JP2003065163A - エバポパージシステムの故障診断装置 - Google Patents

エバポパージシステムの故障診断装置

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JP2003065163A
JP2003065163A JP2001253205A JP2001253205A JP2003065163A JP 2003065163 A JP2003065163 A JP 2003065163A JP 2001253205 A JP2001253205 A JP 2001253205A JP 2001253205 A JP2001253205 A JP 2001253205A JP 2003065163 A JP2003065163 A JP 2003065163A
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pressure
fuel
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Naoya Takagi
直也 高木
衛 ▲吉▼岡
Mamoru Yoshioka
Toshihiro Ozaki
敏弘 尾崎
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誤診断を防止し、正確なパージ系の故障診断
を行う。 【解決手段】 キャニスタ10、燃料タンク11、等か
ら構成されるパージ系を負圧密閉状態にして圧力センサ
ー33により系内の圧力上昇速度ΔPLを測定し、ΔP
Lが判定値以下であればパージ系を正常と判定する。Δ
PLが判定値以上の場合には、次にパージ系を大気圧に
昇圧する途中の中間負圧で密閉し系内の圧力上昇速度Δ
PTを測定し、ΔPTが所定の保留判定値ΔPT0以下
の場合には判定を保留する。ΔPT≧ΔPT0の場合に
はパージ系を大気圧密閉状態にして系内の圧力上昇速度
ΔPVを測定し、ΔPVが所定の判定値以上の場合には
判定を保留し、所定値以下の場合のみパージ系を異常と
判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンクからの
蒸発燃料の大気への放出を防止する蒸発燃料排出抑制装
置(エバポパージシステム)に関し、詳細にはキャニス
タ、燃料タンク及びこれらの接続配管等を含むパージ系
の洩れ、穴あき等の異常を判定する、エバポパージシス
テムの故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンクからの蒸発燃料が大気に放出
されることを防止する目的で、タンクからの蒸発燃料を
活性炭等の吸着剤を収納したキャニスタに導き燃料蒸気
を吸着剤に吸着させて燃料蒸気の大気放出を防止するエ
バポパージシステムが一般に知られている。エバポパー
ジシステムでは通常、機関の所定運転条件下でキャニス
タ内にパージ空気を通過させ、吸着した蒸発燃料を吸着
剤から脱離させるとともに、パージ空気と脱離した蒸発
燃料との混合気(パージガス)を機関吸気通路に供給し
て機関で燃焼させるようにしている。
【0003】このようなエバポパージシステムでは、装
置の故障、特にキャニスタや燃料タンク、これらを接続
する配管を含むパージ系に洩れ、穴あきなどの故障が生
じ気密を維持できなくなると、燃料蒸気が機関に供給さ
れずに大気に放出されてしまい、大気汚染の原因となる
場合が生じる。また、このようなエバポパージシステム
の故障が生じた場合でも機関の運転には何ら支障がない
ため、運転者は異常の発生に気づかずにそのまま機関運
転を継続する場合がある。
【0004】上記問題を解決するため、エバポパージシ
ステムに故障が発生したことを検出し、運転者に故障発
生を報知するようにした故障検出装置が種々考案されて
いる。例えば、この種の装置の例としては特開平5−1
25997号公報に記載されたものがある。同公報の装
置は、機関を搭載した車両の停止時であり、機関がアイ
ドル運転されているときに、まずキャニスタと吸気通路
とを接続するパージ配管に設けられたパージ制御弁を閉
弁する。そして、パージ系内圧が大気圧に等しくなった
後にキャニスタの大気導入通路に配置された遮断弁を閉
弁して、パージ系内圧を大気圧状態で密閉し、この大気
圧密閉状態でのパージ系内圧の所定時間内の上昇幅を測
定する。このときのパージ系内圧の上昇幅は燃料の蒸発
速度を表す値となる。
【0005】そして、燃料蒸発速度の測定が完了した
後、キャニスタを大気から遮断したままでパージ制御弁
を開弁し、吸気通路の負圧をパージ系に導入してパージ
系内圧を所定の負圧まで低下させ、所定の負圧になった
状態でパージ制御弁を閉弁して再度パージ系を密閉す
る。そして、この負圧密閉状態に置ける所定時間内のパ
ージ系内圧上昇幅を測定し、上記により測定した大気圧
密閉状態でのパージ系内圧上昇幅と、負圧密閉状態にお
けるパージ系内圧上昇幅とに基づいて、パージ系の異常
の有無を判定する。
【0006】すなわち、負圧密閉状態におけるパージ系
内圧上昇はパージ系に洩れ、穴あきなどがなければ燃料
タンク内の燃料の蒸発のみによって生じる。一方、パー
ジ系に洩れ、穴あきなどの異常が生じていた場合には、
洩れ、穴などを通じて大気がパージ系に侵入するため、
パージ系内圧上昇速度は燃料の蒸発のみによる場合に比
べて大きくなる。
【0007】また、負圧密閉状態での内圧測定の前に行
われる大気圧密閉状態でのパージ系内圧上昇測定では、
パージ系と大気との差圧が小さいため、洩れ、穴などを
通じてパージ系内に侵入する空気量は小さい。このた
め、大気圧密閉状態でのパージ系内圧上昇速度は、ほぼ
燃料の蒸発速度に対応した値となる。
【0008】上記公報の装置では、パージ系の負圧密閉
状態での所定時間内の内圧上昇幅が大気圧密閉状態での
上昇幅(すなわち燃料蒸発速度)に比較してある程度以
上大きい場合には、パージ系に洩れ、穴あき等の異常が
生じたと判定するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
5−125997号公報の故障診断装置ではパージ系の
負圧密閉状態での内圧上昇を測定する前に、必ずパージ
系を大気圧密閉状態にして内圧上昇を測定する必要があ
るため、問題が生じる場合がある。すなわち、パージ系
を密閉するためには、負圧密閉、大気圧密閉を問わずパ
ージ制御弁を閉弁する必要がある。このため、パージ系
を密閉して故障診断を行う間はパージ制御弁を開弁して
キャニスタのパージを行うことができない。
【0010】従って、上記公報の装置のように、故障診
断時に必ずパージ系の大気圧密閉による燃料蒸発速度の
測定と、パージ系の負圧密閉による内圧上昇測定との両
方を実施していたのでは、故障診断のためのパージ中断
時間が長くなり、キャニスタからの蒸発燃料のパージが
不充分になる場合が生じるのである。
【0011】この問題を解決するために、例えば、機関
運転中にまずパージ系の負圧密閉による内圧上昇測定を
行い、測定された内圧上昇が大きかった場合にのみ、そ
の後パージ系の大気圧密閉による燃料蒸発速度の測定を
行うようにすることも可能である。例えば、パージ系の
負圧密閉による内圧の上昇が大きい場合には、実際にパ
ージ系に洩れが生じているために内圧上昇が大きくなっ
た場合と、パージ系には洩れが生じていないが燃料の蒸
発速度が大きいため内圧上昇が大きくなった場合との2
つの場合が考えられる。このため、燃料蒸発速度を実際
に測定して内圧上昇が大きくなったのが洩れによるもの
か燃料蒸発速度によるものかを判断する必要がある。
【0012】しかし、パージ系負圧密閉時の内圧上昇が
小さくなるのは、パージ系に洩れが生じておらず、しか
