JP2003055400A - 抗シガトキシンモノクローナル抗体 - Google Patents

抗シガトキシンモノクローナル抗体

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JP2003055400A
JP2003055400A JP2001247120A JP2001247120A JP2003055400A JP 2003055400 A JP2003055400 A JP 2003055400A JP 2001247120 A JP2001247120 A JP 2001247120A JP 2001247120 A JP2001247120 A JP 2001247120A JP 2003055400 A JP2003055400 A JP 2003055400A
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mmol
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Masahiro Hirama
正博 平間
Hirotake Oguri
博毅 大栗
Ikuo Fujii
郁雄 藤井
Takeshi Tsuburaya
健 円谷
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    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/20Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans from protozoa
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    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シガテラ中毒の原因毒であるシガトキシン
類に特異性の高いモノクローナル抗体を提供する。 【解決手段】 シガトキシンのIJKLM環部から成
るハプテンを合成し、これにKLHやBSA等のタンパ
クを結合させたタンパクコンジュゲートを作製し、この
合成ハプテンのコンジュゲートを人工抗原としてモノク
ローナル抗体を作製した。このモノクローナル抗体はシ
ガトキシン類と特異的な反応性を示す一方で、オカダ酸
などの他の海産ポリエーテル毒素には全く又はほとんど
反応性を示さない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、食中毒シガテラ
の主要原因毒であるシガトキシン類に対するモノクロー
ナル抗体に関し、より詳細には、いずれかのシガトキシ
ンの部分構造を有する合成ハプテンを用いて製造された
モノクローナル抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】食中毒シガテラは、ポリネシア、ハワ
イ、沖縄、カリブ海等の広い珊瑚礁海域で頻発し、年間
2万人以上の中毒患者が発生している(大泉康監訳「危
険な海洋生物(21世紀の創薬資源)」p144 廣川書店
(1995)、橋本芳郎「魚貝類の毒」p96-97 学会出版セン
ター)。シガテラ毒素は、植物プランクトンが生産し、
食物連鎖を介して多種の魚介類に移行する。従って、フ
グ毒と違い一度発生すると、漁業の基盤を支えている多
数の食用魚が広汎に毒化するので、深刻な社会問題とな
る。また、中毒症状としては、麻痺、下痢、嘔吐、金属
的な味、口の乾き、腹部痙攣、頭痛、筋肉痛、神経過
敏、めまい、チアノーゼ、不眠、極度の疲労衰弱、歩行
不能等がおこる。また、腕や足に鋭い痛み、歯がゆるん
だ感じ、眼の奥の痛み、視障害があり、紅しん、麻し
ん、水ぶくれ、ちくちくする感じ、などを含む皮膚障害
を伴い、毛髪やつめが抜ける。冷たい感じをドライアイ
スに触った感じ、または電気ショックのように感じ、温
かいものを冷たく感じるという、冷温感覚の逆転を生じ
る。重症になると、筋肉運動調節異常、麻痺、痙攣がひ
どくなり、昏睡、最後に死亡する。このような症状の回
復は非常に遅く、数ヶ月から数年を要する。漁師は漁に
出られなくなる。
【0003】食中毒シガテラの主要原因毒であるシガト
キシン類は単一の化合物ではなく、多種の毒素の混合物
であるが、1989年にシガトキシン(CTX1B)の
相対構造が明らかにされ(Murata, M. et.al, J. Am. C
hem. Soc. 1989, 111, 8929;Murata, M. et.al, J. Am.
Chem. Soc. 1990, 112, 4380)、更にこの絶対配置も
明らかにされた(Satake, M. et.al, J. Am. Chem. So
c. 1997, 119, 11325;Oguri, H. et.al, Tetrahedron 1
997, 53, 3057)。現在、シガトキシン類には多くの同
族体が知られており、下記化学式で表されるCTX(L
D50=0.35μg/kg)、54−deoxy−C
TX、CTX3C(LD50=1.3μg/kg)、5
1−oxy−CTX3C(LD50=0.27μg/k
g)の4種が主な毒素である。
【0004】
【0005】このようなシガトキシン類(シガテラ毒)
は、天然からごく微量しか採集されず(850匹、4tの
毒ウツボから毒本体シガトキシン僅か0.35 mg)、培
養による生産も困難なことが抗体調製の障害となってい
る。毒本体シガトキシン(1μg)をヒト血清アルブミ
ンにカルボジイミド法で連結したコンジュゲートを作
製、これを抗原としてマウスに免疫して調製したモノク
ローナル抗体が報告されている(Toxicon (1997), vol.
15, pp.317-325)。この抗体は、1ng/mlのシガトキシン
に結合するが、5ng/mlのオカダ酸とも交差活性を示し、
その親和性の差は5倍程度しかなく(Journal of Clini
cal Laboratory Analysis第6巻、(1992 年)、第54
頁)、また、ブレベトキシン、マイトトキシン、パリト
キシン等にも交差活性を示すことが分かっているが(Jo
urnal of AOAC International, 1988, 81,727-735)、
詳しいデータは発表されていない。このような結果から
見ると、この方法はシガトキシン類を高い選択性で確実
に検定する方法としては実用的ではないと考えられる。
【0006】更に、米国特許第4,816,392号には、シガ
テラ毒に汚染された魚の組織からシガトキシン及びその
他のポリエーテル毒素を簡易に検出する方法が開示され
ている。この方法も上記と同様に酵素疫測定法によるも
のである。また特表平8-500433には、シガトキシン種に
特異的な抗原決定基に反応するモノクローナル抗体を用
いてシガトキシンを迅速に抽出する方法が開示されてい
る。しかしこれらいずれの方法も抗体を産生するために
シガテラ毒に汚染された魚から抽出されたシガトキシン
を用いているため、前記の問題を有している。
【0007】また、本発明者らは、以前シガトキシンの
左側ABC環部を化学合成し、これを合成ハプテンとし
たタンパクコンジュゲートを用いて、三種のモノクロー
ナル抗体を調製したが、これらはいずれもシガトキシン
に非常に弱いアフィニティーしか示さなかった(Synthe
sis 1999, No. SI, 1431-1436)。また、合成ハプテン
(JKLM 環部)のコンジュゲートの免疫も試みられ
ているが、モノクローナル抗体の調製には至っていない
(Toxicon (2000), vol.38, pp.669)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように重篤な中毒
をもたらすシガテラ中毒の原因毒であるシガトキシン類
の高感度な検出手段の開発は急務であり、シガトキシン
類に特異性の高いモノクローナル抗体の開発が待たれて
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、非タ
ンパク系の毒素等(天然有機化合物)が入手困難な場合
に、抗原決定基になりうる部分構造を化学合成し、この
合成ハプテンを用いて、毒本体を認識するモノクローナ
ル抗体を調製するという方法をシガトキシン類に応用し
た。即ち、シガトキシンのIJKLM環部から成るハプ
テンを合成し、これにKLHやBSA等のタンパクを結
合させてタンパクコンジュゲートを作製し、この合成ハ
プテンのコンジュゲートを人工抗原として哺乳動物に免
