JP2003055618A - 接着構造体 - Google Patents

接着構造体

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JP2003055618A
JP2003055618A JP2001234843A JP2001234843A JP2003055618A JP 2003055618 A JP2003055618 A JP 2003055618A JP 2001234843 A JP2001234843 A JP 2001234843A JP 2001234843 A JP2001234843 A JP 2001234843A JP 2003055618 A JP2003055618 A JP 2003055618A
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Hideto Endo
秀人 遠藤
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3M Innovative Properties Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性の被着体に接着した状態で、屋外で連
続使用した場合でも、アウトガスによる外観不良と、異
物侵入による外観不良との両方を効果的に防止できる接
着構造体を提供する。 【解決手段】 被着体と、その被着面に接着された接着
シートと、接着シート周縁を被覆する様に被着面と接着
シート表面とに接着されたシールテープとを備え、接着
シートは、基材と溝を有する接着層とを備え、接着層と
被着面との間にチャネルが形成され、チャンネルは接着
シート周縁に開口部を有する接着構造体において、チャ
ンネルは、接着シートを被着体に接着して加熱した後で
も存在し、シールテープは、支持体とシール用接着層と
を備え、接着シート周縁の開口部を被覆し、支持体の透
湿度が20〜500[g/m・24時間−厚さ30μm−40℃・90
%RH]であり、シール用接着層は粘着性ポリマーを含む
接着構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被着体と、被着体
の被着面に接着された状態で前記被着面との間に外部と
連絡可能な開口部を有するチャネルを形成する接着シー
トと、その接着シートの周縁の実質的に全周囲をシール
するシールテープとを含んでなる、接着構造体の改良に
関する。本発明によれば、被着体の吸水性が高く、被着
体から比較的多量のアウトガスが発生する様な場合で
も、アウトガスによるシート膨れを効果的に防ぐと同時
に、チャンネル内への異物侵入を防ぐことにより、接着
構造体の外観を損なうことを効果的に防ぐことができ
る。
【0002】
【従来の技術】接着層を有する接着シートを被着体に接
着して形成した接着構造体において、接着シート周縁を
部分的にまたは全体(全周囲)を被覆する様に、被着体
の被着面と接着シート表面とにシールテープを接着する
ことは、一般的に実施されている。シールテープは、通
常、支持体と、その支持体の裏面に固定的に配置された
シール用接着層とを備えている。また、被着物(接着シ
ート及び被着体)に対する密着性を高めるため、シール
用接着層の接着面は実質的に凹凸の無いフラットな面で
ある。
【0003】たとえば、特開平9−202514号公報
には、標識基板等の金属製被着体の表面に、接着層を有
する再帰反射シートを接着して標識を作製する場合に、
再帰反射シートの周縁部に沿って、シールテープ(樹脂
製保護テープ)を再帰反射シートと基板とに跨がって接
着する(周縁部をシールする)ことが開示されている。
再帰反射シートは基板表面の周縁部近傍まで伸展される
が、道路標識の周縁部は他の物体との衝突等により損傷
を受け易く、この損傷が再帰反射シートの周縁部にも及
ぶと再帰反射シートが破損したり剥離したりする危惧が
生じる。このような危惧を効果的に排除するためには、
再帰反射シートの周縁部全体を一様にシールテープでシ
ールするのが良い。
【0004】この公報に好適な例として開示されたシー
ルテープは、伸長性の高い支持体を有する粘着テープで
ある。この様な支持体は、エチレン−アクリル酸共重合
体等のポリエチレン単位を分子内に含む共重合体、脂肪
族ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂等から形成でき
ることも開示されている。また、シール用接着層として
は、たとえば、アクリル系感圧接着剤が、接着力及び支
持体伸長に対する追従性の観点で好適であることも開示
されている。なお、エチレン−アクリル酸共重合体を含
有するフィルムを支持体として有する伸長性粘着テープ
は、たとえば、特開昭62−184080号公報にも開
示される。
【0005】一方、接着層の表面(接着面)に複数の溝
を備えた接着シートであって、接着層と被着面との間に
チャネルが形成され、そのチャンネルが接着シート周縁
において開口部を有する接着シートが広く知られてい
る。この様なチャンネル形成可能な接着シートは、たと
えば、次の様な利点を有する。通常の接着シート(接着
面が平坦であるもの。)を、ある種の被着体に貼り付け
た場合、被着体から発生した水蒸気等のアウトガスが被
着面と接着シートとの間に滞留する。この様なアウトガ
ス滞留は、接着シートが膨れる現象、すなわち、アウト
ガスによる接着シートの膨れを生じさせ、接着シートを
接着して形成した接着構造体の外観を損なう。この様な
アウトガス滞留は、特に、吸水性の材料(ポリカーボネ
ート等の吸水性のポリマー、コンクリート、モルタル
等)からなる被着体の場合に顕著であった。
【0006】この様な被着体からのアウトガスは、接着
シートの接着層と被着面との間にチャンネルが形成され
ている場合、そのチャンネルを通って接着シート周縁の
チャンネル開口部まで到達し、その開口部を通じて外気
に放散可能である。したがって、「アウトガスによる外
観不良」は、チャンネル形成可能な接着シートの使用に
