JP2004068913A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な生分解性や成形性等の特性を持ち、従来のものよりも高温の環境下で使用可能な保持器を備えた転がり軸受を提供する。
【解決手段】本発明の転がり軸受10は、内輪12と、外輪11と、内外輪間に配された保持器15と、保持器15によって保持された複数の転動体13とを有し、保持器15は、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成されている。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保持器を有する転がり軸受に関し、特に生分解可能な保持器を備えた転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、転がり軸受は、機械部品として各種産業機械に数多く使用されているが、これらの機械は使用を終えると、転がり軸受を取り外すことなく、産業廃棄物として機械装置ごと廃棄処分されることが多い。
あるいは、機械を分解し、部品単位で分別廃棄処分がなされることもあるが、転がり軸受がその構成要素(外輪、内輪、保持器等)にまで分解、分別されることはなく、そのまま廃棄処分されることがほとんどである。
ここでの具体的な廃棄処分の方法としては、埋め立て地、海洋や山中への放出、焼却等が大半を占めている。
【0003】
転がり軸受の基本的な構成要素の中で、外輪、内輪、転動体の材料としては、一般的に鋼(軸受鋼)が使用されている。これに対して保持器は、用途にも拠るが、ポリアミド樹脂等の合成樹脂が使用される場合が多い。
これは、ポリアミド樹脂等の合成樹脂が、軽量で自己潤滑性を有することに加え、耐熱安定性、耐油安定性、耐薬品安定性、適度な柔軟性(靭性)、高温剛性等をバランス良く満たし、保持器材料としての生産性や音響性能等に優れているためである。
【0004】
このように構成された転がり軸受が廃棄されると、外輪、内輪、転動体等の鉄系材料は、自然環境に悪影響を及ぼす有害物質をほとんど出さず、やがて酸化(錆を発生)して徐々に形状が崩壊していく。
しかし、保持器の材料である合成樹脂は、非常に安定な物質で、原形を留めたままほとんど分解しないため、景観を汚したり、野生生物の生活環境を害したりと、自然環境に及ぼす悪影響が懸念される。
【0005】
また、合成樹脂を焼却すると、ダイオキシン等の有害物質を発生する虞もあり、そもそも燃焼に伴って排出されるガスそのものが有害な場合もある。さらに、従来型の焼却炉が、合成樹脂焼却時の高熱により損傷を受けたという報告例もある。
そこで、合成樹脂の廃棄に関する問題を解決するための有効な手段として、近年、生分解性樹脂が注目されている。
【0006】
生分解性樹脂とは、環境下で微生物等によって、二酸化炭素および水素に徐々に分解される樹脂である。したがって、生分解性樹脂で構成された製品は、自然環境に放出されても原形を留めなくなるまで分解されるので、自然環境に対して悪影響を及ぼし難い。
従来、このような生分解性樹脂では、ごみ袋、ボトル容器、食品用トレイ、農業用マルチフィルム等の材料が主たる用途であったが、最近、機械部品や構造部品材料としての研究開発が活発になり、具体的には転がり軸受用の保持器への適用も検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在報告されている生分解性樹脂製の保持器には、未だ改良すべき多くの問題点が残されている。例えば、高温環境下での使用が大きく制限されてしまうという問題点がある。すなわち、生分解性樹脂の多くは、融点が100℃〜120℃程度で、高融点のものでも160℃〜170℃程度である。
【0008】
また、たとえ融点が高い樹脂であっても、温度が80℃から100℃程度に上昇すると、機械的強度が格段に低下してしまうことが多い。中には融点が高く、耐熱性に比較的優れる樹脂も存在するが、それ以外の性能である柔軟性、成形性、加工性、耐薬品性、耐油性等に問題を抱えるものが多い。
このように、他の必要性能である生分解性、成形性等を確保しつつ、高温環境で使用可能な生分解性樹脂製の保持器を実現することは容易ではない。そのため、現在報告されている生分解性樹脂製の保持器の使用温度の上限は、60℃〜70℃程度のものがほとんどである。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、充分な生分解性や成形性等の特性を持ち、高温の環境下で使用可能な保持器を備えた転がり軸受を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内外輪間に配された保持器と、前記保持器によって保持された複数の転動体とを有する転がり軸受において、前記保持器は、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成されていることを特徴とする。
【0011】