も燃料の蒸発速度も小さい場合だけであるので、内圧上
昇速度が小さい場合には燃料蒸発速度を測定しなくても
パージ系が正常であると判定することができる。従っ
て、このような場合には燃料蒸発速度の測定を省略して
故障診断のためのパージ中断時間を短縮することができ
る。
【0013】このため、機関運転中に先ずパージ系の負
圧密閉時の内圧上昇測定を行い、内圧上昇が小さい場合
には直ちにパージ系が正常と判断して燃料蒸発速度の測
定を行わず、内圧上昇が大きい場合にのみ内圧上昇測定
終了後にパージ系に大気を導入して圧力を大気圧まで上
昇させてパージ系の大気圧密閉による燃料蒸発速度の測
定を行うようにすれば、実際に燃料蒸発速度の測定が実
施される頻度はかなり低下するようになり、故障判定の
ためのパージ中断時間を短縮できる場合が多くなる。
【0014】ところが、実際に上記のように機関運転中
にまずパージ系の負圧密閉による内圧上昇測定を行い、
次にパージ系を大気圧まで昇圧してから大気圧密閉状態
での内圧上昇を測定することにより燃料蒸発速度を検出
する操作を行うと、タンク内の燃料温度が同一であって
も検出した燃料蒸発速度が大きく異なってしまい正確な
故障診断ができない場合があることが実験の結果判明し
ている。
【0015】本来、燃料タンク内の燃料温度が同一であ
れば燃料蒸発速度はほぼ同じになり、他の条件が変化し
てもあまり大きな変動はないはずである。しかし、実際
には大気圧密閉状態で燃料蒸発速度を測定するためにパ
ージ系を負圧状態から大気圧まで昇圧する速度が異なる
と、その後の大気圧密閉状態で検出した内圧上昇(燃料
蒸発速度)が大幅に異なってくるのである。発明者の検
討の結果、この問題は昇圧後の大気圧密閉状態での温度
変化に起因することが判明している。
【0016】例えば、パージ系で最も大きな空間容積を
有するのは燃料タンク内の液面上部空間であるが、液面
上部空間容積はタンク内燃料残量に応じて大きく変化す
る。このため、キャニスタの大気連通路を開放してパー
ジ系に大気を導入した場合には、燃料残量が少ない場合
にはタンク内圧の上昇速度は比較的小さく、燃料残量が
多い場合には比較的急激にタンク内圧が上昇する。
【0017】また、後述するようにタンク液面上部空間
とキャニスタとを接続するベーパ通路(ブリーザ配管)
には給油時にタンク内圧が上昇すると開弁しベーパ通路
の流路断面積を増大させる給油弁が設けられている。パ
ージ系内圧の大気圧への昇圧を車両走行中に行う場合等
では、例えば車両の旋回などによるタンク内液面変動が
生じるとタンク内圧がわずかに変動する場合があるが、
給油弁がこの内圧変動により開弁した場合には、燃料タ
ンク内には急激に大気が流入してタンク内圧が急激に上
昇する場合が生じる。
【0018】燃料タンク昇圧時には、燃料タンク内の液
面上部空間の気体は流入する大気により圧縮されるが、
上記のように比較的急激なタンク内圧上昇が生じるとタ
ンク内液面上部空間の気体の圧縮は断熱圧縮に近い状態
となり、タンク内温度が上昇する場合がある。この場
合、上昇したタンク内温度は、昇圧が終了するとタンク
壁面を介した外気との熱交換により外気温まで低下す
る。
【0019】このため、タンク内圧が大気圧になったと
きにパージ系を密閉すると、タンク内温度の低下と、そ
れに伴うタンク内燃料蒸気の凝縮によりタンク内圧の上
昇速度が実際の燃料蒸発速度より大幅に小さくなってし
まう場合が生じ、大気圧密閉時にパージ系内の燃料蒸発
速度を正確に測定することができなくなる問題が生じる
のである。
【0020】タンク内圧の上昇速度が緩やかな場合に
は、タンク内上部空間の気体は圧縮の過程で充分に外気
と熱交換をする時間があるため上記のような大気圧密閉
後の温度低下は生じない。従って、パージ系昇圧の際に
徐々に大気を導入して充分に時間をかけて昇圧を行えば
上記問題は解決可能である。
【0021】しかし、実際には昇圧に要する時間が長く
なると故障診断に必要な時間が長くなり、キャニスタの
パージ再開がそれだけ遅れてしまう問題がある。また、
パージ系昇圧の際に流入する大気の量を絞るためにはキ
ャニスタの大気連通路に遮断弁に代えて流量制御弁を設
ける必要があり、装置のコスト上昇を招く問題がある。
また、仮にパージ系昇圧の際に流入する大気の量を制御
するとしても燃料タンク内圧の上昇速度はタンク内燃料
残量や給油弁の動作により大きく変ってくるため必ずし
も常に最適な内圧上昇速度を得ることはできない問題が
ある。
【0022】本発明は上記問題に鑑み、パージ系を負圧
状態で密閉して内圧上昇測定(洩れ検出)を行った後
に、パージ系内圧を大気圧まで昇圧して大気圧密閉状態
での内圧測定(蒸発燃料速度検出)を行う場合に、正確
な故障診断を行うことを可能とするエバポパージシステ
ムの故障診断装置を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキ
ャニスタと、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前
記キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタ
と機関吸気通路とを接続するパージ通路とを備えたエバ
ポパージシステムの、前記燃料タンクとキャニスタとベ
ーパー通路とパージ通路とを含むパージ系の内圧を所定
の負圧に調節した後パージ系を密閉し、負圧密閉状態の
パージ系内圧上昇速度を検出する洩れ検出手段と、前記
洩れ検出手段により検出した前記パージ系内圧上昇速度
が予め定めた基準値より大きい場合に、前記パージ系内
圧を大気圧まで上昇させた後パージ系を密閉し、大気圧
密閉状態のパージ系内圧上昇速度を検出する燃料蒸発速
度検出手段と、前記燃料蒸発速度検出手段により検出し
た前記パージ系内圧上昇速度が予め定めた判定値より小
さい場合にエバポパージシステムに故障が生じたと判定
する異常判定手段と、を備えたエバポパージシステムの
故障診断装置において、更に、前記洩れ検出手段による
パージ系内圧上昇速度検出後、前記燃料蒸発速度検出手
段による大気圧密閉状態のパージ系内圧上昇速度を検出
する際に、パージ系内圧が大気圧まで上昇する途中の所
定の中間負圧になったときにパージ系を密閉し、中間負
圧密閉状態でのパージ系内圧上昇速度を検出するタンク
内温度変化検出手段と、前記タンク内温度変化検出手段
により検出したパージ系内圧上昇速度が予め定めた保留
判定値より小さい場合に、前記燃料蒸発速度検出手段に
よるパージ系内圧上昇速度の検出と異常判定手段による
前記故障判定との実行を禁止する禁止手段と、を備えた
エバポパージシステムの故障診断装置が提供される。
【0024】すなわち、請求項1の発明では、パージ系
の負圧密閉状態での内圧上昇測定(洩れ検出)終了後、
パージ系を大気圧まで昇圧する途中でパージ系内圧が中
間の負圧まで上昇したときにパージ系を密閉して内圧上
昇速度を検出する。この中間負圧での密閉状態でも、燃
料タンク内圧の上昇速度が大きかった場合には密閉後に
タンク内温度が低下するため内圧上昇速度は低下する。
しかし、この状態ではタンク内は負圧になっているため
洩れ、穴等の異常が生じていた場合には洩れを通じて大
気がパージ系に流入する。また、燃料温度が高く燃料蒸
発速度が大きい場合にもタンクの温度低下が少ない場合
には中間負圧密閉時のパージ系内圧上昇速度はある程度
大きくなる。
【0025】すなわち、中間負圧密閉時のパージ系内圧
上昇速度がある程度大きい場合には、相対的に密閉後の
タンク内温度低下による影響は少ないと判断することが
できる。そこで、この場合には、パージ系を大気圧まで
昇圧して密閉し内圧上昇速度(燃料蒸発速度)を検出す
る。すなわち、本発明では中間負圧密閉状態での内圧上
