JP2003047653A - 医療用複合材料、医療用管状体および医療用具 - Google Patents

医療用複合材料、医療用管状体および医療用具

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JP2003047653A
JP2003047653A JP2002142854A JP2002142854A JP2003047653A JP 2003047653 A JP2003047653 A JP 2003047653A JP 2002142854 A JP2002142854 A JP 2002142854A JP 2002142854 A JP2002142854 A JP 2002142854A JP 2003047653 A JP2003047653 A JP 2003047653A
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medical
tubular body
metal powder
electromagnetic wave
pacemaker
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English (en)
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Takashi Kaneko
隆 金子
Hideki Tsukamoto
秀樹 塚本
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体内で直接体液に触れる状態で使用され、か
つ、電磁波障害を防止する医療用複合材料の提供。 【解決手段】生体適合性材料からなる外部接触層と、電
磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する機能層とを具
備する医療用複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用複合材料、
医療用管状体および医療用具に関する。詳しくは、循環
器内科・外科、放射線科等の医療分野において用いら
れ、ヒトの脈管系に直接挿通されるカテーテルやヒト体
内に長期間留置される心臓ペースメーカー(以下、単に
「ペースメーカー」という。)等の医療用具であって電
磁波耐性に優れる医療用具、およびそれに用いられる医
療用管状体および医療用複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクスの進展により、
電気、電子、電波等を利用した数多くの電子機器が普及
している。これらの中には、人体、他の機器等に有害な
影響を与える電磁波を放射しているものがあり、近年、
電磁波障害として、特に問題視されるようになってき
た。電磁波障害に関しては、高周波デジタル機器の需要
拡大に対応して、国際的なイミュニティ(ノイズ耐性)
規制の強化や電磁波の人体への影響の検討が行われてい
るが、医用電子機器(ME機器)、特に、生命維持に関
する医用電子機器における電磁波障害の問題は未だ解決
しておらず、社会問題化しており、具体的かつ早急な解
決が望まれている。生命維持に関する医用電子機器等に
万一の影響を及ぼすことになれば、社会的な大混乱を起
こすことになり、その防止策は極めて重要となりつつあ
る。実際、公共交通機関においては、ペースメーカーへ
の影響を配慮して、乗客に対し車内での携帯電話の使用
自粛(電源切断)を車内放送や広告により呼びかけてい
るが、効果が上がらず社会問題化している。ペースメー
カーは、誤動作が生命維持に直接関係するため、誤動作
が許されない装置の代表であり、電磁界による誤動作へ
の対策が強く求められている。
【0003】このような電磁波障害への対策の方法とし
て、一般産業用として、各種の電磁波シールド材が販売
され、活用されている。電磁波シールド材のメイン市場
は、コンピュータ、通信機器、AV機器、医療電子機
器、電気計測機器、事務機器、自動車電装品等の分野で
ある。電磁波シールド材としては、無電解メッキ、導電
性塗料、金属溶射、アルミ蒸着、スパッタリング等によ
り表面処理を施し導電性を付与した材料;導電性プラス
チック、フェライト等の電磁波吸収体を樹脂に混練した
複合化材料;金属貼り合わせによる複合化材料等が用い
られている。
【0004】現在のところ、これら一般産業用の電磁波
シールド材は、シート、板、テープ、繊維または布の形
態での供給がほとんどであり、立体形状のものは市販さ
れていない。これは、一般産業用の用途では、使用方法
が限定されていることによる。即ち、一般産業用の電磁
波シールド材は、電子機器筐体内部に貼ったり、ケーブ
ル線に巻いたり、機器を包んだりすることにより、電磁
波シールドを達成することを想定しており、実際、ユー
ザは購入したシート等の電磁波シールド材を適当な形状
および寸法に裁断し、機器に貼ったり、巻いたり、包ん
だりして用いている。
【0005】しかしながら、これらの一般産業用の電磁
波シールド材を、人体に挿入され血液等の体液に直接接
触したり、体内に埋め込んだりして用いられるカテーテ
ルやペースメーカー等の医療用具に応用することは実現
していない。これは、一般産業用の電磁波シールド材
は、その対象である一般用の電子機器が液体と接触する
ような形態で使用されることが全く想定されていないた
め、人体に挿入され血液等の体液に直接接触したり、体
内に埋め込んだりして用いられる医療用具を対象とする
と、溶出物や腐食の問題が避けられないからである。ま
た、一般産業用の電磁波シールド材において、電磁波耐
性機能を具現化する導電体や電磁波吸収体には、アル
ミ、銅、ニッケル等の人体中で容易にイオン化して溶出
