JP2003054343A - 車両用ヘッドレスト装置 - Google Patents

車両用ヘッドレスト装置

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JP2003054343A
JP2003054343A JP2001245816A JP2001245816A JP2003054343A JP 2003054343 A JP2003054343 A JP 2003054343A JP 2001245816 A JP2001245816 A JP 2001245816A JP 2001245816 A JP2001245816 A JP 2001245816A JP 2003054343 A JP2003054343 A JP 2003054343A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の後面衝突を検知してヘッドレスト本体
を車両前方に押し出すことにより、後面衝突時に着座乗
員の慣性力を利用すること無く、着座乗員の頭部を確実
かつ迅速に拘束する。 【解決手段】 車両の後面衝突時には、制御手段50に
よってロック手段40が解除されることにより、ヘッド
レスト本体10aを構成する左,右ヘッドレスト部材1
1,12が車両前方に回動し、それらの分割端部間に張
架された膜状体13が展開して該膜状体13によって着
座乗員の頭部を確実かつ迅速に拘束する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などの車両
に用いられる車両用ヘッドレスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の後面衝突時に着座乗員の頭部を保
護するようにした自動車のシートバックとしては、例え
ば特開平7−291005号公報に開示されるものがあ
る。
【0003】これは、車両の後面衝突時に、着座乗員に
作用する慣性による動的荷重をシートバックが受け、こ
れによって変位する部材の動きをヘッドレスト支持アー
ムに伝えて、ヘッドレスト本体を車両前方に移動し、も
って着座乗員の頭部が大きく後方移動するのを阻止でき
るようにしてある。
【0004】また、実開平6−59163号公報には、
車両の後面衝突時に、シートバックに内蔵したセンサー
が着座乗員の慣性力で強く押されることにより、ヘッド
レスト本体に内蔵したエアバッグを膨張させることによ
り、着座乗員のけい部とヘッドレスト本体との間に空間
が存在しても、頭部が後方に移動するのを防止できるよ
うにしたエアバック装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
シートバックは着座乗員の慣性力を利用してヘッドレス
トを作動させるものであって、乗員の車両後方への変位
が大きくなった時点で、始めてヘッドレスト本体が車両
前方に移動されるものであるため、衝突直後の変位量が
少ない時点ではヘッドレスト本体を十分に前方移動させ
ることができないという課題があった。
【0006】また、後者のエアバッグを用いたヘッドレ
ストでは、着座乗員の耳元でエアバッグを展開させる際
に爆発音が発生することになり、着座乗員の耳への負担
が大きくなる可能性がある。
【0007】そこで、本発明は車両の後面衝突を検知し
てヘッドレスト本体を車両前方に押し出すことにより、
後面衝突時に着座乗員の慣性力を利用すること無く、着
座乗員の頭部を確実かつ迅速に拘束することができる車
両用ヘッドレスト装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にあって
は、シートバックの上端部に、着座乗員の頭部を支持す
るヘッドレスト本体をステーを介して装着した車両用ヘ
ッドレスト装置において、前記ヘッドレスト本体は、左
右方向の略中央部で分割して、その分割端と反対側の端
部を前記ステーに対して回動可能に取り付けた左,右ヘ
ッドレスト部材と、前記左,右ヘッドレスト部材の分割
端部間に張架した膜状体と、前記左,右ヘッドレスト部
材をそれぞれ車両前方に回動付勢する回動付勢機構と、
前記左,右ヘッドレスト部材を前記回動付勢機構の付勢
力に抗して初期位置に保持するロック手段と、車両の後
面衝突を検知して前記ロック手段を解除する制御手段
と、を備えたことを特徴としている。
【0009】請求項2の発明にあっては、請求項1に記
載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動付勢機
構は、左,右ヘッドレスト部材をステーに対して上昇さ
せるリフト機構と、このリフト機構による上昇に伴って
左,右ヘッドレスト部材を車両前方に回動案内する回動
機構と、を備えたことを特徴としている。
【0010】請求項3の発明にあっては、請求項1,2
に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記左,右
ヘッドレスト部材間には、これら左,右ヘッドレスト部
材の初期位置で前記膜状体を格納しておく格納部分を設
けたことを特徴としている。
【0011】請求項4の発明にあっては、請求項3に記
載の車両用ヘッドレスト装置において、前記格納部分に
は、膜状体を折り畳んで収納したことを特徴としてい
る。
【0012】請求項5の発明にあっては、請求項2〜4
に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動機
構は、左,右ヘッドレスト部材に車両後方への押圧力が
付加されることにより、これら左,右ヘッドレスト部材
を前記ステー側に固定する固定機構を備えたことを特徴
としている。
【0013】請求項6の発明にあっては、請求項5に記
載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動機構
は、左,右ヘッドレスト部材と前記固定機構との間に相
対回動を許容する相対回動部分を設け、この相対回動部
分に左,右ヘッドレスト部材を車両前方に押圧する付勢
手段を設けたことを特徴としている。
【0014】請求項7の発明にあっては、請求項2〜6
に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動機
構は、リフト機構による左,右ヘッドレスト部材の上昇
量に対して、これら左,右ヘッドレスト部材の回動量を
任意に調整する調整機構を備えたことを特徴としてい
る。
【0015】請求項8の発明にあっては、請求項7に記