疫し、リンパ球とミエローマ細胞との融合細胞を作製
後、クローニングして、食中毒シガテラの主要原因毒シ
ガトキシン類に高い特異性を持って結合するモノクロー
ナル抗体を作製した。このようにして作製したモノクロ
ーナル抗体はシガトキシンと特異的な反応性を示す一方
で、オカダ酸などの他の海産ポリエーテル毒素にはほと
んど又は全く反応性を示さないことが分かった。
【0010】即ち本発明は、シガトキシン類と特異的に
結合するモノクローナル抗体である。また、本発明は、
シガトキシン類の抗原決定基になりうる部分構造を有す
る合成ハプテンとタンパクとを連結してなるタンパクコ
ンジュゲートに対するモノクローナル抗体であって、シ
ガトキシン類と特異的に結合するモノクローナル抗体で
ある。このモノクローナル抗体は、抗原決定基としてI
JKLM環部を共通して含有するシガトキシン類(上記
構造式を参照)を特異的に認識する。即ち、本発明のモ
ノクローナル抗体は、シガトキシン類と特異的に反応す
るが、シガトキシン以外の海産ポリエーテル毒素に対す
る反応性が低い。
【0011】シガトキシン以外の海産ポリエーテル毒素
としては、構造がシガトキシンに類似しているオカダ酸 、マイトトキシン 、赤潮ブレベトキシン類 などが挙げられる。
【0012】これら海産ポリエーテル毒素に対する反応
性が低いとは、これらに対する反応性がシガトキシンに
対する反応性に比べて顕著に低いことをいうが、具体的
にはこれらに対する解離定数がシガトキシンに対するも
の(各種シガトキシンの中で最も高いもの)に比べて2
桁以上(100倍以上)低いと表現してもよい。ここで
用いた合成ハプテンは天然抽出物ではなく、人工的に合
成したものであることが本発明の特徴の一つである。ま
たこの合成ハプテンから合成されたタンパクコンジュゲ
ートは、下記化学式 で表されるタンパクコンジュゲートであることが好まし
い。更に本発明は、これらいずれかのモノクローナル抗
体を有効成分として含むシガトキシン類の検出薬であ
る。また更に本発明は、シガトキシン類の抗原決定基に
なりうる部分構造を有する合成ハプテンとタンパクとを
連結してなるタンパクコンジュゲートであり、特に、下
記化学式 (式中、nは正数を表す。)で表されるタンパクコンジ
ュゲートである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明するが、本発明を限定することを意図するものでは
ない。天然シガテラ毒素の入手は極めて困難であるの
で、天然シガテラ毒素自身を用いた抗体調製は困難であ
る。また、一般に抗体(イムノグロブリン)が結合する
抗原のサイズはアミノ酸7〜9残基前後であることが知
られているので、30ナノメートルの巨大で複雑な分子
構造のシガテラ毒素を用いると、どの部分が抗原決定基
となっているのかを特定するのは難しい。そこで、本発
明においては、シガトキシンの末端の部分構造であるI
JKLM環部 をハプテンとして設計し、これを人工的に合成し、この
合成ハプテンのタンパク質コンジュゲートをマウスに免
疫し、ハプテン部分を抗原決定基とするモノクローナル
抗体を調製した。なお、低分子ハプテンは、そのままで
は抗原性が低いため、通常、キャリアータンパク質に結
合させたコンジュゲートを免疫原とする。また、シガト
キシン類は哺乳類には、猛毒であるので、もし毒本体を
コンジュゲートとした場合、免疫した動物に致命的なダ
メージを与える可能性がある。本発明のように、部分構
造だけでは無毒なハプテンを用いれば、この問題も解決
可能である。
【0014】化学合成した部分構造が、毒本体の抗原決
定基となるようにモノクローナル抗体の調製を成功させ
るためには、ハプテンをタンパク質に結合させたコンジ
ュゲートの作製法も重要である。従来の抗シガトキシン
抗体調製の際には、シガトキシン(1μg)をヒト血清
アルブミン (HSA 1mg)にカルボジイミド法で連結した
コンジュゲートを作製している(Toxicon (1997), vol.
15, pp.317-325)。通常、カルボジイミド法は、低分子
(ハプテン)側がカルボン酸である場合、血清アルブミ
ンのリジン残基と連結するのに有効である。しかし、シ
ガトキシンには官能基としてカルボン酸がないので、こ
の文献の場合、血清アルブミンとのコンジュゲートを作
製する段階に疑問がある。可能性としては、シガトキシ
ン側の水酸基とアルブミン側のカルボン酸がエステル結
合で連結されることが想定できるが、アルブミン中に活
性なリジン残基等が多数存在する中で、そのようなエス
テル結合を効率よく形成させるのは困難である。さら
に、エステルで結合したコンジュゲートは、リパーゼ等
で加水分解されることが予想され、免疫中、生体内で安
定性に問題がある。
【0015】本発明では、抗原決定基となるハプテン部
をタンパク質の表面から適当な長さで露出させるように
ハプテンのタンパク質との連結部を設計した。タンパク
質とハプテンとはいかなる公知の手段を用いて連結して
もよい。例えば、ハプテンにカルボン酸やアルデヒドを
含有させておいて、タンパク質のリシンのアミノ基と結
合させたり、ハプテンにマレインイミドを含有させてお
き、タンパク質のシステインのチオール基と結合させた
りすることにより、タンパク質とハプテン部とを連結さ
せてもよい。本発明では、特に、ハプテン末端のカルボ
ン酸を利用して、安定なアミド結合で、下式で表される
コンジュゲートを効率よく作製することに成功した。 ここでタンパク質は、免疫原性をもつキャリアータンパ
クが適当であり、この目的に適当ないかなるタンパク質
を用いてもよいが、特にBSA(牛血清アルブミン)や
KLH (keyhole limpetヘモシアニン)を用いることが
できる。また式中、nはタンパク質の種類によって定ま
る正の整数であって、BSAの場合にはnは約10〜2
0、KLHの場合にはnは約80〜200である。次
に、このようにして作製したタンパクコンジュゲートを
常法に従いマウスに免疫して、このハプテン部分を抗原
決定基とするモノクローナル抗体を調製した。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を例証するが、本
発明を限定することを意図するものではない。1.IJKLM環部ハプテン及びそのタンパクコンジュ
ゲートの合成 この合成の流れ図を図1〜3に示す。文中の化合物に付
したカッコ内の番号はこの図中の化合物の番号に相当す
る。3Lの三口フラスコにPh3P+CH2Br- (167 g, 466 mmo
l), THF (2000 ml) を入れ、0 ℃で撹拌しているとこ
ろに tBuOK (50.2 g, 447 mmol) を加えた。1 時間撹拌
の後、2-deoxy-D-ribose (25.0 g, 186 mmol)を入れ,
室温で48 時間撹拌した。TLCで原料消失確認後,ブフナ
ーロートで濾過,除媒の後、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製し、白色結晶(1) (23.5 g, 178 mmol,
95%) を得た。300 ml ナス型フラスコに結晶(1) (8.6
2 g, 65 mmol), p-MeOC6H4CH(OMe)2 (17.8 g, 97.9 mmo
l), CH2Cl2 (200 ml),CSA (3.03 g, 13.0 mmol)を加
え、45 ℃で5日間 還流させた。NMR で反応終了を確認
後,Et3N (18 ml) を加え、反応を停止させた。除媒
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白
色結晶(2) (13.33 g, 53.3 mmol、87%) を得た。
【0017】アルゴン雰囲気下、300 ml ナス型フラス
コに結晶(2) (12.0 g, 47.9 mmol),THF (160 ml), DMF
(16 ml), BrCH2CO2tBu (9.2 ml, 62 mmol) を入れ、
0 ℃で撹拌しながら NaH (60% in mineral oil: 2.3
g, 58 mmol) を加えた。室温で 18 時間撹拌させた後、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。ジエチルエー
テルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで
乾燥させた。除媒後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製し、白色結晶(3) (14.3 g, 39.2 mmol, 82
