JP2003039594A - 樹脂被覆シームレス缶およびその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆シームレス缶およびその製造方法

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JP2003039594A JP2001229297A JP2001229297A JP2003039594A JP 2003039594 A JP2003039594 A JP 2003039594A JP 2001229297 A JP2001229297 A JP 2001229297A JP 2001229297 A JP2001229297 A JP 2001229297A JP 2003039594 A JP2003039594 A JP 2003039594A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂被覆金属板から一体成形されるシームレ
ス缶において、少なくとも缶内面側にラミネートされて
いる熱可塑性樹脂の保護被膜について、接着性や加工性
を充分に確保することができ、金属腐食成分に対する耐
透過性を充分に確保することができて、耐デント性を低
下させることのないようにする。 【解決手段】 両面に熱可塑性樹脂の保護被膜12,1
3がラミネートされた樹脂被覆金属板10(A図)から
一体成形されるシームレス缶(C図)において、缶内面
側にラミネートされている保護被膜12が、金属面11
Aの側から順に、低融点の熱可塑性樹脂による非晶質層
12aと、高融点の熱可塑性樹脂による配向結晶層12
bとの二層構造に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両面に熱可塑性樹
脂の保護被膜がラミネートされた樹脂被覆金属板から一
体成形されるシームレス缶に関し、特に、胴部外面側で
保護被膜の上から印刷済み樹脂フィルムが貼着される印
刷済みフィルム貼着缶体に適した樹脂被覆シームレス缶
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミやスチールの金属板から絞りしご
き加工や深絞り加工(絞り・再絞り加工)等の適宜の方
法により一体成形される側面無継目(サイド・シームレ
ス)のシームレス缶について、金属板の両面に予め熱可
塑性樹脂の保護被膜がラミネートされた樹脂被覆金属板
から缶体を一体成形するということや、更に、そのよう
に樹脂被覆金属板から一体成形された缶体の胴部外面側
に対して、予めグラビア印刷により美麗な印刷デザイン
が施された印刷済み樹脂フィルムを熱接着により貼着す
るということは従来から公知となっている(例えば、特
開2000−177745号公報等参照)。
【0003】胴部が薄肉に延伸されて継目の無い円筒状
に一体成形されるシームレス缶では、円筒状に成形され
た胴部に対して印刷を施すこととなるため、グラビア印
刷やオフセット印刷による重ね刷り印刷が事実上できな
いことから、従来から一般的にドライオフセット印刷が
適用されているが、上記のように予め印刷済みの樹脂フ
ィルムを胴部の外面側に熱貼着することで、グラビア印
刷等による豪華で美麗な印刷デザインを円筒状に成形さ
れた胴部の外面側に施すことが可能となる。
【0004】また、上記のように樹脂被覆金属板からシ
ームレス缶を一体成形することで、金属板の両面にラミ
ネートされた熱可塑性樹脂が成形加工時に潤滑剤の働き
をするため、成形加工時での潤滑剤の使用量を抑えるこ
とができ、成形後に潤滑剤を除去するために多量の洗浄
水を使用する必要がなくなり、しかも、缶体の成形後に
缶内面側と缶外面側に保護被膜となる樹脂塗料を改めて
スプレー塗装する必要がなくなると共に、缶内容物と接
触する缶内面側の保護被膜にビスフェノールAを含まな
い熱可塑性樹脂を使用することで、缶詰の保管時に缶内
容物中にビスフェノールAが溶出するのを防ぐことがで
きる。
【0005】そのようなシームレス缶の材料となる樹脂
被覆金属板について、特開昭58−220729号公報
には、ポリエステル樹脂の融点以上に加熱された金属板
に、結晶性飽和ポリエステル樹脂フィルムをラミネート
し、その後、ラミネートされた結晶性飽和ポリエステル
樹脂フィルム表面の最大温度を結晶性飽和ポリエステル
樹脂の結晶溶解開始温度以下に保ち、10秒以内に金属
板の温度を該結晶溶解開始温度以下に冷却するという製
造方法が開示されている。
【0006】そのような方法により製造される樹脂被覆
金属板によれば、ラミネートされた結晶性飽和ポリエス
テル樹脂と金属板との間に薄い無定形状態のポリエステ
ル樹脂層が形成される(即ち、ラミネートされたポリエ
ステル樹脂の保護被膜が、結晶性ポリエステル樹脂によ
る配向結晶層と、無定形状態のポリエステル樹脂による
非晶質層との二層構造となる)ことにより、配向結晶層
によって水や蒸気やイオン成分等に対する優れた耐透過
性を維持できると共に、非晶質層によって保護被膜と金
属板の接着性を強化することができる。
【0007】なお、金属板に保護被膜となる熱可塑性樹
脂をラミネートする方法としては、熱可塑性樹脂のフィ
ルムを予め加熱した金属板に直接ラミネートする方法の
他にも、予め加熱した金属板上に軟化した熱可塑性樹脂
をTダイから押し出してラミネートする方法、熱可塑性
樹脂のフィルムに接着剤層を形成しておき、これを予め
加熱した金属板にラミネートする方法、金属板上に接着
剤層を形成しておき、予め加熱した金属板上にTダイか
ら熱可塑性樹脂を押し出してラミネートする方法等の種
々の方法が従来から知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱可塑性樹
脂の保護被膜がラミネートされた樹脂被覆金属板からシ
