JP2003097362A - エバポパージシステムの故障診断装置 - Google Patents

エバポパージシステムの故障診断装置

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JP2003097362A
JP2003097362A JP2001286909A JP2001286909A JP2003097362A JP 2003097362 A JP2003097362 A JP 2003097362A JP 2001286909 A JP2001286909 A JP 2001286909A JP 2001286909 A JP2001286909 A JP 2001286909A JP 2003097362 A JP2003097362 A JP 2003097362A
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pressure
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fuel tank
canister
internal pressure
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JP2001286909A
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Naoya Takagi
直也 高木
衛 ▲吉▼岡
Mamoru Yoshioka
Toshihiro Ozaki
敏弘 尾崎
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エバポパージシステム故障診断時間を短縮す
る。 【解決手段】 パージ制御弁15を開弁してキャニスタ
10、燃料タンク11、パージ通路14等から構成され
るパージ系に吸気通路1の負圧を導入した後、パージ制
御弁を閉弁して負圧密閉状態にし、圧力センサー33に
より検出した燃料タンク内圧が所定圧力PSに到達した
ときの系内の圧力上昇速度ΔPLを測定し、ΔPLを判
定値と比較することにより、パージ系に洩れなどの異常
が生じているか否かを判定する。負圧導入中の燃料タン
ク内圧低下速度ΔPに基づいて定まる、PSより高い閉
弁圧力まで燃料タンク内圧が低下したときにパージ制御
弁を閉弁することにより、パージ制御弁閉弁後に燃料タ
ンク内圧がPSより大幅に低下することが防止されるた
め、短時間でΔPLの測定を開始することができ、故障
診断に要する時間を短縮できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンクからの
蒸発燃料の大気への放出を防止する蒸発燃料排出抑制装
置(エバポパージシステム)に関し、詳細にはキャニス
タ、燃料タンク及びこれらの接続配管等を含むパージ系
の洩れ、穴あき等の異常を判定する、エバポパージシス
テムの故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンクからの蒸発燃料が大気に放出
されることを防止する目的で、タンクからの蒸発燃料を
活性炭等の吸着剤を収納したキャニスタに導き、燃料蒸
気を吸着剤に吸着させて燃料蒸気の大気放出を防止する
エバポパージシステムが一般に知られている。エバポパ
ージシステムでは通常、機関の所定運転条件下でキャニ
スタ内にパージ空気を通過させ、吸着した蒸発燃料を吸
着剤から脱離させるとともに、パージ空気と脱離した蒸
発燃料との混合気(パージガス)を機関吸気通路に供給
して機関で燃焼させるようにしている。
【0003】このようなエバポパージシステムでは、装
置の故障、特にキャニスタや燃料タンク、これらを接続
する配管を含むパージ系に洩れ、穴あきなどの故障が生
じ気密を維持できなくなると、燃料蒸気が機関に供給さ
れずに大気に放出されてしまい大気汚染の原因となる場
合が生じる。また、このようなエバポパージシステムの
故障が生じた場合でも機関の運転には何ら支障がないた
め、運転者は異常の発生に気づかずにそのまま機関運転
を継続する場合がある。
【0004】上記問題を解決するため、エバポパージシ
ステムに故障が発生したことを検出し、運転者に故障発
生を報知するようにした故障検出装置が種々考案されて
いる。例えば、この種の装置の例としては特開平5−1
80093号公報に記載されたものがある。同公報の装
置は、パージ系内圧を大気圧より低い所定の圧力(負
圧)まで低下させた状態でパージ系を密閉し、この負圧
密閉状態でのパージ系圧力変化により、パージ系に洩
れ、穴等の故障が生じているか否かを判断する。すなわ
ち、同公報の装置では、機関運転中にキャニスタを大気
から遮断したままでパージ制御弁を開弁し、吸気通路の
負圧をパージ系に導入する。そして、負圧の導入により
パージ系内圧が所定の負圧になったときにパージ制御弁
を閉弁してパージ系を負圧密閉状態に保持するととも
に、この負圧密閉状態に置ける所定時間内のパージ系内
圧変化(上昇)に基づいて、パージ系の異常の有無を判
定するものである。
【0005】すなわち、負圧密閉状態におけるパージ系
内圧上昇はパージ系に洩れ、穴あきなどがなければ燃料
タンク内の燃料の蒸発のみによって生じる。一方、パー
ジ系に洩れ、穴あきなどの異常が生じていた場合には、
洩れ、穴などを通じて大気がパージ系に侵入するため、
パージ系内圧上昇速度は燃料の蒸発のみによる場合に比
べて大きくなる。このため、上記負圧密閉状態における
パージ系の内圧上昇速度が予め定めた上限値より大きい
場合にはパージ系に洩れ、穴等の異常が生じていると判
定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
5−180093号公報の故障診断装置のように、パー
ジ制御弁を介して吸気系の負圧をパージ系に導入してパ
ージ系内圧を所定の負圧に調整した後のパージ系内圧変
化を測定する場合には故障診断に要する時間が長くなる
問題がある。
【0007】通常、パージ系に負圧を導入する場合に
は、燃料タンクに設けた圧力センサで燃料タンク内圧を
検出し、検出した燃料タンク内圧が上記所定の負圧にな
ったときにパージ制御弁を閉弁してパージ系を密閉する
ようにしている。ところが、燃料タンクはベーパ通路、
キャニスタ、パージ通路及びパージ制御弁を介して機関
の吸気通路に接続されている。パージ系への負圧導入時
には燃料タンク内の気体が上記ベーパ通路からパージ制
御弁に至る流路を通って吸気通路に流入するため、上記
流路には圧損が生じる。このため、負圧導入中は上記流
路に燃料タンクから吸気通路に向けて圧力が低下する圧
力勾配が生じており、燃料タンク内圧は流路中で最も高
くなっている。特に、キャニスタと燃料タンクとを結ぶ
ベーパ通路には絞りが設けられている場合が多く、負圧
導入中には通常キャニスタ内圧は燃料タンク内圧よりか
なり低くなっている。
【0008】このため、圧力センサで検出した燃料タン
ク内圧が所定の負圧になったときにパージ制御弁を閉弁
してパージ系を密閉すると、パージ系内圧は最終的には
燃料タンク内圧とキャニスタ内圧との間の圧力になり、
上記所定の負圧より低くなってしまう。
【0009】すなわち、燃料タンクに設けた圧力センサ
で検出した燃料タンク内圧が所定の負圧まで低下したと
きにパージ制御弁を閉弁してパージ系を密閉すると、燃
料タンク内圧はその後更に低下することになる。前述し
たように、パージ系密閉後パージ系内圧は洩れがない場
合でも燃料タンク内の燃料蒸発により徐々に上昇する。
パージ系の洩れ検出のための圧力変化測定は、通常パー
ジ系内圧が上昇して上記所定負圧に到達したときに開始
されるが、パージ制御弁閉弁後の燃料タンク内圧の低下
幅が大きい場合には、一旦低下した燃料タンク内圧が上
記所定の負圧まで上昇するのに時間を要する場合があ
る。特に、パージ系に洩れがなく、しかも燃料タンク内
の燃料蒸発速度が小さい場合等は、パージ制御弁閉弁後
(すなわちパージ系への負圧導入を終了してパージ系を
密閉した後)洩れ検出のための圧力変化測定を開始する
までに長時間を要するようになり、故障診断にかかる時
間が長くなる場合がある。
【0010】ところが、故障診断はパージ制御弁を閉弁
して、すなわちキャニスタのパージを中断して行う必要
があるため、上記のように故障診断に要する時間が長く
なるとパージ中断時間が長くなりキャニスタを充分にパ
ージできなくなりキャニスタ内の蒸発燃料吸着剤が吸着
した燃料で飽和しやすくなってしまう問題がある。本発
明は上記問題に鑑み、パージ系内に吸気通路の負圧を導