昇速度がある程度以上であった場合には、パージ系の大
気圧密閉下での内圧上昇速度を測定するのであるが、大
気圧密閉下では、仮に洩れ、穴等の異常がある場合にも
系内への大気の流入が生じないため大気圧密閉下での内
圧上昇速度は小さくなる。
【0026】従って、中間負圧密閉状態での内圧上昇速
度がある程度大きかったにもかかわらず大気圧密閉状態
での内圧上昇速度が小さい場合にはタンク内の温度変化
にかかわらず、パージ系に洩れ、穴等の異常が生じてい
ると判定することができる。また、中間負圧密閉状態で
の内圧上昇速度と大気圧密閉状態での内圧上昇速度との
両方が大きい場合には、負圧密閉下での洩れ検出時に内
圧上昇が大きかったのは燃料蒸発速度が大きかったため
である可能性が高いため、異常判定は行わず判定を保留
する。
【0027】更に、中間負圧密閉状態での内圧上昇速度
が小さい場合には、タンク内温度変化によるタンク内圧
力低下がかなり大きいと考えられるため、大気圧密閉状
態での内圧上昇速度を検出しても温度変化の影響により
正確な燃料蒸発速度を検出することはできないと考えら
れる。そこで、この場合には大気圧密閉状態での内圧上
昇速度の検出そのものを中止するとともに、判定を保留
し異常判定がされることがないようにする。これによ
り、誤診断が行われることが防止されるとともに無駄に
大気圧密閉状態での内圧上昇検出が行われて診断時間が
長くなることが防止される。
【0028】請求項2に記載の発明によれば、更に、前
記タンク内温度変化検出手段により検出されたパージ系
内圧上昇速度が負の値であった場合に、エバポパージシ
ステムが正常であると判定する正常判定手段を備えた、
請求項1に記載のエバポパージシステムの故障診断装置
が提供される。
【0029】すなわち、請求項2の発明では中間負圧密
閉状態での内圧上昇速度検出の際に内圧上昇速度が負の
値であった場合、つまり内圧が低下した場合にはエバポ
パージシステムには洩れ、穴等の異常がなく正常である
と判定される。前述したように、中間負圧密閉状態では
パージ系に洩れ、穴等の異常があれば必ずパージ系内圧
は上昇する。このため、中間負圧密閉状態でパージ系内
圧が低下する場合には洩れ、穴等の異常は生じていない
と判断できる。本発明では、中間負圧密閉状態で内圧が
低下している場合にはパージシステムが正常であると判
定するようにしたことにより、パージシステムの正常判
定の機会が増大するとともに、中間負圧密閉状態で正常
判定がなされた場合には大気圧密閉状態での内圧上昇速
度の検出が行われないため故障診断に要する時間を全体
として短縮することが可能となる。
【0030】請求項3に記載の発明によれば、内燃機関
燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタと、前記
燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記キャニスタに接
続するベーパ通路と、前記キャニスタと機関吸気通路と
を接続するパージ通路とを備えたエバポパージシステム
の、前記燃料タンクとキャニスタとベーパー通路とパー
ジ通路とを含むパージ系の内圧を所定の負圧に調節した
後パージ系を密閉し、負圧密閉状態のパージ系内圧上昇
速度を検出する洩れ検出手段と、前記洩れ検出手段によ
り検出した前記パージ系内圧上昇速度が予め定めた基準
値より大きい場合に、前記パージ系内圧を大気圧まで上
昇させた後パージ系を密閉し、大気圧密閉状態のパージ
系内圧上昇速度を検出する燃料蒸発速度検出手段と、前
記燃料蒸発速度検出手段により検出した前記パージ系内
圧上昇速度が予め定めた判定値より小さい場合にエバポ
パージシステムに故障が生じたと判定する異常判定手段
と、を備えたエバポパージシステムの故障診断装置にお
いて、更に、前記洩れ検出手段によるパージ系内圧上昇
速度検出後、前記燃料蒸発速度検出手段による大気圧密
閉状態のパージ系内圧上昇速度を検出するためにパージ
系内圧を大気圧まで上昇させる際に、パージ系内圧上昇
速度が予め定めた上限速度以上である場合に、前記燃料
蒸発速度検出手段によるパージ系内圧上昇速度の検出と
異常判定手段による前記故障判定との実行を禁止する禁
止手段と、を備えたエバポパージシステムの故障診断装
置が提供される。
【0031】すなわち、請求項3の発明では負圧密閉で
の内圧上昇測定(洩れ検出)後、大気圧密閉状態での内
圧上昇測定(燃料蒸発速度検出)を行う際のパージ系昇
圧時にパージ系内圧上昇速度を検出し、この上昇速度が
所定の上限値以上であった場合には燃料蒸発速度検出を
禁止する。前述したように、パージ系を負圧状態から大
気圧まで昇圧する際の圧力上昇速度が大きいと、昇圧時
にタンク内の気体が断熱圧縮されて温度が上昇し大気圧
密閉後に外気温まで温度が低下するため、温度低下の影
響により燃料蒸発速度を正確に検出できない可能性があ
る。このため、本発明では大気圧への昇圧中のパージ系
内圧上昇速度を計測し、この内圧上昇速度が大きい場合
には燃料蒸発速度の検出と異常判定とを中止するように
している。これにより、燃料蒸発速度を正確に検出でき
ない状況下で燃料蒸発速度の検出が行われることが防止
され、誤診断が生じることが防止されるとともに無駄な
燃料蒸発速度検出を実行することによる診断時間の増大
が防止される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明を自動車用燃
料タンクに適用した実施例の概略構成を示す図である。
図1において、100は内燃機関本体、1は内燃機関1
00の吸気通路、3は吸気通路1に配置されたエアクリ
ーナを示す。吸気通路1には運転者のアクセルペダル
(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロットル弁6
が設けられている。
【0033】図1に11で示すのは機関の燃料タンクで
ある。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70によ
り昇圧され、フィード配管71を介して機関100の各
気筒の燃料噴射弁101に圧送される。
【0034】燃料タンク11には、燃料タンク内液面上
部空間の圧力を検出する圧力センサ33が設けられてい
る。タンク11の上部には、後述するキャニスタ10に
タンク11内の燃料油液面上部空間を接続するブリーザ
ー配管13が接続されている。
【0035】ブリーザー配管13とタンク11との接続
部には、それぞれフロート弁からなるCOV(CUT
OFF VALVE)132とROV(ROLL OV
ERVALVE)133とが設けられている。ROV1
33は、給油時の液面上昇により閉弁し、ブリーザ配管
13と燃料タンク11との接続を遮断する。また、RO
V133は、車両転倒時等にブリーザ配管13とタンク
11との接続部を閉鎖し、ブリーザー配管13を介して
大量の燃料油が外部に洩れることを防止する機能を有し
ている。
【0036】COV132はROV133と並列に配置
されており、ROV133より更に液面が上昇したとき
にブリーザ配管13とタンク11との連通を遮断する。
COV132は、給油時の液面上昇時にはROV133
閉弁後も開弁してタンク11とブリーザ配管13とを連
通するが、車両旋回による液面の動揺等によりCOV1
32位置まで液面が到達したような場合、及び車両転倒
時等には閉弁し、燃料油がブリーザー配管13に侵入す
ることを防止する機能を有する。
【0037】図1に10で示すのは燃料タンク内の燃料
ベーパを吸着するキャニスタである。キャニスタ10
は、内部に燃料ベーパを吸着する活性炭等の吸着剤50
を収納し、給油弁131を介してブリーザ配管13に接
続されている。給油弁131は、燃料タンク11内圧が
