JP2003051456A - Al含有化合物半導体層のエピタキシャル成長方法 - Google Patents

Al含有化合物半導体層のエピタキシャル成長方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機金属気相成長法により、高Al含有III
−V族化合物半導体層上に、Al組成が高Al含有化合
物半導体層より低い低Al含有III −V族化合物半導体
層をエピタキシャル成長させる際、高い不純物濃度を維
持しつつ、高Al含有化合物半導体層及び低Al含有化
合物半導体層内の酸素濃度を低減させるようなAl含有
化合物半導体層のエピタキシャル成長方法を提供する。 【解決手段】 高Al含有III −V族化合物半導体層を
成長させた後、低Al含有III −V族化合物半導体層の
成長に移行する際、III族原料ガスの供給を停止する成
長中断期間を10秒以上設け、且つ、成長中断期間中の
V族原料ガスの分圧を全圧の少なくとも1/1000以
上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Al含有III −V
族化合物半導体層、特にAlGaAsのエピタキシャル
成長方法に関し、更に詳細には、光データ伝送、光通信
等の分野の光源として広く使用されているGaAs系面
発光型半導体レーザ素子の多層膜反射鏡の作製に最適に
適用できる、AlGaAs等のエピタキシャル成長方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】面発光型半導体レーザ素子は、基板に対
して直交方向に光を出射させる半導体レーザ素子であっ
て、ファブリペロー共振器型半導体レーザ素子とは異な
り、同じ基板上に2次元アレイ状に多数の面発光型半導
体レーザ素子を配列することが可能なこともあって、近
年、データ通信分野の光源として注目されている半導体
レーザ素子である。
【0003】面発光型半導体レーザ素子は、GaAsや
InPといった半導体基板上に、GaAs基板であれ
ば、AlxGa(1-x)As/AlyGa(1-y)As等を用い
た対の半導体多層膜反射鏡を形成し、その対の反射鏡の
間に発光領域となる活性層を有する素子であり、基板と
垂直にレーザ光を放射するものである(ここでx、yは
GaAsおよびAlAsのモル組成比であり、0≦y<
x≦1である)。特に、GaAs系面発光型半導体レー
ザ素子は、GaAs基板上に形成でき、しかも、熱伝導
率が良好で、反射率の高いAlGaAs系DBRミラー
を用いることができるので、0.8μm〜1.0μm帯
のレーザ光を発光できるレーザ素子として有望視されて
いる。
【0004】通常、対の半導体多層膜反射鏡の一方は、
導電型をn型に、他方はp型にする。即ち、面発光型半
導体レーザ素子の主要部は、典型的には、図1に示すよ
うに、1対以上のp型AlxGa(1-x)As/AlyGa
(1-y)Asのペアで形成されるn型反射鏡と、活性層
と、1対以上のn型AlxGa(1-x)As/AlyGa
(1-y)Asのペアで形成されるp型反射鏡とからなる層
構造で構成される。
【0005】また、面発光型半導体レーザ素子の電流効
率を高め、閾値電流値を下げるために、注入電流領域を
狭窄する構造には、イオン打込みによるpn接合分離式
の電流狭窄構造と、選択酸化法によりAlAs層のAl
を選択的に酸化してAl酸化層に転化させた酸化層狭窄
型の電流狭窄構造とがある。酸化層狭窄型の電流狭窄構
造は、電流狭窄作用が確実で、しかも製作が比較的容易
であることから、面発光型半導体レーザ素子にも広く採
用されている。
【0006】ここで、図1を参照して、酸化層狭窄型の
GaAs系面発光型半導体レーザ素子の構成を説明す
る。図1は酸化層狭窄型のGaAs系面発光型半導体レ
ーザ素子の構成を示す斜視図、及び図2はp−下部DB
Rミラー、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、
及びn−上部DBRミラーの層構造を示す模式図であ
る。酸化層狭窄型の面発光型半導体レーザ素子10は、
図1に示すように、p−GaAs基板12上に、p−下
部DBRミラー14、活性層16、n−上部DBRミラ
ー18、及び膜厚10nmのn−GaAsコンタクト層
20の積層構造を備えている。
【0007】p−下部DBRミラー14は、図2に示す
ように、p型ドーピングしてなるp型Al0.2Ga0.8
s/Al0.9Ga0.1Asを30.5ペア積層した多層膜
反射鏡構造として構成されていて、また、p−下部DB
Rミラー14の最上層は、後述する電流狭窄構造を形成
するために、Al0.9Ga0.1Asではなく、膜厚50n
mのAlAs膜25となっている。活性層16は、膜厚
93nmのノンドープAl0.3Ga0.7As下部クラッド
層16aと、GaAs量子井戸発光層3層を含む、膜厚
7nmのGaAs/膜厚10nmのAl0.2Ga0.8As
との多重量子井戸構造16bと、膜厚93nmのノンド
ープAl0.3Ga0.7As上部クラッド層16cとから構
成されている。n−上部DBRミラー18は、n型ドー
