脂を相互に微分散させるために
は、剪断速度の高い環境下で混練することが重要であ
る。しかしながら、一旦分散したものであっても、剪断
速度の低い条件下で混練しながら架橋させたのでは、エ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)粒子同士が
相互に再結合してしまい粗大粒子を形成する。したがっ
て、架橋反応が進行している最中に十分な剪断速度下で
混練することが重要である。
【0026】上記チウラム化合物は、樹脂中に迅速に拡
散して均質な架橋反応を進行させられるとともに、架橋
反応の反応速度も速いので、短時間で十分に架橋反応を
進行させられる。高剪断速度を与えることのできる混練
装置は一般に装置コストが高いものが多く、その使用時
間が短時間であるほど組成物の製造コストを低くできる
から、この点からも上記チウラム化合物を架橋剤として
使用することは有用である。
【0027】これまで、チウラム化合物は、架橋促進剤
として、架橋剤と併せて使用されることが多かった。先
行技術の欄でも説明したように、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体(A)とポリプロピレン(B)とを動
的に架橋させる際にも、他の架橋剤、例えば硫黄あるい
は過酸化物による架橋反応を、促進あるいは補助するた
めに使用されている例がある。しかしながら、そのよう
な使用方法では、それらの架橋剤の有する欠点を改善す
ることができなかった。例えば、硫黄を加硫剤とし、加
硫促進剤としてチウラム化合物を用いたような場合に
は、硫黄の分散不良に由来する架橋密度ムラの発生は避
けられなかった。また、過酸化物を架橋剤として使用し
た際のポリプロピレンの解重合の抑制も十分ではなかっ
た。
【0028】これに対し本発明は、架橋剤(C)そのも
のとして、チウラム化合物を使用するものである。但
し、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、硫黄、フ
ェノール樹脂あるいは過酸化物等から選択される、チウ
ラム化合物以外の従来の架橋剤を少量含有することは構
わない。すなわち、これらの従来の架橋剤の配合量が、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)100重
量部に対して、硫黄で0.1重量部以下、フェノール樹
脂で1重量部以下、過酸化物で0.1重量部以下の場合
には、それらの架橋剤の影響が比較的小さいので、通
常、本発明の効果をほとんど阻害しない。ただし、本発
明の効果をより十分に奏するためには、それら従来の架
橋剤のいずれをも実質的に含有しないことが好ましい。
【0029】式(1)中のR、R、R及びR
1価の置換基を表し、これらは相互に連結していても良
く、その構造も特に限定されない。但し、分子量が大き
くなりすぎると溶融樹脂中への拡散性が悪化する場合が
あるので、R、R、R及びRのそれぞれに含ま
れる炭素数はいずれも20以下であることが好適であ
る。具体的には炭素数が20以下の炭化水素基であるこ
とが好適であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンタメチレン基、フェニル基などが例示され
る。好適なチウラム化合物としては、テトラメチルチウ
ラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィ
ド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチ
レンチウラムテトラスルフィド及びジペンタメチレンチ
ウラムヘキサスルフィドなどが例示される。
【0030】また、式(1)中のnは2以上の自然数で
ある。チウラム化合物であってもnの値が1以下である
場合には、架橋反応がほとんど進行せず、本発明の効果
を奏することができない。nが4以上であることが、架
橋反応速度が速くて好適である。nが4以上であるチウ
ラム化合物としてはジペンタメチレンチウラムテトラス
ルフィド及びジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィ
ドなどが例示される。
【0031】本発明で使用されるエチレン−プロピレン
−ジエン共重合体(A)は、エチレンとプロピレンとジ
エンとの共重合体であり、このジエンとしてはエチリデ
ンノルボルネン、メチレンノルボルネン、ジシクロペン
タジエン、ジシクロオクタジエン、1,4−ヘキサジエ
ンなどが例示される。これらのうちでもエチリデンノル
ボルネンは架橋速度が速くて好ましい。エチレン−プロ
ピレン−ジエン共重合体(A)のプロピレン含有量は1
0〜55重量%であることが好ましく、20〜40重量
%であることがより好ましい。また、ジエン含有量は1
〜20重量%であることが好ましく、3〜15重量%で
あることがより好ましい。
【0032】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)は、鉱物油系軟化剤で油展して用いることが好ま
しい。鉱物油系軟化剤としては、一般的にゴムの加工性
あるいは機械的特性を改良するために用いられる高沸点
の石油留分が挙げられる。この石油留分は、パラフィン
系、ナフテン系または芳香族系などあるが、パラフィン
系成分は汚染性が少なく、透明あるいは明色の油展ゴム
を得ることができるので好ましい。
【0033】鉱物油系軟化剤は、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体(A)の流動性を向上させるために、
通常エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)10