ームレス缶を一体成形する場合、どのような方法により
金属板に熱可塑性樹脂の保護被膜がラミネートされた樹
脂被覆金属板であっても、保護被膜の接着性および加工
性の観点からは、深絞り加工(絞り・再絞り加工)や絞
りしごき加工等の成形加工を行うのに先立って、ラミネ
ートされている熱可塑性樹脂を予め非晶質化しておくこ
とが好ましい。
【0009】しかしながら、保護被膜の熱可塑性樹脂を
予め非晶質化しておいたとしても、その後の成形加工に
より金属板が延伸されるのに連れて熱可塑性樹脂も一軸
延伸されるため、缶体の胴部が薄肉円筒状に成形された
段階で、少なくとも胴部では熱可塑性樹脂が配向結晶化
された状態となってしまうことから、そのままでは、そ
の後、胴部の開口端部の側に一段以上縮径するネックイ
ン加工を施したり、ネック部の上端にフランジ加工を施
したりする際に、熱可塑性樹脂の接着性や加工性が配向
結晶化により低下していることで、熱可塑性樹脂が缶体
の金属面から剥離するような虞が生じる。
【0010】そこで、そのような問題を解消するため
に、胴部が薄肉円筒状となるように缶体を成形してか
ら、その開口端部側にネック・フランジ加工を施すより
も前に、缶体の内外両面を被覆する保護被膜の熱可塑性
樹脂を改めて非晶質化しておくことが考えられるが、そ
うした場合、最終的に製造される缶体の保護被膜全体が
非晶質化された状態となることで、保護被膜が配向結晶
化された熱可塑性樹脂による場合と比べて、水分や蒸気
や各種イオン成分に対する耐透過性(バリヤー性)が低
下したものになる。
【0011】そのような点に関して、上記の特開昭58
−220729号公報には、缶体の材料となる樹脂被覆
金属板について、金属板にラミネートされた保護被膜を
配向結晶層と非晶質層との二層構造にすることで、金属
板との接着性を強化すると共に、水や蒸気や各種イオン
等に対する優れた耐透過性を維持するということが開示
されているが、そのような樹脂被覆金属板を材料として
缶体を一体成形しても、金属板と結晶性ポリエステル樹
脂との間に形成されている無定形状態のポリエステル樹
脂層(非晶質層)は、成形加工時に一軸延伸されて配向
結晶化されてしまい、これをネック・フランジ加工の前
に改めて非晶質化しようとすると、やはり保護被膜全体
が非晶質化されてしまうことで上記のような耐透過性の
低下の問題が起きることとなる。
【0012】なお、上記の特開昭58−220729号
公報中に開示されているような方法(金属板にラミネー
トされた熱可塑性樹脂フィルムを配向結晶層と非晶質層
との二層構造にするための方法)については、材料とな
る樹脂被覆金属板それ自体を製造するために平坦な金属
板に対して実施することは可能であるかもしれないが、
成形された状態の缶体に対して実施することは実際上は
不可能であるものと思われる。
【0013】一方、樹脂被覆金属板から一体成形される
シームレス缶について、ネックイン加工やフランジ加工
を施すよりも前に、円筒状に成形された胴部の外面側に
印刷済み樹脂フィルムを貼着する場合、印刷済み樹脂フ
ィルムに形成された接着剤層の熱接着温度以上の温度と
なるように、高周波誘導加熱等によって予め缶体を加熱
しておき、フィルム貼着装置のマンドレルに冠着させた
缶体に対して、一缶分毎の大きさのシートに切断された
印刷済み樹脂フィルムを、その接着剤層の側が缶体の胴
部外面に接触するように貼着ロールにより押圧すること
で熱接着させて貼着している。
【0014】その際、印刷済み樹脂フィルムの貼着後、
開口端部の側を一段以上縮径するネックイン加工を受
け、更にフランジ加工を受けた時に、多数の缶体の中に
はそれらの加工中に印刷済み樹脂フィルムが缶体の金属
面から剥離するものがでる虞があるのに対して、そのよ
うな剥離が起きない程度に印刷済み樹脂フィルムと缶体
の接着性を充分に確保できるように、従来は、印刷済み
樹脂フィルムを貼着する前の缶体の温度(缶体の胴部外
面の温度)が170〜210℃となるように加熱してい
る。
【0015】ところが、そのように缶体が加熱されるこ
とにより、缶体の底部のように殆ど延伸加工されず保護
被膜の熱可塑性樹脂が非晶質化されたまま残っている部
分では、保護被膜の熱可塑性樹脂の球晶化が進むことと
なって、保護被膜の接着性や加工性が低下すると共に、
耐デント性(缶詰が衝撃を受けて凹みを生じた場合に
も、その部分が保護被膜の密着性や被覆性が完全に保た
れることが要求される特性)が低下して、保護被膜に微
細なクラックが発生し易くなり、内容物を充填・密封し
た後の缶体が落下衝撃を受けたような時に、保護被膜に
傷(割れ)が入り易くなって、耐内容物性(缶内に充填
される内容物に対する耐食性)が低下するような虞が生
じる。
【0016】なお、非晶質化された樹脂の球晶化を進め
るような缶体の加熱については、印刷済み樹脂フィルム
を貼着する場合に限らず、缶体に直接印刷して塗装(ト
ップコート塗装)する場合でも、印刷・塗装後の乾燥工
程で缶体を加熱することとなり、また、缶体に印刷済み
樹脂フィルムを貼着する(或いは印刷・塗装を施す)よ
りも前に、成形加工のために塗布した潤滑剤を除去する
ために缶体を高温に加熱することもある。
【0017】本発明は、上記のような問題の解消を課題
とするものであり、具体的には、樹脂被覆金属板から一
体成形されるシームレス缶において、少なくとも缶内面
側にラミネートされている熱可塑性樹脂の保護被膜につ
いて、接着性や加工性を充分に確保することができ、金
属腐食成分に対する耐透過性を充分に確保することがで
きて、耐デント性を低下させることのないようにするこ
とを課題とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、両面に熱可塑性樹脂の保護被膜
がラミネートされた樹脂被覆金属板から一体成形される