ピングしてなるn型Al0.2Ga0.8As/Al0.9Ga
0.1Asを30ペア積層した多層膜反射鏡構造として構
成されている。
【0008】p−下部DBRミラー14及びn−上部D
BRミラー18を構成するAl0.9Ga0.1As膜とAl
0.2Ga0.8As膜とのペアの間、及びAl0.2Ga0.8
s膜とAl0.9Ga0.1As膜とのペアの間には、図2に
示すように、それぞれ、膜厚20nmの傾斜組成層(p
型AlzGa1-zAs(z:0.9→0.2、及び0.2
→0.9))が成膜されている。また、Al0.2Ga0.8
As膜及びAl0.9Ga0.1As膜の膜厚は、それぞれ、
40nm及び50nmの厚さである。n型の添加物はS
iやSe、p型の添加物はZnやCが用いられることが
多い。本例では、p型の添加物はC、及びn型の添加物
はSiである。
【0009】また、n−コンタクト層20、n−上部D
BRミラー18、活性層16、及びp−下部DBRミラ
ー14の上部層は、エッチング加工され、メサポスト2
2に成形されている。電流狭窄のため、p−下部DBR
ミラー14の最上層であるAlAs層25は、高温水蒸
気によってメサポスト22の周囲から選択的に酸化され
環状のAl酸化層24となっている。また、Al酸化層
24で囲まれた中央の未酸化のAlAs層25は、電流
注入口となっている。
【0010】メサポスト22の側壁及びp−下部DBR
ミラー14の下部層上には、SiN X パッシベーション
膜26が設けられ、更に、メサポスト22は、平坦化、
熱伝導の良好化、寄生容量の低減、高速動作性の向上等
のために、その周りがポリイミド層28で埋め込まれて
いる。メサポスト22の上部には、リング状のn側電極
30が、n−GaAsコンタクト層20と電気的に接続
するように設けられ、また、p−GaAs基板12の裏
面にはp側電極32が設けてある。
【0011】上述の面発光型半導体レーザ素子10を構
成する化合物半導体層をエピタキシャル成長させるに
は、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピ
タキシー法(MBE法)が適用される。ここで、図3か
ら図5を参照して、従来の面発光型半導体レーザ素子1
0の作製方法を説明する。図3(a)と(b)、図4
(c)と(d)、及び図5(e)と(f)は、それぞ
れ、従来の面発光型半導体レーザ素子10を作製する際
の工程毎の断面図である。先ず、p−GaAs基板12
に酸処理を施して、基板面を清浄化し、次いでMOCV
D装置に投入し、図3(a)に示すように、10kPa
の水素圧力下でp型ドーピングして、p−Al0.2Ga
0.8As/Al0.9Ga0.1Asを30.5ペア積層して
p−下部DBRミラーを形成する。尚、p−下部DBR
ミラー14の最上層には、Al0.9Ga0.1Asではな
く、膜厚50nmのAlAs膜25を成長させる。
【0012】続いて、層厚93nmのノンドープAl
0.3Ga0.7Asクラッド層16a、GaAs量子井戸発
光層3層を含む、膜厚7nmのGaAs/膜厚10nm
のAl 0.2Ga0.8Asとの多重量子井戸構造16b、及
び、膜厚93nmのノンドープAl0.3Ga0.7Asクラ
ッド層16cを成長させる。次いで、n型ドーピングし
たn−Al0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1Asを30
ペア積層してn−上部DBRミラー18を形成し、続い
てn−GaAsコンタクト層20を膜厚10nmだけ成
長させ、図3(a)に示すように、積層構造を形成す
る。
【0013】p−下部DBRミラー14及びn−上部D
BRミラー18を形成する際、Al 0.9Ga0.1As膜と
Al0.2Ga0.8As膜とのペアの間、及びAl0.2Ga
0.8As膜とAl0.9Ga0.1As膜とのペアの間には、
図2に示すように、それぞれ、膜厚20nmの傾斜組成
層(p型AlzGa1-zAs(z:0.9→0.2、及び
0.2→0.9))をエピタキシャル成長させる。ま
た、Al0.2Ga0.8As膜及びAl0.9Ga0.1As膜の
膜厚は、それぞれ、40nm及び50nmの厚さであ
る。
【0014】次いで、プラズマCVD装置を用いてn−
GaAsコンタクト層20上にSiNX 膜33を成膜す
る。続いて、レジスト膜(図示せず)をSiNX 膜33
上に成膜し、更にフォトリソグラフィ処理により、図3
(b)に示すように、直径約40nmから45nmのレ
ジストマスク34を形成する。
【0015】レジストマスク34を形成した後、CF4
ガスをエッチングガスにして、反応性イオンエッチング
法(RIE)によりSiNX 膜33をエッチングし、次
いでRIBE装置を用い、塩素ガスをエッチングガスに
して、図4(c)に示すように、n−コンタクト層2
0、n−上部DBRミラー18、活性層16、及びp−
下部DBRミラー14の上部層をエッチングして、柱状
のメサポスト22を形成する。
【0016】エッチングが終了した後、レジストマスク
34を除去する。次いで、400℃の水蒸気雰囲気中に
約25分間維持して、図4(c)に示す積層構造に、い
わゆるウェット酸化処理を施す。ウエット酸化処理によ
