JP2003054940A - メソ多孔体の製造法 - Google Patents

メソ多孔体の製造法

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JP2003054940A
JP2003054940A JP2001250968A JP2001250968A JP2003054940A JP 2003054940 A JP2003054940 A JP 2003054940A JP 2001250968 A JP2001250968 A JP 2001250968A JP 2001250968 A JP2001250968 A JP 2001250968A JP 2003054940 A JP2003054940 A JP 2003054940A
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mesoporous material
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Masayuki Shirai
誠之 白井
Masahiko Arai
正彦 荒井
Kazuo Torii
一雄 鳥居
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御された平均細孔径を有する耐熱性の高い
メソ多孔体を製造する。 【解決手段】 合成スメクタイトとカチオン性有機化合
物を複合させ、加熱処理によって多孔体を作成する方法
において、水熱条件を変化させることによって平均細孔
径を制御することを特徴とする耐熱性の高いメソ多孔体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はメソ多孔体の製造
方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は細孔径がメソポア領域で制御できる耐熱性のメソ多孔
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 2nm乃至50nmのメソポア領域の細孔
径を有する多孔体はビタミンや酵素などの生理活性物質
の分離や、合成化学における触媒などとして新たな利用
が図られている。しかしながら、従来の多孔体、例えば
ゼオライトでは最大で約0.9nmの細孔径のものしか得
られず、また、シリカゲル、γ−アルミナあるいは活性
炭はメソポア領域の細孔径も有する多孔体ではあるが、
細孔径が1nmから100nmという広範囲にわたってお
り、分離材や触媒に用いるには不適当であった。
【0003】 近年、層間架橋多孔体を触媒などに使用
する試みがなされ、このような層間架橋多孔体として、
例えば膨潤性の層状ケイ酸塩であるスメクタイト又は合
成のスメクタイト類似構造をもつ層状化合物の層間に、
アルミニウムヒドロキシドの多価カチオンを陽イオン交
換により導入したのち、加熱処理し、該アルミニウムヒ
ドロキシドを脱水してアルミナの柱とした比表面積22
8m/gをもつアルミナ架橋のスメクタイトが提案さ
れている[ Chem. Commun., 1074〜1076頁(1
986年)]。
【0004】 しかしながら、このようにして得られた
多孔体は、層間に導入するアルミニウムヒドロキシド溶
液の調製や、スメクタイトとアルミニウムヒドロキシド
とを反応させるのに長時間を要し、かつ合成操作が煩雑
であるため、良好な再現性が得られにくい上、その細孔
径がフォジャサイト型ゼオライトに近い約0.9nmであ
り、触媒や分離材としては用途が制限されるのを免れな
い。
【0005】 その他、比表面積が50m/g以上で
あるスメクタイト無機層間化合物とカチオン性有機化合
物を反応させ、得られた反応生成物を100〜1000
℃で加熱して得られる多孔質材料(特許公報(B2)平
4−17915号) が提案されているが、メソ多孔体
であるかどうかは不明である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、このよう
な従来の多孔体の製造方法の欠点を克服し、水熱合成ス
