JP2011110200A - 人工耳小骨 - Google Patents

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Abstract

【課題】鼓膜と内耳もしくは他の耳小骨とを連結する人工耳小骨であって、埋入後に定位置からのずれ、異物反応、または排除がなく、かつ鼓膜との生着性と修復性が良好な人工耳小骨の提供。
【解決手段】リン酸カルシウムなどのセラミックスを主成分とした複数の貫通孔を有するセラミックス成形体からなる人工耳小骨。この耳小骨は、前記貫通孔が鼓膜から内耳への方向一致するように配置される。その貫通孔3内にコラーゲンなどの充填材を配置することができ、さらにセラミックス成形体の端部には皮膜4を形成させることができる。皮膜の材質は充填材と同材質あるいは異材質でもよく、さらに皮膜および/または充填材中に骨形成因子が配合することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、損傷を受けた耳小骨連鎖と鼓膜を再建するための人工耳小骨に関するものである。
ヒトの中耳が疾患や外傷などにより中耳が損傷を受けた場合、人工耳小骨を用いて治療する方法が一般化されている。この方法において耳小骨を再建しようとする場合、細胞成分、または血管等が希薄であるという特異性のある中耳内に耳小骨組織を誘導しなければならない。そのため、人工耳小骨の材料としては従来は金属やプラスチックが用いられ、最近ではセラミックスが用いられるようになってきている。またその構造としては、たとえば両端が広がった鼓状、または鋭利な形状となっているものが用いられている。人工耳小骨が鼓状である場合、鼓膜と内耳もしくは他の耳小骨の間に設置された人工耳小骨が、接触する生体組織やほかの耳小骨と大きな接触面積で接触し、当初は摩擦力により固定される。また、人工耳小骨の両端が鋭利な形状である場合、鼓膜間に留置された軟骨等に突き刺さることによって固定される。
しかし、人工耳小骨はこれらの方法で固定されても、時として定位置からのずれが生じたり、配置された人工耳小骨が生体にとっては異物であるために中耳から排出されたりするなどの問題が起こることがあった。そこで、生体組織に接合する両端の部材の材質を生体親和性のあるものとしたり、あるいは両端の部材を多孔質材料としたりすることが知られている(特許文献1参照)。このように部材を多孔質材料とすることによって、細胞や生体組織等が孔内に進入して接合が強固となり、結果として定位置からのずれや排出が防止されることが期待される。
特開昭50−91989号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記のような方法を用いた場合であっても十分な性能は得られない場合があることがわかった。つまり部材として単に多孔質材料を用いた場合、部材中の気孔径のばらつきが大きいため、細胞等の進入が十分達成されないことがあり、人工耳小骨の定位置からのずれや排出を十分に防止することは難しいのである。さらには気孔径の調整は細胞等の進入を改善するのに有効と考えられるが、材料中の気孔径の制御は困難であり、これまでに十分な改善効果が達成できていない。
また、中耳の換気不全の治療のために、鼓膜に形成させた孔に中空のチューブを貫通させたまま留置し、外耳道と中耳を連絡させて換気させる方法(鼓膜チューブ挿入術)が採用されることがある。場合によっては、このような治療方法と人工耳小骨を用いた治療とを組み合わせる必要があるが、従来の人工耳小骨と鼓膜チューブを併用すると、鼓膜での伝音効率の低下が生じることがあった。さらにチューブの脱落防止のため、鼓膜の内外に位置する部分がチューブ本体より大きく作られることが一般的である。この結果、手術の難易性があがるうえに、チューブ抜去後の鼓膜穿孔の拡大が問題となることがあった。
本発明による人工耳小骨は、鼓膜と内耳とを連結する耳小骨の代用として埋入するためのものであって、前記耳小骨が内部に一定方向に伸びる貫通孔を複数有する、セラミックスからなる成形体であり、前記人工耳小骨が埋入される場合に前記貫通孔の方向が、鼓膜と内耳とを結ぶ方向に一致するように埋入されることを特徴とするものである。
また、本発明による人工耳小骨の製造方法は、
セラミックスを含む組成物を準備し、
前記組成物を用いて、成形加工により内部に一定方向に伸びる複数の貫通孔を有するセラミックス素材を作製し、
前記セラミックス素材を乾燥もしくは800℃以上の温度で焼成する
