JP2003066183A - 原子炉構造物の補修方法 - Google Patents

原子炉構造物の補修方法

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JP2003066183A
JP2003066183A JP2001258892A JP2001258892A JP2003066183A JP 2003066183 A JP2003066183 A JP 2003066183A JP 2001258892 A JP2001258892 A JP 2001258892A JP 2001258892 A JP2001258892 A JP 2001258892A JP 2003066183 A JP2003066183 A JP 2003066183A
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Shohei Kawano
昌平 川野
Hiroshi Sakamoto
博司 坂本
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中性子照射を受けた原子炉構造物に対して継手
強度を満足する補修溶接を行うことができ、原子炉の長
寿命化や予防保全に有効で、しかも原子炉の信頼性が向
上する原子炉構造物の補修方法を提供する。 【解決手段】ステンレス鋼、Ni基合金または低合金鋼
のいずれかの材料9を含み、その材料部分が中性子照射
を受けて複数の粒界ヘリウム気泡14を含有する原子炉
構造物に対し、前記材料部分のうちのき裂状の欠陥10
の発生している部分または中性子照射により材質が劣化
した部分を溶接12によって補修する原子炉構造物の補
修方法において、溶接金属近傍の粒界ヘリウム気泡の直
径dと、その粒界ヘリウム気泡とこれに隣接する粒界ヘ
リウム気泡との間の中心間距離sとの比d/sが、予め
定めた値(例えば0.9)以下となるように溶接入熱量
を制御して溶接する溶接工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽水冷却型原子炉
等の原子炉構造物の健全性を確保する中性子照射を受け
た原子炉構造物の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉の構造を図8により概略
的に説明する。すなわち、図8に示すように炉心1を内
蔵する原子炉圧力容器2の内部には炉心シュラウド3、
炉心支持板4、上部格子板5、ジェットポンプ6等が設
置されている。これらの炉内構造物のうち、炉心シュラ
ウド3、炉心支持板4、上部格子板5、ジェットポンプ
6等はほとんどがステンレス鋼により形成されており、
一部ディフューザ7、シュラウドサポートプレート8等
においてはNi基合金が使用されている。
【0003】また、原子炉圧力容器2は低合金鋼により
形成されており、原子炉圧力容器2内面には、ステンレ
ス鋼またはNi基合金がバタリング溶接されている。一
部の軽水型の原子力発電所では、原子炉炉内構造物を形
成するステンレス鋼として炭素含有量の多いオーステナ
イト系ステンレス鋼が使用されている。
【0004】原子炉の建設時において、炭素含有量の多
いオーステナイト系ステンレス鋼を溶接した場合には、
その熱影響部にクロム炭化物の粒界析出が生じて材料が
鋭敏化するため、材料中に高い引張応力が存在すると高
温水中で応力腐食割れが生じる可能性がある。またNi
基合金についてもステンレス鋼と同様の原理により応力
腐食割れを生じ得ることが知られている。
【0005】一方、炉心シュラウド3、炉心支持板4、
上部格子板5等の炉内構造物や原子炉圧力容器2は原子
力発電所の稼働中に中性子照射を受ける。このため構造
物材料には、延性の低下や照射誘起応力腐食割れの感受
性増加といった材質の劣化が生じる。また中性子照射に
より、構造物を形成するステンレス鋼やNi基合金等の
構成元素の核反応が生じ、ヘリウム等の気体成分が材料
中にわずかに存在するようになる。
【0006】上述の材料中の気体成分は、溶接時に溶融
金属近傍の結晶粒界に気泡を形成し、隣接する気泡同士
がほぼ接触するまで成長することにより、粒界に沿った
割れの原因となることが知られている。さらに、ヘリウ
ム気泡が粒界に形成されることにより、補修部の溶接継
手の引張強度や疲労強度を低下させる可能性がある。
【0007】したがって、原子力発電所の安全性や信頼
性を向上させる目的で、中性子照射を受けた原子炉炉内
構造物等を補修溶接する際には、溶接により生じるヘリ
ウム気泡によって引き起こされる溶接割れの発生、なら
びに溶接継手強度の低下を回避する工法を適用する必要
がある。
【0008】中性子照射を受けた原子炉炉内構造物の溶
接割れを防止する補修溶接方法としては、例えば溶接入
熱量の低減により、ヘリウム気泡の成長を抑制し、溶接
割れを防止する概念が、W.R.Kanne,Jr. et al.: Weldin
g Journal, 67 (1988) p33.等に掲載されている。
【0009】特開平6−234070号公報には、中性
子照射を受けて劣化したSUS304鋼製炉内構造物の
全体あるいは所定部分を、融点を超えない指定温度に加
熱し、冷却後、加熱領域を溶接することにより割れを回
