JP2003073275A - キノロンカルボン酸誘導体 - Google Patents

キノロンカルボン酸誘導体

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JP2003073275A
JP2003073275A JP2002009952A JP2002009952A JP2003073275A JP 2003073275 A JP2003073275 A JP 2003073275A JP 2002009952 A JP2002009952 A JP 2002009952A JP 2002009952 A JP2002009952 A JP 2002009952A JP 2003073275 A JP2003073275 A JP 2003073275A
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JP2002009952A
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English (en)
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Makoto Takemura
真 竹村
Hisashi Takahashi
寿 高橋
Katsuhiro Kawakami
勝浩 川上
Masao Ito
雅夫 伊藤
Tetsuya Suzuki
徹也 鈴木
Takeshi Otani
剛 大谷
Masayasu Sekiguchi
正保 関口
Rie Miyauchi
理江 宮内
Isao Hayakawa
勇夫 早川
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Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (−)−7−[(7S)−7−アミノ−
5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−
フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1−
シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−
4−オキソ−3−キノリンカルボン酸1塩酸塩1水和物
及びこれを含有する抗菌剤。 【効果】 本発明化合物は優れた抗菌活性と安全性を有
し、かつ光や湿度に対する安定性も優れており、抗菌剤
として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌活性及び安全
性が高く、更に安定性も良好な光学活性キノロンカルボ
ン酸誘導体及びこれを含有する抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】キノロ
ンカルボン誘導体は、合成抗菌剤として知られており、
特にキノリン骨格の1位窒素原子に1,2−シス−2−
ハロゲノシクロプロピル基を有する下記一般式(I)の
化合物は強力な抗菌活性を有し、かつ安全性も高いため
医薬として有用であることが知られている(特許第27
14597号及び特許第2917010号)。
【0003】
【化3】
【0004】[式中、R1はアミノ基、メチルアミノ
基、水酸基、チオール基又は水素原子を意味し、R2
次の群から選ばれる置換基
【0005】
【化4】
【0006】(式中、R3、R4、R5及びR6は各々独立
して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を意味し、
10及びR11は独立して水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基を意味し、R12及びR13は独立して水素原子又
は炭素数1〜6のアルキル基を意味するか、R12とR13
は一緒になって鎖長2〜5のポリメチレン鎖を形成して
もよい。)であるか、炭素数1〜6のアルキル基を有す
ることもある3−ヒドロキシピロリジニル基を意味す
る。AはC−X3又は窒素原子を意味する。X1及びX2
は各々独立してハロゲン原子を意味し、X3はハロゲン
原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアル
コキシ基、トリフルオロメチル基又は水素原子を意味す
る。Zは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数
1〜6のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6のアルキ
ル鎖のフェニルアルキル基、フェニル基、アセトキシメ
チル基、ピバロイルオキシメチル基、エトキシカルボニ
ルオキシ基、コリン基、ジメチルアミノエチル基、5−
インダニル基、フタリジニル基、5−置換−2−オキソ
−1,3−ジオキソール−4−イルメチル基、又は3−
アセトキシ−2−オキソブチル基を意味する。ただし、
置換基R2が3−アミノピロリジニル基で、R1及びX3
が水素原子である場合を除く。]
【0007】フルオロキノロン系合成抗菌薬はほぼ全身
の感染症に有効な化学療法薬に発展している。この様な
状況下、更に抗菌活性及び安全性が高く、かつ光や湿度
に対する安定性にも優れた化合物が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記特許第2714597号明細書記載のN1−(1,2
−シス−2−フルオロシクロプロピル)置換ピロリドン
カルボン酸類に着目し、更に検討してきたところ、この
明細書中に遊離体の化学構造式だけが示されているにす
ぎない化合物41、とりわけ(−)−7−[(7S)−
7−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−
イル]−6−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フ
ルオロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8
−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸[以
下、化合物(1a)。化合物(1a)は後記式(1a)
の構造を持った遊離体の化合物である。]については、
その1塩酸塩1水和物が、他の酸付加塩等に比べて、抗
菌活性及び安全性といった生理活性の面だけでなく光や
湿度に対する安定性といった物性の面でも顕著に優れて
おり、抗菌薬として有用であることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は次式(1)
【0010】
【化5】
【0011】で表される化合物、すなわち(−)−7−
[(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘ
プタン−5−イル]−6−フルオロ−1−[(1R,2
S)−2−フルオロ−1−シクロプロピル]−1,4−
ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカ
ルボン酸・1塩酸塩・1水和物[以下、化合物(1)。
化合物(1)は化合物(1a)の1塩酸塩・1水和物で
ある。]、及びこれを含有する抗菌剤を提供するもので
ある。
【0012】また、本発明は、次式(1a)
【0013】
【化6】
【0014】で表される化合物、その酸付加塩又はそれ
らの水和物を含有する抗菌剤を提供するものである。
【0015】また、本発明は上記式(1a)で表される
化合物、その酸付加塩又はそれらの水和物の、感染症治
療薬製造のための使用を提供するものである。
【0016】更に、本発明は、上記式(1a)で表され
る化合物、その酸付加塩又はそれらの水和物の有効量を
投与することを特徴とする感染症の処置方法を提供する
ものである。
【0017】
【発明の実施の形態】化合物(1a)は、化合物(2)
から下記の工程にしたがって収率よく製造することがで
きる。すなわち、化合物(2)に対してアミン化合物
(3)を反応させた後(これらの化合物はいずれも特許
