JP2003057437A - 光学フィルター - Google Patents

光学フィルター

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JP2003057437A JP2001248721A JP2001248721A JP2003057437A JP 2003057437 A JP2003057437 A JP 2003057437A JP 2001248721 A JP2001248721 A JP 2001248721A JP 2001248721 A JP2001248721 A JP 2001248721A JP 2003057437 A JP2003057437 A JP 2003057437A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種ディスプレーにおいて発生する特定の波長
の光を選択的にカットするとともに、ディスプレーの色
純度を阻害しないような可視光線透過率が高い光学フィ
ルターを提供する。 【解決手段】基材中に、570〜605nmに極大吸収
波長を有するアザポルフィリンを少なくとも1種含有し
てなる光学フィルター。 【発明の効果】本発明の光学フィルターは、基材中に、
570〜605nmに極大吸収波長を有するアザポルフ
ィリン化合物を含有するため、各種ディスプレーにおい
て発生する570〜605nmの波長帯にある余分な光
を効率よくカットするため、可視光線の赤色部分を正確
に再生する優れた性能を有する。また、アザポルフィリ
ン化合物を用いることで、耐久性に優れかつ成形が容易
で様々な方法でディスプレー用の光学フィルターの作製
が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アザポルフィリン
化合物を含む光学フィルターに関するものである。さら
に詳しくは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプ
レパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプ
レイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電
界放射型ディスプレイ等の発光色の色純度を向上させる
ために取り付けられる光学フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(LCD)、プラズマディス
プレパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディス
プレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、
電界放射型ディスプレイのような画像表示装置は、赤、
青、緑の三原色の光の組み合わせでカラー画像を表示す
る。しかし、これらのディスプレイでは、三原色蛍光体
からの発光に余分な光(波長が570〜605nmの範
囲)が含まれているため、可視光線の赤色部分を正確に
再生できないという問題点を有している。
【0003】この不要発光波長の光を抑えるために、そ
の波長の光を選択的に吸収する色素を用いることが有効
であり、特定波長帯の光線を通さない光学フィルターが
提案されている。例えば、特開昭58−153904号
公報、特開昭59−221943号公報、特開昭60−
22102号公報、特開2000−193820号公
報、特開2001−131345号公報、特開2001
−183522号公報に開示されている。
【0004】しかしながら、これらの先行技術で開示さ
れている色素は、吸収波長帯がブロードなため、本来遮
断すべき特定波長帯以外の波長帯をも遮断するため、発
光色の色純度は不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術に鑑み、各種ディスプレーにおいて発生する特
定の波長の光を選択的にカットするとともに、ディスプ
レーの色純度を阻害しないような可視光線透過率が高い
実用的なフィルターを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、アザポルフィリン
を用いた光学フィルターを作製することにより、問題と
なる570〜605nmの波長帯にある余分な光をカッ
トする光学フィルターができることを見出して、本発明
を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、基材中に、570〜6
05nmに極大吸収波長を有するアザポルフィリンを少
なくとも1種含有してなる光学フィルター、 570〜605nmの透過率が1〜50%である前記
の光学フィルター、 アザポルフィリンが、透明粘着層に含有されている前
記またはの光学フィルター、 アザポルフィリンが、高分子成形体に含有されている
前記またはの光学フィルター、および、 高分子成形体またはガラス表面に形成されているコー
ト層にアザポルフィリンが含有されている前記または
の光学フィルターに関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルターは、基材
中に、570〜605nmに極大吸収波長を有するアザ
ポルフィリンを少なくとも1種含有するものである。ア
ザポルフィリン類としては特に限定されないが、赤色発
光波長である610〜630nmに吸収極大を持たない
ことが望ましい。また基材樹脂との相溶性、成形性に優
れ、成形後の耐久性に優れたものが望ましい。特に好ま
しい化合物としては、下記一般式(1)(化2)で表さ
れるアザポルフィリン化合物が挙げられる。
【0009】
【化2】
【0010】[式中、X1〜X8 は各々独立に、水素原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミ
ノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数20以下
のアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、モノ
アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アラルキル
基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、アシル基またはアルコキシカルボニル
基を表す。R1〜R4は各々独立に炭素原子または窒素原子
を表す。但し、R1〜R4のうち窒素原子は1個または2個
含む。Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価また
は4価の置換金属原子、あるいはオキシ金属を表
す。 ] 本発明で用いる一般式(1)で表されるアザポルフィリ
ン化合物中、R1〜R4で表される置換基において、R1〜R4
のうちの1個が窒素原子であるモノアザポルフィリンま
たは2個が窒素原子であるジアザポルフィリンであれ
ば、その他の置換基については特に制限を受けないが、
以下に具体的に記載する。水素原子;フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;水酸
基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基 メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso-プロピル
基、n−ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t−
