JP2003065342A - 機械部品 - Google Patents

機械部品

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JP2003065342A
JP2003065342A JP2001256336A JP2001256336A JP2003065342A JP 2003065342 A JP2003065342 A JP 2003065342A JP 2001256336 A JP2001256336 A JP 2001256336A JP 2001256336 A JP2001256336 A JP 2001256336A JP 2003065342 A JP2003065342 A JP 2003065342A
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Japan
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rolling
resin composition
rolling element
cage
slider
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JP2001256336A
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English (en)
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Shigeaki Aihara
成明 相原
Shunichi Yabe
俊一 矢部
Hiromitsu Asai
拡光 浅井
Toshimi Takagi
敏己 高城
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性と生分解性を有する機械部品を
提供する。 【解決手段】 内輪11と、外輪12と、該両輪11,
12の間に転動自在に配設された複数の玉13と、両輪
11,12の間に複数の玉13を保持する冠形保持器1
4と、を備える深溝玉軸受において、ポリトリメチレン
テレフタレートを含有する樹脂組成物で保持器14を構
成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性樹脂組成
物で構成された機械部品に関する。
【0002】
【従来の技術】生分解性樹脂は、土壌中等に放置される
とバクテリア等によって二酸化炭素及び水等に徐々に分
解される。よって、生分解性樹脂で構成された樹脂製品
は、自然環境に放出されても原形を留めなくなるまで自
然に分解されるので、自然環境に対して悪影響を及ぼし
にくい。
【0003】このようなことから生分解性樹脂は、主に
ゴミ袋,ボトル容器,農業用マルチフィルム等の材料と
して使用され、その使用量は近年増加傾向にある。一
方、現在、一般によく使用されている生分解性樹脂とし
ては、例えば、ポリブチレンサクシネート,ポリエチレ
ンサクシネート(以降はPESUと記す),ポリカプロ
ラクトン,ポリ乳酸(以降はPLAと記す)等がある
が、そのほとんどは脂肪族ポリエステル樹脂である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の生分解性樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂)
にはいくつかの問題点があり、とりわけ耐熱性が低いこ
とが最も大きな問題点であった。すなわち、従来の生分
解性樹脂のうちの多くは融点が100〜120℃程度の
ものであり、高融点のものでも170℃程度である。
【0005】したがって、従来の生分解性樹脂は、転が
り軸受等の機械部品を構成する材料に適用することは困
難であった。そこで、本発明は、上記のような従来技術
が有する問題点を解決し、優れた耐熱性と生分解性を有
する機械部品を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明に係る請求項1に記載の機械部品は、生分解性樹脂を
含有する樹脂組成物で構成された機械部品において、前
記生分解性樹脂をポリトリメチレンテレフタレートとし
たことを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る請求項2に記載の機械
