JP2002283216A - 楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒 - Google Patents

楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒

Info

Publication number
JP2002283216A
JP2002283216A JP2001089143A JP2001089143A JP2002283216A JP 2002283216 A JP2002283216 A JP 2002283216A JP 2001089143 A JP2001089143 A JP 2001089143A JP 2001089143 A JP2001089143 A JP 2001089143A JP 2002283216 A JP2002283216 A JP 2002283216A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
polishing
vibration
abrasive grains
polishing method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001089143A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002283216A5 (ja
Inventor
Takeo Suzumura
武男 進村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP2001089143A priority Critical patent/JP2002283216A/ja
Publication of JP2002283216A publication Critical patent/JP2002283216A/ja
Publication of JP2002283216A5 publication Critical patent/JP2002283216A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な表面形状を有する金型等のワークであ
っても、加工量の増大と高い平滑化効果が得られる楕円
振動活用の磁気研磨方法およびその装置を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 磁界内に配置したワーク2の表面を磁区
に沿って磁力結合された多数の磁性砥粒3からなる粒子
ブラシ4により研磨する磁気研磨方法において、前記粒
子ブラシ4とワーク2との間を上下方向および水平方向
(前後あるいは左右方向、もしくは前後方向および左右
方向)に同時に振動あるいは揺動させて磁気研磨する楕
円振動により相対運動させることを特徴とするもので、
複雑な表面形状を有する金型等のワーク2であっても、
加工量の増大と高い平滑化効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子間での分離・
結合が容易でしかも大きなフレキシブル性を有するとこ
ろの、磁性砥粒を磁力結合させた粒子ブラシによって微
細凹凸面を有する精密金型等のワーク表面の仕上げ加工
を機械化・自動化・省力化できる新しい加工方法および
加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金型技術の特長は、1個の型から多数個
の同一製品を製作できる点にあり、人類が発明した卓越
技術の一つである。3D高速ミリング加工あるいは3D
放電加工により各種寸法形状の金型製作が可能になって
いるが、最終の仕上げ加工の多くは金型形状の複雑化の
ために手加工(手作業)に依存している。このため、仕
上面品質の均一安定化とコストの低廉化を実現できる新
しい仕上げ技術の創出が切望されている。このような複
雑な表面形状を有する金型における表面の精密仕上げ加
工技術の一つとして、粒子ブラシがある。粒子ブラシ
は、互いに磁力結合された磁性砥粒から形成されてお
り、ブラシの途中から分離と連結を繰り返すことがで
き、しかもブラシ先端が工作物凹凸面に倣って自由に変
形しながら金型凹凸面の表面仕上げ加工を実現する特長
をもっている。
【0003】粒子ブラシの1例を示すと、図26に示す
ように、電磁コイルを利用した閉磁気回路の一部に磁場
空間を設定し、工具側磁極(図面N極側)と工作物側で
ある金型表面の加工間隙に磁性砥粒(図示省略)を充填
する。次に、図27のように、磁極(工具)を高速回転
しながら移動していくと、磁極側に(磁区に沿って)磁
気吸引されている粒子ブラシ(磁性砥粒により構成され
るブラシ)も高速回転・移動し、工作物表面との間に相
対運動を発生して工作物面を鏡面仕上げする。図27の
左上方に、加工前後の表面粗さを示す。加工後の表面は
鏡面に仕上げられる。このときの粒子ブラシはワイヤブ
ラシのような連続体からなるブラシではなく、粒子が磁
気力によって吸引され、数珠繋ぎ形態となって粒子同士
の分離・連結を可逆的に繰り返すことができる極めてフ
レキシブルな挙動をする。その結果、金型曲面の形状に
倣って自由に変形し、工作物表面の精密仕上げにのみ関
与することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気研磨法に関するこ
れまでの研究(慣用磁気研磨法と呼ぶ)においては、磁
性砥粒に一定の研磨圧力と加工に必要な運動を発生させ
て部品の表面仕上げとエッジ仕上げを実現している。図
27に示したように、慣用磁気研磨法における加工圧力
は定圧方式であって、平滑面での研磨加工には充分な成
果が得られるものの、複雑な表面形状を有する金型の表
面加工にとって加工能率は不充分なところがあり、高能
率・高精度鏡面加工で、しかも微細金型表面などの凹凸
面を含めた広範囲にわたる加工を実現できる新しい方式
の磁気研磨法の開発が切望されている。
【0005】そこで、この社会的ニーズに応えるため鋭
意研究を重ねて、本件発明者らは定圧加工方式以外のパ
ルス研磨圧力波形を工作物表面に作用させるところの、
新しい振動磁気研磨法を着想して、本発明では、従来の
慣用磁気研磨法およびその装置の課題を解決し、複雑な
表面形状を有する金型等のワークであっても、加工量の
増大と高い平滑化効果が得られる楕円振動活用の磁気研
磨方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、磁界
内に配置したワークの表面を磁区に沿って磁力結合され
た多数の磁性砥粒からなる粒子ブラシにより研磨する磁
気研磨方法において、前記粒子ブラシとワークとの間を
上下方向および水平方向(前後あるいは左右方向、もし
くは前後方向および左右方向)に同時に振動あるいは揺
動させて磁気研磨する楕円振動により相対運動させるこ
とを特徴とする。また本発明は、前記各方向の個々の振
動振幅、振動数は工作物の寸法・形状に応じて適宜選択
制御されることを特徴とする。また本発明は、前記ワー