ことを含んでなることを特徴とするものである。
本発明による人工耳小骨は、セラミックスを主体とする成形体からなるので伝音効率が良く、高い強度をもつとともに生体親和性に優れている。さらに複数の貫通孔を一定の径とすることが容易であるために、鼓膜から内耳方向にむけて配置したときに、細胞などが進入、固着し易い。そのため、人工耳小骨と、鼓膜、内耳、または他の耳小骨との接合が強固となり、定位置からのずれが少なく、異物反応による排出もほとんど起こらない。これによって安定した治療が可能となる。
本発明の一実施態様である人工耳小骨を示す斜視図である。 本発明による人工耳小骨の断面図の例である。 本発明の他の実施態様である人工耳小骨を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明すると以下のとおりである。
図1は、本発明の一実施態様である人工耳小骨1を示す斜視図である。
本発明の人工耳小骨1は、例えば円柱状のセラミックス体2からなり、このセラミックス体2の一方向に、例えば図1では上下方向に、複数の貫通孔3が形成されている。その貫通孔の開口部がある一端、例えば図1に示された人工耳小骨の上部が鼓膜側に対応し、他端が内耳側に対応する。
本発明による人工耳小骨の外形形状は鼓膜と内耳もしくは他の耳小骨との間を物理的に連絡させる、またはさしわたせるものであればどのような形状でもよい。たとえば円柱状、三角柱状、四角柱状、六角柱状、円錐台状、鼓状など任意の形状とすることができる。しかしながら、製造のしやすさや取り扱い性の観点から、比較的均一な太さを有する柱状または棒状であることが好ましい。特に、略円形の形状である鼓膜との接合を考慮すると特に円柱状が好ましい。
本発明による人工耳小骨の大きさは、鼓膜欠損や耳小骨欠損の状態、適用する動物の種類などに応じて、設定される。例えば、中耳内の耳小骨の一部が残存している場合あるいはアブミ骨底板のみが残存している場合など、鼓膜と中耳内の欠損状態に応じて適宜設定する必要がある。このため、本発明による人工耳小骨の大きさは限定されるものではないが、ヒトの治療に柱状の人工耳小骨を用いる場合には、長さは一般に1.0〜10.0mm、好ましくは1.5〜3.0mmであり、断面の直径は一般に1.5〜5.0mm、好ましくは2.0〜3.0mmである。
本発明による人工耳小骨は、その内部を貫通する貫通孔が複数設けられている。例えば、図1に記載された人工耳小骨においては、セラミックス成形体2の上下方向に貫通孔が形成されているが、この方向は鼓膜から内耳への方向に対応する。すなわち、図1に記載された人工耳小骨は、上端または下端のいずれか一方が鼓膜側に、反対側の端部が内耳側に向くように埋入される。このように、貫通孔3を設けることで、中耳内の欠損部位に装填して鼓膜と接合させた場合に骨芽細胞や血管などが貫通孔3内に進入して、強固で安定した再建がなされるのである。貫通孔3の断面形状は任意であり、たとえば円形、楕円形、三角形、四角形など任意の形状とすることができる。しかし、細胞や血管等が貫通孔に進入して、貫通孔の内壁に均一に付着することにより、骨形成などにおいてほぼ同心円状に層生長させることができるので、特に円形であることが好ましい。
貫通孔3の孔径は、細胞、血管、骨などが十分に生成し、生長できる範囲であることが好ましく、使用条件に応じて適宜設定できる。具体的には、貫通孔の孔径は、10〜1000μmであることが好ましく、特には細胞進入に適切な径である200〜600μmの範囲がより好ましい。また、一般に単位面積あたりの貫通孔の数が多いほど接合効果は大きくなる傾向にあり、特には略ハニカム構造を有するものが好ましい。ここで、略ハニカム構造とは、完全なハニカム構造ばかりではなく、孔の断面が完全な六角形ではないもの、孔の断面が円形であるもの、孔の配置が完全に規則的ではないものなどを包含することを意味する。このような略ハニカム構造の断面の例は図2(a)〜(d)に示されるようなものが挙げられる。しかし、機械的強度や製造の容易性などの観点から、孔の配置の規則性の高いものが好ましく、最も好ましいのは完全なハニカム構造である。