部品は、請求項1に記載の機械部品において、射出成形
法により成形されたものであることを特徴とする。さら
に、本発明に係る請求項3に記載の転がり軸受は、内輪
と、外輪と、前記両輪の間に転動自在に配設された複数
の転動体と、前記両輪の間に前記転動体を保持する保持
器と、を備える転がり軸受において、前記内輪,前記外
輪,前記転動体,及び前記保持器のうち少なくとも前記
保持器を、ポリトリメチレンテレフタレートを含有する
樹脂組成物で構成したことを特徴とする。
【0008】さらに、本発明に係る請求項4に記載の転
がり軸受は、請求項3に記載の転がり軸受において、ポ
リトリメチレンテレフタレートを含有する樹脂組成物で
構成されたシールを、前記両輪のいずれか一方に取り付
け前記両輪の間に介在させたことを特徴とする。さら
に、本発明に係る請求項5に記載の転がり軸受は、請求
項3又は請求項4に記載の転がり軸受において、前記内
輪,前記外輪,前記転動体,及び前記保持器のうち前記
樹脂組成物で構成されたものは、射出成形法により成形
されたものであることを特徴とする。
【0009】ポリトリメチレンテレフタレート(以降は
PTTと記す)は、前述の従来の生分解性樹脂(脂肪族
ポリエステル樹脂)と比較して優れた耐熱性を有する生
分解性樹脂であるので、優れた耐熱性が要求される転が
り軸受等の機械部品の構成材料として好適に使用するこ
とが可能である。したがって、本発明の転がり軸受等の
機械部品は、優れた耐熱性及び生分解性をともに有して
いる。生分解性を有しているため、土壌中等の自然環境
に放出されても前記樹脂組成物で構成された部分が自然
に分解されるから、自然環境に対して悪影響を及ぼしに
くい。また、土壌中等の自然環境に廃棄処分することも
可能であり、使用後の廃棄が容易となる。
【0010】また、本発明の転がり軸受等の機械部品は
射出成形法により成形することが可能であるため、生産
性や経済性が優れている。
【0011】
【発明の実施の形態】〔第一実施形態〕本発明に係る機
械部品の一実施形態である深溝玉軸受を、図1の縦断面
図を参照しながら詳細に説明する。図1の深溝玉軸受
は、内輪11と、外輪12と、該両輪11,12の間に
転動自在に配設された複数の玉13と、両輪11,12
の間に複数の玉13を深溝玉軸受の円周方向にわたって
等配に保持する冠形保持器14(図2を参照)と、両輪
11,12の間に介在された接触形のシール15と、を
備えている。
【0012】このシール15は環状で、外輪12の内周
面に設けられたシール溝12aに嵌合するための取付嵌
合部15a(外周縁部)と、内輪11の外周面に滑り接
触するリップ部15bと、取付嵌合部15aとリップ部
15bとを連結する連結部15cと、で構成されてい
る。このようなシール15は外輪12の両端部の内周面
に取り付けられて、外輪12の内周面と内輪11の外周
面との間の開口部分を覆っている。そして、外部からの
異物の侵入や内部からのグリースの漏出を防止してい
る。なお、シール15は非接触形でもよいし、金属製又
は樹脂製の芯金を有しているタイプでもよい。
【0013】このような深溝玉軸受の保持器14及びシ
ール15は、生分解性樹脂組成物を射出成形することに
よって得られたものである。すなわち、保持器14は、
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)70質量%
と、補強材である炭酸カルシウムウィスカー(アルゴナ
イト)30質量%と、を混合した樹脂組成物で構成され
ている。
【0014】また、シール15は、PTT85質量%
と、補強材である炭酸カルシウムウィスカー(アルゴナ
イト)15質量%と、を混合した樹脂組成物で構成され
ている。炭酸カルシウムウィスカーは、丸尾カルシウム
株式会社製の商品名ウィスカルを使用した。PTTは、
通常はテレフタル酸(又はテレフタル酸ジエステル)と
1,3−プロパンジオール(以降はPDOと記す)との
重縮合によって製造される、芳香族成分を有するポリエ
ステル樹脂である。このような芳香族成分を有するポリ
エステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート
(PET)やポリブチレンテレフタレート(以降はPB
Tと記す)が良く知られており、現在多くの用途に大量
に使用されているが、これらのポリエステル樹脂は生分
解性を有していない。それに対して、PTTは、その構