クが磁性材である場合には、磁性体を核として周囲に非
磁性層を被覆した磁性砥粒を用いたことを特徴とする。
また本発明は、前記磁性砥粒に遊離砥粒と加工液を加え
たことを特徴とする。また本発明は、磁極間に形成され
る閉磁気回路の磁区を横断して配設されワークを載置す
るテーブルと、前記磁区に沿って磁力結合された多数の
磁性砥粒からなる粒子ブラシを前記ワークの表面に摺接
するように構成した磁気研磨装置において、前記磁極と
テーブル間を楕円振動により相対運動させるように構成
したことを特徴とする。また本発明は、前記磁極を回転
自在に構成するとともに、前記テーブルを上下方向およ
び水平方向(前後あるいは左右方向、もしくは前後方向
および左右方向)に同時に振動あるいは揺動自在に構成
したことを特徴とする。また本発明は、スプリング装置
により原位置に復元可能に構成された前記テーブルを、
カム機構等を介したモータ駆動によって上下方向および
水平方向に振動あるいは揺動自在に構成したことを特徴
とする。また本発明は、前記楕円振動活用の磁気研磨方
法または磁気研磨装置に使用する磁性砥粒であって、該
磁性砥粒径を1とした場合に、磁気異方性を有する磁性
体を核としてその表面に0.1〜0.5程度の厚さの非
磁性層を被覆して構成したことを特徴とする。また本発
明は、前記磁性体の核を、磁性ステンレス鋼、鉄、ニッ
ケル等の強磁性材料、あるいは永久磁石により構成した
ことを特徴とする。また本発明は、前記非磁性層とし
て、プラスチック、ゴム等の軟質材料あるいは切れ刃を
もつセラミックス等の硬質材料を用いたことを特徴とす
る。また本発明は、前記非磁性層に研磨材を含有させた
ことを特徴とする。また本発明は、前記磁性砥粒を微粒
化したことを特徴とするもので、これらを課題解決のた
めの手段とするものである。
【0007】
【実施の形態】以下、本発明における楕円振動活用の磁
気研磨方法およびその装置の1実施の形態を図面に基づ
いて詳細に説明する。図1は本発明の楕円振動活用の磁
気研磨方法およびその装置の基本原理を示す概略図、図
2は装置全体の概略図、図3は実験装置の写真図であ
る。本発明の基本的な構成は、図1に示したように、磁
界内に配置したワーク2の表面を磁区に沿って磁力結合
された多数の磁性砥粒3からなる粒子ブラシ4により研
磨する磁気研磨方法において、前記粒子ブラシ4とワー
ク2との間を上下方向および水平方向(前後あるいは左
右方向、もしくは前後方向および左右方向)に同時に振
動あるいは揺動させて磁気研磨する楕円振動により相対
運動させることを特徴とする楕円振動活用の磁気研磨方
法にある。
【0008】最初に平面磁気研磨法を取り扱い、工作物
表面を上下の鉛直方向(以下、「Z方向」と呼ぶ)に振
動させる場合について論ずる。これを「パルス研磨圧力
波形を利用した振動磁気研磨法」として提案し、パルス
研磨圧力波形が加工特性に与える効果を実験的に検討し
ている。次に、Z方向に振動を重畳させながら、さらに
工作物加工面に対して水平方向(以下、「X方向」と呼
ぶ)振動を複合させて加工するZX方向複合振動(以
下、「楕円振動」と呼ぶ)の加工効果について実験的に
検討した。その結果、Z方向振動磁気研磨法は著しい加
工量増大効果を発現するが、慣用磁気研磨法による仕上
面と比較すると粗面化すること、ZX方向複合振動(楕
円振動)によって加工量増大効果を維持しながら表面の
平滑化効果が得られることを明らかにした。
【0009】「加工装置および加工条件」図2に、パル
ス研磨圧力波形を利用する平面磁気研磨法の加工装置の
模式図を示す。工具側磁極1Nと工作物2加工面との間
に一定の間隙を設定し、この加工間隙に磁性砥粒3を充
填する。充填された磁性砥粒3は加工域の磁場により磁
化されて粒子同士が数珠繋ぎ状に連結し、粒子群から成
る研磨ブラシ(以下、「粒子ブラシ4」と呼ぶ)を形成
する。次に、磁極1Nと粒子ブラシ4を回転させると同
時に、工作物2をZ方向(鉛直である上下方向)に振動
させる。広範囲にわたる加工を実現するには工作物2を
X方向(水平方向)に低速度の送り運動を与えながら加
工する。
【0010】図3は試作した振動磁気研磨装置の外観写
真で、電磁コイルを中心とする閉磁気回路および加振ユ
ニットを立てフライス盤テーブル上に搭載した写真であ
る。図2の符号を参照しつつ、電磁コイル5により発生
した磁束(磁区)15は、「コイル鉄心7―上側ヨーク
6A―回転磁極8、1N―工作物2―振動台(試料台)
11―X方向移動テーブル12―下側ヨーク6B―コイ
ル鉄心7」から構成される閉磁気回路を流れ、磁極1N
と工作物2間(加工間隙)に不均一磁場を形成してい
る。この不均一磁場により、磁性砥粒3が互いに磁力結
合して粒子ブラシ4を形成し、ブラシ先端の粒子(砥
粒)が研磨加工に関与する。
【0011】モータ9と偏心カム機構10から構成され
るZ方向加振装置によって、工作物2に一定の振動数と
振幅をもつ正弦波形の鉛直方向(Z方向)強制振動を与
え、パルス波形に近い研磨圧力を発生させる(図10
(C)(D)の実測波形を参照)。加工に関与する粒子
ブラシ4先端の磁性砥粒3には、工作物2表面近傍にお
ける磁力線方向磁力(Fm )と等磁位線方向磁力(Fh
)、および工作物をZ方向に振動させることによって
発生する力学的な変動力(Fv)が合成された力が加工
面に作用し、研磨圧力(P)となって磁気研磨加工が進
行する。従来方式との相違点は、工作物を鉛直方向に振
動させることによって、研磨圧力にパルス波形の変動成
分が混在していることにある。工作物には非磁性材の黄
銅(C2680)を用い、その前加工面は研磨紙を用い
て4.5μmRyの表面粗さに手仕上げ加工して実験に
供した。実験条件を図4に示す。
【0012】「パルス研磨圧力波形を利用した振動磁気
研磨法の加工効果」図5に、図4の表の実験条件で工作
物の行程回数を1回としたときの加工結果を示す。図5
は、加工前(図5(a))および慣用磁気研磨後(図5
(b))と振動磁気研磨後(図5(c))の加工面の金
属顕微鏡写真と表面粗さプロフィルである。振動を与え
ない慣用磁気研磨法では加工前の表面粗さ4.5μmR
yが0.45μmRyに仕上げられているが、Z方向振
動磁気研磨では0.76μmRyに仕上げられ、慣用磁
気研磨法の場合に比べて多少粗面化することが分かる。
後述の図10に示すように、振動磁気研磨法における研
磨圧力はパルス圧力波形を示しており、パルスの最大ピ
ーク値は慣用磁気研磨法の加工圧力に比べて高くなって
いる。その結果として砥粒切れ刃の食い込み深さが増大
し、加工面の最大高さ粗さ(Ry)が大きくなったもの
と考えられる。
【0013】図6に、加工の行程回数が研磨量と表面粗
さに及ぼす影響を示す。Z方向振動磁気研磨法と慣用磁
気研磨法の結果を比較して示した。両者とも研磨量は加
工回数にほぼ比例して増大する。Z方向振動の重畳によ
って研磨量が約4倍に増大することが分かる。この加工
機構については後述する。慣用磁気研磨法における表面
粗さは、4.5μmRyの前加工面粗さが1回の加工行
程で0.45μmRyに仕上げられた後、行程回数2