り、図4(d)に示すように、p−下部DBRミラー1
4の最上層のAlAs層中のAlが、メサポスト22の
外周から酸化されてAl 2 3 となり、メサポスト22
の下部に絶縁性のAl酸化層24が形成される。一方、
酸化されなかったAlAs領域25は、電流注入口とし
て機能する。なお、Al酸化層24によって囲まれた電
流注入口25の径Dは、15μmから20μmである。
ウェット酸化処理の終了後、RIEによりSiNX 膜3
3を除去する。
【0017】次いで、図5(e)に示すように、基板全
面に、つまりメサポスト22上及び周囲、並びにメサポ
スト22脇のp−下部DBRミラー14上に、プラズマ
CVD法により、SiNX パッシベーション膜26を成
膜する。次いで、SiNX パッシベーション膜26上に
ポリイミド層28を形成し、メサポスト22を埋め込
む。続いて、フォトリソグラフィ処理により、メサポス
ト22の上面のポリイミド層28を除去して、図5
(e)に示すように、SiNXパッシベーション膜26
を露出させる。
【0018】次いで、RIE装置を用い、CF4 ガスを
エッチングガスにして、メサポスト22上に露出したS
iNX パッシベーション膜26をエッチングして、n側
電極30形成用の直径30μmの窓を開け、続いて、A
uGeNi/Au膜を蒸着させて、図5(f)に示すよ
うに、内径20μm/外径30μmのリング状のn側電
極30を形成する。更に、電極引き出し用にTi/Pt
/Auパッドを形成する。n側電極30を形成した後、
n−GaAs基板12の裏面を研磨して、基板厚さを1
00μmに調整し、次いで基板裏面にAuZn膜を蒸着
させてp側電極32を形成する。続いて、電極アニール
をアニール温度400℃で3分間行う。以上の工程を経
て、ウエハプロセスは終了する。続いて、ダイシングマ
シーンを用いてダイシングして素子化を行い、図1に示
すような面発光型半導体レーザ素子10を作製すること
ができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】第1の問題 ところで、多層膜反射鏡は、ペアを構成する膜同士の組
成を相互に異ならしめることにより、膜同士間に屈折率
差を設けて、反射鏡として機能させている。従って、理
想的には、Al0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1Asの
ペアより、GaAs/AlAsのペアが反射鏡のペアと
して望ましいが、GaAsは850nm近傍の波長の光
を吸収し易いという問題があり、AlAsは酸化され易
いという問題がある。多層膜反射鏡の組成は、面発光型
半導体レーザ素子の発振波長、或いは多層膜反射鏡の加
工工程の難易によって種々考えられるものの、いずれに
せよ、高Al組成と低Al組成の化合物半導体層を使用
することが必須である。そこで、通常、半導体多層膜反
射鏡を構成する化合物半導体層には、Al0.2Ga0.8
sとAl0.9Ga0.1Asとの組み合わせなどが用いられ
ている。
【0020】しかし、Alと酸素の結合が強いことに起
因して、高Al組成のAlGaAs、或いはAlAs
は、レーザ特性にとって不都合な酸素を取り込み易いと
いう性質を有する。つまり、レーザ構造中に存在する酸
素は、再結合中心となって発光効率の低下を招き、更に
は、しきい値の上昇、素子寿命の短縮化等、さまざまな
問題を引き起こす。そのため、如何に酸素の含有量を減
らすかが、レーザ作製の重要な課題であると言っても過
言ではない。
【0021】有機金属気相成長方法(MOCVD法)
は、一般に、分子線エピタキシー法に比べて、量産性に
優れるという特徴を有するが、酸素不純物による汚染が
問題となることが多い。例えば、Alを含む半導体層を
成長させる際、最も一般的に使用されるTMA(トリメ
チルアルミニウム)を例に挙げると、TMAの精製方法
の改良により、改善されつつあるとはいえ、TMAから
酸素を完全に除去することは難しく、原料由来の酸素
が、AlGaAs中に取り込まれることが多い。
【0022】一般に、MOCVD法により低酸素濃度の
反射鏡を作製するには、(1)反射鏡を構成する化合物
半導体層を高い成長温度で成長させること、(2)V族
原料ガス(AlGaAsではAsを含む原料)の分圧を
高くして作製するという方法がとられる。しかし、高い
成長温度や高いV族原料ガス圧力で反射鏡を作製する
と、アクセプタ型(p型)添加物であるZnやCが化合
物半導体層内に導入され難くなるという問題がある。こ
れは、酸素と、Zn及びCとが、同じ反応機構に従って
脱離するからである。すなわち、V族原料ガスの分解に
よって生じる水素ラジカルが、酸素、Zn、Cなどと反
応して化合物半導体層から脱離させ、再び気相中に持ち
去ってしまうからである。
【0023】つまり、p型導電性の反射鏡を作製する場
合に、アクセプタ型不純物を高濃度にすることと、同時
に残留酸素を低濃度にすることとは、本質的に相互矛盾
する要求である。端面出射型半導体レーザ素子では、通
常、Al組成が0.2〜0.3と低いため、それほど問
題にならないが、面発光型半導体レーザ素子では、0.