前記構成の転がり軸受によれば、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成された保持器が用いられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、融点が200℃以上と高く、更に柔軟性、成形性、耐油性等を充分に兼ね備えた生分解性樹脂である。また、ポリビニルアルコール系樹脂を他の生分解性樹脂と組み合わせて使用することにより、他の生分解性樹脂の耐熱性、柔軟性、成形性、耐油性等を改質、改善できる。
したがって、充分な生分解性や成形性等の特性を持ち、従来のものよりも高温の環境下で使用可能な保持器を備えた転がり軸受を提供することができる。
【0012】
本発明の請求項2記載の転がり軸受は、前記樹脂組成物は、予め定められた重量比率の補強材を混入して成形されることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受である。
【0013】
前記構成の転がり軸受によれば、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物に、予め定められた重量比率の補強材を混入して成形すれば、強度面での更なる向上を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の転がり軸受の一実施形態を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の転がり軸受の一実施形態を示す断面図であり、図2は図1における冠型保持器の外観図である。
図1に示すように、本実施形態の転がり軸受10は、外輪11と、内輪12と、外輪11及び内輪12間に複数配置された玉(転動体)13と、玉13を円周方向等間隔に保持するポケット14が設けられた冠型保持器15とを備えている。この場合の転がり軸受10は深溝玉軸受である。
【0015】
外輪11は、外輪内径面の中央部に外輪軌道面16が配されており、内輪12は、内輪外径面の中央部に内輪軌道面17が配されている。
玉13に対して軸方向両側に、環状のシール部材18,18が設けられている。シール部材18は、芯材である芯金18aをゴム部材(弾性体)18bで覆って構成されている(複合型シール)。シール部材18は、内外輪の間に玉13を装着した後に、外輪11に取り付けられたものであり、その基端部が外輪11に装着固定され、その先端部が内輪12に摺接する接触式である。
シール部材18は、例えば、JIS SPCC等の鋼板よりプレス加工で製作した芯金18aにゴム部材18bを接着或いは焼付固定すればよい。
【0016】
図1に例示されているのは複合型シールであるが、一般的には全体が金属製のシールや、プラスチック或いは熱可塑性エラストマーのみからなるシール(プラスチックシール)も知られている。
どのような構成のシール部材を使用しても構わないが、本発明の転がり軸受用保持器と同様の材料から構成されるプラスチックシールであれば、生分解性を備え、高温の環境下でも使用可能なので特に好ましい。
また、転がり軸受の用途や使用環境、条件によっては、シール部材を片側のみに設けたり、両側とも設けなかったりしても構わない。
【0017】
シール部材18によって外部から仕切られた軸受内部空間には、グリースが封入されており、そのグリースによって玉13と外輪11の外輪軌道面16及び内輪12の内輪軌道面17との間や、玉13と冠型保持器15のポケット14との間が潤滑される。
潤滑剤として生分解性を備えたグリースを使用すると、環境安全性の面から、さらに好適である。例えば、植物油や生分解性合成エステル油等を各種金属石鹸やウレア化合物等の増ちょう剤によって増ちょうさせたものが生分解性を備えたグリースとして挙げられる。
【0018】
図2に示すように、冠型保持器15は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物によって成形され、環状部19の一方の側面の周方向にポケット14が複数個形成されている。ポケット14は、球面の凹状を形成し、玉13を転動自在に保持する。このポケット14は、柱部20を介して環状部19の周方向に等間隔で配置され、環状部19の外周面から内周面に貫通している。
【0019】
生分解性樹脂とは、環境下で微生物等によって二酸化炭素及び水等に徐々に分解される樹脂であり、一般的には、JIS K6950、JIS K6951、JIS K6953、化審法生分解性試験(MITI−法)の何れかで試験して生分解度が60%以上となる樹脂である。生分解性樹脂として、例えば、澱粉系樹脂(澱粉改質品等)、セルロース化合物(酢酸セルロース等)、ポリエステル(ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリブチレンアジペート・テフレタレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート・ブチレンアジペート共重合体等、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0020】