造がPETやPBTと類似しているにもかかわらず、生
分解性を有している。
【0015】また、近年、PTTの原料であるPDO
が、バイオマス原料(農産物から得られるデンプン等)
を使用した無害な発酵プロセスで生産可能となった。つ
まり、PTTは、それ自身が生分解性を有していて自然
環境に対して悪影響を及ぼしにくいことに加えて、原料
及び原料の製造プロセスも自然環境に対して悪影響を及
ぼしにくいものとすることが可能であるので、生分解性
樹脂の中でも特に環境に対する負荷が少ない樹脂と言え
る。
【0016】さらに、PTTは主鎖中に芳香環を有して
いるので、その融点は約225℃と生分解性樹脂の中で
は比較的高く、優れた耐熱性を有している。したがっ
て、上記の深溝玉軸受は、転がり軸受として十分な性能
(耐熱性,機械的性質等)を備えている。しかも、深溝
玉軸受が土壌中等の自然環境に放出されても、樹脂組成
物で構成された部分は自然に分解されるから、自然環境
に対して悪影響を及ぼしにくい。
【0017】なお、前記樹脂組成物の耐熱性,生分解
性,機械的性質等に悪影響を及ぼさない範囲で、且つ前
記樹脂組成物が分解されて自然環境に放出された際に自
然環境に悪影響を与えない範囲であれば、所望により前
記樹脂組成物に各種添加剤やPTT以外の樹脂を配合し
てもよい。例えば、機械的性質を向上させるために、ガ
ラス繊維,炭素繊維,チタン酸カリウムウィスカー,軽
質炭酸カルシウム(結晶形はカルサイトやアルゴナイ
ト),天然含水ケイ酸アルミニウム(カオリン、クレ
ー),タルク,ベントナイト,繊維状水酸化マグネシウ
ム,ウォラストナイト,セピオライト,カーボンブラッ
ク,マイカ,二酸化ケイ素,珪藻土等の補強材を添加し
てもよい。これらの補強材の中では、その補強効果か
ら、ガラス繊維が特に好ましい。
【0018】また、溶融成形時の樹脂組成物の流動性を
十分に確保するためには、補強材の添加量は樹脂組成物
全体の50質量%以下とすることが好ましい。樹脂組成
物が十分な流動性を有していれば、樹脂組成物の成形を
射出成形法により行うことが可能となるので、生産性,
経済性の面からも好ましい。さらに、配合可能なその他
の添加剤としては、固体潤滑剤等の潤滑剤,熱安定剤,
酸化防止剤,熱伝導性改良剤,可塑剤等があげられ、こ
れらは本発明の目的を損なわない範囲内で添加される。
【0019】さらに、上記の深溝玉軸受においては、内
輪11,外輪12,及び玉13は軸受鋼で構成されてい
るが、軸受の使用条件等によっては、内輪11,外輪1
2,及び玉13のうち一部又は全部をPTTにガラス繊
維,炭酸カルシウムウィスカー等の補強材を添加した樹
脂組成物で構成することができる。これらは、射出成形
法等によって製造することができる。
【0020】深溝玉軸受の全体を生分解性樹脂組成物で
構成すれば、土壌中等の自然環境に放出された際にその
全体が自然に分解される。したがって、自然環境に対す
る悪影響が極めて小さい。また、土壌中等の自然環境に
廃棄処分することも可能であるので、使用後の廃棄が容
易である。なお、この第一実施形態は本発明の一例を示
したものであり、本発明は本実施形態に限定されるもの
ではない。例えば、本実施形態においては、転がり軸受
の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、
他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することがで
きる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円
筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心
ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸
受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受であ
る。
【0021】また、樹脂組成物における添加剤の種類及
び添加量等は、本実施形態に限定されるものではなく、
使用目的等に応じて適宜選択することが可能である。次
に、PTT及びその樹脂組成物について各種試験を行
い、他の樹脂と比較した結果について説明する。使用し
た樹脂は、PTT(デュポン株式会社製のPTT樹
脂),PLA(株式会社島津製作所製のLACTY90