大気圧よりわずかに高くなると開弁し、ブリーザー配管
13を通してタンク11内の蒸発燃料を含む空気をキャ
ニスタ10に流すようにされている。
【0038】キャニスタ10は、更に、パージ配管14
により吸気通路1と接続されており、パージ配管14と
吸気通路1との接続部にはパージ制御弁15が設けられ
ている。パージ制御弁15はソレノイドアクチュエータ
などの適宜な形式のアクチュエータを備え、後述する電
子制御ユニット(ECU)30からの信号により開弁
し、キャニスタ10と吸気通路1とを連通する。
【0039】また、キャニスタ10は、CCV(CAN
ISTER CLOSURE VALVE)17を介し
て大気連通管18と接続されている。大気連通管はタン
ク11の給油口近傍に開口しており、大気連通管18上
にはエアフィルタ19が設けられている。エアフィルタ
19はパージ実行時に大気連通管18からキャニスタ1
0内に流入する空気中の異物を除去するものである。C
CV17は、ソレノイドアクチュエータなどの適宜な形
式のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号
に応じて大気連通管18とキャニスタ11との連通を遮
断するものである。
【0040】図5は、本実施形態の給油弁131の構造
を模式的に示す図である。本実施形態の給油弁131
は、キャニスタ10側に連通するキャニスタ側通路13
1aと、ブリーザ配管13を介して燃料タンク11に連
通するタンク側通路131bと、キャニスタ側通路13
1aの開口を閉鎖するダイヤフラム弁131cとを有し
ている。ダイヤフラム弁131cの一方の側には背圧室
131dが形成されており、背圧室131d内圧はダイ
ヤフラム弁131cをキャニスタ側通路131aの開口
を閉鎖する方向に押圧している。
【0041】また、背圧室131d内にはダイヤフラム
弁131をキャニスタ側通路131aの開口を閉鎖する
方向に付勢するスプリング131eが設けられている。
ダイヤフラム弁131cの背圧室131dの反対側の面
には、ブリーザ配管13を通じて燃料タンク内圧が作用
している。更に、キャニスタ側通路131aとタンク側
通路131bとを隔てる隔壁には小径の連通孔131f
が開口している。
【0042】機関停止中等のように吸気通路1にパージ
ガスを供給できない状態では、パージ制御弁15は閉弁
され、キャニスタ10のCCV17は開弁状態に保持さ
れる。この場合には、キャニスタ10はCCV17によ
り大気に連通しており、キャニスタ10内圧は大気圧と
なる。この状態では、燃料タンク内圧の変動は主に外気
温の変化によるタンク内燃料の蒸気圧の変化によるもの
となるため、タンク内圧の変動は比較的緩やかなものと
なる。また、給油弁131のキャニスタ側通路131a
とタンク側通路131bとは小径の連通孔131fによ
り連通しているため、燃料タンク内圧は略大気圧に保た
れる。
【0043】次に、この状態で給油が行われると燃料タ
ンク内の液面上昇により燃料タンク11の液面上部空間
の圧力が上昇する。燃料タンク11内圧が給油弁131
の背圧室131d内圧(大気圧)より一定値以上高くな
ると、ダイヤフラム131cはタンク11内圧に押され
スプリング131eの付勢力に抗して背圧室131d側
に変位する。これにより、給油弁131のキャニスタ側
通路131aの開口が解放され、キャニスタ側通路13
1aとタンク側通路131bとが連通する。
【0044】これにより、燃料タンク11の液面上部空
間からブリーザ配管13を介して燃料蒸気と空気との混
合気がキャニスタ10内に流入し、キャニスタ10内の
吸着剤50を通過してCCV17から大気連通管18に
流入する。混合気中の燃料ベーパは吸着剤50を通過時
に吸着剤に吸着されるため、大気連通管18からはキャ
ニスタ10内の吸着剤50により燃料蒸気を除去された
後の空気のみが放出されるようになる。従って、給油時
の燃料ベーパの大気放出が防止されるとともに、燃料タ
ンク11内圧が上昇して給油が困難になることが防止さ
れる。
【0045】吸着剤50に吸着された燃料ベーパ量が増
大すると吸着剤50が燃料ベーパで飽和してしまい、そ
れ以上蒸発を吸着できなくなるため、本実施形態では機
関運転中にパージを行い吸着剤50から吸着した燃料ベ
ーパを脱離(パージ)させる。キャニスタ10のパージ
は、機関100の運転中にCCV17とパージ制御弁1
5との両方を開弁し、空気をキャニスタ10内に導入す
ることにより行う。すなわち、通常の機関では機関運転
中、吸気通路1のスロットル弁6下流側には負圧が発生
しているため、機関運転中にパージ制御弁15を開弁す
るとキャニスタ10内にはパージ配管14を介して吸気
通路1の負圧が作用し、キャニスタ内圧は大気圧より低
くなる。
【0046】このため、パージ制御弁15が開弁する
と、CCV17を介して、大気連通管18からフィルタ
19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ1
0内に流入する。この空気はキャニスタ10内の吸着剤
50を通過時に燃料ベーパを吸着剤から離脱させ、燃料
ベーパと空気との混合ガス(パージガス)となってパー
ジ配管14からパージ制御弁15を通って機関吸気通路
1に流入する。これにより、パージガスは吸着剤50か
らパージされて機関燃焼室で燃焼し、吸着剤50が燃料
ベーパで飽和することが防止される。
【0047】図1に30で示すのは、機関の電子制御ユ
ニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リー
ドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポート
を互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロ
コンピュータからなり、機関運転中にパージ制御弁15
とCCV17を制御して前述したキャニスタ10のパー
ジを行う。また、本実施形態ではECU30は機関運転
中にパージ制御弁15とCCV17との開閉操作によ
り、パージ系を負圧状態で密閉し、内圧変化に基づいて
洩れ、穴等の異常の有無を判断する故障診断操作を行
う。
【0048】上記制御のため、ECU30の出力ポート
は図示しない駆動回路を介してパージ制御弁15のアク
チュエータとCCV17のアクチュエータとにそれぞれ
接続され、これらの弁の作動を制御している。また、E
CU30の入力ポートには、機関の回転数、機関吸入空
気量、機関冷却水温度等を表す信号が、それぞれ図示し
ないセンサから入力されている他、圧力センサ33から
燃料タンク11内圧を表す信号が入力されている。
【0049】次に、本発明のエバポパージシステムの故
障診断操作について説明する。本発明では機関運転開始
後に所定のパージ実行条件が成立してパージが実行され
ているときに、パージ系を負圧密閉状態にして内圧上昇
速度を測定する。パージ実行中は、パージ制御弁15が
開弁し、パージ通路14を介してキャニスタ10には吸
気通路1の負圧が作用している。しかし、CCV17が
開弁しているためキャニスタ10内は大気連通管18を
介して大気に連通しており、キャニスタ10内の圧力は
吸気通路圧力とパージ制御弁15開度により定まる圧力
に維持されている。この状態で、CCV17を閉弁する
と、大気連通管18からの空気の流入が停止し、キャニ
スタ10内の圧力は低下する。
【0050】また、キャニスタ内の負圧は給油弁131
の連通穴131fを通じてブリーザ配管13と燃料タン
ク11とに導入されるため、給油弁131を介してキャ
ニスタ10と連通する燃料タンク11、ブリーザ配管1
3等のパージ系内圧が低下する。そして、パージ系内圧