本発明に使用されるポリビニルアルコール系樹脂とは、ポリビニルアルコールと、その改質品(以下、ポリビニルアルコール改質樹脂と称する)とを総称したものである。これらの樹脂は、単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。
【0021】
一般的に、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルの重合で得られたポリ酢酸ビニルを鹸化する(酢酸基を水酸基に置換する)ことによって製造され、このときの鹸化の度合(鹸化度)によって、熱安定性等の性質に若干の違いが見られる。ただし、本発明に使用されるポリビニルアルコールでは、その製造方法は特に限定されない。また、鹸化度についても特に限定しないが、完全鹸化物(鹸化度:98〜99mol%)に近づくほど熱安定性、耐薬品性、耐水性に優れるため、鹸化度は、より高い方(90mol%以上、特に97mol%以上)が好適であると言える。しかし、場合によっては柔軟性が若干不足してしまう虞があるため、その点を考慮に入れる必要がある。
【0022】
ポリビニルアルコール改質樹脂とは、柔軟性向上等を目的として、ポリビニルアルコールの主鎖や側鎖に任意の分子構造を有する構造体を導入したものである。 その導入方法は特に限定されず、例えば、ポリ酢酸ビニルを重合する段階で、他のモノマーを共重合させる等の方法が挙げられる。導入される構造体の種類や量に関する制約は特に設けないが、耐熱性や生分解性を著しく損ねる虞のあるものは避けるべきである。
【0023】
具体的には、ポリエーテル成分やポリエステル成分は、柔軟性(可撓性)の向上、優れた生分解性の付与といった効果が認められるため、導入される構造体として特に好適である。また、異なる複数種の構造体が共存しても構わない。ポリビニルアルコール改質樹脂の鹸化度は、ポリビニルアルコールの鹸化度と同様にして特に限定しないが、より高い方が好適である。
さらに言えば、ポリエーテル成分やポリエステル成分を導入して、かつ完全鹸化したもの(鹸化度98〜99mol%)は、熱安定性、耐薬品性、柔軟性、生分解性等の各性能を充分に満たすので非常に好適である。
【0024】
本実施形態においては、ポリビニルアルコール系樹脂と組み合わせて使用することを条件として、ポリビニルアルコール系樹脂以外の他の生分解性樹脂を使用しても良い。これは、1種類でも或いは2種類以上でも構わない。ポリビニルアルコール系樹脂と組み合わせて使用することで、耐熱性や柔軟性等の性能が不足している生分解性樹脂であっても、その改質や改善がなされる。
ポリビニルアルコール系樹脂以外の生分解性樹脂の種類は特に限定しないが、耐熱性や熱安定性に優れた樹脂(高融点の樹脂や高温剛性の高い樹脂等)を選択する方が好適である。例えば、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート共重合体、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリ乳酸等が好適である。とりわけ、ポリエチレンテレフタレート共重合体は、最も耐熱性に優れるので好適である。
【0025】
本発明の転がり軸受用保持器の材料となる樹脂には、主に機械的強度の向上を目的として、必要に応じて補強材を混入することが好ましい。補強材の種類、形状等は特に限定されないが、生分解性プラスチック研究会(BPS)の運用によるグリーンプラ識別表示制度のポジティブリスト(PL)に登録されている材料を使用することが生分解性及び環境安全性の面から好ましい。とりわけ、ガラス繊維は、その補強効果、効率が高く、前記PLにも登録されているので、補強材として特に好適である。
【0026】
補強材は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用しても構わない。補強材の混入率は、その上限を50重量%未満に規制する。これは、成形時の樹脂組成物の流動性を確保するためである。一方、混入率が低すぎても不具合を生じないため、下限に関する規制は設けない。
さらに好ましくは、補強材混入率を10重量%以上40重量%以下とすると、転がり軸受10の一般的な使用条件や環境に対して幅広く適用可能となる冠型保持器15を構成できるので、特に好適である。
【0027】
さらに、上記ポリビニルアルコール系樹脂に各種の添加剤を加えても構わない。添加剤の種類としては、潤滑剤、固体潤滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、熱伝導性改良剤、結晶化促進剤、増核剤、顔料、染料等が挙げられる。これらは、1種類を単独で、或いは2種類以上を同時に使用しても構わないが、上記BPS運用のグリーンプラ識別表示制度に則って添加されることが生分解性及び環境安全 性の面から好ましい。
【0028】
また、上述した補強材と添加剤とを同時に使用しても良く、その場合も上記BPS運用のグリーンプラ識別表示制度に則って使用されることが、やはり生分解性及び環境安全性の面から好ましい。
【0029】
