JP2003055061A - リン酸カルシウム系セラミック多孔体 - Google Patents

リン酸カルシウム系セラミック多孔体

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晃 井上
Hiroyuki Irie
洋之 入江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤の保持性に優れた薬剤徐放担体または細
胞付着性の高い細胞培養担体を構成するリン酸カルシウ
ム系セラミック多孔体を提供することを提供すること。 【解決手段】 5μm以下の気孔を有し、かつ表面が負
に帯電していることを特徴とする、薬剤徐放担体として
のリン酸カルシウム系セラミック多孔体。気孔率が55
〜90%であり、連通する気孔径50〜1000μmの
マクロ気孔と5μm以下のミクロ気孔を有し、かつ面が
負に帯電していることを特徴とする、細胞培養用担体と
してのリン酸カルシウム系セラミック多孔体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬剤徐放担体また
は細胞培養担体として用いられるリン酸カルシウム系セ
ラミック多孔体に関する。
【0002】
【従来の技術】局在する炎症や腫瘍等に対する薬物治療
では、例えば、抗癌剤や抗生物質等が使用されている。
しかし、これらの薬剤は重篤な副作用を有するものが多
く、また、全身投与しても患部に作用する量は極めて少
量となる。このため、薬剤を患部に選択的かつ適量を投
与する方法が検討されている。そこで、薬剤を生体内患
部に埋入して薬剤を徐放させるための担体が提案されて
いる。
【0003】薬剤徐放担体としては、これまで生体適合
性の優れたリン酸カルシウム系セラミック多孔体が検討
されている。しかし、リン酸カルシウム系セラミック多
孔体に薬剤を物理的に保持させるのでは、薬剤の徐放特
性の持続性が極めて悪いため、リン酸カルシウム系セラ
ミック多孔体と有機材料とを複合することが検討されて
いる。
【0004】例えば、特許第2842647号には、多
孔質リン酸カルシウム多孔体の孔内に薬剤を含有させる
とともに、リン酸カルシウム多孔体全体を有機高分子化
合物でコーティングした薬剤徐放性顆粒が開示されてい
る。また、特許第2767152号には、緻密質セラミ
ック体の孔に、リン脂質により形成した薬剤含有リポソ
ームを保持した薬剤含有セラミック体が開示されてい
る。
【0005】また、近年、細胞培養等に代表される組織
工学への取組みが注目され、骨軟骨の欠損部の修復への
応用が期待されている。現在、骨髄細胞あるいは軟骨細
胞を初期培養した後、多孔質セラミックを担体として2
次培養し、骨あるいは軟骨形成の検討が多くなされてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特許第2842647号に開示された薬剤徐放性顆粒
は、担体であるリン酸カルシウム顆粒に薬剤を含有させ
た後、凍結乾燥し、さらに有機高分子化合物をコーティ
ングするものであるため、適用症例に対する薬剤を容易
に担体に保持させることができないという問題がある。
また、特許第2767152号に開示された薬剤含有セ
ラミック体は、薬剤含有リポソームを緻密質セラミック
の孔に保持させるものであるため、孔を有する緻密質セ
ラミック体を準備する必要があり、かつ、セラミック体
の大きさ、形状、薬剤の含有量が制限されてしまう。
【0007】更に、初期培養した細胞を多孔質セラミッ
ク表面で培養させる場合、セラミック表面に細胞が付着
することが最も重要である。しかし、このような多孔質
セラミックの表面は、サブミクロンの凹凸により細胞の
付着性を向上させるのみであり、細胞外皮膜の電気的作
用を考慮したものではない。そのため、細胞の付着性は
不十分である。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、薬剤の保持性に優れた薬剤徐放担体または細胞付
着性の高い細胞培養担体を構成するリン酸カルシウム系
セラミック多孔体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、5μm以下の気孔を有し、かつ表面が負
に帯電していることを特徴とする、薬剤徐放担体として
