JP2003062747A - 磁性流体利用の加工方法およびその装置 - Google Patents

磁性流体利用の加工方法およびその装置

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JP2003062747A
JP2003062747A JP2001252447A JP2001252447A JP2003062747A JP 2003062747 A JP2003062747 A JP 2003062747A JP 2001252447 A JP2001252447 A JP 2001252447A JP 2001252447 A JP2001252447 A JP 2001252447A JP 2003062747 A JP2003062747 A JP 2003062747A
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magnetic
slurry
container
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JP2001252447A
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Hitomi Yamaguchi
ひとみ 山口
Takeo Suzumura
武男 進村
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Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 いかなる加工面にも適用可能で、精密毛細管
内面等であっても詰まることなく円滑に研磨することが
可能な磁性流体利用の加工方法およびその装置を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 低表面張力を有する磁性流体2と微細砥
粒3とを混合したスラリー1を磁場(N、S磁極6)内
にて磁力駆動し、前記スラリー1と該スラリー1内にセ
ットされた非磁性体の工作物5との間に相対運動を発生
させて前記工作物5表面を研磨ないし洗浄することを特
徴とするもので、磁力駆動によって低い表面張力を生か
して微細毛細管内を容易かつ円滑に流動する磁性流体2
の助力を受けて、スラリー1中の微細砥粒3が目詰まり
等を引き起こすことなく、円滑に微細毛細管内面を研磨
ないし洗浄することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、注射針等の薬液用
細管や医療機器および精密機器に組み込まれる流体用ノ
ズル等に多用される精密毛細管の内表面等の表面仕上げ
やバリ取りあるいは表面洗浄に適する磁性流体利用の加
工方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】注射針等の薬液用細管や医療機器および
精密機器に組み込まれる流体用ノズル等に使用される内
径1mm以下のステンレス鋼等の毛細管は、汚染物等の
不純物の滞留、付着により供給流体が詰まらないよう
に、管内壁を精密研磨する必要がある。特に、昨今の医
療機器の高機能化、高性能化の急進は目覚ましく、毛細
管内壁には更なる高精度仕上げ面が要求されるようにな
っている。現在、管の内壁を研磨する方法としてはホー
ニングや電解研磨法等が採用されているが、ホーニング
研磨法では管内に研磨工具等を挿入する必要があって、
研磨できる管径に限界があった。また、電解研磨法では
研磨加工中に溶解物が円滑に流出せずに加工不良が生じ
る虞れが生じ、これも研磨できる管径に限界があり、い
ずれの方法も精密毛細管内面の研磨には不向きであっ
た。このようなことから、精密毛細管内面等の研磨は非
常に困難とされ、新しい研磨法の開発が望まれていた。
【0003】本件発明者らは、磁気援用研磨法の精密部
品への適用について鋭意研究を重ねてきているところで
あるが、近年、磁性流体を用いた研磨方法が提案され
た。1例として、特開平11−165268号公報に開
示されたものがある。これは、磁性流体を研磨に採用し
た、特開平11−135466号公報等に開示された研
磨装置を改良するものとして、被加工物の加工面の形状
に合わせて固化もしくはゲル化された研磨材を用い、該