シームレス缶において、缶内面側にラミネートされてい
る保護被膜が、金属面の側から順に、低融点の熱可塑性
樹脂による非晶質層と、高融点の熱可塑性樹脂による配
向結晶層との二層構造に形成されていることを特徴とす
るものである。
【0019】また、そのような樹脂被覆シームレス缶を
製造するための方法として、両面に熱可塑性樹脂の保護
被膜がラミネートされ、缶内面となる側の保護被膜が、
金属板の側から順に低融点の熱可塑性樹脂層と高融点の
熱可塑性樹脂層との二層構造とされ、該保護被膜の少な
くとも低融点の熱可塑性樹脂層が予め非晶質化されてい
る樹脂被覆金属板を材料として、胴部を薄肉に延伸させ
た状態の有底円筒状の缶体を一体成形してから、その開
口端部側にネック・フランジ加工を施す前に、後加熱処
理として、缶内面側の保護被膜の高融点の熱可塑性樹脂
の融点よりも低い温度で、缶内面側の保護被膜の低融点
の熱可塑性樹脂を溶融させるように、短時間加熱してか
ら急冷するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】上記のような構成の樹脂被覆シームレス缶
によれば、低融点の熱可塑性樹脂による非晶質層によ
り、保護被膜の接着性や加工性が充分に確保され、ま
た、高融点の熱可塑性樹脂による配向結晶層により、水
や蒸気や各種イオン等の金属腐食成分に対する耐透過性
が確保されると共に、非晶質層が球晶化されていないこ
とにより、耐デント性が低下するようなこともない。
【0021】また、上記のような樹脂被覆シームレス缶
の製造方法によれば、有底円筒状の缶体に成形した後、
ネック・フランジ加工を施すよりも前に、後加熱処理に
より、高融点の熱可塑性樹脂層では配向結晶を残したま
ま、低融点の熱可塑性樹脂層だけを改めて非晶質化する
ことができて、その結果、製造されたシームレス缶の缶
内面側の保護被膜を、確実に非晶質層と配向結晶層との
二層構造にすることができる。また、潤滑剤の除去や印
刷済み樹脂フィルムの貼着のための缶体の加熱が終わっ
た後、ネック・フランジ加工を施す前に、後加熱処理に
より低融点の熱可塑性樹脂を非晶質化させていて、それ
以後の製缶工程では非晶質層の球晶化を進めるような加
熱工程がないため、非晶質層の球晶化に起因する耐デン
ト性の低下を招くようなことはない。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の樹脂被覆シームレ
ス缶およびその製造方法の実施形態について、図面に基
づいて詳細に説明する。なお、本発明の樹脂被覆シーム
レス缶の一実施形態に係る印刷済みフィルム貼着缶体に
ついて、図1は、(A)ネック・フランジ加工前と
(B)ネック・フランジ加工後のそれぞれの状態の外観
を示し、図2は、(A)樹脂被覆金属板と(B)印刷済
み樹脂フィルムと(C)印刷済みフィルム貼着缶体の胴
部とにおけるそれぞれの断面積層構造を示すものであ
る。なお、図面に示されている各部分の寸法については
実際のものと関係なく単に模式的に示したものである。
【0023】本実施形態の樹脂被覆シームレス缶は、樹
脂被覆金属板から一体成形された側面無継目(サイド・
シームレス)の缶体に対して、その胴部外面側に印刷済
み樹脂フィルムが貼着されている印刷済みフィルム貼着
缶体であって、図1(A)に示すように、胴部2と底部
3が一体成形されて胴部2の外面側に印刷済み樹脂フィ
ルム20が貼着された缶体に対して、その開口端部側に
ネック・フランジ加工(ネックイン加工とフランジ加
工)が施されることで、図1(B)に示すように、胴部
2の上端付近がネック部4に縮径化され、ネック部4の
上端にフランジ部5が形成されるものである。なお、ネ
ック・フランジ加工が施された後の缶体の上端開口部に
は、図示していないが、内容物の充填後に缶蓋(イージ
ーオープンエンド)がフランジ部5に巻締め固着される
こととなる。
【0024】そのような印刷済みフィルム貼着缶体1の
胴部2では、図2(C)に示すように、缶体の内面側に
ラミネートされている保護被膜(熱可塑性樹脂層)12
が、金属面(缶体の金属部分11Aの表面)の側から順
に、低融点の熱可塑性樹脂による非晶質層12aと、高
融点の熱可塑性樹脂による配向結晶層12bとの二層構
造に形成されており、缶体の外面側にラミネートされて
いる保護被膜(熱可塑性樹脂層)13の上から、印刷済
み樹脂フィルム20がその接着剤層24を介して貼着さ
れている。
【0025】そのような印刷済みフィルム貼着缶体1
は、図2(A)に示すような、金属板11の一方の面
(缶内面となる側の面)に、金属板11の側から順に、
低融点の熱可塑性樹脂層12aと高融点の熱可塑性樹脂
層12bとの二層構造に形成された熱可塑性樹脂フィル
ムが保護被膜12としてラミネートされ、また、金属板
11の他方の面(缶外面となる側の面)に、少なくとも
金属板11の側の部分で、前記の高融点の熱可塑性樹脂
層12bよりも融点が低い熱可塑性樹脂(単層でも二層
構造でも良い)となっている熱可塑性樹脂フィルムが保
護被膜13としてラミネートされている樹脂被覆金属板
10を缶体の材料とし、図2(B)に示すような、基材
となる熱可塑性樹脂フィルム22に対してトップコート
層21,印刷インキ層23,接着剤層24の各層が形成
された印刷済み樹脂フィルム20を貼着用フィルムとし
て製造されるものである。
【0026】すなわち、二軸延伸された熱可塑性樹脂フ
ィルムが両面に保護被膜12,13としてラミネートさ
れた樹脂被覆金属板10について、缶体の成形加工に先
立って両面の保護被膜12,13(高融点の熱可塑性樹
脂層12bを除く)を非晶質化させてから、両面に潤滑
剤を塗布した後、樹脂被覆金属板10に対して絞りしご
き加工等の適宜の成形加工を施すことで、胴部を薄肉に
延伸させた状態の有底円筒状の缶体を一体成形した後、