0重量部あたり好ましくは20〜200重量部、より好
ましくは30〜150重量部配合される。なお油展量が
多すぎると、熱可塑性エラストマー組成物の強度が低下
する場合がある。また、少なすぎるとバンバリーミキサ
ーやロール等での混合加工性が低下する場合がある。こ
のような軟化剤は、予めエチレン−プロピレン−ジエン
共重合体(A)に添加しておくのみならず、ポリプロピ
レン(B)などと溶融混練する際に、更に追加して配合
しても良い。
【0034】本発明で使用されるポリプロピレン(B)
は、プロピレンを主たる構成単位とする重合体であれば
特に限定されるものではないが、高結晶性であることが
強度の高い熱可塑性エラストマー組成物を得ることがで
きて好ましい。このとき、シンジオタクチック構造を有
するポリプロピレンでも、アイソタクチック構造を有す
るポリプロピレンでも構わない。
【0035】このようなポリプロピレンとしては、通常
ホモポリプロピレン、またはエチレン成分をブロック共
重合したポリプロピレンや、エチレン成分をランダム共
重合したポリプロピレンを用いることができる。また、
エチレン以外のモノマー成分を少量含むポリプロピレン
を用いることも可能であり、このような他のモノマー成
分としては、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−
1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−
1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテ
ンなどの炭素数2以上のα−オレフィンが例示される。
ポリプロピレンのメルトフローレートMFR(230
℃、2.16kg荷重下で測定)は特に限定されない
が、好適には0.5〜20g/10分である。
【0036】ポリプロピレン(B)として、二種類以上
のポリプロピレンを混合して使用してもよい。このと
き、ホモポリプロピレンに対して共重合ポリプロピレ
ン、特にブロック共重合ポリプロピレンを併用すること
が、得られる熱可塑性エラストマー組成物の強伸度と柔
軟性のバランスの点から好ましい。共重合ポリプロピレ
ンの好適な配合量はホモポリプロピレン100重量部に
対し、1〜50重量部であり、より好適には5〜30重
量部である。
【0037】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)100重量部に対するポリプロピレン(B)の配
合量は20〜200重量部であることが好ましい。ポリ
プロピレン(B)の配合量が20重量部未満では、熱可
塑性が不足する場合が多く、より好適には30重量部以
上である。一方、ポリプロピレン(B)の配合量が20
0重量部を超えると、柔軟性に欠けてエラストマーとし
ての用途に使用するのが困難になる場合が多く、より好
適には100重量部以下である。
【0038】また、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(A)100重量部に対する、チウラム化合物から
なる架橋剤(C)の配合量は0.5〜5重量部であるこ
とが好ましい。架橋剤(C)の配合量が0.5重量部未
満の場合には、架橋密度が十分に向上せず、引張り強度
及び伸度が低下する虞がある。より好適には1重量部以
上である。一方架橋剤(C)の配合量が5重量部を超え
る場合には、架橋反応が過剰に進行し、エチレン-プロ
ピレン-ジエン共重合体(A)成分が硬化して、得られ
る熱可塑性エラストマー組成物が弾力性を失ってしまう
虞がある。より好適には3重量部以下である。
【0039】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
上記(A)、(B)及び(C)を必須の配合成分とする
が、更に、下記式(2)で示されるチアゾール化合物
(D)を配合することが好ましい。
【0040】
【化8】
【0041】(式中、Rは1価の置換基を表す。R
が水素原子の場合には、その塩であっても良い。また式
中のベンゼン環が置換基を有していても良い。)
【0042】上記チアゾール化合物(D)を配合するこ
とで、到達可能な架橋密度を向上させることができ、結
果として引張り強度の高い熱可塑性エラストマー組成物
を得ることができる。式(2)中Rは1価の置換基を
表すが、その構造は特に限定されない。但し、溶融樹脂
中に容易に拡散するためには、全体の分子量が大きすぎ
ないほうが好ましく、R部分の式量は500以下であ
ることが好ましい。R は水素原子であっても良く、そ
の場合には塩を形成していても構わない。また式(2)
中、ベンゾチアゾール骨格を構成するベンゼン環が置換
基を有していても良い。
【0043】使用されるチアゾール化合物(D)として
は、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト
ベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベン
ゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾー
ルのシクロヘキシルアミン塩、ジベンゾチアジルジスル
フィド、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾ
ール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスル
フェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチア
ゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−
ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが例示される。
これらのうちでも、ジベンゾチアジルジスルフィドが特
に好適である。
【0044】チアゾール化合物(D)の配合量は、エチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体(A)100重量部
に対して、0.5〜5重量部であることが好適である。
0.5重量部未満の場合には架橋密度の向上が不十分な
場合があり、より好適には1重量部以上である。一方、
チアゾール化合物(D)の配合によって架橋反応の速度
は低下する傾向にあるので、あまり多く配合すると反応
速度の低下が問題になることがあり得る。5重量部を超
えると架橋反応の速度が遅すぎる場合があり、より好適
には3重量部以下である。
【0045】本発明の熱可塑性エラストマー組成物が、
上記(A)、(B)、(C)及び(D)を配合する際、
更に、下記式(3)で示されるチオ尿素化合物(E)を
配合してなることが好適である。
【0046】
【化9】
【0047】(式中、R及びRは1価の置換基を表
し、これらは相互に連結していても良い。)
【0048】前述のように、(A)、(B)及び(C)
を配合してなる組成物に(D)を加えることで架橋密度
を増加させて、得られる熱可塑性エラストマー組成物の
強度を向上させることができたが、このとき(D)の配
合によって若干架橋反応の速度が低下する傾向が認めら
れた。これに対し、上記式(3)で示されるチオ尿素化
合物(E)を配合することで、架橋反応の速度を再度向
上させることができるものである。
【0049】式(3)において、R及びRは1価の
置換基を表し、これらは相互に連結していても良く、そ
の構造も特に限定されない。但し、分子量が大きくなり
すぎると溶融樹脂中への拡散性が悪化する場合があるの
で、R及びRのそれぞれに含まれる炭素数はいずれ
も20以下であることが好適である。具体的には炭素数
が20以下の炭化水素基であることが好適であり、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ラウリル基、
エチレン基、フェニル基などが例示される。好適なチオ
尿素化合物としては、N,N’−ジエチルチオ尿素、
N,N’−ジブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチ
オ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ
エチレンチオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)など
が例示される。これらのうちでもN,N’−ジエチレン
チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)が特に好適で
ある。
【0050】チオ尿素化合物(E)の配合量はエチレン
−プロピレン−ジエン共重合体(A)100重量部に対
して、0.2〜2重量部であることが好適である。0.
2重量部未満の場合には、架橋反応の速度を向上させる
効果が不十分な場合があり、より好適には0.3重量部
以上である。一方、チオ尿素化合物(E)の配合によっ
て架橋密度は低下する傾向にあるので、あまり多く配合
するとチアゾール化合物(D)を配合する効果が相殺さ
れる場合があり得る。チオ尿素化合物(E)の配合量が
2重量部を超えるとチアゾール化合物(D)の配合効果
が相殺される虞があり、より好適には1重量部以下であ
る。
【0051】上述のように、チウラム化合物からなる架
橋剤(C)の配合のみで均質な架橋反応の迅速な進行が
可能である。これにチアゾール化合物(D)を配合する
ことにより、架橋密度をさらに向上させることが可能で
あるが、架橋反応の速度は低下する傾向となる。一方、
更に、チオ尿素化合物(E)を加えれば架橋反応の速度
を再び向上させることができるが、架橋密度は低下する
傾向となる。したがって、上記(C)、(D)及び
(E)の配合のバランスは重要であり、要求性能や混練
装置の仕様などを考慮して設定しなければならない。
(C)に対する(D)の配合重量比(D/C)は好適に
は0.5〜2、より好適には0.7〜1.6であり、こ
れにより効率的に架橋密度の向上が望める。また(D)
に対する(E)の配合重量比(E/D)は、好適には
0.15〜0.6、より好適には0.2〜0.5であ
り、これにより架橋密度と架橋反応の速度のバランスを
最適なものにできる。
【0052】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、酸化亜鉛、ステアリン酸などの架橋助剤を配合する
ことが、架橋反応を円滑に進行させることができて好適
である。また、カーボンブラック、クレー、カオリン、
タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、ア
ルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸
マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、カー
ボン繊維などの充填剤を配合することも、組成物の強度
を向上させることができて好適である。
【0053】更に、群青、酸化チタン、べんがら、紺
青、アゾ顔料、ニトロン顔料、レーキ顔料、フタロシア
ニン顔料などの着色剤を配合することもできる。また更
に、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種の可塑剤、