載の車両用ヘッドレスト装置において、前記調整機構
は、左,右ヘッドレスト部材側またはステー側の一方に
設けられ、上方に向かって左,右ヘッドレスト部材を車
両前方に回動案内する方向に傾斜する螺旋溝を備え、こ
の螺旋溝に、左,右ヘッドレスト部材側またはステー側
の他方に設けられる係合子を摺動自在に係合したことを
特徴としている。
【0016】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ヘッド
レスト本体の左,右ヘッドレスト部材は、ロック手段に
よって初期位置に保持された状態で、回動付勢機構によ
り車両前方に回動付勢されており、車両の後面衝突時に
は、制御手段によって前記ロック手段が解除されること
により、前記左,右ヘッドレスト部材は車両前方に回動
する。すると、これら左,右ヘッドレスト部材の分割端
部は車両前方に押し出された状態となり、該分割端部間
に張架された膜状体が展開して該膜状体によって、着座
乗員の頭部を拘束することができる。
【0017】従って、ヘッドレスト本体を全体的に押し
出す場合に比較して、頭部拘束部分つまり膜状体の確実
かつ迅速な押し出しが可能となる。このため、乗員頭部
のいち早い拘束が可能となり、性能をより高めることが
できる。
【0018】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の発明の効果に加えて、後面衝突時に、左,右ヘッドレ
スト部材はリフト機構による上昇と回動機構による車両
前方への回動とが同時に行われるため、結果的に左,右
ヘッドレスト部材は上方に押し上げられつつ、車両前方
に押し開かれることになる。このため、後面衝突時に着
座乗員の胴体部分がシートバックに沿って持ち上げられ
た際に、乗員の後頭部が張架された膜状体の上に乗り上
げるのを防止して、頭部の拘束を確実に行うことができ
る。
【0019】請求項3に記載の発明によれば、請求項
1,2の発明の効果に加えて、左,右ヘッドレスト部材
が車両前方に回動されることに伴って膜状体は格納部分
から繰り出されて、着座乗員の頭部を拘束することがで
きる。従って、左,右ヘッドレスト部材が初期位置にあ
るときに膜状体は格納部分に格納された状態にあるた
め、膜状体をコンパクトに格納して外観およびヘッドレ
スト機能を向上することができる。
【0020】請求項4に記載の発明によれば、請求項3
の発明の効果に加えて、前記格納部分に膜状体が折り畳
まれて収納されるため、膜状体の格納形態をよりコンパ
クトにできるとともに、膜状体の展開をスムーズに行わ
せることができる。
【0021】請求項5に記載の発明によれば、請求項2
〜4の発明の効果に加えて、車両前方に回動される左,
右ヘッドレスト部材に着座乗員の頭部が干渉すると、こ
の時点で左,右ヘッドレスト部材には車両後方への押圧
力が付加されることになって、固定機構により左,右ヘ
ッドレスト部材をステー側に固定することができる。こ
れによって、左,右ヘッドレスト部材で乗員の頭部を前
方に押し戻すのを防止できるとともに、逆に左,右ヘッ
ドレスト部材が頭部によって後方へ押動されるのを防止
することができる。
【0022】請求項6に記載の発明によれば、請求項5
の発明の効果に加えて、左,右ヘッドレスト部材が車両
前方に回動される途中で着座乗員の頭部が干渉した際
に、これら左,右ヘッドレスト部材は付勢手段の付勢力
に抗して車両後方に若干押動されるが、このときの付勢
力がクッションとなって頭部に衝撃を与えるのを緩和す
ることができる。
【0023】請求項7に記載の発明によれば、請求項2
〜6の発明に加えて、リフト機構と調整機構との協働に
より左,右ヘッドレスト部材の上昇量に対する回動量を
任意に調整できるため、膜状体の面軌跡を、後面衝突時
に後方移動する着座乗員の頭部位置に適切に合わせて調
整することが可能となり、乗員の頭部をより確実に拘束
することができる。
【0024】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
の発明の効果に加えて、左,右ヘッドレスト部材の上昇
に伴って係合子が螺旋溝に沿って移動して、これら左,
右ヘッドレスト部材が前方に回動される。このときの螺
旋溝の傾斜角によって左,右ヘッドレスト部材の上昇量
に対する回動量を簡単に調整することができる。また、
係合子が螺旋溝を移動することにより左,右ヘッドレス
ト部材が開閉される構造であるため、左,右ヘッドレス
ト部材を押し下げることにより、係合子は螺旋溝内を逆
に移動して左,右ヘッドレスト部材を閉じることができ
る。つまり、螺旋溝と係合子とは可逆式構造を構成し、
一度の後面衝突に限らず左,右ヘッドレスト部材を何回
でも使用できるため、結果的に安価な車両用ヘッドレス
ト装置を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と
共に詳述する。尚、以下、各実施形態を説明するにあた
って、前方とは車両前方を、後方とは車両後方を意味
し、また、左右方向とは車両幅方向を意味するものとす
る。
【0026】(第1実施形態)図1から図16は本発明
にかかる車両用ヘッドレスト装置の第1実施形態を示
し、図1はヘッドレスト装置の作動前の状態を示す透視
斜視図、図2はヘッドレスト装置の作動状態を示す透視
斜視図、図3はヘッドレスト装置を装着したシートの全
体斜視図、図4はヘッドレスト装置の内部構造を示す拡
大斜視図、図5はロック手段による係止状態を示すヘッ
ドレスト本体の要部斜視図、図6はロック手段の解除状
態を示すヘッドレスト本体の要部斜視図、図7はロック
手段の斜視図、図8はロック手段の断面図、図9は制御
手段の作動システムの説明図、図10は固定機構の背面
斜視図、図11は固定機構の要部断面図、図12は固定
機構の作動状態を示す平面図、図13はヘッドレスト装
置の作動状態を(a)〜(c)によって順を追って示す
概略説明図、図14はロック手段の制御フローを示す説
明図、図15はロック手段を解除する領域を相対距離と
相対速度との関係で示す説明図、図16は従来と本実施
形態のヘッドレスト装置による頸部下モーメントの比較
特性図である。
【0027】本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10
は、図1〜4に示すように、乗員が着座する車両用シー
ト100のシートバック101の上端部に設けられ、着
座乗員の頭部を支持するヘッドレスト本体10aを1対
のステー20を介して上下位置調節可能に装着してあ