する金属が多用されているので、人によってはアレルギ
ー反応を引き起こすおそれがあり、そのような医療用具
の用途には使用を避けるのが好ましいからでもある。更
には、電磁波シールド材を立体成形部品に加工すること
が難しいことも、実用化されていない理由の一つであ
る。
【0006】ところで、ペースメーカーの電磁波による
誤動作の例は多数報告されており、厚生省(現厚生労働
省)は、1997年4月よりペースメーカー装着者に対
し、携帯電話をペースメーカーから最低22cm離すよ
う指導している。しかしながら、隣りの人がペースメー
カーを使用しているかどうかはすぐには分からないた
め、ペースメーカー装着者の至近距離にいる他人が携帯
電話を使用する危険は常に存在している。特に、携帯電
話は待ち受け中も電磁波を発しているので、満員電車の
車内等の逃げ場のない、人と人とが密着するような混雑
した空間においては、極めて危険な状況が生じうる。ま
た、携帯電話以外にも、エンジンやモーター等から発生
する低周波ノイズがペースメーカーを誤動作させる可能
性もある。このように、ペースメーカー装着者は日常生
活において様々な制約を受けているという現状がある。
【0007】ペースメーカーは、ペースメーカー本体と
ペースメーカーリード(以下、単に「リード」ともい
う。)とを具備し、ペースメーカー本体と心臓との間を
リードで接続し、このリードを用いてペーシングと心臓
活動電位の検出とを行って動作するが、ペースメーカー
の受ける電磁波障害は、このリードが原因の誤動作であ
る。即ち、リードは、電磁波に対するアンテナとなって
雑音を受けやすい構造であり、しかも、心臓活動電位が
数mVと小さいため、他の医療用具よりも電磁波の影響
を受けやすくなっている。したがって、電磁波に対する
アンテナとならないような構造のリードが求められては
いるが、安全性、太さ、耐久性、電気特性等の問題があ
り、これまで実用化には至っていない。
【0008】一方、ペースメーカー本体の側において
も、電磁波障害を解決すべく種々の手段が検討されてい
る。例えば、特開平8−266647号公報および特開
平10−314318号公報に記載されているように、
ペースメーカー本体の制御アルゴリズム中に雑音を検出
する機能を持たせ、雑音検出時には心臓活動電位を使用
しない固定心拍刺激モードへ移行するようなコンピュー
タプログラムを用いる手段である。しかしながら、ペー
スメーカー装着者は、固定心拍刺激モードへ移行した結
果として、不快に感じることになる。しかも、ペースメ
ーカー本体の制御アルゴリズムが誤動作するような悪電
磁環境の場合、ペースメーカー装着者を死亡に至らしめ
る危険さえある。
【0009】また、ペースメーカーの周辺に別の機器を
設けて、ペースメーカーの電磁波障害を防止する手段も
種々検討されている。例えば、実開平5−74548号
公報、特開平7−110352号公報、特開平8−47
543号公報および特開平11−33125号公報に
は、ペースメーカー装着者に、危険な電磁界の存在を知
らせる警報器が提案されている。確かにこれらの警報器
はペースメーカーの誤動作対策として有効であるかもし
れないが、危険な電磁界を検知してペースメーカー装着
者に危険を知らせ、危険区域への立ち入りを制限するも
のであるため、ペースメーカー装着者は行動に制限を受
けることを免れない。また、警報という心理的不安を覚
える不利益を生じさせる。更に、携帯電話等の電子機器
を持った人間が近づいてくることを制限することは不可
能に近い。
【0010】これに対し、特許第2933063号明細
書(特開平10−341483号公報)には、ペースメ
ーカー装着者(身体障害者)に、携帯電話使用者の存在
を知らせる電波送信器とその電波を受信して自動的に通
話不可能となる携帯電話のシステムが提案されている。
しかし、携帯電話使用者がペースメーカー装着者の存在
を知ることになるので、ペースメーカー装着者のプライ
バシーが守られないという問題点があり、実用化は難し
い。
【0011】また、特開平11−88300号公報に
は、妨害電波を発生して携帯電話の基地局からの着信応
答要求を排除して無条件応答発信を防止する装置が提案
されている。しかし、妨害電波により一時的に携帯電話
が使えなくなるという不都合が生じる。また、使用不可
能な空間であることを周知させることはペースメーカー
装着者の存在を知らしめることに繋がり、プライバシー
の問題を生じるので普及は難しい。即ち、ペースメーカ
ー装着者は障害者と認定されるが、ペースメーカー装着
者の心理として、ペースメーカーを装着していることを
衆人に知られたくなく、他人に知られることが精神的苦
痛をペースメーカー装着者に与えることになる。
【0012】また、特許第2850954号明細書(特
開平10−52506号公報)、実用新案登録第303
4951号明細書、特開平10−200289号公報、
特開平11−244000号公報および特開平11−2
44399号公報においては、ペースメーカー保護用の
体外設置の電磁波吸収シートや電磁波吸収プレートが提
案されている。これらは、ペースメーカー近くの皮膚に
貼り付けたり、胸のポケットに入れたりして、ペースメ
ーカーの近くに置いて電磁波を吸収して効果を発揮する
ことで目的を達成するとされている。しかしながら、対
電界防御膜を形成する場合、完全に密閉するように施工
することが必要であり、少しでも隙間を残すと電磁波は
そこから侵入するので効果が少なくなることは周知の事
実であり、これらは簡便な対策であるが気休めに過ぎな
い。具体的には、ペースメーカーに対して身体前面から
入射する電磁波について効果が認められるとしても、身
体の腕、足、頭等からの入射波、身体側面からの入射
波、および身体背中側からの入射波については、効果が
ないという欠点を有する。
【0013】また、特開平11−293505号公報お