のリン酸カルシウム系セラミック多孔体を提供する。
【0010】また、本発明は、気孔率が55〜90%で
あり、連通する気孔径50〜1000μmのマクロ気孔
と5μm以下のミクロ気孔を有し、かつ表面が負に帯電
していることを特徴とする、細胞培養用担体としてのリ
ン酸カルシウム系セラミック多孔体を提供する。
【0011】リン酸カルシウム系セラミック多孔体は、
焼成した後、不活性気体雰囲気にて冷却し、粉砕もしく
は切断し、保管されたものであることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、より詳細
に説明する。
【0013】HAP(ヒドロキシアパタイト)に代表さ
れるリン酸カルシウム系セラミックは、生体適合性が高
く、骨欠損部などに充填する場合、その周辺に直接新生
骨を形成することが知られている。その中でも、特に、
β−TCPは、生体適合性、骨形成に優れているうえ、
生体吸収性にも優れ、骨欠損部などに充填する場合、経
時的に自家骨に置換するという特徴がある。
【0014】本発明において、好ましく使用されるβ−
TCP多孔体は、メカノケミカル法で作製したβ−TC
P粉末を原料とし、気孔率50〜90%、連通する気孔
径50〜1000μmと5μm以下の気孔を有するもの
であることがよい。
【0015】なお、β−TCPは、一般に、骨伝導能と
生体吸収性の2つの性質を併せ有するが、その合成プロ
セスにより、その性能は左右される。即ち、メカノケミ
カル法により合成されたβ−TCP多孔体が、最も骨補
填材として優れていると言える。
【0016】また、リン酸カルシウム系セラミック多孔
体の気孔性状は、多孔体内部への細胞の進入などに寄与
する50〜1000μmの気孔と、生体内での吸収を効
率良く行わせる5μm以下の気孔とを有することが必要
である。
【0017】なお、本発明において好適に用いられるβ
−TCPは、β−TCP粉末を焼成した後、N、A
などの不活性気体雰囲気で冷却し、粉砕もしくは切断し
て、保管されるものであるため、β−TCP粒子表面は
極めて活性が高く、負に帯電している。このようなβ−
TCPを主成分として含む多孔体は、その負に帯電した
部分が薬剤を強く吸着し、また細胞を培養するのに適し
ているので、薬剤徐放担体または細胞培養担体として非
常に優れている。
【0018】このβ−TCP多孔体の表面電位を確認す
るため、0.001M/LのKCl水溶液を流動液と
し、23〜24℃にて流動法によるゼータ電位を測定し
た。その結果、ゼータ電位は−7mVとなり、β−TC
P多孔体表面が負に帯電していることを確認した。
【0019】なお、表面分析などによっても明確ではな
いが、β−TCP多孔体表面のリン酸イオンは、通常の
雰囲気では、水分を直ちに吸着し、β−TCP多孔体表
面に数個から数10個もの水分子の層が形成されてしま
うが、不活性気体雰囲気であれば、水分子の吸着数を1
〜2分子に抑制することができ、それによってβ−TC
P多孔体表面の活性を維持することができる。また、β
−TCP多孔体の気孔率を高くすることなどにより、β
−TCP多孔体の表面積を増大することができるので、
β−TCP多孔体の相対的な表面活性を増加させること
が可能である。
【0020】リン酸カルシウム系セラミック多孔体の粒
径は、薬剤徐放担体として使用する場合には、0.5μ
m〜5mmであることが望ましい。また、特に、この薬
剤徐放担体を経血管療法に使用する場合、カテーテルの
内径が1mmであるため、その粒径は、0.5μm〜3
00μmであることが望ましく、薬剤徐放担体としての
顆粒が腫瘍組織に近い血管に留まることが理想的であ
る。
【0021】リン酸カルシウム系セラミック多孔体の粒
径が1μm程度の場合、マクロファージ等の巨細胞に貧
食されやすく、腫瘍組織近傍の細胞により選択的に貧食
されるといわれている。
【0022】リン酸カルシウム系セラミック多孔体を薬
剤徐放性骨補填材として使用する場合、骨形成の足場と
して作用する必要があるため、顆粒のみならずブロック
体もしくは円柱体などの形状とすることも出来る。
【0023】なお、リン酸カルシウム系セラミック多孔
体内に保持させる薬剤は、特に制限するものではなく、
抗生物質、合成抗菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗癌剤、免疫能