メクタイトから平均細孔径が制御されたメソ多孔体の製
造方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。本発明においては、これらの課題を長年鋭意検討を
重ねた結果、メソ領域の平均細孔径が制御されたメソ多
孔体の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明を解決するための手段】 すなわち、本発明は、
スメクタイトとカチオン性有機化合物を複合させ、次い
で反応生成物を100℃乃至1000℃で加熱処理する
方法において、水熱合成条件を変えることによって平均
細孔径を制御することを特徴とするメソ多孔体の製造方
法である。本発明を実施することで、種々の平均細孔径
を有するメソポア多孔体を製造することを可能にした。
【0008】 以下、本発明による、メソ多孔体の製造
方法について詳細に説明する。本発明において原料とす
るスメクタイトは水熱合成した3−八面体型スメクタイ
トである。
【0009】 3−八面体型スメクタイトは公知の物質
であり、次の式(1)〜(3)に示すヘクトライト、サ
ポナイト及びスチブンサイトに分類されている[ジー・
ダブリュウ・ブリンドレイ及びジー・ブラウン(G.W.Br
indley and G.Brown)編、ミネラロジカル・ソサイエテ
ィー・モノグラフ・ナンバー・ファイブ(Mineralogica
l Society Monograph No.5 )、第170ページ,ミネ
ラロジカル・ソサイエティー(Mineralogical Societ
y),1980年]。
【0010】
【化1】 ヘクトライト:( M+ ・nH2O) ( Mg 3-y Li y ) Si4O10(OH)2 (1)
【0011】
【化2】 サポナイト:( M+ x-y・nH2O) [Mg 3-y (Al, Fe)y] ] ( Si 4-x Al x)O10(OH)2 (2)
【0012】
【化3】 スチブンサイト:( M+ 2y・nH2O)(Mg 3-yy) Si4O10(OH)2 (3)
【0013】 [前記式(1)〜(3)において、M、□
及びnは、それぞれアルカリ金属,原子欠如及び層間の
水分子数を表している。] ヘクトライトは、八面体シート中の2価のマグネシウム
が、1価のリチウムと置換することによりケイ酸塩層に
陰電荷が発現し、スチブンサイトにおいては、マグネシ
ウムの一部が欠如することにより陰電荷が発現し、及び
サポナイトにおいては四面体シート中の4価のケイ素が
3価のアルミニウムと置換することによって陰電荷が発
現すると考えられている。これらのケイ酸塩層の陰電荷
を補うため層間にアルカリ金属など陽イオンが入り、構
造は電気的に中性となっている。また、式(1)におけ
るyの値は、通常0.2〜0.5であり、理想的な組成
では0.33とされており、また式(2)におけるyの
値は通常0付近であり、yの値が0の場合xの値は0.2
〜0.5、理想的な組成では0.33とされており、更
に、式(3)におけるyの値は、通常0.1〜0.3で
あり、理想的な組成では0.17とされている。
【0014】 これらのスメクタイトの水熱合成方法も
公知であり、ヘクトライトについては、特公昭61−1
2848号公報等、サポナイトについては、特公平6−
62290号公報等及びスチブンサイトについては、特
公昭63−6485号公報等を例示することができ、更
に、式(1)〜(3)の化合物の水酸基をフッ素で置換
した化合物も合成されている。これらのヘクトライト、
サポナイト及びスチブンサイトは、塗料、化粧品、医薬
品等に使用できることも知られている。
【0015】 前記式 (1)〜(3)において八面体
シート中のマグネシウムの代わりにCo、Ni、Fe、Zn、C
u、Mn、Pb、Cd等の2価重金属イオンから選んだ少なく
とも1個の重金属イオンと一部あるいは全てを置換した
重金属3−八面体型スメクタイトも合成でき、例えば特
許第1841413号、特許第1841414号等を例
示することができる。
【0016】 3−八面体型スメクタイトはX線回析法
によって同定することができる。d(06)の値は1.