よって解決可能である。なお、この様なチャンネル形成
可能な接着シートは、登録実用新案2503717号公
報、登録実用新案2587198号公報、特開昭63−
223081号公報、国際公開WO00/69985号
公報、国際特許公開WO93/05123号公報、特開
平11−209704号公報等に開示されている。
【0007】ここで、接着層に、チャネル形成可能な溝
を有する様に凹凸接着面を形成する方法の1例について
説明する。まず、所定の凹凸構造を有する剥離面を持つ
ライナーを用意する。このライナーの剥離面に、粘着性
ポリマーを含む塗料(接着シートの接着層形成用の接着
剤塗料)を塗布、乾燥して接着層を形成する。これによ
り、接着層のライナーと接する面(これが、接着シート
における接着面となる。)に、ライナーの凹凸構造(ネ
ガ構造)を転写し、接着面に所定の構造(ポジ構造)を
有する凹凸接着面を形成する。接着面の凹凸は、(a)
被着体に接触する複数の凸部と、(b)互いに隣接する
凸部間に形成され、被着体と上記凸部とが接触した際に
チャンネル形成可能な溝とを含んでなる様に予め設計さ
れる。
【0008】なお、前述した再帰反射シート等の場合に
おけるシールテープの使用については、上記チャネル形
成可能な接着シートを開示したいずれの公報にも開示さ
れていないが、チャネル開口部の一部をシールすること
は実施されている。たとえば、接着シートを、看板や壁
からなる被着体に接着した場合、接着シートのチャネル
開口部の一部は、通常、鉛直方向上方を向いている。し
たがって、雨滴がチャネル内部に侵入することを防止し
するために、接着シートの鉛直方向上部に位置する周縁
を全部塞ぐ様にシールテープを接着していた。しかしな
がら、その他の部分の周縁(水平方向の左右、及び鉛直
方向下部)は、アウトガスの放散作用を最大限に生かす
ために、シールされたことはなかった。これは、通常の
シールテープでは、チャネルのアウトガス放散作用を妨
げるからであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、接着シート
を被着体に接着して作製した接着構造体を、屋外で連続
使用する場合、次の様なことにも考慮して、接着構造体
を設計しなければならないことが判明した。接着シート
周縁のチャンネル開口部からは、雨水の様な水滴の他、
外部から塵埃、水蒸気等の、外気中に浮遊する異物もチ
ャンネル内に侵入する。この様な浮遊異物は、接着シー
トの、水平方向の左右部及び鉛直方向下部の開口からで
も侵入する。チャンネル内にこの様な異物が侵入すると
接着層の接着性が低下し、異物と接触した接着層の部分
が、使用中に被着面から剥離しやすくなる。この様な剥
離しやすくなった接着シート(接着層)の部分では、外
力が加わったり、被着体からのアウトガス圧力により部
分的な剥離や浮き(pop off)が生じやすくなる。この
様な、接着シートの部分的な剥離や浮きは、接着構造体
の外観を損なう。また、被着体または接着シート(ある
いはその両方)の透明性が高い場合、外部からチャンネ
ル内に浸透した異物が被着体または接着シートを通して
(透過して)視認され、接着構造体の外観を損なう。
【0010】この様な異物侵入を効果的に防ぐには、接
着シート周縁の実質的に全周囲において、チャンネル開
口部を被覆する様にシールテープを配置する必要があっ
た。そこで、本発明者らは、接着シートの接着層と被着
面との間に形成されたチャンネル内部が外気と直接接触
しない様にシールしながら、チャンネルのアウトガス放
散作用を効果的に利用し、アウトガスによる外観不良
と、異物侵入による外観不良との両方を効果的に防止で
きる様に検討を重ねた結果、本発明を成すに至った。す
なわち、本発明の目的は、吸水性の被着体に接着した状
態で、屋外で連続使用した場合でも、アウトガスによる
外観不良と、異物侵入による外観不良との両方を効果的
に防止できる接着構造体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、被着体と、前
記被着体の被着面に接着された接着シートと、前記接着
シート周縁の実質的に全周囲を被覆する様に前記被着面
と前記接着シート表面とに接着されたシールテープとを
備え、前記接着シートは、(a−1)基材と、(a−
2)その基材の裏面に固定的に配置され、接着面に複数
の溝を有する接着層とを備え、前記接着層と前記被着面
との間にチャネルが形成され、そのチャンネルは、前記
接着シート周縁において開口部を有する接着構造体にお
いて、前記チャンネルは、前記接着シートを前記被着体
に接着して65℃で30分間加熱した後でも存在し、前
記シールテープは、(b−1)支持体と、(b−2)そ
の支持体の裏面に固定的に配置されたシール用接着層と
を備え、前記チャンネル内部が外気と直接接触しない様
に、前記接着シート周縁の開口部を被覆し、前記支持体
は、JIS Z0208に準拠して測定された透湿度が
20〜500[g/m・24時間−厚さ30μm−4
0℃・90%RH]の範囲であり、前記シール用接着層
は粘着性ポリマーを含有することを特徴とする、接着構
造体を提供し、上記課題を解決する。
【0012】
【発明の実施の形態】(作用)本発明の接着構造体で
は、吸水性の被着体と、被着体に接着された接着シート
の接着面との間に形成されたチャンネルが、前記接着シ
ートを前記被着体に接着して65℃で30分間加熱した
後でも存在し、かつ接着シート周縁の実質的に全周囲を
シールしたシールテープが、特定の水蒸気透過性の支持
体と、粘着性ポリマーを含有するシール用接着層とを備
えていることを特徴としている。シールテープの支持体
の透湿度は、JIS Z0208に準拠して測定して、
20〜500[g/m・24時間−厚さ30μm−4
0℃・90%RH]の範囲である。この様な構成によ
り、吸水性の被着体に接着した状態で、屋外で連続使用
した場合でも、アウトガスによる外観不良と、異物侵入
による外観不良との両方を効果的に防止できる。
【0013】(シールテープ)シールテープは、接着シ
ートの接着層と被着面との間に形成されたチャンネル内