研磨材と被加工物との間で機械的振動等による相対運動
を生じさせるように構成したもので、磁界によって砥粒
の配列を制御可能な磁性流体に交番磁界を付与すること
によって相対運動を起こし、また、研磨材がプラスまた
はマイナスの電荷を帯電する砥粒を含有する流体であっ
て、電界を与えた状態で固化もしくはゲル化された場合
は、交番電界を与えることによって相対運動を行わせ、
立体的な3次元の任意の方向における厳密な寸法制度が
要求される研磨に利用できることとなった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記磁
性流体を用いた研磨方法では、磁性流体が、被加工物に
おける立体的な3次元方向加工面の形状に合わせて固化
もしくはゲル化された研磨材として充填されて用いられ
るものであるため、加工面が限定される他、精密毛細管
内面等を円滑に研磨するには依然として不向きであっ
た。
【0005】そこで、本発明では、いかなる加工面にも
適用可能で、精密毛細管内面等であっても詰まることな
く円滑に研磨することが可能な磁性流体利用の加工方法
およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、第1の発明
は、低表面張力を有する磁性流体と微細砥粒とを混合し
たスラリーを磁場内にて磁力駆動し、前記スラリーと該
スラリー内にセットされた非磁性体の工作物との間に相
対運動を発生させて前記工作物表面を研磨ないし洗浄す
ることを特徴とする磁性流体利用の加工方法にある。ま
た本発明は、前記微細砥粒は、工作物の加工表面におけ
る微細凹凸より大きな粒径で、かつ前記磁性流体に対し
て沈殿しない程度に小比重のものが選定されることを特
徴とする。また本発明は、前記磁性流体と微細砥粒との
混合割合を変更してスラリーの研磨特性ないし洗浄特性
を調整することを特徴とする。また第2の発明は、低表
面張力を有する磁性流体と微細砥粒とを混合したスラリ
ーおよび非磁性体の工作物を収容した容器と、前記容器
外に近接設置された少なくとも1個の磁石と、これら容
器と磁石との間に相対運動を発生させる駆動装置とを備
えたことを特徴とする。また本発明は、前記容器を環状
に構成するとともに、円板上に少なくとも1個の磁石を
設置し、前記容器と磁石との間に回転による相対運動を
発生させるように構成したことを特徴とする。また本発
明は、前記少なくとも1個の磁石が設置された円板側を
モータ駆動により回転駆動するように構成したことを特
徴とする。また本発明は、前記工作物の加工表面を、前
記容器と磁石との間の相対運動方向に対して所定の角度
で傾斜させてセットすることを可能に構成したことを特
徴とする。また本発明は、前記容器と磁石との間に形成
される加工間隙を調整可能に構成したことを特徴とす
る。また本発明は、前記磁石が永久磁石あるいは電磁コ
イルもしくはこれらの組合せから磁場発生源を構成する
とともに、それらの磁場の大きさを変動調整可能に構成
したことを特徴とする。また本発明は、前記容器と磁石
との間の相対運動の大きさを変動させて、磁場変動の大
きさを調整可能に構成したことを特徴とする。また本発
明は、前記工作物が精密毛細管であることを特徴とする
もので、これらを課題解決のための手段とするものであ
る。
【0007】
【実施の形態】以下、本発明の磁性流体利用の加工方法
およびその装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説
明する。図1〜図3は本発明の磁性流体利用の加工方法
およびその装置の1実施の形態を示すもので、図1は本
発明の加工方法の3次元模式図および加工原理を示す斜
視図、図2は加工部拡大平面図、図3は実験装置の全景
写真である。本発明の磁性流体利用の加工方法は、図1
(B)に示すように、低表面張力を有する磁性流体2と
微細砥粒3とを混合したスラリー(混合液)1を磁場内
にて磁力駆動し、前記スラリー1と該スラリー1内にセ
ットされた非磁性体の工作物5との間に相対運動を発生
させて前記工作物5表面を研磨ないし洗浄することを特
徴とする。
【0008】<加工原理および実験装置>図1(A)
は、毛細管の内面研磨実験の前段階として、砥粒の加工
痕等の観察がし易い板状工作物を用いて加工実験をした
際の実験装置であり、基本的な加工特性の解明を目的と