51〜1.54Åの範囲であり、鉄が入った場合にd値
の値が更に大きくなる傾向が認められる。3−八面体型
スメクタイトは15Å付近にややシャープあるいはブロ
ードな(001)反射が認められる場合が多い。またh
k反射では(02,11)のピークが4.55Å付近
に、また(13,20)のピークが2.60Å付近に認
められる。
【0017】 通常の合成スメクタイトは水熱合成法に
よって製造される。スメクタイトは、酸及び/あるいは
アルカリを用いて、水ガラス、、Mg、Co、Ni等の2価金
属塩から調製したスメクタイト組成の含水酸化物をスラ
リーとし、オートクレーブに仕込み、通常は、100〜
300℃の温度、自成圧力下で1〜24時間合成され
る。
【0018】 通常、合成温度が高いほど、結晶性の良
いスメクタイトが得られやすく、比表面積が小さくなる
傾向が認められる。本発明の製造方法によれば、スラリ
pHが同じ場合、合成温度が高くなると製造されるメソ多
孔体の比表面積が小さくなり、平均細孔径が大きくなっ
ている場合が多い。本発明においては水熱合成温度は好
ましくは100℃以上であり、より好ましくは100℃
乃至400℃であり、及び最も好ましくは100℃乃至3
00℃である。
【0019】 本発明においては反応圧力は水熱合成温
度における自成圧力が通常用いられるが、加圧して行う
ことは一向にさしつかえない。
【0020】 本発明の水熱合成においては通常、含水
酸化物等原料固形物を分散させたスラリーが用いられる
が、合成pHが生成するスメクタイトの結晶性あるいは多
孔性に影響を与える。一般的には合成pHが高いほど、ス
メクタイトの結晶性が良くなり、比表面積は小さくな
る。本発明においては反応前のスラリーのpHは好ましく
は4〜14、より好ましくは5〜13、及び最も好まし
くは6〜13のpH範囲を選択できる。
【0021】 水熱合成においては反応時間は長くなる
ほどスメクタイトの結晶性が良くなる傾向が認められ
る。本発明では好ましくは0.1〜48時間、より好ま
しくは0.1〜24時間及び最も好ましくは0.1〜1
0時間の範囲で目的の水熱条件下における反応時間を選
択できる。
【0022】 本発明に用いられる水熱合成スメクタイ
トは市販製品でも用いることができラポナイト、ルーセ
ンタイト、スメクトン、チクソピー等の商品名を有する
合成ヘクトライト、合成スチブンサイト、合成サポナイ
トの市販製品を出発原料として使用できる。
【0023】 本発明に用いられるカチオン性有機化合
物は脂肪族および芳香族のアルキル基を有する第1級ア
ミン、第2級アミン、第3級アミン、第1級アンモニウ
ム塩、第2級アンモニウム塩、第3級アンモニウム塩、
第4級アンモニウム塩、金属イオン分析用発色試薬、色
素、染色剤などならびにそれらの混合物からなる群より
選択される。本発明においては1種類のカチオン性有機
物を使用できるが、2種類以上のカチオン性有機化合物
を混合して用いても良い。
【0024】 本発明に用いられるカチオン性有機化合
物として第四級アルキルアンモニウム化合物を良好に用
いることができる。第四級アルキルアンモニウム化合物
は原子団NH のHの全てあるいは一部を脂肪族およ
び/あるいは芳香族のアルキル基で置換した化合物で、
通常ハロゲン化物等の塩化合物を含み、R NX(Rは
脂肪族および/あるいは芳香族のアルキル基を表し、N
は窒素原子であり、及びXはハロゲンを示す)で示され
る。アルキル基としてメチル基、エチル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデ
シル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシ
ル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、フェ
ニル基等を含む第四級アルキルアンモニウム化合物を単
独にあるいは適宜混合して本発明に用いることが出来
る。ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ス
テアリルトリメチルアンモニウムクロライド、n-ドデシ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルア
ンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロ
ライド、テトラブチルアンモニウムクロライド等は本発
明に好適に用いられる。
【0025】 カチオン性有機化合物は製品として販売