回、3回後にはほぼ0.4μmRyに収束する。振動磁
気研磨法では1回の加工行程で0.85μmRyに仕上
げられた後、加工行程の回数を増やしても0.7μmR
yに収束するだけである。前述したように、Z方向振動
磁気研磨法の加工面は慣用磁気研磨法の加工面に比べて
粗面化する傾向をもつ。
【0014】図7に、研磨量と表面粗さに及ぼす工作物
振動数の影響を示す。慣用磁気研磨法(振動数0Hz)
と振動磁気研磨法(振動数6Hz)の研磨量は著しく異
なることが分かる。振動磁気研磨法においては、振動数
を6Hzから24Hzへと増大させても研磨量の増加は
見られず、飽和状態から逆に僅かに減少する傾向を示し
ている。後述するように、研磨圧力の実測値が振動数の
増加とともに減少する傾向を示すためと考えられる(図
12参照)。本実験条件においては、振動数を6Hz程
度の比較的低い振動数に設定するだけで著しい加工能率
向上効果が得られることが分かる。
【0015】一方、振動磁気研磨法の表面粗さは慣用磁
気研磨法における粗さに比べて粗面化することは前述し
た通りであるが、振動数の増加とともに表面粗さは多少
増大する。表面粗さは研磨圧力が減少すれば小さくなる
はずであるが、最大高さ粗さ(1Ry)は、図10に示
すように変動するパルス圧力波形の最大圧力値に影響さ
れて決まる。具体的な実測波形を示していないが、実測
された研磨圧力は変動しており、個数としては少ない
が、パルス波形に混在する研磨圧力の最大値が振動数の
増大とともに大きくなっていったためと考えられる。振
動数を増大すると、粒子ブラシ全体とブラシ先端付近の
挙動に加速度的な効果が付与されて過大なパルス波高値
がところどころに生じたものと推定される。
【0016】図8に、研磨量と表面粗さに及ぼす振幅の
影響を示す。この場合の実験では、所定の偏心カムを設
置する関係で装置の一部を変更した。そのため加工の行
程距離を短くせざるを得ず、行程距離を25mmとして
実験した。研磨量は振幅の増大とともに大きくなり、表
面粗さは粗面化する。加工間隙を一定値(2.5mm)
に設定しているため、工作物にZ方向振動を重畳させる
と加工間隙は振動振幅の値だけ加工中変化する。加工間
隙が減少して狭くなると粒子ブラシが圧縮され、粒子ブ
ラシ特有のフレキシブル性が低下する。このため振幅の
増大とともにパルス状研磨圧力波形のピーク値も増加し
(図13参照)、結果として振幅の増大とともに研磨量
が増大し、表面粗さも粗面化したものと考えられる。
【0017】「加工機構の考察」 <パルス研磨圧力波形の発生>加工中の研磨圧力を実測
するために、図9の模式図に示すように、圧力変換素子
(受圧面:φ6mmの円形)と動ひずみ測定器(ともに
共和電業社製)を用いて測定した。測定値はサーマルア
イレコーダ(グラフテック社製)に記録させた。磁極面
積を圧力変換素子の受圧面積より大きく設定し、磁極中
心部に近い箇所の研磨圧力を測定した。測定条件を図1
0の欄外に示す。磁束密度が変化する理由は振動振幅に
よって加工間隙が変化するためである。図10に、慣用
磁気研磨法とZ方向振動磁気研磨法の測定結果を示す。
図10の欄外の条件で磁気研磨しているときの圧力波形
である。圧力変換素子には歪ゲージが使用されており、
磁場の影響を受ける危険がある。このため加工域に磁性
砥粒を供給しない状態で工作物を振動させて確認した。
その結果、圧力変換素子からの出力値はゼロであり、磁
場中での振動運動に基づく影響はないことを確認でき
た。
【0018】図10(a)(b)に、慣用磁気研磨法の
研磨圧力波形の一例を示す。図10(a)は加工間隙6
mmの場合を、図10(b)は加工間隙3mmの場合を
示している。研磨圧力は0.6kPa(加工間隙6m
m)および1.1kPa(加工間隙3mm)となり、こ
の値を中心として圧力波形は多少変動しているが、ほぼ
一定の値で研磨加工が進行していることが分かる。いわ
ゆる定圧研磨方式が実現できている。図10(c)
(d)に、工作物をZ方向に加振した振動磁気研磨法に
おける測定結果を示す。加工間隙を6mmに設定して振
動数を変化させたときの圧力波形である。図10(c)
に振動数4Hzの場合を、図10(d)に振動数18H
zの場合を示す。研磨圧力波形はパルス状になっている
ことが分かる。図中の数値は、後述の図15が示すよう
に研磨圧力波形をモデル化したときのP0(慣用磁気研
磨法における定圧研磨圧力値)、P1 (振動磁気研磨法
における平均研磨圧力値。変動成分の振幅Paは省略)
である。加工中における圧力測定の波形は大きく変動す
ることが分かる。慣用磁気研磨法の圧力は60kPa
(加工間隙6mm)と低い値を示すが、振動磁気研磨法
における波形ピーク値は300kPa程度と極めて大き
な値を示している。Z方向加振により、パルス波形に近
い研磨圧力波形が加工面に作用していることが分かっ
た。
【0019】図11は、慣用磁気研磨法における加工間
隙が磁束密度と研磨圧力に及ぼす影響を示している。加
工間隙を増大すると磁束密度が低下し、このために研磨
圧力も減少する。両者は、ほぼ同じ傾向で減少すること
がわかる。このため、図10(a)(b)に示すよう
に、加工間隙が3mmの場合の研磨圧力は,6mmの場
合の値に比べて約1.5倍に増大したものと考えられ
る。図11は、研磨圧力に及ぼす振動振幅の影響、とく
にパルス研磨圧力波形の最大値の大きさと振幅の関係
(図13)を検討するときの参考となるものである。図
12に、振動数が研磨圧力に及ぼす影響を示す。P1お
よびPaは振動磁気研磨法における平均研磨圧力値とそ
の変動成分の振幅である。変動成分Paの値は図10の
波形が示すようにかなり大きな値で変化しているが、い
くつかのピーク値を平均して求めた値である。振動数を
増加すると研磨圧力(P1およびPa)は多少減少する
傾向を示す。粒子ブラシは磁性砥粒同志の磁力結合で形
成されており、個々の磁性砥粒の連結具合が振動数の増
大とともにダイナミックに揺すられて工作物の動きに慣
らされてしまうことが原因と推測される。詳細な機構の
考察は不明であり、現在検討しているところである。図
13に振幅が研磨圧力に及ぼす影響を示す。振幅の増加
とともに研磨圧力(P1およびPa)も増大している。
この機構は、後述する粒子ブラシの挙動と密接に関係し
ている。
【0020】<粒子ブラシの挙動と研磨圧力波形の係わ
り方>図14に、振動磁気研磨法における粒子ブラシの
変形挙動の模式図を示す。Z方向振動により、工作物は
図14(a)に示す低位置から図14(b)の高位置ま
で変動する。工作物が低位置から高位置へ変位して加工
間隙が小さくなると磁束密度が大きくなり、磁力が増大
して粒子ブラシが剛性化して高い圧力を加工面に作用す
る。また、粒子ブラシの粒子群の充填密度も増加し、結
果として単位面積当たりの作用砥粒数が増加する。逆
に、高位置から低位置へ変位して加工間隙が大きくなる
と磁束密度が低下し、磁力が減少して粒子ブラシが柔軟
化して低い研磨圧力を加工面に作用させ、粒子ブラシの
粒子群の充填密度も低下して単位面積当たりの作用砥粒
数が減少する。場合によっては粒子ブラシと工作物表面