第2714597号明細書に記載の方法によって得るこ
とができる。)、得られた化合物(1b)をプロトン性
溶媒で処理することで化合物(1a)を得ることができ
る。したがって、化合物(1b)は、化合物(1a)の
製造中間体として有用な化合物である。
【0018】
【化7】
【0019】化合物(2)から化合物(1b)を製造す
る条件としては、例えばアミン(3)の二塩酸塩とトリ
エチルアミンのジメチルスルホキシド溶液を室温で撹拌
した後(塩が遊離体になるまででよいが、通常最長で2
〜3時間である)、化合物(2)を加えて室温で10分
から数時間反応させればよい。
【0020】この場合、アミン(3)の二塩酸塩に代え
て、その遊離塩基(3)又はその他の種類の塩を用いて
もよい。その他の種類の塩としては、一塩酸塩でもよ
く、アミン(3)に対して1分子又は2分子の塩酸以外
の無機酸もしくは有機酸の塩でもよい。また、それらの
塩は、水和物又は溶媒和物となっていてもよい。塩酸以
外の無機酸もしくは有機酸としては、硫酸、硝酸、フッ
化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、p−トルエンス
ルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリ
クロロ酢酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール酸等を
挙げることができる。反応溶媒としては、ジメチルスル
ホキシド以外に、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を
挙げることができる。また、上記の例におけるトリエチ
ルアミンは、アミン(3)の遊離塩基を用いる場合に
は、1当量以上を用いることが好ましく、2当量以上を
用いることがより好ましい。アミン(3)の塩を用いる
場合には、その塩を遊離塩基とするために必要な当量に
加えて、反応により生成するフッ化水素の捕捉に必要な
当量以上を用いることが好ましい。また、このトリエチ
ルアミンに代えて、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、
炭酸カリウム等の他の有機塩基や無機塩基を用いてもよ
い。
【0021】化合物(1b)から化合物(1a)の製造
は、化合物(1b)を含水エタノールに溶解し、トリエ
チルアミンを加えて数時間加熱還流すればよい。この場
合、含水エタノールは他のプロトン性溶媒に代えてもよ
く、例えば含水イソプロパノールでもよい。すなわち、
水と混合することができるプロトン性溶媒であり、少な
くとも加熱時に化合物(1b)を溶解できるものが好ま
しい。また、必ずしも、トリエチルアミンを加える必要
はない。
【0022】化合物(1a)は、化合物(2)から下記
の工程によっても収率よく製造することができる。すな
わち化合物(2)に対して、アミン化合物(5)を反応
させた後カルボン酸化合物(7)を得、更にアミノ基の
保護基を除去する経路である。
【0023】
【化8】
【0024】(式中、Rは置換基を有していてもよいア
ルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアラ
ルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよい
アシル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換
基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してい
てもよいアルコキシアルキル基、又は置換シリル基を示
す。)
【0025】したがって、化合物(6)及び化合物
(7)は、化合物(1a)の製造中間体として有用な化
合物である。
【0026】化合物(6)において、Rはアミノ基の保
護基であり、置換基を有していてもよいアルコキシカル
ボニル基、置換基を有していてもよいアラルキルオキシ
カルボニル基、置換基を有していてもよいアシル基、置
換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有してい
てもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアル
コキシアルキル基、又は置換シリル基を示す。Rとして
は、これらのうち、置換基を有していてもよいアルコキ
シカルボニル基、置換基を有していてもよいアラルキル
オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシル
基、及び置換シリル基が好ましく、置換基を有していて
もよいアルコキシカルボニル基及び置換基を有していて
もよいアラルキルオキシカルボニル基がより好ましい。
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基とし
ては、具体的には第三級ブトキシカルボニル基(Boc
基)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等
を挙げることができ、第三級ブトキシカルボニル基が好
ましい。置換基を有していてもよいアラルキルオキシカ
ルボニル基としては、具体的にはベンジルオキシカルボ
ニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、p
−ニトロベンジルオキシカルボニル基等を挙げることが
でき、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基及びp
−ニトロベンジルオキシカルボニル基が好ましい。置換
基を有していてもよいアシル基としては、具体的にはア
セチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル
基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベ
ンゾイル基等を挙げることができ、トリフルオロアセチ
ル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、及びホルミル
基が好ましい。置換基を有していてもよいアルキル基と
しては、具体的には第三級ブチル基等を挙げることがで
きる。置換基を有していてもよいアラルキル基として
は、ベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−メトキシ
ベンジル基、トリフェニルメチル基等を挙げることがで
き、p−メトキシベンジル基及びトリフェニルメチル基
が好ましい。置換基を有していてもよいアルコキシアル
キル基としては、メトキシメチル基、第三級ブトキシメ
チル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、テ
トラヒドロフラニル基等を挙げることができ、第三級ブ
トキシメチル基及びテトラヒドロフラニル基が好まし
い。置換シリル基としては、トリメチルシリル基、イソ
プロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリ
ル基、トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニル
シリル基等を挙げることができ、イソプロピルジメチル
シリル基及び第三級ブチルジメチルシリル基が好まし
い。
【0027】しかしながら、Rは、上記の具体例に限定
されることなく、アミノ基の保護基として一般に使用さ
れているアルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカ
ルボニル基、アシル基、アルキル基、アラルキル基、ア
ルコキシアルキル基、又はシリル基から選ばれるもので
あればよい。
【0028】化合物(6)を製造する条件としては、例
えばアミン(5)をジメチルスルホキシド中でトリエチ
ルアミン存在下に室温で数時間〜1日程度反応させれば
よい。アミン(5)は、遊離塩基を用いてもよいし、無
機酸もしくは有機酸の塩を用いてもよい。アミン(5)
は、1当量以上を用いることが好ましく、アミン(5)
の遊離塩基を用いる場合には、トリエチルアミンを1当