力が充分に低下したところで、パージ制御弁15を閉弁
すると、パージ系は負圧状態で密閉される。パージ系が
密閉されると、燃料タンク11内の燃料の蒸発によりパ
ージ系内圧は上昇を開始する。本発明では、上記のよう
にパージ系を負圧密閉状態に維持した状態でパージ系内
圧が圧力上昇により所定の負圧(例えば745mmHg
程度の圧力)に到達した後所定の時間(例えば5秒程
度)内のパージ系内圧上昇幅(すなわち内圧上昇速度)
を測定する。
【0051】この状態でのパージ系内圧上昇速度は、パ
ージ系に洩れや穴あきがなければ燃料タンク11内の燃
料の蒸発のみによるものとなるため、比較的緩やかなも
のとなるが、仮にパージ系に洩れや穴あきが生じていた
場合には、洩れ部分を通じて外部から空気が系内に侵入
するため圧力上昇速度は燃料の蒸発のみによる場合に較
べて大きくなる。従って、負圧密閉時のパージ系内圧上
昇測定(以下の説明では「洩れ検出」という)で測定さ
れた内圧上昇速度が大きい場合には、パージ系に洩れ等
の異常が生じている場合がある。
【0052】しかし、洩れ検出時のパージ系内圧上昇速
度は、パージ系に洩れがなくても洩れ検出中の燃料蒸発
速度が大きい場合には大きくなる。このため、単に洩れ
検出時の内圧上昇速度が大きかっただけでは、洩れによ
り内圧上昇速度が大きくなったのか、燃料蒸発速度が大
きいために内圧上昇速度が大きくなったのか判別するこ
とはできない。
【0053】そこで、本実施形態では洩れ検出時の内圧
上昇速度が所定値より大きい場合には、洩れ検出終了後
にパージ制御弁15を閉弁保持したままでCCV17を
開弁して大気を導入し、パージ系内圧を大気圧近傍まで
上昇させる。そして、パージ系内圧が大気圧近傍まで上
昇したことを圧力センサ33で検出すると、CCV17
を閉弁してパージ系内を大気圧に保持したまま密閉す
る。この大気圧密閉状態では、仮にパージ系に洩れが生
じていてもパージ系内圧と大気との差圧が小さいため大
気はパージ系内に侵入しない。
【0054】このため、この大気圧密閉状態で生じるパ
ージ系内圧上昇は燃料タンク11内の燃料の蒸発によっ
てのみ生じるようになる。従って、パージ系を大気圧密
閉状態にして所定時間内(例えば15秒間程度)におけ
るパージ系内圧の上昇幅を燃料タンク11の圧力センサ
ー33で検出することにより、燃料蒸発速度を測定する
ことができる。
【0055】本実施形態では、燃料蒸発速度の測定を行
うのは洩れ検出操作において内圧上昇が所定値以上であ
った場合のみである。このため、燃料蒸発速度が小さい
場合には、洩れ検出操作時の内圧上昇は実際にパージ系
に洩れが生じていたためと判定することができる。ま
た、燃料蒸発速度が大きい場合には洩れ検出時のパージ
系内圧上昇は、燃料蒸発速度が大きいために生じた可能
性があるため、必ずしもパージ系に洩れが生じていると
判定することはできないため、洩れの有無の判定を保留
して異常診断を中止する。
【0056】ところが、実際には洩れ検出が完了した後
にパージ系内圧を大気圧まで上昇させて圧力センサ33
で燃料タンク内圧上昇速度を測定すると燃料蒸発速度が
大きいはずの条件下でも内圧上昇速度が小さくなる場合
がある。このように、実際よりも燃料蒸発速度が小さく
検出されると、本来は燃料蒸発速度が大きいために判定
を保留すべき場合までパージ系に異常が生じたと判定さ
れてしまい、誤診断が生じる場合がある。
【0057】この問題は、負圧から大気圧までの昇圧の
際の燃料タンク内圧の上昇速度が大きい場合に生じるこ
とが判明している。本来、パージ系を大気圧まで昇圧す
る場合にはCCV17から導入された大気は、給油弁1
31の小径の連通穴131fを介して燃料タンク11内
に導入されるため、燃料タンク内の圧力上昇速度は比較
的小さくなる。しかし、実際にはタンク内の燃料残量が
多くタンク内の液面上部空間容積が小さくなっているよ
うな場合には、連通穴131fを通じて燃料タンク11
内に流入する大気によっても比較的急激に燃料タンク内
温度が上昇する場合がある。
【0058】また、給油弁131は比較的わずかな差圧
(例えば約50Pa(5mmAq程度))で開弁するよ
うにされている。このため、車両走行時に故障診断を実
施したような場合には車両の旋回による液面動揺により
生じた燃料タンク内圧力変動が上記差圧を越えると給油
弁131が開弁してしまう場合がある。給油弁131が
開弁すると燃料タンク11とキャニスタ10とは連通穴
131fよりはるかに大きい流路面積で連通するため、
燃料タンク11内には急激に大気が流入し圧力上昇速度
が大きくなる。
【0059】このように、燃料タンク内圧力上昇速度が
大きくなるとタンク内液面上部空間の気体が急激に圧縮
され、圧縮熱が外部に放散されないまま圧力が上昇する
断熱圧縮に近い圧縮状態となる。このため、大気圧まで
昇圧した後のタンク内温度は外気温より高くなる。この
状態でパージ系を密閉するとタンク内液面上部空間の気
体温度はタンク壁面を介した外気との熱交換により外気
温まで降下することになり、タンク内液面上部空間の気
体に含まれる燃料蒸気の一部が凝縮するようになる。こ
のため、密閉状態で燃料タンク内温度が低下するとパー
ジ系圧力は低下することになる。
【0060】従って、昇圧時の燃料タンク内圧上昇速度
が大きいと、燃料蒸発速度が比較的大きい場合であって
も大気圧密閉状態で検出した燃料蒸発速度(内圧上昇速
度)が比較的小さくなり、本来異常判定すべきでない場
合にも異常判定がなされる場合が生じるのである。本実
施形態では、以下に説明する方法で上記内圧上昇速度の
影響による誤診断を防止している。
【0061】(1)第1の実施形態 本実施形態では、負圧密閉状態での洩れ検出終了後に大
気圧密閉状態での燃料蒸発速度検出を行う際に、負圧密
閉状態から大気圧までパージ系内圧を一挙に上昇させず
に、パージ系内圧が大気圧に到達する前の洩れ検出終了
時と大気圧との中間負圧状態でCCV17を閉弁してパ
ージ系を密閉し、この中間負圧密閉状態でのパージ系内
圧変化を計測する。中間負圧状態では、仮にパージ系に
洩れ、穴等があった場合、及び燃料蒸発速度が大きい場
合には系内圧力は上昇する。一方、中間負圧密閉状態に
おいても、洩れ検出時の負圧からの圧力上昇速度が大き
いと圧縮による昇温後の温度低下が生じるため密閉状態
では圧力が低下する。しかし、圧力上昇速度が比較的小
さく昇温後の温度低下が小さくなっている場合、あるい
は洩れ、穴等や燃料蒸発速度が大きい場合には昇温後の
温度低下の影響は相対的に小さくなり、中間負圧密閉状
態におけるパージ系内圧上昇速度は比較的大きくなる。
【0062】本実施形態では、このように中間負圧密閉
状態でのパージ系内圧上昇速度が比較的大きい場合(す
なわち、タンク内温度変化の影響が小さい場合)には、
再度CCV17を開弁してパージ系内圧を大気圧まで昇
圧し、その後大気圧密閉状態で燃料蒸発速度検出を行
う。この場合、タンク内温度変化の影響が小さいため燃
料蒸発速度が大きい場合にはパージ系内圧上昇も大きく
なり、洩れ、穴等がある場合にはパージ系内圧上昇が小
さくなるため、内圧上昇結果に基づいてパージ系の異常
の有無を判定しても誤診断が生じることがない。
【0063】一方、中間負圧密閉下での内圧上昇速度が
小さい場合には、逆にタンク内温度変化の影響が大きい
と考えられる。この場合には、引続きパージ系を大気圧
まで昇圧して燃料蒸発速度を検出してもタンク内温度変
化の影響により正確な検出を行うことができないことが
判っている。このため、本実施形態では中間負圧密閉下
でのパージ系内圧上昇速度が小さい場合には、直ちに診
断操作を中止して判定を保留する。これにより、誤診断
が生じることが防止されるとともに、正確に検出できな