老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、発
泡剤、離型剤、帯電防止剤あるいは他の樹脂成分を配合
しても良い。
【0054】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)と、ポリ
プロピレン(B)と、式(1)で示されるチウラム化合
物からなる架橋剤(C)とを溶融混練して動的に架橋さ
せて得られるものである。
【0055】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)と、ポリプロピレン(B)と、架橋剤(C)とを
溶融混練するための装置は特に限定されず、押出機、ニ
ーダー、バンバリーミキサー、オープンロールなどを使
用することができる。本発明においては、ポリプロピレ
ン(B)からなるマトリックス中に、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体(A)からなる架橋ゴム粒子が微
細にかつ均一に分散することが重要であるから、架橋時
に高剪断速度の下で混練できることが好ましい。したが
って、高剪断速度で混練することのできる押出機、特に
二軸押出機が好適である。
【0056】このとき、エチレン−プロピレン−ジエン
共重合体(A)とポリプロピレン(B)とを予め溶融混
練して、その後二軸押出機中で架橋剤(C)を配合して
さらに溶融混練することが好ましい。エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体(A)とポリプロピレン(B)と
を予め溶融混練して十分に分散させた後に架橋反応を進
行させることで、架橋した粒子を微分散させることが可
能だからである。例えば一台の押出機を用い、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体(A)とポリプロピレン
(B)とを溶融混合してから、押出機の途中で架橋剤
(C)を投入することができる。また、複数の押出機を
用い、一台の押出機からエチレン−プロピレン−ジエン
共重合体(A)とポリプロピレン(B)の溶融混練物を
一旦吐出してから、別の押出機に架橋剤(C)とともに
投入して溶融混練しても良い。このとき、チアゾール化
合物(D)あるいはチオ尿素化合物(E)は、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体(A)及びポリプロピレ
ン(B)と共に予め溶融混練しておいても良いし、架橋
剤(C)と共に後から配合しても良い。
【0057】また、その他の各種の添加剤、例えば架橋
助剤あるいは充填剤を配合する手法は特に限定されるも
のではないが、架橋剤(C)を加える前に、これら各種
の添加剤を配合して溶融混練しておくことが好適であ
る。これらの各成分を良好に分散あるいは溶解させた後
に架橋剤(C)を添加して架橋反応を進行させながら溶
融混練させることで、各成分が均一に配合された熱可塑
性エラストマー組成物が得られやすいからである。
【0058】上記各種の添加剤は、エチレン−プロピレ
ン−ジエン共重合体(A)及びポリプロピレン(B)と
同時に押出機中に投入しても良いが、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体(A)に架橋助剤及び充填剤から
選ばれる添加剤の少なくとも一種類以上を予め配合し混
練したものをポリプロピレン(B)と配合することがよ
り好ましい。これらの添加剤の多くは、ゴム用の添加剤
として一般的に用いられているものであり、得られる熱
可塑性エラストマー組成物において、ポリプロピレン
(B)マトリックス中よりもエチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体(A)粒子中に存在するほうが好ましいも
のだからである。混練操作はバンバリーミキサーやロー
ル等を用いて行うことで十分であり、それほど高剪断速
度が要求されるわけではない。このときの混練温度は、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)成分の熱
による劣化を防ぎながら容易に混練することができる点
から、混練温度が100〜150℃の範囲であることが
好ましく、110〜140℃であることがより好まし
い。融点が約160℃であるポリプロピレン(B)と共
に混練するためには通常200℃程度の溶融温度にする
場合が多いことから、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体(A)については低温で別個に予め混練すること
で不必要な劣化を防止することができる。
【0059】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)、ポリプロピレン(B)及び架橋剤(C)を溶融
混練する際には二軸押出機を使用することが好適である
が、このとき、二軸押出機のシリンダーの平均設定温度
を130〜200℃とすることが好適である。ここで、
二軸押出機のシリンダーの平均設定温度とは、二軸押出
機のシリンダーを構成する複数のブロックの設定温度を
全て測定し、各ブロックの長さを考慮して得た加重平均
値のことをいう。この値が130℃未満の場合ポリプロ
ピレン(B)が十分に溶融しない虞がある。より好適に
は140℃以上である。一方、200℃を超えるとポリ
プロピレン(B)の粘度が低下しすぎ、混練時に溶融組
成物に剪断力が伝わりにくくなって、良好な分散状態が
得られにくくなるとともに、樹脂成分が劣化しやすくな
る。より好適には180℃以下である。
【0060】また、二軸押出機のスクリュー外周の線速
度が15m/分以上であることが好ましい。ここで、ス