入してエバポパージシステムの故障診断を行う際に、故
障診断に要する時間を短縮しキャニスタのパージに与え
る影響を最小限にすることが可能なエバポパージシステ
ムの故障診断装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキ
ャニスタと、該キャニスタを大気に連通する大気導入弁
と、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記キャニ
スタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと機関吸
気通路とを接続するパージ通路と、該パージ通路に配置
されたパージ制御弁と、機関運転中に前記大気導入弁を
閉弁して前記パージ制御弁を開弁し、前記燃料タンクと
キャニスタとベーパ通路とパージ通路とを含むパージ系
に吸気通路負圧を導入することにより、前記パージ系の
内圧を低下させて前記パージ制御弁を閉弁することによ
り前記パージ系内圧を所定圧力以下の負圧状態で密閉す
る負圧密閉手段と、該負圧密閉状態のパージ系内圧が上
昇して前記所定圧力に到達した後のパージ系内圧変化に
基づいてエバポパージシステムの故障の有無を判定する
判定手段と、を備えたエバポパージシステムの故障診断
装置において、前記負圧密閉手段は、燃料タンク内圧を
検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段で検出した
燃料タンク内圧が、前記所定圧力より高い所定の閉弁圧
力まで低下したときに前記パージ制御弁を閉弁してパー
ジ系を密閉する負圧導入手段と、前記圧力検出手段で検
出した、前記吸気通路負圧導入中の燃料タンク内圧の低
下速度に基づいて前記閉弁圧力を設定する設定手段と、
を備えたエバポパージシステムの故障診断装置が提供さ
れる。
【0012】すなわち請求項1の発明では、パージ系へ
の負圧導入時に検出した燃料タンク内圧が所定の圧力に
なってからパージ制御弁を閉弁するのではなく、燃料タ
ンク内圧が上記所定の圧力より高い圧力(閉弁圧力)に
なったときにパージ制御弁を閉弁してパージ系を密閉す
る。パージ制御弁閉弁時には燃料タンク内とパージ系の
キャニスタ側部分(以下、「キャニスタ部分」と言う)
との間には圧力差が生じているため、パージ系密閉後燃
料タンク内圧は更に低下して最終的には燃料タンク内圧
はパージ弁の上記閉弁圧力より低い圧力に到達する。パ
ージ制御弁の閉弁圧力と最終到達圧力との差は、燃料タ
ンク内とキャニスタ部分との圧力差が大きいほど大きく
なる。一方、燃料タンク内とキャニスタ部分との圧力差
は燃料タンクからキャニスタ部分に流出する気体流量が
大きいほど、すなわち燃料タンク内の圧力低下速度が大
きいほど大きくなる。このため、パージ制御弁の上記閉
弁圧力を燃料タンク内圧低下速度に応じて設定すること
により、燃料タンクの最終到達圧力を制御することがで
きる。例えば、燃料タンク内圧低下速度が大きいときに
は、パージ制御弁閉弁後最終到達圧力になるまでの燃料
タンク内圧低下幅が大きくなるため、パージ制御弁閉弁
圧力を高く設定することによりパージ制御弁閉弁後に燃
料タンク内圧が必要以上に低下することを抑制できる。
従って、燃料タンク内圧低下速度に基づいてパージ制御
弁閉弁圧力を設定することにより、閉弁後の燃料タンク
の最終到達圧力がパージ系内圧変化測定を開始する所定
圧力(以下、「測定開始圧力」という)近傍になるよう
に設定することが可能となり、燃料タンク内圧が測定開
始圧力になるまでの時間を短縮し、故障診断を短時間で
完了することが可能となる。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、内燃機関
燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタと、該キ
ャニスタを大気に連通する大気導入弁と、前記燃料タン
ク内の燃料液面上部空間を前記キャニスタに接続するベ
ーパ通路と、前記キャニスタと機関吸気通路とを接続す
るパージ通路と、該パージ通路に配置されたパージ制御
弁と、機関運転中に前記大気導入弁を閉弁して前記パー
ジ制御弁を開弁し、前記燃料タンクとキャニスタとベー
パ通路とパージ通路とを含むパージ系に吸気通路負圧を
導入することにより、前記パージ系の内圧を低下させて
前記パージ制御弁を閉弁することにより前記パージ系内
圧を所定圧力以下の負圧状態で密閉する負圧密閉手段
と、該負圧密閉状態のパージ系内圧が上昇して前記所定
圧力に到達した後のパージ系内圧変化に基づいてエバポ
パージシステムの故障の有無を判定する判定手段と、を
備えたエバポパージシステムの故障診断装置において、
前記負圧密閉手段は、燃料タンク内圧を検出する圧力検
出手段と、前記圧力検出手段で検出した燃料タンク内圧
が、前記所定圧力より高い所定の開弁圧力まで低下した
ときに前記大気導入弁を開弁し、前記パージ制御弁閉弁
後に前記大気導入弁を閉弁してパージ系を密閉する負圧
導入手段と、前記圧力検出手段で検出した、前記吸気通
路負圧導入中の燃料タンク内圧の低下速度に基づいて前
記開弁圧力を設定する設定手段と、を備えたエバポパー
ジシステムの故障診断装置が提供される。
【0014】すなわち、請求項2の発明では、パージ系
に負圧を導入する際に燃料タンク内圧が上記所定圧力よ
り高い圧力(開弁圧力)になったときに大気導入弁を開
弁してキャニスタ内に大気を導入する。これにより、キ
ャニスタ内の圧力は上昇して、燃料タンクとキャニスタ
部分との圧力差は減少する。また、この状態でパージ制
御弁を閉弁しても、燃料タンクとキャニスタ部分とに圧
力差が生じている限り燃料タンク内圧は低下を続ける
が、燃料タンク内圧とキャニスタ部分との圧力差は減少
しているため、大気導入弁を閉弁してパージ系を密閉し
てもその後の燃料タンク内圧低下幅は小さくなる。この
ように、負圧導入時には大気導入弁を開弁するタイミン
グを変えることにより、燃料タンクとキャニスタ部分と
の圧力差を制御することができる。例えば、燃料タンク
とキャニスタ部分との圧力差が大きい場合には(すなわ
ち、負圧導入時の燃料タンク内圧低下速度が大きい場合
には)大気導入弁を早く開弁して(すなわち開弁圧を高
く設定して)上記圧力差を減少させることが可能であ
る。従って、負圧導入時の燃料タンク内圧低下速度に基
づいて大気導入弁の開弁圧力を設定することにより、パ
ージ系密閉時の燃料タンクとキャニスタ部分との圧力差
を減少させ、パージ系密閉後の燃料タンク内圧低下幅を
小さくすることが可能となる。このため、パージ系密閉
後短時間でパージ系内圧を測定開始圧力に到達させるこ
とができ、短時間で故障診断を完了することが可能とな
る。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、内燃機関
燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタと、該キ
ャニスタを大気に連通する大気導入弁と、前記燃料タン
ク内の燃料液面上部空間を前記キャニスタに接続するベ
ーパ通路と、前記キャニスタと機関吸気通路とを接続す
るパージ通路と、該パージ通路に配置されたパージ制御
弁と、機関運転中に前記大気導入弁を閉弁して前記パー
ジ制御弁を開弁し、前記燃料タンクとキャニスタとベー
パ通路とパージ通路とを含むパージ系に吸気通路負圧を
導入することにより、前記パージ系の内圧を低下させて
前記パージ制御弁を閉弁することにより前記パージ系内
圧を所定圧力以下の負圧状態で密閉する負圧密閉手段
と、該負圧密閉状態のパージ系内圧が上昇して前記所定
圧力に到達した後のパージ系内圧変化に基づいてエバポ
パージシステムの故障の有無を判定する判定手段と、を
備えたエバポパージシステムの故障診断装置において、
更に、前記キャニスタと燃料タンク内の液面上部空間を
接続する、前記ベーパ通路とは別のバイパス通路と、該
バイパス通路に配置され前記負圧密閉手段によるパージ
系への吸気通路負圧導入時のみ開弁する負圧導入弁とを
備え、前記負圧導入弁開弁時の前記バイパス通路の流路
抵抗を前記ベーパ通路の流路抵抗より小さく設定した、
エバポパージシステムの故障診断装置が提供される。
【0016】すなわち、請求項3の発明ではベーパ通路
とは別個に燃料タンクとキャニスタとを接続するバイパ
ス通路が設けられており、バイパス通路に設けられた負
圧導入弁によりパージ系への負圧導入時のみバイパス通
路により燃料タンクとキャニスタとが連通するようにさ
れている。また、通常キャニスタと燃料タンクとを接続