は非接触状態となり、研磨圧力はゼロを示す。この事象
により、パルス研磨圧力波形が発現する。図11に示し
た振幅と研磨圧力の関係は、この粒子ブラシの挙動に関
係して得られた結果と考えられる。
【0021】<研磨量増大効果の解析>図10の研磨圧
力波形の観測結果から、慣用磁気研磨法では図15
(a)に示すようにP0の直流部分に、極く小さな振幅
の交流成分が重畳された波形となっている。近似的に圧
力は一定値P0と見なすことができる。一方、振動磁気
研磨法における研磨圧力は、図15(b)の模式図が示
すように正弦波形(パルス波形に近い正弦波形を想定し
ている)であり、小さな直流成分に大きな正弦波形の変
動成分が重畳された波形となっている。ここでは、解析
を容易にするために、振動磁気研磨法における研磨圧力
波形p(t)を次式で表すこととする。 p(t)=p1 +pa sin2πft (1) ここに、P1、Pa:図15のようにモデル化した研磨
圧力波形の平均値および変動成分の振幅、f:振動数、
t:時間である。解析に際し、工作物加工面に接触する
粒子ブラシ先端の砥粒1個の切削作用について検討し、
この切削作用の集積として多数個の砥粒により加工面全
体の研磨が行われるものとする。解析を簡単化するため
に、砥粒切れ刃の形状を円錐形とする。砥粒切れ刃にパ
ルス研磨圧力波形が作用したときの1個の切れ刃の研磨
量は、超仕上げ加工における理論式がそのまま適用でき
るとして解析を進める。
【0022】工作物を水平方向(X方向)に送る速度は
極く低速であることから、粒子ブラシ先端の砥粒は磁極
の回転運動に追従して工作物表面上に円形の切削軌跡を
描くと見て良い。図16において、r:砥粒の回転半径
(mm)、n:磁極の回転数(min-1)、θ:回転角
度とすれば、任意点Aからの微小切削長さの研磨量は次
式で表される。 dM=(1/C)0.59ρcotα(p(t)/HV)dL (2) ここに、C:盛り上がり係数、ρ:工作物の比重、L:
切削長さ、α:切れ刃円錐角の1/2、HV:ビッカー
ス硬さである。λをZ方向振動の振動数と磁極回転数の
比60f/n)、磁極の回転初めと振動の開始初めが同
じく、両者の位相差を0とすると次式が成立する。 t=60θ/2πn=θλ/2πf (3)
【0023】式(1)と(3)を式(2)に代入して、
1/4回転について砥粒切れ刃1個の研磨量を求めると
次のようになる。 M=∫dM=∫(1/C)0.59ρcotα(1/HV)p(t)dL =(0.59/C)ρcotα(r/HV)∫0 pi/2(p1 + pa sinλ θ) dθ=(1/C)0.59ρcotα(p0 /HV )(πr/2)〔p 1 /p0 +(2pa /(πλp0 ))(1−cos(πλ/2))〕 (4) M=M0 〔p1 /p0 + 2pa /(πλp0 )(1−cos(πλ/2))〕 (5) ただし、pi:π、振動がないときの研磨量を基準とし
て、振動磁気研磨法の研磨量の増大率をk0 とすれば、 k0 =p1 /p0 +2pa /(πλp0 )(1−cos(πλ/2)) (6) となる。数値計算の一例として、f=4Hz、Δ=6m
m、λ=0.13とすれば、実測された圧力値はp0
59kPa、p1 =173kPa、pa =140kPa
であり、式(6)の計算値は、k0 =3.2となる。す
なわち、振動磁気研磨法における研磨量は同一条件にお
ける慣用磁気研磨法の値に比べて3.2倍に増大するこ
とが分かる。振動磁気研磨法におけるパルス状研磨圧力
の平均値は慣用磁気研磨法における値に比べて増大し、
このために研磨量が大きくなり、加工面は粗面化したも
のと考えられる。この他、振動磁気研磨法には、断続研
磨加工による切りくず排出作用促進化効果、磁性砥粒の
撹拌促進化と砥粒切れ刃の自生発芽効果、加工液の浸潤
促進化効果などの諸効果も考えられる。
【0024】「楕円振動磁気研磨法による表面の平滑化
効果の発現」Z方向振動磁気研磨法に依存するだけで
は、加工面は粗面化する。そこで、X方向振動を同時に
重畳することが発案された。これは、ZX方向同時振動
(楕円振動)を工作物表面に与えることを意味し、図2
の装置において、工作物2のZ方向振動台を楕円振動台
に取り換え、楕円振動磁気研磨実験を行った。楕円振動
台はモータ、傘歯車と偏心カムを2個利用して直動ベア
リング上を調和振動させることによって得た。工作物を
Z方向とX方向に振動させると同時にX方向に低速度の
送り運動を与えて加工実験を行った。実験条件を図17
に示す。振動を重畳しない場合と、Z方向に振動を重畳
した場合、ZX方向に振動を重畳(楕円振動)した場合
について、加工回数が研磨量と加工面粗さに及ぼす影響
を示す。Z方向振動の場合と楕円振動の場合の研磨量は
ほぼ同じである。これはX方向の振幅が小さいため、水
平方向の振動重畳による効果が大きく現れないためであ
る。しかし、両者とも振動を重畳しない場合に比べて研
磨量が増大している。パルス研磨力波形の効果と考えら
れる。
【0025】加工面粗さは、振動を重畳しない場合には
8回の往復加工によって0.4μmRyに収束させるこ
とができる。Z方向に振動を重畳させると前加工面粗さ
4.3μmRyが0.5μmRyに仕上げられるが、振
動を重畳しない場合に比べて粗面化する。楕円振動の場
合には0.35μmRyに収束する。Z方向振動重畳に
よるパルス研磨圧力波形の加工量増大効果の他に、さら
にX方向振動を重畳させることによる加工面の平滑化効
果が複合して得られたものといえる。この事象は、Z方
向振動により研磨圧力が増圧された状態で工作物がX方
向に振動されるため、増圧条件下における慣用磁気研磨
効果(研磨量増大効果と表面の平滑化効果の複合化)に
よって得られたものと考えられる。また、X方向振動の
重畳により、砥粒切れ刃の多方向切削作用効果、すなわ
ち多数個の切れ刃の切削軌跡が複雑に交差することによ
って表面の平滑化効果が発現させることができたものと
考えられる。図18は、図17の結果を分かり易く示し
たものである。横軸の「NO」は振動を与えない慣用磁
気研磨法の場合を、「ZX」は楕円振動磁気研磨法の場
合を、「Z」は鉛直方向振動磁気研磨法の結果である。
楕円振動によって研磨量増大効果と表面の平滑化効果の
両効果が同時に得られていることが明確に分かる。
【0026】以上の実験結果で得られた結果を要約する
と次のようになる。 (1)パルス研磨圧力波形を利用した振動磁気研磨法を
提案し、平面磁気研磨特性に及ぼす鉛直方向振動重畳の
効果を実験的に明らかにした。 (2)その結果、パルス研磨圧力波形の加工面は多少粗
面化するが、著しい研磨量増大効果をもつことを明らか
にした。 (3)振動磁気研磨法の加工機構について解析的な考察
を行い、粒子ブラシを利用する磁気研磨法の研磨量増大
効果はパルス研磨圧力波形の平均値と波高値が著しく高
くなることに基因することを示した。 (4)ZX方向加振(楕円振動)磁気研磨法により、X
方向振動磁気研磨法およびZ方向振動磁気研磨法の両者
の特長を同時に発現できることを示した。すなわち、楕
円振動磁気研磨法はZ方向振動磁気研磨法がもつ研磨量
増大効果とX方向振動がもつ表面平滑化効果を同時に実