本実施形態の転がり軸受によれば、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成された冠型保持器15が用いられる。したがって、ポリビニルアルコール系樹脂は、融点が200℃以上と高く、柔軟性、成形性、耐油性等を充分に兼ね備えた生分解性樹脂であり、ポリビニルアルコール系樹脂を他の生分解性樹脂と組み合わせて使用することにより、他の生分解性樹脂の耐熱性、柔軟性、成形性、耐油性等を改質、改善することができるので、充分な生分解性や成形性等の特性を持ち、高温の環境下で使用可能な冠型保持器15を備えた転がり軸受10を得ることができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物に、予め定められた重量比率の補強材を混入して成形することにより、強度面での更なる向上を図ることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の転がり軸受に係る実施例について説明する。
先ず、軸受回転試験と生分解性評価について説明する。
軸受回転試験では、転がり軸受(内径:25mm、外径:62mm、幅:17mm)用の冠型保持器を成形し、外輪、内輪、転動体が、いずれもSUJ2製の転がり軸受を作製した。そして、この転がり軸受に、リチウム石鹸−エステル油系の生分解可能なグリース(混和ちょう度:250)を封入して、以下の条件で耐久試験を実施した。
【0032】
試験条件は、以下の通りである。
回転数:1500及び10000/min(内輪回転)
荷重:ラジアル荷重98N、アキシアル荷重245N
雰囲気温度:80及び100℃
なお、通常のグリース封入量は、軸受空間容積の35%程度であるが、本試験では加速することを目的として、グリース封入量を軸受空間容積の20%とした。また、試験は2000時間経過時点で打ち切りとした。
【0033】
生分解性評価においては、回転試験終了後と、未使用の冠型保持器を、恒温恒湿槽内で温度60℃−含水率30wt%に調整した腐葉土中に埋設し、6ヶ月後の外観変化と重量変化を調査した。
【0034】
次に、本発明の実施例と比較例を表1及び表2に基づいて説明する。
なお、実施例で使用している樹脂、補強材の商品名、グレードについては以下の通りである。
ポリビニルアルコール系樹脂;
・ポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂(日本合成化学工業社製 エコマティAX−300)
・鹸化度が71〜75mol%である部分鹸化型ポリビニルアルコール:部分鹸化型PVA(日本合成化学工業社製 ゴーセノールNK−05)
その他の生分解性樹脂;
・約40重量%のガラス繊維が配合されたポリエチレンテレフタレート・ブチレンアジペート共重合体:PETBA(デュポン社製 バイオマックスWUH)
・ポリ−3−ヒドロキシ酪酸:PHB(三菱ガス化学社製 ビオグリーン)
・ポリブチレンサクシネート:PBS(昭和高分子社製 ビオノーレ)
・ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体:PBAT(BASFジャパン社製 Ecoflex)
・ポリ乳酸:PLA(島津製作所社製 ラクティ9030)
比較用樹脂;
・66ナイロン:PA66(宇部興産社製 宇部ナイロン2020U)
補強材;
・ガラス繊維:GF(富士ファイバーガラス社製 FESS−015−0413)
【0035】
【表1】
Figure 2004068913
【0036】
実施例1では、ポリビニルアルコール系樹脂として、ポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂と、鹸化度が71〜75mol%である部分鹸化型ポリビニルアルコール:部分鹸化型PVAを使用し、補強材としてガラス繊維:GFを使用した。
試験▲1▼では、PVA改質樹脂を60重量%、ガラス繊維を40重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲2▼では、PVA改質樹脂を70重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲3▼では、PVA改質樹脂を90重量%、ガラス繊維を10重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲4▼では、PVA改質樹脂を100重量%使用し、ガラス繊維を使用せず、100℃において1500/minの回転数で行った。
試験▲5▼では、PVA改質樹脂を60重量%、部分鹸化型PVAを10重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲6▼では、PVA改質樹脂を80重量%、部分鹸化型PVAを20重量%使用し、ガラス繊維を使用せず、100℃において1500/minの回転数で行った。
比較例では、転がり軸受用の保持器材料として一般的に用いられている66ナイロン:PA66を70重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
【0037】