して研磨実験を行った。実験装置は、低表面張力を有す
る磁性流体2と微細砥粒3とを混合したスラリー1およ
び板状で非磁性体の工作物5を収容した容器4と、前記
容器4外に近接設置された少なくとも1個の磁極(図示
の例では容器4外に対向して設置された少なくとも1組
のN極、S極からなる磁石)6と、これら容器4と磁石
6との間に相対運動を発生させる駆動装置とを備えたも
ので、図示の例では、前記容器4を環状に構成するとと
もに、円板7上に少なくとも1個の磁石6(図示の例で
はN極、S極からなる一対の磁石が2組)を設置し、前
記容器4と磁石6との間に回転による相対運動を発生さ
せるように構成し、円板7側をモータ8の駆動により回
転駆動するように構成した。
【0009】磁性流体は非常に微細なフェライト系の強
磁性粒子(マグネタイト粒子等)を水や油等に混入させ
たものであり、その成分は主に磁性粒子、界面活性剤、
溶媒の3つから構成される。磁性粒子は粒径が10nm
程度の超微粒子である。界面活性剤の役割について説明
すると、近接する強磁性の粒子同士間には磁気力やファ
ン・デル・ワールス力が吸引力として作用するため、粒
子の合体、凝集が生じて遂には固体と液体とが分離して
しまうため、これを防止するために界面活性剤が用いら
れて、磁性粒子と溶媒との融合による安定した分散が図
られる。
【0010】溶媒中に粒子を混入させると、粒子が重力
の作用により沈降したり、非一様磁場中で強磁場の方向
に粒子が吸引されて、粒子の数密度分布に偏りが生じ
る。これを防ぐためにブラウン運動が利用される。ブラ
ウン運動とは、静止流体中を球形粒子が沈降する際、粒
子径が小さいと液体分子の乱雑な熱運動によって粒子が
ランダムな運動を始めるようになる。そして、遂には粒
子は全く方向性を持たない複雑な運動を繰り返して沈降
しなくなる現象である。また、磁性粒子の粒子径を5〜
10nmとしたのは、アインシュタインの関係式より、
水中で粒子を分散させた場合、重力場で一様な分散を保
つためには、粒子径を10nm、磁場の作用下におかれ
ている場合では、粒子径を5nmのオーダーまで微細化
する必要があることが分かっているからである。これら
のことから、磁性粒子は流体中で安定な分散を保ってい
る。以上のことにより、磁性流体には、合体や凝集を起
こして沈降することなく、流体中で安定な分散を保ち、
流体でありながら、磁石の性質を有するというきわめて
興味深い現象が生じるものである。
【0011】磁性流体2と微細砥粒3とから構成される
スラリー1を容器4内に供給すると、スラリー1は容器
4の外部に設置された永久磁石6により磁化され磁力を
発生する。一方、永久磁石6を搭載した回転テーブル
(円板)7を駆動装置であるモータ8により高速回転す
ると、スラリー1は磁場の変動に追従して容器4内を回
転流動する。このとき、容器4内に工作物5を固定して
おくと、スラリー1は流動しながら工作物表面に対して
相対運動を得て、その表面を微細加工する。したがっ
て、本発明による加工方法の加工特性はスラリー1の流
動性に依存するものと考えられる。
【0012】前記スラリー1の流動性は、スラリー1に
作用する磁力に左右され、該磁力は容器4内の磁場分布
によって決められる。本装置の場合、容器4内の磁場分
布は、容器4と磁極6との位置関係、磁極配置および磁
極6の変動速度を変更することで決定され、それらは、
前記容器と磁石との間に形成される加工間隙を調整可能
に構成される(例えば、図1(B)におけるヨーク10
に長孔を穿設し、該長孔の適宜位置に磁極6を位置調整
可能に固定することで、図面の左右方向における容器4
に対する磁極6の位置を調整可能にした。また、図2に
示すように、容器4内にセットされる工作物5について
は、スラリー1の流動性を大きく妨げない限りにおい
て、工作物5の加工表面を、前記容器4と磁石6との間
の相対運動方向に対して所定の角度で傾斜させることに
よって、スラリー1との衝接を促進して研磨特性を向上
させることができる。また、工作物5を容器4内にセッ
トするためのジグ9については、流動特性を低下させて
泡等の発生のないような形状が採用される。
【0013】また、前記磁性流体2と微細砥粒3との混
合割合を変更してスラリー1の研磨特性ないし洗浄特性
を調整することもできる。さらには、前記磁石6が永久
磁石から構成される他、電磁コイルもしくは永久磁石と