現させることを示した。
【0027】「使用する磁性砥粒」次に、本発明の楕円
振動活用の磁気研磨に使用する新しい磁性砥粒について
の実施例について述べる。図19(a)に示すように、
磁区に沿って磁力結合された多数の磁性砥粒からなる粒
子ブラシによって非磁性ワークを研磨する場合には、研
磨加工中および終了後に磁性砥粒が非磁性ワークの表面
に残留することはないが、図19(b)に示すように、
粒子ブラシによって磁性ワークを研磨する場合には、研
磨加工中および終了後に磁性砥粒が磁性ワークの表面に
残留してしまい、加工に関与する磁性砥粒数の減少が見
られ、砥粒の有効利用に支障が生じる他、加工後にワー
ク表面からの磁性砥粒の除去に手間を要して余分な作業
を余儀なくされていた。このようなことから、本件発明
者らによって磁性体を核として周囲に非磁性層を被覆し
た磁性砥粒を用いることが提案されて鋭意、研究が行わ
れている。なお、磁性体を核として周囲に非磁性層を被
覆した磁性砥粒は、表面層である非磁性層の材質の適切
な選定によって、研磨精度の向上や、研磨の促進に寄与
できることから、必ずしも磁性ワークの研磨に限定され
ることなく、非磁性ワークの研磨加工にも使用できるこ
とは言うまでもないことである。以下に、本発明の楕円
振動活用の磁気研磨にて使用する最適な磁性砥粒の選定
実験について述べる。
【0028】微細金型曲面の鏡面仕上げの多くは手作業
に依存するところが多々あり、機械的に効率よく鏡面仕
上げ可能な新技術の創出が切望されている。磁気研磨法
は柔軟な加工挙動を示す粒子ブラシにより、部品の形状
精度を維持しながら面精度の向上を図れるユニークな加
工法であり、これまでにも金型曲面への適用が試みられ
てきた。前述してきたように、工作物に楕円振動を与え
る新しいタイプの磁気研磨法によって、加工面に対する
垂直方向振動はパルス状研磨圧力を発生させて加工能率
向上効果を、加工面に対する水平方向振動は表面の迅速
平滑化効果をもたらすことを明らかにし、新しいタイプ
の金型磁気研磨法としてきわめて有効であることが理解
された。
【0029】一般に金型材質は磁性材であり、磁極(工
具)により金型表面が磁化される。このため、磁性砥粒
が工作物表面に磁気吸引され、粒子ブラシはブラシ中間
でねじれ現象と撹拌現象を伴う過酷な条件下に置かれ、
磁性砥粒の粉砕・細粒化と切れ味低下の問題を抱えてい
た。さらに、磁性砥粒の金型表面への残留があり、加工
に関与する磁性砥粒数の減少が見られ、砥粒の有効利用
に支障があった。これらの事象は、非磁性工作物の磁気
研磨には見られない磁性材料特有の現象である。このよ
うな問題解決のために、平面磁気研磨法における加工現
象を参考として、磁性粒子を核として粒子表面に非磁性
材からなる層をもつ新しいタイプの磁性砥粒を試作し、
加工挙動と加工性能を調べ、磁性金型の精密仕上げに求
められる磁性砥粒の具備条件について検討した。
【0030】磁性工作物の平面磁気研磨法では、加工面
が磁化され、粒子ブラシの先端が加工面に磁気吸引され
て粒子ブラシの先端と加工面との間に滑らかな相対運動
が生じない。このため、磁性粒子同士の撹拌・摩擦現象
により粒子は粉砕・微細化し、切れ味も低下する。報告
していないが、磁性テーブル上に0.1mm厚のSUS
304ステンレス鋼板(非磁性材)を貼りつけて平面磁
気研磨した結果によれば、粒子ブラシ先端とSUS30
4平板面の間には滑らかな相対運動が得られ、磁性砥粒
の残留もなく、鏡面仕上げが可能であることが分かって
いる。この事象を、磁性工作物の磁気研磨に必要とされ
る新しいタイプの磁性砥粒の開発と結びつけて考え直し
てみた。そこで、磁性粒子を核として粒子表面に非磁性
材層を有する磁性砥粒が新しいタイプとして提案され、
図22および図21に示すType1、Type2、T
ype3(およびType4)(図表のローマ数字は算
用数字で表記する、以下同じ)の3種類の磁性砥粒を試
作して、その研磨性能を調べた。
【0031】「試作した磁性砥粒の研磨性能」 <研磨装置>図20に、試料となるType1、Typ
e2、Type2およびType4の磁性砥粒が使用さ
れた磁気研磨装置加工部の外観写真を示す。電磁コイル
により発生させた磁束は、「鉄心―上側ヨーク―回転磁
極(工具側)―工作物―磁性テーブル―下側ヨーク―鉄
心」から構成される閉磁気回路を流れる。磁性工作物平
板(SS400材)はテーブル上に固定され、一定速度
で送られる。工作物の前加工面は研削面(7.5μmR
y)とした(図24のType4では1.7μmR
y)。図22に実験条件を示す。メーカーに依頼して試
作した磁性砥粒のうちType2、Type3の顕微鏡
写真を図21に示す。
【0032】<磁性砥粒の研磨性能>加工実験を行い、
磁性砥粒の残留と研磨性能について調べた。 〔磁性砥粒の残留現象〕Type1〜Type4の磁性
砥粒の所定量(図22)を加工域に充填して平面磁気研
磨したときの工作物表面への残留状態を目視観察して比
較した。下記の結果が得られた。 Type1:残留がかなり多く見られる(Type1
は、従来の鉄粉混合磁性砥粒である)。 Type2:セラミック層(約0.15mm厚)が薄い
ためか、残留が多く見られた。 Type3:プラスチック層が厚い(約0.55mm
厚)ためか、残留する粒子数はかなり少ない。 Type4:残留が全く見られない。Type4のプラ
スチック層は0.25mmであるが、粒子が大きいこと
と磁気異方性を示す形状のためと考えられる。
【0033】〔磁性砥粒の研磨性能〕図23に、磁性砥
粒の研磨性能を示す。図23は、Type1、Type
2、Type3を比較した結果である。Type3の研
磨量が一番大きく、得られる加工面粗さも大きい。Ty
pe1とType2の研磨量と加工面粗さはほぼ同じ値
を示す。磁性粒子(核)径が3種類ともほぼ同じである
が、Type3のプラスチック層に含有されている研磨
材がWA#600と粗粒のために得られた結果と考えら
れる。Type1とType2研磨材粒度はWA#30
00程度である。Type3に含有させる研磨材を細粒
化すれば加工面粗さを向上できるものと期待される。
【0034】図24に、Type4の研磨性能を示す。
加工前表面粗さを1.7μmRyとした。Type4の
磁性砥粒にWA#600遊離砥粒と加工液を加えて磁気
研磨した結果であり、粒子ブラシ先端と磁性工作物表面
間の相対運動が滑らかであることを確認できた。研磨量
が多く、表面粗さ1.7μmRyを4.2μmRyに粗
面化する。使用砥粒がWA#600と粗粒のためと考え
られ、使用砥粒を微粒化すれば平滑化できるものと考え
られる。図25は、このような磁性体を核として周囲に
非磁性層を被覆した磁性砥粒により磁性ワークを研磨す
る状態を示したものである。
【0035】<まとめ>磁性工作物材料(金型曲面)を
磁気研磨する場合には、磁性砥粒の工作物表面への残
留、及び粒子ブラシの加工中のねじれや攪拌現象による
磁性砥粒の粉砕・細粒化と切れ味低下に問題がある。解
決策の一手法として、磁気異方性をもつ磁性粒子を核と
して、その表面に厚めの非磁性層をもつ新たな磁性砥粒