よび特開平11−235389号公報には、銀等を表面
にメッキし、またはコートした導電性繊維を用いた電磁
波遮断用衣服が記載されている。しかしながら、これら
は導電性繊維の表面に金属の銀、ニッケル、銅等のイオ
ン化しやすい金属を用いているため、皮膚と銀等のイオ
ン化しやすい金属とが接触するので、汗等により銀等の
イオンを発生させやすく、着用者によっては金属アレル
ギーを引き起こす可能性がある。実際、近年、銅、アル
ミニウム、ニッケル、銀等が抗菌性材料に多用され、人
体との接触機会が増えたため、金属アレルギーの増加を
招いている。更には、銀を用いた抗菌カテーテルの使用
によりアレルギー反応を起こしてショック死した例が報
告されている。よって、銀、銅、ニッケル、アルミニウ
ム等の日常生活で接触機会が多く、かつ、イオン化傾向
の大きい金属の使用は好ましくない。
【0014】また、特開平11−178936号公報に
は、遠赤外線を放射する麦飯石を混入したポリエステル
綿を利用した衣類が記載されており、特開平10−37
068号公報には、炭を繊維に分散させた衣料が提案さ
れている。しかしながら、入浴時など脱衣した場合は効
果が全く得られなくなるので、衣類での防御には限界が
ある。また、家電製品の漏電等によって人体に直接電流
が流れると伝導電流を生じるが、その防御はできないと
いう問題がある。
【0015】また、特開平11−36131号公報に
は、電磁波防御性能を有する繊維が記載されている。こ
の繊維の用途は電磁波防御衣類であり、上記と同様の問
題点がある。また、他の用途に使用するとしても、この
繊維の紡糸原料はビスコースレーヨン(セルロース)で
あるが、セルロースは水中で膨潤して強度が極端に低く
なることや加水分解を受けやすい樹脂であることは周知
であり、生体内での崩壊が心配なため、カテーテルや埋
め込み材料の素材として用いることはできない。
【0016】一方、カテーテルについては、特開平11
−276484号公報に、カテーテル編組をアースし、
超音波カテーテルの信号伝送線に混入したノイズを除去
し、画像上のノイズが少ない体腔内超音波診断装置が提
案されている。しかしながら、このような手段では1G
Hz以下の低周波の電磁波をシールドするには効果的だ
が、それ以上の高周波領域ではほとんど効果がない。現
在、携帯電話については1.5GHz帯電波が利用され
ており、また、次世代携帯電話については4GHz帯電
波の利用が検討されている。更には、今後の病院内の無
線LANの構築も視野に入れる必要があり、医療用具の
電磁波対策は、超広帯域の電磁波を想定して行う必要が
ある。
【0017】以上、ペースメーカーを中心に従来技術を
調べたが、血液等と直接接触するペースメーカーやカテ
ーテルに代表される医療用具の本体についての電磁波防
御策はこれまで実用化されていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、生体内で直接体液に触れる状態で使用され、かつ、
電磁波障害を防止する医療用複合材料、医療用管状体、
および、電磁波障害の起こらない医療用具を提供するこ
とを目的とする。ひいては、ペースメーカー、カテーテ
ル等の医療用具自体の電磁波対策を提案し、装着者に安
全と安心を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、精密多層化技術、即
ち、性質が異なる薄肉の素材を重ねて多層化する技術を
駆使することにより、本発明を完成した。
【0020】即ち、本発明は、生体適合性材料からなる
外部接触層と、電磁波吸収性能を有する金属粉末を含有
する機能層とを具備する医療用複合材料を提供する。本
発明の医療用複合材料は、外部接触層により生体適合性
を担保しているため、生体内で直接体液に触れる状態で
使用される医療用具に用いることができ、かつ、機能層
により電磁波を吸収するため、該医療用具の電磁波障害
を防止することができる。本発明の医療用複合材料は、
用途に応じ、管状体(チューブ)、板、フィルム、繊
維、不織布、布等の形態とすることができる。
【0021】また、本発明は、最外層と少なくとも一層
の内層とを具備する医療用管状体であって、該最外層が
生体適合性材料からなる外部接触層であり、かつ、該内
層の少なくとも一層が電磁波吸収性能を有する金属粉末
を含有する機能層である医療用管状体を提供する。本発
明の医療用管状体は、最外層が生体適合性材料からなる
外部接触層であるため、カテーテルやペースメーカーリ
ードに好適に用いることができ、かつ、内層の少なくと
も一層が電磁波吸収性能を有するため、カテーテルやペ
ースメーカーの電磁波障害を防止することができる。
【0022】更に、本発明は、生体内に留置して用いら
れる管状体と、該管状体の内部に挿通された電気信号伝
達手段とを具備する医療用具であって、該管状体が、少
なくとも、電磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する
機能層を具備する医療用具を提供する。通常、カテーテ
ルや電極リードは、長尺で細長いためアンテナとなりや
すいが、本発明の医療用具は、カテーテルや電極リード
とした場合に、電磁波障害がない。
【0023】前記医療用具は、前記管状体が、生体適合
性材料からなる最外層を具備するのが好ましい態様の一
つである。この態様により、生体内で直接体液に触れる
状態で使用される医療用具とすることができる。
【0024】前記医療用具は、前記管状体が、導電性材
料または軟磁性材料からなる電磁波シールド層を具備す
るのが好ましい態様の一つである。この態様において
は、電磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する機能層