量以上を用いることが好ましく、2当量以上を用いる方
がより好ましい。アミン(5)の塩を用いる場合には、
その塩を遊離塩基とするのに必要な当量に加えて、反応
により生成するフッ化水素の捕捉に必要な当量以上を用
いることが好ましい。アミン(5)の塩としては、塩
酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、沃化水素
酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸、蟻酸、マレイン
酸、フマール酸等の無機酸もしくは有機酸の塩を挙げる
ことができる。また、それらの塩は、水和物又は溶媒和
物となっていてもよい。反応溶媒としては、ジメチルス
ルホキシド以外に、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン
等を挙げることができる。また、上記の例におけるトリ
エチルアミンは、代替品として、4−(ジメチルアミ
ノ)ピリジン、炭酸カリウム等の他の有機塩基や無機塩
基を用いてもよい。
【0029】化合物(6)から化合物(7)への変換
は、化合物(6)を含水エタノールに溶解し、トリエチ
ルアミンを加えて数時間加熱還流すればよい。この場
合、含水エタノールは他のプロトン性溶媒に代えてもよ
く、例えば含水イソプロパノールでもよい。すなわち、
水と混合することができるプロトン性溶媒であればよ
く、少なくとも加熱時に化合物(6)を溶解できるもの
が好ましい。また、必ずしも、トリエチルアミンを加え
る必要はない。
【0030】化合物(7)から化合物(1a)の製造に
おいては、保護基であるRの性質に応じた脱保護条件を
用いる必要がある。以下に代表的な例を示す。Rが第三
級ブトキシカルボニル基(Boc基)である場合には、
塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化
水素酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、
トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸又はギ酸等の
無機酸もしくは有機酸で処理して脱保護することができ
る。その場合の温度としては、使用する酸の種類や濃度
あるいは溶媒に合わせて、−30から100℃までの適
当な温度を選択すればよい。p−メトキシベンジルオキ
シカルボニル基、アセチル基、ピバロイル基、メトキシ
アセチル基、ホルミル基、第三級ブチル基、メトキシメ
チル基、第三級ブトキシメチル基、テトラヒドロフラニ
ル基、トリメチルシリル基、トリフェニルメチル基等に
ついても、同様に塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭
化水素酸、ヨウ化水素酸、p−トルエンスルホン酸、メ
タンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、又はトリクロロ酢
酸等の無機酸もしくは有機酸から適宜選択した酸で処理
すれば、脱保護することができる。2,2,2−トリク
ロロエトキシカルボニル基や2,2,2−トリクロロエ
トキシメチル基は、亜鉛と酸(塩酸又は酢酸)を用いて
脱保護することができる。ベンジルオキシカルボニル
基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、p−ニ
トロベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、p−ニ
トロベンジル基、p−メトキシベンジル基、トリフェニ
ルメチル基等は、接触還元により脱保護することができ
る。アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロア
セチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル
基、ベンゾイル基等のアシル基は、塩酸等の酸又は水酸
化ナトリウム等のアルカリで処理することにより、脱保
護することができる。トリメチルシリル基、イソプロピ
ルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、
トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニルシリル
基等の置換シリル基は、酸又はフッ素イオンにより脱保
護することができる。その場合の酸としては、酢酸、塩
酸、フッ化水素等からシリル基の性質に応じた酸を選択
する必要がある。また、フッ素イオンとしては、フッ化
テトラブチルアンモニウム等を使用すればよい。クロロ
アセチル基は、チオ尿素を用いれば脱保護することがで
きる。以上の脱保護の詳細な条件は、汎用されているも
のを用いればよい。
【0031】また、化合物(6)において、Rが例えば
第三級ブトキシカルボニル基のような酸で脱保護可能な
基である場合には、化合物(6)を塩酸、硫酸、硝酸、
フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、p−トルエ
ンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸又
はトリクロロ酢酸等の無機酸もしくは有機酸で直接処理
することにより、化合物(1a)を製造することができ
る。
【0032】上述の2つの製造法において、化合物(1
a)は遊離体として得てもよいし、塩として得てもよ
い。塩の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素
酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、p−トルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ
酢酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール酸等の無機酸
もしくは有機酸の塩、あるいはナトリウム、カリウム、
カルシウム又はリチウム等のアルカリ金属又はアルカリ
土類金属の塩等が挙げられる。更には、化合物(1a)
が遊離体又は塩のいずれの場合においても、溶媒和物と
して得てもよく、溶媒和物としては、水、エタノール、
プロパノール、アセトニトリル、アセトン等の溶媒和物
の他に、空気中の水分を吸収して形成された水和物等を
挙げることができる。
【0033】化合物(1a)に関する上記の2系統の製
造法において使用する化合物(2)は次に示す経路によ
って製造することができる。
【0034】
【化9】
【0035】この方法において、化合物(12)から化
合物(2)を製造するには、例えばボロントリフルオラ
イドのエーテル錯体を使用して得ることができるが、化
合物(12)を経由することなしに、次のようにして化
合物(11)をテトラフルオロホウ酸によって処理する
ことでも得ることができる。
【0036】
【化10】
【0037】化合物(1a)から化合物(1)への変換
は、例えば化合物(1a)を2−プロパノール、エタノ
ール等のアルコール系溶媒に懸濁し、これに塩酸を加え
て溶解し、次いで2−プロパノール、エタノール等のア
ルコール系溶媒を用いて結晶化することにより行なわれ
る。
【0038】上記の如くして得られる化合物(1a)、
その酸付加塩又はそれらの塩、特に化合物(1a)の1
塩酸塩・1水和物である化合物(1)は、特許第271
4597号及び2917010号明細書に記載の化合物
9a、9b、13b、18a、18b、26bb、26
aa、26ba、26ab、31a、31b、34b、
54b、56b、52bbや85bbに比べても、優れ
た抗菌活性を有し、光や湿度に対する安定性の面でも優
れており、抗菌剤として有用である。ここで、抗菌剤と
して用いる場合の化合物(1a)の酸付加塩としては、
塩酸塩が好ましい。これらの化合物(1a)、その酸付
加塩及びそれらの水和物のうち、化合物(1)が特に好
ましい。
【0039】化合物(1)、すなわち化合物(1a)の
1塩酸塩1水和物としては、粉末X線回折による回折角
(2θ)として6.9、10.9、14.4、23.