されており、例えばARQUAD(アーカード)、ETHOQUAD
(エソカード)、DUOMEEN(デュオミン)、ETHOMEEN
(エソミン)等の商品名で販売されている。本発明では
ARQUAD―2HT,ARQUAD―2C、ARQUAD―S、ARQUAD―
CB、ARQUAD―18、ARQUAD―16、ARQUAD―12、ET
HOQUAD―C/12、ETHOQUAD―O/12、ETHOQUAD―1
8/12、ETHOQUAD―C/25、ETHOQUAD―O/25、
ETHOQUAD―18/25,DUOMEEN―C,DUOMEEN―S、DU
OMEEN―T、DUOMEEN―O、ETHOMEEN―C、ETHOMEEN―
S、ETHOMEEN―T、ETHOMEEN―18等を単独にあるいは
混合して適宜用いることができる。ARQUAD―2HT7
5,ARQUAD―2C75等は本発明に好適に用いられる。
【0026】 本発明の用いられるカチオン性有機化合
物の量はモル換算で合成スメクタイト中のSi=8とし
た場合、好ましくは0.1〜10の範囲であり、より好
ましくは0.1〜46の範囲であり、最も好ましくは
0.1〜5の範囲である。本発明のメソ多孔体では使用
するカチオン性有機化合物の量を多くするほど平均細孔
径が大きくなる傾向が認められる。
【0027】 合成スメクタイトとカチオン性有機化合
物は水溶液中で反応させ、複合化される。スメクタイト
製造時に得られる生成スラリーとカチオン性有機化合物
を反応させることもできる。また粉末状の合成スメクタ
イトを用いる時は、まず最初に1〜10wt%のスメクタ
イト分散水溶液を調製し、その中へカチオン性有機化合
物を添加し、特に加温する必要がない場合もあるが、通
常は加温して反応させる。反応温度は好ましくは30〜
100℃、より好ましくは40〜100℃及び最も好ま
しくは50〜100℃の温度範囲が選択される。反応時
間は好ましくは5分〜24時間、より好ましくは10分
〜10時間及び最も好ましくは20分〜5時間の範囲が
選択される。
【0028】 本発明においてスメクタイトは単独の水
熱条件で得られたものを用いることが多いが、異なった
条件で得られた試料を混合して用いることもできる。例
えば、2種類の試料を用いた場合に得られるメソ多孔体
の平均細孔径は単独に使用して得られる2つのメソ多孔
体の平均細孔径の間になること場合が多い。混合割合は
適宜如何様にも選択できる。目的に応じて水熱合成条件
の異なる3種以上の試料を用いることもできる。
【0029】 使用するスメクタイトは重金属など化学
組成の異なる試料を混合することもでき、触媒活性等の
目的に対応したメソ多孔体を設計できる。また、構造の
異なるスチブンサイト、ヘクトライトあるいはサポナイ
トを混合して用いても良い。
【0030】 本発明で製造されるメソ多孔体の平均細
孔径は好ましくは2nm乃至30nm、より好ましくは2nm
乃至20nm、及び最も好ましくは2nm乃至15nmの範囲
で選択できる。また本発明で製造されるメソ多孔体の平
比表面積は好ましくは100m/g乃至1000m
/g、より好ましくは200m/g乃至1000m
g、及び最も好ましくは200m/g乃至900m
gの範囲で選択できる。更に本発明で製造されるメソ多
孔体の細孔容積は好ましくは0.1ml/g乃至2ml/g、
より好ましくは0.1ml/g乃至1.5ml/g、及び最も
好ましくは0.2ml/g乃至1.5ml/gの範囲で選択で
きる。
【0031】 カチオン性有機反応化合物はスメクタイ
トの層間に導入されて複合化されると考えられる。スメ
クタイトは層電荷を有しており、層構造中に陰電荷が存
在してマイナスに帯電しており、電気的中性を保つため
アルカリ陽イオンが層間に存在している。層電荷は理想
構造のスメクタイトではSi=8に対して0.67とされ
ているが、通常の合成スメクタイトでは0.1〜1.0
の値であると考えられる。従って1.0程度のカチオン
性有機化合物はイオン交換で複合化され、層間を広げて
いると考えられる。原料中に含有されているナトリウ
ム、カリウム等の交換性陽イオンはカチオン性有機化合
物の使用量がイオン交換容量より多い場合、ほぼ完全に
イオン交換によって除去されるが、イオン交換の割合は
使用するカチオン性有機化合物の量によって規定され、
化学分析によって確認できる。陽イオン交換容量は例え
ばメチレンブルー吸着測定によって求めることができ
る。本発明では例えば0.1〜10のカチオン性有機化
合物が使用可能であるが、スメクタイトの層電荷量すな
わち陽イオン交換容量より大きい値のカチオン性有機化
