JP2003062429A - 脱臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】小型化され、熱効率の優れた脱臭装置を提供す
る。 【解決手段】触媒反応器（Ｒ）、加熱器（Ｈ）、熱交換
器（ＨＥ）および送風器を必須構成要素として備える脱
臭装置（Ｄ）であって、前記加熱器が前記熱交換器の内
側に配置、または前記加熱器および前記触媒反応器が前
記熱交換器の内側に配置されている脱臭装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンパクトな構造
を有し、脱臭用エネルギーが効率的に消費される脱臭装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、臭気を脱臭・除臭するために、多
くの物質、装置あるいは方法が開発されており、例えば
ゼオライトあるいは活性炭による臭気吸収や、脱臭液体
スプレー、オゾン発生器、紫外線照射化チタン酸化物あ
るいはプラズマ活性化空気による化学脱臭などが挙げら
れる。しかしながら、これらの装置あるいは方法は完全
な脱臭を果たすためにはそれぞれ欠点を有する。すなわ
ち、あるものは脱臭のライフサイクルがあまりに短く、
またあるものは限定された臭い成分にのみ作用し、また
他のものは希釈された僅かな臭気を脱臭するためにのみ
有効である。そのために、従来の方法によるとき、種々
の臭気を満足し得る状態にまで脱臭するためには、異な
ったタイプのユニットを組み合わせねばならないことも
しばしば起こる。複数の異なった形式の脱臭装置を組み
合わせて用いると多くの場合種々の問題を生ずる。全て
の装置が完全に正常な運転をしていれば臭気は満足に除
去できるであろうが、その中の一つでも状態が悪くなる
と全体としての脱臭は不満足になる。それぞれの装置は
異なった方式の脱臭を行っているので、たとえば活性炭
の場合は吸着能力が飽和すれば交換が、薬液洗浄では薬
品の濃度やｐＨの管理が、生物脱臭では菌床の管理が必
要であり、メンテナンスの回数は必然的に多くなる。ま
た、多くの場合、装置の数も増え、当初の設備コストも
運転コストも高くなる傾向にある。

【０００３】従来、メンテナンスの比較的かからない脱
臭法の一つに触媒脱臭法がある。ただし、この方法は脱
臭のために臭気を高温度に加熱する必要があり、運転コ
ストが高いという問題点があるとされてきた。脱臭装置
には、当然、充分な脱臭効果をあげ得ることが第一義的
に要求されるが、実用化のためには経済性の面から運転
コストをできるだけ低く抑えるための効率的機能を備え
ることも重要である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来、脱臭処理に触媒
を用いることも有効な手段とされている。これまでの触
媒を使用する脱臭装置には、熱交換器を有するものと有
しないもの、二つのタイプがある。前者のタイプを図５
に示す。このタイプは家庭用コンポストにおける小型脱
臭器のための除臭に実際に使用されており、臭気ガス
（Ｉ）は加熱器（Ｈ）で加熱された後、触媒を有する反
応器（Ｒ）で脱臭され、脱臭されたガスはある程度の温
熱状態のまま系外（Ｏ）に放出される。このユニットに
おける熱回収はゼロであり、単位容量当たりの臭気を脱
臭するためのエネルギー消費は非常に大きい。

【０００５】一方、後者のタイプは図６に示されるもの
であり、臭気ガス（Ｉ）は、加熱器（Ｈ）で加熱された
のち、触媒を有する反応器（Ｒ）で脱臭されることは、
前者のタイプと同じであるが、脱臭されたガスを、臭気
ガス導入パイプを囲んで設置した熱交換器（ＨＥ）に導
いて、臭気ガスの予備加熱に利用した後に、系外（Ｏ）
に放出される。このタイプでは、熱交換器（ＨＥ）を有
することから、ある程度の熱エネルギーを回収すること
は可能である。

【０００６】しかしながら、図６のタイプは、熱交換器
（ＨＥ）、加熱器（Ｈ）および反応器が直列的にパイプ
（Ｐ）で結合されており、比較的に長い結合パイプを必
要とし、全体として大きい装置になる。この分野では少
しでも運転コストの安い装置を供給することが要望され
ていることからすると、熱効率的も充分であるとはいえ
ない。そこで、本発明の目的は、触媒を用いて脱臭し、
小型化されていて熱効率的に優れた脱臭装置を提供しよ
うとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題解決のため
に、本発明は、加熱器、触媒反応器、熱交換器および送
風器を必須の構成要素として備え、コンパクトで熱効率
のよい構造体で脱臭するために、加熱器および／または
触媒反応器が熱交換器ユニットに組み込まれている小型
脱臭装置を提供しようとするものである。すなわち、本
発明の脱臭装置（１）は、触媒反応器、加熱器、熱交換
器および送風器を必須の構成要素として備える小型脱臭
装置であって、前記加熱器が前記熱交換器の内側に配置
されていることを特徴とする。