により、超高周波領域の電磁波に起因する電磁波障害を
防止することができ、かつ、導電性材料または軟磁性材
料からなる電磁波シールド層により、低周波から高周波
の電磁波に起因する電磁波障害を防止することができ
る。
【0025】上述した本発明の医療用複合材料、医療用
管状体および医療用具においては、いずれも前記金属粉
末が、軟磁性材料からなるのが好ましい態様の一つであ
る。前記金属粉末が軟磁性材料からなると、軟磁性材料
が高透磁率を有することから、外部磁場に対して大きな
磁化が生じ、電磁波を熱エネルギーに変換するなどして
電磁波を比較的容易に吸収する。
【0026】上述した本発明の医療用複合材料、医療用
管状体および医療用具においては、いずれも前記金属粉
末が、Fe−Al−Si合金またはFe−Cu−Nb−
Si−B合金からなるのが好ましい態様の一つである。
前記金属粉末がFe−Al−Si合金またはFe−Cu
−Nb−Si−B合金からなると、高磁束密度と低保磁
力を有し、高周波における吸収特性に優れる。
【0027】上述した本発明の医療用複合材料、医療用
管状体および医療用具においては、いずれも金属粉末の
形状が、扁平状であるのが好ましい。金属粉末の形状が
扁平状であると、金属粉末を一定方向に並べられ、磁性
方向を揃えることができる。また、金属粉末を積層構造
にすることにより、金属粉末同士の間に隙間ができにく
くなり、落葉効果または迷路効果が期待できる。したが
って、電磁波吸収性能がより優れたものとなる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の好適な実施形態について説明する。本発明の医療用複
合材料は、生体適合性材料からなる外部接触層と、電磁
波吸収性能を有する金属粉末を含有する機能層とを具備
する。また、本発明の医療用管状体は、最外層と少なく
とも一層の内層とを具備する医療用管状体であって、該
最外層が生体適合性材料からなる外部接触層であり、か
つ、該内層の少なくとも一層が電磁波吸収性能を有する
金属粉末を含有する機能層であることを特徴とする。
【0029】図1および図2は、それぞれ、本発明の医
療用複合材料の好適な実施形態である本発明の医療用管
状体の一例を示す断面模式図および側断面模式図であ
る。図1に示したように、医療用管状体10は、外部接
触層である最外層12と、中間層14と、最内層16と
からなる。
【0030】医療用管状体10の最外層12の材料は、
生体適合性を有するものであれば特に限定されず、例え
ば、生体適合性に影響を与えるような加工助剤、安定剤
等の添加物を含有しない合成高分子を用いることができ
る。具体的には、そのような添加物を含有しない、市販
の熱可塑性樹脂や熱収縮チューブが好適に用いられる。
【0031】中でも、食品包装に用いられるグレードや
医療用グレードの材料が、使用時における溶出物が少な
いため、好ましい。これらのグレードは承認基準に従っ
て前記溶出物が一定基準以下に抑えられており好適であ
る。例えば、カテーテルやペースメーカーリードに通常
用いられている、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ
ウレタン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合
体、塩素化ポリエチレン、ABS、ポリプロピレン、ポ
リオレフィン、ナイロン、ポリエステル、ポリエステル
エラストマー、ナイロンエラストマー、フッ素系樹脂、
シリコーン系エラストマー、オレフィン系エラストマ
ー;これらの混合ポリマーを用いることができる。
【0032】特に、生体適合性、特に血液適合性に優れ
るとされる医療用埋め込みグレードのシリコーン樹脂、
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹
脂等の樹脂が好ましい。また、他の樹脂を用いる場合に
おいては、血液適合性を向上させるために、最外層12
表面に、ヘパリン、抗血小板薬、ウロキナーゼ等を用い
た抗血栓コート;ヘマスチレン、ポリエーテルナイロン
等のミクロ相分離構造を特徴とする抗血栓性を有するブ
ロック共重合体樹脂のコーティング等を施して用いるの
が好ましい。
【0033】最外層12表面に対する表面処理について
は、上記のほか、従来公知の表面処理を自由に採用する
ことができる。例えば、医療用管状体10をカテーテル
やリードとして用いるような場合においては、操作時の
摺動抵抗を低減させるために、親水性高分子のコーティ
ング層を設けることができる。そのような親水性高分子
のコーティング層は、医療用具の用途等に応じて、設け
るかいなかを決定することができる。
【0034】医療用管状体10の内層は、図1および図
2に示すように、中間層14と最内層16とから構成さ
れている。中間層14は、電磁波吸収性能を有する金属
粉末を含有する機能層である。機能層は、電磁波吸収性
能を有する金属粉末を含有するものであれば特に限定さ
れない。金属粉末は、高透磁率を有し、外部磁場に対し
て大きな磁化が生じる点で、軟磁性材料からなるのが好
ましい態様の一つである。軟磁性材料としては、例え
ば、後述する軟磁性扁平粉のほか、後述する電磁波シー
ルド層に用いられる軟磁性材料が挙げられる。また、金
属粉末は、比較的入手が容易であり、かつ、高周波にお
ける吸収特性に優れる点で、Fe−Al−Si合金また
はFe−Cu−Nb−Si−B合金からなるのが好まし
い態様の一つである。金属粉末の形状は、扁平状である
のが好ましい。具体的には、アスペクト比が5以上であ
るのが好ましく、10以上であるのがより好ましい。扁
平状の金属粉末は、粒状の金属粉末と比較して、金属粉
末を一定方向に並べられ、磁性方向を揃えることができ
る。また、金属粉末を積層構造にすることにより、金属