クリュー外周の線速度とはスクリューの直径に円周率と
回転数を掛けて得られる数値であり、スクリュー外周と
シリンダーの内壁面との距離が一定である場合に、スク
リュー径に関わらず樹脂にかかる剪断速度に比例する数
値である。この値が15m/分未満であると、混練が十
分に行われず、架橋反応も均質に進行しない場合があ
る。より好適には20m/分以上である。線速度の上限
は通常50m/分程度である。
【0061】二軸押出機から吐出される溶融樹脂の温度
は160〜210℃であることが好適である。吐出され
る樹脂の温度はシリンダーの設定温度とシリンダー内で
の溶融樹脂の剪断発熱との関係で定まる値であり、シリ
ンダーの設定温度が高いほどまた溶融樹脂にかかる剪断
速度が高いほど高くなる数値である。この値が160℃
未満であるとポリプロピレン(B)が十分に溶融してい
ない虞がある。より好適には170℃以上であり、さら
に好適には180℃以上である。一方210℃を超える
と溶融混練時の樹脂組成物の温度が高くなりすぎて、ポ
リプロピレン(B)の粘度が低下しすぎ、混練時に溶融
組成物に剪断力が伝わりにくくなって、良好な分散状態
が得られにくくなるとともに、樹脂成分が劣化しやすく
なる。より好適には200℃以下であり、さらに好適に
は195℃以下である。
【0062】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(A)、ポリプロピレン(B)及び架橋剤(C)を溶融
混練する際に使用する二軸押出機の構成は特に限定され
るものではないが、そのスクリューのL/Dが15以上
であることが好ましい。ここでL/Dとはスクリューの
直径(D)に対するスクリューの長さ(L)の比を示す
ものである。L/Dが15未満の場合には溶融樹脂の滞
留時間が短くなって、架橋反応を進行させるための時間
が不十分となり、得られる熱可塑性エラストマー組成物
の機械強度が不十分となる虞がある。より好適にはL/
Dは20以上である。通常L/Dは100以下である。
【0063】上記二軸押出機のシリンダーの平均設定温
度、スクリュー外周の線速度、及び吐出される溶融樹脂
の温度及びL/Dの値は、いずれもエチレン−プロピレ
ン−ジエン共重合体(A)、ポリプロピレン(B)及び
架橋剤(C)の全ての成分を溶融混練する際の条件であ
る。例えば一台の押出機を用いて、途中から架橋剤
(C)をサイドフィーダーから投入するような場合に
は、そのサイドフィーダーの取り付けられたブロックよ
りも下流のブロックでの条件ということである。
【0064】このとき、架橋剤(C)を配合する前のエ
チレン−プロピレン−ジエン共重合体(A)とポリプロ
ピレン(B)とを溶融混練する条件は別途設定すること
ができる。例えば、一台の押出機を用いる場合には、サ
イドフィーダーの取り付けられたブロックよりも上流の
ブロックでのシリンダーの設定温度は、下流のブロック
よりも高めに設定するほうがポリプロピレン(B)を容
易に溶融できて好ましい。一方、下流のブロックでのシ
リンダーの設定温度を低めに設定することで、ポリプロ
ピレン(B)の溶融粘度の低下を防止して、混練時に溶
融組成物に剪断力が伝わりやすくできるとともに、樹脂
成分の劣化も防止できる。具体的にはサイドフィーダー
前のブロックでのシリンダーの平均温度を180〜22
0℃、より好ましくは190〜210℃とし、サイドフ
ィーダー後のブロックでのシリンダーの平均温度を13
0〜180℃、より好ましくは140〜170℃とし、
前者の温度を後者の温度よりも20℃以上、より好まし
くは30℃以上高くすることが好適である。
【0065】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用
いて成形品を成形する方法は特に限定されず、通常の熱
可塑性樹脂を成形するのと同様の各種の溶融成形方法を
採用することができる。射出成形、押出し成形、ブロー
成形、プレス成形等の各種の成形方法に供することが可
能である。
【0066】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の用
途は特に制限されるものではないが、柔軟性、引張り強
度及び引張り伸度の大きい点を活かせる用途に好適に使
用される。例えば自動車部品、建築用部品、電気部品、
機械部品等に用いることができる。中でも、部品に要求
される強度及び伸度がより軽量の部品で達成され、結果
として燃費の向上に寄与できる自動車部品に特に好適に
使用される。適度な柔軟性が要求され、かつ強度面での
信頼性の要求も高い自動車部品、例えばエンジン用吸気
ホース材料として好適に用いられる。
【0067】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。まず、モデル架橋試験の結果から示す。この
モデル試験の結果から、本発明で配合されるチウラム化
合物からなる架橋剤(C)、チアゾール化合物(D)お
よびチオ尿素化合物(E)の役割について説明すること
ができる。実際の処方決定に当たって、押出機を使用し
て大量に樹脂を消費する試験は必ずしも容易ではないの
で、ゴム成分であるエチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(A)の架橋状況だけをトルク変化で簡易にモニタ
ーしたものである。
【0068】試験1 油展EPDM150重量部(うちEPDM100重量
部)、酸化亜鉛5重量部及びステアリン酸1重量部をバ
ンバリーミキサーに投入し、120〜130℃の温度下
で、80rpmの回転数で2分間混練した。次いでカー
ボンブラック20重量部、クレー50重量部及び軟化剤
60重量部をバンバリーミキサー中に投入して更に5分