い場合にまで燃料蒸発速度検出を行うことが排除され、
無駄に診断時間が延長されることが防止される。
【0064】図2は、本実施形態の上記診断操作を説明
するフローチャートである。本操作はECU30により
一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。図2
の操作では、先ずステップ201で異常診断操作の実行
条件が成立しているか否かを判定する。ステップ201
で判断する異常検出操作実行条件は、a.機関始動後エ
バポパージシステムの故障診断がまだ完了していないこ
と、b.現在パージ実行中であること(パージ制御弁1
5が開弁していること)、c.大気圧が所定値以上であ
ること、d.燃料タンク内の圧力変動が所定値以下であ
ること(例えば、坂道走行、旋回、悪路走行などにより
タンク内の液面が大きくゆれていないこと)などであ
る。
【0065】上記条件a.は、本故障診断操作はパージ
の中断を伴なうため、既に完了しているにもかかわらず
故障診断を繰り返してパージ中断期間が長くなることを
防止するためであり、上記条件b.は、本故障診断操作
はパージ制御弁15を開弁してパージ系内に負圧を導入
する必要があり、故障診断時にはキャニスタ内の蒸発燃
料が吸気通路に流入するため、パージを実行していない
ときに本故障診断を行うと機関運転状態に影響が生じる
場合があるからである。また、上記条件c.及びd.は
測定結果にノイズが混入することを防止して信頼性の高
い故障診断を行うための条件である。
【0066】ステップ201の条件が全て成立した場合
には、次にステップ203で既に洩れ検出操作が完了し
ているか否か、すなわち負圧密閉状態でのパージ系内圧
上昇速度ΔPLの測定(洩れ検出)が完了しているか否
か、を判定する。ステップ203で既にΔPLの測定が
完了している場合には、直接ステップ207の異常仮判
定操作に進み、完了していない場合にはステップ207
を実行する前にステップ205で内圧上昇幅ΔPLの測
定が実行される。ステップ205では、パージを実行し
たまま(すなわち、パージ制御弁15を開弁したまま)
でCCV17を閉弁する。これにより、パージ系内に吸
気通路1内の負圧が導入され、キャニスタ10、燃料タ
ンク11などのパージ系内の圧力が低下する。
【0067】本実施形態では、パージ系に負圧を導入し
て圧力センサ33で検出した燃料タンク内圧が第一の所
定圧力(例えば、740mmHg)まで低下したときに
パージ制御弁15を閉弁する。これにより、パージ系は
負圧状態で密閉される。パージ系が密閉されると、パー
ジ系内圧は燃料タンク11内の燃料の蒸発により上昇を
開始する。パージ系に洩れがない場合には、この圧力上
昇は燃料タンク11内の燃料の蒸発のみにより生じるた
め、圧力上昇速度は比較的緩やかであり、充分に時間が
経過した後には、燃料の飽和蒸気圧により定まる値に到
達する。一方、パージ系に洩れがある場合には、系外か
ら洩れを通じて侵入する空気によりパージ系内圧力は比
較的急速に上昇し、充分に時間が経過した後は大気圧近
傍の圧力になる。
【0068】本実施形態では、パージ制御弁15を閉弁
してパージ系を負圧密閉した後、系内圧力が第2の所定
圧力(例えば745mmHg)に到達した時から計時を
開始して、その後所定時間内(例えば5秒程度)に圧力
センサ33で検出した圧力上昇幅をΔPLとして採用す
る。従って、測定されたΔPLの値は系内の圧力上昇速
度を表す。
【0069】上記により、洩れ検出操作を完了した後、
ステップ207ではパージ系の異常の有無の仮判定が行
われる。ステップ207の仮判定では、洩れ検出操作で
測定された圧力上昇速度ΔPLが判定値ΔPL0以下か
否かが判定される。ここで、ΔPL≦ΔPL0の場合に
は、系内の圧力上昇は小さく、燃料蒸発速度にかかわら
ずパージ系の洩れが生じていないと判断できるため、ス
テップ209に進み、パージ系は正常であるとの正常判
定がなされる。なお、正常判定がなされると、パージ制
御弁15とCCV17とは直ちに開弁されてキャニスタ
10のパージが再開される。
【0070】一方、ステップ207でΔPL>ΔPL0
であった場合には、洩れ検出時の内圧上昇が大きく、実
際に洩れが生じている可能性があるため燃料蒸発速度の
大きさを判定する必要がある。しかし、前述したように
洩れ検出終了後燃料蒸発速度検出のためにパージ系を昇
圧する際に、圧力上昇速度が大きいと正確に燃料蒸発速
度を検出することができない問題がある。そこで、本実
施形態では、燃料蒸発速度検出を行う前に、前述した中
間負圧密閉状態での内圧上昇測定(タンク温度変化検
出)を行う。
【0071】すなわち、ステップ207でΔPL>ΔP
0であった場合には、ステップ211に進み、既に中
間負圧密閉状態におけるパージ系内圧上昇速度ΔPTの
計測(タンク温度変化検出)がが完了しているか否かを
判定し、完了している場合には直接ステップ215に進
む。また、ΔPTの測定が完了していない場合にはステ
ップ213に進み、ΔPTの測定を実施する。
【0072】ステップ213のΔPT測定では、まずパ
ージ制御弁15を閉弁したままでCCV17を開弁し、
パージ系に大気を導入する。そして、圧力センサ33で
検出した燃料タンク内圧が、洩れ検出操作終了時のパー
ジ系内圧力と大気圧との中間の所定の圧力まで上昇した
ときにCCV17を閉弁し、この中間の圧力(負圧)で
パージ系を密閉する。この中間の圧力は比較的大気圧に
近い圧力(例えば755mmHg程度の圧力)とされ
る。
【0073】本実施形態では、上記所定の中間圧力でパ
ージ系を密閉後、この状態でのパージ系の所定時間(例
えば10秒程度の時間)内の内圧上昇幅ΔPTを測定す
る。前述のように、この内圧上昇幅(上昇速度)ΔPT
は、昇圧後の密閉状態における燃料タンク内温度変化の
影響を示す値になる。
【0074】上記により内圧上昇速度ΔPT検出後、ス
テップ215では、検出した内圧上昇速度ΔPTが予め
定めた保留判定値ΔPT0より大きいか否かが判定され
る。ΔPT0の値は、数mmHg程度に設定されてい
る。前述したように、ΔPT<ΔPT0であった場合に
は、タンク内温度変化の影響が大きいため、この状態で
燃料蒸発速度を検出しても正確な検出値を得ることはで
きない。そこで、この場合には、ステップ223に進み
正常、異常の判定を保留し直ちに故障診断操作を終了す
る。なお、この場合もパージ制御弁15とCCV17と
は直ちに開弁されてキャニスタ10のパージが再開され
る。
【0075】ステップ215でΔPT≧ΔPT0であっ
た場合には、次にステップ217に進み燃料蒸発速度Δ
PVの検出が完了しているか否かを判定し、完了してい
る場合には直接ステップ221に、また、完了していな
い場合にはステップ219でΔPVの測定を行ってから
ステップ219に進む。
【0076】ステップ219の燃料蒸発速度測定では、
CCV17を開弁しパージ系に大気を導入し、圧力セン
サ33で検出した燃料タンク内圧力が大気圧に復帰した
ときにCCV17を閉弁してパージ系を大気圧で密閉す
る。そして、この状態で所定時間(15秒程度)の間の
パージ系内圧上昇幅ΔPVを圧力センサ33で測定す
る。このΔPVの値は燃料蒸発速度ΔPVに対応した値
となる。
【0077】ステップ221では上記により計測したΔ
PVを所定の判定値ΔPV0と比較し、ΔPV≧ΔPV0
であった場合には、洩れ検出時にパージ系内圧上昇速度
が大きかったのは燃料蒸発速度が多かったためであると
判断する。従って、ステップ221でΔPV≧ΔPV0
であった場合には、ステップ223に進み判定を保留し
て異常診断を終了する。
【0078】また、ステップ221でΔPV<ΔPV0
であった場合には、燃料蒸発速度は小さく、ステップ2