電磁コイルとの組合せから磁場発生源である磁極が構成
されるとともに、それらの磁場の大きさを変動調整可能
に構成することもできる。そして、モータ8等の駆動装
置における回転制御を行うことにより、前記容器4と磁
石6との間の相対運動の大きさを変動させて、磁場変動
の大きさを調整することもできる。図3はこのようにし
て構成された実験装置の全景写真である。
【0014】<実験条件および実験方法>前記実験装置
により、毛細管内壁面の加工実験の前段階として、板状
工作物を対象として加工実験を行い、表面形状の時間的
変化を調べ、スラリーの加工挙動を検討した。図4に実
験条件を示す。工作物にはC#4000の研磨紙を用い
て表面粗さ0.4μmRy程度に仕上げたC3604黄
銅板を採用した。磁性流体に混入する微細砥粒には、平
均粒径4〜30μmの4種類のWA砥粒を準備した。本
加工法による加工量は僅少であり、測定がきわめて困難
であったため、図5に示すように、工作物表面形状の3
か所における時間的変化を調べ、加工特性を検討するこ
ととした。表面形状の測定には表面粗さ測定機を用い、
測定方向はスラリーの流動方向に対して垂直方向とし
た。
【0015】<加工特性に関する実験的検討>図6に、
代表的にWA#3000の場合における加工前後のb点
(図5)における表面形状を示す。比較のため、磁性流
体のみによる実験結果も併記した。図6(a)に示すよ
うに、WA#3000の場合には、加工前から存在して
いた微小凹部が加工により成長し、深くなっている。こ
れは、小径砥粒が表面の微小凹部に進入し、砥粒に作用
する遠心力と加工圧として除去加工に関与し、凹部をさ
らに掘り下げたためと推察される。一方、磁性流体のみ
の場合には、加工前に存在した極微小凹凸が僅かに除去
されたに過ぎず、加工前後の表面形状には殆ど変化が見
られていない(図6(b))。以上の実験結果により、
本加工法では、磁性流体の流体挙動だけでは加工作用は
得られず、磁性流体に混入された砥粒により表面が微細
加工されることが明らかとなった。
【0016】なお、図7に示すように、測定箇所によっ
ては凹部の極端な成長も観察された。この事象は別途の
WA#1500においても観察されたが、砥粒径が大き
いWA#800とWA#400の場合には観察されなか
った。また、後者の場合には、表面の凹部だけでなく凸
部に対しても積極的に加工が進行したことが観察され
た。これらの結果より、加工面の創成機構が加工面の微
小凹凸形状と砥粒径の関係に大きく左右されることも明
らかとなった。また、上記実験結果から工作物表面を平
滑化するためには、工作物の表面凹部に砥粒が入らない
ように砥粒径を大きくする必要があるが、砥粒径を大き
くすると加工中に砥粒が容器の底に沈殿してしまう。そ
こで、WA砥粒に比較して比重が軽くて硬いダイヤモン
ド砥粒を用いた実験を別途行ったところ、WA砥粒の場
合と同様の加工能力があることが確認できた。
【0017】かくして、低表面張力を有する磁性流体と
微細砥粒とを混合したスラリーを磁場内にて磁力駆動
し、前記スラリーと該スラリー内にセットされた非磁性
体の工作物との間に相対運動を発生させる本加工法によ
れば、新しい微細表面加工技術を提案するとともに、加
工原理を解明して実験装置を開発し、板状工作物を用い
て加工特性を実験的に検討した結果、加工面の微小凹凸
と砥粒径の関係により、加工面の創成機構に差異は生じ
るものの、微細加工の可能性を示すことができ、精密毛
細管の内表面等の表面仕上げやバリ取りあるいは表面洗
浄に充分に適用できることが確認された。また、詳述は
しないが、砥粒の種類および粒径を選定することで、表
面の平滑加工にも適用できることも確認されている。
【0018】以上、本発明の実施の形態について説明し
てきたが、本発明の趣旨の範囲内で、磁性流体について
は磁気感応性を有する種々の種類のもの(コバルト、ニ
ッケル、鉄等の強磁性粒子を水や油等に混入させたも
の)が採用可能であり、微細砥粒についても磁性流体に
混合、分散できれば種類、粒度および比重に制限はな
い。また、磁性流体と微細砥粒との混合割合、容器の形
状、磁石の形状、形式およびその配列形態ならびに磁場
の変動形態、容器と磁石との間の相対運動形態(円運動
以外に往復振動等、また、容器側を駆動してもよいし、
磁石側を駆動してもよい)、相対運動を生じさせる駆動