%) を得た。アルゴン雰囲気下、100 mlの2口フラスコ
にTHF (19 ml),ジイソプロピルアミン (0.8 ml, 5.75
mmol) を入れ、-78 ℃に冷却してから、n-BuLi (2.95 m
l,4.61 mmol) をゆっくり滴下した。0 ℃まで昇温し、
再び-78 ℃に冷却した。そこへエステル結晶(3) (1.4
g, 3,84 mmol) をゆっくり滴下、さらに蒸留したアクロ
レイン(0.27 ml, 4.05 mmol) を加え、10 分間撹拌し
た。反応終了後、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を
飽和塩化アンモニウム水溶液,飽和食塩水で洗浄、無水
硫酸マグネシウムで乾燥させた。除媒後、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーで精製し、更に2つのフラクシ
ョンに分離して、無色油状物質(4a, 4b)をそれぞれ収率
47% (760 mg, 1.80 mmol), 30% (484 mg, 1.15 mmol)
で得た。
【0018】アルゴン雰囲気下、1Lの3口フラスコに物
質(4a) (2.9 g, 6.9 mmol),CH2Cl2(700 ml) を入れ,
そこにGrubbs触媒 (284 mg, 345 μmol) を加え、40 ℃
で2日間還流させた。TLC で原料消失確認後,Et3N (20
ml) を入れ,反応を停止させた。除媒後、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製、白色結晶(5a, 5b)
(2.0 g, 5.1 mmol, 74%) を得た。アルゴン雰囲気下、
100 ml ナス型フラスコにLiAlH4 (285 mg, 7.52 mmo
l),THF (0.5 ml) を入れ,0 ℃で撹拌しながら、ジアス
テレオマー混合物(5) (1.97g, 5.02 mmol) をTHF (10 m
l) に溶かして滴下した。室温まで昇温し、30 分間撹拌
させた。TLC で原料消失確認後、水 (290 μl), 15 %
水酸化ナトリウム水溶液 (290 μl)、水 (870 μl) を
順次加えた。セライトで沈殿物を濾過し、除媒後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、2種のジ
アステレオマー混合物である白色結晶(6) (1.42 g, 4.4
2 mmol, 88%) を得た。アルゴン雰囲気下、50 ml ナス
型フラスコに結晶(6)(520 mg, 1.61 mmol), CH 2Cl2 (15
ml), Et3N (0.67 ml, 4.81 mmol), DMAP (20 mg, 0.16
mmol) を入れた。続いて、CH2Cl2 (7 ml) に溶かしたT
BPSCl (0.57 ml, 3.3 mmol) をゆっくり滴下し、室温で
24 時間撹拌した。TLC で原料消失確認後、飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液を加えた。ジエチルエーテルで抽出
し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥させ、除媒、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製して、2種のジアステレオマー混合物であ
るアモルファス状物質(7) (902.7 mg, 1.61 mmol, >99
%) を定量的に得た。
【0019】アルゴン雰囲気下、20 ml ナシ型フラスコ
に CH2Cl2 (3.5 ml), DMSO (0.51 ml, 7.2 mmol) を入
れ,-78 ℃に冷却した。そこへ(COCl)2 (0.31 ml, 3.6
mmol)を滴下し、20 分間撹拌した。続いて、CH2Cl2 (3.
5 ml) に溶かした物質(7) (500 mg, 0.89 mmol) を滴下
し、更に30 分間撹拌した。TLC で原料消失確認後、Et3
N (2.0 ml, 14 mmol) を加えた。飽和炭酸水素ナトリウ
ムを滴下し、ジエチルエーテルで抽出、有機層を飽和食
塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、除
媒、フロリジルカラムクロマトグラフィーで精製して、
アモルファス状物質(8) (394 mg, 0.71 mmol, 79%) を
得た。アルゴン雰囲気下、50 mlの2口フラスコにジエ
チルエーテル (14 ml), CuCN(320 mg, 3.58 mmol) を入
れ、-78 ℃に冷却し、MeLi (1.0M ヘキサン溶液 7.1ml,
7.1 mmol) を滴下した。一旦、0 ℃まで昇温し、再び
-78 ℃に冷却したところに物質(8)(470 mg, 0.84 mmol)
を加えた。5 分間撹拌後、TLC で原料消失を確認し,
塩化アンモニウム:アンモニア (5:1) 水溶液を数滴滴
下した。更にEt3N (2.0 ml, 14 mmol) を加え、ジエチ
ルエーテルで抽出し、塩化アンモニウム水溶液、飽和食
塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ
た。除媒後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製して、アモルファス状物質(9) (432 mg, 0.76 mmol,
90%) を得た。
【0020】30 ml ナス型フラスコに物質(9)(890 mg,
1.55 mmol), THF (15.5 ml) を入れ,0 ℃まで冷却し
た。1.0M TBAF in THF (2.33 ml, 2.33 mmol) とAcOH
(0.133ml, 2.33 mmol) の混合溶媒をゆっくり滴下し、
室温まで昇温した。20 時間撹拌後、除媒した。シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色結晶(10)
(502 mg, 1.49 mmol, 96%) を得た。アルゴン雰囲気
下、50 ml ナス型フラスコにNaBH(OAc)3 (1.58 mg, 7.4
5 mmol), CH3CN (7 ml) を入れ、-40 ℃まで冷却した。
AcOH (1.5 ml, 26.2 mmol) を加え,続いてCH3CN (14 m
l) に溶かした結晶(10) (502 mg, 1.49 mmol) を滴下し
た。1.5 時間撹拌後,飽和塩化アンモニウム水溶液を数
滴加え,更にロッシェル塩を数滴滴下し、1 時間撹拌し
た。無水硫酸マグネシウムで乾燥、除媒後、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(11) (4
89 mg, 1.45 mmol, 97%) を得た。50 mLナス型フラス
コに化合物(11) (150 mg, 0.473 mmol), THF (2.5 m
l), DMF (0.5 ml) を加え、0 ℃で撹拌した。NaH (60%
suspension in mineral oil:114 mg, 2.84 mmol) を加
え、10 分間攪拌した後、ベンジルブロミド (225 μL,
1.89 mmol) を滴下した。18 時間室温で攪拌後、0 ℃で
水を滴下し、反応を停止した。酢酸エチルで希釈してか
ら有機層を抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和
食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、
濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化
合物(12) を (261 mg, 0.503 mmol, >99%) 定量的に
得た。
【0021】化合物(12)(200 mg, 0.386 mmol) をメタ
ノール (4 mL) に溶かし、陽イオン交換樹脂 (Dowex-2
0: 22 mg) を加え、室温で 12 時間攪拌した。反応溶液
をメタノール (8 mL) で希釈してから、Et3N (0.2 ml)
を加え、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲ
ルクロマトグラフィーで精製して、化合物(13)を (138