間混練した。このとき使用した原料の詳細は以下のとお
りである。・油展EPDM;ジェイエスアール(株)製
EPDM「EP96」(エチレン−プロピレン−エチリ
デンノルボルネン共重合体、エチレン含有量65重量
%、プロピレン含有量29.4重量%、エチリデンノル
ボルネン含有量5.6重量%、当該共重合体100重量
部に対して50重量部のオイルを含有) ・カーボンブラック;新日鉄化学(株)製FEF−HS
「ニテロン#10」 ・クレー;白石カルシウム(株)製焼成カオリンクレー
「KE」 ・軟化剤;出光興産(株)製パラフィン系オイル「PA
90」
【0069】バンバリーミキサーから取り出した混合物
を練りロールに移し、ロール上で80℃まで冷却した。
この段階でジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド
(以下「TRA」と略すことがある)1.8重量部、ジ
ベンゾチアジルジスルフィド(以下「DM」と略すこと
がある)1.8重量部、N,N’−ジエチレンチオ尿素
(以下「22」と略すことがある)0.54重量部を配
合した。その後5分間ロール上で切り返し混練を行って
から2mm厚のシート状に分出しした。
【0070】得られた未架橋ゴムシートから7gを切り
出し、キラストメーター(ジェイエスアール(株)製
「JSR CURELASTOMETER MODEL
III」を用いて、180℃下での剪断往復回転運動を
加え経時的なトルク変動を測定した。測定結果を他の例
とともに図1に示す。図1は、各試験でのトルク変動を
チャート出力したものを、トレースして重ね書きしたも
のである。架橋反応が進行するに伴ってトルクが上昇す
ることが認められる。
【0071】また、得られた厚さ2mmの未架橋ゴムシ
ートを150×150×2mmの金型に挟み、熱プレス
を用いて180℃で8分間架橋させてシートを作成し
た。これを3号ダンベル型で打ち抜いて試験片を作成
し、JIS K6301にしたがって、引張強さと伸び
を測定した。その結果を表1に示す。
【0072】試験2〜7 チウラム化合物からなる架橋剤(C)、チアゾール化合
物(D)およびチオ尿素化合物(E)の配合の有無を表
1に示すように変更する点を除いては試験1と同様に試
験を行った。その結果を図1及び表1に併せて示す。
【0073】
【表1】
【0074】試験5〜7から明らかなように、チウラム
化合物からなる架橋剤(C)を配合せず、チアゾール化
合物(D)あるいはチオ尿素化合物(E)のみを配合し
たのでは架橋反応はほとんど進行しない。架橋剤(C)
に加えて、チアゾール化合物(D)を含有する場合(試
験3)には、架橋剤(C)のみを配合した場合(試験
2)に比べて引張り強度の上昇が大きいが、トルクの上
昇速度が低下する。更にチオ尿素化合物(E)を配合し
た場合(試験1)には、試験3に比べて引張り強度は若
干低下するもののチアゾール化合物(D)の配合で低下
した架橋速度が上昇する。
【0075】実施例1 以上の試験によって、好適な処方が把握できたので、試
験1で使用したものと同じ原料を用い、試験1に準じた
処方でポリプロピレン(B)成分を含有する熱可塑性エ
ラストマー組成物を製造した。
【0076】まず、油展EPDM150重量部、酸化亜
鉛5重量部、ステアリン酸1重量部、カーボンブラック
20重量部、クレー37.6重量部及び軟化剤60重量
部をバンバリーミキサーに同時に投入し、120℃の温
度下で、80rpmの回転数で5分間混練した。なお、
クレーの一部は後の工程で架橋剤(C)等を添加すると
きの希釈剤としても配合するので、それを含めると、組
成物に対するクレーの配合量は50重量部である。バン
バリーミキサーから取り出した混合物を練りロールに移
し、ナイフで切断しながらロールから剥がして2mm厚
のリボン状のシートとし、これを一軸押出機に投入し
た。押出機先端のダイから引き取られたストランドを水
浴中で冷却してから、ペレタイザーで切断し、80℃の
オーブンで5時間乾燥して未架橋ゴムペレットを得た。
【0077】こうして得られた未架橋ゴムペレット27
3.6重量部(うちEPDM100重量部)、ホモポリ
プロピレンペレット47重量部及びブロック共重合ポリ
プロピレンペレット7重量部を同時に二軸押出機に投入
した。ホモポリプロピレンペレットは、住友化学工業
(株)製「住友ノーブレンH501」であり、メルトフ
ローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重下
で測定)が3g/10分、密度が0.91g/cm
ある。ブロック共重合ポリプロピレンペレットは住友化
学工業(株)製「住友ノーブレンAX674」であり、
メルトフローレート(MFR;230℃、2.16kg
荷重下で測定)が65g/10分、密度が0.90g/
cmである。
【0078】使用した二軸押出機は、株式会社日本製鋼
所製同方向型二軸押出機「TEX30α」である。スク
リュー径は30mmで、L/Dは42である。シリンダ
ーは12のブロックから構成され、上流側から5番目の
ブロックにサイドフィーダーが取り付けられている。ブ
ロック毎の設定温度は入り口側から出口側に向かって、
1(190℃;3.25)→2(200℃;3.0)→
3(210℃;4.0)→4(210℃;3.0)→5
(200℃;4.5;サイドフィーダー付き)→6(1
90℃;4.0)→7(160℃;2.0)→8(16
0℃;3.0)→9(150℃;3.5)→10(15
0℃;4.5)→11(150℃;4.5)→12(1
50℃;2.75)→190℃(ダイヘッド)という構
成になっている。括弧中の数値は各ブロックシリンダー
の設定温度及びL/Dの値である。
【0079】サイドフィーダーの取り付けられたブロッ