ブチル基、n−ペンチル基、iso-ペンチル基、2-メチル
ブチル基、1-メチルブチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジ
メチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、cyclo-ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メ
チルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチ
ル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、
1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジ
メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチ
ル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,2,2-ト
リメチルブチル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1-エチ
ル-2-メチルプロピル基、cyclo-ヘキシル基、n−ヘプ
チル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-
メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチル
ペンチル基、n−オクチル基、2-エチルヘキシル基、2,
5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、
2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル
基、n−ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n−
デシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-ジメチ
ルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,
3,5,7-テトラメチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、
6,6-ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6-メチル
-4-ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペン
タデシル基、3,5-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチルヘ
プチル基、2,4-ジメチルヘプチル基、2,2,5,5-テトラメ
チルヘキシル基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロ
ピル基、1-cyclo-ヘキシル-2,2-ジメチルプロピル基等
の炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso-
プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-
ブトキシ基、t-ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso-ペ
ントキシ基、neo-ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ
基、n−ドデシルオキシ基、メトキシエチル基、エトキ
シエチル基、iso-プロピルオキシエチル基、3-メトキシ
プロピル基、2-メトキシブチル基、メトキシエトキシ
基、エトキシエトキシ基、3-メトキシプロピルオキシ
基、3-(iso-プロピルオキシ)プロピルオキシ基等の炭素
数1〜20のアルコキシ基;フェノキシ基、2-メチルフ
ェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-t-ブチルフェノ
キシ基、2-メトキシフェノキシ基、4-iso-プロピルフェ
ノキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基;メチ
ルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、n-
ブチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基等の炭素数1〜2
0のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミ
ノ基、N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ基等の炭素数
2〜20のジアルキルアミノ基;ベンジル基、ニトロベ
ンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、
メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベ
ンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、
エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、
ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナ
フチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチル
ナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル
基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、ニ
トロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニ
ル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメ
チルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニ
ル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニ
ル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニ
トロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチ
ル基、メチルナフチル基、トリフルオロメチルナフチル
基等の炭素数6〜20のアリール基;ピロリル基、チエ
ニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイ
ル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾフ
ラニル基、インドイル基等のヘテロアリール基;メチル
チオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピ
ルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブ
チルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-
ペンチルチオ基、2-メチルブチルチオ基、1-メチルブチ
ルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピル
チオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基;フェニル
チオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-メトキシフェニル
チオ基、4-t-ブチルフェニルチオ基等の炭素数6〜20
のアリールチオ基;ホルミル基、アセチル基、エチルカ
ルボニル基、n−プロピルカルボニル基、iso-プロピル
カルボニル基、n−ブチルカルボニル基、iso-ブチルカ
ルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、t-ブチルカルボ
ニル基、n−ペンチルカルボニル基、iso-ペンチルカル
ボニル基、neo-ペンチルカルボニル基、2-メチルブチル
カルボニル基、ニトロベンジルカルボニル基等の炭素数
1〜20のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、2,4-
ジメチルブチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜20
のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。M
で表される2価の金属の例としては、Cu(II)、Zn(I
I)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(I
I)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(I
I)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(I
I)、Pb(II)、Sn(II)等が挙げられる。1置換の3
価金属の例としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、
Ga−Cl、Ga−Br、Ga−F、Ga−I、In−Cl、In−Br、In−
F、In−I、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−F、Tl−I、Al−Cl、Al
−C6H5、Al−C6H4(CH3 )、In−C6H5、In−C6H4(CH3 )、
Mn(OH)、Mn (OC6H5) 、Mn (OSi(CH3) 3)、Fe−Cl、Ru
−Cl等が挙げられる。2置換の4金属の例としては、Cr
Cl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl 2、GeB
r2、GeF2、GeI2、SnCl2、SnF2、SnBr2、TiCl2、TiBr2
TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2
Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2[Rは、アル
キル基、フェニル基、ナフチル基およびその誘導体を表
す。]、Si(OR')2、Sn(OR')2、Ge(OR')2、Ti(O
R')2、Cr(OR')2[R'は、アルキル基、フェニル基、
ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコ
キシシリル基およびその誘導体を表す。]、Sn(S
R'')2、Ge(SR'')2、[R''は、アルキル基、フェニル
基、ナフチル基およびその誘導体を表す。]等が挙げら
れる。オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiO等が挙げ
られる。一般式(1)の代表例を次の表‐1(表1〜表
4)に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】 本発明の光学フィルターは、基材中に、570〜605
nmに極大吸収波長を有するアザポルフィリンを少なく
とも1種含有してなるもので、本発明でいう基材に含有
するとは、基材の内部に含有されることは勿論、基材の
表面に塗布した状態、基材と基材の間に挟まれた状態等
を意味する。
【0015】基材としては、透明樹脂板、透明フィル
ム、透明ガラス等が挙げられ、波長400〜700nm
の光線透過率が40%以上の透明性があれば特に制限は
ない。具体的に例示すると、ポリイミド、ポリスルフォ
ン(PSF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリメチレンメタクリレート
(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセ
ルロース(TAC)等が挙げられる。特に、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)及びトリアセチルセルロース(TAC)、
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂等が好ましい。
【0016】基材の厚さは、ある程度の機械的強度があ
れば特に制限はないが、通常は、20μm〜10mmで
あり、20μm〜1mmが好ましく、20μm〜200
μmが特に好ましい。
【0017】上記アザポルフィリン化合物を用いて本願
の光学フィルターを作製する方法としては、特に限定さ
れるものではないが、(1)透明粘着剤に含有させる方
法、(2)高分子成形体へ含有させる方法、(3)高分
子成形体又はガラス表面にコーティングする方法等が挙
げられる。(1)に挙げた透明粘着剤の具体的な例とし
ては、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン
系粘着剤、ポリビニルブチラール粘着剤(PVB)、エ
チレンー酢酸ビニル系粘着剤(EVA)等、ポリビニル
エーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等の
シート状または液状の粘着剤等を挙げることができる。
アザポルフィリンの添加量は、通常10ppm〜30重量
%であり、10ppm〜20重量%が好ましく、10ppm〜
10重量%が特に好ましい。(2)に挙げた高分子成形
体へ含有させる方法としては、(A)樹脂にアザポルフ
ィリンを混錬し、加熱成形する方法と(B)有機溶剤
に、樹脂または樹脂モノマーとアザポルフィリンを分
散、溶解させ、キャスティング法により高分子成形体を
作成する方法が挙げられる。(A)で使用される樹脂
は、板またはフィルム作成した際に、できるだけ透明性
の高いものが好ましく、具体的にはポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリ
エチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテル
ケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリア
セチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリウレタン、
ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩
化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアク
リル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物
の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エ
ステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フ
ッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチ
レン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素
系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエ
ーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルブチラール等を挙げることができる。
【0018】加工条件は、用いるアザポルフィリン、ベ
ース高分子によって、加工温度、フィルム化条件等が多
少異なるが、アザポルフィリンをベース高分子の粉体或
いはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解
させた後、成形して板を作製する方法。押し出し機でフ
ィルム化をする方法。押し出し機で原反を作製し、30
〜120℃で2〜5倍に1軸乃至2軸に延伸して、10
〜200μm厚のフィルムにする方法、等が挙げられ
る。
【0019】尚、混錬する際に可塑性等の通常の樹脂成
形に用いる添加剤を加えても良い。アザポルフィリンの
添加量は、吸収係数、作製する高分子成形体の厚み、目
的の吸収強度、目的の透過特性・透過率等によって異な
るが、通常、ベース高分子成形体の重量に対して1ppm
〜20重量%であり、1ppm〜10重量%が好ましく、
1ppm〜5重量%が特に好ましい。(B)のキャスティン
グ法では、樹脂又は樹脂モノマーの有機溶剤溶液に、ア
ザポルフィリンを添加・溶解させ、必要であれば可塑
剤、重合開始剤、酸化防止剤を加え、必要とする面状態
を有する金型やドラム上へ流し込み、溶剤揮発・乾燥又
は重合・溶剤揮発・乾燥させることにより、板又はフィ
ルムを製造することができる。
【0020】使用される樹脂としては、脂肪族エステル
系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン樹
脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪
族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポ
リビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニ
ル系変成樹脂(PVA、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂
の樹脂モノマーが挙げられる。
【0021】溶媒としては、ハロゲン系、アルコール
系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族
炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系
等が挙げられる。
【0022】アザポルフィリンの濃度は、色素の吸収係
数、板又はフィルムの厚み、目的の吸収強度、目的の透
過特性・透過率等によって異なるが、樹脂モノマーの重
量に対して、通常、1ppm〜20重量%である。ま
た、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜90重
量%である。(3)に挙げた高分子成形体又はガラス表
面にコーティングする方法としては、アザポルフィリン
をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化す
る方法、未着色のアクリルエマルジョン塗料にアザポル
フィリンを微粉砕(50〜500nm)したものを分散
させてアクリルエマルジョン系水性塗料にする方法等が
挙げられる。バインダー樹脂としては、脂肪族エステル
系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系
樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂
肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、
ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビ
ニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共
重合樹脂等が挙げられる。溶媒としては、ハロゲン系、
アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素
系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれら
の混合物系等が挙げられる。アザポルフィリンの濃度
は、吸収係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、
目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹
脂の重量に対して、通常、0.1ppm〜30重量%で
ある。また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1
〜50重量%である。アクリルエマルジョン系水系塗料
の場合も、前記と同様に、未着色のアクリルエマルジョ
ン塗料に色素を微粉砕(50〜500nm)したものを
分散させて得られる。塗料中には、酸化防止剤等の通常
塗料に用いるような添加物を加えても良い。
【0023】上記の方法で作製した塗料は、透明高分子
フィルム、透明樹脂、透明ガラス等の上にバーコーダ
ー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコー
ター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング
法で色素を含有させることができる。色純度・色座標の
評価には、通常のカラーメーターを使うこともできる
し、また、分光放射輝度計を用いて、波長分散情報から
計算することもできる。実際の測定では、それぞれ色の
3原色を表示させて、その時の(X、Y)を測定し、次に
フィルターを装着して、(X、Y)を測定し、この時の変
化分として(ΔX、ΔY)を評価すればよい。本発明の光
学フィルターには、電磁波シールド機能と近赤外線遮断
機能を持たせることが好ましい。電磁波シールドには、
銀薄膜を用いた積層体や銅を主として用いる金属のメッ
シュを用いることができる。銀薄膜を用いた積層体とし
ては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、等の誘
電体(DE)と銀(M)を交互に、DE/M/DE/M/DE(5
層)となるよう作成したものが好ましい。積層数は5層
から9層が好ましいがこの、総数に限定されるものでは
なく、密着性や耐久性を上げるためにMとDEの間に光学
特性を妨げない程度の超薄膜を挿入しても良い。金属の
メッシュとしては、繊維に金属を蒸着した繊維メッシ
ュ、フォトリソグラフィーの技術を用いパターンを形成
してエッチングによりメッシュを得るエッチングメッシ