【０００８】また、本発明の他の脱臭装置（２）は、触
媒反応器、加熱器、熱交換器および送風器を必須の構成
要素として備える小型脱臭装置であって、前記加熱器お
よび前記触媒反応器が前記熱交換器の内側に配置されて
いることを特徴とする。前記（１）および（２）の脱臭
装置において、触媒反応器は、ワイヤーメッシュ触媒を
用いることが好ましい。また、触媒として、ゼオライト
触媒と酸化触媒を併用することが好ましい。

【０００９】本発明の脱臭装置の構造は、コンパクトな
熱効率のよい部位と、廃棄物保管場のような腐った動物
死体からの非常に強い腐敗臭、発酵蛋白臭、などを含む
殆どあらゆる種類の臭いを脱臭するために有効な触媒反
応体の部位と、を組み合わせることにより形成される。
本脱臭装置によると、加熱器から放射された熱が最初に
加熱ボックス内の加熱空気を加熱し、次いで加熱ボック
スからの拡散ネルギーが周りの熱交換器自体を温めるこ
とから、エネルギー消費量が従来に比べて少なくてもす
む。加熱された空気の流れは、加熱ボックスを通って触
媒反応器（コンパクトなワイヤーメッシュ触媒を含む反
応器が好ましい）に移動し、ここで効率的な触媒脱臭が
進行する。加熱器の近くに位置する触媒反応器は、脱臭
化に十分な程度に温度が高くなり、そしてこのケース内
において反応器自体が放熱して外部に拡散し、熱交換器
で囲まれた反応器の外側においてもまた反応器から受け
取った熱で臭気を予備加熱する。本発明装置では、熱放
出要素の各コンポーネントは熱交換器で囲まれており熱
回収されるから、熱効率が非常によい構造である。本装
置は、構成が少しばかり複雑にはなるが、表面積が小さ
くコンパクトな構造体であることから、放熱量と熱損失
ができるだけ少なくなるように設計されており、省エネ
ルギー化にきわめて有効である。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明における前記二つのタイプ
の脱臭装置を、それぞれ図面を参照しつつ説明する。 （１）熱交換器中に加熱器を有するタイプ：このタイプ
の代表的な構造例を、図１および図２に示す。この場
合、二つの構成物すなわち触媒加熱器（Ｈ）と熱交換器
（ＨＥ）は一つのユニットとして結合されており全体の
表面積はより小さくなっており、かつ加熱器からの熱発
散は加熱器を囲む熱交換器によって捕捉され、熱回収さ
れる。 （２）熱交換器中に加熱器および反応器を有するタイ
プ：このタイプの代表的な構造例を、図３および図４に
示す。この場合、三つの構成物すなわち加熱器（Ｈ）、
触媒反応器（Ｒ）と熱交換器（ＨＥ）は一つのユニット
として結合されており表面積はより一層小さくなってお
り、かつ加熱器および触媒反応器からの熱発散は、それ
らを囲む熱交換器によって捕捉され、熱回収される。

【００１１】次に、本発明の脱臭装置を構成する各構成
単位体について説明する。 ［熱交換器］熱交換器としては、従来、多くの構成適用
例がある、代表例を図７に示す。流体ＡおよびＢはこの
例では空気またはガスである。一方の流体は他方よりも
高い温度を有する。高温流体から低温側への熱伝導は、
図７に示される熱交換器構造を通して行われる。この構
造を有する熱交換器は、エネルギー消費を減少させ空気
中への炭酸ガス排気をできるだけ少なくするように、熱
回収するために用いられている。もちろん、高温流体か
ら低温流体へのエネルギー移動によって熱回収するこ
と、ユニット表面からの熱消散を避けることもまた重要
である。熱交換器自体が、その表面が温かく、そこから
外部への熱消散がエネルギー損失になる。

【００１２】これらのエネルギー損失を避ける一つの方
法は、ユニット表面と外部空気との間に熱絶縁層を設け
ることであり、もう一つの有用な方法は表面をできるだ
け小さくすることである。前記図６に示される構造で
は、三つのユニットは直列的にパイプを通して結合され
ている。三つのユニットとパイプはすべて表面が温か
く、全部の温熱表面は大きい面積になる。このタイプで
は、熱は熱交換器、加熱器および反応器の表面と、結合
パイプの表面からもまた消散する。熱損失を避けるため
に、熱絶縁物質でこれらの温熱表面をカバーすべきであ
るが、著しく大量の熱が大きな表面積を通して放出す
る。また、これらのタイプの機械は、必要な構成物を結
合し組み立てるために比較的大きなスペースが必要であ
る。

