JP2003071628A - トリミング屑の切断装置および切断方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課 題】 トリミング屑を切断するチョッパーの上刃
と下刃の磨耗部位を分散させ、チョッパーの上刃と下刃
の耐用性を延長できる切断装置および切断方法を提供す
る。 【解決手段】 サイドトリマーを用いて金属帯の側端部
をトリミングすることによって発生するトリミング屑の
切断方法において、トリミング屑を切断する回転平行刃
型チョッパーに配設されるチョッパー上刃およびチョッ
パー下刃を、その回転軸方向に往復移動、または同一方
向に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シャーラインやス
リッティングライン等のようにサイドトリマーを有する
ラインで、金属帯の側端部をトリミングすることによっ
て発生するトリミング屑の切断装置および切断方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】金属帯の幅方向の端部（以下、側端部と
いう）をトリミングする装置（以下、サイドトリマーと
いう）は、シャーラインやスリッティングライン等に設
置され、金属帯の側端部を片側５〜15mm切断除去して、
側端部の形状を整えるものである。サイドトリマーの機
構は、丸刃回転方式が広く採用されている。

【０００３】サイドトリマーによって金属帯の側端部の
トリミングを行なうと、切断除去された屑（以下、トリ
ミング屑という）が発生する。 トリミング屑は、スクラ
ップバックに回収された後、 定期的に搬出される。この
ときトリミング屑には捩れが生じているので、 サイドト
リマーから発生したトリミング屑をそのままスクラップ
バックに回収すると、スクラップバックの収容効率が低
下する。そのためスクラップバックの搬出頻度が増大す
るばかりでなく、トリミング屑が周辺設備に絡み付いて
設備故障の原因になる。

【０００４】そこでサイドトリマーの出側に、トリミン
グ屑を切断するチョッパーを配設して、トリミング屑を
所定の長さに切断してスクラップバックに回収する。 チ
ョッパーの機構は、回転平行刃方式が広く採用されてお
り、サイドトリマーに送給される金属帯の前工程におけ
る各種データ（たとえば前工程における平均厚さあるい
は目標厚さ等）に応じて、チョッパーの上刃と下刃のク
リアランスやオーバーラップを調整してトリミング屑を
切断する。

【０００５】この場合、トリミング屑を切断するチョッ
パーの上刃と下刃の位置は、チョッパーの回転軸方向に
常に一定である。 そのため、チョッパーの上刃と下刃が
極部的に磨耗するので、他の部位の磨耗が小さいにも関
わらず、 チョッパーの上刃と下刃を交換せざるを得な
い。そこで、チョッパーの上刃と下刃がトリミング屑を
切断することによって磨耗する部位を分散させて、チョ
ッパーの上刃と下刃の耐用性を延長する技術が種々提案
されている。

【０００６】たとえば実公平7-50016 号公報には、 サイ
ドトリマのスクラップ切断装置が開示されている。この
技術は、チョッパーの上刃と下刃に薄物切断位置と厚物
切断位置を設定して、磨耗する部位を分散させようとす
るものである。しかし実公平7-50016 号公報に開示され
た技術では、チョッパーの上刃と下刃の薄物切断位置と
厚物切断位置が磨耗すると、他の部位の磨耗が小さいに
も関わらず、 チョッパーの上刃と下刃を交換せざるを得
ない。 つまりチョッパーの上刃と下刃の耐用性を延長す
るためには、さらなる改善の余地が残されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題を解決し、トリミング屑を切断するチョッパーの上
刃と下刃の磨耗部位を分散させ、チョッパーの上刃と下
刃の耐用性を延長できる切断装置および切断方法を提供
することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、サイドトリマ
ーを用いて金属帯の側端部をトリミングすることによっ
て発生するトリミング屑を切断する切断装置であって、
トリミング屑を切断する回転平行刃型チョッパーに配設
されるチョッパー上刃およびチョッパー下刃と、チョッ
パー上刃およびチョッパー下刃の回転軸方向の移動速度
または移動距離を演算する演算装置と、演算装置の出力
信号に応じてチョッパー上刃およびチョッパー下刃を回
転軸方向に移動させる移動装置とを有するトリミング屑
の切断装置である。

【０００９】前記した切断装置の発明においては、第１
の好適態様として、移動速度を 0.001〜１ｍ／分として
チョッパー上刃およびチョッパー下刃を往復移動させる
ことが好ましい。また第２の好適態様として、移動距離
を１〜200mm として、トリミング屑の切断量が予め設定
された値に達するごとにチョッパー上刃およびチョッパ
ー下刃を移動させることが好ましい。