8或いは0.9と言った高いAl組成のAlGaAsを
必要とするため、低酸素濃度でかつ高添加物濃度を実現
することは、極めて困難である。
【0024】また、面発光型半導体レーザ素子の多層膜
反射鏡では、高Al組成層と低Al組成層のAl組成差
が大きいため、高Al組成層と低Al組成層との間に、
大きなポテンシャル障壁が存在し、しかも、高Al組成
層と低Al組成層のペア数が多いので、反射鏡は、多数
のポテンシャル障壁を有することになる。端面出射型半
導体レーザ素子では、添加物濃度が所定値に比べてある
程度低くとも問題はないが、面発光型半導体レーザ素子
では、添加物濃度が低いと、反射鏡内のキャリアの移動
が妨げられるという問題が生じる。
【0025】通常、面発光型半導体レーザ素子では、ポ
テンシャル障壁を構成する積層界面に1×1018cm-3
以上の高い濃度のドナあるいはアクセプタを添加し、か
つポテンシャル障壁の厚さを薄くして、トンネル効果に
より、キャリアが移動するように、多層膜反射鏡を構成
する。従って、p型導電性の反射鏡内の添加物濃度を所
定の1×1018cm-3以上の高い値に維持しつつ、反射
鏡中に含まれる残留酸素濃度を低減することが、ポテン
シャル障壁を構成する点からも、必要である。しかし、
従来の技術では、これを実現することは難しい。つま
り、第1の問題は、従来の技術により、p型導電性の反
射鏡内の添加物濃度を所定の値に維持しつつ、反射鏡中
に含まれる残留酸素濃度を所定の値に低減することが難
しいということである。
【0026】第2の問題 更に、本発明者らは、研究開発を進めるに従って、別の
問題点として、p型導電性の反射鏡を作製した際に、高
Al組成層と低Al組成層が積層されている界面に酸素
の強い蓄積が認められるということを見い出した。この
現象は、未だ一般には知られていないが、例えば論文
(Someya等AppliedPhysic Letter誌 第63巻 4頁1
993年)に似た事例が報告されている。この論文は、
分子線エピタキシー装置で成長させたAlAs/GaA
s構造の界面の酸素不純物を対象としており、本発明者
らが見出した界面への酸素の蓄積と同様の現象を報告し
ている。この報告は、本発明者らの見出した界面への酸
素蓄積の問題は、例えば本発明者らが使用しているMO
CVD装置固有の問題ではなく、AlGaAs層等の高
Al組成層の結晶成長に共通して観測される問題である
ことを教唆している。
【0027】本発明者らは、この酸素蓄積の現象を詳細
に調べた結果、次のようなメカニズムで酸素蓄積が発生
し、進行していると結論している。 (1)多層膜反射鏡の結晶成長中、結晶成長が進行して
いる表面には、表面準位が存在し、表面電荷が存在する
ので、表面電荷を打ち消すだけの空間電荷層(空乏層)
が発生している。導電型がp型の場合、表面電荷はプラ
スであるから、空間電荷層には、表面側にマイナス電荷
を移動させる電界が生じる。
【0028】(2)AlGaAs内では、酸素不純物
は、いわゆる深い準位を形成する。酸素の荷電状態は、
未だはっきりとはしていないものの、母体AlGaAs
の導電型やキャリア濃度によって変化する可能性が高い
ことが指摘されている。例えばAlAs中の酸素不純物
の振る舞いを第1原理計算で調べた報告(Taguchi等Phy
sical Review(B60)誌 5383頁1999年)に
よると、表面空乏層中で酸素の荷電状態は、一価のマイ
ナスイオン状態であることが予想される。また、この計
算結果は、本発明者らがDLTS法により調べた結果
(石井等Crystal Growth誌 210巻 242頁200
0年)と矛盾しない。
【0029】(3)上記のように、酸素がマイナス状態
であると仮定すると、空間電荷層の強い電界によるドリ
フト効果によって、酸素は、常に、表面に向かって移動
しようとする。酸素のドリフト速度が結晶成長速度より
も十分に大きい場合は、殆どの酸素が表面に移動し、表
面に蓄積されていく。 (4)表面にマイナスイオンの酸素が蓄積されていく結
果、表面電界が次第に低減されてドリフト速度が低下し
ていく。やがて、ドリフト速度と成長速度が等しくなる
酸素濃度で表面蓄積濃度は飽和する。更に、原料から供
給された酸素は、結晶成長層中に取り込まれていくの
で、表面蓄積濃度は変化しなくなる。
【0030】(5)このように、酸素のドリフト速度と
成長速度とが釣り合った状態で結晶成長が進行している
最中に、高Al組成層上に低Al組成層を積層するため
に、原料ガスのAl組成を僅かでも低くすると、AlG
aAs系材料で構成されるヘテロ界面の性質上、必ず表
面電界強度が低下する。この時、結晶成長速度に比べ、
酸素のドリフト速度が突然小さくなるため、それまで表
面に蓄積されていた酸素は、結晶内部に取り残されてし
まう。
【0031】酸素蓄積部が、空乏層の内部にある間は、
空乏層が表面にある場合と同様に、表面準位による電荷
を遮蔽し得るので、酸素が表面から結晶の内部に入り込
んでいく過程において、表面電界は徐々に高くなってい
くにすぎず、再び電界の上昇によって、内部の酸素が表
面に集められてしまうことはない。従って、Al組成低
下界面を起点として、ほぼ表面に蓄積されていた濃度分
布を保ったまま、酸素の蓄積部分が固定されるのであ
る。
【0032】以上のように、面発光型半導体レーザ素子