避する補修方法が開示されている。
【0010】特開平8−254595号公報には、不活
性ガス原子を含む照射材に前熱処理を施して、ガス原子
がバブル化するトラップサイト核を生成させた後、溶接
することにより割れを回避する補修方法が開示されてい
る。
【0011】特開平8−29580号公報には、中性子
照射を受けて劣化した金属材料を、溶接前に熱処理して
ヘリウム等の不活性ガスを金属材料から放出させ、その
後補修溶接を行うことにより割れを回避する方法が開示
されている。
【0012】特開平6−289183号公報には、中性
子照射を受けたき裂状欠陥の発生している構造物に対
し、欠陥の発生している部分を含む領域に板材を被覆
し、板材の縁部をスミ肉溶接する補修方法において、板
材を被覆する前に構造物側を表面溶融処理し、その後に
板材の縁部をスミ肉溶接することにより割れを回避する
補修方法が開示されている。
【0013】特開平8−15481号公報には、高エネ
ルギー粒子線照射を受けたき裂状欠陥の発生している構
造物に対し、き裂状欠陥の発生部分を含む領域を除去し
た後、除去部表面に対し、点溶接を連続あるいは断続的
に施し、各点溶接部をハーフラップさせて初層溶接部を
形成させた後、2層以降の溶接を行うことにより割れを
回避する補修方法が開示されている。
【0014】特開平6−289184号公報には、中性
子照射を受けた原子炉内構造材料に対し、補修溶接部を
取り囲む周囲を大気温度または炉内構造物の温度より低
い温度に予め冷却させた後、もしくは冷却媒体で覆って
冷却させて溶接することにより割れを回避する補修方法
が開示されている。
【0015】特開平8−1344号公報には、高エネル
ギー粒子線照射を受けた欠陥の発生している原子炉内構
造材に対して、欠陥発生部に板材を被覆し、板材表面よ
り局所的に圧力を加えながら板材と構造材とを接合する
ことにより割れを回避する補修方法が開示されている。
【0016】特開平8−57637号公報には、中性子
照射を受けた部材に対して、溶接予定部近傍に降伏点以
上の応力を加えて転位を増加させた後さらに加熱処理を
行い、その後に溶接することにより割れを回避する補修
方法が開示されている。
【0017】特開2000−230996号公報には、
原子炉構造物のヘリウム含有量に応じて、溶接入熱量と
溶接金属の断面形状とをそれぞれ特定の範囲に制御して
溶接することにより割れを回避する補修方法が開示され
ている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の補修方法はいずれも溶接割れの回避を考慮しており、
割れのない溶接部に残留するヘリウム気泡が溶接継手強
度に及ぼす影響を考慮していない。
【0019】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、中性子照射を受けた原子炉構造物に対して
継手強度を満足する補修溶接を行うことができ、原子炉
の長寿命化や予防保全に有効で、しかも原子炉の信頼性
が向上する原子炉構造物の補修方法を提供することを目
的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、ステンレス鋼、Ni基合金また
は低合金鋼のいずれかの材料を含み、その材料部分が中
性子照射を受けて複数の粒界ヘリウム気泡を含有する原
子炉構造物に対し、前記材料部分のうちのき裂状の欠陥
の発生している部分または中性子照射により材質が劣化
した部分を溶接によって補修する原子炉構造物の補修方
法において、溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直
径と、その粒界ヘリウム気泡とこれに隣接する粒界ヘリ
ウム気泡との間の中心間距離との比が、予め定めた値以
下となるように溶接入熱量を制御して溶接する溶接工程
を含むこと、を特徴とする。
【0021】請求項1の発明によれば、中性子照射を受
けた原子炉構造物に対して継手強度、伸び、疲労強度を
満足する補修溶接を行うことができ、原子炉の長寿命化
や予防保全に有効で、しかも原子炉の信頼性が向上す
る。
【0022】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
の原子炉構造物の補修方法において、前記予め定めた値
が0.9であること、を特徴とする。請求項2の発明に
よれば、請求項1の発明の作用・効果が得られるほか、
継手強度、伸び、疲労強度をさらに高めることができ
る。
【0023】また、請求項3の発明は、請求項1または
2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記き裂
状の欠陥の発生している部分または中性子照射により材
質が劣化した部分を含む領域を切削または放電加工で除
去する除去工程をさらに有し、前記溶接工程は、前記除
去工程の後に、肉盛溶接によって除去部を充填する充填
工程を含むこと、を特徴とする。請求項3の発明によれ
ば、請求項1または2の発明の作用・効果が得られるほ
か、欠陥部または劣化部を除去するので、より完全な補
修が可能である。
【0024】また、請求項4の発明は、請求項3に記載
の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、