人工耳小骨に設ける貫通孔の数は人工耳小骨の大きさや外形によっても変化するが、単位面積あたりの貫通孔の数は多い方が好ましい。このとき、特定された孔径範囲からはずれた貫通孔が存在しても良いが、貫通孔の大部分が特定された孔径範囲に含まれることが好ましい。単位面積あたりの貫通孔の数が多ければ、孔内に入る血管、細胞の総数が多くなり、骨形成がより改良される傾向があり、また貫通孔の孔径が特定された範囲内にあることで各貫通孔における骨形成が良好になるからである。仮に開口面積が同等になるような孔径の大きな貫通孔をひとつだけ設けても、各貫通孔における骨形成が悪くなってしまううえ、貫通孔内部の総表面積が少なくなるため、表面に形成される骨量も減少し、良好な骨形成が得られなくなってしまうことが多い。以上の理由により、特定された孔径範囲に含まれる孔径の貫通孔が多数形成されていることが好ましい。
また、貫通孔には骨芽細胞や血液などを進入させるのではなく、鼓膜チューブを設置するための開口として用いることもできる。一般的に臨床で用いられる一般的なチューブの太さ(外径)を考慮すると、鼓膜チューブを設置する貫通孔の孔径は500〜4000μmの範囲であることが好ましい。本発明による人工耳小骨は複数の貫通孔を有するが、孔径の異なったものを混在していてもよい。したがって、本発明による人工耳小骨には鼓膜チューブを設置するための貫通孔と、前記したような骨芽細胞や血液などを進入させるための貫通孔とが存在し、それぞれの口径が異なっていてもよい。
さらには、貫通孔のひとつを鼓膜チューブの代用とすることもできる。すなわち、貫通孔のひとつを換気に十分な大きさとし、内部に後述する充填材を配置しないことにより、貫通孔が換気用通路として機能する。この方法によれば、中耳腔換気と耳小骨再生を同時に行うことが可能となる。また、手術操作は簡易であり、さらに鼓膜穿孔が生じる可能性が低いという利点もある。
本発明における貫通孔は、従来の多孔質材料における気孔とは異なり、成形加工などにより形成させることができる。このため、孔径の制御が容易であり、さらには複数の貫通孔の孔径をそろえることも可能である。したがって、上記したような複数の貫通孔の孔径をそろえたり、換気用通路としてひとつの貫通孔だけを異なった孔径にすることなども容易である。
本発明による人工耳小骨の主材であるセラミックスとしては、金属の酸化物、珪化物、窒化物、弗化物、硼化物など種々のものを用いることができる。これらのうち、いずれを用いてもよいが、骨補填材や細胞培養担体などに用いられるセラミックスが好ましい。例えば酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、リン酸カルシウムなどが挙げられ、このうちリン酸カルシウム系セラミックが生体組織に近い特質を有することから好適である。より具体的には例えば第一リン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、ハイドロキシアパタイト、Ca不足ハイドロキシアパタイトなどが挙げられる。そして、この中でリン酸三カルシウムが好適で、さらにはβ−リン酸三カルシウム(以下、β−TCPということがある)が最も好ましい。β−リン酸三カルシウムは、ここに例示されたセラミックスの中でも特に生体内で溶解する性質が高く、生体親和性に特に優れ、また耳小骨組織誘導後は骨組織に置換して自身も骨化するので異物反応の問題も克服される。したがって、排出もなく定位置からのずれも生じにくいという優れた特徴を有するのである。
本発明による人工耳小骨において、セラミックス成形体は微小な空隙を含んでおり、その空隙の量が多いほど生体内での溶解性が高く、生体親和性も高い傾向にある。このため、空隙の量を示す気孔率は2%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい、また、気孔率が低いほど緻密となり、機械的強度が高く、伝音効率も改良される傾向にある。このため、気孔率は40%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
ここで、このようなセラミックス成形体の気孔率は、具体的にはアルキメデス法により測定することができる。すなわち、セラミックス成形体の乾燥質量W1、水中質量W2、および飽水質量W3を測定し、下記の式により求められる。
気孔率(%) = (W3−W1)/(W3−W2)×100