するベーパ通路には絞りなどが設けられており流路抵抗
が比較的大きくなっているのに対して、バイパス通路に
は絞りなどは設けられておらず負圧導入弁開弁時のバイ
パス通路の流路抵抗はベーパ通路の流路抵抗より小さく
なるようにされている。このため、パージ系への負圧導
入時に負圧導入弁が開弁するとキャニスタと燃料タンク
とはベーパ通路に加えて、流路抵抗の小さいバイパス通
路により連通されるようになる。従って、燃料タンクか
らキャニスタに流れる気体の圧損が低下し、負圧導入時
の燃料タンクとキャニスタ部分との圧力差が小さくな
る。前述したように、パージ制御弁を閉弁してパージ系
を密閉した後の燃料タンクの最終到達圧力までの圧力低
下幅は、パージ制御弁閉弁時のキャニスタと燃料タンク
との圧力差が大きいほど大きくなるが、本発明では負圧
導入時のみに燃料タンクとキャニスタとを連通するパー
ジ通路を設けたために、パージ制御弁閉弁時のキャニス
タと燃料タンクとの圧力差は極めて小さくなり、パージ
制御弁閉弁後の燃料タンク内圧低下はほとんど生じな
い。すなわち、本発明によれば、負圧導入時にパージ制
御弁閉弁後極めて短時間で燃料タンク内圧が測定開始圧
力に到達し内圧変化測定を開始することができるため、
短時間で故障診断を完了することが可能となる。なお、
負圧導入弁としては負圧導入時にパージ制御弁と連動し
て作動する電磁遮断弁、或は負圧導入時のキャニスタと
燃料タンク内圧との差圧の大きさに応じて開弁するダイ
ヤフラム式遮断弁などが使用可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明を自動車用内
燃機関のエバポパージシステムに適用した実施例の概略
構成を示す図である。図1において、100は内燃機関
本体、1は内燃機関100の吸気通路、3は吸気通路1
に配置されたエアクリーナを示す。吸気通路1には運転
者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応じた開度を
とるスロットル弁6が設けられている。
【0018】図1に11で示すのは機関の燃料タンクで
ある。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70によ
り昇圧され、フィード配管71を介して機関100の各
気筒の燃料噴射弁101に圧送される。燃料タンク11
には、燃料タンク内液面上部空間の圧力を検出する圧力
センサ33が設けられている。タンク11の上部には、
後述するキャニスタ10にタンク11内の燃料油液面上
部空間を接続するブリーザー配管13が接続されてい
る。
【0019】ブリーザー配管13とタンク11との接続
部には、それぞれフロート弁からなるCOV(CUT
OFF VALVE)132とROV(ROLL OV
ERVALVE)133とが設けられている。ROV1
33は、給油時の液面上昇により閉弁し、ブリーザ配管
13と燃料タンク11との接続を遮断する。また、RO
V133は、車両転倒時等にブリーザ配管13とタンク
11との接続部を閉鎖し、ブリーザー配管13を介して
大量の燃料油が外部に洩れることを防止する機能を有し
ている。
【0020】COV132はROV133と並列に配置
されており、ROV133より更に液面が上昇したとき
にブリーザ配管13とタンク11との連通を遮断する。
COV132は、給油時の液面上昇時にはROV133
閉弁後も開弁してタンク11とブリーザ配管13とを連
通するが、車両旋回による液面の動揺等によりCOV1
32位置まで液面が到達したような場合、及び車両転倒
時等には閉弁し、燃料油がブリーザー配管13に侵入す
ることを防止する機能を有する。
【0021】図1に10で示すのは燃料タンク内の燃料
ベーパを吸着するキャニスタである。キャニスタ10
は、内部に燃料ベーパを吸着する活性炭等の吸着剤50
を収納し、給油弁131を介してブリーザ配管13に接
続されている。給油弁131は、燃料タンク11内圧が
大気圧よりわずかに高くなると開弁し、ブリーザー配管
13を通してタンク11内の蒸発燃料を含む空気をキャ
ニスタ10に流すようにされている。
【0022】キャニスタ10は、更に、パージ配管14
により吸気通路1と接続されており、パージ配管14と
吸気通路1との接続部にはパージ制御弁15が設けられ
ている。パージ制御弁15はソレノイドアクチュエータ
などの適宜な形式のアクチュエータを備え、後述する電
子制御ユニット(ECU)30からの信号により開弁
し、キャニスタ10と吸気通路1とを連通する。
【0023】また、キャニスタ10は、CCV(CAN
ISTER CLOSE VALVE)17を介して大
気連通管18と接続されている。大気連通管18はタン
ク11の給油口近傍に開口しており、大気連通管18上
にはエアフィルタ19が設けられている。エアフィルタ
19はパージ実行時に大気連通管18からキャニスタ1
0内に流入する空気中の異物を除去するものである。C
CV17は、ソレノイドアクチュエータなどの適宜な形
式のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号
に応じて大気連通管18とキャニスタ11との連通を遮
断するものである。
【0024】機関停止中等のように吸気通路1にパージ
ガスを供給できない状態では、パージ制御弁15は閉弁
され、キャニスタ10のCCV17は開弁状態に保持さ
れる。この場合には、キャニスタ10はCCV17によ
り大気に連通しており、キャニスタ10内圧は大気圧と
なる。この状態では、燃料タンク内圧の変動は主に外気
温の変化によるタンク内燃料の蒸気圧の変化によるもの
となるため、タンク内圧の変動は比較的緩やかなものと
なる。また、給油弁131には、閉弁時にもブリーザ配
管13とキャニスタ10とを連通する小径の連通孔が設
けられている。このため、この状態ではタンク内圧は給
油弁131の連通孔を介してキャニスタ10内圧と均圧
されるため、燃料タンク内圧は略大気圧に保たれる。
【0025】次に、この状態で給油が行われると燃料タ
ンク内の液面上昇により燃料タンク11の液面上部空間
の圧力が上昇する。燃料タンク11内圧がキャニスタ1
0圧力より高くなると給油弁131が開弁し、燃料タン
ク11とキャニスタ10とは給油弁131を介して連通
する。
【0026】これにより、燃料タンク11の液面上部空
間からブリーザ配管13を介して燃料蒸気と空気との混
合気がキャニスタ10内に流入し、キャニスタ10内の
吸着剤50を通過してCCV17から大気連通管18に
流入する。混合気中の燃料ベーパは吸着剤50を通過時
に吸着剤に吸着されるため、大気連通管18からはキャ
ニスタ10内の吸着剤50により燃料蒸気を除去された
後の空気のみが放出されるようになる。従って、給油時
の燃料ベーパの大気放出が防止されるとともに、燃料タ
ンク11内圧が上昇して給油が困難になることが防止さ
れる。
【0027】吸着剤50に吸着された燃料ベーパ量が増
大すると吸着剤50が燃料ベーパで飽和してしまい、そ
れ以上蒸発を吸着できなくなるため、本実施形態では機
関運転中にパージを行い吸着剤50から吸着した燃料ベ
ーパを脱離(パージ)させる。キャニスタ10のパージ
は、機関100の運転中にCCV17とパージ制御弁1
5との両方を開弁し、空気をキャニスタ10内に導入す
ることにより行う。すなわち、通常の機関では機関運転
中、吸気通路1のスロットル弁6下流側には負圧が発生
しているため、機関運転中にパージ制御弁15を開弁す
るとキャニスタ10内にはパージ配管14を介して吸気
通路1の負圧が作用し、キャニスタ内圧は大気圧より低
くなる。
【0028】このため、パージ制御弁15が開弁する
と、CCV17を介して、大気連通管18からフィルタ
19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ1
0内に流入する。この空気はキャニスタ10内の吸着剤
50を通過時に燃料ベーパを吸着剤から離脱させ、燃料
ベーパと空気との混合ガス(パージガス)となってパー
ジ配管14からパージ制御弁15を通って機関吸気通路
1に流入する。これにより、パージガスは吸着剤50か
らパージされて機関燃焼室で燃焼し、吸着剤50が燃料
ベーパで飽和することが防止される。
【0029】図1に30で示すのは、機関の電子制御ユ
ニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リー
ドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポート
を互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロ
コンピュータからなり、機関運転中にパージ制御弁15
とCCV17とを制御して前述したキャニスタ10のパ
ージを行う。また、本実施形態ではECU30は機関運
転中にパージ制御弁15とCCV17との開閉操作によ
り、パージ系を負圧状態で密閉し、内圧変化に基づいて
洩れ、穴等の異常の有無を判断する故障診断操作を行
う。
【0030】上記制御のため、ECU30の出力ポート
は図示しない駆動回路を介してパージ制御弁15のアク
チュエータとCCV17のアクチュエータとにそれぞれ
接続され、これらの弁の作動を制御している。また、E
CU30の入力ポートには、機関の回転数、機関吸入空
気量、機関冷却水温度等を表す信号が、それぞれ図示し
ないセンサから入力されている他、図示しないAD変換
器を介して圧力センサ33から燃料タンク11内圧を表
す信号が入力されている。
【0031】次に、本発明のエバポパージシステムの故
障診断操作について説明する。本発明では機関運転開始
後に所定のパージ実行条件が成立してパージが実行され
ているときに、パージ系を負圧密閉状態にして内圧上昇
速度を測定する。パージ実行中は、パージ制御弁15が
開弁し、パージ通路14を介してキャニスタ10には吸
気通路1の負圧が作用している。しかし、CCV17が
開弁しているためキャニスタ10内は大気連通管18を
介して大気に連通しており、キャニスタ10内の圧力は
吸気通路圧力とパージ制御弁15開度により定まる圧力
に維持されている。この状態で、CCV17を閉弁する
と、大気連通管18からの空気の流入が停止し、キャニ
スタ10内の圧力は低下する。
【0032】また、キャニスタ内の負圧は給油弁131
の連通孔を通じてブリーザ配管13と燃料タンク11と
に導入されるため、給油弁131を介してキャニスタ1
0と連通する燃料タンク11、ブリーザ配管13等のパ
ージ系内圧が低下する。そして、パージ系内圧が充分に
低下したところで、パージ制御弁15を閉弁すると、パ
ージ系は負圧状態で密閉される。パージ系が密閉される
と、燃料タンク11内の燃料の蒸発によりパージ系内圧
は上昇を開始するようになる。
【0033】本発明では、上記のようにパージ系を負圧
密閉状態に維持した状態でパージ系内圧が圧力上昇によ
り所定の圧力(すなわち、測定開始圧力)(例えば74
5mmHg程度の圧力)に到達した後所定の時間(例え
ば5秒程度)内のパージ系内圧変化(内圧上昇速度)Δ
Pを測定する。そして、測定したΔPの値に基づいてパ
ージ系に洩れ、穴等の故障が生じているか否かを判定す
る。
【0034】この状態でのパージ系内圧上昇速度は、パ
ージ系に洩れや穴あきがなければ燃料タンク11内の燃
料の蒸発のみによるものとなるため、比較的緩やかなも
のとなるが、仮にパージ系に洩れや穴あきが生じていた
場合には、洩れ部分を通じて外部から空気が系内に侵入
し、圧力上昇速度は燃料の蒸発のみによる場合に較べて
大きくなる。
【0035】従って、負圧密閉時のパージ系内圧上昇測
定(以下の説明では「洩れ検出」という)で測定された
内圧上昇速度ΔPが大きい場合には、パージ系に洩れ等
の異常が生じている可能性があると判断できる。実際に
は洩れ検出時のパージ系内圧上昇速度は、パージ系に洩
れがなくても洩れ検出中の燃料蒸発速度が大きい場合に
は大きくなる。このため、単に洩れ検出時の内圧上昇速
度が大きかっただけでは、洩れにより内圧上昇速度が大
きくなったのか、燃料蒸発速度が大きいために内圧上昇
速度が大きくなったのかを判別することはできない。
【0036】そこで、本実施形態では洩れ検出時にΔP
の値がある判定値より大きくなり異常判定がなされた場
合には、引続き燃料タンク内の燃料蒸発速度を検出し、
この異常判定が信頼できるものであるか否かを検証する
ようにしている。すなわち、この場合には洩れ検出終了
後にパージ制御弁15を閉弁保持したままでCCV17
を開弁してパージ系内に大気を導入し、パージ系内圧を
大気圧近傍まで上昇させる。そして、パージ系内圧が大
気圧近傍まで上昇したことを圧力センサ33で検出する
と、CCV17を閉弁してパージ系内を大気圧に保持し
たまま密閉する。この大気圧密閉状態では、仮にパージ
系に洩れが生じていてもパージ系内圧と大気との差圧が
小さいため大気はパージ系内に侵入しない。
【0037】このため、この大気圧密閉状態で生じるパ
ージ系内圧上昇は燃料タンク11内の燃料の蒸発による
もののみとなる。従って、パージ系を大気圧密閉状態に
して所定時間内(例えば15秒間程度)におけるパージ
系内圧の上昇幅を燃料タンク11の圧力センサー33で
検出することにより、燃料蒸発速度を測定することがで
きる。
【0038】本実施形態では燃料蒸発速度の測定を行う
のは洩れ検出操作において内圧上昇が所定値以上であっ
た場合のみである。この場合、燃料蒸発速度が小さい場
合には、洩れ検出操作時の内圧上昇は実際にパージ系に
洩れが生じていたためと判定することができる。また、
燃料蒸発速度が大きい場合には洩れ検出時のパージ系内
圧上昇は、燃料蒸発速度が大きいために生じた可能性が
あるため、必ずしもパージ系に洩れが生じていると判定
することはできないため、洩れの有無の判定を保留して
異常診断を中止する。
【0039】ところが、洩れ検出を実施するためにパー
ジ制御弁15を通じて吸気通路の負圧をパージ系に導入
する場合に、圧力センサ33で検出した圧力が洩れ検出
のための圧力上昇速度の測定を開始する圧力(測定開始
圧力)になったときにパージ制御弁15を閉弁してパー
ジ系を密閉すると、密閉後実際に洩れ検出を開始できる
までの間に比較的長い時間を要する問題が生じる。
【0040】すなわち、負圧導入時には燃料タンクを含
むパージ系内の気体(燃料蒸気と空気との混合気)はパ
ージ制御弁15を通じて機関の吸気通路1に流入してい
る。このため、パージ系内には燃料タンク11からベー
パ通路13とキャニスタ10、パージ配管14を通って
吸気通路1に向う気体の流れが生じている。このため、
流路の圧力損失により燃料タンク11より吸気通路1に
近いパージ系部分(キャニスタ部分)の圧力は燃料タン
ク11内圧より低くなっている。従って、この状態でパ
ージ制御弁15を閉弁してパージ系を密閉すると、最終
的にはパージ系内圧はキャニスタ部分の圧力と燃料タン
ク内圧との間の圧力に落着くことになる。つまり、燃料
タンク11に設けた圧力センサ33で検出した燃料タン
ク内圧が測定開始圧力になったときにパージ制御弁15
を閉弁したのでは、パージ系内圧は更に低下して測定開
始圧力より更に低い圧力になってしまう。この、最終的
に到達するパージ系内圧(最終到達圧力)と測定開始圧
力との差は、パージ系閉弁時の燃料タンク内圧とキャニ
スタ部分内圧との差が大きいほど大きくなる。
【0041】ところが、前述したようにキャニスタと燃
料タンクとの間のベーパ通路には負圧導入時には閉弁し
ている給油弁131が設けられており、負圧導入時には
キャニスタ10とブリーザ配管13とは給油弁の小径の
連通孔のみを介して連通している。このため、ブリーザ
配管13の流路抵抗はかなり大きくなっており、負圧導
入時には燃料タンクとキャニスタ部分との間の圧力差も
それに応じて大きくなっている。
【0042】従って、圧力センサ33で検出した燃料タ
ンク内圧が測定開始圧力に低下したときにパージ制御弁
15を閉弁すると、パージ系の最終到達圧力は測定開始
圧力より大幅に低くなってしまう。洩れ検出のための圧
力上昇速度の計測は、この状態から燃料タンク内圧が測
定開始圧力まで上昇したときに開始されるが、特に洩
れ、穴等がなく燃料タンク内圧上昇が燃料蒸発のみによ
る場合には圧力の上昇速度が小さいため、燃料タンク内
圧が最終到達圧力から測定開始圧力まで上昇するのに比
較的長い時間を要する問題がある。
【0043】エバポパージシステムの故障診断はパージ
制御弁15を閉弁した状態で行うため、故障診断中はキ
ャニスタ10のパージを中断する必要がある。このた
め、燃料タンク内圧が測定開始圧力に上昇するまでの時
間が長くなると故障診断に要する時間が長くなり、キャ
ニスタ10のパージが中断される時間が長くなり、キャ
ニスタのパージを十分に行うことができない問題が生じ
る。以下に説明する実施形態では、パージ制御弁15閉
弁後パージ系内圧が測定開始圧力に到達する時間を短縮
することにより、故障診断を完了するまでの時間を短縮
している。
【0044】(1)第1の実施形態 以下、本発明の第1の実施形態について説明する。本実
施形態では、負圧導入時に燃料タンク内圧が測定開始圧
力に到達したときにパージ制御弁15を閉弁するのでは