mg, 0.343 mmol, 89%) 得た。アルゴン雰囲気下、化
合物(13) (5.35 g, 0.394 mmol), イミダゾール (1.83
g, 26.7 mmol) を THF (70 ml)に溶かした。PPh3 (4.22
g, 16.1 mmol), I2 (3.73 g, 14.7 mmol) を順次加
え、20 時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し
てから、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食
塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、濃
縮した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合
物(14) (5.97 g, 11.7 mmol, 87%) を得た。
【0022】化合物(14)(5.97 g, 11.7 mmol)を DMSO
(23 ml) に溶かし、シアン化ナトリウム (1.14 g, 23.4
mmol) を加えて、40 ℃ に昇温し、16 時間撹拌した。
酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。50 ℃に
加熱し、60 時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチルで希
釈してから、有機層を水で3回洗い、更に飽和食塩水で
洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、シ
リカゲルクロマトグラフィーで精製して、ニトリル(15)
(4.38 g, 10.7 mmol, 91%)を得た。アルゴン雰囲気
下、100 ml ナス型フラスコにニトリル(15) (4.38 g, 1
0.7 mmol), CH2Cl2 (23 ml), 2.6-lutidine (2.04 ml,
17.6 mmol)を加えた。-33℃ に冷却し、TESOTf (2.9 m
l, 13 mmol) をゆっくり滴下し、15 分間撹拌した。TLC
で原料消失確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加
え、反応を停止させた。ヘキサン-酢酸エチルで抽出
し、有機層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食
塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させ,除
媒,シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、
化合物(16) (4.78 g, 9.13 mmol, 85%) を得た。
【0023】化合物(16) (4.78 g, 9.13 mmol) を CH2C
l2 (32 mL) に溶かし、-78 ℃に冷却した。diisobutyla
luminum hydride (0.94 M ヘキサン溶液, 28.8 mL, 27.
4 mmol) を滴下し、-78℃で 40 分間攪拌した。反応溶
液を酢酸エチルで希釈してから、飽和ロッシェル塩溶液
(20 ml), 飽和塩化アンモニウム水溶液 (10 ml) を加
え、室温で1時間激しく攪拌した。有機層を飽和食塩水
で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、濃縮し
た。フロリジルカラムクロマトグラフィーで精製し、ア
ルデヒド(17)を得た。50 ml ナス型フラスコにアルデヒ
ド(17)を入れ、PhSSPh (2.19 g, 10.0 mmol)、PBu3 (3.
00 ml, 12.0 mmol) を加えた。やや発熱したので 0℃
に冷却した後、室温で 12 時間攪拌した。シリカゲルク
ロマトグラフィー[あらかじめ Et3N (3 ml) を溶出
し、不活性化したシリカゲルを用いた]で精製し、化合
物(18)(4.83 g, 6.33 mmol, 73 %, (2 steps)) を得
た。30 ml ナス型フラスコに化合物(18) (5.73 g, 7.86
mmol)を入れ,そこへ n-Bu4NF (1.0M THF 溶液8.65 m
l, 8.65 mmol) をゆっくり滴下した。室温で 2 時間撹
拌後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製し、化合物(19) (4.61 g, 7.50 mmol, 95%) を得
た。
【0024】3 Lの丸底フラスコに化合物(20) (253 g,
1.54 mol, シグマーアルドリッチ社から購入可) を DMS
O (770 ml) に溶かして加えた。溶液を氷冷し、リチウ
ムアセチリド-エチレンジアミン錯体 (173 g, 1.69 mo
l) を徐々に加え、反応溶液の温度を15 ℃に保ちなが
ら、4時間攪拌した。この溶液に t-BuOK (173 g, 1.54
mol) を加え、室温で13 時間攪拌した。氷冷した後、6
N 塩酸 (total 1L)を徐々に加え、pH8 程度まで溶液を
中和した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥、ろ過、濃縮した。減圧蒸留で精製し、
化合物(21) (230 g, 1.21 mol, 79%) を得た。3Lの丸
底フラスコにLiAlH4 (46 g, 1.2 mol) を加えた。氷冷
した後、THF (450 ml) を加えて良く攪拌しながら、化
合物(21)(229 g, 1.20 mol) の THF (150ml) 溶液を加
えた。室温で一昼夜攪拌した後、氷冷し、ジエチルエー
テル (1500ml)、水(10 ml)、15%水酸化ナトリウム溶液
(40 ml) 溶液、水 (140 ml)、を順次加えた。反応溶液
をブフナー漏斗で濾過し、濾液を濃縮、ヘキサンで 3
回共沸した。反応容器を氷冷しながら、ピリジン (300
ml)、Propionyl Chloride(115 ml, 1.32 mol)を加え
た。室温で1時間攪拌した後、メタノール (10 ml) を加
えた。反応溶液を濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製し、化合物(22) (266 g, 1.07 mmol, 89
%) を得た。
【0025】1L丸底フラスコに化合物(22) (26.7 g, 10
8 mmol), THF (280 ml), HMPA (140ml) を加え, -78 ℃
に冷却した。TMSCl (41.0 ml, 322 mmol) を加えた後、
LDA[Diisoprorylamine (30.2 ml, 215 mmol), n-BuLi
(1.56 M in ヘキサン: 103ml, 161 mmol) から調製した
THF溶液 (140 ml)] を滴下した後、室温まで自然昇温し
た。10時間攪拌した後、氷冷し、飽和塩化アンモニウム
水溶液 (10 ml) を加え、ジエチルエーテルで希釈し
た。反応容器内に析出した塩が溶けきるまで 2N 塩酸を
加えた。有機層に 5% 水酸化ナトリウム水溶液を加
え、よく振り混ぜた後に水層を分離した。この水溶液に
2M 硫酸を加えて酸性としてから、酢酸エチルで抽出し
た。有機層を濃縮した後、ジアゾメタンのジエチルエー
テル溶液を加えて、反応溶液を濃縮、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製し、化合物(23):化合物(24)=
3:1 の混合物を (24.8 g, 94.6 mmol, 88%) を得た。1
00 mlナス型フラスコにヨウ素 (2.60 g, 10.3 mmol),
アセトニトリル (30ml) を加えた。化合物(23) (898 m
g, 3.42 mmol) の アセトニトリル溶液 (20ml) を滴下
した。室温で1.5時間攪拌した後、チオ硫酸ナトリウム
水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジエチルエ
ーテルで希釈した。有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫
酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製し、化合物(25) (743 mg, 1.