缶体から潤滑剤を除去すると共に、缶体を缶内面側の保
護被膜12(少なくとも高融点の熱可塑性樹脂12b)
の粘着開始温度よりも低い温度に予備加熱して、缶体の
胴部外面に保護被膜13の上から印刷済み樹脂フィルム
20を接着剤層24を介した熱接着により貼着してい
る。
【0027】そして、缶体の胴部外面に印刷済み樹脂フ
ィルム20が貼着された缶体に対して、後加熱処理とし
て、缶内面側の保護被膜12の高融点の熱可塑性樹脂1
2bの融点よりも低い温度で、缶内面側の保護被膜12
の低融点の熱可塑性樹脂12aを溶融させ、また、缶外
面側の保護被膜13の少なくとも金属面の側の熱可塑性
樹脂を溶融させるように、印刷済み樹脂フィルム20の
接着剤層24の活性化温度以上の温度で短時間加熱して
から急冷した後、缶体の開口端部側にネック・フランジ
加工を施している。
【0028】そのような印刷済みフィルム貼着缶体の製
造方法について、更に詳しく説明すると、先ず、樹脂被
覆金属板10の基材である金属板11については、従来
からシームレス缶で使用されている製缶用の金属板、即
ち、アルミニウム板やアルミニウム合金板、ニッケルメ
ッキ鋼板,錫メッキ鋼板,極薄錫メッキ鋼板,電解クロ
ム酸処理鋼板,亜鉛メッキ鋼板等のような熱硬化性樹脂
や熱可塑性樹脂との密着性に富むような表面処理が施さ
れた表面処理鋼板であれば適宜選択的に使用することが
できる。
【0029】金属板11の両面に保護被膜12,13と
してラミネートする熱可塑性樹脂としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ポリプロピレン,エチレ
ン/プロピレン共重合体,変性オレフィン等のポリオレ
フィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレ
ンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,エチレ
ンテレフタレート/イソフタレート共重合体,エチレン
テレフタレート/アジペート共重合体,ブチレンテレフ
タレート/イソフタレート共重合体,エチレンナフタレ
ート/テレフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、及びそれらの2種類以上の混合
樹脂等が好適に使用できる。
【0030】金属板11の缶内面側となる面にラミネー
トする保護被膜12について、本実施形態では、低融点
(200〜230℃)の熱可塑性樹脂と、それよりも1
5〜45℃高融点(215〜255℃)の熱可塑性樹脂
とで構成される二層構造の二軸延伸フィルムを使用して
おり、例えば、エチレンテレフタレート/イソフタレー
ト共重合体による二軸延伸フィルムの場合、エチレンテ
レフタレートとイソフタレートのモル比が異なる樹脂
(例えば、モル比が98/2で融点が245℃の樹脂
と、モル比が80/20で融点が215℃の樹脂)を二
層に積層したフィルムを使用していて、低融点の熱可塑
性樹脂層の方が金属板の側となるように熱ラミネートし
ている。
【0031】この二層構造のフィルムにおける低融点の
熱可塑性樹脂と高融点の熱可塑性樹脂との融点の温度差
については、後で述べるような印刷済み樹脂フィルムを
貼着した後の後加熱処理工程において、低融点の熱可塑
性樹脂だけを非晶質化させて高融点の熱可塑性樹脂の配
向結晶を残し易くするという観点と、二層構造の二軸延
伸フィルムを製造するときの容易性という観点とから、
特に20〜35℃の範囲とするのが好ましい。
【0032】また、本実施形態では、印刷済みフィルム
貼着缶体を製造するために、印刷済み樹脂フィルムを缶
体の胴部外面側に貼着するときに、缶内面側の保護被膜
がマンドレルに押圧されて傷付いたり、マンドレルに粘
着して缶体をマンドレルから取り外し難くしないため
に、缶内面側の保護被膜の少なくともマンドレルと接触
する側の樹脂(高融点の熱可塑性樹脂層)については、
粘着開始温度が170℃以上(フィルム貼着時の缶体の
温度以上)であるような熱可塑性樹脂を使用している。
【0033】なお、熱可塑性樹脂の粘着開始温度(軟化
開始温度)については、加熱した金属板に熱可塑性樹脂
フィルムを接触させながら一対の押圧ロールにより狭圧
して、40kg/cmの線圧をかけながら、100m/
分の速度で貼り付けるということを、金属板の加熱温度
を少しずつ変えて行ってから、得られた各サンプルにつ
いて、熱可塑性樹脂フィルム貼着金属板から熱可塑性樹
脂フィルムを剥離する剥離試験を行って、その剥離強度
(Tピール強度)を測定し、1kg/cm2 以上の強度
が得られた場合の金属板の加熱温度の最低温度を粘着開
始温度としたものである。
【0034】一方、缶外面側となる面にラミネートする
保護被膜13については、缶内面側となる面にラミネー
トするフィルムと全く同一の二層構造のフィルムをラミ
ネートするか、又は、缶内面側となる面にラミネートす
るフィルムの低融点の熱可塑性樹脂層と同じ樹脂による
単層の熱可塑性樹脂フィルムをラミネートするか、又
は、缶内面側となる面にラミネートするフィルムのうち
の低融点の熱可塑性樹脂よりも融点は高いが、高融点の
熱可塑性樹脂よりは融点が低いような熱可塑性樹脂によ
る単層の熱可塑性樹脂フイルムをラミネートするか、適
宜選択可能なものではあるが、何れにしても、缶外面側
となる面にラミネートするフィルムの少なくとも金属板
側の熱可塑性樹脂は、缶内面側となる面にラミネートす
るフィルムの高融点の熱可塑性樹脂よりも融点が低い熱
可塑性樹脂である。
【0035】保護被膜として熱可塑性樹脂の二軸延伸フ
ィルムを金属板の両面にラミネートした樹脂被覆金属板
について、本実施形態では、缶内面側となる面のフィル
ムの高融点の熱可塑性樹脂層に二軸配向を残した状態
(両面に同じ二層構造のフィルムをラミネートした場合