【００１３】本発明の脱臭装置では、必須の構成物を一
つのユニットの複合体にすることによって、上記のよう
に大きな表面積を通して熱消散することの欠点が改良さ
れている。もちろん、複合ユニットは各ユニットを結合
する場合の個々のユニットに比べて少し大きくなる。し
かし、複合ユニットの体積は個々のユニットの体積の総
和に比べるとより小さくできる。また、全表面積に関し
ても、図３および４に示されるように、単独図で表さ
れ、非常に減少する。図１および２は反応器が分離され
ているために少し大きい表面積であるが、図６の従来型
構造に比べれば、表面積は確実に小さくなっている。 ［触媒反応器］本発明装置における反応器の内部には、
脱臭化のための触媒が挿入されている。この触媒として
は、脱臭効果を上げ得るものであれば、基本的に使用可
能であるが、複合ユニットの構造体をできるだけ小さく
するためには、触媒反応体も小型で効率的なものを選択
することが好ましい。この目的から、モノリス構造触媒
よりも、ワイヤーメッシュ触媒を適用する方が小さい容
積で効率な脱臭反応を行い得るので、全体構造を小さく
することに有効である。装置内における空気の流れをよ
り均一にするために、非触媒ネットあるいは多孔性金属
のような流れ調整器を反応器の中に挿入することができ
る。

【００１４】ワイヤーメッシュ触媒としては、ＷＯ９７
／０２０９２号公報（特表平１１−５０８８１６号公
報）に記載されているものが好ましく用いられる。この
触媒反応体は、キャリア基体をネットとして形成し、そ
のネットは多孔性セラミック層で被覆され、当該セラミ
ック層は表面積が拡大されており、この表面積拡大セラ
ミック層に、触媒活性物質が付与されていることを特徴
とする。この触媒反応体が、化学反応すなわち本発明に
おいては脱臭化反応と結合して用いられ、臭気を含むガ
スを触媒反応体と接触するように導入し、その際、好ま
しくは、貴金属（例、パラジウム、ロジウムなど）、ま
たは一つまたはいくつかの金属酸化物と組み合わせた貴
金属を活性物質として用いる。この方法によって、悪臭
成分を含むガスの触媒的浄化、溶媒蒸気（フューム）を
含む通気の触媒的浄化を行うことができる。臭気発生物
質としては、アンモニア・アミン類、メルカプタン類、
またはテルペン類が挙げられる。臭気は、２００℃を超
える温度で、一つまたはいくつかの触媒ネットを通し
て、臭気性物質が混ざった空気を処理することによっ
て、低減することができる。ここで、貴金属および／ま
たは金属酸化物が活性物質として用いられる。前記の触
媒において、ゼオライト触媒と酸化触媒をネットに組み
込んだものを用いることができ、酸化触媒としては貴金
属（例、ロジウム）が好ましい。

【００１５】上述のように、本発明の脱臭装置は、構成
体（加熱器、触媒反応器、熱交換器）の組み合わせ方と
共に、反応器に組み込む触媒としてワイヤメッシュ触媒
というコンパクトで効率的な触媒を選択することによっ
て、所期目的がより一層有利に達せられる。これら二つ
の要素の組み合わせにより、ワイヤーメッシュのコンパ
クト化と、それを脱臭器の要素として組み合わせたこと
による容積減少のゆえに、全体の脱臭構成体が非常にコ
ンパクトになり、その結果、全ユニットの表面積がより
小さくなり、表面からの熱消散が減少する。

【００１６】これに対して、従来、加熱器と触媒反応体
からの熱消散は温かい金属表面から行われるので、仮に
ユニットを熱絶縁体でカバーッして熱消散を保護しよう
としても、全体として熱損失はまだ非常に高いのであ
る。本発明の脱臭装置は、加熱器と触媒反応器が熱交換
器構造でカバーされているのでそれらから消散した熱が
よく回収される。発散熱は、触媒反応器に入る前の臭気
ガスによって吸収され予備加熱に利用され、次いで触媒
反応器に入りそこでコンパクトで効率的なワイヤーメッ
シュ触媒により完全に脱臭される。 ［加熱器］加熱器としては一般に電気加熱器の使用が便
利であり好ましいが、中型または大型装置の場合はガス
バーナーなどを用いることもある。電気式に関していえ
ば、抵抗体である金属またはセラミックに通電し発熱さ
せるヒーターであり、形式は使用目的に応じ、棒状、Ｕ
字管状、平面状等を選択し得る。金属抵抗体を使用する
場合、金属製発熱体の周囲を耐熱性電気絶縁材料で覆
い、さらに金属製の保護外装を有するものが一般に用い
られる。保護管の形状として凹凸をつけたり、コルゲー
ト管状の波型、または放熱フィンを付けて気体への熱伝
達を良くすることも行われる。加熱器の選定にあたって
は、通常の使用温度（３００〜４００℃）と比べて充分
耐熱温度の高いものを用いるのが好ましい。加熱器の過
熱による損傷を避けるため、加熱器の近傍に温度センサ
ーを設けて、加熱電力を制御したり、風量が落ちれば電
源を切るなどの制御回路を設けることが好ましい。