なく、燃料タンク内圧が測定開始圧力より高い圧力(閉
弁圧力)まで低下したときにパージ制御弁15を閉弁し
てパージ系を密閉する。
【0045】前述したように、この状態ではキャニスタ
部分と燃料タンク内とには圧力差が生じているためパー
ジ制御弁15を閉弁後も燃料タンク内圧は低下し、パー
ジ系内圧はパージ制御弁閉弁時のキャニスタ内圧と燃料
タンク内圧との間の最終到達圧力に均一化される。しか
し、本実施形態では燃料タンク内圧が測定開始圧より高
いときにパージ制御弁を閉弁するため、その後燃料タン
ク内圧低下があっても最終到達圧力自体は、燃料タンク
内圧が測定開始圧力になると同時にパージ制御弁を閉弁
した場合に較べて高くなり、最終到達圧力と測定開始圧
力との差が小さくなる。
【0046】更に、本実施形態ではパージ制御弁の閉弁
圧力を負圧導入時の燃料タンク内圧の低下速度に基づい
て設定することにより、最終到達圧力と測定開始圧力と
の差が更に小さくなるようにしている。パージ制御弁閉
弁時の燃料タンク内圧から最終到達圧力までの燃料タン
ク内の圧力低下幅は、パージ制御弁閉弁時の燃料タンク
とキャニスタ部分との圧力差が大きいほど大きくなる。
一方、燃料タンクとキャニスタ部分との圧力差は、燃料
タンクから流出して吸気通路に流れる気体の流れの圧損
に等しくなるため、パージ系の諸元が一定であれば燃料
タンクから流出する気体の流量に対応したものになる。
燃料タンクから流出する気体の流量は燃料タンク内圧の
低下速度に対応しているため、結局、燃料タンク内圧低
下速度は燃料タンクとキャニスタとの圧力差に応じた値
になる。このため、燃料タンク内圧低下速度を測定する
ことによりパージ制御弁閉弁後の燃料タンク内圧低下幅
を知ることができるため、内圧低下速度に基づいてパー
ジ制御弁閉弁後の最終到達圧力が測定開始圧力付近にな
るようなパージ弁閉弁圧力を決定することが可能であ
る。
【0047】本実施形態では、予め実際のパージ系を用
いて負圧導入中の燃料タンク内圧低下速度とパージ制御
弁閉弁後の燃料タンク内圧低下幅との関係を実験により
求めてあり、パージ弁閉弁後の最終到達圧力を測定開始
圧力よりやや低く(例えば数mmHg程度低く)するた
めに必要とされるパージ弁閉弁圧力(所要閉弁圧力)P
Cと燃料タンク内圧低下速度ΔPとの関係を算出してあ
る。
【0048】図2は、上記により求められた所要閉弁圧
力と燃料タンク内圧低下速度との関係の1例を示す図で
ある。図2に示すように、所要閉弁圧力PCは内圧低下
速度ΔPが小さいほど(すなわち、燃料タンクとキャニ
スタ側との圧力差が小さいほど)測定開始圧力に近づく
ようになる。このように、負圧導入時にパージ制御弁閉
弁圧力を燃料タンク内圧低下速度に応じて設定すること
により、パージ制御弁閉弁からパージ系内圧上昇速度測
定開始までの時間を大幅に短縮することが可能となり、
故障診断を短時間で完了することが可能となるためキャ
ニスタのパージ中断時間を低減することができる。
【0049】図3は、上述した本実施形態のエバポパー
ジシステム故障診断操作を説明するフローチャートであ
る。本操作は、ECU30により実行される。図3の操
作では、まずステップ301で異常診断操作の実行条件
が成立しているか否かを判定する。ステップ301で判
断する異常検出操作実行条件は、a.機関始動後エバポ
パージシステムの故障診断がまだ完了していないこと、
b.現在パージ実行中であること(パージ制御弁15が
開弁していること)、c.大気圧が所定値以上であるこ
と、d.燃料タンク内の圧力変動が所定値以下であるこ
と(例えば、坂道走行、旋回、悪路走行などによりタン
ク内の液面が大きく揺れていないこと)などである。
【0050】上記条件a.は、本故障診断操作はパージ
の中断を伴なうため、既に完了しているにもかかわらず
故障診断を繰り返してパージ中断期間が長くなることを
防止するためであり、上記条件b.は、本故障診断操作
はパージ制御弁15を開弁してパージ系内に負圧を導入
する必要があり、故障診断時にはキャニスタ内の蒸発燃
料が吸気通路に流入するため、パージを実行していない
ときに本故障診断を行うと機関運転状態に影響が生じる
場合があるからである。また、上記条件c.及びd.は
測定結果にノイズが混入することを防止して信頼性の高
い故障診断を行うための条件である。
【0051】ステップ301の条件が全て成立した場合
には、次にステップ303でパージを実行したまま(パ
ージ制御弁15を開弁したまま)でCCV17を閉弁す
る負圧導入操作を開始する。これにより、パージ系内に
吸気通路1内の負圧が導入され、キャニスタ10、燃料
タンク11などのパージ系内の圧力が低下する。また、
ステップ305では負圧導入中の所定時間内の燃料タン
ク内圧低下幅(すなわち燃料タンク内圧低下速度)ΔP
を燃料タンクの圧力センサ33の検出値に基づいて算出
する。
【0052】そして、ステップ307では、上記により
算出した燃料タンク内圧低下速度ΔPを用いて、図2に
示した関係に基づいてパージ制御弁閉弁圧力PCを算出
する。前述したように、ステップ307で算出される閉
弁圧力ΔPは、パージ制御弁15閉弁後の燃料タンク
(及びパージ系内圧)の最終到達圧力が洩れ検出のため
のパージ系内圧上昇速度測定開始圧力よりやや低くなる
圧力である。
【0053】ステップ307でパージ制御弁閉弁圧力P
Cを算出後、ステップ309では燃料タンクの圧力セン
サ33で検出した燃料タンク内圧PTが低下して上記に
より算出した閉弁圧力PCに到達するまで待機し、PT
が閉弁圧力PCに到達したときにステップ311でパー
ジ制御弁15を閉弁する。これにより、パージ系は密閉
され、キャニスタ側と燃料タンクの内圧は均一化される
ため、燃料タンク内圧PTは低下を続ける。
【0054】ステップ313とステップ315はパージ
系内圧が均一化されたか否か、すなわち燃料タンク内圧
PTが最終到達圧力に到達したか否かの判定操作であ
る。すなわち、ステップ313では圧力センサ33で検
出した燃料タンク内圧PTの所定時間の変化量(低下速
度)ΔPを再度算出し、ステップ315では算出したΔ
Pの値が正または0になっているか否かを判定する。
【0055】ステップ313と315はステップ315
でΔP≧0になるまで、すなわち燃料タンク内の圧力の
低下が終了し、パージ系内圧が最終到達圧力にになるま
で繰返される。燃料タンク内圧が最終到達圧力まで低下
した後は、燃料タンク内圧(パージ系内圧)はタンク内
燃料の蒸発(及び、生じている場合にはパージ系の洩
れ)等により上昇を始める。
【0056】ステップ317では、上記により上昇を開
始した燃料タンク内圧PTが所定の測定開始圧力PS
(例えば745mmHg程度の圧力)に到達したときに
ステップ319でパージ系の洩れ検出を行う。すなわ
ち、ステップ319では系内圧力が所定の測定開始圧力
PSに到達した時から計時を開始して、その後所定時間
内(例えば5秒程度)に圧力センサ33で検出した圧力
上昇幅(燃料タンク内圧上昇速度)をΔPLとして採用
する。
【0057】上記により、洩れ検出操作を完了した後、
ステップ321ではパージ系の異常の有無の仮判定が行
われる。ステップ321の仮判定では、洩れ検出操作で
測定された圧力上昇速度ΔPLが判定値ΔPL0以下か
否かによりパージ系の異常の有無を判定する。ここで、
ΔPL≦ΔPL0の場合には、系内の圧力上昇は小さ
く、燃料蒸発速度にかかわらずパージ系の洩れが生じて
いないと判断できるため、ステップ323に進み、パー
ジ系は正常であるとの正常判定がなされる。本実施形態
では、ΔPL0は、数mmHg/5秒程度の値に設定さ
れる。
【0058】なお、正常判定がなされると、パージ制御
弁15とCCV17とは直ちに開弁されてキャニスタ1
0のパージが再開される。
【0059】一方、ステップ321でΔPL>ΔPL0
であった場合には、洩れ検出時の内圧上昇が大きく、実
際に洩れが生じている可能性があるため燃料蒸発速度の
大きさを判定する必要がある。そこで、この場合にはス
テップ325以下の燃料蒸発速度検出操作を行う。
【0060】すなわち、ステップ325では、まずパー
ジ制御弁15を閉弁したままでCCV17を開弁し、パ
ージ系への大気導入を開始する。これにより、燃料タン
クを含むパージ系の内圧は上昇を開始する。ステップ3
27では圧力センサ33で検出した燃料タンク内圧PT
が大気圧PAまで上昇するのを待ち、PT≧PAになっ
たときにステップ329でCCV17を閉弁してパージ
系を大気圧で密閉し、ステップ331では燃料蒸発速度
を測定する。すなわち、ステップ331では大気圧密閉