99 mmol, 58%) を得た。
【0026】50 mlナス型フラスコに化合物(25) (1.62
g, 4.32 mmol), エタノール (10 ml), 15%水酸化ナト
リウム水溶液(5.1 ml, 22 mmol)を加えた。室温で1時間
攪拌した後、酢酸(3.5 ml)を加え、pH4-5程度の酸性と
して、反応溶液を60℃に加熱した。1時間攪拌した後、
室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応を停
止し、ジエチルエーテルで希釈した。有機層を飽和食塩
水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、
シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物
(26) (1.03 g, 3.90 mmol, 90%) を得た。50 mlナス
型フラスコに化合物(26)(3.83 g, 14.5 mmol), 1,2-ジ
クロロエタン(7.3 ml), ジイソプロピルエチルアミン
(7.60 ml, 43.5 mmol), クロロメチルメチルエーテル
(2.2 ml, 29.0 mmol) を加えた。40 ℃で16時間攪拌し
た後、0 ℃でメタノール (1 ml) を加え、反応を停止し
た。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水
で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(2
7) (4.10 g, 13.3 mmol,92%) を得た。
【0027】100 mlナス型フラスコに化合物(27) (3.1
1 g, 10.1 mmol), THF(20 ml) を加え、-78℃に冷却し
た。アリルマグネシウムブロミド (0.64 M ジエチルエ
ーテル溶液, 15.7 ml, 10.1 mmol) を滴下し、15分間攪
拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液 (5 ml) を加え、
反応を停止した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩
化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗い、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、粗化合物(28) (3.75
g, 10.7 mmol) を定量的に得た。100 mlナス型フラス
コに粗化合物(28)(3.75 g), THF(10 ml)を加え、0 ℃に
冷却した。H.C. Brownらの報告[Journal of American C
hemical Society 第81巻, 1512頁, 1959年]に従い、直
前に調製した Disiamylborane (1 M THF溶液, 25ml, 25
mmol) を滴下し、1時間攪拌した。15% 水酸化ナトリ
ウム水溶液 (7.1 ml), 30% 過酸化水素水 (9.1 ml) を
加え、一晩攪拌した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽
和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗い、無水硫
酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、ジオールを得
た。これに1,2-ジクロロエタン(10 ml)、カンファース
ルホン酸(69 mg, 0.30 mmol)を加え、一昼夜攪拌した。
有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で
洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(29)
[2.77 g, 7.89 mmol, 78%(3 steps)] を得た。
【0028】200 mlナス型フラスコに化合物(29)(20.4
g, 58.2 mmol), 酢酸エチル(58 ml), 20% Pd(OH)2 on
carbon(0.933g, 3 mol%)を加えた。水素を充填した肉
厚風船に連結し、水素気流下としてから、室温で19時間
激しく攪拌した。反応溶液をセライトで濾過し、濾液を
濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、
化合物(30) (15.1 g, 58.1 mmol, >99%) を得た。アル
ゴン雰囲気下、20 mlのナシ型フラスコに CH2Cl2 (150
ml), DMSO (2.6 ml, 36 mmol) を入れ,-78 ℃に冷却し
た。そこへ、(COCl)2 (2.4 ml, 27 mmol)を加え,20 分
間撹拌した。続いて CH2Cl2 (25 ml) に溶かした化合物
(30)(4.68g, 18.0 mmol) を滴下し、更に30 分間撹拌し
た。Et3N (10 ml, 72 mmol) を加え、-60℃まで昇温し
ながら、1 時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液
を加え、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食
塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させ,除
媒,フロリジルカラムクロマトグラフィーで精製をし
て、粗アルデヒド(31)を得た。
【0029】300 mlナス型フラスコに粗アルデヒド(31)
(約18.0 mmol), トルエン(90 ml)を加え、-78℃に冷却
した。W.R. Roushらの報告 [Journal of American Chem
icalSociety 第112巻, 6639頁, 1990年] に従い、直前
に調製した (R,R,Z)-crotylboronate(32) (0.65 Mトル
エン溶液, 29 ml, 18.9 mmol) を滴下し、2時間攪拌し
た。NaBH4 (150 mg), エタノール (25ml) を加え、室温
で攪拌した。15% 水酸化ナトリウム水溶液 (10 ml)を
滴下した後、析出した塩が溶けるまで水を加え、2日間
攪拌した。ジエチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食
塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、粗
化合物(33) (4.82 g, 15.4 mmol, 85%) を得た。1Lナ
ス型フラスコに粗化合物(33)(4.82 g, 15.4 mmol) を入
れ、THF (5 ml),DMF (5 ml) を加え、0 ℃で撹拌した。
NaH (60% suspension in mineral oil:1.23 g, 31 mmo
l) を少しずつ加えた後、ベンジルブロミド (2.8 mL, 2
3 mmol)を滴下した。7時間室温で攪拌後、メタノールを
加えて反応を停止し、一晩攪拌した。有機層を抽出し、
飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗い、無水
硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、濃縮した。シリカゲ
ルクロマトグラフィーで精製し、化合物(34) (3.78 g,
9.36 mmol, 52% (3 steps from 30)) を得た。
【0030】20 ml ナス型フラスコに化合物(34)(420 m
g, 1.04 mmol), tBuOH (2.5 ml),水(2.5 ml), N-メチル
モルホリンオキシド水溶液 (50%, 0.65 ml, 3.1 mmo
l),四酸化オスミウム(19 μM tBuOH溶液, 550 μl, 10.
4 μmol)を加え、室温で27時間攪拌した。NaIO4 (445 m
g, 2.08 mmol)を加え、室温で1時間攪拌した後、水と
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジエチルエーテ
ルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マ
グネシウムで乾燥、除媒し、粗アルデヒド (530mg) を
得た。20 ml ナス型フラスコに 粗アルデヒド, tBuOH
(8 ml), 水 (2ml), NaH2PO4・H2O (600 mg), 2-メチル-
2-ブテン (1.1 ml, 10 mmol), NaClO2(671 mg, 7.42 mm
ol) を加え、室温で 2 時間攪拌した。酢酸エチルで抽
出し、有機層を飽和食塩水で洗い、濃縮した。フロリジ
ルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(35) (43
7 mg, 1.03 mmol, 99%) を得た。30 ml ナス型フラス
コに 化合物(19) (4.61 g, 7.86 mmol), 化合物(35)(2.
34g, 5.55 mmol), EDC・HCl (1.60 g, 8.33 mmol), DMA
P (68 mg, 0.56 mmol), CH2Cl2 (5.6 ml) を加えた。35
℃で 15 時間攪拌した後、除媒し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィーで精製し、化合物(36) (3.28 g, 3.