には、缶外面側となる面のフィルムの高融点の熱可塑性
樹脂層にも二軸配向を残した状態)で、その他の熱可塑
性樹脂を非晶質化しているが、高融点の熱可塑性樹脂層
を含めて、金属板の両面にラミネートした熱可塑性樹脂
フィルムを全て非晶質化しておいても良い。
【0036】すなわち、保護被膜の熱可塑性樹脂を全て
非晶質化しておいても、樹脂被覆金属板を打ち抜き絞り
加工してカップを成形した後、そのカップに再絞り加工
を施し、更に、ストレツチ加工及びしごき加工を行う
(パンチとダイとを冷却しながら成形を行う)ことによ
り、金属板の両面の熱可塑性樹脂層(ガラス転移点以上
融点未満で加工を受けることになる)も缶体の軸方向と
平行な方向へ引き延ばされる力を受けて延伸するので、
成形された後の缶体の両面の熱可塑性樹脂層は一軸配向
結晶化された状態になり、その結果、後で述べるような
後加熱処理を経た後では、保護被膜に非晶質層と配向結
晶層とが形成されることとなる。
【0037】樹脂被覆金属板の両面に保護被膜の上から
塗布する潤滑剤については、例えば、ノルマルブチルス
テアレート,セバシン酸ジオクチル,流動パラフィン,
ポリエチレンワックス,ペトロラタム,パーム油等の1
種類又は2種類以上による高温揮発性の潤滑剤を使用し
ており、グラビアロール等により帯状の樹脂被覆金属板
の両面にそれぞれ薄く均一に塗布していて、樹脂被覆金
属板から有底円筒状の缶体を一体成形した後、缶体を高
温に加熱することで除去している。
【0038】樹脂被覆金属板10から一体成形されて潤
滑剤が除去された缶体の胴部外面側に貼着される印刷済
み樹脂フィルム20について、本実施形態では、図2
(B)に示すように、基材となる熱可塑性樹脂フィルム
22に対して、トップコート層21とは反対側の面に印
刷インキ層23を形成しているが、そのようなものに限
らず、トップコート層21と同じ側の面に印刷インキ層
23を形成して、印刷インキ層23の上をトップコート
層21で覆うようにしても良いし、更には、その他にホ
ログラム形成層や金属蒸着層などを適宜に設けたような
印刷済み樹脂フィルムも使用することができる。
【0039】印刷済み樹脂フィルム20の基材となる熱
可塑性樹脂フィルム22としては、ポリエステルフィル
ム,ポリプロピレンフィルム,ポリアミド(ナイロン)
フィルム等の樹脂フィルムが使用可能であるが、透明性
や耐熱性や印刷適性や価格を考慮すると、ポリエチレン
テレフタレートやポリブチレンテレフタレートやエチレ
ンテレフタレート/イソフタレート共重合体のようなポ
リエステル樹脂による二軸延伸フィルムが好適に使用で
きる。
【0040】印刷済み樹脂フィルム20のトップコート
層21としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂系塗
料,アクリル樹脂系塗料,エポキシ樹脂系塗料,アルキ
ッド樹脂系塗料など、透明な熱硬化型塗料や電子線硬化
型塗料や紫外線硬化型塗料が使用可能であって、それら
の塗料に対して、滑り性をより向上させるためにシリコ
ンやワックス等の滑性剤を添加しても良い。
【0041】印刷済み樹脂フィルム20の印刷インキ層
23としては、文字や図柄を印刷により施すものである
ため特別制限するものではないが、熱硬化性のウレタン
系樹脂をバインダーとするインキが一般的に使用されて
おり、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ
印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可
能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字
や図柄を印刷したい場合には、グラビア印刷法により印
刷するのがよい。
【0042】印刷済み樹脂フィルム20の接着剤層24
としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂,ウレタン
樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,アミノ樹脂等の単
独、又はこれらに硬化剤を加えた樹脂組成物、及びこれ
らの2種類以上の樹脂を混合した組成物に溶剤を加えた
ものからなる接着剤を塗布して乾燥させたものであっ
て、樹脂組成物のみの接着剤だけでなく、樹脂組成物に
対して更に酸化チタンや雲母等の無機顔料による白色顔
料を添加した接着剤も使用することができ、また、染
料,密着付与剤,アンチブロッキング剤等の添加物も含
有させることもできる。
【0043】なお、基材となる熱可塑性樹脂フィルム2
2に対してトップコート層と同じ側に印刷インキ層を形
成する(印刷インキ層の上をトップコート層で覆う)場
合には、基材となる熱可塑性樹脂フィルムとして、缶体
と接触する側が低融点の熱可塑性樹脂で形成され、その
反対側が高融点の熱可塑性樹脂で形成された二層構造の
熱可塑性樹脂フィルムを使用することにより、接着剤を
塗布・乾燥するようなことなく、熱可塑性樹脂フィルム
自体の低融点の熱可塑性樹脂層に接着剤層の役目をさせ
ることができる。
【0044】しかしながら、何れにしても、印刷済み樹
脂フィルム20を缶体に貼着する際に、缶内面側の保護
被膜がマンドレルに押圧されて傷付いたり、マンドレル
に粘着して缶体がマンドレルから取り外し難くならない
ように、缶体の加熱温度を制限している関係上、印刷済
み樹脂フィルム20の接着剤層24は、缶内面側の保護
被膜12(マンドレルに接触する高融点の熱可塑性樹脂
層12b)の熱可塑性樹脂の粘着開始温度よりも低い温
度で、缶外面側の保護被膜13と接着可能(例えば、缶
内面側の高融点の熱可塑性樹脂層12bの粘着開始温度
が170℃以上である場合には、100〜160℃で接
着可能)であることが好ましい。