1、26.9及び27.8(°)付近に特徴的ピークを
示す結晶(図1参照)がより好ましい。また、この化合
物(1)は、5〜95%RHの湿度条件下で吸脱湿をお
こさず、湿度に対する安定性も良好である。
【0040】本発明化合物は強い抗菌作用を有し、光や
湿度に対する安定性も優れていることから人体、動物及
び魚類用の感染症治療薬として有用である。
【0041】本発明化合物を人体用の医薬として使用す
る場合、投与量は成人一日当たり50mgから1g、好ま
しくは100mgから300mgの範囲である。また動物用
としての投与量は、投与の目的(治療或いは予防)、処
置すべき動物の種類や大きさ、感染した病原菌の種類、
程度によって異なるが、一日量として一般的には動物の
体重1kg当たり1mgから200mg、好ましくは5mgから
100mgの範囲である。この一日量を一日1回、あるい
は2〜4回に分けて投与する。また一日量は必要によっ
ては上記の量を超えてもよい。
【0042】本発明化合物を含有する抗菌製剤は投与法
に応じ適当な製剤を選択し、通常用いられている各種製
剤の調製法にて調製できる。本発明化合物を主剤とする
抗菌製剤の剤型としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カ
プセル剤や、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性
ないし水性の懸濁液等を経口用製剤として例示できる。
【0043】注射剤としては製剤中に安定剤、防腐剤、
溶解補助剤を使用することもあり、これらの補助剤を含
むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって
固形製剤として用時調製の製剤としてもよい。また一投
与量を容器に収納してもよく、また多投与量を同一の容
器に収納してもよい。
【0044】また外用製剤として溶液剤、懸濁液、乳濁
液、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、スプレー等を
例示できる。
【0045】固形製剤としては本発明化合物とともに製
薬学上許容されている添加物を含み、例えば充填剤類や
増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤
類、潤滑剤類等を必要に応じて選択して混合し、製剤化
することができる。
【0046】液体製剤としては溶液、懸濁液、乳液剤等
を挙げることができるが添加剤として懸濁化剤、乳化剤
等を含むこともある。
【0047】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0048】参考例1 エチル 3−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシ−
2,4,5−トリフルオロベンゾイル)アクリレート 3−メトキシ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸20
6.1g(1000mmol)、N,N−ジメチルホル
ムアミド2mL及びトルエン2000mLの混合懸濁液に塩
化チオニル109.4mL(1500mmol)を室温下
にて滴下した。滴下終了後、反応液を80℃の油浴中に
て16時間攪拌した。反応液を冷却後、減圧濃縮し(濃
縮後にトルエンを加え、更に濃縮する操作を3回実施し
た。)、酸クロリドを調製した。
【0049】エチル 3−ジメチルアミノアクリレート
171.8g(1200mmol)とトリエチルアミン
184.0mL(1320mmol)を無水テトラヒドロ
フラン1500mLに溶解し、氷冷下、この溶液に先に調
製した酸クロリドを無水テトラヒドロフラン500mLに
溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、反応懸濁液を5
時間加熱還流した。反応液を冷却後、減圧濃縮し、残留
物に水1500mL、ジクロロメタン1500mLを加え攪
拌後、ジクロロメタン層を分取し、水層ジクロロメタン
1000mLにて抽出した。合わせたジクロロメタン層を
飽和食塩水1500mLにて洗浄後、無水硫酸ナトリウム
にて乾燥した。濾過後、濾液を減圧濃縮して得られた残
留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、n−ヘキ
サン:酢酸エチル=1:1溶出部を濃縮、減圧乾燥して
黄白色クリーム状の標記化合物270.3g(81.6
%)を得た。
【0050】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.02(3H,t,J=7.
08Hz),2.88(3H,br),3.32(3H,br),4.00(2H,q,J=7.08Hz),
7.09-7.13(1H,m),7.83(1H,s).
【0051】参考例2 エチル 3−[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シ
クロプロピルアミノ]−2−(3−メトキシ−2,4,
5−トリフルオロベンゾイル)アクリレート エチル 3−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシ−
2,4,5−トリフルオロベンゾイル)アクリレート2
60.5g(786.3mmol)をジクロロメタン2
200mLに溶解後、(1R,2S)−2−フルオロ−1
−シクロプロピルアミンのp−トルエンスルホン酸塩2
23.6g(904.2mmol)を加え、この懸濁液
を−15℃に冷却した。攪拌下、トリエチルアミン13
8.6mL(994.6mmol)のジクロロメタン30
0mL溶液を40分間で滴下した。滴下終了後、同温度に
て1時間、氷冷下にて1時間、続いて室温にて14時間
攪拌した。反応液にジクロロメタン1000mLと水20
00mLを加えた後、ジクロロメタン層を分取し、水層を
ジクロロメタン500mLにて抽出した。合わせた有機層
を飽和食塩水1000mLにて洗浄後、無水硫酸ナトリウ
ムにて乾燥した。濾過後、濾液を減圧濃縮して黄色クリ
ーム状の標記化合物227.5g(97.7%)を得
た。尚、本成績体は、幾何異性体(E体とZ体の混合
物)として得られ、これを分離精製することなく次の反
応に使用した。
【0052】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.97,1.09(tota
l 3H, each t,J=7.08Hz),1.21-1.37(2H,m),2.90-2.99(1
H,m),4.01(3H,s),4.03,4.06(total 2H,each q,J=7.08H
z),4.73(1H,dm,J=63.72Hz),6.86-6.92,6.98-7.04(total
1H,each m),8.16,8.23(total 1H,each d,J=13.67Hz).
【0053】参考例3 エチル 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−
2−フルオロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒド
ロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボキ
シレート 先に合成した粗エチル 3−[(1R,2S)−2−フ
ルオロ−1−シクロプロピルアミノ]−2−(3−メト
キシ−2,4,5−トリフルオベンゾイル)アクリレー
ト276.2g(764.5mmol)を乾燥N,N−
ジメチルホルムアミド2000mLに溶解後、氷冷下にて
炭酸カリウム317.0g(2.293mmol)を加
え、この懸濁液を室温にて72時間攪拌した。氷冷攪拌
下、反応液に2N塩酸を徐々に滴下し、懸濁液のpHを約
3に調整した。反応懸濁液を室温にて30分間攪拌後、
生じた沈殿物を濾取した。その結晶を過剰の精製水、少
量の冷エタノール、過剰のジエチルエーテルの順に洗浄
後、70℃にて減圧乾燥して白色粉末状の標記化合物2
13.4g(81.8%)を得た。
【0054】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.41(3H,t,J=7.
08Hz),1.56-1.68(2H,m),3.83-3.88(1H,m),4.10(3H,d,J=
2.20Hz),4.39(2H,q,J=7.08Hz),4.85(1H,dm,J=62.99Hz),
8.05(1H,dd,J=8.55,10.01Hz),8.57(1H,d,J=1.22Hz).