クよりも上流のブロック(1〜4番ブロック)のシリン
ダーの平均設定温度は203℃であった。また、サイド
フィーダーの取り付けられたブロックよりも下流のブロ
ック(6〜12番ブロック)のシリンダーの平均温度は
159℃であった。上記平均設定温度は、L/Dを考慮
した加重平均値による値である。また、押出機のスクリ
ュー回転数は250rpmとした。スクリュー外周の線
速度は23.6m/分であった。
【0080】上記二軸押出機に、ドライブレンドされた
前記ペレット混合物を6.5kg/時間の割合で投入し
た。また、サイドフィーダーからは、ペレット混合物中
のEPDM100重量部に対して、ジペンタメチレンチ
ウラムテトラスルフィド(以下「TRA」と略すことが
ある)1.8重量部、ジベンゾチアジルジスルフィド
(以下「DM」と略すことがある)1.8重量部、N,
N’−ジエチレンチオ尿素(以下「22」と略すことが
ある)0.54重量部及びクレー12.4重量部を予め
混合した粉末を定量的に投入した。押出機先端のダイか
ら引き取られたストランドは水浴中で冷却固化させてか
ら、ペレタイザーで切断し、80℃のオーブンで5時間
乾燥して乾燥ペレットを得た。
【0081】得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレ
ットを、170〜180℃に加熱した熱ロールに供給し
て2mm厚のシートを作成した。このシートを150×
150×2mmの金型に入れ、190℃に加熱した熱プ
レスで5分間加熱してから、金型ごと取り出して23℃
の冷却プレスに挟んで5分間冷却した。得られたシート
を3号ダンベル型で打ち抜いて試験片を作成し、JIS
K6301にしたがって、引張強さ及び伸びを測定し
た。また、JIS K6301にしたがって、JIS
A硬度を測定した。このとき、上記厚さ2mmのシート
を7枚重ねて測定に供した。その結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】比較例1〜3 比較すべき例として、市販の熱可塑性エラストマー組成
物のカタログ記載値を表2に併せて示す。いずれもエチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体及びポリプロピレン
を架橋剤とともに動的に架橋してなる組成物である。 ・比較例1;東洋紡(株)製「サーリンク4165」 ・比較例2;三井化学(株)製「ミラストマー603
0」 ・比較例3;アドバンスドエラストマーシステムズ
(株)製「サントプレーン101−64」
【0084】これらの熱可塑性エラストマー組成物の組
成の詳細は不明であるが、比較例1及び2は過酸化物を
使用しているとされており、比較例3はフェノール樹脂
を使用しているとされている。これらの比較例と比べて
も実施例1で作成した熱可塑性エラストマー組成物が、
同等の硬度を有しながら、引張り強度及び伸度(伸び)
の物性に優れていることが明らかである。
【0085】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、エラストマーと
しての柔軟性を有しながら、溶融成形が可能である熱可
塑性エラストマー組成物である。本発明により、引張り
強度及び伸度が高く、しかも生産性の良好な熱可塑性エ
ラストマー組成物及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験1〜7でのトルク変動チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 延原 博 岡山県倉敷市上富井58番地 丸五ゴム工業 株式会社内 (72)発明者 秋山 和彦 岡山県倉敷市上富井58番地 丸五ゴム工業 株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA15 AA16 AC45 AC50 AE08 FA03 FA17 FB06 FB07 FB10 FC06 GA06 GB07 GB08 4J002 BB12X BB15W EV126 EV166 EV326 FD146

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
    (A)と、ポリプロピレン(B)と、下記式(1)で示
    されるチウラム化合物からなる架橋剤(C)とを溶融混
    練して動的に架橋させてなる熱可塑性エラストマー組成
    物。 【化1】 (式中、nは2以上の自然数である。またR、R
    及びRは1価の置換基を表し、これらは相互に連
    結していても良い。)
  2. 【請求項2】 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
    (A)100重量部に対して、ポリプロピレン(B)を
    20〜200重量部、架橋剤(C)を0.5〜5重量部
    配合し、溶融混練してなる請求項1記載の熱可塑性エラ
    ストマー組成物。
  3. 【請求項3】 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
    (A)100重量部に対して、下記式(2)で示される
    チアゾール化合物(D)を0.5〜5重量部配合し、溶
    融混練してなる請求項2記載の熱可塑性エラストマー組
    成物。 【化2】 (式中、Rは1価の置換基を表す。Rが水素原子の
    場合には、その塩であっても良い。また式中のベンゼン
    環が置換基を有していても良い。)
  4. 【請求項4】 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
    (A)100重量部に対して、下記式(3)で示される