る。これらステー20は、シートバック101の上端部
に左右一対設けられた取付穴101aに高さ調整可能に
挿入支持される。
【0028】1対のステー20の中間部は、締付け固定
用のナット21を介してベースプレート22に結合され
ることにより、ステー20の上端部はこのベースプレー
ト22から上方に突出された構造となる。そして、この
ベースプレート22から突出されたステー20の突出端
部20aに、前記ヘッドレスト本体10aが取り付けら
れるようになっている。
【0029】<ヘッドレスト本体構造>ここで、本実施
形態では、前記ヘッドレスト本体10aを、左右方向の
略中央部で分割した左,右ヘッドレスト部材11,12
と、これら左,右ヘッドレスト部材11,12の分割端
部11a,12a間に張架された膜状体13とによって
構成してある。
【0030】左,右ヘッドレスト部材11,12は、分
割端部11a,12aとは反対側の端部11b,12b
が、回動付勢機構30を介して前記ステー20に対して
回動可能に取り付けられ、これら左,右ヘッドレスト部
材11,12をそれぞれ前方(図中手前側)に回動付勢
するようになっている。
【0031】前記左,右ヘッドレスト部材11,12
は、上,下の横アーム14,14aと、これら横アーム
14,14aの分割端部11a側および12a側をそれ
ぞれ結合する縦アーム15と、反対側端部11b側およ
び12b側をそれぞれ結合するアウタシリンダー16
と、によって略矩形状の骨格部分が形成される。この骨
格部分はクッションパッド10bによって覆われる。ま
た、前記膜状体13は所定長さ(例えば30cm)に形成
され、その両端部が左,右ヘッドレスト部材11,12
の縦アーム15間に取り付けられ、前記クッションパッ
ド10bの端末には膜状体13を挿通するための縦長の
開口10cが設けられる。
【0032】アウタシリンダー16は、前記ステー20
の突出端部20aの下部に固定状態で外嵌されるインナ
シリンダー17に回転自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合
され、このインナシリンダー17を中心として左,右ヘ
ッドレスト部材11,12は観音開き状に開閉可能とな
っている。左,右ヘッドレスト部材11,12は予め設
定した最大限の押し開き状態で、それぞれの縦アーム1
5が前方に突出されて左右方向に一定の間隔が設けら
れ、この一定の間隔が設けられた縦アーム15間で前記
膜状体13が緊張されるようになっている。
【0033】左,右ヘッドレスト部材11,12間に
は、これら左,右ヘッドレスト部材11,12の初期位
置、つまり図1,4に示すようにそれぞれの横アーム1
4,14および14a,14aが略一直線状に並んだ状
態で、左,右ヘッドレスト部材11,12間には前記膜
状体13を格納しておく格納部分18が設けられる。本
実施形態ではこの格納部分18に、膜状体13が蛇腹状
に折り畳まれて収納される。
【0034】前記ステー20の突出端部20aの上端部
には、図4に示すように、鍔状の端板17aが固定さ
れ、この端板17aの外周にアウタシリンダー16の上
端部が回転自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合されて、該
アウタシリンダー16の上端部が端板17aの外周によ
って支持されるようになっている。
【0035】<回動付勢機構>前記回動付勢機構30
は、左,右ヘッドレスト部材11,12をステー20に
対して上昇させるリフト機構31と、このリフト機構3
1による上昇に伴って左,右ヘッドレスト部材11,1
2を前方に回動案内する回動機構32とを備える。
【0036】前記リフト機構31は、図4に示すよう
に、インナシリンダー17の上端面と、アウタシリンダ
ー16の上側部内周に一体に形成されたリング状の縮径
部16aとの間に、スプリング33を縮設して構成され
る。このスプリング33と縮径部16aとの間には、滑
りを良くするためにワッシャ34が介装される。
【0037】従って、前記スプリング33によってアウ
タシリンダー16、つまり左,右ヘッドレスト部材1
1,12は常に上方に押し上げられる付勢力が与えられ
る。
【0038】前記回動機構32は、図4に示すように、
インナシリンダー17の外周に形成した螺旋溝32a
と、アウタシリンダー16に設けた係合子としてのボル
ト32bとによって構成される。螺旋溝32は、上方に
向かって左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回
動案内する方向に傾斜し、この螺旋溝32aにボルト3
2bが摺動自在に係合される。
【0039】従って、左,右ヘッドレスト部材11,1
2が前記リフト機構31のスプリング33によって上方
に持ち上げられると、回動機構32のボルト32bはイ
ンナシリンダー17の螺旋溝32aに沿って上昇するた
め、結果的にボルト32bと一体のアウタシリンダー1
6を図中手前側に、つまり左,右ヘッドレスト部材1
1,12を前方に押し開く方向に回動する。このため、
螺旋溝32aの溝形状、つまり傾斜角によって左,右ヘ
ッドレスト部材11,12の回動量を予め任意に設定し
ておくことができ、この螺旋溝32aを備えることによ
り、左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対す
る回動量を調整する調整機構67が構成される。
【0040】<ロック手段・制御手段>前記左,右ヘッ
ドレスト部材11,12の縦アーム15とベースプレー
ト22との間には、図5〜図8に示すように、前記回動
付勢機構30の付勢力に抗して左,右ヘッドレスト部材
11,12を初期位置に保持するロック手段40が設け
られるとともに、図9に示すように、自動車Mの後面衝
突を検知して前記ロック手段40を解除する制御手段5
0が設けられる。
【0041】ロック手段40は、図5〜図8に示すよう
に、左,右ヘッドレスト部材11,12の縦アーム15
の下端部15aをベースプレート22に挿入する係止穴
41と、該ベースプレート22に設けられてこれら縦ア
ーム15の下端部15aに形成したノッチ42に係脱自
在に係合するソレノイド機構43とで構成される。係止
穴41は、図5,図6に示すように、ベースプレート2
2の中央部に近接して1対形成される。
【0042】ソレノイド機構43は、図7,図8に示す
ように、ベースプレート22の内部に収納され、前記係
止穴41を挟んで前後方向片側に配置されるソレノイド
43aと、前後方向他側に配置されて前記ノッチ42に