増強剤、抗ウィルス剤抗真菌剤、免疫療法剤、細胞賦活
用薬、ホルモン剤、解熱鎮痛消炎剤、骨形成因子などが
ある。
【0024】薬剤をリン酸カルシウム系セラミック多孔
体内に保持させる方法は、特に限定するものではない
が、薬剤が液状、粉末状などの場合、緩衝液などに薬剤
を溶解し、希釈して、この溶液に担体となるリン酸カル
シウム系セラミック多孔体を浸漬するなどの手法が容易
である。
【0025】また、骨補填材としての骨形成能を向上さ
せるため、骨形成因子のBMP(Bone Morphogenetic P
rotein)、FGF(Fibroblast Growth Factor)、TG
F−β(Transforming Growth Factor−β)、IGF
(Insulin - like Growth Factor)、PDGF(Platel
et - Derived Growth Factor)、VEGF(Vascular E
ndothelial cell Growth Factor)などを保持させるこ
とも可能である。
【0026】このように、骨形成因子を保持したリン酸
カルシウム系セラミック多孔体を骨補填材として用いる
ことにより、リン酸カルシウム系セラミック多孔体単独
で補填するより、骨形成を促進することが出来る。
【0027】また、リン酸カルシウム系セラミック多孔
体を細胞培養担体として使用する場合、細胞が浸入可能
なように連通する、気孔径50〜1000μmの気孔と
気孔径5μm以下の気孔を有することが好ましい。
【0028】本発明に用いられるリン酸カルシウム系セ
ラミック多孔体の表面は、負に帯電しているため、培養
細胞の外皮膜に存在するタンパク質と静電気的に吸着
し、早期に表面における分化活動を開始させることが出
来る。
【0029】また、未だ十分には解明されているとは言
えないが、負に帯電した多孔体表面では、正に帯電した
多孔体表面もしくは電気的に中性な多孔体表面に比べ、
細胞が増殖しやすいとの報告がなされている。
【0030】細胞の培養方法は、特に制限されるもので
はないが、所望の細胞を10〜14日間、15%のFB
S(Fetal bovine serum)を含有するMEM培地にて、
初期培養を行い、培養された細胞を、補填するリン酸カ
ルシウム系セラミック多孔体に播種し、10nMのデキ
サメタゾン(dexamethasone)、10mMのβ−グリセ
リンリン酸(glycerophosphate)、および50μg/m
lのアスコルビン酸の存在下で培養し、培養細胞複合リ
ン酸カルシウムとすることもできる。
【0031】下記式(1)により表わされる抗生物質と
してのゲンタマイシンや、下記式(2)により表わされ
る抗癌剤としてのドキソルビシンに代表されるように、
薬剤には多くの極性基を有するものが多い。その薬剤の
有する極性基と、負に帯電し、活性の高い状態が保たれ
ているリン酸カルシウム表面とが電気的に吸着する。特
に、緩衝液により薬剤の希薄溶液とした場合、比較的強
く電気的に吸着することが可能である。
【0032】
【化1】 硫酸ゲンタマイシンC:R=CH、R=NHC
硫酸ゲンタマイシンC:R=CH、R=NH 硫酸ゲンタマイシンC1a:R=H、R=NH
【化2】
【0033】以下、本発明の実施例を示し、本発明の構
成および効果をより具体的に説明する。
【0034】[実施例1]原料とするβ−TCP粉末
を、以下のようにメカノケミカル法により作製した。即
ち、炭酸カルシウム粉末とリン酸水素カルシウム2水和
物粉末を1:2のモル比になるように秤量し、純水を加
えてスラリーを調製した。これをポールミルにて約24
時間磨砕し、反応させた後、乾燥し、750〜900℃
で焼成して、β−TCP粉末を得た。
【0035】このようにして得られたβ−TCP粉末を
用いて、次のようにして、多孔質顆粒を作製した。即
ち、得られたβ−TCP粉末に純水、解膠剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル系あるいはポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル系の界面活性剤を所定量
加えた。これをミキサーなどで混合し、発泡させ、乾燥
し、1000〜1100℃で焼成した後、N雰囲気下
にて、3時間後に100℃以下になるように冷却した。