の半導体多層膜反射鏡を作製する際、とりわけ有機金属
気相成長法によりp型導電性多層膜反射鏡を成長させる
際には、高いアクセプタ濃度を保ちながら、酸素濃度を
低減することが難しい。また、酸素は、Al組成を変更
した界面に蓄積されるために、界面が部分的に高濃度と
なってしまい、面発光型半導体レーザ素子の信頼性に少
なからぬ影響を与えている。
【0033】以上の説明では、AlGaAsを例にして
問題を説明したが、酸素濃度の問題は、AlGaAsに
限らず、高Al含有化合物半導体層を成長させる際に、
更には高Al含有化合物半導体層上に低Al含有化合物
半導体層をエピタキシャル成長させる際に生じる問題で
ある。
【0034】そこで、本発明の目的は、有機金属気相成
長法により、高Al含有III −V族化合物半導体層上
に、Al組成が高Al含有化合物半導体層より低い低A
l含有III −V族化合物半導体層をエピタキシャル成長
させる際、高い不純物濃度を維持しつつ、高Al含有化
合物半導体層及び低Al含有化合物半導体層内の酸素濃
度を低減させるようなAl含有化合物半導体層のエピタ
キシャル成長方法を提供することである。
【0035】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
高Al組成層の成長から低Al組成層の成長に移行する
際、高Al組成層を成長させた後、連続して低Al組成
層の成長に移行するのでなく、成長中断期間を設けて、
酸素のドリフト及び脱離を促進させること、及び成長中
断期間中にV族原料ガスの高い分圧を加えることを考
え、以下に説明するような多数回の実験を行った。
【0036】実験例では、膜厚50nmのp型Al0.9
Ga0.1As膜と、膜厚40nmのp型Al0.2Ga0.8
As膜との30.5ペアからなるp型反射鏡を作製する
に当たり、前述したように、通常、p型Al0.9Ga0.1
As膜の成長からp型Al0.2Ga0.8As膜の成長に移
行する際、膜厚20nm程度の傾斜組成層(p型Alz
Ga1-zAs(z:0.9→0.2))を介在させた。
そして、本実験では、p型Al0.9Ga0.1As膜の成長
から傾斜組成層への移行工程を実験対象にして、実験例
1から8の実験を行った。
【0037】実験例1 実験例1では、p型Al0.9Ga0.1As膜の成長速度を
0.5nm/sec、p型Al0.9Ga0.1As膜から傾
斜組成層の成長に移行する際の中断期間を10秒、及び
中断期間中のAsH3 ガスの分圧を成膜チャンバ圧力の
1/10000にして、p型Al0.9Ga0.1As膜上に
傾斜組成層を成長させた。実験例1の主要成長条件は、
以下の通りである。
【0038】p型Al0.9Ga0.1As膜の成長条件 原料ガスの組成、流量: p型添加物 :炭素 添加濃度 :1×1019cm-3 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 成長温度 :600℃成長中断期間時の条件 原料ガスの組成、流量:ベースガスは水素 アルシン流量=10cm3 /分 アルシン分圧=1/10000 全流量=100リットル/分 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 温度 :600℃ 傾斜組成層の成長条件 原料ガスの組成、流量:ベースガスは水素 アルシン流量=10cm3 /分 アルシン分圧=1/10000 全流量=100リットル/分 トリメチルガリウム=0.5〜4cm3 /分 トリメチルアルミニウム=4.5〜1cm3 /分 p型添加物 :炭素 添加濃度 :2×1018〜1×1019cm-3 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 成長温度 :600℃
【0039】次いで、界面での酸素数をSIMSでカウ
ントすると、酸素数は18,000であった。実験例1
の主要条件及び結果は、表1に示している。
【表1】
【0040】実験例2から6 p型Al0.9Ga0.1As膜の成長速度、成長中断期間、
及びAsH3 ガスの分圧を表1に示す通り変えて、実験
例1と同様にして、p型Al0.9Ga0.1As膜上に傾斜
組成層を成長させ、次いで、界面での酸素数をSIMS
でカウントした。実験例2から6の条件のうち特に実験
例1と異なる条件は、成長中断期間中のAsH3 ガスの
分圧が10/10000と高いことである。実験例2か
ら6の条件及び結果は、表1に示している。
【0041】実験例7 本実験例は、以下の従来の条件で、p型Al0.9Ga0.1
As膜上に傾斜組成層をエピタキシャル成長させた従来
と同じ条件の実験例である。本実験例では、成長中断期
間を0秒、つまりp型Al0.9Ga0.1As膜を成長させ
た後、連続してp型Al0.9Ga0.1As膜上に傾斜組成
層を成長させたことを除いて、実験例1と同じ条件で傾
斜組成層を成長させた。次いで、界面での酸素数をSI
MSでカウントした。A実験例7の主要条件及び結果
は、表1及び以下に示す通りである。