【0045】上記のような本実施形態の印刷済みフィル
ム貼着缶体の製造方法について、具体的な実施例の内
容、および、実施例と比較例とについて検討した結果に
ついて、以下に説明する。
【0046】
【実施例】〔実施例1〕缶体の材料となる樹脂被覆金属
板について、JIS3004H191のアルミニウム合
金で板厚が0.28mmの帯状金属板を、予め約225
℃に予備加熱した状態で、その一方の面に、厚さ12μ
mのエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体
(モル比:98/2、融点:245℃)と、厚さ8μm
のエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体
(モル比:80/20、融点:215℃)との二層構造
に形成された二軸延伸フィルムを、低融点の樹脂の側が
金属板側となるように熱ラミネートすると共に、他方の
面に、厚さ18μmのエチレンテレフタレート/イソフ
タレート共重合体(モル比:80/20、融点:215
℃、白色顔料として酸化チタンを10重量%含有)の二
軸延伸フィルムを熱ラミネートしてから、直ちに水冷す
る。
【0047】上記のように製造された帯状の樹脂被覆金
属板では、一方の面(缶内面となる側)にラミネートさ
れた二層構造の二軸延伸フィルムは、金属面の側の樹脂
層が非晶質化されており(その反対側の樹脂層は二軸配
向のまま残されている)、また、他方の面(缶外面とな
る側)にラミネートされた単層の二軸延伸フィルムは、
殆ど全体が非晶質化されている。
【0048】次いで、上記のような帯状の樹脂被覆金属
板の両面に、潤滑剤としてノルマルブチルステアレート
をグラビアロールによりそれぞれ塗布してから、二層構
造のフィルムによる保護被膜が缶体の内面側となるよう
に、帯状の樹脂被覆金属板から一缶分毎の大きさのブラ
ンクを円板状に打ち抜くと共に絞り加工してカップを成
形した後、このカップを再絞りすると共にストレッチ加
工を加え、更にしごき加工を加えることによって、胴部
が薄肉化されて(最も薄肉部分が0.11mm)縦長で
直径約66mmの有底円筒状のカップに成形する。そし
て、このカップの底部を周知の方法でドーミング加工し
てから、約210℃のオーブン内を通過させることによ
りカップを約1分間加熱して潤滑剤を揮発させ、その
後、開口端部をトリミングすることで、両面が熱可塑性
樹脂の保護被膜で被覆された有底円筒状の缶体(ネック
・フランジ加工が施されていない缶体)とする。
【0049】一方、印刷済み樹脂フィルムについて、基
材となる熱可塑性樹脂フィルムとして、厚さ16μmで
幅が980mmの二軸延伸された透明なPET(ポリエ
チレンテレフタレート)フィルムをリールから巻き解き
ながら供給して、先ず、その一方の面に、熱硬化性塗料
を塗装して熱風乾燥させることでトップコート層を形成
してから、その反対側の面に、ウレタン系樹脂と顔料を
主成分とする各色のインキを使用したグラビア印刷方法
による繰り返し印刷を施し、直ちに、印刷インキ層の上
から全面的に、変性ポリエステル樹脂を主体とする接着
剤を塗装して熱風乾燥させることで接着剤層を形成した
後、この印刷済み樹脂フイルムを、フィルム両端の非印
刷部分を切断して除去することにより一缶分の高さと略
同じ幅にした状態でリールに巻き取っておく。
【0050】なお、トップコート層については、具体的
には、ポリエステル−アミノ樹脂系熱硬化性樹脂に対し
て0.05重量%のシリコンと2.0重量%のワックス
を配合した熱硬化性樹脂塗料により乾燥膜厚が1μmと
なるように形成しており、幅が970mmで円周長が8
40mmのシリンダーの表面に円周方向に202mmの
長さの彫刻部分と8mmの非彫刻部分とが4回繰り返さ
れて形成されているグラビアシリンダー(グラビアロー
ル)を使用することで、このシリンダーの円周方向に2
10mmのピッチで、且つ、そのうち円周方向に8mm
の範囲だけ幅方向に亘って塗料が付着しないように、帯
状のPETフィルムの一方の面に、フィルムの長手方向
に沿って202mmの塗装部分が8mmの非塗装部分を
挟んで繰り返し連続塗装されるようにしている。
【0051】また、印刷については、具体的には、PE
Tフィルムの片面の左端と右端からそれぞれ5mmを除
く全面に対して、トップコートの非塗装部分が装飾図柄
のつなぎ部分となるように位置合わせしながら、グラビ
ア印刷方法による装飾図柄の繰り返し印刷を施してお
り、接着剤層については、具体的には、ポリエステル樹
脂にエポキシ樹脂とイソシアネート化合物を数パーセン
ト添加してから温度をかけて変性させた変性ポリエステ
ル樹脂を主体とする接着剤(ガラス転移温度が60℃と
22℃と10℃の3種類の変性ポリエステル樹脂と、ブ
ロックイソシアネートと、イソシアネート化合物と、白
色顔料としての酸化チタンと、密着付与剤と、アンチブ
ロッキング剤とを含む)を使用して、乾燥膜厚が120
mg/dm 2 となるように形成している。
【0052】樹脂被覆金属板から有底円筒状に一体成形
された缶体は、フィルム貼着装置のマンドレルに供給す
る途中で、熱風加熱炉を通過させて100〜120℃の
温度に予備加熱した後、誘導加熱部を通過することで表
面温度が140〜160℃に予備加熱されているマンド
レルに冠着させた状態で、フィルム貼着装置のフィルム
貼着ステーションに搬送する。この搬送中に、缶体はマ
ンドレルの熱により110〜130℃の温度に昇温され
る。一方、リールに巻き取られた印刷済み樹脂フィルム
は、フィルム貼着装置のリール軸に装着して所定長さず
つ送り出し、一缶分の長さのフィルムシートに切断して
から、フィルム貼着装置の貼着ロールに吸着させた状態
で、該装置のフィルム貼着ステーションまで搬送する。
【0053】そして、フィルム貼着装置のフィルム貼着