合物は陰イオンが結合した中性塩の形で層間に導入され
ていると考えられる。本発明においてはカチオン性有機
化合物と共に、中性有機化合物やアニオン性有機化合物
を一緒に用いることもできる。
【0032】 合成スメクタイトとカチオン性有機化合
物の複合生成物を取り出し、好ましくは100℃〜10
00℃、より好ましくは300℃〜1000℃、及び最
も好ましくは400℃〜900℃の温度で加熱処理する
ことにより最終製品が得られる。加熱処理する前に反応
生成物をあらかじめ乾燥する必要はないが、乾燥するこ
とは一向にさしつかえない。加熱時間は30分〜2時間
程度で十分あるが、より長時間加熱処理するのは一向に
差し支えない。加熱処理は通常空気雰囲気中で実施され
ることが多いが、酸素、窒素、アルゴンガス雰囲気下で
処理しても良い。前記のガスや空気を流通させて加熱処
理しても良い。乾燥後、微粉末とし、用途に応じた成形
体にして加熱処理することもできる。また、用途によっ
ては反応生成物を直接成形した後、加熱処理してメソ多
孔体とすることもできる。あるいは加熱して、メソ多孔
体とした後、粉砕、整粒、成形して最終製品とすること
もできる。
【0033】 本発明ではカチオン性有機化合物の代り
にアンモニウム塩を用いることができる。この場合、製
造できるメソ多孔体の平均細孔径はカチオン性有機化合
物を用いた場合より小さくなる傾向が認められる。アン
モニウム塩として塩化アンモニウム、アンモニア水、水
酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウ
ム等を単独にあるいは混合して使用することができる。
【0034】 本発明を実施することによって製造した
メソ多孔体はX線粉末回折、示差熱分析、赤外線スペク
トル、化学分析、比表面積測定、細孔分布測定などによ
って評価することができる。本発明のメソ多孔体はCu−
Kα線を用いた場合の回折角(2θ)が(hk) 反射の
(06, 33)について通常60.5度から62.5度
の間に現れ、スメクタイト類似構造の化合物を含有して
いると考えられる。しかしながら、出発原料である合成
スメクタイトで認められた15Å付近の(001)反射
はメソ多孔体ではほとんど認められなくなる。本発明製
品の比表面積を測定した場合、出発原料とした合成スメ
クタイトの比表面積の値よりも増大し、インタカレート
させるカチオン性有機化合物の種類およびその量にもよ
るが一般にはその増大は2〜100倍程度に達し、60
0度加熱処理で通常200〜1000m/gの極めて大
きい比表面積を示し、出発原料として用いたスメクタイ
トより耐熱性が高くなることが認められる。
【0035】
【実施例】 以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明する。しかしながら本実施例は本発明を具体的に説明
したものであり、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0036】
【実施例1】 1リットルのビーカーに、水200mlを
入れ、3号水ガラス(SiO=29.04wt%、Na
O=9.40wt%、SiO/NaOモル比=3.
19)90gを溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液1
20mlを加えてA液を得た。次に、水200mlに塩化コ
バルト六水和物特級試薬74.7gを加えたB液を調製
した。次いで、前記A液中にB液をかき混ぜながら5分
間で滴下し、さらに1時間かき混ぜた。得られた含水酸
化物である反応複合沈殿物を濾過し、十分に水洗いした
のち、3N水酸化ナトリウム水溶液36mlを加えてスラ
リー状として1リットル内容積のオートクレーブに移
し、0.59MPa、及び150℃で4時間反応させ
た。反応前後のpHは12.5から11.9に変化し
た。得られたスラリーに東京化成工業(株)社製ジステ
アリルジメチルアンモニウムクロライド(分子量58
7)をSi=8に対してモル換算で0.7の量を加えて
50℃に加温し、撹拌しながら16時間放置した。その
後、濾過し、60度の温水1〜2リットルで十分に洗浄
した。濾過後、マッフル炉で80℃、24時間乾燥し
た。本試料を電気炉中で600℃、2時間焼成し、本発
明製品を得た。80℃乾燥試料についてX線回折装置で
調べた所2.7nm付近に(001)反射ピークを有する
有機Co−スチブンサイト複合体が形成されているのが判
明した。またスメクタイト特有の(02,11)、(2
0,13)及び(06,33)のピークもそれぞれ4.