装置(モータ駆動以外にのみならず油圧、空気圧でもよ
いし、工具挙動をより活発にするためパルスモータによ
る非等速回転や回転方向制御がなされてもよい)の形
式、傾斜角度を含む容器内における工作物のセット形
態、そのためのジグの形状、形式、容器と磁石との間の
加工間隙の調整形態、磁場の大きさの変動調整形態(永
久磁石および電磁石が設置された円板の回転数制御によ
る周波数変動により磁場を変動制御したり、電磁石が設
置された場合は、回転数制御に優先させて電磁石のラン
ダムな電流制御により励磁力を変動させて磁場をランダ
ムに変動制御してもよい。)、精密毛細管等の工作物の
種類等については適宜選定できる。
【0019】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明で
は、低表面張力を有する磁性流体と微細砥粒とを混合し
たスラリーを磁場内にて磁力駆動し、前記スラリーと該
スラリー内にセットされた非磁性体の工作物との間に相
対運動を発生させて前記工作物表面を研磨ないし洗浄す
ることにより、磁力駆動によって低い表面張力を生かし
て微細毛細管内を容易かつ円滑に流動する磁性流体の助
力を受けて、スラリー中の微細砥粒が目詰まり等を引き
起こすことなく、円滑に微細毛細管内面を研磨ないし洗
浄することが可能となる。
【0020】また、前記微細砥粒は、工作物の加工表面
における微細凹凸より大きな粒径で、かつ前記磁性流体
に対して沈殿しない程度に小比重のものが選定された場
合は、工作物の表面平滑化の実現が可能となる。さら
に、前記磁性流体と微細砥粒との混合割合を変更してス
ラリーの研磨特性ないし洗浄特性を調整する場合は、工
作物の種類に対応させて最適な研磨等の加工特性を容易
に得ることが可能となる。さらにまた、低表面張力を有
する磁性流体と微細砥粒とを混合したスラリーおよび非
磁性体の工作物を収容した容器と、前記容器外に近接設
置された少なくとも1個の磁石と、これら容器と磁石と
の間に相対運動を発生させる駆動装置とを備えたことに
より、工作物とスラリーとの間に相対運動させること
で、種々の工作物のあらゆる加工面の研磨ないし洗浄に
対応できる汎用性のある磁性流体利用の加工装置が得ら
れる。
【0021】また、前記容器を環状に構成するととも
に、円板上に少なくとも1個の磁石を設置し、前記容器
と磁石との間に回転による相対運動を発生させるように
構成した場合は、回転駆動という単純な相対運動により
工作物のあらゆる加工面の研磨ないし洗浄ができる。さ
らに、前記少なくとも1個の磁石が設置された円板側を
モータ駆動により回転駆動するように構成した場合は、
工作物がセットされた容器側を静止、固定させたままで
加工作業ができるので、加工中での工作物の傾斜角度の
変更調整等が容易にできる。さらにまた、前記工作物の
加工表面を、前記容器と磁石との間の相対運動方向に対
して所定の角度で傾斜させてセットすることを可能に構
成した場合は、スラリーとの衝接を促進して研磨特性を
向上させることができる。
【0022】また、前記容器と磁石との間に形成される
加工間隙を調整可能に構成した場合は、磁石による磁性
流体への磁力を微妙に調整することが可能となり、円運
動等により生じる充分な周速度が得られる等、容器内に
おけるきめ細かな大きさの加工力を発生させることがで
きる。さらに、前記磁石が永久磁石あるいは電磁コイル
もしくはこれらの組合せから磁場発生源を構成するとと
もに、それらの磁場の大きさを変動調整可能に構成した
場合は、選択する磁石の設計の自由度が向上する他、永
久磁石における回転数制御による磁場変動制御に優先さ
せて電磁石の電流制御により励磁力を変動させて磁場を
変動制御させる等、より精密な磁場制御も可能となる。
さらにまた、前記容器と磁石との間の相対運動の大きさ
を変動させて、磁場変動の大きさを調整可能に構成した
場合は、工作物および工具であるスラリーとの関係に応
じて磁場における磁力を制御して研磨力を適正に制御す
ることが可能となる。
【0023】また、前記工作物が精密毛細管である場合
は、低い表面張力を生かして微細毛細管内を容易かつ円
滑に流動するスラリーにより、目詰まり等を引き起こす
ことなく、円滑に微細毛細管内面を研磨ないし洗浄する
ことが可能となる。このように本発明によれば、いかな
る加工面にも適用可能で、精密毛細管内面等であっても