ステーションにおいて、マンドレルに冠着されている缶
体に対して、貼着ロールに吸着されている一缶分の円周
長さ毎のフィルムシートを、その接着剤層を缶体の胴部
外面側とした状態で、貼着ロールにより1961〜24
52N(200〜250kgf)の押圧力を掛けなが
ら、接着剤層の接着温度以上に加熱されている缶体の胴
部外面にフィルムシートを端から徐々に巻き付けて、フ
ィルムシートの末端部をフィルムシートの先端部の上に
重ねるように貼着する。
【0054】そのように胴部外面に印刷済み樹脂フィル
ムが貼着された缶体を、フィルム貼着装置のマンドレル
から取り外してから、後加熱処理の工程で、胴部の開口
端部側を下にした倒置状態でオーブン内を通過させるこ
とにより、缶体を約225℃で30秒間加熱してから、
直ちに約15℃の空気を缶体に吹き付けることにより、
缶体の表面温度を30℃以下に急冷することによって、
印刷済み樹脂フィルムの接着剤層を活性化させて該フィ
ルムを完全に缶外面に熱接着させると共に、缶体の内外
面にラミネートされている保護被膜について、缶内面側
の金属面とは反対側の高融点の熱可塑性樹脂層に二軸配
向を残した状態で、当初に非晶質化されていた低融点の
熱可塑性樹脂層を改めて非晶質化させる。
【0055】すなわち、樹脂被覆金属板の段階では、既
に述べたように、缶内面となる側にラミネートされた二
層構造の二軸延伸フィルムのうちの金属面の側の低融点
の熱可塑性樹脂層が非晶質化され(その反対側の高融点
の熱可塑性樹脂層は二軸配向のまま残されている)、ま
た、缶外面となる側にラミネートされた二軸延伸フィル
ムが非晶質化されているが、その後の缶体成形工程にお
いて、胴部が薄肉に引き延ばされるのに連れて、その部
分にラミネートされている保護被膜も引き延ばされるこ
とで、缶体の胴部では、非晶質化されていた樹脂層が一
軸延伸されて配向結晶化し、一方、缶体の底部では、そ
れまでに缶体が加熱されていることで、延伸されずに非
晶質で残っている樹脂層の球晶化が進んだ状態となって
いる。これに対して、上記のような後加熱処理により、
当初に非晶質化されていた熱可塑性樹脂層を改めて非晶
質化させている。
【0056】上記のような後加熱処理により、当初から
二軸配向が残された部分を除いて、保護被膜の熱可塑性
樹脂を改めて非晶質化させた缶体について、その後、胴
部の開口端部側に対して、4段のネックイン加工を施し
て開口端部をネック部に縮径してから、更に、ネック部
の上端にフランジ加工を施こすことで、容量350ml
のシームレス缶(2ピース缶の缶本体)とした。
【0057】〔実施例2〕缶体の材料となる樹脂被覆金
属板について、JIS3004H191のアルミニウム
合金で板厚が0.28mmの帯状金属板を、予め約22
5℃に予備加熱した状態で、その両方の面に、厚さ12
μmのエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合
体(モル比:98/2、融点:245℃)と、厚さ8μ
mのエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体
(モル比:80/20、融点:215℃)との二層構造
に形成された二軸延伸フィルムを、低融点の樹脂の側が
金属面側となるように熱ラミネートしてから、直ちに水
冷する。それ以外の点については上記の実施例1と全く
同一の方法で容量350mlのシームレス缶(2ピース
缶の缶本体)を製造した。
【0058】〔実施例3〕缶体の材料となる樹脂被覆金
属板について、電解クロム酸処理鋼板で板厚が0.25
mmの帯状金属板を、予め約225℃に予備加熱した状
態で、その一方の面に、厚さ14μmのエチレンテレフ
タレート/イソフタレート共重合体(モル比:95/
5、融点:238℃)と、厚さ6μmのエチレンテレフ
タレート/イソフタレート共重合体(モル比:80/2
0、融点:215℃)との二層構造に形成された二軸延
伸フィルムを、低融点の樹脂の側が金属板側となるよう
に熱ラミネートすると共に、他方の面に、厚さ16μm
のエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体
(モル比:87/13、融点:220℃、白色顔料とし
て酸化チタンを15重量%含有)の二軸延伸フィルムを
熱ラミネートしてから、直ちに水冷する。それ以外の点
については上記の実施例1と全く同一の方法で容量35
0mlのシームレス缶(2ピース缶の缶本体)を製造し
た。
【0059】〔比較例1〕缶体の材料となる樹脂被覆金
属板について、JIS3004H191のアルミニウム
合金で板厚が0.28mmの帯状金属板を、予め約22
5℃に予備加熱した状態で、その一方の面に、厚さ20
μmのエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合
体(モル比:80/20、融点:215℃)の二軸延伸
フィルムを熱ラミネートすると共に、他方の面に、厚さ
16μmのエチレンテレフタレート/イソフタレート共
重合体(モル比:80/20、融点:215℃、白色顔
料として酸化チタンを10重量%含有)の二軸延伸フィ
ルムを熱ラミネートしてから、直ちに水冷する。それ以
外の点については、印刷済み樹脂フィルムを缶体に貼着
した後の後加熱処理で缶体の温度を約200℃とすると
いう以外の点で、上記の実施例1と同じ方法で容量35
0mlのシームレス缶(2ピース缶の缶本体)を製造し
た。
【0060】〔比較例2〕缶体の材料となる樹脂被覆金
属板については、上記の比較例1と同じで、それ以外の
点については、上記の実施例1と全く同一の方法で容量
350mlのシームレス缶(2ピース缶の缶本体)を製
造した。
【0061】上記のような各実施例と各比較例の方法に
より得られた樹脂被覆シームレス缶による印刷済みフィ