55Å、2.61Å及び1.52Å付近に認められてい
る。窒素吸着等温線(−196℃)から得られた本製品
の比表面積:807m/g、細孔容積:0.93ml/g
及び平均細孔径4.6nmのメソ多孔体が得られた。
【0037】
【比較例1】 実施例1と同様に操作して、水熱合成ス
ラリーを得た。冷却後、このスラリーを濾過して、反応
生成物を取り出し、80℃で乾燥した。14.3Å付近
に(001)反射ピークを有しており、スメクタイトと
同様なパターンを示し、(02,11)、(20,1
3)及び(06,33)のピークがそれぞれ4.55
Å、2.61Å及び1.52Å付近に認められた。蛍光
X線法による化学組成は Si−Co−Na=8−5.97−
0.53であり、化学組成およびX線回折の結果からCo
−スチブンサイトであると考えられる。メチレンブルー
吸着量から求めた陽イオン交換容量は0.66当量/g
であった。本試料を800℃で2時間焼成して本製品を
得た。窒素吸着等温線から求めた比表面積は2.6m
/gであった。
【0038】
【実施例2】 実施例1と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、水熱合成条件を4.12MPaおよび250
℃とし、反応前後のpHは12.5から12.2に変化し
た。窒素吸着等温線から得られた本製品の比表面積:3
40m/g、細孔容積0.58ml/g及び平均細孔径
6.8nmであり、実施例1より大きいメソ多孔体が得ら
れた。
【0039】
【実施例3】 実施例1と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、スラリーを調製する際、3N水酸化ナトリ
ウム水溶液の代わりに水40mlを加えてスラリーとし
た。反応前後のpHは6.7から6.3へ変化した。窒素
吸着等温線から得られた本製品の比表面積:519m
/g、細孔容積:1.14ml/g及び平均細孔径:8.8
nmのメソ多孔体が得られた。
【0040】
【実施例4】 実施例1と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、スラリーを調製する際、3N水酸化ナトリ
ウム水溶液36mlの代わりに32mlを加えてスラリーと
した。反応前後のpHは11.9から11.4へ変化し
た。更にジステアリエウジメチルアンモニウムクロラド
をSi=8に対してモル換算で2.1の量を使用した。
窒素吸着等温線から得られた本製品の比表面積:482
m/g、細孔容積:0.89ml/g及び平均細孔径:
7.4nmのメソ多孔体が得られた。
【0041】
【実施例5】 実施例4と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、水熱合成条件7.6MPaおよび290℃と
し、反応前後のpHは11.9から11.1に変化した。
窒素吸着等温線から得られた本製品の比表面積:232
m/g、細孔容積:0.69ml/g及び平均細孔径:1
1.9nmであるメソ多孔体が得られた。
【0042】
【実施例6】 実施例4および実施例5と同様な水熱合
成条件の操作で得られた2種類の合成スメクタイト試料
それぞれ等量を秤量し、それらを混合して出発原料スメ
クタイトとして用い、実施例1に従って発明製品を得
た。窒素吸着等温線から得られた比表面積:390m
/g、細孔容積:0.95ml/g及び平均細孔径:9.7
nmのメソ多孔体が得られた。本製品は実施例4と実施例
5の製品のほぼ中間の平均細孔径になっており、細孔容
積は単独の水熱条件で得られた製品より大きい値となっ
ていた。
【0043】
【比較例2】 実施例4および実施例5で得られた発明
製品をそれぞれ等量を秤量し、それらを物理的に混合し
たメソ多孔体を作製した。本製品の窒素吸着等温線から
得られた比表面積:357m/g、細孔容積:0.79
ml/g及び平均細孔径:7.9nmであり、実施例6とは
異なり、実施例4に近い平均細孔径を有したメソ多孔体
であった。
【0044】
【実施例7】 実施例1と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、カチオン性有機化合物の代わりに塩化アン
モニウム水溶液を用い、Si=8に対して2.1の量を
使用した。窒素吸着等温線から得られた本製品の比表面
積:391m/g、細孔容積:0.25ml/g及び平均
細孔径:2.6nmのメソ多孔体が得られた。
【0045】