【0042】p型Al0.2Ga0.8As膜の成長条件 原料ガスの組成、流量:ベースガスは水素 アルシン流量=10cm3 /分 アルシン分圧=1/10000 全流量=100リットル/分 トリメチルガリウム=4cm3 /分 トリメチルアルミニウム=1cm3 /分 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 成長温度 :600℃傾斜組成層の成長条件 原料ガスの組成、流量:ベースガスは水素 アルシン流量=10cm3 /分 アルシン分圧=1/10000 全流量=100リットル/分 トリメチルガリウム=0.5〜4cm3 /分 トリメチルアルミニウム=4.5〜1cm3 /分 p型添加物 :炭素 添加濃度 :2×1018〜1×1019cm-3 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 成長温度 :600℃
【0043】実験例8 本実験例では、実験例7と同様に、p型Al0.9Ga0.1
As膜の成長速度を0.5nm/sec、成長中断期間
を0秒、つまりp型Al0.9Ga0.1As膜を成長させた
後、連続してp型Al0.9Ga0.1As膜上に傾斜組成層
を成長させ、傾斜組成層成長中のAsH3 ガスの分圧を
成膜チャンバ圧力(10000Pa)の10/1000
0にして、p型Al0.9Ga0.1As膜上に傾斜組成層を
成長させた。次いで、界面での酸素数をSIMSでカウ
ントした。実験例8の主要条件及び結果は、表1に示し
ている。
【0044】以上の実験結果によれば、実験例1から判
るように、AsH3 ガスの分圧が従来と同じであれば、
10秒の成長中断期間を設けても、酸素数は従来より約
1割減少しただけである。また、実験例8の結果から判
るように、成長中断期間を設けることなく、AsH3
スの分圧を高くするだけでは、酸素数は実験例7(従来
例)と同じである。一方、実験例2から実験例6の結果
から判るように、成長中断期間を10秒以上にし、かつ
AsH3 ガスの分圧を従来の10倍の圧力にすることに
より、実験例5を除いて、酸素数を従来の50%以下に
減少させることができた。実験例5は、Al0.9Ga0.1
As膜の成長速度が実験例2から4、及び6に比べて
1.0nm/secと2倍速い例であって、成長速度が
速いために、酸素数は、実験例7(従来例)に比べて少
なくなるものの、実験例2から4、及び6に比べて多
い。
【0045】また、実験例2と実験例5及び6との対比
から、他の条件が同じである限り、中断期間を60秒、
更には300秒に長くしても、酸素数の減少効果はそれ
ほど大きくない。実験例1と実験例2との対比から、同
じ成長中断期間であっても、AsH3 ガスの分圧を従来
の十倍にすると、酸素数が従来の1/2以下に減少す
る。実験例2と実験例3及び4との対比から、p型Al
0.9Ga0.1As膜の成長速度を低くすると、酸素数は減
少し、成長速度を高くすると、酸素数が増大する。従来
例と同じ実験例7、及び成長中断期間が0秒の実験例8
は、酸素数が著しく多い。
【0046】実験例2から実験例6では、従来に比べて
酸素量が非常に低減されていることがわかる。これは、
成長中断期間中にAsH3が分解して生じた水素ラジカ
ルにより酸素が揮発成分となって脱離しているためであ
る。一方、添加物である炭素はほとんど変化していない
ことがわかった。これは炭素が、酸素に比べて拡散定数
が小さいためである。即ち、酸素は拡散定数が大きいた
め、結晶成長中に高Al組成層の表面に集まってしまう
が、炭素は、酸素に比べて拡散定数が十分に小さく、ド
リフト速度も同様に小さくなるため、表面には蓄積され
ないからである。
【0047】酸素は、成長中断時に表面に集積するの
で、徐々に表面より揮発していく。さらに、電界強度の
上昇に伴い、高組成層の内部に取り込まれていた酸素も
表面に向かって次第に集められて揮発していく。従っ
て、実験例5及び実験例6から判る通り、十分に長時間
の成長中断を行うと、表面蓄積層のみならず、高組成層
全体の酸素濃度を低減することができる。また、炭素
は、拡散定数が小さいため、成長中断期間中、表面に移
動することはないので、成長中断の影響で濃度分布が影
響を受けることはない。
【0048】以上の結果から、成長中断期間が10秒以
上であって、かつV族(AlGaAsの成長の場合はA
sH3)分圧が、全圧の1/1000以上であることが
必要であると判る。また、本発明者らの使用したMOC
VD装置では、成長速度を0.5nm/sec以下にす
ることにより、更に酸素を低減することができた。以上
の説明では、AlGaAs膜を例にして説明したが、こ
れは高組成でAlを含む他の化合物半導体層、例えばA
lGaNAs層にも適用できる。
【0049】上記目的を達成するために、本発明に係る
高Al含有化合物半導体層のエピタキシャル成長方法
は、上述の知見に基づいて、有機金属気相成長法によ
り、高Al含有III −V族化合物半導体層上に、Al組
成が高Al含有III −V族化合物半導体層より低い低A
l含有III −V族化合物半導体層をエピタキシャル成長
させる際、高Al含有III −V族化合物半導体層を成長
させた後、低Al含有III −V族化合物半導体層の成長
に移行する際、III族原料ガスの供給を停止する成長中
断期間を10秒以上設け、且つ、成長中断期間中のV族
原料ガスの分圧を全圧の少なくとも1/1000以上と
することを特徴としている。
【0050】本発明方法は、高Al含有III −V族化合
物半導体層の成長、更には高Al含有III −V族化合物