粉末同士の間に隙間ができにくくなり、落葉効果または
迷路効果が期待できる。したがって、電磁波吸収性能が
より優れたものとなる。
【0035】機能層としては、具体的には、例えば、電
磁波吸収性能を有する金属粉末として軟磁性金属扁平粉
を混入した市販の樹脂を好適に用いることができる。軟
磁性金属扁平粉としては、例えば、Fe−Cu−Nb−
Si−B系のアモルファスまたはナノ結晶合金の扁平
粉、電磁ステンレス鋼の扁平粉、センダスト(Fe−A
l−Si合金)の扁平粉が実用化されており、本発明に
おいては、これらを好適に用いることができる。Fe−
Cu−Nb−Si−B系のナノ結晶合金としては、平均
粒径が50μm以下であるのが好ましく、35μm以下
であるのがより好ましく、また、25μm以上であるの
が好ましい。電磁ステンレス鋼の扁平粉としては、平均
粒径が30μm以下であるのが好ましく、20μm以下
であるのがより好ましく、また、0.1μm以上である
のが好ましい。中でも、高透磁率であり、かつ、アスペ
クト比が大きい点で、Fe−Cu−Nb−Si−B系の
ナノ結晶合金であるファインメット(登録商標、日立金
属株式会社製)扁平粉やセンダスト扁平粉が好ましい。
【0036】最内層16は、導電性材料または軟磁性材
料からなる電磁波シールド層である。導電性材料として
は、例えば、導電性高分子、導電性金属が挙げられる。
具体的には、導電性高分子としては、例えば、カーボン
ブラック含有のゴムシート、ポリアセチレン、導電性フ
ィラー含有樹脂が挙げられる。また、金属メッキフィル
ム、金属蒸着フィルムを用いることもできる。導電性金
属としては、例えば、金、銀、銅、白金、これらの合金
が挙げられる。また、これらのクラッド材を用いること
もできる。更に、ステンレス鋼、ステンレスクラッド鋼
等を用いることもできる。導電性材料からなる電磁波シ
ールド層の具体的な態様としては、例えば、導電性高分
子により構成された電磁波シールド層、金属編組または
金属リボンにより構成された電磁波シールド層が挙げら
れる。
【0037】軟磁性材料としては、例えば、パーマロ
イ、ケイ素鋼、電磁ステンレスが加工性に優れ、かつ、
入手がしやすいため、好適に用いられる。また、例え
ば、高透磁率のFe系アモルファス合金、Co系アモル
ファス合金、ソフトフェライト、ナノクリスタル材料、
薄膜磁性材料を用いることもできる。更には、機能層に
用いることができるものとして上述した軟磁性材料を用
いることもできる。
【0038】好ましくは、加工性や入手の容易さも考慮
し、最外層が万が一破断した場合に露出してもよいとい
う点から、埋め込み材料に用いられるステンレスのSU
S316L鋼のリボン、SUS304H鋼のリボン、電
極リードに用いられるMP35N合金(Co−Ni系合
金)が用いられる。
【0039】電磁波シールド層は、基本的に、入射電磁
波を反射する役割と電流をグランドに逃す役割とを担
う。したがって、電流をグランドに逃すために、アース
されているのが好ましいが、入射電磁波はそのほぼ全量
が電磁波シールド層により反射されるので、構造上アー
スすることができない場合には、アースされていなくて
もかまわない。
【0040】中間層14と最内層16とを構成する材料
は、直接的に体液や薬剤に触れない場合は特に限定され
ずに入れ替えて用いることができる。したがって、上記
においては、中間層14が電磁波吸収性能を有する金属
粉末を含有する機能層であり、かつ、最内層16が導電
性材料または軟磁性材料からなる電磁波シールド層であ
る態様について説明したが、中間層14が導電性材料ま
たは軟磁性材料からなる電磁波シールド層であり、か
つ、最内層16が電磁波吸収性能を有する金属粉末を含
有する機能層である態様としてもよく、いずれも本発明
の好適な態様である。
【0041】本発明の医療用管状体において、各層の厚
さは特に限定されないが、最外層は、10〜800μm
であるのが好ましく、50〜600μmであるのがより
好ましく、電磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する
機能層は、10〜500μmであるのが好ましく、25
〜150μmであるのがより好ましい。また、導電性材
料または軟磁性材料からなる電磁波シールド層を有する
場合は、電磁波シールド層は、10〜200μmである
のが好ましく、20〜150μmであるのがより好まし
い。また、本発明の医療用管状体の全体の厚さ(管の厚
さ)は特に限定されないが、0.03〜1.5mmであ
るのが好ましく、0.1〜0.8mmであるのがより好
ましい。本発明の医療用管状体の断面形状は、特に限定
されず、例えば、円形、だ円形、多角形、不定形が挙げ
られる。
【0042】また、図1および図2に示した医療用管状
体は、三層構造であるが、本発明においては、更に内側
にライナー層を設けることもできる。また、本発明の医
療用管状体は、少なくとも一層の内層があればよく、内
層の数は特に限定されない。
【0043】医療用管状体10においては、体内に挿入
された場合に生体と接触する外部接触層である最外層1
2を血液適合性等に優れる生体適合性材料で構成してい
る。また、有害電磁波を吸収する中間層14および有害
電磁波を反射する最内層16を設けているので、電磁波
ノイズの影響を受けにくい。この例では中間層14およ
び最内層16に、電磁波吸収体および電磁波シールド材
をそれぞれ用いているが、これは一般に、導電体による
電磁波シールド材料は1GHz以下の低周波から高周波
までの領域の電磁波によるノイズの対策に有効であり、
一方、電磁波吸収体は1GHz以上の超高周波領域の電
磁波によるノイズの対策に有効であることから、広範囲
の波長の電磁波に対する障害の除去を意図したものであ
る。病院内等の医療環境においては、電気メス、モータ