22 mmol, 58%) を得た。
【0031】20 ml コック付きナス型フラスコに MS4A
(200 mg: Aldrich 社製、パウダー状にして、減圧下加
熱して活性化したもの), Cp2TiCl2 (496 mg, 2 mmol),
Mg (58 mg, 2.4 mmol), THF (4 ml) を入れ、室温で攪
拌しながら、P(OEt)3 (0.69 ml, 4.0 mmol) を滴下し
た。室温で、2.5 時間攪拌した後、50 ℃に昇温し、化
合物(36) (504 mg, 0.494 mmol) のTHF溶液 (5 ml)を滴
下した。10分後、更に加熱して50分間還流させた。室温
に冷却し、1N NaOH (15 μl) を加えた。反応溶液を濾
過し、濾別した沈殿をエーテル、水でよく洗った。濾液
をエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗い、無水
炭酸カリウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで精製し、化合物(37) (239 mg,
0.304 mmol,62%)を得た。
【0032】アルゴン雰囲気下、50 ml ナス型フラスコ
に化合物(37)(1.24 g, 1.58 mmol),THF (16 ml)を入れ
た。0 ℃に冷却し、BF3・THF (1.75 ml, 1.74 mmol) を
ゆっくり滴下し、室温で50 分間撹拌した。-10 ℃に冷
却し、BF3・THF (0.16 ml, 0.16 mmol) を滴下し、室温
で50 分間撹拌した。-10 ℃に冷却し、15% NaOH (1.9m
l), 30% 過酸化水素水 (1.8 ml) を加え、室温で12時
間攪拌した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽
和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥さ
せ,除媒,シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
して、化合物(38)(950 mg, 1.18 mmol, 75%) を得た。
アルゴン雰囲気下、50 ml ナシ型フラスコに CH2Cl2 (1
0 ml), DMSO (0.49 ml, 6.9 mmol) を入れ,-78 ℃に冷
却した。そこへ (COCl)2 (0.37 ml, 4.2 mmol)を加え,
10 分間撹拌した。続いてCH2Cl2 (6.5 ml) に溶かした
化合物(38) (1.11 mg, 1.38 mmol) を滴下し、更に1時
間20 分間撹拌した。Et3N (2.0 ml, 14 mmol) を加え、
1時間かけてゆっくり昇温し、-40℃で飽和塩化アンモ
ニウム水溶液を加え、反応を停止した。有機層を飽和塩
化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫
酸マグネシウムで乾燥させ,除媒,シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製して、化合物(39)と化合物(40)
の混合物を得た。中圧カラムクロマトグラフィー (山善
Si40B カラム)で目的の化合物(39) (346 mg, 0.432mmo
l, 31%) および化合物(40) (628 mg, 0.784 mmol, 57
%) を分取した。
【0033】エピ体(40) (628 mg, 0.784 mmol, 57%)
をCH2Cl2 (5 ml) に溶かし、DBU(0.25 ml)を加えた。室
温で 4 時間攪拌した後、ヘキサン-酢酸エチルで希釈
し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水
で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、除媒し、中
圧カラムクロマトグラフィー (山善Si40Bカラム)で化合
物(39)(285 mg) および化合物(40)(326 mg) を分取し
た。回収したエピ体(40) (326 mg) をCH2Cl2 (3 ml) に
溶かし、DBU(0.15 ml)を加えた。室温で3.5時間攪拌し
た後、ヘキサンー酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和塩
化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫
酸マグネシウムで乾燥、除媒し、中圧カラムクロマトグ
ラフィー(山善Si40Bカラム)で化合物(39)(136 mg) およ
び化合物(40)(186 mg) を分取した。
【0034】再度、回収したエピ体(40) (186 mg) をCH
2Cl2 (2 ml) に溶かし、DBU(0.10 ml)を加えた。室温で
3時間攪拌した後、ヘキサンー酢酸エチルで希釈し、有
機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄
した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、除媒し、中圧カラ
ムクロマトグラフィー(山善Si40Bカラム)で分取した。
このように3回異性化繰り返すことで、計化合物(39)(36
7 mg, 458 mmol, 58%)を得、化合物(40)(75.4 mg, 94.
1 μmol, 12%)を回収した。20 ml ナス型フラスコに化
合物(39)(128 mg, 0.351 mmol)、ヘキサン (3.5 ml)、
CH(OMe)3 (0.35 ml)を入れ、攪拌した。TfOH(0.25 M in
CH2Cl2, 42 μl, 10.5 mmol) を滴下し、室温で27時間
攪拌した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽
和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、除
媒、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、
10 位に関してのジアステレオマー混合物(41) (227 mg,
0.295 mmol, 84%) を得た。10 ml ナス型フラスコに
混合物(41) (103.6 mg, 134 μmol), CH2Cl2 (1.1 ml),
Et3SiH (0.48 ml, 2.68 mmol)を加え、-55 ℃に冷却し
た。BF3・Et2O (33 μl, 0.268 mmol) の CH2Cl2 (330
μl) 溶液を滴下し、50分間攪拌した。-15 ℃で反応溶
液に1% Et3N-ヘキサン溶液で希釈してから、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を飽和食塩水で
洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合
物(42) (70.9 mg, 96 μmol, 71%) を得た。
【0035】20 ml ナス型フラスコに化合物(43) (7.8
mg, 11 μmol), EtOAc (100 μl),MeOH (300 μl), Pd
(OH)2 (20% on carbon: 1.1 mg, 11 μmol) を加え
た。水素雰囲気下(肉厚風船を使用)、室温で 3時間攪
拌した。酢酸エチルで希釈してから、セライトで濾過し
た。濾液を濃縮し、化合物(44) (6.2 mg, 13 μmol) を
定量的に得た。20 ml ナス型フラスコに 化合物(44)(4.
2 mg, 9.0 μmol), CH2Cl2 (300 μl), (MeO)2CHCH2CO2
Me (25 μl, 180 μmol), TsOH・H2O (0.5 mg, 3 μmo
l) を加えた。室温で1.5 時間攪拌した後、トルエン(1
ml) を加えて、ロータリーエバポレーターで減圧(120
mbar/hPa)し、1時間後に大気圧に戻した。酢酸エチル
で希釈してから、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾
燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製して、アセタール位に関してのジアステレオ