【0055】参考例4 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フル
オロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−
メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸 エチル 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−
2−フルオロ−1−シクロプロピル]−8−メトキシ−
1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボキ
シレート120.8g(354.1mmol)、氷酢酸
210mL、及び濃塩酸420mLの混合物を6時間加熱還
流した。冷却した反応液を攪拌下にて氷水1500mLに
注ぎ、室温にて30分間攪拌した。析出した結晶を濾取
し、過剰量の精製水、エタノール300mL、ジエチルエ
ーテル500mLの順で洗浄した。濾取した結晶をエタノ
ール−アセトン系にて再結晶精製(活性炭処理、濾過)
後、70℃にて減圧乾燥した白色状針状晶の標記化合物
を107.0g(96.5%)を得た。
【0056】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.64-1.75(2H,
m),3.97-4.00(1H,m),4.17(3H,d,J=2.20Hz),4.91(1H,dm,
J=63.23Hz),8.05(1H,dd,J=8.55,10.01Hz),8.84(1H,s),1
4.31(1H,s).
【0057】参考例5 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フル
オロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−
メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸−ジフ
ルオロボロンキレート 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フル
オロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−
メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸90.
30g(288.3mmol)の乾燥ジエチルエーテル
1000mL懸濁液に、氷冷下にてボロン トリフルオリ
ドのジエチルエーテルコンプレックス653mLを滴下し
た。滴下終了後、反応懸濁液を室温にて24時間攪拌し
た。析出した結晶を濾取し、過剰量の乾燥ジエチルエー
テルで洗浄した。濾取した結晶を室温にて減圧乾燥して
白色粉末状の標記化合物96.47g(92.7%)を
得た。
【0058】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.77-1.98(2H,
m),4.30(3H,d,J=2.93Hz),4.38-4.44(1H,m),5.03(1H,dm,
J=62.50Hz),8.17(1H,dd,J=8.06,8.79Hz),9.14(1H,s).
【0059】参考例6 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フル
オロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−
メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸−ジフ
ルオロボロンキレート(別途合成法) エチル 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−
2−フルオロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒド
ロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボキ
シレート260mg(0.733mmol)と42%テト
ラフルオロホウ酸5mLの混合物を90℃の油浴中にて3
時間攪拌した。反応液を冷却後、過剰の精製水を加え、
析出した結晶を濾取した。過剰の精製水、ジエチルエー
テルの順に結晶を洗浄後、濾取した結晶を室温にて減圧
乾燥して白色粉末状の標記化合物241mg(91.1
%)を得た。本成績体の1H-NMRデータは、前述の別途合
成法にて合成した成績体のデータと一致した。
【0060】実施例1 (−)−7−{(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル}−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸(化合物1a) (7S)−7−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプ
タン2塩酸塩61.4g(0.332mol)をジメチ
ルスルホキシド800mLに溶解させ、窒素雰囲気下、室
温にてトリエチルアミン138mL(0.994mol)
を加えて10時間攪拌した。反応液に6,7−ジフルオ
ロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロ
プロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オ
キソ−3−キノリンカルボン酸ジフルオロボロンキレー
ト100g(0.276mol)を粉体のままゆっくり
と加えて、室温にて40時間攪拌した。反応液を減圧濃
縮し、得られた残留物に90%エタノール1000mL、
トリエチルアミン20mLを加えて2時間半加熱還流し
た。反応液を放冷後、析出してきた結晶を濾取し、エタ
ノール、エーテルの順に洗浄し、70℃で16時間減圧
乾燥して標記化合物72.5g(淡黄色粉末;0.5水
和物;61.4%)を得た。濾液を減圧下に溶媒留去
し、水2000mLを加えて氷冷下攪拌しながら3N水酸
化ナトリウム水溶液を加えてpH10.0に調整した後
に、3N塩酸水溶液を加えてpH7.4に調整した後、室
温にて16時間攪拌した。析出してきた結晶を濾取し、
水で洗浄後、70℃で減圧乾燥して標記化合物19.2
g(淡黄色粉末;0.5水和物;33.6%)を得た。
【0061】1H-NMR(400MHz,0.1N NaOD)δ:0.53-0.59
(2H,m),0.62-0.66(1H,m),0.78-0.82(1H,m),1.38-1.60(2
H,m),3.07(1H,s),3.39(1H,dd,J=10.3,26.0Hz),3.52(3H,
s),3.72(1H,d,J=10.0Hz),3.89-4.00(2H,m),4.93(1H,dm,
J=64.2Hz),7.62(1H,d,J=14.2Hz),8.43(1H,s). 元素分析値;C20H21F2N3O4・0.5H2Oとして: 理論値;C,57.97; H,5.35; N,10.14 実測値;C,57.97; H,5.31; N,10.11 比旋光度:[α]D 22=-25.5°(c=0.832,0.1N NaOH). 融点:207-209℃.
【0062】実施例2 (−)−7−{(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル}−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸1塩酸塩1水和物(化合物1) 3Lのなす型フラスコを用い、先に晶析させた(−)−
7−[(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ[2.
4]ヘプタン−5−イル]−6−フルオロ−1−[(1
R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピル]−
1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キ
ノリンカルボン酸0.5水和物61.3g(148mm
ol、フリー体換算60.0g)を2−プロパノール7
20mLに懸濁して、氷冷下攪拌しながら5N塩酸59.