30),PESU(株式会社日本触媒製のルナーレS
E),及びPBT(ポリプラスチックス株式会社製のジ
ュラネックス2002)であり、樹脂単体又は表1に示
す量の補強材を添加した樹脂組成物として試験に用い
た。
【0022】補強材としては、ガラス繊維(富士ファイ
バーガラス株式会社製のグレードFESS−015−0
413)と炭酸カルシウムウィスカー(丸尾カルシウム
株式会社製のウィスカル)とを使用した。ヘンシェルミ
キサーを用いて前記樹脂と前記補強材とを所定の比率で
混合し、2軸押出機を用いてペレット化した。そして、
このペレットを射出成形機に投入して、JIS1号形試
験片と転がり軸受(呼び番号6305)用の保持器とを
射出成形した。
【0023】
【表1】 次に、試験内容について説明する。 (1)生分解性試験 株式会社田窪工業所製のバイオ式生ごみ分解処理機であ
る「地球の友だち(商品名)」中に、JIS1号形試験
片を同社製の培養材及び「地球の友だち菌(商品名)」
とともに投入し、55〜60℃で生分解させた。そし
て、試験片の重量が初期の20%以下となった時間、又
は初期形状を維持できずにバラバラになった時間を生分
解完了時間とし、その時間の長さによって生分解性を評
価した。
【0024】試験結果を表1に示す。なお、表1におけ
る生分解完了時間の数値は、比較例1の生分解完了時間
を1とした場合の相対値で示してある。 (2)耐熱性試験 JIS1号形試験片を所定の温度(60,70,80,
90,100,110,120,130℃)に設定した
恒温槽内に1000時間吊り下げた後に、引張破断強度
を測定した。そして、初期の引張破断強度からの強度低
下が20%以下である温度のうち最高温度を、その樹脂
組成物の耐熱温度とした。試験結果を表1に併せて示
す。 (3)射出成形性試験 保持器を射出成形した際の、離型時の変形,割れと成形
後のそり,収縮とを評価した。試験結果を表1に併せて
示す。なお、表1においては、離型時の変形,割れと成
形後のそり,収縮とが全く生じなかった場合を○印で示
し、これらが少しでも生じた場合を×印で示した。 (4)組み込み性試験 転がり軸受(呼び番号6305、内径25mm,外径6
2mm,幅17mm)用の内輪,外輪,転動体を用意
し、保持器を組み込むことができるような状態に配置し
た。そして、エアシリンダを使用して保持器を組み込ん
で、その際の組み込み性を評価した。試験結果を表1に
併せて示す。なお、表1においては、転がり軸受への組
み込み性が良好であった場合を○印で示している。
【0025】ここで、各試験結果について考察する。P
TTを含有する樹脂組成物(実施例1〜4)で構成され
た試験片は、優れた生分解性と耐熱性を示し、同じく保
持器は良好な射出成形性と組み込み性を示した。それに
対して、PLAを含有する樹脂組成物(比較例1及び比
較例2)で構成された試験片は、高い生分解性を示した
ものの耐熱性が十分ではなかった。また、同じく保持器
は、離型時にウェルド部で割れが生じ、組み込み性試験
は実施できなかった。
【0026】また、PESU(比較例3)の場合は、生
分解性,射出成形性,及び組み込み性は良好であった
が、耐熱性が十分ではなかった。さらに、PBT(比較
例4)の場合は、耐熱性,射出成形性,及び組み込み性
は良好であったが、生分解性試験において2000時間
経過後も重量変化がほとんど認められず、生分解がほと
んど進行しなかった。
【0027】〔第二実施形態〕図3は、本発明に係る機
械部品の一実施形態である直動案内軸受装置の構成を示
す斜視図である。また、図4は、図3の直動案内軸受装
置を軸方向から見た正面図である。角形の案内レール3
1上に、横断面形状がほぼコ字形のスライダ32が軸方
向に相対移動可能に跨架されている。このスライダ32
は、スライダ本体32Aの軸方向の両端部にエンドキャ
ップ32B,32Bが着脱可能に固着されて構成されて
いる。
【0028】また、案内レール31の上面31aと両側
面31b,31bが交差する稜線部には、断面ほぼ1/
4円弧形状の凹溝である転動体転動溝33A,33Aが
軸方向に形成されている。さらに、案内レール31の両
側面31b,31bの中間位置には、断面ほぼ半円形の
凹溝である転動体転動溝33B,33Bが軸方向に形成
されている。なお、転動体転動溝33Bの溝底には、転
動体35の脱落を防ぐ後述の保持器36のための逃げ溝
33aが、軸方向に形成されている。