の開発が得策であることを示した。
【0036】以上、本発明の実施の形態について説明し
てきたが、本発明の趣旨の範囲内で、ワークの形状、種
類(磁性体ワークはもとより非磁性体ワークの研磨にも
適用が可能である)、材質、中心核および非磁性層を含
む磁性砥粒の形状(球形、円柱形、角形等)、材質(中
心核は磁性ステンレス鋼、鉄、ニッケル等の強磁性材料
や他の材料あるいは永久磁石であってもよい。非磁性層
はプラスチック、ゴム等の軟質材料、あるいは切れ刃を
有するセラミックス等の硬質材料であってもよい。)、
非磁性層の厚さ(磁性ワーク表面を磁性砥粒が滑らかに
研磨加工して滑り、残留しない程度の厚さであればよ
く、粒子径約1mm程度のとき0.25mm程度が好適
である。)、非磁性層に含まれる研磨材の種類、磁性砥
粒の粒子径(Type4の粒子を微粒化してもよい)、
磁性砥粒等に磁界を印加する磁石の形状、形式および配
置形態、前記ワークと磁界との楕円振動あるいは揺動に
よる相対運動の駆動装置の形式、形態(X、Y、Z方向
の運動をモータ駆動のカム機構による他、モータ駆動の
リンク機構、あるいは磁気リニア駆動機構等により行っ
てもよい。)、ヨークの形状、磁極の形状、およびこれ
らの間の関連構成磁界の強さ、研磨時間等は適宜選定で
きる。
【0037】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明で
は、磁界内に配置したワークの表面を磁区に沿って磁力
結合された多数の磁性砥粒からなる粒子ブラシにより研
磨する磁気研磨方法において、前記粒子ブラシとワーク
との間を上下方向および水平方向(前後あるいは左右方
向、もしくは前後方向および左右方向)に同時に振動あ
るいは揺動させて磁気研磨する楕円振動により相対運動
させることによって、複雑な表面形状を有する金型等の
ワークであっても、加工量の増大と高い平滑化効果が得
られる。
【0038】また、前記各方向の個々の振動振幅、振動
数は工作物の寸法・形状に応じて適宜選択制御されるこ
とにより、工作物の寸法・形状に最適な楕円振動が付与
できて研磨加工が効率的になされる。さらに、前記ワー
クが磁性材である場合には、磁性体を核として周囲に非
磁性層を被覆した磁性砥粒を用いたことにより、研磨加
工中および終了後に磁性砥粒が磁性ワークの表面に残留
することがないので、加工に関与する磁性砥粒数が減少
して砥粒の有効利用に支障が生じることがなく、加工後
にワーク表面からの磁性砥粒の除去のための作業も必要
がない。さらにまた、前記磁性砥粒に遊離砥粒と加工液
を加えた場合は、粒子ブラシ先端と磁性工作物表面間の
相対運動が滑らかとなる。
【0039】また、磁極間に形成される閉磁気回路の磁
区を横断して配設されワークを載置するテーブルと、前
記磁区に沿って磁力結合された多数の磁性砥粒からなる
粒子ブラシを前記ワークの表面に摺接するように構成し
た磁気研磨装置において、前記磁極とテーブル間を楕円
振動により相対運動させるように構成したことにより、
磁極に対するテーブルの楕円振動を付与するだけの簡素
な構造にて、複雑な表面形状を有する金型等のワークで
あっても、加工量の増大と高い平滑化効果が得られる。
さらに、前記磁極を回転自在に構成するとともに、前記
テーブルを上下方向および水平方向(前後あるいは左右
方向、もしくは前後方向および左右方向)に同時に振動
あるいは揺動自在に構成したことにより、磁極の回転に
対してテーブルを上下および水平の2方向に振動あるい
は揺動するだけで、容易に楕円運動が得られて、加工量
の増大と高い平滑化効果を有する研磨加工が可能とな
る。
【0040】さらにまた、スプリング装置により原位置
に復元可能に構成された前記テーブルを、カム機構等を
介したモータ駆動によって上下方向および水平方向に振
動あるいは揺動自在に構成した場合は、より高速にてテ
ーブルを振動させて、研磨効率を向上させることができ
る。また、磁性砥粒径を1とした場合に、磁気異方性を
有する磁性体を核としてその表面に0.1〜0.5程度
の厚さの非磁性層を被覆して構成した磁性砥粒を用いた
場合は、研磨量が多く、磁性砥粒の残留を少なくするこ
とができる上、磁気異方性の特性により、長さ方向に多
数の磁性砥粒が繋がり易くなって粒子ブラシが形成され
易くなる。さらに、前記磁性体の核を、磁性ステンレス
鋼、鉄、ニッケル等の強磁性材料、あるいは永久磁石に
より構成した場合は、多数の磁性砥粒を強力に磁力結合
させて確実な粒子ブラシを形成させることができて、研
磨効率を向上させることが可能となる。
【0041】さらにまた、前記非磁性層として、プラス
チック、ゴム等の軟質材料あるいは切れ刃をもつセラミ
ックス等の硬質材料を用いたことにより、磁性ワークへ
の磁性砥粒の残留を有効に防止できる他、研磨程度の調
整が可能となる。また、前記非磁性層に研磨材を含有さ
せた場合は、研磨量を大きくすることが可能となる。さ
らに、前記磁性砥粒を微粒化した場合は、研磨表面の平
滑化を優先することができる。このように本発明によれ
ば、複雑な表面形状を有する金型等のワークであって
も、加工量の増大と高い平滑化効果が得られる楕円振動
活用の磁気研磨方法およびその装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楕円振動活用の磁気研磨方法およびそ
の装置の基本原理を示す概略図である。
【図2】同、装置全体の概略図である。
【図3】同、実験装置の写真図である。
【図4】実験条件を示す表図である。
【図5】加工前(図5(a))および慣用磁気研磨後
(図5(b))と振動磁気研磨後(図5(c))の加工
面の金属顕微鏡写真と表面粗さを示す図である。
【図6】加工の行程回数が研磨量と表面粗さに及ぼす影
響を示す図である。
【図7】研磨量と表面粗さに及ぼす工作物振動数の影響
を示す図である。
【図8】研磨量と表面粗さに及ぼす振幅の影響を示す図
である。
【図9】加工中の研磨圧力を実測する装置の模式図であ
る。
【図10】慣用磁気研磨法とZ方向振動磁気研磨法の測
定結果図である。
【図11】慣用磁気研磨法における加工間隙が磁束密度
と研磨圧力に及ぼす影響を示す図である。
【図12】振動数が研磨圧力に及ぼす影響を示す図であ
る。
【図13】振幅が研磨圧力に及ぼす影響を示す図であ
る。
【図14】振動磁気研磨法における粒子ブラシの変形挙
動の模式図である。
【図15】モデル化した研磨圧力波形の平均値および変
動成分の振幅図である。
【図16】砥粒の回転運動図である。
【図17】楕円振動磁気研磨実験の実験条件図である。
【図18】図17の結果を分かり易く示した図である。
【図19】磁性砥粒からなる粒子ブラシによってワーク
を研磨する状態図である。
【図20】磁気研磨装置加工部の外観写真を示す図であ
る。
【図21】磁性砥粒の試作品の顕微鏡写真図である。
【図22】実験条件を示す図である。
【図23】磁性砥粒の研磨性能を示す図である。
【図24】Type4の研磨性能を示す図である。
【図25】磁性体を核として周囲に非磁性層を被覆した
磁性砥粒により磁性ワークを研磨する状態を示す図であ