部が外気と直接接触しない様に、接着シート周縁のチャ
ンネル開口部を被覆する。これにより、外部から塵埃、
水(水滴や水蒸気)等の異物がチャンネル内に侵入する
のを効果的に防止する。チャンネル内に異物が侵入する
と、前述の様に、接着シートの部分的な剥離や浮きによ
り、また、チャンネル内に浸透した異物の視認により、
接着構造体の外観が損なわれる。したがって、接着シー
ト周縁の実質的に全周囲において、チャンネル開口部を
被覆する様にシールテープを配置する必要がある。ま
た、異物侵入を効果的に防ぐためには、被着物(接着シ
ート及び被着体)に対する密着性を高めた方が良いの
で、シール用接着層の接着面は実質的に凹凸の無いフラ
ットな面である。
【0014】シールテープの支持体の透湿度が500
[g/m・24時間−厚さ30μm−40℃・90%
RH]を超えると、外気に含まれる水蒸気が、シールテ
ープを通して被着面と接着シートとの間に形成されたチ
ャンネル内に浸透する。チャンネル内に浸透する水蒸気
量が多くなると、水蒸気と接触した接着層の接着性が低
下する。また、被着体または接着シート(あるいはその
両方)の透明性が高い場合、外部から浸透した水蒸気が
凝結して水滴となって視認される。反対に透湿度が20
[g/m・24時間−厚さ30μm−40℃・90%
RH]未満であると、被着体から発生したアウトガス
を、チャンネル開口部を被覆したシールテープ通じて外
部に逃がす効果(ガス逃散効果)が低くなり、アウトガ
スが被着面と接着シートとの間に滞留しやすくなる。上
記の様な観点から、透湿度は、好適には30〜450
[g/m・24時間−厚さ30μm−40℃・90%
RH]、特に好適には40〜400[g/m・24時
間−厚さ30μm−40℃・90%RH]である。
【0015】なお、透湿度は、JIS Z0208に準
拠し、次に説明する様にして測定する。まず、内容積2
00cmのアルミ缶を用意し、その中に2gの塩化カ
ルシウムを入れる。次に透湿度を測定したいフィルムま
たはシートを試料として用意し、上記アルミ缶の開口部
を試料で塞ぎ、シーリング剤で缶と試料とを接着して密
封する。その密封した缶を、40℃、90%RHの恒温
恒湿オーブン内に24時間静置した後、密封缶の増加質
量を測定し、透湿度に換算する。
【0016】シールテープの支持体は、通常、ポリマー
単層からなるフィルム、または2以上のポリマー層を含
んでなる積層フィルムである。ポリマー層のポリマー
は、支持体が上記範囲の透湿度を有する様に適宜決定さ
れる。好適なポリマーは、可塑化塩化ビニル系ポリマー
(可塑化された、ポリ塩化ビニルホモポリマー及び塩化
ビニル系共重合体を含む。)、塩化ビニルー酢酸ビニル
系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、
メタクリレート系ポリマー(ポリアルキルメタクリレー
ト及び、アルキルメタクリレート以外の重合単位を含む
メタクリレート系共重合体を含む。)、ポリカーボネー
ト、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ酢
酸ビニル、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)
及び酢酸セルロース系ポリマーからなる群から選ばれ
た、少なくとも1種または2種以上を含有する。支持体
は光透過性であっても、不透明であっても良い。支持体
が透明である場合、または、接着シートの色や模様と同
じ色や模様を支持体が有する場合、接着後のシールテー
プを目立たなくすることが容易である。
【0017】シールテープの接着層(シール用接着層)
は、粘着性ポリマーを含有する。これにより、支持体の
ガス逃散効果を妨げることなく接着シート及び被着面に
密着し、外部からの異物がチャンネル内に侵入するのを
効果的に防止できる。なお、粘着性ポリマーは、支持体
のガス逃散効果を妨げない範囲において、架橋されてい
ても良いし、また、シール用接着層が、粘着付与剤、弾
性ポリマー微小球、結晶性ポリマー、無機粉末、紫外線
吸収剤等の添加剤を含有していても良い。
【0018】粘着性ポリマーは、常温で粘着性を示し、
感圧接着剤として使用可能なポリマーである。この様な
ポリマーとしては、アクリル系ポリマー、ポリウレタ
ン、ポリオレフィン、ポリエステル等が使用できる。粘
着性ポリマーの合成の1例について、アクリル系ポリマ
ーを例にとって説明する。まず、第1モノマーとして、
アクリル性不飽和酸(例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸等)やアクリロニトリル等
の極性(メタ)アクリルモノマーを用意する。この第1
モノマーと、第2モノマーとしてのアクリルモノマーと
を混合し、モノマー混合物を調製する。第2モノマーと
しては、アルキルアクリレート、例えば、イソオクチル
アクリレート、ブチルアクリレート、2−メチルブチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソ
ノニルアクリレート等が使用できる。
【0019】この様にして調製したモノマー混合物を、
通常の重合方法、たとえば、溶液重合、乳化重合、塊状
重合等を用いて重合し、所定の分子量の粘着性ポリマー
を合成する。粘着性ポリマーの分子量は、所定の粘着性
が発揮される範囲であれば良く、通常は重量平均分子量
で、10,000〜100,000の範囲である。
【0020】シール用接着層は、通常、粘着性ポリマー
を含む塗料を、塗布し、固化して形成する。固化手段に
は、乾燥、硬化、冷却(塗料が溶融液の場合)等が使用
できる。塗布は、ロールコーター、ナイフコーター、バ
ーコーター、ダイコーター等を用いて、または、スクリ
ーン印刷、グラビア印刷等の印刷手段により行なうこと
ができる。シール用接着層は、従来から使用されてきた
接着シートの接着層の場合と同様にして、支持体裏面に
直接塗布するか、または、ライナーの剥離面に、粘着性
ポリマー含有塗料を塗布して形成するのが良い。後者の