係脱するロック爪43bと、で概ね構成される。
【0043】ソレノイド43aは、電流が印加されるこ
とにより突出するロッド43cを備え、このロッド43
cの先端部が前記ロック爪43bに連結されるととも
に、このロック爪43bはスプリング43dによって前
記ノッチ42への係合方向に常時付勢されている。
【0044】従って、非通電状態にある通常時は、左,
右ヘッドレスト部材11,12をスプリング33の上方
向への付勢力に抗して押し下げて、縦アーム15の下端
部15aを係止穴41に挿入することにより、その下端
面でロック爪43bを一旦押し込んだ後、ノッチ42が
位置した時点でこれにロック爪43bが係合してロック
するようになっている。
【0045】制御手段50は、図9に示すように、自動
車Mの後面に設けて後方車両mとの相対速度を音波など
を用いて検知するVセンサー51、車体Bに加わる加速
度を検知するGセンサー52、自動車Mのリアバンパー
に設けて後方車両mの接触圧を検知する圧力センサー5
3と、これら各センサーの信号を入力するコントローラ
54とで構成される。そして、このコントローラ54で
は前記センサー51,52,53の検出信号を基に後面
衝突を検出して前記ソレノイド43aに電流を印加し、
前記ロック手段40を解除するようになっている。尚、
Gセンサー52や圧力センサー53は実質的な衝突を検
知する手段であるが、これ以外にも図示は省略したがタ
ッチセンサーや歪ゲージなどを用いることができる。
【0046】<固定機構>また、本実施形態では前記回
動機構32に、左,右ヘッドレスト部材11,12に後
方への押圧力が付加されることにより、これら左,右ヘ
ッドレスト部材11,12をステー20側に固定する固
定機構60が設けられる。
【0047】図4,図10,図11に示すように、左,
右ヘッドレスト部材11,12の上,下の横アーム1
4,14aはアウタシリンダー16と分離してあり、分
離したこれら横アーム14,14aを、アウタシリンダ
ー16に結合したブラケット61にピン62を介して前
後方向に回動自在に連結して、相対回転部分が設けられ
る。
【0048】そして、下方の横アーム14aの分離側端
部に、アウタシリンダー16の略センター部分まで突出
する係合部材63がボルト64固定される。アウタシリ
ンダー16にはこの係合部材63の爪63aが挿通する
窓部16bが形成される。
【0049】一方、インナシリンダー17の外周の前記
窓部16bに対応する部分に、前記係合部材63の爪6
1aが係合可能な複数の歯部を周方向に形成したラック
65が形成される。このラック65はインナシリンダー
17の全長に亘って形成される。
【0050】また、前記横アーム14,14aとアウタ
シリンダー16との間には、図10に示すように、付勢
手段としてのスプリング66が配置され、このスプリン
グ66によって横アーム14,14aを前方に押圧付勢
してある。このスプリング66は、ばね鋼で形成された
線材を略矩形状に形作り、その1対の対向辺をく字状に
折曲して形成される。
【0051】そして、スプリング66は、そのく字状の
折曲部分66aを前記ピン62の前方側に係止して支点
とし、一端部66bを横アーム14,14aの後方側に
係止するとともに、他端部66cをアウタシリンダー1
6の後方側に係止し、これら両端部66b,66c間に
前方への付勢力を付加するようになっている。
【0052】従って、前記固定機構32は、スプリング
66の付勢力により、図12中破線に示すように、常時
は横アーム14,14aがピン62を中心として前方に
回動された状態にあって、係合部材63の爪63aはラ
ック65から離脱した状態にあり、アウタシリンダー1
6はインナシリンダー17に対して自由に回転できる状
態にある。尚、ピン62を中心とする横アーム14,1
4aの回動量は、図12に示すように、横アーム14,
14aの分離端に形成されたV字状凹部14bの両端角
部の一方が、アウタシリンダー16の外周に接触する僅
かの範囲として設定されている。
【0053】そして、着座乗員の頭部Hが左,右ヘッド
レスト部材11,12に触れるなどして、これら左,右
ヘッドレスト部材11,12に後方への押圧力が作用す
ると、横アーム14,14aはスプリング66の付勢力
に抗して後方に回動し、係合部材63の爪63aがラッ
ク65に係合する。すると、アウタシリンダー16はイ
ンナシリンダー17にロックされるようになっている。
【0054】(作用)以上の構成により本実施形態の車
両用ヘッドレスト装置10にあっては、図9に示すよう
に、車両Mが後方車両mによって後面衝突されると、こ
れをV,G,圧力センサー51,52,53や図外のタ
ッチセンサーおよび歪ゲージなどで検知して、コントロ
ーラ54からロック手段40のソレノイド43aに電流
を印加する。
【0055】即ち、前記コントローラ54による制御
は、例えば、図14に示すフローチャートに従って実行
される。まず、ステップS1によってイグニッションス
イッチのONによりヘッドレスト装置10を制御開始し
た時点では、ソレノイド43aに印加する電流(以下、
ソレノイド電流と称する)はOFFになっている。
【0056】この状態から次のステップS2では、Vセ
ンサー51の検知信号から後方車両mを検知するととも
に、同検知信号からステップS3で自車Mと後方車両m
との間の相対距離Sを算出するとともに、ステップS4
で両車M,mの相対速度ΔVを算出する。
【0057】そして、次のステップS5では、図15に
示す制御マップに基づいて、ステップS3,S4で求め
た相対距離Sおよび相対速度ΔVと、予め設定した相対
距離Scrおよび相対速度ΔVcrとの関係を算出する。そ
の結果、(S<Scr)と(V>Vcr)との両条件を満た
すときに、後方車両mが自車Mに後面衝突することを予
測し、ステップS6に進むとともに、それ以外の場合は
ステップS2にリターンされる。
【0058】ステップS6では、ロック手段40のソレ
ノイド43aに本来の電流値よりも小さな電流を印加
し、予めソレノイド43aの作動レスポンスをあげてお
く。
【0059】続いて、ステップS7では、Gセンサー5
2や圧力センサー53若しくはタッチセンサーや歪ゲー
ジのいずれか1つを用いて、車両Mが実際に後面衝突さ
れたことを検知し、次のステップS8で本来のソレノイ
ド電流(最大電流)をソレノイド43aに印加する。こ
れによってロック手段40が解除されることになる。
【0060】つまり、ロック手段40が解除されると、
ロック爪43bは縦アーム15のノッチ42から離脱