状態での所定時間(15秒程度)の間のパージ系内圧上
昇幅(上昇速度)ΔPVを圧力センサ33で測定する。
このΔPVの値は燃料蒸発速度ΔPVに対応した値とな
る。
【0061】そして、ステップ333では、上記により
計測したΔPVを所定の判定値ΔPV0と比較し、ΔP
V≧ΔPV0であった場合には、洩れ検出時にパージ系
内圧上昇速度が大きかったのは燃料蒸発速度が多かった
ためである可能性があると判断する。従って、ステップ
333でΔPV≧ΔPV0であった場合には、ステップ
335に進み判定を保留して異常診断を終了する。ΔP
0は、数mmHg程度の値である。
【0062】また、ステップ333でΔPV<ΔPV0
であった場合には、燃料蒸発速度は小さく、ステップ3
21でΔPL>ΔPL0であったのは実際にパージ系に
洩れが生じているためであると判定できる。従って、こ
の場合にはステップ337に進み、パージ系に異常が生
じているとして異常判定を行い診断操作を終了する。
【0063】なお、ステップ337で異常判定がなされ
ると、ECU30により別途実行される操作により車両
運転席近傍に配置した警告灯が点灯され、運転者にパー
ジ系の異常が報知される。また、ステップ335で判定
が保留された場合、及びステップ337で異常判定がな
された場合にも、CCV17とパージ制御弁15とは直
ちに開弁されキャニスタのパージが再開される。
【0064】上述のように、本実施形態では負圧導入時
の燃料タンク内圧低下速度ΔPに基づいて定めた閉弁圧
力PC(閉弁圧力PC>測定開始圧力PS)まで燃料タ
ンク内圧PTが低下したときに、パージ制御弁15を閉
弁するようにしたことにより、パージ制御弁閉弁後短時
間で燃料タンクの洩れ検出のための燃料タンク内圧上昇
を開始することが可能となるため、全体として故障診断
に要する時間が大幅に短縮され、短時間でキャニスタの
パージを再開することが可能となっている。
【0065】また、本実施形態ではステップ323で正
常判定がなされた場合には燃料蒸発速度の測定を行うこ
となく直ちにパージが再開される。実際には、ほとんど
の場合ステップ323で正常判定がなされ、燃料蒸発速
度の検出(ステップ325以下)が行われる頻度は少な
いため、本実施形態によれば診断毎に燃料蒸発速度を検
出する場合に較べて診断に要する時間を全体として短縮
することが可能となっている。
【0066】(2)第2の実施形態 次に、エバポパージシステム故障診断操作の別の実施形
態について説明する。本実施形態においても、パージ制
御弁閉弁から燃料タンク内圧が測定開始圧力に到達する
までの時間を短縮することにより故障診断に要する時間
を低減するのは上述した第1の実施形態と同様である。
しかし、第1の実施形態では負圧導入時に燃料タンク内
圧が測定開始圧力まで低下する前にパージ制御弁15を
閉弁することによりパージ制御弁閉弁から測定開始まで
の時間を短縮していたのに対して、本実施形態では負圧
導入時に測定開始圧力より高い所定の開弁圧力で大気導
入弁(CCV17)を開弁し、キャニスタ10内に大気
を導入することによりパージ系の最終到達圧力が測定開
始圧力より大幅に低くなることを防止する点が第1の実
施形態と相違している。
【0067】前述したように、パージ制御弁閉弁後の燃
料タンク内圧低下はパージ系のキャニスタ部分と燃料タ
ンク内とに圧力差があるために生じ、圧力差が大きいほ
どパージ制御弁閉弁後の燃料タンク内圧低下幅も大きく
なる。従って、パージ制御弁閉弁時のキャニスタ部分と
燃料タンク内との圧力差を変えることによりパージ制御
弁閉弁後の燃料タンク内圧低下幅を調節することが可能
となる。本実施形態では、負圧導入時に適切なタイミン
グでCCV17を開弁することによりキャニスタ10内
に大気を導入する。これにより、キャニスタ部分の圧力
は次第に上昇するため、キャニスタ部分と燃料タンク内
との圧力差は小さくなる。
【0068】このため、例えば従来と同様に燃料タンク
内圧が測定開始圧力になったときにパージ制御弁を閉弁
した場合でもパージ制御弁閉弁時のキャニスタ部分と燃
料タンク内の圧力差は大幅に小さくなり、パージ制御弁
閉弁後の燃料タンク内圧低下幅、すなわち測定開始圧力
と最終到達圧力との差は従来より大幅に小さくなる。こ
れにより、パージ制御弁閉弁後一旦低下した燃料タンク
内圧が測定開始圧力に到達するまでの時間が大幅に短縮
されるようになる。
【0069】一方、パージ制御弁閉弁時のキャニスタ部
分と燃料タンク内との圧力差はCCV17開弁のタイミ
ングと開弁時のキャニスタ部分と燃料タンク内との圧力
差により定まる。例えばCCV17の開弁タイミングが
同一であればそのときの圧力差が大きいほどパージ弁を
閉弁したときの圧力差も大きくなり、パージ弁閉弁後の
燃料タンク内圧低下幅も大きくなる。また、逆にCCV
17閉弁時の圧力差が同一であればCCV17の開弁タ
イミングが早いほど(CCV17開弁とパージ制御弁閉
弁との間の時間が長いほど)パージ弁を閉弁したときの
圧力差は小さくなり、パージ弁閉弁後の燃料タンク内圧
低下幅は小さくなる。
【0070】従って、例えばパージ弁を閉弁する燃料タ
ンク内圧を測定開始圧力に固定した場合には、負圧導入
中に生じているキャニスタ部分と燃料タンク内との圧力
差が大きいほどCCV17を早く、また圧力差が小さい
ほどCCV17を遅く開弁することにより、パージ弁閉
弁時の圧力差を一定の値に維持することができる。
【0071】一方、第1の実施形態で説明したようにキ
ャニスタ部分と燃料タンク内との間に生じている圧力差
は、負圧導入中の燃料タンク内圧低下速度に応じて変化
し、内圧低下速度が大きいほど圧力差は大きくなる。本
実施形態では、CCV17の開弁タイミングを負圧導入
中の燃料タンク内圧で表し、燃料タンク内圧が所定の開
弁圧力まで低下したときにCCV17を開弁するととも
に、この開弁圧力を燃料タンク内圧低下速度に基づいて
決定することにより、パージ制御弁閉弁時(燃料タンク
内圧が測定開始圧力になったとき)のキャニスタ部分と
燃料タンク内との圧力差が所定の値になるようにしてい
る。
【0072】図4は、本実施形態におけるCCV17の
開弁圧力POと燃料タンク内圧低下速度ΔPとの関係の
一例を示す図である。例えば燃料タンク内圧低下速度Δ
Pが大きい場合には、キャニスタ部分と燃料タンク内と
の圧力差が大きくなっており、燃料タンク内圧が測定開
始圧力(パージ制御弁を閉弁する圧力)になるより十分
に早いタイミングでCCV17を開弁する必要がある。
また、内圧低下速度ΔPが大きい場合には開弁圧力PO
を測定開始圧力より十分に高くとり内圧が測定開始圧力
まで低下するまでに十分な時間がとれるようにする必要
がある。このため、図4に示すように開弁圧力POは内
圧低下速度ΔPが大きいほど高い圧力に設定される。
【0073】図4に示す関係は、実際のパージ系を用い
てパージ制御弁閉弁時の圧力差が所定値になる燃料タン
クの圧力低下速度ΔPとCCV開弁圧力POとの関係を
実測することにより求められる。なお、パージ制御弁閉
弁後もキャニスタ部分と燃料タンク内とには圧力差があ
るため燃料タンク内圧は低下を続けるが、CCV17か
ら流入する大気によりパージ制御弁閉弁後はキャニスタ
部分と燃料タンク内との圧力差は減少し、圧力差がゼロ
になると燃料タンク内圧の低下は止り、その後は燃料タ
ンク内圧は上昇を開始する。すなわち、パージ制御弁閉
弁後は燃料タンク内圧はある最低圧力に到達後上昇を始
める。本実施形態では、図4のパージ制御弁閉弁時の圧
力差は、上記パージ制御弁閉弁後の燃料タンク内圧が測
定開始圧力よりわずかに低くなるように設定されてい
る。
【0074】更に、本実施形態では燃料タンク内圧が上
記最低圧力に到達したときにCCV17を閉弁する。燃
料タンク内圧が最低圧力に到達した時点では、燃料タン
ク内圧低下速度がゼロになっているのであるから、キャ
ニスタ部分と燃料タンク内圧とは等しくなっている。こ
のため、燃料タンク内圧が最低圧力に到達したときにC
CV17を閉弁することにより、パージ系を均一な圧力
(負圧)で密閉することができる。
【0075】CCV17を閉弁してパージ系を密閉した
後は、洩れ等がなければその後のパージ系圧力上昇は燃
料蒸発速度によるもののみとなり、比較的小さな値とな
る。しかし、本実施形態ではCCV17を閉弁する圧力
(上記最低圧力)は測定開始圧力よりわずかに低い圧力
に設定されているため、パージ系内圧は短時間で測定開
始圧力に到達するようになり、パージ制御弁閉弁後短時
間で燃料タンク内圧上昇速度の測定を開始することが可
能となる。
【0076】図5は、本実施形態の上記エバポパージシ