表1に示すように、実施例1において、ガラス繊維を配合した試験▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲5▼では、100℃−10000/minでの軸受回転試験で、2000時間の耐久時間に到達し、その後も回転可能であった。これに対して、ガラス繊維を含まない試験▲4▼,▲6▼では、100℃−1500/minという回転に伴って保持器に作用する遠心力が小さい条件であれば、2000時間に到達し、その後も回転可能であった。
生分解性評価においては、試験▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼,▲5▼,▲6▼のいずれも原形を留めていなかった。
比較例では、100℃−10000/minでも2000時間に到達し、その後も運転可能であった。しかし、生分解性評価では原形を留めたままで、重量も減少しなかった。さらに、6ヶ月経過後(合計1年経過後)も変化はなく、生分解の進行は認められなかった。
【0038】
【表2】
Figure 2004068913
【0039】
実施例2では、ポリビニルアルコール系樹脂としてポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂、その他の生分解性樹脂として約40重量%のガラス繊維が配合されたポリエチレンテレフタレート・ブチレンアジペート共重合体:PETBA、補強材としてガラス繊維:GFを使用した。
試験▲1▼では、PVA改質樹脂を10重量%、PETBAを54重量%、ガラス繊維を36重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲2▼では、PVA改質樹脂を20重量%、PETBAを48重量%、ガラス繊維を32重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲3▼では、PVA改質樹脂を60重量%、PETBAを20重量%、ガラス繊維を20重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
【0040】
表2に示すように、実施例2において、ガラス繊維を配合した試験▲1▼,▲2▼,▲3▼では、100℃−10000/minでの軸受回転試験で、2000時間の耐久時間に到達し、その後も回転可能であった。
生分解性評価においては、PETBAを比較的多く含む試験▲1▼,▲2▼では、原形を留めていたものの、部分的な崩壊や表面亀裂はかなり進行しており、重量も30%以上減少していた。一方、PVA改質樹脂を比較的多く含む試験▲3▼では、原形を留めていなかった。
【0041】
実施例3では、ポリビニルアルコール系樹脂としてポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂、その他の生分解性樹脂としてポリ−3−ヒドロキシン酪酸:PHB、補強材としてガラス繊維:GFを使用した。
試験▲1▼では、PVA改質樹脂を15重量%、PHBを55重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲2▼では、PVA改質樹脂を60重量%、PHBを20重量%、ガラス繊維を20重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲3▼では、PVA改質樹脂を20重量%、PHBを80重量%使用し、100℃において1500/minの回転数で行った。
試験▲4▼では、PVA改質樹脂を80重量%、PHBを20重量%使用し、100℃において1500/minの回転数で行った。
【0042】
表2に示すように、実施例3において、ガラス繊維を配合した試験▲1▼,▲2▼では、100℃−10000/minでの軸受回転試験で、2000時間の耐久時間に到達し、その後も回転可能であった。ガラス繊維を含まない試験▲3▼,▲4▼では、100℃−1500/minという回転に伴って保持器に作用する遠心力が小さい条件であれば2000時間に到達し、その後も回転可能であった。
生分解性評価においては、試験▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼のいずれも原形を留めていなかった。
【0043】
実施例4では、ポリビニルアルコール系樹脂としてポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂、その他の生分解性樹脂としてポリブチレンサクシネート:PBS、補強材としてガラス繊維:GFを使用した。
試験▲1▼では、PVA改質樹脂を20重量%、PBSを50重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、80℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲2▼では、PVA改質樹脂を60重量%、PBSを15重量%、ガラス繊維を25重量%使用し、80℃において10000/minの回転数で行った。
試験▲3▼では、PVA改質樹脂を30重量%、PBSを70重量%使用し、80℃において1500/minの回転数で行った。