【００１７】［送風器］脱臭装置本体、すなわち加熱
器、触媒反応器、熱交換器に臭気を供給し脱臭された気
体を排出するために送風器が必要である。送風器は、基
本的に本体の入り側、出側のいずれに取り付けてもよ
い。前者の場合には送風器の内部機構部品が直接臭気ガ
スと接触し、臭気ガスの中には金属を腐食させる成分が
含まれることも多いので、耐食性の部品を付けるのが好
ましい。後者の場合は、腐食性成分は既に分解消滅して
いるので耐食性は必要としないが、気体の温度が高く、
密度が低いので、圧力差の大きい軸流ファン、シロッコ
ファン、プレートファン（矩形の羽根が気体の流線に対
し直角に取り付けられたもの）、ターボファン（後退角
を有する羽根がついたもの）などの使用が好ましい。風
量、風速の調整は所望の脱臭性能を維持するため予め技
術的に決められた指標、たとえばＳＶ値、触媒時間等に
より定められて数値になるようインバーダー等で送風器
の回転数を変更すればよい。

【００１８】

【実施例】本発明の脱臭装置による脱臭試験の結果を、
従来の装置と比較して以下に示す。実施例１として図１
の装置を、また比較例１として図５の装置を、それそれ
用いたときの試験結果を表1に示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】次に、実施例２として図３の装置を、また
比較例２として図６の装置を、それそれ用いたときの試
験結果を表２に示す。

【００２１】

【表２】

【００２２】上記の表１および２の結果から、本発明の
実施例１および２の脱臭装置を用いるとき、それぞれ比
較例１および２の装置に比べて、加熱エネルギーはおよ
そ半分であり、しかも触媒反応器の温度はより高く維持
される。また、本発明装置によるとき、脱臭効果も比較
例１および２に比べて優れている。

【００２３】

【発明の効果】上述のように、本発明の脱臭装置は、コ
ンパクト化され熱効率に優れていることから、種々の産
業分野において臭気除去に用いることができる。具体例
としては、排水パイプ、排水坑、腐敗槽、汚水廃棄装
置、あるいはレジデンス、アパート、レストランまたは
ホテルなどのコンポスト保管場のような種々の臭気源の
脱臭に適用し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の脱臭装置における構造の一例を示す。

【図2】本発明の脱臭装置における構造の一例を示す。

【図3】本発明の脱臭装置における構造の他の例を示
す。

【図4】本発明の脱臭装置における構造の他の例を示
す。

【図5】従来の脱臭装置の構造例を示す。

【図6】従来の脱臭装置であって、他の構造例を示す。

【図7】熱交換器を示す。

【符号の説明】

Ｄ：脱臭装置 Ｈ：加熱器 Ｒ：触媒反応器 ＨＥ：熱
交換器 Ｐ：パイプ Ｉ：臭気ガス入口 Ｏ：脱臭ガス出口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 進一 徳島県鳴門市撫養町立岩字七枚71番地 Ｆターム(参考） 4C080 AA07 BB02 CC01 CC08 HH05 JJ03 KK08 LL03 MM02 MM04 NN01 QQ17 4D048 AA22 BA11X BA30Y BA31Y BA32Y BA33X BA34Y BB07 CC38 CC52 CC54

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】触媒反応器、加熱器、熱交換器および送風
   器を必須構成要素として備える小型脱臭装置であって、
   前記加熱器が前記熱交換器の内側に配置されていること
   を特徴とする脱臭装置。
2. 【請求項２】触媒反応器、加熱器、熱交換器および送風
   器を必須構成要素として備える小型臭装置であって、前
   記加熱器および前記触媒反応器が前記熱交換器の内側に
   配置されていることを特徴とする脱臭装置。
3. 【請求項３】前記触媒反応器に含まれる触媒の少なくと
   も一部がワイヤーメッシュ触媒である請求項１または２
   記載の脱臭装置。
4. 【請求項４】前記触媒反応器に含まれる触媒の少なくと
   も一部がゼオライト触媒であり、前記ゼオライト触媒が
   貴金属触媒と共に触媒ネットに配されている請求項１ま
   たは２記載の脱臭装置。