【0036】これにより、50〜80%の気孔率、50
〜1000μm及び5μm以下の気孔分布を有するβ−
TCP多孔体が作製された。さらに、このβ−TCP多
孔体を粉砕して顆粒を得た。なお、顆粒の粒径は500
〜1000μmとした。
【0037】このβ−TCP多孔体顆粒の表面電位を確
認するため、0.001M/LのKCl水溶液を流動液
とし、23〜24℃にて流動法によるゼータ電位を測定
した。その結果、ゼータ電位は−7mVとなり、β−T
CP多孔体表面が負に帯電していることを確認した。
【0038】次に、薬剤としてゲンタマイシンを用い、
これを溶媒キャスト法により、以下のようにβ−TCP
多孔体に吸着させた。即ち、まず薬剤としてのゲンタマ
イシンをリン酸緩衝液に溶解した。次いで、得られた溶
液にβ−TCP顆粒を浸漬した後、乾燥することで、β
−TCP多孔体顆粒表面もしくは気孔内に、ゲンタマイ
シンを吸着させた。このようにして、本実施例に係る薬
剤徐放性β−TCPを得た。
【0039】この薬剤徐放性β−TCPを、骨髄炎を伴
う疾患の病巣掻爬部に、別途作製された骨補填材として
のβ−TCPと併用することで、骨形成・自家骨置換に
加え、骨髄炎を沈静化させる作用をも発揮することが出
来た。また、抗生剤を局所投与しているため、全身投与
に比べ、副作用が少ないという効果も発揮された。
【0040】[実施例2]平均粒径が20μmであるこ
とを除き、実施例1と同じ形態のβ−TCP多孔質顆粒
を作製し、用いた。薬剤は、抗癌剤として硫酸ドキソル
ビシンを用いた。
【0041】硫酸ドキソルビシンを生理食塩水に溶解し
た溶液に、β−TCP多孔質顆粒を浸漬し、乾燥して、
薬剤をβ−TCP多孔質顆粒表面に吸着させた。なお、
必要に応じて、含浸した顆粒を凍結乾燥してもよい。
【0042】このようにして得た薬剤徐放性β−TCP
は、物理的もしくは生理的に、血管の病巣部に近い部位
に留まり、薬剤を徐放することが可能であった。
【0043】[実施例3]ブロック状β−TCP多孔体
であることを除いて、実施例1と同様に作製したβ−T
CP多孔体に、骨成長因子として、骨形成蛋白質(BM
P:Bone Morphogenetic Protein)、繊維芽細胞増殖因
子(FGF:Fibroblast Growth Factor)、トランスフ
ォーミング増殖因子(TGF−β:Transforming Growt
h Factor−β)、インスリン様増殖因子(IGF:Insu
lin−like Growth Factor)、血小板由来増殖因子(P
DGF:Platelet Derived Growth Factor)、血管内皮
細胞増殖因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth
Factor)を複合させた。
【0044】成長因子の複合方法は、特に限定されるも
のではないが、緩衝液などに溶解した成長因子をβ−T
CP多孔体にしみ込ませるなどの方法により行うことが
出来る。
【0045】成長因子は、骨形成を促進させるため、本
実施例に係るβ−TCP多孔体は、骨成長因子を担架さ
せていない骨補填材としてのβ−TCPに比べ、骨欠損
部が大きい症例などにも良好な骨形成を得ることが出来
る。そのため、悪性腫瘍など病巣掻爬部が大きい疾患に
おいて、従来、人工骨では骨形成が劣るため、自家骨が
用いられていた適用、もしくは人工関節などが強いられ
ていた適用などにおいても、良好な骨形成が得られた。
【0046】[実施例4]円盤状β−TCP多孔体であ
ることを除いて、実施例1と同様にして作製したβ−T
CP多孔体に、骨髄細胞を複合させて骨補填材を得た。
この骨補填材により骨欠損部を補填した。
【0047】事前に患者の骨髄を採取し、10〜14日
間、15%のFBSを含有するMEM培地にて初期培養
を行い、β−TCP多孔体に細胞を播種し、10nMの
dexamethasone、10mMのβ−glycerophosphate、5
0μg/mlのアスコルビン酸の存在下で培養し、骨髄
細胞複合β−TCP多孔体として補填した。
【0048】なお、必要に応じて、骨成長因子などを担
架させることも可能である。
【0049】骨髄細胞は骨形成を促進させるため、本実
施例に係る骨髄細胞複合β−TCP多孔体は、骨髄細胞
を培養していない骨補填材としてのβ−TCPに比べ、