前記除去工程の後に、新たな部材を溶接により接合する
工程を含むこと、を特徴とする。請求項4の発明によれ
ば、請求項3の発明の作用・効果が得られるほか、新た
な部材を溶接接合するので、より完全な補修が可能であ
る。
【0025】また、請求項5の発明は、請求項1または
2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接
工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中
性子照射により材質が劣化した部分を含む領域に対し
て、溶融層を複数回ラップさせて、表面を該溶融層で被
覆する被覆工程を含むこと、を特徴とする。請求項5の
発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が
得られるほか、表面を溶融層で被覆することにより簡便
に処理することができる。
【0026】また、請求項6の発明は、請求項1または
2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接
工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中
性子照射により材質が劣化した部分を含む領域に対し
て、表面肉盛りを行う肉盛り工程を含むこと、を特徴と
する。請求項6の発明によれば、請求項1または2の発
明の作用・効果が得られるほか、表面肉盛りにより簡便
に処理することができる。
【0027】また、請求項7の発明は、請求項1または
2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接
工程は、前記き裂状の欠陥の発生している部分または中
性子照射により材質が劣化した部分を含む領域を板材で
被覆し、この板材の縁部を溶接する板材溶接工程を含む
こと、を特徴とする。請求項7の発明によれば、請求項
1または2の発明の作用・効果が得られるほか、板材で
被覆することにより簡便に処理することができる。
【0028】また、請求項8の発明は、請求項1または
2に記載の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接
工程は、前記溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直
径と前記中心間距離との比が前記予め定めた値以下とな
るように、前記溶接入熱量のほかに、溶接金属断面積を
も制御するものであること、を特徴とする。請求項8の
発明によれば、請求項1または2の発明の作用・効果が
得られるほか、溶接金属断面積をも制御対象とするの
で、制御の幅をさらに広く取ることができる。
【0029】また、請求項9の発明は、請求項8に記載
の原子炉構造物の補修方法において、前記溶接工程は、
前記溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と前記
中心間距離との比が前記予め定めた値以下となるよう
に、前記溶接入熱量および溶接金属断面積のほかに、断
面溶融線長さをも制御するものであること、を特徴とす
る。請求項9の発明によれば、請求項8の発明の作用・
効果が得られるほか、断面溶融線の長さをも制御対象と
するので、制御の幅をさらに広く取ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】初めに図1ないし図4を参照しな
がら、本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第1の実
施の形態を説明する。図2は本発明の原子炉構造物の補
修方法の各工程の一例を示すもので、中性子照射を受け
た原子炉構造物の部材9にき裂状の欠陥10が発生した
場合(図2(a))、欠陥10を含む領域を一点鎖線X
で示すように、切削もしくは放電加工で除去して除去部
11を形成する(図2(b))。その後、肉盛溶接12
により除去部11を充填する(図2(c)、(d))。
【0031】このとき、図1に示すように、溶接により
粒界13上に生じるヘリウム気泡14の直径dと隣り合
う気泡同士の中心間距離sとの比(d/s)を0.9以
下となるように溶接入熱量を制御する。
【0032】ここで、上記ヘリウム気泡に関する寸法の
限定理由について説明する。ヘリウムを含有するステン
レス鋼を表1に示す条件で溶接試験を行ない、溶接継手
部から引張型試験片を採取し、常温引張試験および常温
疲労試験を実施した。このときの各溶接入熱量におけ
る、溶接金属近傍のヘリウム気泡の直径d、およびdと
中心間距離sの比(d/s)を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】常温引張試験の結果、図3に示すように、
d/s=1.0となる条件(溶接入熱量5kJ/cm)
で溶接した試験片は、バブル同士が接触して粒界割れが
発生しており、溶接継手の伸びおよび強度が低い値を示
した。一方、d/sを0.9以下となる条件(溶接入熱
量1および2kJ/cm)で溶接した試験片は、SUS
304母材と同等の十分な継手強度と伸びを示した。こ
のように溶接により生じる粒界ヘリウム気泡は、溶接継