【００１０】また本発明は、 サイドトリマーを用いて金
属帯の側端部をトリミングすることによって発生するト
リミング屑の切断方法において、トリミング屑を切断す
る回転平行刃型チョッパーに配設されるチョッパー上刃
およびチョッパー下刃の回転軸方向に、チョッパー上刃
およびチョッパー下刃を繰り返し往復させるか、または
同一方向に移動させるトリミング屑の切断方法である。

【００１１】前記した切断方法の発明においては、第１
の好適態様として、チョッパー上刃およびチョッパー下
刃の移動速度を 0.001〜１ｍ／分として、往復移動させ
ることが好ましい。また第２の好適態様として、チョッ
パー上刃およびチョッパー下刃の移動距離を１〜200mm
として、トリミング屑の切断量が予め設定された値に達
するごとに移動させることが好ましい。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は、本発明を適用する設備の
例を模式的に示す配置図である。図１中の矢印ａは、金
属帯１の搬送方向を示す。前工程でコイルに巻き取られ
た金属帯１は、アンコイラー２に装填され、次いで巻き
戻されてデフレクターロール３によって進行方向を変え
られてサイドトリマー４に送給される。サイドトリマー
４で金属帯１の側端部が切断除去されてトリミング屑５
が発生する。 トリミング屑５は、サイドトリマー４出側
で金属帯１と分離して回転平行刃型チョッパー６に送給
される。回転平行刃型チョッパー６の上刃７（以下、チ
ョッパー上刃という）と下刃８（以下、チョッパー下刃
という）が回転することによってトリミング屑５を切断
し、 スクラップバック９に回収する。

【００１３】図２は、トリミング屑５の進行方向から見
た回転平行刃型チョッパー６の正面図であり、チョッパ
ー上刃７とチョッパー下刃８の制御系統のブロック図と
ともに示す。図２中の矢印ｂは、チョッパー上刃７とチ
ョッパー下刃８の移動方向を示す。チョッパー上刃７と
チョッパー下刃８は回転駆動力源（図示せず）によって
回転しながらトリミング屑５を切断する。 さらにチョッ
パー上刃７とチョッパー下刃８には移動装置10が配設さ
れており、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８をそれ
ぞれ回転軸方向に移動させる。このようにしてトリミン
グ屑５を切断するチョッパー上刃７とチョッパー下刃８
の位置を変更して、トリミング屑５の切断によって磨耗
する部位を分散させる。

【００１４】チョッパー上刃７とチョッパー下刃８の移
動は、一定の速度で回転軸方向に往復移動させるか、あ
るいはトリミング屑５を切断量が予め設定された値（た
とえばトリミングしたコイル数）に達するごとに回転軸
方向に一定の距離を移動させる。なお図２中の矢印ｂ
は、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８を往復させる
例を示したものである。チョッパー上刃７とチョッパー
下刃８を同一方向に移動させる場合は、矢印ｂのいずれ
か一方向に移動させる。

【００１５】チョッパー上刃７とチョッパー下刃８を一
定の速度で回転軸方向に往復移動させる場合に、移動速
度が 0.001ｍ／分未満では、トリミング屑５を切断する
チョッパー上刃７とチョッパー下刃８の位置の極部的な
磨耗が進行して、耐用性向上の効果が発揮されない。 一
方、 １ｍ／分を超えると、トリミング屑５が進行方向に
対して垂直に振動するので切断不良が発生する。したが
って、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８を往復移動
させる場合の移動速度は 0.001〜１ｍ／分の範囲内を満
足するのが好ましい。

【００１６】あるいはトリミング屑５を切断量が予め設
定された値に達するごとに回転軸方向に一定の距離を移
動させる場合に、１回あたりの移動距離が１mm未満で
は、トリミング屑５を切断するチョッパー上刃７とチョ
ッパー下刃８の位置の極部的な磨耗が進行して、耐用性
向上の効果が発揮されない。 一方、 200mm を超える場合
は、通常使用するチョッパー刃の幅から外れてしまう。
またチョッパー刃の幅を延長するには大規模な設備改造
が必要となり、 逆にコストアップとなってしまう。した
がって、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８を同一方
向に移動させる場合の移動距離は１回あたり１〜200mm
の範囲内を満足するのが好ましい。