詰まることなく円滑に研磨することが可能な磁性流体利
用の加工方法およびその装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性流体利用の加工方法およびその装
置の1実施の形態を示すもので、図1(A)は本発明の
加工方法の3次元模式図、図1(B)は加工原理を示す
斜視図である。
【図2】同、加工部拡大平面図である。
【図3】同、実験装置の全景写真である。
【図4】同、実験条件図である。
【図5】工作物における測定箇所説明図である。
【図6】WA#3000の場合の加工前後のb点の表面
形状図である。
【図7】WA#3000の場合のb点以外のポイントの
加工前後の表面形状図である。
【符号の説明】
1 スラリー(混合液) 2 磁性流体 3 微細砥粒 4 容器 5 工作物 6 磁極 7 円板 8 モータ(駆動装置) 9 ジグ 10 ヨーク

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低表面張力を有する磁性流体と微細砥粒
    とを混合したスラリーを磁場内にて磁力駆動し、前記ス
    ラリーと該スラリー内にセットされた非磁性体の工作物
    との間に相対運動を発生させて前記工作物表面を研磨な
    いし洗浄することを特徴とする磁性流体利用の加工方
    法。
  2. 【請求項2】 前記微細砥粒は、工作物の加工表面にお
    ける微細凹凸より大きな粒径で、かつ前記磁性流体に対
    して沈殿しない程度に小比重のものが選定されることを
    特徴とする請求項1に記載の磁性流体利用の加工方法。
  3. 【請求項3】 前記磁性流体と微細砥粒との混合割合を
    変更してスラリーの研磨特性ないし洗浄特性を調整する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁性流体利
    用の加工方法。
  4. 【請求項4】 低表面張力を有する磁性流体と微細砥粒
    とを混合したスラリーおよび非磁性体の工作物を収容し
    た容器と、前記容器外に近接設置された少なくとも1個
    の磁石と、これら容器と磁石との間に相対運動を発生さ
    せる駆動装置とを備えたことを特徴とする磁性流体利用
    の加工装置。
  5. 【請求項5】 前記容器を環状に構成するとともに、円
    板上に少なくとも1個の磁石を設置し、前記容器と磁石
    との間に回転による相対運動を発生させるように構成し
    たことを特徴とする請求項4に記載の磁性流体利用の加
    工装置。
  6. 【請求項6】 前記少なくとも1個の磁石が設置された
    円板側をモータ駆動により回転駆動するように構成した
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の磁性流体利
    用の加工装置。
  7. 【請求項7】 前記工作物の加工表面を、前記容器と磁
    石との間の相対運動方向に対して所定の角度で傾斜させ
    てセットすることを可能に構成したことを特徴とする請
    求項4ないし6のいずれかに記載の磁性流体利用の加工
    装置。
  8. 【請求項8】 前記容器と磁石との間に形成される加工
    間隙を調整可能に構成したことを特徴とする請求項4な
    いし7のいずれかに記載の磁性流体利用の加工装置。
  9. 【請求項9】 前記磁石が永久磁石あるいは電磁コイル
    もしくはこれらの組合せから磁場発生源を構成するとと
    もに、それらの磁場の大きさを変動調整可能に構成した
    ことを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載の
    磁性流体利用の加工装置。
  10. 【請求項10】 前記容器と磁石との間の相対運動の大
    きさを変動させて、磁場変動の大きさを調整可能に構成
    したことを特徴とする請求項4ないし9のいずれかに記
    載の磁性流体利用の加工装置。
  11. 【請求項11】 前記工作物が精密毛細管であることを
    特徴とする請求項4ないし10のいずれかに記載の磁性
    流体利用の加工装置。
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