場合、この様にして形成したライナー付き接着層を支持
体とラミネートし、シールテープを完成させる。
【0021】シール用接着層のガラス転移点(Tg)
は、好適には−50〜−10℃、特に好適には−45〜
−15℃である。シール用接着層のTgが高すぎると、
支持体のガス逃散効果を妨げ、接着シートのアウトガス
による膨れを生じさせるおそれがある。反対に、シール
用接着層のTgが低すぎると接着層の保持力が低下し、
使用中にシールテープが剥離するおそれがある。
【0022】なお、シール用接着層のTgは、DSC
(示差走査熱量計)を用いて次の様して求めた値であ
る。まず、厚さが1〜2mmの接着層を試料として用意
する。この試料をDSCにかけ、−120から120℃
まで昇温(ファーストスキャン)し、引き続き120か
ら−120℃まで冷却(セカンドスキャン)し、セカン
ドスキャン時のピークからTgを求める。
【0023】シール用接着層のTgを上記の所定の範囲
に制御するには、粘着性ポリマーを架橋しないか、また
は架橋の程度を比較的小さくするのが良い。通常、粘着
性ポリマーを架橋するのに架橋剤を用いる場合、架橋剤
の添加量は、架橋剤の種類にもよるが、粘着性ポリマー
100質量部に対して、通常0.02〜2質量部、好適
には0.03〜1質量部である。なお、粘着性ポリマー
を架橋させる場合、イソシアネート化合物、メラミン化
合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合
物、アミド化合物、ビスアミド化合物(イソフタロイル
ビス(2−メチルアジリジン)等の二塩基酸のビスアジ
リジン誘導体)等を、架橋剤として使用することができ
る。
【0024】シールテープ全体の厚さは、好適には20
〜300μm、特に好適には30〜200μmである。
支持体の厚さは、通常5〜200μm、好適には10〜
100μmである。シール用接着層の厚さは、好適には
10〜100μm、特に好適には15〜80μmであ
る。
【0025】シールテープの幅(前記接着シートの周縁
の延在方向と直交する方向の寸法)は、好適には8〜3
0mmの範囲である。シールテープの幅が8mm未満で
あると、接着シート表面及び被着面に対する接着面積が
十分に大きくできず、接着構造体の使用中に、シールテ
ープが剥離するおそれがある。また、シールテープの剥
離を効果的に防止するには、接着シートに接着した前記
シールテープの部分の幅は4mm以上で、かつ前記被着
体に接着した前記シールテープの部分の幅は4mm以上
であるのが好ましい。一方、シールテープの幅が30m
mを超えると、シールテープが目立って視認され、接着
構造体全体の外観を損なう場合もある。この様な観点か
らシールテープの幅は、好適には9〜25mmである。
【0026】(接着シート)接着シートの接着層は、被
着面に接着された状態で接着層の溝と前記被着面とが画
定する外部と連通するチャネルを備える構造を備える。
そのチャネルは、接着シートの周縁において、シールテ
ープを接着する前は、外気とチャネルとが直接接触可能
な開口部を有する。
【0027】チャンネルは、接着シートを前記被着体に
接着して65℃で30分間加熱した後でも消失せず、存
在する。接着層と被着面との間のチャンネルは接着構造
体の使用中は消失せず、被着体からのアウトガスがチャ
ンネルを通って、接着シート周縁のチャンネル開口部ま
で到達できる様にしなければならない。理想的には、チ
ャネル容積が減少しない様にすべきである。上記の様に
加熱した後にチャンネルが消失してしまう場合、接着構
造体の使用中にチャンネル容積が小さくなり、チャネル
のアウトガス放散効果が低下するおそれが高い。本発明
の接着構造体では、チャネル開口部はシールテープで被
覆されているので、アウトガスの滞留を効果的に防止す
るために、チャネル容積は可及的に大きく保持するべき
である。
【0028】チャンネル保持効果を高めるには、65℃
における接着層の動的弾性率を可及的に高めるのが好ま
しい。一方、接着層の動的弾性率が高すぎる場合、被着
面に対する接着シートの接着性が低下するおそれがあ
る。反対に動的弾性率が低すぎると接着層のチャンネル
保持効果が低下するおそれがある。この様な観点から、
接着シートの接着層の動的弾性率(65℃における)
は、好適には2×10〜1×10dyne/cm(2〜
10kPa)、特に好適には3×10〜9×10 dy
ne/cm(3〜9kPa)である。
【0029】接着シートの接着層も、好適には粘着性ポ
リマーを含有する。この様にすれば、接着シートの被着
体への施工(接着)を、圧着操作を含む簡単な操作で行
うことができる。粘着性ポリマーは、前出のシール用接
着層の場合と同様のもの(アクリル系ポリマー等)が使
用できる。接着層が粘着性ポリマーを含む場合、接着層
の保持力を高め、接着の経時安定性を高める(使用中に
接着シートが剥離しない様にする)ために、粘着性ポリ
マーを架橋するのが好ましい。
【0030】また、接着層の動的弾性率を前述の所定の
範囲に制御するには、粘着性ポリマーの架橋の程度を比
較的大きくするのが良い。通常、粘着性ポリマーを架橋
するのに架橋剤を用いる場合、架橋剤の添加量は、架橋
剤の種類にもよるが、粘着性ポリマー100質量部に対
して、通常0.05〜30質量部、好適には0.1〜2
0質量部である。
【0031】また、粘着性ポリマー分子全体に対して、
極性基(カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド
基、ニトリル基等)を持つ極性単位(重合原料である出
発モノマーに含まれる上記極性基を分子内に有するモノ
マー由来する単位)の割合を大きくし、分子の凝集力を
大きくして動的弾性率を所定の高い範囲に制御すること
もできる。たとえば、アクリル系粘着性ポリマー場合、
アルキルアクリレート単位(A)と極性単位(P)との
割合(A:P)は質量比で、95:5〜75:25が好
ましい。また、アクリル系粘着性ポリマーの場合、出発
モノマーに、メタクリレート、芳香族アクリレート、ア
ルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレート等の
ホモポリマーTgが高いモノマーを含有させることも、
動的弾性率を高い範囲に制御するのに有利である。
【0032】接着層の溝は、一定形状のものが規則的パ
ターンに沿って接着面に配置されてい良いし、不定形の
ものが不規則に並んでいても良い。好適には、複数の溝
が互いに略平行に配置され様に形成される。被着面と接
着層との間に形成されるチャンネルのアウトガス放散効
果が効果的に高められるからである。また、その場合、
溝の配置間隔は10〜2,000μmであるのが好まし
い。
【0033】溝の配置間隔が10μm未満である場合、
チャンネル1つ当たりの接着領域の面積(真実接着面
積)が小さくなりすぎ、屋外で比較的長期間使用した場
合、接着を保持する効果が低下して接着シートの剥離が
生じ、アウトガスによる膨れが発生するおそれがある。
反対に、溝の配置間隔が2,000μmを超える場合、
単位真実接着面積当たりのチャンネルの数が小さくなり
すぎ、接着構造体全体でのアウトガス放散効果を高める
のには有利ではない。この様な観点からは、前記溝の配
置間隔は、好適には50〜1,700μm、特に好適に
は100〜1,500μmである。なお、溝の配置間隔
とは、接着面に水平な方向に沿って測定した、互いに隣
接する溝どうしの間の距離である。接着面に垂直な方向
の溝の断面において、溝は上記測定方向に沿って所定の
寸法の幅を有する。溝の配置間隔は、その溝の幅方向中
心と、その溝と隣接する溝の幅方向中心との間の距離で
ある。
【0034】通常、接着層は、接着面に水平な面に含ま
れる1つの方向(第1方向)に沿って略平行に、ほぼ規
則的に配置された1組の複数の溝を備えている。また、
接着面に水平な面に含まれる別の1つの方向(第2方
向)に沿って略平行にほぼ規則的に配置され、前記第1
方向に平行な溝と交差する別の組の溝を備えることもで
きる。この様な場合、たとえば、2組の溝が互いに直交
し、接着面に、碁盤目状の幾何学模様を描く線に沿って
形成することができる。この様に2組の溝を備える場
合、前記溝の配置間隔は、上記2つ組のそれぞれにおい
て測定された配置間隔の平均値である。なお、上記2つ
の方向とは異なる方向に沿って配置された複数の溝を含
む別な組が、さらに存在する場合も同様に、すべての組
において測定された配置間隔の平均値をもって、溝の配
置間隔として定義する。
【0035】一方、接着層と被着面との間に形成された
チャンネルの容積は、前記接着シートを前記被着体に接
着した初期に測定された値In、及び前記被着体に接着
して65℃で30分間加熱した後に測定された値Ahが
ともに、見かけの接着面積1mm当たりの測定値で、
1×10〜2×10μmの範囲であるのが好まし
い。初期の値(In)が上記有効な範囲であることはも
ちろん、65℃で30分間加熱した後もチャンネルが過
度に縮小したりせず、加熱後値Ahも、上記有効な範囲
であれば、アウトガスによるシートの膨れを効果的に防
ぐことができる。
【0036】初期値Inまたは加熱後値Ahのどちらか
一方が、見かけの接着面積1mm当たりの測定値で1
×10μmの未満であると、チャンネル容積が小さ
すぎ、アウトガス放散効果を高められないおそれがあ
る。反対に、InまたはAhのどちらか一方が、見かけ
の接着面積1mm当たりの測定値で2×10μm
を超えると、真実接着面積が小さくなりすぎて、アウト
ガスによる膨れが発生するおそれがある。この様な観点
からは、上記In及びAhがともに、見かけの接着面積
1mm当たりの測定値で、より好ましくは2×10
〜1×10μm 、特に好ましくは5×10〜5×
10μm範囲である。なお、見かけの接着面積と
は、接着シートによって被覆された被着面の面積であ
る。すなわち、前記接着層の凸部の頂面が被着面と接着
する「(真実)接着領域」と、接着層の溝の部分に相当
し、実際には接着されていない「非接着領域」とを合わ
せて、「見かけの接着面積」と見なす、ということであ
る。
【0037】チャンネル容積は、被着体に接着シートが
接着された後において、接着層の溝の寸法や真実接着面
積を測定し、その測定値を用いて算術的に計算できる。
この様な溝の寸法や、真実接着面積は、たとえば、顕微
鏡と画像処理装置とを組合せて使用し、測定することが
できる。なお、この様な測定方法の好適な1例について
は、後述の実施例を参照されたい。
【0038】接着層のその他の寸法は、上記説明した溝
等の寸法(容積)が上記の範囲にある様に適宜決定され
る。たとえば、溝の深さ(接着面から基材の方向に向か
って測定した溝の底までの距離)は、通常10〜100
μmである。溝の形状も、本発明の効果を損なわない限
り特に限定されない。たとえば、接着面に垂直な方向の
溝の断面において、略矩形(台形を含む)、略半円形、
略半楕円形である。
【0039】接着シートの接着層も、シールテープの場
合と同様に、接着剤や粘着性ポリマーを含む塗料を、塗
布し、固化して形成する。この場合、凹凸構造剥離面を
持つライナーの、その剥離面に塗料を塗布して形成する
のが良い。これにより、接着層のライナーと接する面
(接着シートの接着面)に、ライナーの凹凸構造(ネガ
構造)を転写し、接着面に所定の構造(ポジ構造)を有
する凹凸接着面を容易に形成することができる。また、
この様にすることは、接着層を基材裏面に設けた後、ラ
イナーを圧接し、ライナー凹凸構造を接着面に転写する
のに比べて、接着層の溝を含む凹凸構造の変形を効果的
に防止できる点で有利である。すなわち、被着体に接着
後に上記凹凸構造が変形し、チャンネルがつぶれたりし
て消失することを効果的に防ぐことができる。
【0040】接着層に凹凸構造を転写形成するためのラ
イナーも、従来のものと同様のものが使用できる。たと
えば、ライナーは、紙またはプラスチックフィルムから
形成される。紙ライナーは、通常、紙の表面に、ポリエ
チレンコート、シリコーンコート等の剥離コート(剥離
層)を積層して形成される。また、シリコーン剥離コー
トを積層する場合、通常、紙の上にクレーコート、ポリ