ー類等の低周波ノイズや、携帯電話、無線LAN等の高
周波ノイズが氾濫している実情があるため、このように
広範囲の波長の電磁波に対する障害の除去を行うのが好
ましい。
【0044】本発明の医療用管状体の製造方法は、特に
限定されず、例えば、最外層と中間層(例えば、軟磁性
金属扁平粉を混練した樹脂)とを共押出しで一体のチュ
ーブとして製造することができる。この場合、内層に、
例えば、金属リボンをらせん状に巻いた管状体を用いる
ことができる。
【0045】以上説明したように、本発明の医療用複合
材料は、本発明の医療用管状体等として用いられ、医療
用具の材料として好適であることが十分理解される。本
発明の医療用複合材料は、生体適合性、加工性および物
性面のすべてにおいて優れる、従来技術では提供されな
かった新規素材からなる医療用管状体を提供することが
できる。そして、本発明により初めて、電磁波障害を受
けにくいカテーテル、電極リード等の新しい医療用具が
実現されるのである。
【0046】つぎに、本発明の医療用具について説明す
る。本発明の医療用具は、生体内に留置して用いられる
管状体と、該管状体の内部に挿通された電気信号伝達手
段とを具備する医療用具であって、該管状体が、少なく
とも、電磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する機能
層を具備する。本発明の医療用具は、生体適合性材料か
らなる最外層を有するのが好ましい。即ち、上記管状体
が、本発明の医療用管状体であるのが好ましい。また、
本発明の医療用具は、上記管状体が導電性材料または軟
磁性材料からなる電磁波シールド層を具備する医療用具
であるのが好ましく、導電性材料または軟磁性材料から
なる電磁波シールド層を具備する本発明の医療用管状体
であるのがより好ましい。
【0047】本発明の医療用具に用いられる管状体は、
生体適合性材料からなる最外層を必須構成要件としない
以外は、本発明の医療用管状体と同様であるので、説明
は省略する。本発明の医療用具に用いられる上記管状体
の内部に挿通された電気信号伝達手段は、特に限定され
ず、一般的な電気信号伝達手段を用いることができる。
例えば、エナメル線、貴金属のクラッド線等の導電性に
優れる金属線が挙げられる。
【0048】通常、カテーテルや電極リードは、長尺で
細長いためアンテナとなりやすい。これに対して、本発
明の医療用具は、管状体が、少なくとも、電磁波吸収性
能を有する金属粉末を含有する機能層を具備するため、
カテーテルや電極リードとした場合においても電磁波障
害が起こらない。
【0049】ここで、カテーテルは、体内と体外を結ぶ
チューブの総称であるが、本発明においては、好適例と
して、電気生理学で用いられるマッピングのための電極
カテーテル、不整脈治療に用いられる焼灼カテーテル、
温度、圧力、流速等の各種センサーや治療用レーザーを
搭載したカテーテル、カテーテルを体内に挿通させるの
に用いるガイディングカテーテル、診断・治療用の超音
波カテーテル、体内からの局所温熱療法等に用いられる
高周波加温バルーンカテーテルが挙げられる。本発明に
よれば、カテーテル使用時の外来ノイズの低減およびカ
テーテルからの放射ノイズの低減が実現される。また、
電極リードは、例えば、埋め込み型除細動器、ペースメ
ーカー、運動機能障害を再建し補助する機能的電気刺激
装置等のリード線が挙げられる。本発明によれば、これ
らの電磁波障害が防止される。
【0050】つぎに、本発明の医療用具の好適な態様の
一つであるペースメーカーリードの使用方法について説
明する。図5は、本発明の医療用具の好適な態様の一つ
であるペースメーカーリードを用いたペースメーカーを
人体に埋め込んだ状態を示す模式図である。図5に示し
たペースメーカーは、ペースメーカーリード20とペー
スメーカー本体30とを具備する。図5に示したペース
メーカーリード20は、双極リードタイプである。ペー
スメーカーリード20は、ペースメーカー本体30にコ
ネクタを介して接続される。ペースメーカー本体30は
胸の皮下に埋め込まれ、ペースメーカーリード20は鎖
骨下静脈経由で心臓内に留置される。ペースメーカーリ
ード20は、ペースメーカー本体30に接続されるコネ
クタを有する基端部と、心臓組織を刺激し、かつ、心臓
活動の電気信号を検出するための末端電極部とを有す
る。ペースメーカーリード20は、関電極・不関電極に
より微弱な生体電位の計測と生体への電気刺激との二つ
の基本機能を担っており、血管内に長期留置されて使用
される。
【0051】以上、本発明の好適な実施態様について説
明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明
の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を
行ってもよい。
【0052】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.医療用管状体の作製 本発明の医療用管状体10を以下のようにして作製し
た。医療用管状体10は、図1および図2に示したよう
に、最外層12と中間層14と最内層16とを具備す
る。
【0053】初めに、長さ60cm、外径1.7mmの
芯金に、金属リボンを隙間なく45度の角度で左巻きで
巻き付け、長さ48cmの管状の単層コイルを作成し、
最内層16とした。この金属リボンは、ステンレス鋼S
US316L製の市販品(厚さ25μm)を、0.3m
m幅にスリット加工して得たものである。なお、巻き方
向は、右巻きおよび左巻きのいずれでもよい。この金属
リボンからなる管状の単層コイルは、導電性材料からな
る電磁波シールド層であり、電磁波の反射層として機能
する。なお、電磁波シールド層は、単層コイルである必