ュ等を使用することができる。近赤線遮断機能は、銀薄
膜を用いる電磁波シールドを用いる場合は、銀の自由電
子による散乱のため、同時に、近赤外線の遮断を行うこ
とができる。金属のメッシュを用いた場合は、別途、近
赤外線を吸収するフィルムもしくは近赤外線を反射する
フィルムを用いる。次に図を用いて光学フィルターの構
成について説明する。図1〜4は、本発明における光学
フィルターの一例を示す断面図である。図1は、透明基
体10上にアザポルフィリンを含有した透明粘着層20
を積層した場合の光学フィルターの模式的な断面図を示
した。図2は、アザポルフィリンを含有した透明粘着層
20のみからなる光学フィルターの模式的な断面図を示
した。図3は、アザポルフィリンを含有した透明基体1
0のみからなる光学フィルターの模式的な断面図を示し
た。図4は、透明基体10上にアザポルフィリンを含有
したコート層30が積層された光学フィルターの模式的
な断面図を示した。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れによりなんら限定されるものではない。 〔実施例1〕酢酸エチル/トルエン(50:50重量
%)溶剤に表−1中、(1−13)で示されるジアザポ
ルフィリンを分散・溶解させ、濃度が1150ppmにな
るようにアクリル系粘着剤用の色素入り希釈剤とした。
アクリル系粘着剤/色素入り希釈剤(80:20重量
%)を混合し、バッチ式ダイコーターでポリエチレンテ
レフタレートフィルム[帝人社製、厚さ75μm]上に
塗工し、乾燥させて光学フィルターを作製した。該フィ
ルターについて、島津製作所製分光光度計UV-3100にて
透過率を測定した。584nmの吸収極大での透過率は
15.9%であった。赤色の飽和値(X、Y)=(0.6
12、0.335)である透過型液晶ディスプレー(カ
ラーフィルター付)に、当該フィルターを装着したとこ
ろ、(ΔX、ΔY)=(+0.002、−0.002)と
向上したことが確認できた。
【0025】〔実施例2〕ポリエチレンテレフタレート
ペレット[ユニチカ社製 品名1203]に実施例1で
用いたジアザポルフィリン0.015重量%を混合し、
260〜280℃で溶融させ、押し出し機により厚み2
00μmのフィルムを作製した。このフィルムを2軸方
向に延伸し、厚み100μmの光学フィルターを作製し
た。該フィルターについて、島津製作所製分光光度計UV
-3100にて透過率を測定した。584nmの吸収極大で
の透過率は16.2%であった。また、該フィルターを
63℃の条件で、カーボンアーク灯で300時間照射し
て耐光試験を行ったところ、584nmの吸収極大での
透過率は%でありフィルターの劣化はほとんど見られな
かった。
【0026】〔実施例3〕実施例1において、(1−1
3)のジアザポルフィリンの代わりに、(1−7)で示
されるモノアザポルフィリンの濃度が1250ppmにな
るようにアクリル系粘着剤用の色素入り希釈剤を調整し
た以外は、実施例1と同様にして光学フィルターを作製
した。このフィルターについて、同様に透過率を測定し
たところ570nmの吸収極大での透過率は16.5%
であった。
【0027】〔実施例4〕実施例2において、(1−1
3)のジアザポルフィリンの代わりに、(1−35)で
示されるジアザポルフィリン0.012重量%を用いた
以外は、実施例2と同様にして光学フィルターを作製し
た。このフィルターについて、同様に透過率を測定した
ところ594nmの吸収極大での透過率は16.0%で
あった。また、実施例2と同様に耐光性試験を行ったが
フィルターの劣化は見られなかった。
【0028】
【発明の効果】本発明の光学フィルターは、基材中に、
570〜605nmに極大吸収波長を有するアザポルフ
ィリン化合物を含有するため、各種ディスプレーにおい
て発生する570〜605nmの波長帯にある余分な光
を効率よくカットするため、可視光線の赤色部分を正確
に再生する優れた性能を有する。また、アザポルフィリ
ン化合物を用いることで、耐久性に優れかつ成形が容易
で様々な方法でディスプレー用の光学フィルターの作製
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フィルターの一例を示す断面図
【図2】光学フィルターの一例を示す断面図
【図3】光学フィルターの一例を示す断面図
【図4】光学フィルターの一例を示す断面図
【符号の説明】
10 透明基礎体 20 透明粘着層 30 コート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 G02F 1/1335 500 G02F 1/1335 500 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H048 CA01 CA04 CA09 CA14 CA19 CA29 2H091 FA01 FB02 LA15 LA16 2K009 BB02 BB11 CC21 DD02 EE01 4F071 AA46 AC19 AH12 BB06 BC01 4J002 AA001 CF061 EU026 GP00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材中に、570〜605nmに極大吸
    収波長を有するアザポルフィリンを少なくとも1種含有
    してなる光学フィルター。
  2. 【請求項2】 アザポルフィリンが下記式(1)(化
    1)で表される化合物である請求項1記載の光学フィル
    ター。 【化1】 [式中、X1〜X8 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原
    子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキ
    シル基、スルホン酸基、炭素数20以下のアルキル基、
    アルコキシ基、アリールオキシ基、モノアルキルアミノ
    基、ジアルキルアミノ基、アラルキル基、アリール基、
    ヘテロアリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
    アシル基またはアルコキシカルボニル基を表す。R1〜R4
    は各々独立に炭素原子または窒素原子を表す。但し、R1
    〜R4のうち窒素原子は1個または2個含む。Mは2個の
    水素原子、2価の金属原子、3価または4価の置換金属
    原子、あるいはオキシ金属を表す。
  3. 【請求項3】 570〜605nmの透過率が1〜50
    %であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記
    載の光学フィルター。
  4. 【請求項4】 アザポルフィリンが、透明粘着層に含有
    されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の光学フィルター。
  5. 【請求項5】 アザポルフィリンが、高分子成形体に含
    有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の光学フィルター。
  6. 【請求項6】 高分子成形体またはガラス表面に形成さ
    れているコート層にアザポルフィリンが含有されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学
    フィルター。
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