る。
【図26】磁気コイルを利用した磁気研磨の原理図であ
る。
【図27】平面磁気研磨の概念図および加工結果図であ
る。
【符号の説明】
1 磁極 1N 工具側磁極 1S 工作物側磁極 2 ワーク 3 磁性砥粒 4 粒子ブラシ 5 電磁コイル 6 ヨーク 7 コイル鉄心 8 回転磁極 9 モータ 10 カム装置 11 振動台(試料台) 12 X方向移動テーブル 13 ガイド 14 スプリング 15 磁束(磁区)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【図3】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図16】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図23】
【図24】
【図22】
【図25】
【図26】
【図27】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁界内に配置したワークの表面を磁区に
    沿って磁力結合された多数の磁性砥粒からなる粒子ブラ
    シにより研磨する磁気研磨方法において、前記粒子ブラ
    シとワークとの間を上下方向および水平方向(前後ある
    いは左右方向、もしくは前後方向および左右方向)に同
    時に振動あるいは揺動させて磁気研磨する楕円振動によ
    り相対運動させることを特徴とする楕円振動活用の磁気
    研磨方法。
  2. 【請求項2】 前記各方向の個々の振動振幅、振動数は
    工作物の寸法・形状に応じて適宜選択制御されることを
    特徴とする請求項1に記載の楕円振動活用の磁気研磨方
    法。
  3. 【請求項3】 前記ワークが磁性材である場合には、磁
    性体を核として周囲に非磁性層を被覆した磁性砥粒を用
    いたことを特徴とする請求項1または2に記載の楕円振
    動活用の磁気研磨方法。
  4. 【請求項4】 前記磁性砥粒に遊離砥粒と加工液を加え
    たことを特徴とする請求項3に記載の楕円振動活用の磁
    気研磨方法。
  5. 【請求項5】 磁極間に形成される閉磁気回路の磁区を
    横断して配設されワークを載置するテーブルと、前記磁
    区に沿って磁力結合された多数の磁性砥粒からなる粒子
    ブラシを前記ワークの表面に摺接するように構成した磁
    気研磨装置において、前記磁極とテーブル間を楕円振動
    により相対運動させるように構成したことを特徴とする
    楕円振動活用の磁気研磨装置。
  6. 【請求項6】 前記磁極を回転自在に構成するととも
    に、前記テーブルを上下方向および水平方向(前後ある
    いは左右方向、もしくは前後方向および左右方向)に同
    時に振動あるいは揺動自在に構成したことを特徴とする
    請求項5に記載の楕円振動活用の磁気研磨装置。
  7. 【請求項7】 スプリング装置により原位置に復元可能
    に構成された前記テーブルを、カム機構等を介したモー
    タ駆動によって上下方向および水平方向に振動あるいは
    揺動自在に構成したことを特徴とする請求項6に記載の
    楕円振動活用の磁気研磨装置。
  8. 【請求項8】 前記請求項1ないし4のいずれか記載の
    楕円振動活用の磁気研磨方法または請求項5ないし7の
    いずれか記載の楕円振動活用の磁気研磨装置に使用する
    磁性砥粒であって、該磁性砥粒径を1とした場合に、磁
    気異方性を有する磁性体を核としてその表面に0.1〜
    0.5程度の厚さの非磁性層を被覆して構成したことを
    特徴とする磁性砥粒。
  9. 【請求項9】 前記磁性体の核を、磁性ステンレス鋼、
    鉄、ニッケル等の強磁性材料、あるいは永久磁石により
    構成したことを特徴とする請求項8に記載の磁性砥粒。
  10. 【請求項10】 前記非磁性層として、プラスチック、
    ゴム等の軟質材料あるいは切れ刃をもつセラミックス等
    の硬質材料を用いたことを特徴とする請求項8または9
    に記載の磁性砥粒。
  11. 【請求項11】 前記非磁性層に研磨材を含有させたこ
    とを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の
    磁性砥粒。
  12. 【請求項12】 前記磁性砥粒を微粒化したことを特徴
    とする請求項8ないし11のいずれかに記載の磁性砥
    粒。
JP2001089143A 2001-03-27 2001-03-27 楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒 Pending JP2002283216A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001089143A JP2002283216A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001089143A JP2002283216A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002283216A true JP2002283216A (ja) 2002-10-03
JP2002283216A5 JP2002283216A5 (ja) 2004-08-12

Family

ID=18944118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001089143A Pending JP2002283216A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002283216A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010064237A (ja) * 2008-09-15 2010-03-25 Kyoei Denko Kk 基板戴置装置用の基板戴置板の表面研磨方法及び装置
CN105397611A (zh) * 2015-11-20 2016-03-16 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 一种精铣曲面自动抛光方法及装置
JP2017104926A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 国立大学法人宇都宮大学 磁気研磨装置及び磁気研磨方法
CN111266939A (zh) * 2020-03-19 2020-06-12 刘延斌 一种水晶球工艺品的加工工艺
CN111610137A (zh) * 2020-06-02 2020-09-01 辽宁科技大学 一种单颗磁性磨粒磁场力测量方法及装置
CN112643410A (zh) * 2020-12-23 2021-04-13 南京航太机电有限公司 一种超声复合高压气流的磁力研磨装置及方法