し、スプリング33の上方への付勢力により、縦アーム
15の下端部15aはベースプレート22の係止穴41
から抜け出る。
【0061】すると、左,右ヘッドレスト部材11,1
2は、図13(a)に示すように、初期位置にある状態
から前記スプリング33の上方付勢力により上昇しつ
つ、アウタシリンダー16はボルト32bがインナシリ
ンダー17の螺旋溝32aに沿って移動するため、左,
右ヘッドレスト部材11,12が、図13(b)に示す
ように前方に回動する。そして、アウタシリンダー16
が更に上昇すると、これの内側に形成した縮径部16a
が、ステー20の上端部に設けた端板17aに当接する
ことによりアウタシリンダー16の上昇が停止され、こ
の状態が図13(c)に示す最大回動量となる。
【0062】従って、このように左,右ヘッドレスト部
材11,12が前方に回動することにより、両者の縦ア
ーム15間に取り付けられた膜状体13は格納部分18
から引き出され、図13(c)の最大回動量では膜状体
13は緊張状態となって展開される。つまり、この膜状
体13は、左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇お
よび回動により、上方かつ前方に押し出されることにな
り、後面衝突時の慣性力により着座乗員の頭部Hが後方
に大きく移動するのをいち早く受け止めて拘束すること
ができる。
【0063】ところで、本実施形態では車両Mの後面衝
突時に左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動
されて膜状体13を押し出すようになっているので、従
来のようにヘッドレスト本体を全体的に押し出す場合に
比較して、頭部拘束部分つまり膜状体13の確実かつ迅
速な押し出しが可能となる。このため、乗員頭部Hのい
ち早い拘束が可能となり、拘束性能をより高めることが
できる。
【0064】また、本実施形態は、従来のように着座乗
員の慣性による荷重変動を検知するものではなく、Vセ
ンサー51,Gセンサー52,圧力センサー53などに
よって車両Mの後面衝突を検知するため、着座乗員の体
重や着座姿勢に関係無く、確実かつ迅速にヘッドレスト
本体10aを作動させることができる。従って、シート
バック101には着座乗員の荷重変動を検知するための
機構が不要となるため、このシートバック101は幅寸
法や高さおよび形状などに制約されること無く、本来の
座り心地性を確保することができるとともに、シート1
00自体の軽量化を達成することができる。
【0065】更に、後面衝突時に、左,右ヘッドレスト
部材11,12は、リフト機構31による上昇と回動機
構32による前方への回動とが同時に行われるため、結
果的に左,右ヘッドレスト部材11,12は上方に押し
上げられつつ前方に押し開かれることになる。このた
め、後面衝突時に着座乗員の胴体部分がシートバック1
01に沿って持ち上げられた際に、乗員の後頭部が張架
された膜状体13の上に乗り上げるのを防止して、頭部
Hの拘束を確実に行うことができる。
【0066】更にまた、左,右ヘッドレスト部材11,
12が前方に回動されることに伴って膜状体13は格納
部分18から繰り出されて、着座乗員の頭部Hを拘束す
ることができる。従って、左,右ヘッドレスト部材1
1,12が初期位置にあるときに膜状体13は格納部分
18に格納された状態にあるため、膜状体13をコンパ
クトに格納して外観およびヘッドレスト機能を向上する
ことができる。
【0067】また、前記格納部分18に膜状体13が収
納される際に折り畳まれるため、膜状体13の格納形態
をよりコンパクトにするとともに、膜状体13の展開を
スムーズに行うことができ、ひいては頭部Hの拘束を迅
速に行って安全性を高めることができる。
【0068】ところで、本実施形態では係合部材63お
よびラック65からなる固定機構60を設けたので、前
方に回動される左,右ヘッドレスト部材11,12が着
座乗員の頭部Hに干渉すると、この時点で左,右ヘッド
レスト部材11,12には後方への押圧力が付加される
ことになって、固定機構60により、左,右ヘッドレス
ト部材11,12をステー20側に固定することができ
る。これによって、左,右ヘッドレスト部材11,12
が乗員の頭部Hを前方に押し戻すのを防止できるととも
に、逆に左,右ヘッドレスト部材11,12が頭部Hに
よって後方へ押動されるのを防止することができる。
【0069】また、前記固定機構60にスプリング66
を設けたので、左,右ヘッドレスト部材11,12が前
方に回動される途中で着座乗員の頭部Hに干渉した際
に、これら左,右ヘッドレスト部材11,12はスプリ
ング66の付勢力に抗して後方に若干押動されるが、こ
のときの付勢力がクッションとなって頭部Hに衝撃を与
えるのを緩和することができる。
【0070】更に、回動付勢機構30は、リフト機構3
1と調整機構67との協働により左,右ヘッドレスト部
材11,12の上昇量に対する回動量を任意に調整でき
るため、膜状体13の面軌跡を、後面衝突時に後方移動
する着座乗員の頭部H位置に合わせて任意に調整するこ
とが可能となり、頭部Hをより確実に拘束することがで
きる。
【0071】この調整機構67は螺旋溝32aとして構
成したので、該螺旋溝32aの傾斜角によって左,右ヘ
ッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を簡
単に調整することができる。
【0072】また、ボルト32bが螺旋溝32aを移動
することにより左,右ヘッドレスト部材11,12が開
閉される構造であるため、左,右ヘッドレスト部材1
1,12を押し下げることにより、ボルト32bは螺旋
溝32a内を逆(下方)に移動して左,右ヘッドレスト
部材11,12を閉じることができる。つまり、螺旋溝
32aとボルト32bとは可逆式構造を構成し、一度の
後面衝突に限らず左,右ヘッドレスト部材11,12を
戻すことにより何回でも使用できるため、結果的に安価
な車両用ヘッドレスト装置10を提供することができ
る。
【0073】図16は本実施形態の車両用ヘッドレスト
装置10を用いて実験した場合の比較特性図を示し、横
軸に時間、縦軸に着座乗員の頸部に作用するモーメント
(荷重)をとって表す。同図中、aは衝突対応構造を持
たない従来のヘッドレスト、つまりアクティブヘッドレ
スト構造を採らない場合、bは着座乗員の慣性による荷
重移動を利用して後面衝突を検知する従来のアクティブ
ヘッドレストの場合、cは本実施形態の車両用ヘッドレ
スト装置10の場合をそれぞれ示す。