エチレンコート等のアンダーコートを積層した後、剥離
コートを積層する。ライナーの凹凸構造は、通常、剥離
コートを積層した後、凹凸転写ツールを剥離面に圧接さ
せて形成することができる。
【0041】基材は、通常、ポリマー単層からなるフィ
ルム、または2以上のポリマー層を含んでなる積層フィ
ルムである。ポリマー層のポリマーは、従来の接着シー
トの基材と同様ものが使用できる。また、基材を着色し
たり、基材に視認可能なグラフィックスを含ませること
もできる。
【0042】アウトガス滞留防止の観点からは、接着シ
ートの基材は、水蒸気透過性を有する方が好ましい。本
明細書において、水蒸気透過性を有するとは、前述のJ
IS Z0208に準拠して測定された透湿度が1[g
/m・24時間−厚さ30μm−40℃・90%R
H]以上であることを意味する。なお、基材の透湿度が
高すぎる場合、シールテープの場合と同様に、外気に含
まれる水蒸気が基材及び接着層を通してチャンネル内に
浸透するおそれがある。この様な観点から、基材の透湿
度は、好適には1〜500[g/m・24時間−厚さ
30μm−40℃・90%RH]、特に好適には9〜4
50[g/m・24時間−厚さ30μm−40℃・9
0%RH]である。
【0043】アウトガス滞留防止の観点から、基材は金
属層の様な水蒸気不透過性の層を含まないのが好まし
く、基材がポリマー層だけからなるのが特に好ましい。
ただし、シールテープの支持体の水蒸気透過性が比較的
高い場合、基材の水蒸気透過性は比較的低くても、アウ
トガス滞留防止効果は十分に高められる。この様な観点
から、シールテープの支持体の透湿度(S)と、基材の
透湿度(B)との平均値{(S+B)/2}は、好適に
は30〜500[g/m・24時間−厚さ30μm−
40℃・90%RH]、特に好適には40〜450[g
/m・24時間−厚さ30μm−40℃・90%R
H]の範囲である。
【0044】基材の厚さは、通常5〜800μm、好適
には10〜500μmである。また、接着シート全体の
厚さは、好適には20〜850μm、特に好適には30
〜600μmである。接着シートの接着層の厚さは、好
適には10〜100μm、特に好適には15〜80μm
である。
【0045】(被着体)被着体は、通常、吸水性のポリ
マーや、モルタル、コンクリート等の多孔質材料を含ん
でなる。ASTM D570に準拠した方法により、2
3℃の水中に24時間浸漬した後の重量増加率を測定し
て決定した被着体の吸水率は、通常0.2%以上であ
る。この様な吸水性の被着体は、使用中にアウトガスを
比較的多量に発生するので、この様な被着体に接着シー
トを接着する場合、前述の様な構成を有する、接着シー
トとシールテープとを組合せて使用すべきである。被着
体の厚さは特に限定されず、通常2mm以上である。た
とえば、吸水性のポリマーとしてポリカーボネートが挙
げられる。この様なポリカーボネートを含む被着体は、
たとえば、自動二輪車両のタンク等の車両部品、看板の
基板等の構成部品として用いられる。
【0046】前述の様にして決定された吸水率が0.2
%以上のポリマーは、分子内にエーテル基、カルボニル
基、水酸基等の含酸素官能基を有するものの中から選択
できる。たとえば、前出のポリカーボネートの他、アク
リルニトリル系共重合体(AES、ABS等)、ポリメ
チルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合
体、ポリアセタール、ポリエーテルサルホン、ポリエー
テルイミド、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリ酢酸
ビニル、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、
セルロース系ポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げ
られる。なお、吸水率が0.2%未満のポリマーとして
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四フッ化エチ
レン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン等である。
【0047】
【実施例】(実施例1)アクリル系粘着性ポリマーを1
00質量部含有する溶液に、架橋剤としてビスアミド化
合物を0.3質量部添加して接着剤溶液を得た。なお、
アクリル系粘着性ポリマーは、2−メチルブチルアクリ
レート90質量部、及びアクリル酸10質量部を含有す
るモノマー混合物を重合して得たアクリル系共重合体で
あった。上記架橋剤は、アクリル系粘着性ポリマーのカ
ルボキシル基と反応し、接着層中で粘着性ポリマーを架
橋するものであった。65℃における接着層の動的弾性
率は、4.5×10dyne/cm(4.5kPa)であ
った。なお、動的弾性率は、レオメトリックス社製ダイ
ナミックアナライザー(型番)RDAIIを用い、動的粘
弾性測定法によりシェアモードにて測定された、25〜
125℃の範囲の粘弾性スペクトルから読み取った。な
お、シェア周波数は1rad/秒であった。
【0048】上記接着剤溶液を、所定の形状及び寸法の
凹凸が形成された剥離面を有するライナーの、その剥離
面上に塗布し、90℃、5分間の条件で乾燥させ、ライ
ナー上に、厚さが30μmの接着層を形成した。この接
着層と基材とをドライラミネートし、本例で用いた接着
シートを得た。なお、基材は、厚さが50μmの可塑化
塩化ビニルポリマーベースフィルムと、アクリル系ポリ
マーとフッ素系ポリマーとを含有する透明保護層(厚さ
3μm)とを積層した積層フィルムであった。なお、接
着層は、ベースフィルムの一方の主面(裏面)に固定し
た。前述の様にしてJIS Z0208に準拠して測定
された基材の透湿度は、140[g/m・24時間−
厚さ30μm−40℃・90%RH]であった。ここで
使用したアルミ缶は斎藤製缶(株)製の円柱状アルミ
缶、同じく塩化カルシウムは関東科学(株)製の水分測
定用塩化カルシウム、同じくシーリング剤はコニシ
