JP2014236673A - 骨形成促進剤とその製造方法 - Google Patents

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一郎 関矢
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大 宗田
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裕介 中川
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康治 袴塚
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Abstract

【課題】微量の細胞から骨芽細胞を得る。
【解決手段】粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞と、血清とを混合した混合物からなる骨形成促進剤を提供する。また、粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する顆粒採取ステップS1と、該顆粒採取ステップS1において採取されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、血清と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞とを混合する混合ステップS2とを含む骨形成促進剤の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、骨形成促進剤とその製造方法に関するものである。
従来、末梢血から抽出した単核球細胞と、粒径25〜75μmのβリン酸三カルシウム多孔体顆粒とを混合して培養する骨芽細胞の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、単核球細胞がマクロファージ化してβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を貪食することで、骨芽細胞への分化が行われたことが確認されている。この骨芽細胞を骨形成に用いる場合、単核球細胞は培養増殖能力が低いため、骨形成に必要な数の細胞を確保するには、それに必要な量の末梢血を人体から採取する必要がある。
また、この特許文献1には、25μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒は、互いに凝集して細胞との接触頻度が減少することが記載されているが、25μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を利用することは想定されていない。
特開2010−268722号公報
一方、増殖性を有する細胞として幹細胞が知られている。幹細胞はマクロファージ化しない。しかしながら、少量の幹細胞を人体から採取して増殖させることにより、必要数の細胞を取得することができるので、末梢血から採取する単核球細胞と同様に骨芽細胞へ分化させ、これを骨形成に用いることが期待される。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、未分化の滑膜由来幹細胞から骨芽細胞を得ることができる骨形成促進剤とその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞と、血清とを混合した混合物からなる骨形成促進剤を提供する。
発明者らは、滑膜由来幹細胞と10μm以下のβリン酸カルシウム多孔体顆粒と血清とを混合して培養することにより、マクロファージ化しない滑膜由来幹細胞内にβリン酸カルシウム多孔体顆粒が短期間で取り込まれ、骨芽細胞に分化することを可能にした。
本態様によれば、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞と、10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、血清とを混合することにより、骨欠損部等に補填すると比較的短時間で骨芽細胞に分化し、骨形成を促進する骨形成促進剤を提供することができる。10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒は、マクロファージ化した単核球細胞とは異なる細胞形態を示す滑膜由来幹細胞に取り込まれ易く、取り込まれた後には細胞内のライソソームにおいて加水分解等によって分解されることにより、細胞質内に作用して骨芽細胞への分化を開始させる。これにより、未分化の滑膜由来幹細胞から骨芽細胞を得ることができる。
上記態様においては、前記混合物を所定期間にわたって培養してもよい。
このようにすることで、予め骨芽細胞への分化を開始させた状態の骨形成促進剤を提供することができる。これにより、骨欠損部等に補填された直後から骨形成を開始することができ、骨欠損部等の修復を短期間で行うことができる。
また、上記態様においては、前記βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、βリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕し、生成されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を高速遠心による分級法を用いて分級して、2.6μmをピークとする粒径分布を有することが好ましい。