【0074】即ち、この比較特性図から、bの従来のア
クティブヘッドレストは、aのアクティブヘッドレスト
無しの場合に比較して着座乗員の頭部保護に優れている
が、このbのアクティブヘッドレストよりも、cの本実
施形態の車両用ヘッドレスト装置10が、頭部との接触
時間が早く、かつ発生する最大頭部荷重を更に低減でき
ることが理解される。
【0075】(他の制御例)ところで、本実施形態では
前記コントローラ54は図14に示すフローチャートに
従って制御する場合を開示したが、このコントローラ5
4によるロック手段40の解除制御は、これに限ること
無く、例えば図17または図18に示すフローチャート
によって制御することができる。以下、図17および図
18のフローチャートを説明するが、前記図14のフロ
ーチャートと同一処理部分に同一ステップ番号を付加し
て、その説明を省略して述べる。
【0076】図17に示すフローチャートは、図14の
フローチャートに対してステップS6のソレノイドの作
動レスポンスを上げる制御と、ステップS7の車両Mが
実際に後面衝突されたことを検知する制御とを省略し、
ステップS5で後方車両mが自車Mに後面衝突すること
を予測した段階でステップS8に進んで、本来のソレノ
イド電流(最大電流)をソレノイド43aに印加するよ
うになっている。
【0077】従って、このフローチャートを用いて制御
した場合は、処理数の削減によって迅速な制御が可能に
なるとともに、ステップS5の後面衝突の予測でソレノ
イド電流を印加するため、後面衝突の直前で乗員の頭部
保護の態勢を現出することができ、また実際の後面衝突
を検知する各種センサーを廃止してコスト低減を図るこ
とができる。
【0078】一方、図18に示すフローチャートは、更
に制御を簡略化したもので、ステップS7で実際の後面
衝突を検知した後、ステップS8で正規のソレノイド電
流を印加するようになっている。
【0079】従って、このフローチャートでは制御がよ
り簡素化されるようになっており、コントローラ54の
構造を簡単にして安価にできる。
【0080】(第2実施形態)図19〜図22は本発明
の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部
分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
なお、図19は膜状体13の格納状態を示す正面図、図
20は膜状体13の展開状態を示す正面図、図21はロ
ック手段40のロック状態を示す平面図、図22はロッ
ク手段40のロック解除状態を示す平面図である。
【0081】この第2実施形態の車両用ヘッドレスト装
置10は、前記第1実施形態と同様にヘッドレスト本体
10aが左,右ヘッドレスト部材11,12によって構
成され、これら左,右ヘッドレスト部材11,12は分
割側端部11a,12aに縦アーム15が設けられる
が、本実施形態では反対側端部11b,12bにも縦ア
ーム19を設け、各左,右ヘッドレスト部材11,12
は、上,下横アーム14,14aおよび縦アーム15,
19によって矩形状の骨格構造が構成される。
【0082】そして、左,右ヘッドレスト部材11,1
2は、縦アーム19の中間部から外方に向けてそれぞれ
1本の連結アーム19aを一体に突設し、この連結アー
ム19aを介して左,右ヘッドレスト部材11,12は
アウタシリンダー16に取り付けられる。なお、連結ア
ーム19aは、前記第1実施形態と同様に固定機構60
では、アウタシリンダー16に対して前後方向に僅かな
相対回動が許容されるとともに、矩形状に折曲形成した
スプリング66を介して左,右ヘッドレスト部材11,
12を前方に回動付勢してある。
【0083】ところで、この第2実施形態のロック手段
40は、ソレノイド45を備えたリンク機構46を介し
てアウタシリンダー16の上昇および回動を直接ロック
するようになっている。
【0084】前記ソレノイド45は、図19,図21に
示すように、ベースプレート22の中央部に配置され、
このソレノイド45のロッド45aが前方に向かって配
置される。このロッド45aは、前記実施形態と同様に
電流が印加されることにより突出するように設定されて
いる。
【0085】前記リンク機構46は、ベースプレート2
2の長さ方向、つまり左右方向に沿って配置され、前記
ロッド45aの先端が後方側面に当接される中央リンク
46aと、ベースプレート22の長さ方向両端部に位置
して、このベースプレート22に形成された左右方向の
ガイド部22aで案内される端部リンク46b,46b
と、これら中央リンク46aおよび端部リンク46b,
46bを回動自在に連結する連結リンク46c,46c
と、を備えて構成される。
【0086】前記端部リンク46bはその中間部に設け
たガイドスリット46eと、これに係合したガイド部2
2aの突起22bとの間に設けたスプリング46dによ
って外方に押圧付勢されるとともに、この端部リンク4
6bの先端部は側面楔状に尖角形成されて、アウタシリ
ンダー16に形成された係止穴47に係脱される。
【0087】即ち、ソレノイド45が非通電でロッド4
5aが非突出状態にあるときは、図21に示すように、
スプリング46dの付勢力によりリンク機構46は全体
的に伸展されて略直線状となり、端部リンク46bの先
端部は係止穴47に係合される。この状態でアウタシリ
ンダー16は、上昇および回転が阻止され、ひいては、
左,右ヘッドレスト部材11,12は初期位置に保持さ
れる。尚、このソレノイド45の非通電状態では、連結
リンク46cの後方側近傍にストッパーピン48が設け
られ、連結リンク46cの逆折れが防止されるようにな
っている。
【0088】一方、ソレノイド45に電流が印加される
ことにより、図22に示すように、ロッド45aは突出
されて中央リンク46aを前方に変位させ、これによっ
て端部リンク46bはスプリング46dの付勢力に抗し
て内方に引き寄せられ、端部リンク46bの先端部は係
止穴47から離脱される。この状態でアウタシリンダー
16はリフト機構31により上昇し、かつ、回動機構3
2により前方に回動される。
【0089】従って、この実施形態にあっても前記実施
形態と同様に、ソレノイド45に図14または図17,
図18などに示した制御によって電流を印加することに
より、リンク機構46の端部リンク46bが図22に示
すように係止穴47から離脱してアウタシリンダー16
がフリーとなる。これによって、リフト機構31および
回動機構32が機能して、左,右ヘッドレスト部材1
1,12を上昇しつつ前方に回動し、膜状体13を前方