骨欠損部が大きい症例などにも良好な骨形成が得られ
た。そのため、悪性腫瘍など病巣掻爬部が大きい疾患に
おいて、従来、人工骨では骨形成が劣るため、自家骨が
用いられていた適用、もしくは、人工関節などが強いら
れていた適用などにおいても、良好な骨形成が得られ
た。
【0050】特に、骨髄細胞を初期培養する際、骨芽細
胞のみを選択的に培養することで、より骨形成を促進さ
せることができた。また、骨芽細胞の働きにより、β−
TCPを吸収する破骨細胞の働きも活性化するため、早
期の自家骨置換が得られた。
【0051】ここで、以上説明した本発明のリン酸カル
シウム系セラミック多孔体およびその製造方法につい
て、以下に付記する。
【0052】(1)5μm以下の気孔を有し、かつ表面
が負に帯電していることを特徴とする、薬剤徐放担体と
してのリン酸カルシウム系セラミック多孔体。
【0053】(2)リン酸カルシウム系セラミック多孔
体表面の負に帯電した部位に、薬剤成分が電気的に吸着
してなることを特徴とするリン酸カルシウム系セラミッ
ク多孔体。
【0054】(3)気孔率が55〜90%であり、連通
する気孔径50〜1000μmのマクロ気孔と5μm以
下のミクロ気孔を有し、かつ表面が負に帯電しているこ
とを特徴とする、細胞培養用担体としてのリン酸カルシ
ウム系セラミック多孔体。
【0055】(4)リン酸カルシウム系セラミック多孔
体が、メカノケミカル法により合成されたβ−リン酸三
カルシウム粉末を焼成してなるβ−リン酸三カルシウム
多孔体であることを特徴とするリン酸カルシウム系セラ
ミック多孔体。
【0056】(5)リン酸カルシウム系セラミック多孔
体が、焼成した後、不活性気体雰囲気にて冷却し、粉砕
もしくは切断し、保管されたものであることを特徴とす
るリン酸カルシウム系セラミック多孔体。
【0057】(6)リン酸カルシウム系セラミック粉末
に、純水、解膠剤、および界面活性剤からなる添加剤を
所定量加える工程と、前記添加剤が加えられたリン酸カ
ルシウム系セラミック粉末を混合し、発泡し、乾燥する
工程と、乾燥した混合物を1000〜1100℃で焼成
する工程と、前記焼成体を不活性雰囲気中で冷却する工
程とを具備することを特徴とするリン酸カルシウム系セ
ラミック多孔体の製造方法。
【0058】(7)上記(6)のリン酸カルシウム系セ
ラミック多孔体に薬剤を吸着させる工程を具備すること
を特徴とする薬剤徐放性多孔体の製造方法。
【0059】(8)上記(6)のリン酸カルシウム系セ
ラミック多孔体に細胞を培養して複合する工程を具備す
ることを特徴とする細胞複合多孔体の製造方法。
【0060】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、薬剤の保持性に優れた薬剤徐放担体もしくは細
胞付着性の高い細胞培養担体を構成するリン酸カルシウ
ム系セラミック多孔体を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B029 AA21 BB11 CC03 CC10 4C081 AB02 AB03 AB04 AC03 BB06 BB09 CD27 CD28 CD29 CD34 CE01 CE02 CF011 CF021 DA11 DB05 DB06 DC14 EA05 EA11 4G019 FA03 FA13 GA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】5μm以下の気孔を有し、かつ表面が負に
    帯電していることを特徴とする、薬剤徐放担体としての
    リン酸カルシウム系セラミック多孔体。
  2. 【請求項2】気孔率が55〜90%であり、連通する気
    孔径50〜1000μmのマクロ気孔と5μm以下のミ
    クロ気孔を有し、かつ表面が負に帯電していることを特
    徴とする、細胞培養用担体としてのリン酸カルシウム系
    セラミック多孔体。
  3. 【請求項3】前記リン酸カルシウム系セラミック多孔体
    が、焼成した後、不活性気体雰囲気にて冷却し、粉砕も
    しくは切断し、保管されたものであることを特徴とする
    請求項1または2に記載のリン酸カルシウム系セラミッ
    ク多孔体。
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