従来の粉砕方法では25μm以下の粒径のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を効率よく得られなかった。本態様によれば、高速遠心による分級法により2.6μmをピークとする10μm以下の粒径分布を有するβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を効率よく取得できる。これを用いることで、滑膜由来幹細胞から骨芽細胞への分化が可能となった。
また、上記態様においては、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、1mg/mL以下の濃度を有することが好ましい。
βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度が高い場合には、カルシウムイオン及びリン酸イオンの影響が過剰になって細胞の健全性が損なわれる。本態様によれば、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度を十分に低く抑え、細胞の健全性を維持しつつ骨芽細胞へ分化させることができる。
また、本発明の他の態様は、粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する顆粒採取ステップと、該顆粒採取ステップにおいて採取されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、血清と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞とを混合する混合ステップとを含む骨形成促進剤の製造方法を提供する。
上記態様においては、前記混合ステップにおいて混合された混合物を所定期間にわたって培養する培養ステップを含んでいてもよい。
また、上記態様においては、前記顆粒採取ステップが、βリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕する粉砕ステップと、該粉砕ステップにおいて生成されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を高速遠心による分級法を用いて分級して2.6μmをピークとする粒径分布を有するβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する分級ステップとを含んでいてもよい。
また、上記態様においては、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、1mg/mL以下の濃度を有することが好ましい。
本発明によれば、未分化の滑膜由来幹細胞とβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を用いて、骨形成を促進する骨形成促進剤を得ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る骨形成促進剤の製造方法を示すフローチャートである。 図1の製造方法の顆粒採取ステップにより生成されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒の粒径分布を示すグラフである。 図1の製造方法に用いる滑膜由来幹細胞の骨芽細胞への分化を評価する(a)Runx2、オステオポンチン、タイプIコラーゲン、オステオカルシン量、(b)アルカリフォスファターゼ活性をそれぞれ示すグラフである。 図1の製造方法に用いる滑膜由来幹細胞のフローサイトメトリ分析結果を示すグラフである。 図1の製造方法に用いるβリン酸三カルシウム多孔体顆粒濃度と滑膜由来幹細胞の全細胞に対する死細胞数の割合との関係を示すグラフである。 βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の骨形成に関連した遺伝子の発現を測定するための(a)接触培養、(b)非接触培養方法を説明する図である。 図6の測定結果を示すグラフである。 図6の(a)接触培養、(b)非接触培養における、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒濃度とRunx2、オステオポンチン、タイプIコラーゲン、オステオカルシン量との関係を示すグラフである。 βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の導入から(a)30分後、(b)2日後、(c)7日後、(d)21日後の滑膜由来幹細胞およびβリン酸三カルシウム多孔体顆粒の状態をそれぞれ示す顕微鏡写真である。 図9の培養7日後の滑膜由来幹細胞およびβリン酸三カルシウム多孔体顆粒の状態を示す(a)電子顕微鏡写真、(b)(a)の一部を拡大した電子顕微鏡写真である。
本発明の一実施形態に係る骨形成促進剤とその製造方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る骨形成促進剤は、粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞と、血清とを混合した混合物によって構成されている。
さらに具体的には、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒は、2.6μmをピークとする粒径分布を有している。また、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度は、1mg/mL以下に設定されている。
このように構成された本実施形態に係る骨形成促進剤の製造方法について以下に説明する。