【００１７】なお、チョッパー上刃７とチョッパー下刃
８を移動させる場合には、チョッパー上刃７とチョッパ
ー下刃８の移動速度は、金属帯１の搬送速度の１％以下
とするのが好ましい。 その理由は、 チョッパー上刃７と
チョッパー下刃８の移動速度が、金属帯１の搬送速度の
１％を超えると、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８
の移動中に、トリミング屑５が進行方向に対して垂直に
振動するので切断不良が発生するからである。

【００１８】チョッパー上刃７とチョッパー下刃８の移
動速度や移動距離は、実験装置による実験データあるい
は実機の操業データを解析して、金属帯１の特性（たと
えば材質，厚さ等）に応じて予め設定しておく。演算装
置11は、これらの設定値あるいは設定ロジックに基づい
て、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８の移動速度や
移動距離を演算して制御するものである。

【００１９】すなわち、金属帯１の特性（たとえば材
質，厚さ等）のデータを入力信号として演算装置11で演
算処理して、得られた主力信号（すなわちチョッパー上
刃７とチョッパー下刃８の移動速度や移動距離）を移動
装置10に伝送する。移動装置10は、演算装置11からの出
力信号に基づいてチョッパー上刃７とチョッパー下刃８
を移動させる。

【００２０】このようにしてトリミング屑５を切断する
ことによって、下記の２種類の操業が可能となる。 (1) チョッパー上刃７とチョッパー下刃８を常時一定の
速度で回転軸方向に往復させながらトリミング屑５を切
断する。 (2) トリミング屑５を切断するときはチョッパー上刃７
とチョッパー下刃８の位置を固定し、 切断量が予め設定
された値に達するごとに繰り返し一定の距離を移動させ
る。

【００２１】いずれの場合も、チョッパー上刃７とチョ
ッパー下刃８の全長を有効に使用でき、トリミング屑５
の切断による損耗部位をチョッパー上刃７とチョッパー
下刃８の全長にわたって分散できる。したがって、チョ
ッパー上刃７とチョッパー下刃８の耐用性を大幅に延長
できる。なお図２には、演算装置11の入力信号となる金
属帯１の特性（たとえば材質，厚さ等）のデータを、工
程管理計算機12から伝送する例を示したものである。本
発明においては、演算装置11の入力信号は必ずしも工程
管理計算機12から伝送する必要はない。 金属帯１の特性
（たとえば材質，厚さ等）のデータを、回転平行刃型チ
ョッパー６の作業者が演算装置11に入力する構成にして
も支障はない。

【００２２】また図２には、移動装置10としてシリンダ
ーを用いる例を示したが、 本発明においてはチョッパー
上刃７，チョッパー下刃８を移動できるものを使用すれ
ば良いのであるから、移動装置10の構成は特定の装置に
限定しない。シリンダーの他にも、たとえばモーターや
ギア等の従来から知られているものが使用できる。本発
明を、冷延鋼帯，熱延鋼帯，電磁鋼帯，ステンレス鋼帯
等のように大量に生産される品種に適用すると、多大な
経済的効果が期待できる。

【００２３】

【実施例】図１に示す設備を用いてステンレス鋼帯１の
トリミングを60日間連続して行なった。その間にトリミ
ングしたステンレス鋼帯１の品種はＪＩＳ規格のSUS30
4，SUS430，SUS420であり、ステンレス鋼帯１の厚さは
0.6〜2.5mm 、ステンレス鋼帯１の搬送速度は15〜80ｍ
／分であった。サイドトリマー４から発生するトリミン
グ屑５を切断するにあたって、図２に示す回転平行刃型
チョッパー６を使用して、チョッパー上刃７とチョッパ
ー下刃８を0.01ｍ／分の速度で、回転軸方向に繰り返し
往復させた。そしてチョッパー上刃７とチョッパー下刃
８が磨耗すると、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８
を適宜交換して操業を継続した。 これを発明例１とす
る。

【００２４】次に、サイドトリマー４から発生するトリ
ミング屑５を切断するにあたって、図２に示す回転平行
刃型チョッパー６を使用して、トリミング屑５を切断す
るときはチョッパー上刃７とチョッパー下刃８の回転軸
方向の位置を固定し、 ステンレス鋼帯１のコイルを１個
トリミングするごとに、５mmずつ移動させ、チョッパー
刃の幅方向端部に達するごとに往復させた。そしてチョ
ッパー上刃７とチョッパー下刃８が磨耗すると、チョッ
パー上刃７とチョッパー下刃８を適宜交換して操業を継
続した。 その他の操業条件は発明例１と同じであるか
ら、説明を省略する。 これを発明例２とする。