CN112658814A (zh) * 2020-12-23 2021-04-16 南京航太机电有限公司 一种复杂内流道超声振动复合磁力研磨工装夹具及方法
CN112676922A (zh) * 2020-12-23 2021-04-20 南京航太机电有限公司 一种振动复合椭圆运动的磁力研磨装置及方法
CN115157021A (zh) * 2022-07-05 2022-10-11 中国航发贵阳发动机设计研究所 用于大尺寸变截面复杂筒形零件的磁力超声复合研磨装置

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010064237A (ja) * 2008-09-15 2010-03-25 Kyoei Denko Kk 基板戴置装置用の基板戴置板の表面研磨方法及び装置
CN105397611A (zh) * 2015-11-20 2016-03-16 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 一种精铣曲面自动抛光方法及装置
JP2017104926A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 国立大学法人宇都宮大学 磁気研磨装置及び磁気研磨方法
CN111266939A (zh) * 2020-03-19 2020-06-12 刘延斌 一种水晶球工艺品的加工工艺
CN111610137A (zh) * 2020-06-02 2020-09-01 辽宁科技大学 一种单颗磁性磨粒磁场力测量方法及装置
CN111610137B (zh) * 2020-06-02 2023-08-11 辽宁科技大学 一种单颗磁性磨粒磁场力测量方法及装置
CN112658814A (zh) * 2020-12-23 2021-04-16 南京航太机电有限公司 一种复杂内流道超声振动复合磁力研磨工装夹具及方法
CN112676922A (zh) * 2020-12-23 2021-04-20 南京航太机电有限公司 一种振动复合椭圆运动的磁力研磨装置及方法
CN112643410B (zh) * 2020-12-23 2022-04-29 南京航太机电有限公司 一种超声复合高压气流的磁力研磨装置及方法
CN112676922B (zh) * 2020-12-23 2022-06-17 南京航太机电有限公司 一种振动复合椭圆运动的磁力研磨装置及方法
CN112643410A (zh) * 2020-12-23 2021-04-13 南京航太机电有限公司 一种超声复合高压气流的磁力研磨装置及方法
CN115157021A (zh) * 2022-07-05 2022-10-11 中国航发贵阳发动机设计研究所 用于大尺寸变截面复杂筒形零件的磁力超声复合研磨装置
CN115157021B (zh) * 2022-07-05 2024-04-09 中国航发贵阳发动机设计研究所 用于大尺寸变截面复杂筒形零件的磁力超声复合研磨装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fox et al. Magnetic abrasive finishing of rollers
Yin et al. A comparative study: polishing characteristics and its mechanisms of three vibration modes in vibration-assisted magnetic abrasive polishing
Mulik et al. Ultrasonic assisted magnetic abrasive finishing of hardened AISI 52100 steel using unbonded SiC abrasives
JP6601909B2 (ja) 磁気研磨装置及び磁気研磨方法
JP4423425B2 (ja) 振動磁気研磨方法及び装置並びに工具
EP1303380A1 (en) Micro-burnishing apparatus using ultrasonic vibration
Lee et al. Two-dimensional vibration-assisted magnetic abrasive finishing of stainless steel SUS304
JP5061296B2 (ja) 平面両面研磨方法及び平面両面研磨装置
GB2134019A (en) Abrasively contour-finishing a workpiece
JP2002283216A (ja) 楕円振動活用の磁気研磨方法およびその装置ならびに磁性砥粒
JPH10180611A (ja) 複数の交番磁界生成による磁気研摩方法及び装置
JP2007021660A (ja) 複雑形状体の鏡面研磨方法および鏡面研磨装置
JPH04336954A (ja) 微小研磨方法及び微小研磨工具
US5085747A (en) Ultrasonic machining method
JP2007167968A (ja) 鏡面研磨方法および鏡面研磨装置
JP2003048152A (ja) 超音波による凹球面加工装置及び凹球面加工方法
Deepak et al. Effect of rotational motion on the flat work piece magnetic abrasive finishing
WO2006030854A1 (ja) 複雑形状体の研磨方法および研磨装置
JP2003062747A (ja) 磁性流体利用の加工方法およびその装置
JP5903689B2 (ja) 高周波数振動内面研削盤
Verma et al. Advancement in Magnetic Field Assisted Finishing Processes
JP2021030349A (ja) 研削装置及び研削方法
JP5352892B2 (ja) 研削方法及び研削加工装置
JP4471197B2 (ja) 加工圧制御が不要な研磨方法
JPS6362659A (ja) 複合振動砥石による精密仕上加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20031218

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A977 Report on retrieval

Effective date: 20051006

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20051018

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051206

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060110

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060530