【0029】一方、スライダ32の本体32Aの両袖部
34,34の内側のコーナ部には、案内レール31の転
動体転動溝33Aに対向する断面ほぼ半円形の負荷転動
体転動溝41が形成され、両袖部34,34の内側面の
中央部には案内レール31の転動体転動溝33Bに対向
する断面ほぼ半円形の負荷転動体転動溝42が形成され
ている。
【0030】そして、上記の案内レール31の転動体転
動溝33Aとスライダ32の負荷転動体転動溝41とで
負荷転動体転動路43が構成され、案内レール31の転
動体転動溝33Bとスライダ32の負荷転動体転動溝4
2とで負荷転動体転動路44が構成されている。また、
スライダ本体32Aの袖部34の上部肉厚に、負荷転動
体転動路43に平行な軸方向に延びる断面円形の貫通孔
からなる転動体戻し路45が形成され、袖部34の下部
肉厚内に、負荷転動体転動路44に平行な同様の軸方向
に延びる貫通孔からなる転動体戻し路46が形成されて
いる。
【0031】エンドキャップ32Bは樹脂材料の射出成
形品であり、断面ほぼコ字状に形成されている。そし
て、スライダ本体32Aとの接合面(裏面)には、図5
に示すように、斜めに傾斜した半円状の上凹部51と下
凹部52とが、両袖分部34,34の上下に形成される
とともに、半円状の両凹部51,52の中心部を横断し
て半円柱状の凹溝53が設けてある。
【0032】そして、その半円柱状の凹溝53には、樹
脂材料を射出成形して得た半円筒状のリターンガイド5
5(図6を参照)が嵌合される。なお、図7は、リター
ンガイド55が装着されたエンドキャップ32Bの斜視
図である。このリターンガイド55の外径面の中央部に
は、転動体35の案内面となる断面円弧状の凹溝56が
半円状に形成され、また、リターンガイド55の内径側
の凹部57は潤滑剤通路であり、その凹部57から外径
側の凹溝56に抜ける貫通孔57Aが給油孔として形成
されている。
【0033】このようなリターンガイド55を半円柱状
の凹溝53に組み込むことにより、エンドキャップ32
Bの裏面に断面円形の半ドーナツ状の湾曲路58が上下
二段に形成される(図8を参照)。このエンドキャップ
32Bをスライダ本体32Aに取り付けると、湾曲路5
8によって、スライダ本体32Aの負荷転動体転動路4
4と転動体戻し路46とが連通される。そして、上段の
負荷転動体転動路43と転動体戻し路45も同様に連通
される。
【0034】上記の負荷転動体転動路43,44,転動
体戻し路45,46,湾曲路58で構成される転動体無
限循環経路に、多数の転動体35が転動自在に装填され
ている。案内レール31上をスライダ32が移動する
と、転動体35は負荷転動体転動路43,44内を転動
しつつスライダ32の移動方向にスライダ32より遅い
速度で移動し、一端側の湾曲路58でUターンして転動
体戻し路45,46を逆方向に転動しつつ移動し、他端
側の湾曲路58で逆Uターンして負荷転動体転動路4
3,44内に戻る循環を繰り返す。
【0035】なお、エンドキャップ32Bにおいて、転
動体35を案内する湾曲路58の内側端部には半円状に
突出させた転動体掬いあげ突部59が形成され、その鋭
角の先端が案内レール31の転動体転動溝33A,33
Bの溝底に近接するようにされている。下段の転動体掬
いあげ突部59には、後述する保持器36の取付溝59
aと取付穴59bとが設けてある。
【0036】また、エンドキャップ32Bの表側の給油
ニップル37から注入された潤滑剤が、エンドキャップ
32Bの裏面の給油溝60を通りリターンガイド55の
内径側の凹部57から貫通孔57Aを経て、湾曲路58
内へ送り込まれるようになっている。さらに、エンドキ
ャップ32Bの裏面の給油溝60の下方には、後述する
保持器61の取付け穴61aが形成してある。
【0037】スライダ32の上段の負荷転動体転動路4
3及び下段の負荷転動体転動路44にそれぞれ装填され
た転動体35は、スライダ32を案内レール31に組み
付けない状態では脱落してしまう。よって、これを防止
するために、射出成形された樹脂材料製の保持器が用い
られている。下段の負荷転動体転動路44内の転動体脱
落防止用の保持器36は、断面角形状の保持器で、その
長手方向の両端側は転動体35を滑らかに案内するため
弓なりに湾曲され、端末には取付け部が形成されてい
る。装着は、エンドキャップ32Bの転動体掬いあげ突
部59に形成された保持器取付け穴59bに前記取付け