【００２５】一方、 比較例として、チョッパー上刃７と
チョッパー下刃８の回転軸方向の位置を固定して、常に
チョッパー上刃７とチョッパー下刃８の中央部でトリミ
ング屑５を切断した。そしてチョッパー上刃７とチョッ
パー下刃８が磨耗すると、チョッパー上刃７とチョッパ
ー下刃８を適宜交換して操業を継続した。 その他の操業
条件は発明例１と同じであるから、説明を省略する。

【００２６】発明例１〜２と比較例について、チョッパ
ー上刃７とチョッパー下刃８の耐用性を調査した。な
お、チョッパー上刃７とチョッパー下刃８の耐用性は、
１対のチョッパー上刃７とチョッパー下刃８で切断した
コイル数の平均値で評価した。その結果、 発明例１のチ
ョッパー上刃７とチョッパー下刃８の耐用性は、比較例
に比べて３倍に延長された。発明例２のチョッパー上刃
７とチョッパー下刃８の耐用性は、比較例に比べて３倍
に延長された。

【００２７】したがって、チョッパー上刃７とチョッパ
ー下刃８の耐用性が大幅に延長できることが確かめられ
た。

【００２８】

【発明の効果】本発明では、トリミング屑を切断する回
転平行刃型チョッパーの上刃と下刃の磨耗部位を分散さ
せて、回転平行刃型チョッパーの上刃と下刃の耐用性を
大幅に延長できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用する設備の例を模式的に示す配置
図である。

【図２】トリミング屑の進行方向から見た回転平行刃型
チョッパーの正面図であり、チョッパー上刃とチョッパ
ー下刃の制御系統のブロック図とともに示す。

【符号の説明】

１ 金属帯（鋼帯） ２ アンコイラー ３ デフレクターロール ４ サイドトリマー ５ トリミング屑 ６ 回転平行刃型チョッパー ７ チョッパー上刃 ８ チョッパー下刃 ９ スクラップバック 10 移動装置 11 演算装置 12 工程管理計算機

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サイドトリマーを用いて金属帯の側端部
   をトリミングすることによって発生するトリミング屑を
   切断する切断装置であって、前記トリミング屑を切断す
   る回転平行刃型チョッパーに配設されるチョッパー上刃
   およびチョッパー下刃と、前記チョッパー上刃および前
   記チョッパー下刃の回転軸方向の移動速度または移動距
   離を演算する演算装置と、前記演算装置の出力信号に応
   じて前記チョッパー上刃および前記チョッパー下刃を回
   転軸方向に移動させる移動装置とを有することを特徴と
   するトリミング屑の切断装置。
2. 【請求項２】 前記移動速度を 0.001〜１ｍ／分として
   前記チョッパー上刃および前記チョッパー下刃を往復移
   動させることを特徴とする請求項１に記載のトリミング
   屑の切断装置。
3. 【請求項３】 前記移動距離を１〜200mm として、前記
   トリミング屑の切断量が予め設定された値に達するごと
   に前記チョッパー上刃および前記チョッパー下刃を移動
   させることを特徴とする請求項１に記載のトリミング屑
   の切断装置。
4. 【請求項４】 サイドトリマーを用いて金属帯の側端部
   をトリミングすることによって発生するトリミング屑の
   切断方法において、前記トリミング屑を切断する回転平
   行刃型チョッパーに配設されるチョッパー上刃およびチ
   ョッパー下刃の回転軸方向に、前記チョッパー上刃およ
   び前記チョッパー下刃を往復移動させるか、または同一
   方向に移動させることを特徴とするトリミング屑の切断
   方法。
5. 【請求項５】 前記チョッパー上刃および前記チョッパ
   ー下刃の移動速度を0.001〜１ｍ／分として、往復移動
   させることを特徴とする請求項４に記載のトリミング屑
   の切断方法。
6. 【請求項６】 前記チョッパー上刃および前記チョッパ
   ー下刃の移動距離を１〜200mm として、前記トリミング
   屑の切断量が予め設定された値に達するごとに移動させ
   ることを特徴とする請求項４に記載のトリミング屑の切
   断方法。