要性はなく、多層多条異方向密着巻き平板コイルを用い
てもよい。単層コイルの場合、隣接する金属リボンの間
に屈曲時に隙間が生じることがあるが、その隙間は最大
数mm程度であり、金属リボンは近接した状態にあるの
で、電磁波が隙間をすり抜けることはなく、電磁波シー
ルド層に反射されまたはトラップされる。本実施例にお
いては、単層コイルの末端について接合、溶接、接着等
を特に行わず、また、アースは特に取らなかったが、ロ
ウ付け;溶接;カシメ等による接合;接着剤等による接
着等を行ってもよく、また、アースのための末端露出部
品への固定を行ってもよい。
【0054】つぎに、最内層16である単層コイルの全
長上に、単層コイルを形成する金属リボンの隙間を覆う
ように、電磁干渉抑制体テープを隙間なく45度の角度
で右巻きで巻き付け、中間層14とした。電磁干渉抑制
体テープとしては、(株)トーキン製の電磁干渉抑制体
の肉厚50μmの連続シート(商品名「フィルムインピ
ーダーE50シート」)を1mm幅にスリット加工して
得られたものである。前記連続シートは、電磁波吸収性
能を有する金属粉末として軟磁性金属扁平粉であるセン
ダスト(組成:Si9.5質量%、Al5.5質量%、
残部Fe;平均粒径50μm;アスペクト比15;キュ
リー温度500℃)を混入した樹脂からなる。なお、巻
き方向は、右巻きおよび左巻きのいずれでもよく、ま
た、単層コイルの巻き方向と同じであっても異なってい
てもよい。
【0055】更に、中間層14の上から、シリコーンゴ
ム系の熱収縮チューブを被せ、ヒートガンで熱風を外側
から吹きつけ熱収縮させて密着させ、最外層12を形成
し、三層構造体を得た。熱収縮チューブとしては、収縮
前長さ60cm、収縮前内径2.6±0.3mm、収縮
前肉厚約0.2mm、最大収縮時内径1.3mm、収縮
後肉厚0.40±0.10mmのものを用いた。なお、
熱収縮チューブはポリオレフィンやシリコーンゴム製の
ものが市販されており、既製品および特注品を容易に入
手することができる。また、ヒートガンでの加熱以外に
も、オーブン中に入れて熱収縮させることもできる。
【0056】その後、芯金を抜去して、本発明の医療用
管状体10を得た。完成した本発明の医療用管状体10
は、芯金により内径が1.7mm以上確保されていた。
また、外径は2.1mmとなった。最内層16に用いた
金属リボンの巻き付けによるスプリングバックと、最外
層12に用いた熱収縮チューブの残存収縮力により、三
層構造の医療用管状体10は一体となっており、中間層
14および最内層16においても、ほつれや飛び出しは
なかった。なお、本実施例においては、長さ60cmの
芯金を用いたが、連続線用の芯金を用いるなどすれば、
連続化は容易であり、長尺品の製造も容易である。
【0057】医療用管状体10においては、シリコーン
ゴムからなる最外層12が血液と接触する接液部材とな
る。このシリコーンゴムは、生体適合性に優れ、長期の
埋め込み材料として利用することができるので好まし
い。なお、最外層12を構成する材料は、シリコーンゴ
ムに限定される訳ではなく、生体適合性材料であればよ
い。特に、生体適合性に優れ、カテーテル等の素材とし
て使用実績のある樹脂であるのが好ましい。また、最外
層12は、熱収縮性である必要はなく、溶媒膨潤により
中間層14の上に被覆させたり、最外層12となる管状
体の中に最内層16と中間層14とからなる2層の構造
体を単純に挿入させたりすることによって形成させても
よい。
【0058】中間層14に用いた電磁干渉抑制体は、超
高周波領域の電磁波を吸収したり、渦電流を抑制したり
することが知られており、EMC(Electro M
agnetic Compatibility、電磁両
立性)対策商品としてシート状のものが各種市販されて
いる。しかしながら、電磁干渉抑制体は生体内で用いる
ことは想定されておらず、成分の溶出が懸念されるた
め、そのまま生体適合性材料として用いることはできな
い。これに対し、医療用管状体10は、生体適合性材料
からなる最外層12を具備するので、生体内で使用する
ことができる。
【0059】最内層16は、電磁波シールド層である。
上述した中間層14に用いた電磁干渉抑制体は、ギガヘ
ルツ帯の電磁波を効率よくエネルギー変換してノイズ除
去するよう設計されており、低周波領域の電磁波は吸収
しない。したがって、低周波領域の電磁波を遮蔽する電
磁波シールド層として、最内層16を設けることが好ま
しいのである。なお、携帯電話等の高周波領域の電磁波
ノイズに対しては、電磁干渉抑制体のみでも効果を発揮
する。
【0060】2.ペースメーカーリードの作製 上記で得られた本発明の医療用管状体を用いて、本発明
の医療用具であるペースメーカーリードを作製した。図
3は、前記ペースメーカーリードとペースメーカー本体
とから構成されるペースメーカーを示す側面模式図であ
り、図4は、図3のA−A部の部分断面模式図である。
ペースメーカーリード20は、図4に示したように、本
発明の医療用管状体10の内部に、樹脂被覆導体コイル
22を挿通することにより作製された。ペースメーカー
リード20は、図3に示されるように、単極リードタイ
プである。この単極リードタイプのペースメーカーリー
ドは、図5に示した双極リードタイプに比べて、電磁波
の影響を受けやすいといわれている。このペースメーカ
ーリード20は、図3に示したように、ペースメーカー
本体30と組み合わせて、後述するペースメーカーの電
磁波障害試験に用いられた。
【0061】3.ペースメーカーの電磁波障害試験 市販の最新機種DDDR(Double chambe
rs−Doublechambers−Double
rate−Responsive)タイプ(レート反応
型)のペースメーカー本体を用いて、電磁波イミュニテ