07でΔPL>ΔPL0であったのはパージ系に洩れが
生じているためであると判定できる。従って、この場合
にはステップ225に進み、パージ系に異常が生じてい
るとして異常判定を行い診断操作を終了する。
【0079】なお、ステップ225で異常判定がなされ
ると、ECU30により別途実行される操作により車両
運転席近傍に配置した警告灯が点灯され、運転者にパー
ジ系の異常が報知される。上述のように、本実施形態で
はステップ209で正常判定がなされた場合には燃料蒸
発速度の測定を行うことなく直ちにパージが再開され
る。また、ステップ209で正常判定がなされなかった
場合にも、中間負圧状態でのタンク内温度変化が大きい
場合(ステップ215)には判定が保留され、直ちにパ
ージが再開される。このため、燃料蒸発速度測定(ステ
ップ219)が実行される頻度は極めて低くなり、全体
としてパージ中断時間を短縮することができるととも
に、タンク内温度変化が大きい場合に誤って異常判定が
行われることが防止される。
【0080】(2)第2の実施形態 次に本発明の第2の実施形態について説明する。上記第
1の実施形態では、中間負圧密閉時に計測したパージ系
内圧上昇速度ΔPTが保留判定値ΔPT0より小さい場
合には正常、異常の判定を保留して直ちに故障診断を中
止していた。しかし、中間負圧密閉時にパージ系内圧上
昇速度ΔPTが負の値になった場合について考えると、
この場合には判定を保留する必要はない。この場合に
は、当然に中間負圧密閉時にタンク内温度低下が生じて
いるために内圧が低下するのであるが、パージ系は負圧
状態で密閉されているのであるから、仮にパージ系に洩
れ、穴などの異常が生じていたとすればパージ系に洩
れ、穴を通じて大気が流入するため、内圧が更に低下す
ることは有り得ないはずである。
【0081】すなわち、中間負圧密閉時にタンク内温度
低下によりパージ系内圧が低下している場合にはむし
ろ、パージ系に洩れ、穴等の異常が生じていないことを
示していると言える。従って、この場合には判定を保留
するより積極的にパージ系が正常であるとの判定をすべ
きである。
【0082】そこで、本実施形態では中間負圧密閉時の
パージ系内圧が低下している場合、すなわちパージ系内
圧上昇速度ΔPTが負の値になっている場合には、パー
ジ系に洩れ、穴等の異常が生じていないとする正常判定
をするようにしている。これにより、上記第1の実施形
態と同様に誤診断の機会を低減しつつ診断時間を全体と
して短縮することができるとともに、更にパージ系の故
障診断において正常判定をすることができる機会が増大
するようになる。
【0083】図3は、本実施形態の故障診断操作を説明
するフローチャートである。図3の操作は、ECU30
により一定時間毎に行われるルーチンとして実行され
る。図3の操作は、図2の操作にステップ314が付加
されている点のみが相違しており、他の各ステップの操
作は図2の操作と同様である。
【0084】すなわち、本実施形態においても、ステッ
プ301で診断実行条件が成立した場合にはステップ3
03から307で負圧密閉下での洩れ検出を行い、内圧
上昇速度ΔPLが判定値ΔPL0より小さい場合には正
常判定をする。そして、ステップ307で正常判定でき
なかった場合にはステップ311から313で中間負圧
密閉状態における内圧上昇速度ΔPTを検出する。
【0085】しかし、本実施形態ではΔPT検出後、次
にステップ314で、検出したΔPTが負であるか否
か、すなわちパージ系内圧が低下しているか否かを判定
し、ΔPT<0であった場合にはステップ315以下を
実行することなくステップ309に進んで正常判定をす
る点が図2の操作と相違している。また、ステップ31
4で正常判定できなかった場合、すなわちΔPT≧0で
あった場合には、ステップ315から325の操作を実
行する。ステップ315から325の操作は、図2ステ
ップ215から225の操作と同一である。
【0086】すなわち、本実施形態においてもステップ
314でΔPT<0であった場合には、次にΔPTが保
留判定値ΔPT0より小さい場合にはステップ323で
判定を保留し、ΔPT≧ΔPT0の場合にのみステップ
317から321で大気圧密閉状態での燃料蒸発速度Δ
PVの測定を行い、このΔPVの値に基づいて保留判定
(ステップ323)または異常判定(ステップ325)
を行う。
【0087】これにより、図2の操作に加えて誤診断の
行われることを防止しつつ更に正常判定が行われる機会
を増大させることが可能となる。
【0088】(3)第3の実施形態 次に本発明の第3の実施形態について説明する。前述の
各実施形態ではパージ系の負圧密閉状態で洩れ検出実施
後、パージ系内圧を大気圧まで昇圧して燃料蒸発速度を
測定する前に一旦中間負圧でパージ系を密閉してタンク
内温度変化の影響を判定していた。しかし、一旦中間負
圧でパージ系を密閉保持すると診断に要する時間がそれ
だけ長くなり、パージ中断期間が長引く問題がある。
【0089】一方、大気圧昇圧後のタンク内温度変化は
昇圧中の圧力上昇速度が大きいほど大きくなる。このた
め、大気圧昇圧中の燃料タンク内圧力上昇速度を検出す
れば昇圧後のタンク内温度変化の大きさを予測すること
ができる。そこで、本実施形態では洩れ検出終了後パー
ジ系内圧を大気圧まで昇圧する際の燃料タンク内圧力上
昇速度を直接検出し、上昇速度が予め定めた上限速度以
上になっている場合には直ちに故障診断操作を中止して
正常、異常の判定を保留するようにしている。これによ
り、判断を保留すべきか燃料蒸発速度検出を引続き行う
べきかの判定が洩れ検出終了後早い段階でなされるた
め、全体として診断時間を短縮することが可能となる。
【0090】図4は、本実施形態の故障診断操作を説明
するフローチャートである。図4の操作は、ECU30
により一定時間毎に行われるルーチンとして実行され
る。図4の操作は、図2の操作のステップ211から2
15に代えてステップ411から415の操作を行う点
のみが図2と相違し、他の各ステップの操作は図2の操
作と同様である。
【0091】すなわち、本実施形態においても、ステッ
プ401から407では負圧密閉下での洩れ検出により
検出された内圧上昇速度ΔPLが判定値ΔPL0より小
さい否かを判断し、ΔPL≦ΔPL0である場合には正
常判定をする。また、本実施形態においても、ステップ
407で正常判定できなかった場合には大気圧密閉状態
での燃料蒸発速度検出(ステップ417から419)を
行うために、CCV17を開弁して系内を昇圧するが、
系内圧力が大気圧まで上昇する間に圧力センサ33を用
いて燃料タンク内圧の昇圧速度ΔPAを検出する。
【0092】すなわち、図4ステップ407でΔPL>
ΔPL0であった場合には、ステップ411で大気圧昇
圧中の圧力上昇速度ΔPAの測定が完了したか否かを判
定し、完了している場合には直接ステップ415に進
み、完了していない場合にはステップ413で、パージ
制御弁15を閉弁したままCCV17を開弁しパージ系
に大気を導入する。これにより、燃料タンク内圧力も上
昇するが、ステップ413ではこの圧力上昇途中の所定
期間(例えば2秒程度)における圧力上昇幅(上昇速
度)ΔPAを圧力センサ33で検出する。
【0093】そして、ΔPAの検出が完了した場合に
は、次にステップ415で、検出した圧力上昇速度ΔP
Aが所定の上限値ΔPA0以下か否かを判定する。ステ
ップ415でΔPA>ΔPA0であった場合には、すな
わち大気圧昇圧中の燃料タンク内圧力上昇速度が大きい
ため、昇圧後大気圧でパージ系を密閉すると燃料タンク
内温度変化が大きくなり正確な燃料蒸発速度の検出を行
うことができない。そこで、この場合にはステップ42
3に進み正常、異常の判定を保留して直ちに故障診断を