手強度に影響を及ぼすことから、d/sを0.9以下と
設定した。
【0036】図4には常温疲労試験結果を示す。d/s
=1.0となる条件(溶接入熱量5kJ/cm)で溶接
した試験片は、疲労強度の低下が見られたが、d/sを
0.9以下となる条件(溶接入熱量2kJ/cm)で溶
接した試験片は、SUS304母材と同様の疲労強度特
性を示した。このように粒界ヘリウム気泡は、疲労強度
にも影響を及ぼすことから、d/sを0.9以下と設定
した。このように第1の実施の形態によると、溶接継手
強度を満足する補修溶接が可能となる。
【0037】なお、溶接による粒界ヘリウム気泡の直径
dと中心間距離sを計算し、溶接入熱量を設定する方法
としては、S. Kawano. et al.: Journal of Nuclear Ma
terials, 258-263 (1998) p2008. に記載されるよう
に、溶接金属近傍の温度・応力履歴と補修部のヘリウム
含有量とから、粒界ヘリウム気泡の直径dと中心間距離
sを解析し、それらの比(d/s)を0.9以下となる
溶接条件を設定する方法がある。
【0038】つぎに、図5(a)〜(d)により、本発
明に係る原子炉構造物の補修方法の第2の実施の形態を
説明する。図5(a)に示すように、中性子照射を受け
た原子炉構造物の部材9にき裂状の欠陥10が発生した
場合、欠陥10を含む領域を一点鎖線Yで示すように、
切削もしくは放電加工で除去する。その後、図5(b)
に示すように、新たな部材17を取り付けてV型開先1
8を形成する。
【0039】そしてその後、図5(c)、(d)に示す
ように、中性子照射を受けた部材9と新たな部材17と
の間を突合せ溶接により接合する。溶接方法としては、
ヘリウム気泡の直径dと中心間距離sを図1と同様に制
御する。
【0040】つぎに、図6により本発明に係る原子炉構
造物の補修方法の第3の実施の形態を説明する。この実
施の形態では、中性子照射を受けたき裂状の欠陥10を
有する原子炉構造物の部材9に対して、溶融層19を繰
り返しラップさせて欠陥10の表面を溶融層19で被覆
する。溶融層を形成させる際の溶接入熱量は、第1の実
施の形態(図1)の場合と同様に制御する。このとき、
この実施の形態の変形例として、溶融層19を形成させ
る代わりに、例えば溶加棒を供給しながら部材9の表面
を溶接し、肉盛溶接処理を行ってもよい(図示せず)。
【0041】つぎに、図7により本発明に係る原子炉構
造物の補修方法の第4の実施の形態を説明する。この実
施の形態では、中性子照射を受けたき裂状の欠陥10を
有する原子炉構造物の部材9に対して欠陥10の発生し
ている部分を含む領域に板材20を被覆し、板材の縁部
を溶接金属21により溶接する。溶接方法としては、ヘ
リウム気泡の直径dと中心間距離sを第1の実施の形態
(図1)の場合と同様に制御する。
【0042】これらの補修方法の熱エネルギー源として
は、例えば、レーザ、TIGアーク、MIGアーク、プ
ラズマアーク、摩擦圧接、通電加熱が挙げられる。な
お、上記実施の形態の説明では、粒界ヘリウム気泡の直
径dと隣り合うヘリウム気泡の中心間距離sを限定する
パラメータとして溶接入熱量を選定したが、特開200
0−230996号公報に記載されるように、溶接入熱
量のみの限定では、溶接部の形状や溶接方法の違いによ
り溶接部近傍の温度・応力履歴が異なり、粒界ヘリウム
気泡の成長挙動も異なる場合が考えられる。したがっ
て、その他のパラメータとして(溶接入熱量および溶接
金属断面積)、あるいは(溶接入熱量、溶接金属断面積
および断面溶融線長さ)を選定してもよい。本補修方法
は、沸騰水型原子炉のみでなく加圧水型原子炉や液体金
属冷却型原子炉、核融合炉にも適用可能である。
【0043】
【発明の効果】上記したように、本発明によれば、中性
子照射を受けた原子炉構造物に対して継手強度を満足す
る補修溶接が可能となるため、原子炉の長寿命化や予防
保全に有効であり、原子炉の信頼性を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第1の
実施の形態による補修結果を模式的に示すもので、
(a)は補修部の模式的立断面図、(b)は(a)のB
部拡大断面図。
【図2】図1の補修方法の手順を示す模式的立断面図で
あって、(a)は補修前の状態、(b)は欠陥を含む領
域を除去した状態、(c)は除去部に肉盛り溶接をする
途中の状態、(d)は補修完了後の状態を示す。
【図3】図1の補修方法の実施例および比較例として、
中性子照射ステンレス鋼の溶接継手から引張型試験片を
採取し、引張試験をした結果を、引張応力を縦軸とし、
歪を横軸として示すグラフ。
【図4】図1の補修方法の実施例および比較例として、
中性子照射ステンレス鋼の溶接継手から引張型試験片を
採取し、常温疲労試験をした結果を、歪振幅を縦軸と
し、破断繰返し数を横軸として示すグラフ。
【図5】本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第2の
実施の形態の手順を示す模式的立断面図であって、
(a)は補修前の状態、(b)は欠陥を含む領域を除去
した後に新たな部材を取り付けてV型開先を形成した状
態、(c)は突合せ溶接をする途中の状態、(d)は補
修完了後の状態を示す。