2mL(296mmol)をゆっくりと滴下した。室温に
戻し、蒸留水420mLを加えて10分間攪拌した後に、
水浴を用いて60℃に加温して攪拌した。懸濁物が溶解
した後、活性炭3gを加え、外温80℃で20分間攪拌
した。活性炭を濾去し、濾液を減圧濃縮、乾固した。得
られた残留物を真空ポンプを用いて70℃の水浴中にて
1時間乾燥した後、96% 2−プロパノール1800
mLを加え、水浴を用いて80℃で攪拌し、固形物が溶解
した後、60℃にて攪拌した。しばらくして結晶が析出
した後、水浴の温度を約1時間半かけて25℃とした
後、20時間ゆっくりと攪拌した。析出した結晶を濾取
し、2−プロパノールで洗浄後、70℃で減圧乾燥して
標記化合物56.3g(淡黄色結晶;82.7%)を得
た。
【0063】1H-NMR(400MHz,0.1N NaOD)δ:0.57-0.70
(3H,m),0.81-0.85(1H,m),1.40-1.64(2H,m),3.13(1H,t,J
=4.39Hz),3.46(1H,dd,J=10.5,24.6Hz),3.60(3H,s),3.84
(1H,dd,J=7.81,10.3Hz),3.99-4.06(2H,m),5.01(1H,dm,J
=64.5Hz),7.66(1H,d,J=14.1Hz),8.42(1H,d,J=1.95Hz). 元素分析値;C20H21F2N3O4・1.0HCl・1H2Oとして: 理論値;C,52.24; H,5.26; N,9.14 実測値;C,52.15; H,5.25; N,9.07 比旋光度:[α]D 22=-166.5°(c=0.990,H2O). 融点:199-208℃.
【0064】実施例3 (−)−7−{(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル}−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸−ジフルオロボロンキレート
(1b) (7S)−7−アミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプ
タン2塩酸塩615mg(3.32mmol)、トリエチ
ルアミン1.40mLのジメチルスルホキシド5mL溶液を
室温にて20分間攪拌後、6,7−ジフルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸−ジフルオロボロンキレート
1.00g(2.77mmol)を加え、室温で20時
間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、精製水(50mL)を
加え、1N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7.0に調整
し、この水層をクロロホルム(100mL×5)で抽出し
た。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、
残留物をエタノールから再結晶精製して淡黄色結晶の標
記化合物1.14g(91%)を得た。
【0065】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.65-0.73(3H,
m),0.82-0.86(1H,m),1.50-1.60(1H,m),1.66-1.76(1H,
m),3.25-3.27(1H,m),3.45-3.58(2H,m),3.69(3H,s),4.00
-4.03(1H,m),4.12-4.15(1H,m),4.19-4.24(1H,m),4.95(1
H,dm,J=62.7Hz),7.91(1H,d,J=13.7Hz),8.85(1H,d,J=2.2
0Hz). IR(KBr disk)cm-1:3396,3080,3001,2941,2883,1716,163
1,1560,1522,1441,1363,1331,1288,1257,1225. 融点;194-197℃(分解) 元素分析値;C20H20BF4N3O4・0.25H2Oとして: 理論値;C,52.48; H,4.51; N,9.18 実測値;C,52.33; H,4.36; N,9.01 比旋光度:[α]D 19.7=-29.3#(c=1.03,DMF)
【0066】実施例4 (−)−7−{(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル}−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸(1) (−)−7−{(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル}−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸−ジフルオロボロンキレート
1.14g(2.52mol)を20%含水エタノール
(エタノール4容と水1容から調製した)100mLに溶
解し、トリエチルアミン2mLを加えて3時間加熱還流し
た。溶媒を留去し、残渣に濃塩酸(5mL)及び1N−塩
酸(5mL)を加え溶解し、クロロホルム(100mL×
3)にて洗浄した。この酸性水溶液を、氷冷下10N−
水酸化ナトリウム水溶液及び1N−水酸化ナトリウム水
溶液にてpH8.0に調整し、室温にて3時間攪拌した
(攪拌後pH7.5)。析出結晶をろ取、減圧乾燥して淡
黄色結晶の標記化合物の粗結晶980mg得、これを28
%アンモニア水とエタノールの混合液で再結晶精製して
減圧乾燥後、淡黄白色結晶の標記化合物561mg(55
%)を淡黄色結晶として得た。
【0067】1H-NMR(400MHz,0.1N-NaOD)δ:0.53-0.59(2
H,m),0.62-0.66(1H,m),0.78-0.82(1H,m),1.38-1.60(2H,
m),3.07(1H,s),3.39(1H,dd,J=10.3,26.0Hz),3.52(3H,
s),3.72(1H,d,J=10.0Hz),3.89-4.00(2H,m),4.93(1H,dm,
J=64.2Hz),7.62(1H,d,J=14.2Hz),8.43(1H,s).
【0068】実施例5 7−[(7S)−5−アザ−7−第三級ブトキシカルボ
ニルアミノスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6
−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1
−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ
−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸−ジフルオロボ
ロンキレート 6,7−ジフルオロ−1−[(1R,2S)−2−フル
オロ−1−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−
メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸−ジフ
ルオロボロンキレート1.00g(2.77mmol)
のジメチルスルホキシド5mL溶液に(7S)−5−アザ
−7−第三級ブトキシカルボニルアミノスピロ[2.
4]ヘプタン706mg(3.32mmol)、トリエチ
ルアミン927μlを加えた後、室温で20時間攪拌し
た。反応液を減圧濃縮し、残留物に精製水(40mL)を
加え、析出した結晶を精製水、少量のジエチルエーテル
順に洗浄した。これをクロロホルム(100mL)に溶解
し、水(50mL×2)及び飽和食塩水(50mL)にて洗
浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去
した。得られた粗生成物をn−ヘキサンとエタノールの
混合液より再結晶精製後、減圧乾燥して淡黄色結晶の標
記化合物1.47g(96%)を得た。
【0069】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.69-0.79(2H,
m),0.83-0.97(2H,m),1.43-1.53(1H,m),1.45(9H,s),1.68
-1.77(1H,m),3.49-3.52(1H,m),3.70(3H,s),3.79(1H,d,J
=11.5Hz),3.88(1H,s),4.00-4.03(1H,m),4.16-4.22(1H,
m),4.23-4.25(1H,m),4.76(1H,br.s),4.96(1H,dm,J=62.7
Hz),7.90(1H,d,J=13.7Hz),8.84(1H,d,J=2.44Hz). IR(KBr disk)cm-1:3450,3415,3082,3001,2976,2935,288
1,1716,1631,1568,1525,1444,1365,1331,1286,1257. 融点:152-155℃ 元素分析値:C25H28BF4N3O6として: 理論値;C,54.27; H,5.10; N,7.59 実測値;C,54.12; H,5.13; N,7.41 比旋光度:[α]D 19.7=-23.9#(c=1.00,CHCl3)
【0070】実施例6 7−[(7S)−5−アザ−7−第三級ブトキシカルボ
ニルアミノスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6
−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1
−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ
−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸 7−[(7S)−5−アザ−7−第三級ブトキシカルボ
ニルアミノスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6
−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1
−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ
−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸−ジフルオロボ
ロンキレート1.47g(2.66mmol)を80%
含水エタノール50mLに溶解し、トリエチルアミン2mL
を加えて3時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、残留
物に10%クエン酸水溶液(50mL)を加え、クロロホ
ルム(100mL×2)にて抽出した。有機層を飽和食塩
水(50mL)にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶
媒を留去した。残留物をn−ヘキサン−クロロホルム系
より再結晶精製し、減圧乾燥して淡黄色結晶の標記化合
物1.37g(定量的)を得た。
【0071】1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.64-0.75(2H,
m),0.81-0.94(2H,m),1.45(9H,s),1.49-1.52(1H,m),1.54
-1.62(1H,m),3.37(1H,d,J=10.5Hz),3.62(3H,s),3.63-3.