ステム故障診断操作を説明するフローチャートである。
本操作はECU30により実行される。図5の操作で
は、まずステップ501で故障診断操作実行条件が成立
しているか否かを判定し、成立している場合にはステッ
プ503でパージ制御弁15を開弁したままでCCV1
7を閉弁し、パージ系への負圧導入を開始する。また、
ステップ505では負圧導入中の燃料タンク内圧低下速
度ΔPを測定する。ステップ501から505の操作
は、図3ステップ301から305の操作と同一の操作
である。
【0077】次に、本実施形態ではステップ507で燃
料タンク内圧低下速度ΔPに基づいて、図4の関係から
CCV17を開弁すべき燃料タンク内圧(開弁圧力)P
Oを算出する。そして、ステップ509では燃料タンク
内圧が開弁圧力POまで低下するのを待ち、POまで低
下したときにCCV17を開弁する。CCV17の開弁
により、キャニスタ10内にCCV17から大気が導入
され、キャニスタと燃料タンク内との圧力差は減少す
る。燃料タンク内圧はこの後も低下を続けるが、ステッ
プ513では燃料タンク内圧PTが低下して測定開始圧
力PSになるのを待ち、PTがPSに到達するとステッ
プ515でパージ制御弁15を閉弁する。
【0078】これにより、キャニスタと燃料タンクとの
圧力差は急激に減少するため燃料タンク内圧低下速度Δ
Pも低下し、最低圧力に到達すると低下速度ΔPはゼロ
になる。本実施形態では、ステップ517、519で燃
料タンク内圧低下速度ΔPがゼロになる(燃料タンク内
圧が最低圧力に到達する)まで待機し、ステップ521
ではΔP=0になったときにCCV17を閉弁してパー
ジ系を密閉する。ΔP=0となった時点では、キャニス
タと燃料タンクとの圧力差はゼロになっているため、ス
テップ521でCCV17が閉弁された状態では、キャ
ニスタと燃料タンクとの圧力差は無く、パージ系内圧は
均一な圧力となる。
【0079】次に、ステップ523ではこの状態から燃
料タンク内圧PTが上昇して測定開始圧力PSに到達す
るまで待機し、PTがPSに到達したときにステップ5
25でパージ系内圧上昇速度ΔPLを測定する。そし
て、ステップ527では、ステップ525で測定したΔ
PLの値を判定値ΔPL0と比較することによりパージ
系の異常の有無の仮判定を行い。ΔPL≦ΔPL0の場
合にはステップ529で正常判定を行うとともに、ΔP
L>ΔPL0の場合には、ステップ531以下の燃料蒸
発速度の検出を行う。ステップ525からステップ54
3の各操作は、図3ステップ321からステップ337
の各操作とそれぞれ同一の操作である。
【0080】(3)第3の実施形態 次に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施
形態では、上述の第1と第2の実施形態とは異なり負圧
導入時にのみキャニスタと燃料タンクとを流路抵抗の小
さいバイパス通路で接続することにより、キャニスタ部
分と燃料タンク内圧との圧力差を低減する。前述したよ
うに、燃料タンクとキャニスタとを接続するブリーザ−
配管13には、給油弁131と、給油弁をバイパスして
キャニスタとブリーザー配管13とを接続する連通孔が
設けられている。パージ系への負圧導入時には給油弁1
31は閉弁しており、ブリーザ配管13とキャニスタ1
0とは小径の連通孔のみにより接続されている。このた
め、キャニスタ10と燃料タンク11とを接続するブリ
ーザー配管13の流路抵抗は、連通孔の絞り抵抗により
かなり大きくなっている。
【0081】負圧導入時のキャニスタ部分と燃料タンク
との圧力差は、燃料タンクからブリーザ配管を通ってキ
ャニスタに流入する気体の圧損により生じるため、ブリ
ーザ配管13の流路抵抗が大きいと、キャニスタ部分と
燃料タンクとの圧力差もそれに応じて大きくなり、パー
ジ制御弁15閉弁後の燃料タンク内圧低下幅も大きくな
る。
【0082】従って、ブリーザー配管13と給油弁13
1(及び連通孔)をバイパスしてキャニスタ10と燃料
タンク11とを接続する、絞り等を有さないバイパス通
路を設け、負圧導入時のみこのバイパス通路でキャニス
タと燃料タンクとを連通し、負圧導入時の燃料タンクと
キャニスタとの間の流路抵抗を大幅に低減することによ
り、負圧導入時のキャニスタ部分と燃料タンクとの圧力
差を小さくすることが可能となる。
【0083】負圧導入時にバイパス通路でキャニスタと
燃料タンクとを接続することにより、例えば、従来と同
様に燃料タンク内圧が測定開始圧力になったときにパー
ジ制御弁15を閉弁した場合でも、パージ制御弁閉弁時
のキャニスタ部分と燃料タンク内との圧力差は極めて小
さくなるため、パージ制御弁閉弁後の燃料タンク内圧低
下幅は小さくなり、燃料タンク内圧は、パージ制御弁閉
弁後短時間で測定開始圧力に到達するようになる。
【0084】図6は、バイパス通路及び負圧導入弁の概
略構成を説明する図である。図6において、図1と同じ
参照符号は図1と同一の要素を示している。図6では、
ブリーザ配管13とは別に、ブリーザ配管13と給油弁
131とをバイパスして、キャニスタ10と燃料タンク
11とを直接接続するバイパス通路601が設けられて
いる。また、バイパス通路601上には通常時は閉弁し
てバイパス通路601を閉塞するとともに、負圧導入時
には開弁してバイパス通路601によりキャニスタ10
と燃料タンク11とを連通する負圧導入弁603が設け
られている。
【0085】負圧導入弁603は、例えば燃料タンク1
1に常時連通するタンク室603cと、ダイヤフラム弁
体603aを介してタンク室603cと隔てられたダイ
ヤフラム室603bを備えている。また、ダイヤフラム
室603bは絞り607aを有する連通配管607によ
りキャニスタ10のパージ通路14接続部近傍に接続さ
れている。ダイヤフラム弁体603aは、ダイヤフラム
室603b内の圧力がタンク室603c内の圧力より所
定値だけ低くなるとダイヤフラム室603b側に変位し
てバイパス通路601を開放して燃料タンク11とキャ
ニスタ10とを直接連通する。パージ系への負圧導入
中、キャニスタ10の圧力が低下すると、キャニスタ1
0に連通配管607により接続されたダイヤフラム室6
03bの圧力も低下する。一方、タンク室603cには
燃料タンク11内圧が作用している。このため、キャニ
スタ10内圧が低下して燃料タンク11内圧との間に所
定の圧力差が生じるとダイヤフラム弁体603aが開弁
し、キャニスタ10と燃料タンク11とはバイパス通路
601により直接連通する。バイパス通路601には給
油弁131の連通孔などのような絞りは設けられていな
いため流路抵抗は極めて小さくなっている。このため、
負圧導入弁603が開弁すると燃料タンク11内の気体
はバイパス通路601を通ってキャニスタ10に流入す
るようになり、キャニスタ10と燃料タンク内との圧力
差は極めて小さくなる。
【0086】キャニスタ10と燃料タンク11との圧力
差が小さくなり、ダイヤフラム弁体603aの開弁圧力
を下回るとダイヤフラム弁体603aは閉弁し、バイパ
ス通路601は閉塞されるため、キャニスタ10と燃料
タンク11とは再びブリーザ配管13のみにより連通す
るようになる。ブリーザ配管13の流路抵抗は比較的大
きいため、この状態では再びキャニスタ10と燃料タン
ク11との間に大きな圧力差が生じ、負圧導入弁603
の弁体603は再度開弁する。このため、負圧導入中は
負圧導入弁603は開閉を繰返すが、それによりキャニ
スタ10と燃料タンク11とには大きな圧力差は生じな
い。連通配管607の絞り607aは、連通配管607
を通る流れを制限することにより負圧導入弁603のダ
イヤフラム室603b内の圧力変動を減衰させ、ダイヤ
フラム弁体603aの開弁時間を長くするために設けら
れている。
【0087】このように、負圧導入時のみキャニスタ1
0と燃料タンク11とを直接接続する流路抵抗の小さい
バイパス通路601を設けたことにより、パージ系への
負圧導入中キャニスタ10と燃料タンク11との圧力差
は常に小さな値に維持されるため、パージ制御弁閉弁後
の燃料タンク内圧低下幅は小さくなり、燃料タンク内圧
が測定開始圧力に到達するまでの時間は大幅に短縮され
る。
【0088】なお、図6の例では負圧導入弁として、キ
ャニスタと燃料タンクとの圧力差に応じて開弁するダイ
ヤフラム式弁を用いたが負圧導入弁としては、負圧導入
中にのみ開弁させることができる形式の弁であれば他の
形式の弁も使用可能であり、例えばソレノイドなどのア
クチュエータにより開閉駆動される弁を使用してもよ
い。
【0089】図7は、本実施形態のエバポパージシステ
ム故障診断操作を説明するフローチャートである。本操