セラミックス成形体中の貫通孔内に骨芽細胞や血管などを進入させることを意図する場合、少なくともひとつの貫通孔の内部に適切な充填材を配置させることでさらに良好な組織再建効果が期待される。このような充填材としては、高分子化合物や抗菌効果を有する血液などが挙げられる。ここで好ましい高分子化合物は親水性ポリマーからなる高分子ハイドロゲルであり、このような高分子化合物は骨芽細胞や血管の生長を促進させるという特徴を有している。好ましい高分子化合物としては、具体的にはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク質およびその誘導体、アルギン酸、デンプン、デキストラン、プルランなどの多糖およびその誘導体、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸などのグリコサミノグルカン、キチン、キトサンなどの多糖類、ムコ多糖類などが挙げられ、これらを単独もしくは組み合わせて用いることができる。また血液は、炎症を防止するという点で好ましい。また、この充填材に炎症などの治療薬を配合することも可能である。
なお、前記したような鼓膜チューブを利用する場合には、それを配置する貫通孔には充填剤が配置されていないほうが取り扱い性の観点から有利である。また、鼓膜チューブが配置されていない貫通孔については、充填剤が配置された貫通孔の割合が多いことがこのましく、鼓膜チューブが配置されていない貫通孔のすべてに充填剤が配置されていることが好ましい。
図3は本発明の別の実施態様である人工耳小骨の断面図である。図3における人工耳小骨は、充填材により貫通孔内部が満たされており、さらに皮膜4によりセラミック成形体の一端が被覆されたものである。このように一端に適切な皮膜を設け、その部分を埋入の際に例えば鼓膜側に配置することにより、鼓膜との結合、すなわち異なる組織と接合または生着を可能とすることができるので好ましい。このような適切な皮膜の材料としては、前記した充填材と同じものを挙げることができる。
なお、皮膜を配置する場合には、貫通孔3内に、充填材5が配置されていたほうがより好ましい。このとき、充填材の材料は皮膜4と同じであっても、異っていてもよい。また、皮膜は異なった材料を用いて2層以上に積層することもできる。さらには、皮膜をセラミック成形体の両端に配置することもできる。
上記皮膜および/または充填材を用いる場合には、その材料中に、さらに骨形成因子を配合することが好ましい。骨形成因子により、細胞や骨などの生長にさらに好ましい効果を期待することができるためである。利用が可能な具体的な骨形成因子としては、たとえばBMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、BMP−3b、OP−2、OP−3、DPP、Vg−1、Vgr−1、60Aプロテイン、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、FGF、M−CSF、IL−10、IL−12、IL−17、IL−21などが用いられる。なかでもBMPが好ましく、特にはBMP−2が好適である。骨形成因子の配合量は、多いほうが骨形成促進効果が大きくなるので、皮膜および/または充填材に用いる材料の全質量に対し、一般に0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上である。また、骨形成因子の配合量が少ないほうが骨形成促進効果に対するコストの点で有利となるので、一般に1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下とされる。
本発明による人工耳小骨は任意の方法で製造することができるが、例えば、以下のような方法で製造することができる。まずセラミックなどの主材に必要に応じて樹脂などの結合材や水などの溶媒を加えた組成物を準備する。次いでその組成物を用いて、押出成形、射出成形、またはプレス成形などの成形加工により複数の貫通孔を有するセラミックス素材を作製する。得られたセラミックス素材を乾燥もしくは800℃以上の温度で焼成することによって、セラミックス成形体として人工耳小骨を得る。この後、必要に応じて貫通孔内に充填剤を配置したり、セラミックス成形体の端部に高分子化合物を含む皮膜を形成させることもできる。
ここで、セラミックス成形体を得るときの焼成温度は、前記した気孔率と密接に関係している。焼成温度と気孔率とは、ある一定の関係を有しており、前記した好ましい気孔率の範囲から、本発明の人工耳小骨を製造する場合には、セラミックス成形体を得るための焼成温度は800〜1500℃であることが好ましく、1150〜1400℃であることがより好ましい。
本発明を諸例を用いて説明すると以下のとおりである。なお、以下、特に断らない限り「部」は「質量部」を意味するものとする。
実施例1