67(1H,m),3.83-3.90(3H,m),4.06-4.10(1H,m),4.76-4.79
(1H,m),4.85(1H,dm,J=62.7Hz),7.83(1H,d,J=13.5Hz),8.
70(1H,d,J=2.20Hz). IR(KBr disk)cm-1:3448,3361,3074,2979,2935,2881,173
4,1693,1622,1512,1448,1367,1325,1352,1252. 融点;167-169℃ 元素分析値:C25H29F2N3O6・0.5H2Oとして: 理論値;C,58.36; H,5.88; N,8.17 実測値;C,58.50; H,5.70; N,8.17 比旋光度:[α]D 19.7=-95.2#(c=0.930,CHCl3)
【0072】実施例7 (−)−7−{(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル}−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸(1) 7−[(7S)−5−アザ−7−第三級ブトキシカルボ
ニルアミノスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−6
−フルオロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロ−1
−シクロプロピル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ
−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸1.37g
(2.66mol)に氷冷下、濃塩酸(5mL)及び1N
−塩酸(5mL)を加え溶解し、クロロホルム(100mL
×3)で洗浄した。この酸性水溶液に氷冷下にて10N
−水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH11.0とした。
この塩基性水溶液を濃塩酸及び1N−塩酸にてpH7.4
に調整し、室温にて3時間攪拌した(攪拌後pH7.
4)。析出した結晶をろ取、減圧乾燥して淡黄色結晶の
標記化合物の粗結晶1.01gを得た。これを28%ア
ンモニア水とエタノールの混合液により再結晶精製して
淡黄白色結晶の標記化合物351mg(33%)を得た。
【0073】1H-NMR(400MHz,0.1N-NaOD)δ:0.53-0.59(2
H,m),0.62-0.66(1H,m),0.78-0.82(1H,m),1.38-1.60(2H,
m),3.07(1H,s),3.39(1H,dd,J=10.3,26.0Hz),3.52(3H,
s),3.72(1H,d,J=10.0Hz),3.89-4.00(2H,m),4.93(1H,dm,
J=64.2Hz),7.62(1H,d,J=14.2Hz),8.43(1H,s).
【0074】参考例7 (−)−7−[(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸のメタンスルホン酸塩 (−)−7−[(7S)−7−アミノ−5−アザスピロ
[2.4]ヘプタン−5−イル]−6−フルオロ−1−
[(1R,2S)−2−フルオロ−1−シクロプロピ
ル]−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−
3−キノリンカルボン酸(1a)2.51gをエタノー
ル(20mL)に懸濁し、メタンスルホン酸(1.2当
量)を加え室温で5分間攪拌後、ジエチルエーテル(8
0mL)を加えた。析出した結晶をジエチルエーテルで洗
浄後、ろ取した(2.01g,94%)。
【0075】上記メタンスルホン酸塩粗晶(900mg)
をイソプロパノール(100mL)に熱時溶解し、全体量
を40mLまで加熱濃縮した。室温で放置後、析出した結
晶をろ取し、イソプロパノールにて洗浄後、標記化合物
720mg(80%)を得た。
【0076】融点:257-258℃1 H-NMR(400MHz,0.1N-NaOD)δ:0.58-0.72(3H,m),0.80-0.
90(1H,m),1.40-1.62(2H,m),2.82(3H,s),3.10-3.12(1H,
m),3.41-3.49(2H,m),3.58(3H,s),3.81(1H,dd,J=2.44,9.
77Hz),4.85-4.93,5.04-5.07(each 0.5H,m),7.65(1H,d,J
=14.16Hz),8.42(1H,s).