【実施例8】 実施例7と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、水熱合成条件を圧力1.66MPaおよび
温度200℃とした。また塩化アンモニウムの代わりに
アンモニア水を用いた。窒素吸着等温線から得られた本
製品の比表面積:322m/g、細孔容積:0.26ml
/g及び平均細孔径:3.2nmのメソ多孔体が得られた
【0046】
【実施例9】 実施例7と同様に操作して発明製品を得
た。ただし、水熱合成条件を圧力4.12Mpaおよび温
度250℃とした。窒素吸着等温線から得られた本製品
の比表面積:205m/g、細孔容積:0.24ml/g
及び平均細孔径:4.7nmのメソ多孔体が得られた
【0047】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明は、スメクタ
イトとカチオン性有機化合物を複合させ、次いで反応生
成物を100℃乃至1000℃で加熱処理する方法にお
いて、スメクタイトの水熱合成条件を変えることによっ
て平均細孔径を制御することを特徴とするメソ多孔体の
製造方法に係り、(1)耐熱性の高いメソ多孔体が得ら
れる。(2)スメクタイトの水熱合成において、水熱合
成温度とスラリーのpHを変化させることによりメソ多孔
体の平均細孔径を制御できる。(3)水熱合成条件の異
なる2種以上のスメクタイトを組合せせることによりメ
ソ多孔体の平均細孔径を制御できる。(4)コバルト等
の2価重金属を構造中い含有させることができるため、
触媒、触媒担体、抗菌剤、吸着剤などとして有用である
等の格別の効果を奏する。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スメクタイトとカチオン性有機化合物を
    複合させ、次いで反応生成物を100℃乃至1000℃
    で加熱処理する方法において、スメクタイトの水熱合成
    条件を変えることによって平均細孔径を制御することを
    特徴とするメソ多孔体の製造方法。
  2. 【請求項2】 水熱合成条件において水熱合成温度を変
    化さすことを特徴とする請求項1のメソ多孔体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 水熱合成条件において原料スラリーのpH
    を変化さすことを特徴とする請求項1乃至2のメソ多孔
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 水熱合成条件の異なる合成法で得られ
    た、2種以上の合成スメクタイトを混合して用いること
    を特徴とする請求項1乃至3の製造方法。
  5. 【請求項5】 カチオン性有機合成化合物として第四級
    アルキルアンモニウム化合物を用いることを特徴とする
    請求項1乃至4の製造方法。
  6. 【請求項6】 カチオン性有機合成化合物としてジステ
    アリルジメチルアンモニウムクロライドを用いることを
    特徴とする請求項1乃至5の製造方法。
  7. 【請求項7】 スメクタイトとアンモニウム塩を複合さ
    せ、次いで反応生成物を100℃乃至1000℃で加熱
    処理する方法において、水熱合成条件を変えることによ
    って平均細孔径を制御することを特徴とするメソ多孔体
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 アンモニウム塩が塩化アンモニウム及び
    /あるいはアンモニア水であることを特徴とする請求項
    7の製造方法。
  9. 【請求項9】 スメクタイトとして3−八面体型スメク
    タイトを用いることを特徴とする請求項1乃至8の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 平均細孔径が2〜20nmであることを
    特徴とする請求項1乃至9の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009242617A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Akebono Brake Ind Co Ltd 多孔質フィラーの製造方法および多孔質フィラー

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