主材としてβ−リン酸三カルシウム80部と結合材であるポリビニルアルコール20部とに水100部を加え、混練後に押出成形して、長さ2.5mm、外径2.0mmの円柱状で、孔径300μmの貫通孔を19個放射状に設けた略ハニカム構造の貫通孔を有するセラミックス素材を作製した。このセラミックス素材を酸素雰囲気中において1190℃で焼成し、孔径300μmの貫通孔を有するハニカム構造を有するβ−リン酸三カルシウムからなるセラミックス成形体とした。このセラミックス成形体の気孔率は23%であった。
次に、高分子化合物として骨形成因子であるrhBMP−2が配合されたコラーゲンのゲル水溶液を調製し、このゲル液を充填材として前記セラミックス体の孔内に充填し、さらに同じゲル液を用いてセラミックス体端部に皮膜を形成させて人工耳小骨とした。
この人工耳小骨をラットの中耳の骨欠損部と鼓膜の間に装填し、4週目に観察したところ、十分な骨形成がなされ、鼓膜とも生着していた。さらに、他の耳小骨と連鎖が保たれ、鼓膜欠損が修復し、人工耳小骨周囲は粘膜で覆われていた。また、異物反応や排出なども認められなかった。
以上のとおり、実施例1の人工耳小骨は、生体親和性に優れ、また形態を維持するのに十分な強度を有し、取扱性が容易であるなど、きわめて良好なものであることが確認された。
実施例2
実施例1に対して、充填材を配置しなかったほかは同様にして人工耳小骨を製造した。この人工耳小骨を実施例1と同様に評価した。
実施例3
実施例1に対して、皮膜を形成しなかったほかは同様にして人工耳小骨を製造した。この人工耳小骨を実施例1と同様に評価した。
いずれの実施例も、十分な骨形成および鼓膜との生着が認められ、人工耳小骨として機能しえることが確認された。しかし、実施例2は実施例1に対して、貫通孔内の骨形成が若干少ない傾向にあり、実施例3は実施例1に対して、人工耳小骨の生着が若干弱い傾向にあった。
実施例4
実施例1よりも少ない7個の貫通孔を放射状に設けたほかは、実施例1と同様にして実施例4の人工耳小骨を製造した。各貫通孔の孔径は実施例1と同じ300μmとした。この人工耳小骨を実施例1と同様に評価したところ、骨形成が認められ、鼓膜とも生着していることが確認された。しかし、表面における骨形成は実施例1に比較して少なかった。これは貫通孔の数が少ないため、孔内に入る血管、細胞の総数が少なくなり、かつ孔の内部の総表面積が少なくなるためと推定される。
比較例1
実施例1に対して、略ハニカム構造の貫通孔に代えて、孔径1000μmの貫通孔を1個設けた単穴構造としたほかは、実施例1と同様にして比較例1の人工耳小骨を製造した。この人工耳小骨を評価したところ、実施例1に比較すると骨形成の評価が良くない傾向となった。これは貫通孔の孔径が特定の範囲からはずれたために、貫通孔内部における骨形成性が悪く、また、貫通孔の数が少ないために内部の総表面積も少なくなるため、表面に形成される骨量の総量が減少するためと考えられる。
本発明の人工耳小骨は、血管の形成や細胞の増殖を促進し、かつ鼓膜という異なる組織との優れた生着性と修復性、他の耳小骨との物理的連絡構造を形成させることが可能であり、医療分野の要請に対して十分適用できるものである。
1 人工耳小骨
2 セラミックス成形体
3 貫通孔
4 皮膜
5 充填材

Claims (7)

  1. 鼓膜と内耳とを連結する耳小骨の代用として埋入するための人工耳小骨であって、前記耳小骨が内部に一定方向に伸びる貫通孔を複数有する、セラミックスからなる成形体であり、前記人工耳小骨が埋入される場合に前記貫通孔の方向が、鼓膜と内耳とを結ぶ方向に一致するように埋入されることを特徴とする、人工耳小骨。
  2. 略ハニカム構造を有する、請求項1に記載の人工耳小骨。
  3. 前記セラミックスの主成分がリン酸カルシウムである、請求項1または2に記載の人工耳小骨。
  4. 前記成形体の端部に皮膜が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の人工耳小骨。
  5. 前記皮膜が骨形成因子を含んでなる、請求項4に記載の人工耳小骨。
  6. 前記貫通孔内に充填材が配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工耳小骨。
  7. 前記充填材が骨形成因子を含んでなる、請求項6に記載の人工耳小骨。
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