【0077】試験例1(化合物(1)の結晶形の確認) (1)化合物(1)の粉末X線回折結果(Phlips
社製 X′pert粉末X線回折装置使用)を図1に、
IRスペクトル(HORIBA社製、FT−IR、FT
−720使用)を図2にて示す。また化合物(1)の熱
分析の結果、重量減少は4.2重量%で、1水和物とし
ての理論値(3.9%)にほぼ一致した。 (2)また、カールフィッシャー法により水分量を定量
した結果、4.11%であり、熱分析による結果と一致
した。
【0078】試験例2 化合物(1)の吸脱湿挙動を、試料約10mgを用いて、
VTI社製水分吸着解析装置(model SGA−1
00)により測定した。測定温度は25℃であり、5か
ら95%の範囲内で5%又は10%の幅で相対湿度を変
化させた。30分間の重量変化が0.03%以内である
ことを平衡条件とし、最大平衡時間を180分として各
相対湿度下での試料の重量変化を測定した。その結果、
図3に示すように、化合物(1)は5〜95%RH条件
で吸脱湿をおこさず、安定であることがわかる。
【0079】試験例3 化合物(1a)の酸付加塩(メタンスルホン酸塩、p−
トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩)を調
製し、それらの湿度に対する安定性を評価した。その結
果、いずれも高湿度条件下で吸湿する傾向が認められ
た。なお、化合物(1a)の酢酸塩及び乳酸塩を調製し
ようとしたが、これらとは塩を形成しなかった。
【0080】試験例4 化合物(1)の水に対する溶解度を種々検討したとこ
ろ、化合物(1)は水に対しては100mg/mL以上の高
い溶解度を示した。
【0081】試験例5 化合物(1)(1.5mg)を(1)70℃瓶密栓、
(2)50℃、75%RH(NaCl)開放状態及び
(3)100,000lx・h(2500lx×40
h)〔光照射〕の条件下に1週間保存した後、液体クロ
マトグラフィーによりその残存量を定量した。その結
果、化合物1は、光照射条件下でも全く分解せず、安定
であった。また、化合物(1)の光に対する安定性は、
特許第2714597号明細書記載の化合物26bbに
比べても優れていた。
【0082】試験例6 Slc:ddY系マウス(雄、3週齢)を1群10匹と
して用いた。化合物(1)を注射用蒸留水に溶解し、5
μg/匹を大槽内投与した。また、化合物(1)とビフ
ェニル酢酸との併用群は、ビフェニル酢酸400mg/kg
を経口投与し30分後に化合物1を単独投与と同様にし
て大槽内投与した。
【0083】その結果、化合物(1)は、単独投与群及
びこれとビフェニル酢酸併用群のいずれの場合も大槽内
投与により痙攣及び死亡発現が全く見られず、中枢毒性
が極めて弱く、安全性が高いことが判明した。
【0084】これに対して比較化合物Aでは、同用量の
投与で10匹中2匹に痙攣が発現し、死亡例も10匹中
1匹発生した。更に上記と同様のビフェニル酢酸併用時
では、痙攣が10匹中4匹に発現し、死亡例も10匹中
2匹発生した。
【0085】
【化11】
【0086】試験例7 幼若ビーグル犬(雄、3〜4ケ月齢)を1群3頭として
用いた。化合物(1)を8日間経口投与し、重要な可動
関節を病理学的に検査した。その結果、特許第2714
597号明細書記載の化合物26bb投与群は、14.
1mg/kg以上の高用量群で、関節軟骨に水疱やびらんの
形成が認められたのに対し、化合物(1)投与群(7.
5mg/kg、15mg/kg、30mg/kg)では、関節軟骨に
水疱やびらんの形成が全く認められず、化合物(1)は
関節毒性が極めて弱く、安全性が高いことが判明した。
【0087】試験例8 Balb/c系マウス(雌、5週齢)を1群5〜6匹と
して用いた。化合物(1)を静脈内投与後、長波長紫外
線(UVA)を4時間照射(20J/cm2)し、その後
96時間まで耳介を経時的に肉眼観察し、屠殺後組織検
索した。その結果、化合物(1)投与群(100mg/k
g)は、肉眼所見も組織所見も全く異常が認められず、
化合物(1)は、キノロン系抗菌剤に多い、光毒性が認
められず、安全性が高いことが判明した。
【0088】試験例9 (1)ペニシリン低感受性肺炎球菌を用いたマウス肺炎
モデルに対する治療効果。 CBA/J系マウスを1群5匹として用いた。感染は、
肺炎球菌SPI−13を5.3×106CFU/マウ
ス、点鼻摂取することにより行った。化合物(1)は、
7.5mg/kg、15mg/kg及び30mg/kgを感染翌日か
ら連続3日間、1日2回(6時間間隔)、皮下投与し
た。最終投与翌日の肺内菌数を測定することにより有効
性を評価した。その結果、化合物(1)は30mg/kg及
び15mg/kg投与で検出限界以下まで菌数を減少させ、
7.5mg/kg投与ではコントロールの約半分にまで菌数
を減少させた。
【0089】(2)マウス敗血症モデルに対する感染防
御効果 Slc:ddY系マウスを1群7匹として用いた。感染
は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)786
6株(1.07×108CFU/マウス)及び大腸菌E
77156株(8.08×107CFU/マウス)を腹
腔内接種することにより行った。化合物(1)は、感染
直後に尾静脈内に1回投与した。感染7日後の生存数を
基にプロビット法を用いて50%有効量を算出して、有
効性を評価した。その結果、化合物(1)のMRSA7
866株に対する50%有効量は3.34mg/kgであ
り、大腸菌E77156株に対する50%有効量は0.
57mg/kgであった。
【0090】(1)及び(2)より、化合物(1)はin
vivoにおいて優れた種々の感染症に対して予防及び治
療効果を有することがわかった。
【0091】試験例10 (抗菌活性) 化合物(1)及び比較化合物の抗菌活性を日本化学療法
学会指定の標準法に準じて測定した結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【発明の効果】本発明化合物は優れた抗菌活性と安全性
を有し、かつ光や湿度に対する安定性も優れており、抗
菌剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(1)の粉末X線回折スペクトルを示す
図である。
【図2】化合物(1)の赤外線吸収スペクトルを示す図
である。
【図3】化合物(1)の5〜95%RH条件下における
重量変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 勝浩 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 伊藤 雅夫 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 鈴木 徹也 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 大谷 剛 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 関口 正保 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 宮内 理江 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 (72)発明者 早川 勇夫 東京都江戸川区北葛西1丁目16−13 第一 製薬株式会社東京研究開発センター内 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB02 CC14 DD08 EE01 4C086 AA01 AA02 BC29 GA07 GA15 GA16 MA01 MA04 NA14 ZB35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(1a) 【化1】 で表される化合物、その酸付加塩又はそれらの水和物の
    有効量を投与することを特徴とする感染症の処置方法。
  2. 【請求項2】 式(1a)で表される化合物の酸付加塩
    又はそれらの水和物である請求項1記載の処置方法。
  3. 【請求項3】 酸付加塩が、塩酸塩である請求項2記載
    の処置方法。
  4. 【請求項4】 次式(1) 【化2】 で表される化合物の有効量を投与することを特徴とする
    感染症の処置方法。
  5. 【請求項5】 式(1)の化合物が、粉末X線回折によ
    る回折角(2θ)として6.9、10.5、14.4、
    23.1、26.9及び27.8(°)付近に特徴的ピ
    ークを示す結晶である請求項4記載の処置方法。
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