マー混合物 (化合物(45a):化合物(45b)=3:1) を(4.7 m
g, 8.5 μmol, 94%)を得た。20mLナシ型フラスコに化
合物(45) (4.7 mg, 8.5 μmol)、t-BuOH (0.5 mL)、水
(125 μL)、LiOH・H2O (2.8 mg, 68 μmol) を加えて、
室温で1時間撹拌した。KHSO4 (18.6 mg, 136 μmol) を
加え、溶液のpH(3-4程度)を確認した後、酢酸エチル
(10 ml) で希釈した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、
ろ過、濃縮し、粗化合物(46) を得た。これにDMF (200
μL)、N-ヒドロキシスクシンイミド (9.7 mg, 85 μmo
l)、 EDC・HCl (8.1 mg, 43 μmol) を加えて、室温で1
2時間攪拌した。反応溶液を酢酸エチル(10 ml)で希釈
し、有機層を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥、濃縮し、活性化エステル(47)を得た。これにDMF (1
00μL) を加えた溶液を作製し、コンジュゲートの調製
に使用した。
【0036】KLH (7.0 mg)のPBS 緩衝液 溶液 (2.0 m
l)に活性化エステル(47) (約4.2 μmol) の DMF 溶液(5
0 μl) を加えて10 分間撹拌した。一日静置した後、4
℃で透析した。この後、14、19時間後にPBS 緩衝液 (70
0 mL) を交換し、28時間後に透析膜からエッペンドルフ
チューブに移し換えて、-78℃で保存した。BSA (7.0 m
g) の PBS 緩衝液 溶液 (2.0 ml) に活性化エステル(4
7) (約4.2μmol) の DMF 溶液 (50 μl) を加えて 10
分間撹拌した。一日静置した後、4℃で透析した。この
後、14、19 時間後にPBS 緩衝液 (700 mL) を交換し、2
8 時間後に透析膜からエッペンドルフチューブに移し換
えて、-78 ℃で保存した。透析して得た BSA コンジュ
ゲートを、MALDI-TOF-MSで分析した。BSA コンジュゲー
トの平均分子量は約 71800 であった(BSA の分子量約6
6400)。ハプテンの分子量が (540) であるので、BSAコ
ンジュゲートには平均10個のハプテンが連結されている
ことが分かった。
【0037】2.モノクローナル抗体の調製 前項で得たIJKLM-KLH(100 μg)にRIBIアジュバンド
(RIBI Immunol. Res.Inst.社製))を加え、良く攪拌
してエマルジョンとしたのち、これをBalb/c マウス
(5匹)に二週間毎に三回、腹腔内投与した。初回免疫
から35日目にマウスの血清を採取し、IJKLM-BSA及びABC
-BSA を用い、ELISA法で血清の抗体価を滴定した。
【0038】96ウエルELISA用プレート(ファルコン
社製、3910)の各ウエルに50 μl のハプテン-BSA(IJKL
M-BSA又は ABC-BSA) 溶液を入れ、室温で2時間放置
後、4℃で一晩放置して、プレートにコンジュゲートを
吸着させた。プレートをPBS-Tween [PBS 緩衝液 に5%
Tween 20(和光純薬製 polyoxyethylene (20) Sorbitan
Monolaurate ICI社 商標Tween 20 相当品 No. 167-11
515)を含むもの]で3回洗浄後、MILLI-Q水で一度洗浄
し、吸着しなかったコンジュゲートを除去した。ハイブ
リドーマ培養上清(もしくは抗血清、精製抗体溶液)を
加え、室温で1時間放置後、PBS-Tweenと、MILLI-Q水で
順次洗浄した。50 μl の 酵素標識二次抗体(ヤギ抗マ
ウスIgG-西洋わさびペルオキシダーゼ)(ZYMED社製、6
2-6520 1000倍希釈)を各ウエルに入れ、室温で1時間
放置後、PBS-Tweenと、MILLI-Q水で順次洗浄した。100
μlの基質溶液 [基質溶液の組成: 1,2-phenylenediamin
e 4.0mg、過酸化水素水 10 μl、0.1M クエン酸 緩衝
液 (pH 5.0) 10 ml]を加え、5分間呈色反応を進行させ
た後、2 M 硫酸(50 μl)で反応を停止した。マイクロ
プレート吸光度測定装置(BIO-RAD, Benchmark 170-685
0)を用いて、450 nm の吸光度を測定し、陽性のクロー
ンを判別した。
【0039】ハプテン-BSA(IJKLM-BSA又は ABC-BSA) 溶
液を吸着した96ウエルELISA用プレートの最上段に、5
0 μl のPBS 緩衝液 を入れた。200倍に希釈したマウス
の抗血清(50 μl) を最上段のウエル(A1)に加え、この
溶液を順次2倍希釈した(縦列A1〜A8に400 倍から51,2
00倍の希釈系列を作製)。プレートを室温で1時間放置
後、上述の方法で450 nmの吸光度を測定した。血清希釈
率の対数と吸光度をプロットすると、シグモイド状の滴
定曲線となる。表1に得られた血清の抗体価を示す(表
中の1〜5はマウスの番号を示す。)。血清濃度依存的
に、血清中の抗体がIJKLM-BSA コンジュゲートとは結合
するが、ABC-BSAコンジュゲートとは結合しないことが
分かった。
【0040】
【表1】
【0041】5匹の中で、最も高い抗体価を示したマウ
スに、腹腔内にIJKLM-KLH(100 μg)を追加免疫し、3
日後に脾臓を摘出した。脾臓に付着している組織や臓器
の断片をピンセットで取り除いた後、基本培地[RPMI M
edium 1640 (GIBCO 社製、一袋)、炭酸水素ナトリウム2
g, ペニシリン-ストレプトマイシン(GIBCO 社製)20
mg, 200 mM-グルタミン20 mLを蒸留水に溶かして1000 m
lとしてpHを7.2に調製したもの]入りのシャーレに移
し、ピンセットで脾臓内の細胞を浮遊させた。脾細胞浮
遊液を濾過後、50 ml遠心管に移した。さらに、基本培
地15 mlを加え、良くピペッティングして濾過し、全量
を30 mlとした。800 rpmで5分間、室温で遠心分離し、
上清を除去、タッピングした。HT・BC培地[牛胎児血清
(FCS)200 ml, HT(コスモバイオ社製HT液(50倍濃
縮)20 ml, BC(Bioresearch island社製 BriClone)50
ml, 基本培地 730 mlを混合したもの)を30 ml加え、
細胞を浮遊させた。
【0042】冷凍庫から(-130℃)からミエローマ細胞
P3X63-Ag8.653(大日本製薬社製)を凍結したチューブ
を取り出し、37℃恒温槽中で速やかに解凍した。チュー
ブをアルコール綿でよく消毒したのち、チューブ内の細
胞浮遊液を基本培地30 mlに移した。800 rpmで5分間、
室温で遠心分離し、上清を除去した。タッピング後、10
%FCS培地(基本培地に10%のFCSを添加)を10 ml加え、細
胞を浮遊させ、50 ml培養フラスコに移した。フラスコ
の栓をゆるめ、炭酸ガス培養装置にいれた。1〜2日毎
に継代し、250 mlフラスコ2本分(90-100 ml)にした。
マウスから取り出した脾細胞(2×10個)とミエロ
ーマ細胞(5×107個)を混合し、遠心(800 rpm、 5
分間、室温)し、上清を除去、タッピングした。この
後、ECF 緩衝液[マンニトール 45.5 g, 10 mM 塩化カ
ルシウム(10 ml), 10 mM 塩化マグネシウム(10 m
l), 20 mM トリス 緩衝液 pH 7.2 を蒸留水で溶かし
て、1000 mlにしたもの] を30 mlを加え、遠心(800 r
pm、 5分間、室温)、上清除去、タッピングする操作を
2回繰り返した後、ECF 緩衝液 (4.8 ml) を加えた。こ
れを6ウエルプレート(SUMIRON製)に、1.2 mlずつ分
注し、島津社製 SSH-10 細胞融合装置を用い、以下の条
件で細胞融合した[電極間距離:1.0 mm; 交流周波数: 1
MHz; 交流初期印加電圧: 80 V; 交流初期印加時間: 10
s; パルス幅: 40 μs; パルス電圧: 920 V; パルス電
界強度: 2.30 kV/cm; 交流2次印加電圧: 80 V; パルス
印加間隔: 1.0 s; 印加パルス数: 1; パルス電圧変化:
+0 V; 交流最終印加時間: 10 s; 交流電圧減衰率: 0%;
接触強化: off]。