本実施形態に係る製造方法は、図1に示されるように、粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する顆粒採取ステップS1と、該顆粒採取ステップS1において採取されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、血清と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞とを混合する混合ステップS2とを含んでいる。なお、混合する滑膜由来幹細胞には、他の細胞が少量混じっていてもよい。
顆粒採取ステップS1は、βリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕する粉砕ステップS11と、該粉砕ステップS11において生成されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を高速遠心による分級法を用いて分級して2.6μmをピークとする粒径分布を有するβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する分級ステップS12とを含んでいる。
粉砕ステップS11は、βリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕して顆粒を形成する。例えば、1150℃で焼成した見かけの気孔率75%のβリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕し、更にステンレス製の篩を用いて500μm以下の顆粒を作製する。
分級ステップS12は、ウレタン製分級ロータを用いたターボクラッシャ(TC15N:日清エンジニアリング株式会社製)を用いて1次分級と2次分級とに分けて行う。
1次分級は、例えば、回転数1300rpm、風量2.0m/min、供給速度1.0kg/時間で行う。2次分級は、1次分級で分級された微粉の一部を取り出して、例えば、回転数2500rpm、風量2.0m/min、供給速度1.0kg/時間で行う。
粉砕ステップS11で形成された粒径500μm以下の顆粒315gを1次分級することにより得られた微粉のうちの41gを2次分級することにより27gの粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を得ることができた。
得られたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒の粒径分布を日機装株式会社製マイクロトラックHRAを用いて測定した結果、図2に示されるように、2.6μmにピークを有し、0.8176〜9.2499μmの範囲で分布する粒径分布を有するβリン酸三カルシウム多孔体顆粒が得られたことが確認された。
このようにして得られたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、血清と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞とを混合ステップS2において混合することにより、本実施形態に係る骨形成促進剤を製造することができる。
このようにして製造された本実施形態に係る骨形成促進剤によれば、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、比較的短時間で滑膜由来幹細胞内に取り込まれ、細胞内のライソソームにおいて加水分解等により分解され吸収されることにより、滑膜由来幹細胞を骨芽細胞に分化させることができる。また、本実施形態に係る骨形成促進剤によれば、患部を切開することなく、患部に注入するだけで、非観血的に処置を行うことができるとともに、微量の滑膜由来幹細胞から必要量の骨芽細胞を得て、患部の骨形成を図ることができるという利点がある。
次に、本実施形態に係る骨形成促進剤とその製造方法の実施例について、以下に説明する。
まず、骨形成促進剤に使用する滑膜由来幹細胞は、以下の通りにして用意した。
すなわち、滑膜由来幹細胞は、患者から採取したヒト滑膜を細かく切り刻んで小片にし、3mg/mLの酵素コラゲナーゼD(ロシュ社製)を用いて、3時間かけて消化することにより採取した。
採取された滑膜由来幹細胞を、通常培地(CCM:αMEM)に10%FBS、100ユニット/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシンおよび250ng/mLのアンホテリシンBを加えた培地にコロニーを形成する密度で播種し、14日間培養した。2回継代して増殖させた滑膜由来幹細胞を用いて実験した。播種の3日後に培地を粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒が含まれた培地に変更し、週に2回培地交換を行った。
ここで、上記のようにして採取された滑膜由来幹細胞のコロニー形成能力について以下の通りにして確認した。
1000個の滑膜由来幹細胞を14日間60cmディッシュで培養し、5分間4%のパラホルムアルデヒドで固定後に、0.5%のクリスタルバイオレット(和光新薬)で染色した。その結果、この滑膜由来幹細胞はコロニー形成能力を有することがわかった。
また、上記のようにして採取された滑膜由来幹細胞の軟骨細胞への分化能を以下の通りにして確認した。
25万個の滑膜由来幹細胞をポリプロピレンチューブで450g、10分間遠心し、ペレット状とした。10ng/mLのTGFβ3(研究開発Systems Inc.製)、10−7Mデキサメタゾン(シグマ−オルドリッチ社)、および1000ng/mLのBMP−7(Stryker Biotech社)を含む軟骨分化培地で21日間培養した。週2回培地交換を行い、組織学的評価としてペレットをパラフィン包埋して、5μmのセクションに薄切りし、1%トルイジンブルーおよびタイプコラーゲンの免疫染色を行った。その結果、この滑膜由来幹細胞は、軟骨細胞に分化することが分かった。