作はECU30により実行される。図7の故障診断操作
は、従来と同一の操作である。すなわち、機関運転中に
故障診断実行条件が成立すると(ステップ701)、C
CV17を閉弁してパージ系に吸気通路の負圧を導入し
(ステップ703)、燃料タンクの圧力センサ33で検
出した燃料タンク内圧PTが測定開始圧力PSに到達し
た時点でパージ制御弁15を閉弁してパージ系を密閉す
る(ステップ705、707)。
【0090】そして、パージ系内圧が均一化した後(ス
テップ709、711)に燃料タンク内圧PTが再び測
定開始圧力PSになったときに(ステップ713)、パ
ージ系内圧上昇速度ΔPLを測定する(ステップ71
5)。そして、ΔPLの値に基づいてエバポパージシス
テムの異常有無の仮判定を行い(ステップ717)、正
常判定(ステップ719)、または燃料蒸発速度ΔPV
検出(ステップ721から727)とΔPVに基づく判
定(ステップ729かさ733)を行う。
【0091】なお、ステップ701から703の操作は
図3のステップ301から303の操作と、また、ステ
ップ709から733の操作は図3のステップ313か
ら337の操作と、それぞれ同一の操作である。
【0092】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、パージ
系内に吸気通路の負圧を導入してエバポパージシステム
の故障診断を行う際に、故障診断に要する時間を短縮し
キャニスタのパージに与える影響を最小限にすることが
可能となる共通の効果をそうする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関のエバポパージシス
テムに適用した実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】パージ制御弁閉弁圧力PCの設定値と燃料タン
ク内圧低下速度ΔPとの関係の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるエバポパージ
システム故障診断操作を説明するフローチャートであ
る。
【図4】CCVの開弁圧力POの設定値と燃料タンク内
圧低下速度ΔPとの関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるエバポパージ
システム故障診断操作を説明するフローチャートであ
る。
【図6】本発明の第3の実施形態の概略構成を説明する
図である。
【図7】本発明の第3の実施形態におけるエバポパージ
システム故障診断操作を説明するフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1…吸気通路 10…キャニスタ 11…燃料タンク 15…パージ制御弁 17…CCV 30…電子制御ユニット(ECU) 33…圧力センサ 100…内燃機関本体 131…給油弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 敏弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 2G087 AA19 BB25 CC11 EE21 FF23 3G044 BA22 DA02 DA03 DA04 EA18 EA32 EA53 EA55 FA04 FA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着
    するキャニスタと、該キャニスタを大気に連通する大気
    導入弁と、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記
    キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと
    機関吸気通路とを接続するパージ通路と、該パージ通路
    に配置されたパージ制御弁と、 機関運転中に前記大気導入弁を閉弁して前記パージ制御
    弁を開弁し、前記燃料タンクとキャニスタとベーパ通路
    とパージ通路とを含むパージ系に吸気通路負圧を導入す
    ることにより、前記パージ系の内圧を低下させて前記パ
    ージ制御弁を閉弁することにより前記パージ系内圧を所
    定圧力以下の負圧状態で密閉する負圧密閉手段と、 該負圧密閉状態のパージ系内圧が上昇して前記所定圧力
    に到達した後のパージ系内圧変化に基づいてエバポパー
    ジシステムの故障の有無を判定する判定手段と、を備え
    たエバポパージシステムの故障診断装置において、 前記負圧密閉手段は、 燃料タンク内圧を検出する圧力検出手段と、 前記圧力検出手段で検出した燃料タンク内圧が、前記所
    定圧力より高い所定の閉弁圧力まで低下したときに前記
    パージ制御弁を閉弁してパージ系を密閉する負圧導入手
    段と、 前記圧力検出手段で検出した、前記吸気通路負圧導入中
    の燃料タンク内圧の低下速度に基づいて前記閉弁圧力を
    設定する設定手段と、 を備えたエバポパージシステムの故障診断装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着
    するキャニスタと、該キャニスタを大気に連通する大気
    導入弁と、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記
    キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと
    機関吸気通路とを接続するパージ通路と、該パージ通路
    に配置されたパージ制御弁と、 機関運転中に前記大気導入弁を閉弁して前記パージ制御
    弁を開弁し、前記燃料タンクとキャニスタとベーパ通路
    とパージ通路とを含むパージ系に吸気通路負圧を導入す
    ることにより、前記パージ系の内圧を低下させて前記パ
    ージ制御弁を閉弁することにより前記パージ系内圧を所
    定圧力以下の負圧状態で密閉する負圧密閉手段と、 該負圧密閉状態のパージ系内圧が上昇して前記所定圧力
    に到達した後のパージ系内圧変化に基づいてエバポパー
    ジシステムの故障の有無を判定する判定手段と、を備え
    たエバポパージシステムの故障診断装置において、 前記負圧密閉手段は、 燃料タンク内圧を検出する圧力検出手段と、 前記圧力検出手段で検出した燃料タンク内圧が、前記所
    定圧力より高い所定の開弁圧力まで低下したときに前記
    大気導入弁を開弁し、前記パージ制御弁閉弁後に前記大
    気導入弁を閉弁してパージ系を密閉する負圧導入手段
    と、 前記圧力検出手段で検出した、前記吸気通路負圧導入中
    の燃料タンク内圧の低下速度に基づいて前記開弁圧力を
    設定する設定手段と、 を備えたエバポパージシステムの故障診断装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関燃料タンク内の蒸発燃料を吸着
    するキャニスタと、該キャニスタを大気に連通する大気
    導入弁と、前記燃料タンク内の燃料液面上部空間を前記
    キャニスタに接続するベーパ通路と、前記キャニスタと
    機関吸気通路とを接続するパージ通路と、該パージ通路
    に配置されたパージ制御弁と、 機関運転中に前記大気導入弁を閉弁して前記パージ制御
    弁を開弁し、前記燃料タンクとキャニスタとベーパ通路
    とパージ通路とを含むパージ系に吸気通路負圧を導入す
    ることにより、前記パージ系の内圧を低下させて前記パ
    ージ制御弁を閉弁することにより前記パージ系内圧を所
    定圧力以下の負圧状態で密閉する負圧密閉手段と、 該負圧密閉状態のパージ系内圧が上昇して前記所定圧力
    に到達した後のパージ系内圧変化に基づいてエバポパー
    ジシステムの故障の有無を判定する判定手段と、を備え
    たエバポパージシステムの故障診断装置において、 更に、前記キャニスタと燃料タンク内の液面上部空間を
    接続する、前記ベーパ通路とは別のバイパス通路と、該
    バイパス通路に配置され前記負圧密閉手段によるパージ
    系への吸気通路負圧導入時のみ開弁する負圧導入弁とを
    備え、前記負圧導入弁開弁時の前記バイパス通路の流路
    抵抗を前記ベーパ通路の流路抵抗より小さく設定した、
    エバポパージシステムの故障診断装置。
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