試験▲4▼では、PVA改質樹脂を80重量%、PBSを20重量%使用し、80℃において1500/minの回転数で行った。
【0044】
表2に示すように、実施例4において、ガラス繊維を配合した試験▲1▼,▲2▼では、80℃−10000/minでの軸受回転試験で、2000時間の耐久時間に到達し、その後も回転可能であった。ガラス繊維を含まない試験▲3▼,▲4▼では、80℃−1500/minという回転に伴って保持器に作用する遠心力が小さい条件であれば2000時間に到達し、その後も回転可能であった。
生分解性評価においては、試験▲1▼,▲2▼,▲3▼,▲4▼のいずれも原形を留めていなかった。
【0045】
実施例5では、ポリビニルアルコール系樹脂としてポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂、その他の生分解性樹脂としてポリブチレンアジペート・テフレタレート共重合体:PBAT、補強材としてガラス繊維:GFを使用した。
試験では、PVA改質樹脂を60重量%、PBATを10重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、100℃において10000/minの回転数で行った。
【0046】
表2に示すように、実施例5において、100℃−10000/minでの軸受回転試験で、2000時間の耐久時間に到達し、その後も回転可能であった。
生分解性評価においては、原形を留めていなかった。
【0047】
実施例6では、ポリビニルアルコール系樹脂としてポリエーテル成分を導入したポリビニルアルコール改質樹脂:PVA改質樹脂、その他の生分解性樹脂としてポリ乳酸:PLA、補強材としてガラス繊維:GFを使用した。
試験では、PVA改質樹脂を60重量%、PLAを10重量%、ガラス繊維を30重量%使用し、80℃において10000/minの回転数で行った。
【0048】
表2に示すように、実施例6において、80℃−10000/minでの軸受回転試験で、2000時間の耐久時間に到達し、その後も回転可能であった。
生分解性評価においては、原形を留めていなかった。
【0049】
比較例では、66ナイロンを70重量%使用し、ガラス繊維を30重量%使用し、100℃において10,000/minの回転数で行った。
比較例では、100℃−10000/minでも2000時間に到達し、その後も運転可能であった。しかし、生分解性評価では原形を留めたままで、重量も減少しなかった。さらに、6ヶ月経過後(合計1年経過後)も変化はなく、生分解の進行は認められなかった。
【0050】
上述したように、実施例1〜6により明らかなように、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成された冠型保持器15を用いることによって、充分な生分解性や成形性等の特性を持ち、従来のものよりも高温の環境下で使用可能な転がり軸受を得ることができる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、深溝玉軸受に代えてアンギュラ玉軸受等に適用しても良い。また、保持器として、冠型保持器に限らず、もみぬき保持器等の樹脂製保持器に適用しても良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の転がり軸受によれば、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成された保持器が用いられる。
したがって、ポリビニルアルコール系樹脂は、融点が200℃以上と高く、柔軟性、成形性、耐油性等を充分に兼ね備えた生分解性樹脂であり、ポリビニルアルコール系樹脂を他の生分解性樹脂と組み合わせて使用することにより、他の生分解性樹脂の耐熱性、柔軟性、成形性、耐油性等を改質、改善ができるので、充分な生分解性や成形性等の特性を持ち、従来のものよりも高温の環境下で使用可能な保持器を備えた転がり軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1における冠型保持器を示す外観図である。
【符号の説明】
10 転がり軸受
11 外輪
12 内輪
13 玉(転動体)
15 冠型保持器(保持器)

Claims (2)

  1. 内輪と、外輪と、前記内外輪間に配された保持器と、前記保持器によって保持された複数の転動体とを有する転がり軸受において、
    前記保持器は、少なくともポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物から構成されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記樹脂組成物は、予め定められた重量比率の補強材を混入して成形されることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
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