部を差し込んで行われる。スライダ32を案内レール3
1に組みつけた状態では、保持器36は案内レール31
の保持器用の逃げ溝33a内に収容され、案内レール3
1とは干渉しない。
【0038】これに対して、上段の負荷転動体転動路4
3内の転動体脱落防止用の保持器61は、図9に示すよ
うにほぼ長方形の枠形状である。この保持器61は、そ
の枠62の長手方向の外側縁にほぼ1/4円弧状の転動
体保持面63が形成され、前後端には係止突部64が突
設されている。装着は、エンドキャップ32Bの裏面の
取付け穴61aに係止突部64を差し込むことにより行
われる。これにより保持器61はエンドキャップ32B
に支持されて、案内レール31の上面31aとこれに向
き合うスライダ本体32Aの内面との間の空間に収容さ
れ、転動体35を転動体保持面63と負荷転動体転動溝
41の溝面とで挟持して保持する。
【0039】このような直動案内軸受装置は、その一部
が前述のように樹脂材料で構成されていて、この樹脂材
料は、例えば、PTT60質量%と、補強材である炭酸
カルシウムウィスカー(アルゴナイト)40質量%と、
を混合した樹脂組成物である。なお、従来の直動案内軸
受装置においては、ポリアセタール樹脂が使用されてい
た。
【0040】この樹脂組成物は優れた耐熱性を有してい
るので、該樹脂組成物でその一部が構成された上記の直
動案内軸受装置は、転動装置として十分な性能を備えて
いる。また、この樹脂組成物は生分解性を有しているの
で、この直動案内軸受装置が土壌中等の自然環境に放出
されても、前記生分解性樹脂組成物で構成された部分は
自然に分解されるから、自然環境に対して悪影響を及ぼ
しにくい。
【0041】〔第三実施形態〕図10は、本発明に係る
機械部品の一実施形態である直動案内軸受装置用スライ
ダの仮軸の構成を示す斜視図である。また、図11は、
スライダが組み付けられた状態の仮軸を示す斜視図であ
る。この仮軸101は、直動案内軸受装置用の案内レー
ルとほぼ同一の形状に形成されている。すなわち、仮軸
101の軸方向に垂直をなす面で破断した断面形状は、
前記案内レールのそれとほぼ同一の形状をなしている。
【0042】そして、角状の仮軸101の上面101a
と両側面101bとが交差する稜線部には、転動体転動
溝に相当する断面ほぼ1/4円弧形状の凹溝102Aが
軸方向に形成され、仮軸101の両側面101bの中間
位置には、転動体転動溝に相当する断面ほぼ半円形の凹
溝102Bが軸方向に形成されている。さらに、両側面
101bの中間位置に形成された凹溝102Bの溝底に
は、前記案内レールと同様にボール保持器用の逃げ溝1
03が形成されている。
【0043】ただし、案内レールとは異なり、仮軸10
1はスライダ105を仮に組み付けておくためのもので
あるから、図10及び図11に示すように、その軸方向
の長さはスライダ105の軸方向の長さよりも若干長け
れば十分である。また、仮軸101の上面101aは機
能上平面状である必要はないので、仮軸101の寸法精
度を向上させるために、凹状の肉ヌスミ104が設けて
ある。なお、肉ヌスミ104の内部には、肉ヌスミ10
4を補強するための補強板104aが設けてある。
【0044】スライダ105が組み付けられた仮軸10
1を前記案内レールの端部に連続するように取り付け、
スライダ105を仮軸101から案内レールに向けてス
ライドさせると、仮軸101に組み付けられていたスラ
イダ105を案内レールに移動させることができる。こ
のような仮軸101は、例えば、PTT90質量%と、
補強材である前述の炭酸カルシウムウィスカー10質量
%と、からなる生分解性樹脂組成物を、射出成形するこ
とによって製造される。
【0045】したがって、スライダ105を案内レール
に移動させた後の仮軸101を廃棄物として土壌中に埋
設処理すると、自然に生分解されるから、自然環境に悪
影響を及ぼしにくく、また、廃棄物問題の要因となりに
くい。なお、上記の第一〜第三実施形態は本発明の一例
を示したものであり、本発明は上記の各実施形態に限定
されるものではない。
【0046】例えば、生分解性樹脂組成物に使用する添
加剤の種類や配合比率等は、本実施形態に限定されるも
のではなく、使用目的等に応じて適宜選択することが可
能である。また、本実施形態においては、機械部品の例
として玉軸受,直動案内軸受装置,及び直動案内軸受装
置用スライダの仮軸をあげて説明したが、本発明は、他