(株)の変成シリコーン系シーリング剤(品番:MPX
−1)、同じく恒温恒湿機はヤマト科学(株)製の恒温
恒湿機(品番:IH−42M)であった。
【0049】上記ライナーは、紙の両面にポリエチレン
からなるアンダーコートを積層し、そのアンダーコート
上にシリコーン剥離コートを積層した、厚さが180μ
mの紙ライナーであった。剥離面には、接着層に転写さ
れるべき溝に対応する複数の突条からなる凸部が、互い
に交差する様に、碁盤目を描く線に沿って連続して配置
されていた。その突条の高さは15μm(接着面から測
定した溝の深さも15μmになる。)であった。隣接す
る突条間の中心間距離(接着層に形成された溝の配置間
隔に相当する。)は1,270μmであった。また、突
条の垂直断面形状は略台形であり、これに対応して接着
層の溝の形状は、垂直断面形状が略台形になった。
【0050】上記の様にして得た接着シートが被着体に
接着された時に形成されるチャンネル容積を、次の様に
して決定した。接着シートからライナーを剥離し、スラ
イドガラス表面上に接着面を向けて置き、2kgのロ−
ラ−で3往復させてシートを圧着して測定用試料とし
た。この測定用試料において、前記溝と前記被着面とが
画定したすべてのチャンネルは、シートの端部において
外気と直接接触していた。
【0051】測定用の接着シートを圧着直後、スライド
ガラスの測定用シートが接着した側と反対側の面から白
色光を照らし、偏光板を通して観察する。接着剤とガラ
ス表面が接着した領域は黒っぽく見え、非接着領域は白
っぽく見える。この観察結果を、画像処理装置を用いて
解析し、非接着領域の面積を測定する。この非接着領域
の面積が、チャンネルの被着面側の面積(C)である。
【0052】一方、上記測定用試料を用いて、今度は、
測定用シートの基材側から白色光を照らし、上記同様に
して観察する。接着層がガラス面に接着した領域は黒っ
ぽく見え、非接着領域は白っぽく見える。この観察結果
を上記と同様にして解析し、非接着領域の面積を測定す
る。この非接着領域の面積が、チャンネルの接着層側の
面積(溝の底の面積=G)である。さらに、接着後の測定
用シートの垂直断面(被着面に垂直な方向の断面)を顕
微鏡で観察し、チャンネルの高さ(H)を測定する。こ
れらの測定値から、算術的に(計算式(C+G)×H÷
2を用い)、見かけの接着面積1mm当たりにおける
チャンネルの容積を計算したところ、2.3×10μ
(2.3×10−3mm)であった。この値を、
本例の接着シートにおける、被着体に接着した初期に測
定されたチャンネル容積の値Inとした。
【0053】前記上記測定用試料を65℃で30分間加
熱後、上記と同様にしてチャンネルの容積(見かけの接
着面積1mm当たり)を求めた。その結果、2.1×
10 μm(2.1×10−3mm)であった。こ
の値を、本例の接着シートにおける、被着体に接着して
65℃で30分加熱した後に測定されたチャンネル容積
の値Ahとした。なお、上記測定において、スライドガ
ラスとして、Matsunami(株)社製の品番S−1
111を用い、画像処理装置として、日本アビオニクス
(株)社製、型番:EXCEL TVIP−4100を用
いた。
【0054】一方、前述の様にして得た接着シートを、
80mm×80mmの平面寸法を有する様に裁断し、こ
れを100mm×100mmの平面寸法を有するポリカ
ーボネート板(帝人化成製、品番PC8111、厚さ5
mm、全光線透過率87%)に、上記チャンネル容積測
定の場合と同様の条件で圧着した。最後に、この接着シ
ート周縁の実質的に全周囲を被覆し、ポリカーボネート
板の被着面と接着シート表面(保護層表面)とに接着さ
れる様にしてシールテープを配置し、常温(約25℃)
で1日養生して本例の接着構造体を得た。
【0055】本例で用いたシールテープは、支持体とし
て前出の基材と同じ積層フィルムを用い、凹凸の無いフ
ラット接着面を有する厚さ30μmのシール用接着層を
用いて形成した、幅が1cmの粘着テープであった。な
お、シール用接着層は、アクリル系粘着性ポリマーを1
00質量部含有する溶液に、架橋剤としてビスアミド化
合物を0.1質量部添加して得た接着剤溶液の塗膜から
形成した。このアクリル系ポリマーは、イソオクチルア
クリレート90質量部、及びアクリル酸10質量部を含
有するモノマー混合物を重合して得たアクリル系共重合
体であった。シール用接着層の、示差走査熱量計を用い
て測定したTgは、−38℃であった。また、接着シー
トに接着したシールテープの部分の幅は5mmで、かつ
被着体に接着したシールテープの部分の幅は5mmであ
った。
【0056】本例の接着構造体を、65℃に設定された
オーブン中で、30分間加熱した。加熱後、オーブンか
ら取り出し、基材側から接着シート表面の膨れ度合いを
観察した。観察の結果、膨れはまったく観察されなかっ
た。さらに、本例の接着構造体を、約10℃の水道水で
満たした水槽に浸し、接着構造体の全体が水で濡れる様
にして、2日間放置した。放置後、水槽から取り出し、
ポリカーボネート板側から観察し、チャンネル内に水が
浸透したかどうかを確認した。その結果、水の浸透はま
ったく観察されなかった。
【0057】(比較例1)シールテープを用いなかった
こと以外は、実施例1と同様にして本例の接着構造体を
作製した。本例の接着構造体についても、実施例1と同
様の方法によって評価した。その結果、65℃×30分
の加熱後に、シートの膨れはまったく観察されなかった
が、水に浸して2日後の観察においては、チャネル内へ
の水の浸透が観察された。
【0058】(比較例2)接着シートのライナーを平坦
な剥離面を有するものに変えた以外は、実施例1と同様
にして本例の接着構造体を得た。本例の接着構造体につ
いても、実施例1と同様の方法によって評価した。その
結果、水に浸して2日後の観察においては、チャネル内
への水の浸透はまったく観察されなかったが、65℃×
30分の加熱後には、接着シートの表面から見て所々に
膨れが観察された。
【0059】(実施例2)接着シートの基材として、厚
さが50μmのポリフッ化ビニリデンとポリメチルメタ