また、上記のようにして採取された滑膜由来幹細胞の脂肪細胞への分化能を以下の通りにして確認した。
滑膜由来幹細胞を0.5μMのデキサメタゾン、0.5mMのイソブチルメチルキサンチンおよび50μMのインドメタシンを含むCCMからなる脂肪分化培地で培養した。培養21日後に0.3%オイルレッドO溶液で染色した。これにより、この滑膜由来幹細胞は、脂肪細胞にも分化することが分かった。
これにより、この滑膜由来幹細胞はコロニー形成能力を有し、軟骨細胞あるいは脂肪細胞に分化する多分化能を有していることが分かった。また、以下の分析により、骨芽細胞に分化する能力を有していることも分かった。
2回継代して増殖させた滑膜由来幹細胞を用いて、細胞表面抗原であるCD34,44,45,73,90,105を測定した。測定は、10万個の細胞を1000μLのFACSバッファ(PBSに0.2%のBSAと0.09%のアジ化ナトリウムを含む)で溶解し、400ng/mLの抗体を投与した。4℃で1時間反応させた後に、細胞をPBSで洗浄し、FACSバッファ1mLを加えて測定した。ベクトンディッキンソン社製FACSVerse(商標)を用いてフローサイトメトリで測定し、ベクトンディッキンソン社製FACSiteソフトウェアを用いてデータを分析した。
フローサイトメトリ分析の結果、図4に示されるように、CD44,CD73,CD90,CD105が多く、CD34,CD40は僅かであった。以上の分析結果から、ヒト滑膜由来幹細胞は、幹細胞としての特性および骨形成能力を有していることが明らかになった。
骨芽細胞への分化マスター遺伝子であるRunx2、オステオポンチン(Osteopontin)、タイプIコラーゲン(Type I Collagen)、オステオカルシン(Osteocalcin)、アルカリフォスファターゼ活性(Alkaline phosphatase Activity)は、図3(a)、(b)に示す通り、明らかに増大している。図中、「Undif」は骨分化をかけていない通常培地で培養した未分化の細胞を示し、「Calci」は骨分化培地で培養して骨分化した細胞を示している。
次に、MTT(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を用いて、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が細胞増殖に与える影響を評価した。
評価は、滑膜由来幹細胞を96ウェルプレートに5000個/cmで播種し、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒を0,0.01,0.1,1.0mg/mLの濃度となるようにCCMに投与して培養した。測定はβリン酸三カルシウム多孔体を投与した後の0日、2日、7日、14日および21日で行った。10μLのMTT溶液を各ウェルに加え、37℃、5%COで反応させ、4時間後に、100μLのジメチルスルホキシドを加えた。翌日マイクロプレート分光光度で560nmの吸光度を測定した。
その結果、図5に示されるように、培養2日後には、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度が1mg/mLのものは、0.01mg/mL、0.1mg/mLのものに比べ、死細胞の割合が多いことがわかった。また、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度は、細胞活性を維持するには1mg/mL以下であることが好ましいことがわかった。
次に、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒を接触させた場合と接触させない場合の両方で滑膜由来幹細胞を培養し、骨形成に関連した遺伝子の発現について測定した。
図6(a)に示されるように、滑膜由来幹細胞に、0,0.01,0.1,1.0mg/mLのβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を添加し、12ウェルプレートで培養した接触培養と、図6(b)に示されるように、直径0.4μmのトランスウェルを用いて細胞とβリン酸三カルシウム多孔体顆粒とが直接接触しないようにして培養した非接触培養の2条件で測定した。
培養21日後にウェルをMilliQで洗浄した後、2%のアリザリンレッド溶液(pH4.1)を加え2分間静置し染色した。立体顕微鏡によって染色されたウェルの写真を撮影し、ソフトウェアによってアリザリン染色陽性領域を測定した。接触培養では、投与したβリン酸三カルシウム多孔体顆粒自体の影響を除外するため、培養21日目のアリザリンレッド陽性領域の面積から、培養約3日目のアリザリンレッド染色領域の面積を引き、接触培養のアリザリンレッド陽性染色領域の面積とした。また比較のため、骨分化培地で21日培養したものもアリザリンレッド染色を行って面積を測定した。
また、培養21日後に滑膜由来幹細胞から、RNeasy Total RNA Mini Kit(Qiagen社製)を使用して、RNAを抽出した。cDNAはTranscriptor High Fidelity cDNA Synthesis Kit(ロシュダイアグノスティックス社製)を用いて作成した。逆転写(RT)は85℃5分、55℃30分で行った。RT−PCRはLightCycler480(ロシュダイアグノスティックス社製)に、FastStart TaqMan Probe MasterとTaqMan probe(ロシュダイアグノスティックス社製)を用いて行った。TaqMan probeはそれぞれ、Runx2、オステオポンチン、タイプIコラーゲン、オステオカルシンおよびβアクチンを使用して行った。初期の変性ステップ(10分間95℃)の後に、増幅は45サイクル(15秒間の95℃、60秒間の60℃で行った。mRNAはβ−リン酸三カルシウム0mg/mLに対して0.01,0.1mg/mLの相対的な量を計算した。