の種々の機械部品に対して適用することができる。例え
ば、ボールねじ等の転動装置である。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る転がり軸受
等の機械部品は、その少なくとも一部をPTTを含有す
る樹脂組成物で構成したので、機械部品として十分な性
能(耐熱性,機械的性質等)を備えている。よって、種
々の産業分野において使用することが可能である。
【0048】また、PTTは優れた生分解性を有してい
るので、土壌中等の自然環境に放出されると前記樹脂組
成物で構成された部分が自然に分解されるから、自然環
境に対して悪影響を及ぼしにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機械部品の一実施形態である深溝
玉軸受の構造を示す縦断面図である。
【図2】図1の深溝玉軸受に使用されている冠形保持器
を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る機械部品の別の実施形態である直
動案内軸受装置の構成を示す斜視図である。
【図4】図3の直動案内軸受装置の正面図である。
【図5】リターンガイドを省略してエンドキャップの裏
面を示した図である。
【図6】リターンガイドの正面図である。
【図7】リターンガイドを装着した状態のエンドキャッ
プの斜視図である。
【図8】図4のエンドキャップ付近のA−A線部分断面
図である。
【図9】保持器の斜視図である。
【図10】本発明に係る機械部品の別の実施形態である
直動案内軸受装置用スライダの仮軸を示す斜視図であ
る。
【図11】スライダを組み付けた状態の仮軸を示す斜視
図である。
【符号の説明】
11 内輪 12 外輪 13 玉 14 保持器 32B エンドキャップ 36 保持器 55 リターンガイド 61 保持器 101 仮軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/62 F16C 33/62 33/64 33/64 // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 31:04 B29L 31:04 (72)発明者 浅井 拡光 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 高城 敏己 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA01 AA02 AA12 AA32 BA02 BA10 BA22 BA50 BA52 BA70 DA14 EA31 EA80 4F206 AA24 AB06 AB07 AC01 AD19 AD35 AH05 AH14 JA07 JB12 JB20 JL02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性樹脂を含有する樹脂組成物で構
    成された機械部品において、前記生分解性樹脂をポリト
    リメチレンテレフタレートとしたことを特徴とする機械
    部品。
  2. 【請求項2】 射出成形法により成形されたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の機械部品。
  3. 【請求項3】 内輪と、外輪と、前記両輪の間に転動自
    在に配設された複数の転動体と、前記両輪の間に前記転
    動体を保持する保持器と、を備える転がり軸受におい
    て、前記内輪,前記外輪,前記転動体,及び前記保持器
    のうち少なくとも前記保持器を、ポリトリメチレンテレ
    フタレートを含有する樹脂組成物で構成したことを特徴
    とする転がり軸受。
  4. 【請求項4】 ポリトリメチレンテレフタレートを含有
    する樹脂組成物で構成されたシールを、前記両輪のいず
    れか一方に取り付け前記両輪の間に介在させたことを特
    徴とする請求項3に記載の転がり軸受。
  5. 【請求項5】 前記内輪,前記外輪,前記転動体,及び
    前記保持器のうち前記樹脂組成物で構成されたものは、
    射出成形法により成形されたものであることを特徴とす
    る請求項3又は請求項4に記載の転がり軸受。
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