【0043】調製したハイブリドーマ細胞を、各ウエル
にHAT培地(選択培地)[基本培地110 ml, FCS 30 ml, B
C 7.5 ml, HAT(コスモバイオ社製 HAT液(50 倍濃
縮))を混合したもの]100 μlを加えた96ウエルプレ
ート10枚に移した。2週間後、ハプテンとしたIJKLM
環部に結合する抗体を産生するハイブリドーマをIJKLM-
BSAを用い、ELISA法でスクリーニングした。陽性のウエ
ルを選択し、2 回クローニング後に、再度ELISA 陽性
となった抗体を産生するモノクローンを順次培養し、そ
れぞれ約200 mlまで増殖させた。この結果IJKLM-KLHを
免疫原として、表2に示す3種のモノクローナル抗体を
調製することができた。
【0044】3.モノクローナル抗体の結合試験 得られたモノクローナル抗体の結合試験をELISA法で検
討した。抗原として、下記に示すシガトキシン類の部分
構造を連結したBSAコンジュゲートを用いた。
【0045】その結果を表2に示す。
【表2】 得られたIgG抗体の中でIJKLM-BSAへ親和性が高く、かつ
ハプテンへの特異性が高いものとして、IM-3D11を選別
した。上清を抗マウスIgG, IgMアフィニティーカラム
(NGF Industries, Ltd.社製)で精製した(結合用リン
酸バッファー(pH 7.0)、溶出用バッファー(0.2 M Gl
ycine-HCl, pH 2.5)。精製した抗体をSDS-PAGEで分析
し、>95%の純度であることを確認した。表2に示した
ように、PIERCE 社製タイピングキット(37501)を用い
て、それそれの抗体のサブクラスを決定した。
【0046】次に、選別したモノクローナル抗体を精製
し、ハプテンとの解離定数(Kd)を求めた。ELISA用プレ
ート(A1からA12ウエル)に順次2倍希釈した競合阻害
剤(PBS溶液 各30 μl)の溶液を調製した。これに抗体
溶液(30 μl)を加え、室温で2時間放置した。抗体と阻
害剤の混合溶液50 μlを、ハプテン-BSA 溶液を吸着し
た96ウエルELISA用プレート(ファルコン社製、391
0)に加え、室温で20分間放置した。プレートを洗浄
後、吸光度を測定し、滴定曲線を得た。Friguet らの方
法[Journal of Immunological Method, 第77巻(1985
年), 第305 頁]を参考に、Klotzプロットして得られ
た直線の傾きから阻害剤のKd値を求めた。この結果、IM
-3D11とハプテンとしたIJKLM環部(IM) との結合の解離定数はKd = 8.6 nMを示し、IM-3D11はIJ
KLM 環部にかなり高い親和性を示すことが分かった(表
2)。
【0047】この結果をふまえ、上述の競争阻害の実験
系を利用して毒本体CTX3Cとの結合試験を検討した。そ
の結果を図4及び図5に示す。その結果、IM-3D11はCTX
3Cに強く結合することが分かった(Kd = 0.122μM)。
さらに、構造の類似した海産ポリエーテル毒素との結合
試験を検討したところ、IM-3D11はオカダ酸(Kd > 100
μM)や、マイトトキシン(Kd > 25μM)とはほとんど
結合しなかった。赤潮毒ブレベトキシン類とは交差活性
を検出したが(Brevetoxin A: Kd = 43μM、Brevetoxi
n B: Kd > 100μM)、CTX3Cとの親和性と比べると、35
0分の1程度の非常に弱いものであることが分かった。
【0048】
【発明の効果】従来、シガトキシン類に特異的に強く結
合するモノクローナル抗体は知られていなかった。従っ
て、既存の抗体を用いて検定した検体が、陽性を示した
としても、その検体にシガトキシン類が含まれているこ
とを立証するのは難しかった。しかし、シガトキシンの
IJKLM環部をハプテンとして利用した本発明のモノ
クローナル抗体は、既存の抗体で問題となっていたオカ
ダ酸やマイトトキシンとの交差活性は殆どなく、シガト
キシン類に非常に高い特異性で強く結合する。更に、こ
の抗体を利用すれば信頼性の高いシガトキシン類検定シ
ステムを確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】IJKLM環部ハプテン及びそのタンパクコン
ジュゲートの合成の流れを示す図(その1)である。
【図2】IJKLM環部ハプテン及びそのタンパクコン
ジュゲートの合成の流れを示す図(その2)である。
【図3】IJKLM環部ハプテン及びそのタンパクコン
ジュゲートの合成の流れを示す図(その3)である。
【図4】シガトキシンCTX3Cを用いてモノクローナ
ル抗体3D11の競合阻害実験の結果を示すグラフであ
る。
【図5】シガトキシンCTX3Cに対するモノクローナ
ル抗体3D11の結合性(解離定数:Kd)を算出する
ためのKlotzプロットを示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月30日(2002.1.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明するが、本発明を限定することを意図するものでは
ない。天然シガテラ毒素の入手は極めて困難であるの
で、天然シガテラ毒素自身を用いた抗体調製は困難であ
る。また、一般に抗体(イムノグロブリン)が結合する
抗原のサイズはアミノ酸7〜9残基前後であることが知
られているので、3ナノメートルの巨大で複雑な分子構
造のシガテラ毒素を用いると、どの部分が抗原決定基と
なっているのかを特定するのは難しい。そこで、本発明
においては、シガトキシンの末端の部分構造であるIJ
KLM環部 をハプテンとして設計し、これを人工的に合成し、この
合成ハプテンのタンパク質コンジュゲートをマウスに免
疫し、ハプテン部分を抗原決定基とするモノクローナル
抗体を調製した。なお、低分子ハプテンは、そのままで
は抗原性が低いため、通常、キャリアータンパク質に結
合させたコンジュゲートを免疫原とする。また、シガト
キシン類は哺乳類には、猛毒であるので、もし毒本体を
コンジュゲートとした場合、免疫した動物に致命的なダ
メージを与える可能性がある。本発明のように、部分構
造だけでは無毒なハプテンを用いれば、この問題も解決
可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 円谷 健 大阪府吹田市千里山西6−14−3 プレス テージ千里山D−203 Fターム(参考) 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA13 4H045 AA11 AA30 BA51 CA40 DA76 EA50 FA72

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シガトキシン類と特異的に結合するモノ
    クローナル抗体。
  2. 【請求項2】 シガトキシン類の抗原決定基になりうる
    部分構造を有する合成ハプテンとタンパクとを連結して
    なるタンパクコンジュゲートに対するモノクローナル抗
    体であって、シガトキシン類と特異的に結合するモノク
    ローナル抗体。
  3. 【請求項3】 前記タンパクコンジュゲートが下記化学
    (式中、nは正数を表す。)で表される請求項2に記載
    のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 前記タンパク質がBSA(牛血清アルブ
    ミン)又はKLH (keyhole limpetヘモシアニン)であ
    る請求項3に記載のモノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモ
    ノクローナル抗体を有効成分として含むシガトキシン類
    の検出薬。
  6. 【請求項6】 シガトキシン類の抗原決定基になりうる
    部分構造を有する合成ハプテンとタンパクとを連結して
    なるタンパクコンジュゲート。
  7. 【請求項7】 下記化学式 (式中、nは正数を表す。)で表されるタンパクコンジ
    ュゲート。
  8. 【請求項8】 前記タンパク質がBSA(牛血清アルブ
    ミン)又はKLH (keyhole limpetヘモシアニン)であ
    る請求項7に記載のタンパクコンジュゲート。
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