    チオ尿素化合物(E)を0.2〜2重量部配合し、溶融
    混練してなる請求項3記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。 【化3】 (式中、R及びRは1価の置換基を表し、これらは
    相互に連結していても良い。)
  5. 【請求項5】 エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
    (A)とポリプロピレン(B)とを予め溶融混練して、
    その後二軸押出機中で架橋剤(C)を配合してさらに溶
    融混練する請求項1〜4のいずれか記載の熱可塑性エラ
    ストマー組成物の製造方法。
JP2001267944A 2001-09-04 2001-09-04 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 Pending JP2003073515A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001267944A JP2003073515A (ja) 2001-09-04 2001-09-04 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001267944A JP2003073515A (ja) 2001-09-04 2001-09-04 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003073515A true JP2003073515A (ja) 2003-03-12

Family

ID=19094001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001267944A Pending JP2003073515A (ja) 2001-09-04 2001-09-04 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003073515A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009066658A1 (ja) * 2007-11-19 2009-05-28 Nihon Parkerizing Co., Ltd. 金属材料用下地処理剤および金属材料の下地処理方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009066658A1 (ja) * 2007-11-19 2009-05-28 Nihon Parkerizing Co., Ltd. 金属材料用下地処理剤および金属材料の下地処理方法
JP5167270B2 (ja) * 2007-11-19 2013-03-21 日本パーカライジング株式会社 金属材料用下地処理剤および金属材料の下地処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100418018B1 (ko) 열가소성에라스토머(elastomer)조성물및그의제조방법
JP6533592B2 (ja) 熱可塑性加硫物をつくる方法およびそれからつくられた熱可塑性加硫物
JP3168450B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP5927575B2 (ja) 熱可塑性エラストマー加硫物および該加硫物を調製するための方法
CN1302014C (zh) 热塑性弹性体组合物
CN1051740A (zh) 丙烯聚合物材料和交联的乙烯-丙烯橡胶的热塑性弹性体
JP4942268B2 (ja) 熱可塑性加硫物、発泡剤含有熱可塑性加硫物および熱可塑性加硫物のフォーム
JPH05170930A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JPH04234448A (ja) ポリブテン−1を含む動的に部分架橋した熱可塑性エラストマー
WO2003082971A2 (en) Thermoplastic vulcanizate composition and method of making same
JP2005068430A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP5396623B2 (ja) ゴム製品
JPH11189653A (ja) 熱可塑性エラストマーおよび製造方法
JP2019516836A (ja) ゴム組成物
JPH0140853B2 (ja)
KR100367321B1 (ko) 열가소성엘라스토머의분말,그를사용한성형방법및그를성형하여수득한성형체
JP3610773B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
CA2425676C (en) Method for molding rubber product
JP3399384B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
CN1680475A (zh) 橡胶制品的制法及由其得到的橡胶制品
JP2003073515A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP2773194B2 (ja) 高硬度ゴム組成物
KR100477345B1 (ko) 열가소성 엘라스토머 조성물의 제조방법
JP6512054B2 (ja) 樹脂組成物の製造方法
KR100341403B1 (ko) 열가소성 탄성체 조성물 및 그 제조방법