JP2003055203A5

JP2003055203A5 -

Info

Publication number: JP2003055203A5
Application number: JP2001243906A
Authority: JP
Filing date: 2001-08-10
Publication date: 2004-09-30
Anticipated expiration: 2021-08-10

Description

【０００１】
本発明は、水性液体に容易に分散・乳化可能であり、且つ水性液体に対する分散安定性に優れるバイオアベイラビリティーの高い、ユビキノンを有効成分とする液体および固形製剤に関する。

【０００２】
【背景技術】
ユビキノンは、広く生物界に分布するキノン化合物であり、補酵素Ｑ（ＣｏＱ）の１種として知られるベンゾキノン誘導体（２,３−ジメトキシ−５−メチル−６−ポリプロピレ
ン−１,４−ベンゾキノン）（ＣｏＱ_n）である。ユビキノンのうち、ヒトを含む高等動物に存在するユビデカレノン（ＣｏＱ₁₀）は、補酵素として生物活性をもつだけでなく、酸素利用効率を改善させる作用を有するビタミン様作用物質として知られている。このため、ユビデカレノン製剤は、鬱血組織に作用するほか、生体膜の安定化や抗酸化などの作用を有すると考えられ、臨床的には狭心症、心不全、虚血性心疾患、筋ジストロフィーの症状改善に薬理効果が認められている。また、基礎治療施行中の軽度及び中等度の鬱血性心不全症状の治療薬として、また本態性高血圧症、歯周病疾患、制癌剤や向精神薬の副作用予防などにも有効であると報告されている。

【０００３】
しかしながら、ユビデカレノンを含むほとんどのユビキノンは融点の低い親油性固体であり、水に難溶性のために経口投与における吸収性が低いことはよく知られている。ユビキノンの生体内における吸収は、脂溶性ビタミンと同様に主としてリンパ管から吸収されるが、その吸収量はごく僅かであるためそのバイオアベイラビリティーは低いものである。

【０００６】
ポリグリセロール不飽和脂肪酸エステルを用いて、ユビデカレノンを含む難溶性薬剤を乳化させ（特開昭５８−１３５０８号公報、特開昭５８−７７８１０号公報）、さらにこれに水溶性物質を添加する（特開昭５９−５１２１４号公報）ことにより、ユビデカレノンを含む難溶性薬剤のリンパ管からの吸収を積極的に促進させる、即ちバイオアベイラビリティーを向上させる方法が報告されている。しかし、ポリグリセロール不飽和脂肪酸エステルは粘性の高い液状物質であるため、製剤中のポリグリセロール不飽和脂肪酸エステルの添加量が必然的に制限され、結果的に製剤中のユビデカレノン含量が制限されるという欠点がある。製剤中のユビデカレノン含量が低くなると、１回の服用量または服用回数が増加するため、患者の服薬コンプライアンスを低下させ、ＱＯＬ(Quality of Life)の低下を招く懸念があり好ましいものではない。さらに、嚥下機能の低下した服用者に対しては、服用量の増加はその投与が困難となりうる。

【０００７】
ユビデカレノンのバイオアベイラビリティーを向上させるために、胆汁酸塩、ポリソルベート８０、ポリオキシエチレン硬化ひまし油（特開平５−１８６３４０号公報）などの親水性界面活性物質を用いてユビデカレノンを乳化して投与する方法が報告されている。しかしながら、これら親水性界面活性物質を多量に用いると、溶血性、粘膜刺激、粘膜欠損等の胃粘膜および消化管粘膜の障害を引き起こし、または過敏症を発症する場合があることから、これら親水性界面活性物質の使用は好ましくない。
また、ユビデカレノンの融点は約５０℃と低いことから、例えば粉末、錠剤等の固形製剤とした時には固形製剤中において融解し、毛細管現象によって色斑を発生させたり、更には滲出し商品価値を低下させることがある。

【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記問題点を解決した、水性溶液に対する分散安定性に優れ、且つバイオアベイラビリティーの高いユビキノン含有製剤を提供することである。

【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、有機酸の存在下、ユビキノンを水溶性物質の水溶液中に分散・乳化して、保護コロイドを形成させることにより、ユビキノンを高濃度に含有するにもかかわらず、水性液体に容易に分散・乳化可能であり、水性液体に対する分散安定性に優れ、且つバイオアベイラビリティーの高い液体製剤が得られることを見出し本発明を完成させた。

【００４１】
【発明の効果】
本発明によれば、水性液体に容易に分散・乳化可能であり、水性液体に対する分散安定性に優れ、且つバイオアベイラビリティーの高い、ユビキノンを有効成分とする液体および固形製剤が提供される。本発明のユビキノン含有製剤は、長期にわたり分散性が維持されるばかりか、分解生成物の発生も顕著に低く、ユビキノン自体の安定性も保持される。このため、本発明のユビキノン含有製剤は、医薬としてばかりでなく、健康食品として、またはその製造のための食品原料としても非常に有用である。

Claims

有機酸の存在下、水溶性物質に分散・乳化したユビキノンを含有することを特徴とする、ユビキノン含有製剤。
分散粒子の平均粒径が５μｍ以下である請求項１記載のユビキノン含有製剤。
有機酸がクエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸またはこれらの混合物である、請求項１または２記載のユビキノン含有製剤。
水溶性物質が、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドンからなる群から選択される１つ以上の水溶性物質である、請求項１〜３のいずれか１項に記載のユビキノン含有製剤。
水溶性物質がアラビアガムである、請求項４記載のユビキノン含有製剤。
請求項１〜５のいずれか１項に記載のユビキノン含有製剤を賦形剤に吸着または担持させて得られるユビキノン含有製剤。
請求項１〜５のいずれか１項に記載のユビキノン含有製剤を乾燥させて得られるユビキノン含有製剤。
剤型が、液剤または固形剤から選択される請求項６または７記載のユビキノン含有製剤。
有機酸の存在下、ユビキノンを水溶性物質の水溶液中に分散・乳化して、ユビキノンを含有する保護コロイドを形成させることを特徴とする、ユビキノン含有製剤の製造方法。