半導体層上に低Al含有III −V族化合物半導体層をエ
ピタキシャル成長させる際に適用でき、Al含有III −
V族化合物半導体の組成に制約されることなく、Alを
含有するIII −V族化合物半導体である限り適用でき
る。
【0051】本発明方法の好適な実施態様では、高Al
含有III −V族化合物半導体層の成長速度を0.5nm
/sec以下にする。これにより、酸素が成長表面に蓄
積される濃度を予め高くすることができ、従って、高A
l含有III −V族化合物半導体層の内部に存在する酸素
を予め低減しておくことができるので、比較的短い時間
の成長中断期間で高Al含有III −V族化合物半導体層
内の残留酸素を低減することができる。本発明方法は、
高Al含有化合物半導体層としてp型膜をエピタキシャ
ル成長させる際に好適に適用できる。
【0052】本発明方法は、高Al組成のp型Alx
1-xAs膜がGaAs系面発光型半導体レーザ素子の
多層膜反射鏡の一部を構成する化合物半導体層であり、
低Al組成のAlyGa1-yAs膜が、高Al組成のp型
AlxGa1-xAs膜上にエピタキシャル成長させる傾斜
組成層であるときに、最適に適用できる。
【0053】
【発明の実施の形態】以下に、実施形態例を挙げ、添付
図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細
に説明する。尚、以下の実施形態例で示す成膜方法、化
合物半導体層の組成及び膜厚、プロセス条件等は、本発
明の理解を容易にするための一つの例示であって、本発
明はこの例示に限定されるものではない。実施形態例 本実施形態例は、本発明に係るAlGaAsのエピタキ
シャル成長方法を図1及び図2に示す面発光型半導体レ
ーザ素子の多層膜反射鏡の作製に適用した実施形態の一
例である。本実施形態例方法を適用した面発光型半導体
レーザ素子は、図1に示す面発光型半導体レーザ素子と
同じ構成を有し、以下に特定した条件を除いて、基本的
には、図3から図5を参照して前述した作製方法に従っ
て作製される。
【0054】本実施形態例方法では、p−下部DBRミ
ラー14及びn−上部DBRミラー18の作製に際し、
Al0.9Ga0.1As膜を成長させた後、Al0.9Ga0.1
As膜上に傾斜組成層AlzGa1-zAs(z:0.9→
0.2))を成長させる際、Al0.9Ga0.1As膜を成
長させた後、傾斜組成層の成長に移行するに当たり、G
a原料とAl原料を流さない成長中断期間を60秒間設
け、かつ全圧が10000Pa、AsH3ガスの分圧が
10PaになるようにAsH3 ガスをMOCVD装置の
成膜チャンバに導入した。
【0055】p型Al0.9Ga0.1As膜の成長条件 原料ガスの組成、流量:アルシン=100cm3 /s トリメチルガリウム=0.5cm3 /s トリメチルアルミニウム4.5cm3 /s p型添加物 :炭素 添加濃度 :1×1019cm-3 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 成長温度 :600℃ 成長速度 :0.5nm/s成長中断期間時の条件 原料ガスの組成、流量:アルシン=100cm3 /s (分圧=10/10000Pa) 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 温度 :600℃傾斜組成層の成長条件 原料ガスの組成、流量:アルシン=100cm3 /s トリメチルガリウム=0.5〜4cm3 /s トリメチルアルミニウム=4.5〜1cm3 /s p型添加物 :炭素 添加濃度 :1×1019cm-3 成膜チャンバ内の圧力:10000Pa(76Torr) 成長温度 :600℃ 成長速度 :0.5nm/s
【0056】本実施形態例方法によって作製した面発光
型半導体レーザ素子に評価試験を行ったところ、p−下
部DBRミラー14及びn−上部DBRミラー18の多
層膜反射鏡を構成するAl0.9Ga0.1As膜と傾斜組成
層との間の界面の酸素濃度が10000に低下している
ので、従来の面発光型半導体レーザ素子に比べて、素子
寿命が長くなった。
【0057】本実施形態例方法では、発振波長850n
mの面発光型半導体レーザ素子を例に挙げているが、本
発明方法は、波長にかかわらず、Alを含む材料系であ
れば適用可能である。例えば、GaAs基板上に形成し
た波長900nm以上で発振するGaInAs歪量子井
戸活性層を有する面発光型半導体レーザ素子や、さらに
長い波長のGaInNAs量子井戸活性層を有する面発
光型半導体レーザ素子などにも適用可能である。
【0058】本発明方法の適用に際し、注意すべき点
は、結晶成長装置の成膜チャンバ内に酸素が大気からリ
ークして侵入することがないように十分に管理して、結
晶成長装置の元々の酸素濃度(バックグラウンド濃度)
を十分に低くしておくことが必要である。また、成長中
断時に基板温度を上昇させることによって、酸素の脱離
速度を高め、酸素を効率よく低減させることもできる。
多くの界面を有する反射鏡の成長にこのような温度変更
を取り入れることが煩雑であるときには、例えば、成長
中断時にフラッシュランプを点灯するなどして、急激な
温度ピークを導入するなどの方法が有効である。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、有機金属気相成長法に