に向かって斜め上方に押し出すことができるため、前記
実施形態と同様の機能を発揮することができる。
【0090】(ヘッドレスト本体の他の実施形態)図2
3,図24はヘッドレスト本体の他の実施形態を示し、
前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複
する説明を省略して述べる。なお、図23はシートバッ
クに取り付けたヘッドレスト本体の正面図、図24はヘ
ッドレスト本体の要部を示す拡大正面図である。
【0091】即ち、この実施形態の車両用ヘッドレスト
装置10における、ヘッドレスト本体10aをシートバ
ック101に取付けるステー20は、ベースプレート2
2を境にして左右方向にオフセットし、図24に示すよ
うに、ベースプレート22に対して下方のステー20b
の間隔L1より上方のステー20cの間隔L2を大きく
することにより拡幅してある。
【0092】従って、この実施形態では上方のステー2
0cに取り付けられるアウタシリンダー16間の間隔を
大きくすることができるため、左,右ヘッドレスト部材
11,12の左右幅を大きくして大型化することができ
る。このため、左,右ヘッドレスト部材1,12が前方
に回動した状態では、膜状体13の前方押し出し量を増
大して、着座乗員の頭部をより早く拘束することができ
るとともに、展開した膜状体13の面積をより広くし
て、より確実に頭部を拘束することができる。
【0093】尚、この実施形態では下方のステー20b
と上方のステー20cとをベースプレート22を境に分
離して、図24に示すように、それぞれをナット23に
ねじ込み固定した場合を開示したが、これに限ることな
く図25に示すように、下方のステー20bと上方のス
テー20cとを連続させてベースプレート22を貫通
し、上方のステー20cをクランク状に折曲することに
より拡幅することもできる。
【0094】ところで、この実施形態では第1実施形態
のヘッドレスト本体10aに適用した場合を開示した
が、勿論、第2実施形態のヘッドレスト本体10aにこ
の実施形態を適用することもできる。
【0095】(回動機構の他の実施形態)図26は回動
機構の他の実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成
部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べ
る。なお、図26は回動機構を部分的に破断した要部拡
大斜視図である。
【0096】即ち、この実施形態の回動機構32は、螺
旋溝32aをアウタシリンダー16に形成するととも
に、前記螺旋溝32aに係合されるボルト32bをイン
ナシリンダー17に設けることにより構成してある。
【0097】この実施形態にあっても、前記実施形態と
同様にアウタシリンダー16が図外のリフト機構によっ
て上昇すると、インナシリンダー17に固定されたボル
ト32bに規制されて螺旋溝32aが移動するため、ア
ウタシリンダー16は上昇を伴いつつ回転される。尚、
図24はアウタシリンダー16の上昇終了状態を示す。
【0098】(回動付勢機構の他の実施形態)図27,
図28は回動付勢機構の他の実施形態を示し、前記各実
施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明
を省略して述べる。なお、図27は回動付勢機構の作動
前を示す要部断面斜視図、図28は回転付勢機構の作動
後を示す要部断面斜視図である。
【0099】即ち、この実施形態の回動付勢機構30の
リフト機構31は、前記各実施形態と同様に、インナシ
リンダー17の上端面とアウタシリンダー16の縮径部
16aとの間にスプリング33を縮設して構成される
が、回動機構32は、前記各実施形態とは異なり、図2
7,図28に示すように、回転ばね35を用いることに
よりアウタシリンダー16を回転させるようになってい
る。
【0100】前記回転ばね35は回転方向に付勢力を蓄
積できるばねで、渦巻きばねとして構成される。この回
転ばね35は、内径端部または外径端部の一方がステー
20側に軸方向の移動を許容しつつ係止されるととも
に、他方がアウタシリンダー16に係止される。そし
て、図27に示すように、左,右ヘッドレスト部材1
1,12の初期位置で、これら左,右ヘッドレスト部材
11,12を前方に回動する方向の付勢力を回転ばね3
5に与えておくことにより、前記各実施形態に示したロ
ック手段40がロック解除されることにより、図28に
示すように、アウタシリンダー16はスプリング33の
付勢力で上昇しつつ、回転ばね35の付勢力でアウタシ
リンダー16が回転される。
【0101】ところで、この実施形態では、図27に示
すように、ステー20の上端部に設けた端板17aの下
面に凹部17bを設けるとともに、前記縮径部16aの
上面に前記凹部17bに係合される凸部16cを形成
し、図28に示すように、アウタシリンダー16が上昇
完了し、かつ回転完了した時点で凸部16cが凹部17
bに係合して、アウタシリンダー16がインナシリンダ
ー17に固定されるようになっている。
【0102】従って、この実施形態では回転機構32が
回転ばね35によって構成されるため、前記各実施形態
に示した螺旋溝32aやボルト32bが不要となり、回
転機構32の構成を簡略化することができる。
【0103】ところで、本発明の車両用ヘッドレスト装
置10は、前記各実施形態に限ることなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置を示
す透視斜視図。
【図2】図11に示したヘッドレスト装置の作動状態を
示す透視斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置を装
着したシートの全体斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置の内
部構造を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるヘッドレスト本
体のロック手段による係止状態を示す要部斜視図であ
る。
【図6】図5に示したヘッドレスト本体のロック手段の
解除状態を示す要部斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるロック手段の斜
視図である。
【図8】図7に示したロック手段の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態における制御手段の作動