【図6】本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第3の
実施の形態による補修部の模式的縦断面図。
【図7】本発明に係る原子炉構造物の補修方法の第4の
実施の形態による補修部の模式的縦断面図。
【図8】従来の沸騰水型原子炉の縦断面図。
【符号の説明】
1…炉心、2…原子炉圧力容器、3…炉心シュラウド、
4…炉心支持板、5…上部格子板、6…ジェットポン
プ、7…ディフーザ、8…シュラウドサポートプレー
ト、9…中性子照射を受けた原子炉構造物の部材、10
…き裂状の欠陥、11…除去部、12…肉盛溶接金属、
13…粒界、14…ヘリウム気泡、17…新たな部材、
18…V型開先、19…溶融層、20…板材、21…溶
接金属。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼、Ni基合金または低合金
    鋼のいずれかの材料を含み、その材料部分が中性子照射
    を受けて複数の粒界ヘリウム気泡を含有する原子炉構造
    物に対し、前記材料部分のき裂状の欠陥の発生している
    部分または中性子照射により材質が劣化した部分を溶接
    によって補修する原子炉構造物の補修方法において、 溶接金属近傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と、その粒
    界ヘリウム気泡とこれに隣接する粒界ヘリウム気泡との
    間の中心間距離との比が、予め定めた値以下となるよう
    に溶接入熱量を制御して溶接する溶接工程を含むこと、 を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の原子炉構造物の補修方
    法において、前記予め定めた値が0.9であること、を
    特徴とする原子炉構造物の補修方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の原子炉構造物
    の補修方法において、 前記き裂状の欠陥の発生している部分または中性子照射
    により材質が劣化した部分を含む領域を切削または放電
    加工で除去する除去工程をさらに有し、 前記溶接工程は、前記除去工程の後に、肉盛溶接によっ
    て除去部を充填する充填工程を含むこと、 を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の原子炉構造物の補修方
    法において、前記溶接工程は、前記除去工程の後に、新
    たな部材を溶接により接合する工程を含むこと、を特徴
    とする原子炉構造物の補修方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の原子炉構造物
    の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠
    陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣
    化した部分を含む領域に対して、溶融層を複数回ラップ
    させて、表面を該溶融層で被覆する被覆工程を含むこ
    と、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の原子炉構造物
    の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠
    陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣
    化した部分を含む領域に対して、表面肉盛りを行う肉盛
    り工程を含むこと、を特徴とする原子炉構造物の補修方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の原子炉構造物
    の補修方法において、前記溶接工程は、前記き裂状の欠
    陥の発生している部分または中性子照射により材質が劣
    化した部分を含む領域を板材で被覆し、この板材の縁部
    を溶接する板材溶接工程を含むこと、を特徴とする原子
    炉構造物の補修方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の原子炉構造物
    の補修方法において、前記溶接工程は、前記溶接金属近
    傍の前記粒界ヘリウム気泡の直径と前記中心間距離との
    比が前記予め定めた値以下となるように、前記溶接入熱
    量のほかに、溶接金属断面積をも制御するものであるこ
    と、を特徴とする原子炉構造物の補修方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の原子炉構造物の補修方
    法において、前記溶接工程は、前記溶接金属近傍の前記
    粒界ヘリウム気泡の直径と前記中心間距離との比が前記
    予め定めた値以下となるように、前記溶接入熱量および
    溶接金属断面積のほかに、断面溶融線長さをも制御する
    ものであること、を特徴とする原子炉構造物の補修方
    法。
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