その結果、図7に示されるように、非接触培養では、滑膜由来幹細胞は、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度に関わらず、アリザリンレッドの染色や骨形成に関連する遺伝子の発現量には影響しなかった。接触培養では、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の濃度が0.1mg/mLでは、アリザリンレッドの染色エリアが増加し、図8(a)、(b)に示されるように、Runx2、オステオポンチン、タイプIコラーゲンの発現量が増加した。
これにより、本実施形態の骨形成促進剤に用いられている2.6μmをピークとする10μm以下の粒径分布を有するβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、滑膜由来幹細胞および血清を含む培地とが接触すると、培養2日目で滑膜由来幹細胞がβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を取り込み、骨形成のきっかけとなり、培養21日目には明白な骨形成を確認することができた。すなわち、本実施形態に係る骨形成促進剤は、患部に投与することにより、短期間で骨形成を促進して、患部を修復することができる。
次に、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒の導入後の滑膜由来幹細胞およびβリン酸三カルシウム多孔体顆粒の状態を顕微鏡写真によって示す。
滑膜由来幹細胞および血清を含む培地内に、0.1mg/mLの濃度となるようにβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を添加し、6ウェルプレートで接触培養を行い、培養開始から30分後、2日後、7日後および21日後の状態を光学顕微鏡によって撮影した。また、培養開始から7日後の滑膜由来幹細胞を90nmの超薄切片として電子顕微鏡で観察した。
βリン酸三カルシウム多孔体顆粒を取り込んだ滑膜由来幹細胞は、図9(a)〜(c)に示されるように、培養開始から7日後には細胞数が増加し、図9(d)に示されるように、21日後にはさらに増加して多層化したことが分かる。
また、培養開始から7日後の電子顕微鏡写真によれば、図10(a)、(b)に示されるように、βリン酸三カルシウム多孔体顆粒は滑膜由来幹細胞の細胞質内に位置し、粒径もより小さくなっていることが分かる。すなわち、この図によって、滑膜由来幹細胞は培養開始から7日後には骨分化を開始していることが明らかになった。
S1 顆粒採取ステップ
S2 混合ステップ
S11 粉砕ステップ
S12 分級ステップ

Claims (8)

  1. 粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞と、血清とを混合した混合物からなる骨形成促進剤。
  2. 前記混合物を所定期間にわたって培養してなる請求項1に記載の骨形成促進剤。
  3. 前記βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、βリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕し、生成されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を高速遠心による分級法を用いて分級して、2.6μmをピークとする粒径分布を有する請求項1または請求項2に記載の骨形成促進剤。
  4. βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、1mg/mL以下の濃度を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の骨形成促進剤。
  5. 粒径10μm以下のβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する顆粒採取ステップと、
    該顆粒採取ステップにおいて採取されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒と、血清と、ヒト滑膜から採取された滑膜由来幹細胞とを混合する混合ステップとを含む骨形成促進剤の製造方法。
  6. 前記混合ステップにおいて混合された混合物を所定期間にわたって培養する培養ステップを含む請求項5に記載の骨形成促進剤の製造方法。
  7. 前記顆粒採取ステップが、βリン酸三カルシウム多孔体ブロックを粉砕する粉砕ステップと、該粉砕ステップにおいて生成されたβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を高速遠心による分級法を用いて分級して2.6μmをピークとする粒径分布を有するβリン酸三カルシウム多孔体顆粒を採取する分級ステップとを含む請求項5または請求項6に記載の骨形成促進剤の製造方法。
  8. βリン酸三カルシウム多孔体顆粒が、1mg/mL以下の濃度を有する請求項5から請求項7のいずれかに記載の骨形成促進剤の製造方法。
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