より、高Al含有III −V族化合物半導体層を成長させ
た後、低Al含有III −V族化合物半導体層の成長に移
行する際、III族原料ガスの供給を停止する成長中断期
間を10秒以上設け、且つ、成長中断期間中のV族原料
ガスの分圧を全圧の少なくとも1/1000以上とする
ことにより、酸素が偏析する現象を逆に利用して、低酸
素濃度で、かつ高添加物濃度のAl含有III −V族化合
物半導体層をエピタキシャル成長させることができる。
更に、高Al組成層の成長速度を小さくすることによ
り、酸素が成長表面に蓄積される濃度を予め増加するこ
とができる。これにより、高Al組成層の内部に存在す
る酸素を予め低減しておくことができるので、比較的短
い時間の成長中断で高Al組成層内部の残留酸素を低減
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化層狭窄型のGaAs系面発光型半導体レー
ザ素子の構成を示す斜視図である。
【図2】p−下部DBRミラー、活性層、及びn−上部
DBRミラーの層構造を示す模式図である。
【図3】図3(a)と(b)は、それぞれ、従来の面発
光型半導体レーザ素子10を作製する際の工程毎の断面
図である。
【図4】図4(c)と(d)は、それぞれ、図3(b)
に続いて、従来の面発光型半導体レーザ素子10を作製
する際の工程毎の断面図である。
【図5】図5(e)と(f)は、それぞれ、図4(d)
に続いて、従来の面発光型半導体レーザ素子10を作製
する際の工程毎の断面図である。
【符号の説明】
10 酸化層狭窄型の面発光型半導体レーザ素子 12 p−GaAs基板 14 p−下部DBRミラー(p型Al0.2Ga0.8As
/Al0.9Ga0.1Asを30.5ペア積層) 16 活性層 18 n−上部DBRミラー(n型Al0.2Ga0.8As
/Al0.9Ga0.1Asを30ペア積層) 20 n−GaAsコンタクト層 22 メサポスト 24 Al酸化層 25 AlAs層(電流注入口) 26 SiNX パッシベーション膜 28 ポリイミド層 30 n側電極 32 p側電極 33 SiNX 膜 34 マスク
フロントページの続き (72)発明者 石井 宏辰 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BE47 DB08 DB12 EF01 TB05 TC12 TC13 5F045 AA04 AB17 AC01 AC07 AD10 CA12 DA53 DA58 EE17 5F073 AA03 AB17 BA02 CA05 CB02 CB08 DA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属気相成長法により、Al組成が
    0.5以上である高Al含有III −V族化合物半導体層
    上に、Al組成が高Al含有III −V族化合物半導体層
    より低い低Al含有III −V族化合物半導体層をエピタ
    キシャル成長させる際、 高Al含有III −V族化合物半導体層を成長させた後、
    低Al含有III −V族化合物半導体層の成長に移行する
    際、III族原料ガスの供給を停止する成長中断期間を1
    0秒以上設け、且つ、成長中断期間中のV族原料ガスの
    分圧を全圧の少なくとも1/1000以上とすることを
    特徴とするAl含有化合物半導体層のエピタキシャル成
    長方法。
  2. 【請求項2】 低AlIII −V族含有化合物半導体層の
    Al組成が0.5未満であることを特徴とする請求項1
    に記載のAl含有化合物半導体層のエピタキシャル成長
    方法。
  3. 【請求項3】 成長中断期間前の高Al含有III −V族
    化合物半導体層の成長速度を0.5nm/sec以下に
    することを特徴とする請求項1又は2に記載のAl含有
    化合物半導体層のエピタキシャル成長方法。
  4. 【請求項4】 高Al含有III −V族化合物半導体層と
    してp型膜をエピタキシャル成長させることを特徴とす
    る請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のAl含
    有化合物半導体層のエピタキシャル成長方法。
  5. 【請求項5】 高Al含有III −V族化合物半導体層が
    AlxGa1-xAs膜(0.5≦x≦1)であり、低Al
    含有III −V族化合物半導体層がAlyGa1 -yAs膜
    (0≦y<x)であることを特徴とする請求項1から4
    のうちのいずれか1項に記載のAl含有化合物半導体層
    のエピタキシャル成長方法。
  6. 【請求項6】 高Al組成のAlxGa1-xAs膜がGa
    As系面発光型半導体レーザ素子の多層膜反射鏡の一部
    を構成する化合物半導体層であり、低Al組成のAly
    Ga1-yAs膜が、高Al組成のAlxGa1-xAs膜上
    にエピタキシャル成長させる傾斜組成層であることを特
    徴とする請求項5に記載のAl含有化合物半導体層のエ
    ピタキシャル成長方法。
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