中止する。
【0094】なお、上記上限値ΔPA0は燃料タンクを
大気圧まで昇圧して密閉した後に、タンク内温度低下に
より生じるタンク内圧低下が許容できる範囲内になる昇
圧速度であるが、実際にはタンク形状、容積等によって
も異なってくるため詳細には実験に基づいて設定するこ
とが好ましい。
【0095】一方、ステップ415でΔPA≦ΔPA0
であった場合には、昇圧中の燃料タンク内圧上昇速度は
比較的小さく、昇圧後の燃料タンク内温度変化は燃料蒸
発速度の検出に影響を与えるほど大きくない。従って、
この場合には、図2の操作と同様ステップ417から4
21でパージ系を大気圧密閉状態に保持して燃料蒸発速
度ΔPVを検出し、このΔPVの値に基づいて異常判定
(ステップ425)または保留判定(ステップ423)
を行う。
【0096】上述のように、本実施形態では燃料蒸発速
度検出のために昇圧中の燃料タンク内圧上昇速度に基づ
いて昇圧後の燃料タンク内温度変化の影響を判断するた
め、診断を保留すべきか否かの判定を早期に行うことが
でき、全体として故障診断の所要時間を短縮することが
可能となっている。
【0097】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、パージ
系を負圧状態で密閉して内圧上昇測定(洩れ検出)を行
った後に、パージ系内圧を大気圧まで昇圧して大気圧密
閉状態での内圧測定(蒸発燃料速度検出)を行う場合
に、燃料タンク内温度変化による影響を排除して正確な
故障診断を行うことを可能とする共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関のエバポパージシス
テムに適用した実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明のエバポパージシステム故障診断操作の
一実施形態を説明するフローチャートである。
【図3】エバポパージシステム故障診断操作の図2とは
別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】エバポパージシステム故障診断操作の図2、図
3とは別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図5】給油弁の概略構成の一例を説明する図である。
【符号の説明】
1…吸気通路 10…キャニスタ 11…燃料タンク 15…パージ制御弁 17…CCV 30…電子制御ユニット(ECU) 33…圧力センサ 100…内燃機関本体 131…給油弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 敏弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 2G087 AA27 BB25 CC31 EE21 FF23 3G044 BA22 DA02 EA32 EA40 EA53 EA55 FA04 FA38 GA02 GA03 GA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着
    するキャニスタと、前記燃料タンク内の燃料液面上部空
    間を前記キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャ
    ニスタと機関吸気通路とを接続するパージ通路とを備え
    たエバポパージシステムの、前記燃料タンクとキャニス
    タとベーパー通路とパージ通路とを含むパージ系の内圧
    を所定の負圧に調節した後パージ系を密閉し、負圧密閉
    状態のパージ系内圧上昇速度を検出する洩れ検出手段
    と、 前記洩れ検出手段により検出した前記パージ系内圧上昇
    速度が予め定めた基準値より大きい場合に、前記パージ
    系内圧を大気圧まで上昇させた後パージ系を密閉し、大
    気圧密閉状態のパージ系内圧上昇速度を検出する燃料蒸
    発速度検出手段と、 前記燃料蒸発速度検出手段により検出した前記パージ系
    内圧上昇速度が予め定めた判定値より小さい場合にエバ
    ポパージシステムに故障が生じたと判定する異常判定手
    段と、を備えたエバポパージシステムの故障診断装置に
    おいて、 更に、前記洩れ検出手段によるパージ系内圧上昇速度検
    出後、前記燃料蒸発速度検出手段による大気圧密閉状態
    のパージ系内圧上昇速度を検出する際に、パージ系内圧
    が大気圧まで上昇する途中の所定の中間負圧になったと
    きにパージ系を密閉し、中間負圧密閉状態でのパージ系
    内圧上昇速度を検出するタンク内温度変化検出手段と、 前記タンク内温度変化検出手段により検出したパージ系
    内圧上昇速度が予め定めた保留判定値より小さい場合
    に、前記燃料蒸発速度検出手段によるパージ系内圧上昇
    速度の検出と異常判定手段による前記故障判定との実行
    を禁止する禁止手段と、を備えたエバポパージシステム
    の故障診断装置。
  2. 【請求項2】 更に、前記タンク内温度変化検出手段に
    より検出されたパージ系内圧上昇速度が負の値であった
    場合に、エバポパージシステムが正常であると判定する
    正常判定手段を備えた、請求項1に記載のエバポパージ
    システムの故障診断装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着
    するキャニスタと、前記燃料タンク内の燃料液面上部空
    間を前記キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャ
    ニスタと機関吸気通路とを接続するパージ通路とを備え
    たエバポパージシステムの、前記燃料タンクとキャニス
    タとベーパー通路とパージ通路とを含むパージ系の内圧
    を所定の負圧に調節した後パージ系を密閉し、負圧密閉
    状態のパージ系内圧上昇速度を検出する洩れ検出手段
    と、 前記洩れ検出手段により検出した前記パージ系内圧上昇
    速度が予め定めた基準値より大きい場合に、前記パージ
    系内圧を大気圧まで上昇させた後パージ系を密閉し、大
    気圧密閉状態のパージ系内圧上昇速度を検出する燃料蒸
    発速度検出手段と、 前記燃料蒸発速度検出手段により検出した前記パージ系
    内圧上昇速度が予め定めた判定値より小さい場合にエバ
    ポパージシステムに故障が生じたと判定する異常判定手
    段と、を備えたエバポパージシステムの故障診断装置に
    おいて、 更に、前記洩れ検出手段によるパージ系内圧上昇速度検
    出後、前記燃料蒸発速度検出手段による大気圧密閉状態
    のパージ系内圧上昇速度を検出するためにパージ系内圧
    を大気圧まで上昇させる際に、パージ系内圧上昇速度が
    予め定めた上限速度以上である場合に、前記燃料蒸発速
    度検出手段によるパージ系内圧上昇速度の検出と異常判
    定手段による前記故障判定との実行を禁止する禁止手段
    と、を備えたエバポパージシステムの故障診断装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105043776A (zh) * 2015-08-12 2015-11-11 中国人民解放军空军勤务学院 一种飞机发动机性能监控与故障诊断方法
CN111779587A (zh) * 2019-04-04 2020-10-16 现代自动车株式会社 双净化系统的故障诊断方法和系统

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