クリレートの混合物からなるフィルムに、アルミニウム
の蒸着層(厚さ約50nm)を積層して形成した積層フ
ィルムに変えた以外は、実施例1と同様にして本例の接
着構造体を得た。なお、基材の、透湿度は、16[g/
・24時間−厚さ30μm−40℃・90%RH]
であった。接着層は、上記積層フィルムのアルミニウム
蒸着面上に固定した。
【0060】本例の接着構造体について、実施例1と同
様の方法によって評価した。その結果、水に浸して2日
後の観察においては、チャネル内への水の浸透はまった
く観察されなかった。一方、65℃×30分の加熱後に
は、接着シートの表面から見て小さな膨れが数個観察さ
れたが、大きく外観を損なうほどではなかった。
【0061】(実施例3)接着シートの基材として、全
体の厚さが50μmで、ポリフッ化ビニリデンフィルム
とポリメチルメタクリレートとの混合物を含んでなる保
護層/エチレン酢酸ビニル共重合体層/低密度ポリエチ
レン層/アイオノマー層をこの順に積層して形成した積
層フィルムに変えた以外は、実施例1と同様にして本例
の接着構造体を得た。なお、基材の透湿度は、9[g/
・24時間−厚さ30μm−40℃・90%RH]
であった。接着層は、上記積層フィルムのアイオノマー
層上に固定した。
【0062】本例の接着構造体について、実施例1と同
様の方法によって評価した。その結果、水に浸して2日
後の観察において、チャネル内への水の浸透はまったく
観察されず、65℃×30分の加熱後にも、シートの膨
れはまったく観察されなかった。
【0063】(比較例3)接着シートのライナーを平坦
な剥離面を有するものに変えた以外は、実施例3と同様
にして本例の接着構造体を得た。本例の接着構造体につ
いても、実施例1と同様の方法によって評価した。その
結果、水に浸して2日後の観察においては、チャネル内
への水の浸透はまったく観察されなかったが、65℃×
30分の加熱後には、接着シートの表面から見て所々に
膨れが観察された。
【0064】(実施例4)シールテープの支持体を、透
湿度が20[g/m・24時間−厚さ30μm−40
℃・90%RH]のフィルムに変えた以外は、実施例1
と同様にして本例の接着構造体を得た。このフィルム
は、先に実施例2で用いたアルミ蒸着フィルムにおい
て、アルミ蒸着膜の厚さを変えたものであった。本例の
接着構造体について、実施例1と同様の方法によって評
価した。その結果、水に浸して2日後の観察において
は、チャネル内への水の浸透はまったく観察されなかっ
た。一方、65℃×30分の加熱後には、接着シートの
表面から見て小さな膨れが数個観察されたが、大きく外
観を損なうほどではなかった。
【0065】(比較例4)シールテープの支持体を、前
出の透湿度が16[g/m・24時間−厚さ30μm
−40℃・90%RH]のフィルムに変えた以外は、実
施例1と同様にして本例の接着構造体を得た。本例の接
着構造体についても、実施例1と同様の方法によって評
価した。その結果、水に浸して2日後の観察において
は、チャネル内への水の浸透はまったく観察されなかっ
たが、65℃×30分の加熱後には、接着シートの表面
から見て所々に膨れが観察された。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J004 AA07 AA10 AA14 AA15 AB01 AB05 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CA08 CB02 CC03 CE02 EA06 FA01 FA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被着体と、前記被着体の被着面に接着さ
    れた接着シートと、前記接着シート周縁の実質的に全周
    囲を被覆する様に前記被着面と前記接着シート表面とに
    接着されたシールテープとを備え、 前記接着シートは、(a−1)基材と、(a−2)その
    基材の裏面に固定的に配置され、接着面に複数の溝を有
    する接着層とを備え、前記接着層と前記被着面との間に
    チャネルが形成され、そのチャンネルは、前記接着シー
    ト周縁において開口部を有する接着構造体において、 前記チャンネルは、前記接着シートを前記被着体に接着
    して65℃で30分間加熱した後でも存在し、 前記シールテープは、(b−1)支持体と、(b−2)
    その支持体の裏面に固定的に配置されたシール用接着層
    とを備え、前記チャンネル内部が外気と直接接触しない
    様に、前記接着シート周縁の開口部を被覆し、 前記支持体は、JIS Z0208に準拠して測定され
    た透湿度が20〜500[g/m・24時間−厚さ3
    0μm−40℃・90%RH]の範囲であり、前記シー
    ル用接着層は粘着性ポリマーを含有することを特徴とす
    る、接着構造体。
  2. 【請求項2】 前記シールテープの幅(前記接着シート
    の周縁の延在方向と直交する方向の寸法)が8〜30m
    mの範囲であり、前記接着シートに接着した前記シール
    テープの部分の幅は4mm以上で、かつ前記被着体に接
    着した前記シールテープの部分の幅は4mm以上であ
    る、請求項1に記載の接着構造体。
  3. 【請求項3】 前記チャンネルの容積は、前記接着シー
    トを前記被着体に接着した初期に測定された値In、及
    び前記被着体に接着して65℃で30分間加熱した後に
    測定された値Ahがともに、見かけの接着面積1mm
    当たりの測定値で、1×10〜2×10μmの範
    囲である、請求項1に記載の接着構造体。
  4. 【請求項4】 前記被着体の、ASTM D570に準
    拠した方法により、23℃の水中に24時間浸漬した後
    の重量増加率を測定して決定した吸水率が0.2%以上
    である、請求項1に記載の接着構造体。
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