システムの説明図である。
【図10】本発明の第1実施形態における固定機構の背
面斜視図である。
【図11】図10に示した固定機構の要部断面図であ
る。
【図12】本発明の第1実施形態における固定機構の作
動状態を示す平面図である。
【図13】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置の
作動状態を(a)〜(c)によって順を追って示す概略
説明図である。
【図14】本発明の第1実施形態におけるロック手段の
制御フローの説明図である。
【図15】本発明の第1実施形態におけるロック手段を
解除する作動領域を示す説明図である。
【図16】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置に
よる頸部下モーメントの従来との比較特性図である。
【図17】本発明の第1実施形態に用いられるロック手
段の他の制御フローの説明図である。
【図18】本発明の第1実施形態に用いられるロック手
段の更に他の制御フローの説明図である。
【図19】本発明の第2実施形態のヘッドレスト装置の
膜状体が格納された状態を示す正面図である。
【図20】図19に示したヘッドレスト装置の膜状体が
展開された状態を示す正面図である。
【図21】本発明の第2実施形態におけるロック手段の
ロック状態を示す平面図である。
【図22】図21に示したロック手段のロック解除状態
を示す平面図である。
【図23】本発明におけるヘッドレスト本体の他の実施
形態を示す正面図である。
【図24】図23に示したヘッドレスト本体の要部の拡
大正面図である。
【図25】本発明におけるヘッドレスト本体の更に他の
実施形態を示す要部の拡大正面図である。
【図26】本発明における回動機構の他の実施形態を部
分的に破断して示す要部拡大斜視図である。
【図27】本発明における回動付勢機構の他の実施形態
を示す作動前の要部断面斜視図である。
【図28】図27に示した回転付勢機構の作動後の要部
断面斜視図である。
【符号の説明】
10 車両用ヘッドレスト装置 10a ヘッドレスト本体 11,12 左,右ヘッドレスト部材 13 膜状体 16 アウタシリンダー 17 インナシリンダー 18 格納部分 20 ステー 22 ベースプレート 30 回動付勢機構 31 リフト機構 32 回動機構 35 回転ばね 40 ロック手段 43 ソレノイド機構 50 制御手段 54 コントローラ 60 固定機構 100 シート 101 シートバック M 自車 m 後方車両
フロントページの続き Fターム(参考) 3B084 DA05 DB12 DB14 DC02 DD01 JA01 3B087 CD03 DC06 DC07 DE08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートバックの上端部に、着座乗員の頭
    部を支持するヘッドレスト本体をステーを介して装着し
    た車両用ヘッドレスト装置において、 前記ヘッドレスト本体は、左右方向の略中央部で分割し
    て、その分割端と反対側の端部を前記ステーに対して回
    動可能に取り付けた左,右ヘッドレスト部材と、 前記左,右ヘッドレスト部材の分割端部間に張架した膜
    状体と、 前記左,右ヘッドレスト部材をそれぞれ車両前方に回動
    付勢する回動付勢機構と、 前記左,右ヘッドレスト部材を前記回動付勢機構の付勢
    力に抗して初期位置に保持するロック手段と、 車両の後面衝突を検知して前記ロック手段を解除する制
    御手段と、 を備えたことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  2. 【請求項2】 前記回動付勢機構は、左,右ヘッドレス
    ト部材をステーに対して上昇させるリフト機構と、この
    リフト機構による上昇に伴って左,右ヘッドレスト部材
    を車両前方に回動案内する回動機構と、を備えたことを
    特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  3. 【請求項3】 前記左,右ヘッドレスト部材間には、こ
    れら左,右ヘッドレスト部材の初期位置で前記膜状体を
    格納しておく格納部分を設けたことを特徴とする請求項
    1または2に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  4. 【請求項4】 前記格納部分には、膜状体を折り畳んで
    収納したことを特徴とする請求項3に記載の車両用ヘッ
    ドレスト装置。
  5. 【請求項5】 前記回動機構は、左,右ヘッドレスト部
    材に車両後方への押圧力が付加されることにより、これ
    ら左,右ヘッドレスト部材を前記ステー側に固定する固
    定機構を備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか
    に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  6. 【請求項6】 前記回動機構は、左,右ヘッドレスト部
    材と前記固定機構との間に相対回動を許容する相対回動
    部分を設け、この相対回動部分に左,右ヘッドレスト部
    材を車両前方に押圧する付勢手段を設けたことを特徴と
    する請求項5に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  7. 【請求項7】 前記回動機構は、リフト機構による左,
    右ヘッドレスト部材の上昇量に対して、これら左,右ヘ
    ッドレスト部材の回動量を任意に調整する調整機構を備
    えたことを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の車
    両用ヘッドレスト装置。
  8. 【請求項8】 前記調整機構は、左,右ヘッドレスト部
    材側またはステー側の一方に設けられ、上方に向かって
    左,右ヘッドレスト部材を車両前方に回動案内する方向
    に傾斜する螺旋溝を備え、この螺旋溝に、左,右ヘッド
    レスト部材側またはステー側の他方に設けられる係合子
    を摺動自在に係合したことを特徴とする請求項7に記載
    の車両用ヘッドレスト装置。
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