ィ国際規格IEC61000−4−3およびMIL−S
TD−462に準じた試験系で、電磁波によるペースメ
ーカーの誤イベント(電磁波障害)の発生とペースメー
カーリードとの関係について調査した。ペースメーカー
リードを接続しなかった場合、400V/mの高周波電
界においても、誤イベントの発生は認められなかった。
市販のペースメーカーリードを接続した場合、ペースメ
ーカー本体の条件は、最大センシング感度を0.18〜
0.5mVとし、ペースメーカー本体の動作モードをA
AIとした。これは、最も電磁波の影響を受けやすい動
作状態である。この場合、10V/mの放射電磁界およ
び400V/mの高周波電界のいずれにおいても、数1
0〜800MHzの帯域で誤イベントの発生が認められ
た。30kHz以下の低周波磁界では影響は認められな
かった。上記で得られたペースメーカーリード20を装
着した場合、市販のペースメーカーリードにおいて顕著
な影響が認められた電界強度400V/m、10kHz
〜3GHz、変調周波数40〜400Hzの電磁界をス
プリットライン内で照射しても、誤イベントの発生が認
められなかった。即ち、本発明の医療用具であるペース
メーカーリードは、強力な電磁波の直接照射によるペー
スメーカーの誤動作を防ぐことが証明された。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、カテーテル、ペー
スメーカーリード等は、従来、長尺で細長いためアンテ
ナとなりやすく、電磁波障害を受けやすかったが、本発
明の医療用複合材料の好適な態様の一つである本発明の
医療用管状体を用いると、カテーテル、ペースメーカー
リード等に電磁波耐性を付与することができる。そし
て、本発明の医療用複合材料の好適な態様の一つである
本発明の医療用管状体は、生体内での使用を十分に考慮
したものであり、本発明によれば、これまで不可能であ
った医療用具の電磁波障害の回避策を提供することがで
きる。また、本発明の医療用具は、従来品とは異なり、
電磁波障害を受けることがないため、カテーテル、ペー
スメーカーリード等として、好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の医療用管状体の一例を示す断面模式
図である。
【図2】 本発明の医療用管状体の一例を示す側断面模
式図である。
【図3】 ペースメーカーの構成を示す模式図である。
【図4】 図3のA−A部の部分断面模式図である。
【図5】 ペースメーカーを人体に埋め込んだ状態を示
す模式図である。
【符号の説明】
10 医療用管状体 12 最外層 14 中間層 16 最内層 20 ペースメーカーリード 22 樹脂被覆導体コイル 30 ペースメーカー本体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C053 JJ11 JJ18 JJ23 4C081 AB35 AC08 CF132 CG08 DA01 DB02 DC04 4C167 AA01 BB12 BB13 BB26 CC04 FF01 GG23 GG31 HH08

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体適合性材料からなる外部接触層と、電
    磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する機能層とを具
    備する医療用複合材料。
  2. 【請求項2】前記金属粉末が、軟磁性材料からなる請求
    項1に記載の医療用複合材料。
  3. 【請求項3】前記金属粉末が、Fe−Al−Si合金ま
    たはFe−Cu−Nb−Si−B合金からなる請求項1
    に記載の医療用複合材料。
  4. 【請求項4】前記金属粉末の形状が、扁平状である請求
    項1〜3のいずれかに記載の医療用複合材料。
  5. 【請求項5】最外層と少なくとも一層の内層とを具備す
    る医療用管状体であって、該最外層が生体適合性材料か
    らなる外部接触層であり、かつ、該内層の少なくとも一
    層が電磁波吸収性能を有する金属粉末を含有する機能層
    である医療用管状体。
  6. 【請求項6】前記金属粉末が、軟磁性材料からなる請求
    項5に記載の医療用管状体。
  7. 【請求項7】前記金属粉末が、Fe−Al−Si合金ま
    たはFe−Cu−Nb−Si−B合金からなる請求項5
    に記載の医療用管状体。
  8. 【請求項8】前記金属粉末の形状が、扁平状である請求
    項5〜7のいずれかに記載の医療用管状体。
  9. 【請求項9】生体内に留置して用いられる管状体と、該
    管状体の内部に挿通された電気信号伝達手段とを具備す
    る医療用具であって、該管状体が、少なくとも、電磁波
    吸収性能を有する金属粉末を含有する機能層を具備する
    医療用具。
  10. 【請求項10】前記管状体が、生体適合性材料からなる
    最外層を具備する請求項9に記載の医療用具。
  11. 【請求項11】前記管状体が、導電性材料または軟磁性
    材料からなる電磁波シールド層を具備する請求項9また
    は10に記載の医療用具。
  12. 【請求項12】前記金属粉末が、軟磁性材料からなる請
    求項9〜11のいずれかに記載の医療用具。
  13. 【請求項13】前記金属粉末が、Fe−Al−Si合金
    またはFe−Cu−Nb−Si−B合金からなる請求項
    9〜11のいずれかに記載の医療用具。
  14. 【請求項14】前記金属粉末の形状が、扁平状である請
    求項9〜13のいずれかに記載の医療用具。
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