ルム貼着缶体のそれぞれについて、下記のようなQTV
検査装置を使用することにより、下記のように耐内容物
性試験としてのQTV試験と、耐衝撃性試験としての耐
デント性試験をそれぞれ行った。(何れも試験について
もサンプルは10缶ずつである。)
【0062】QTV検査装置については、直流電源と、
該電源の一方の端子に接続されて缶体内の電解液中に浸
漬される中心電極と、該電源の他方の端子に接続されて
缶体の金属露出部と接触する接触電極と、缶体を載置す
る基台とからなるもので、電源,中心電極,電解液,缶
体,接触電極,及び、電源と中心電極又は接触電極の一
方の電極との間に配置される電流計とで電気化学電池を
構成し、中心電極と缶体との間に流れる電流量により、
缶体の缶内面側の保護被膜の欠陥を検査するものであ
る。
【0063】〔QTV試験〕耐内容物性試験として行う
QTV試験については、QTV検査装置を使用して、先
ず、1重量%の塩化ナトリウム水に対して0.1重量%
の界面活性剤を添加した試験液(電解液)を、各サンプ
ル缶のネックイン加工部付近まで注入し、次に、検査装
置の中心電極を試験液中に挿入する(その際に試験液の
液面がネックイン加工部の上端にまで上昇するようにす
る)と共に、接触電極をサンプル缶のフランジ部先端に
接触させ、その後、直流電源のスイッチを入れて、電流
計の目盛りを読むことにより、サンプル缶の缶内面側の
保護被膜の欠陥の有無を検査した。
【0064】〔耐デント性試験〕耐衝撃性試験として行
う耐デント性試験については、先端がやや尖っている
(角度が約60度)鋼鉄製の楔形状物(重量500g)
の上方30cmの高さから、サンプル缶を横向きにした
状態で落下させて楔形状物に衝突させた。そして、落下
させたサンプル缶について、QTV検査装置を使用し
て、中心電極とサンプル缶との間に流れた電流を電流計
の目盛りを読んで、サンプル缶の缶内面側の保護被膜の
欠陥の有無を検査すると共に、サンプル缶を切断して、
落下衝撃を受けた部分(楔形状物に衝突した胴部)の缶
内面側の保護被膜の状態を良く観察した。さらに、落下
させたサンプル缶について、約100℃の熱水中に漬け
て熱処理をした(100℃×30分間)後、上記のよう
にQTV検査装置を使用して、中心電極とサンプル缶と
の間に流れた電流を電流計の目盛りを読んで、サンプル
缶の缶内面側の保護被膜の欠陥の有無を検査すると共
に、サンプル缶を切断して、落下衝撃を受けた部分(楔
形状物に衝突した胴部)の缶内面側の保護被膜の状態を
良く観察した。
【0065】上記のようなQTV試験(耐内容物性試
験)と耐デント性試験(耐衝撃性試験)の結果について
は、以下の表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】上記の表1から見ると、比較例1の方法に
より得られたサンプル缶では、QTV試験の結果が最も
悪く、また、耐デント性も最も劣っている。すなわち、
比較例1の方法によれば、樹脂被覆金属板を製造した段
階で、両面の保護被膜の熱可塑性樹脂は非晶質化されて
いたが、缶体成形後の潤滑剤を揮発させるための熱処理
や、印刷済みフィルム貼着時の予備加熱や、その後の後
加熱処理の温度が、何れも、保護被膜の熱可塑性樹脂の
ガラス転移点よりも高く融点未満の温度(結晶化温度)
であったので、保護被膜の熱可塑性樹脂の球晶化が進ん
で白濁化し、保護被膜の金属面との接着性が悪化すると
共に、保護被膜の耐加工性が悪くなって、ネック・フラ
ンジ加工や缶体搬送時等に、保護被膜にマイクロクラッ
ク(細かい割れ)が発生し、また、缶体の落下試験で
も、缶内面側の保護被膜にマイクロクラックが発生した
ことを示している。
【0068】次に、比較例2の方法により得られたサン
プル缶では、比較例1の方法によるものと比べて、QT
V試験の結果がかなり改善されており、また、耐デント
性についても大幅に改善されているが、実施例1〜3の
方法により得られたサンプル缶と比べた場合、QTV試
験と耐デント性試験の何れにおいてもかなり劣ってい
る。すなわち、実施例1〜3の方法により得られたサン
プル缶については、何れも、耐内容物性および耐デント
性において、比較例1,2に比べて大幅に改善されたも
のになっている。
【0069】すなわち、比較例2の方法によれば、缶内
面側の保護被膜の熱可塑性樹脂が、印刷済みフィルム貼
着後の後加熱処理により改めて非晶質化されたことで、
保護被膜の金属面との密着性と耐加工性については、比
較例1と比べて大幅に改善され、その結果、ネック・フ
ランジ加工や缶体搬送時や缶体の落下試験時等にマイク
ロクラックが発生し難くなり、その結果、QTV試験の
結果も改善されたのであるが、落下試験の後の熱水処理
(缶内面側での保護被膜の熱可塑性樹脂の結晶化温度で
の熱水処理)により缶内面側の保護被膜の球晶化する際
に、衝撃を受けていた部分で樹脂の結晶化の際の応力の
作用によりマイクロクラックが発生するので、熱水処理
後のQTV試験結果は、熱水処理前のそれよりも劣った
ものとなっている。
【0070】以上に説明したような印刷済みフィルム貼
着缶体による本実施形態の樹脂被覆シームレス缶によれ
ば、成形された缶体の内外両面にラミネートされている
保護被膜の金属面と密着する側で、熱可塑性樹脂が球晶
化のない非晶質層となっていることで、保護被膜の接着
性や加工性が充分に確保されて、ネック・フランジ加工
時に接着性や加工性の低下で保護被膜が剥離したり、或
いは、缶体搬送時等に耐デント性の低下で保護被膜にマ
イクロクラックが発生したりすることがなく、その結
果、缶内面側で耐内容物性が悪化して缶体の金属面が腐
食したり、或いは、缶外面側で保護被膜や印刷済み樹脂
フィルムが剥離したりすることを防止できると共に、少
なくとも缶内面側の保護被膜に配向結晶化された熱可塑
性樹脂層が存在することで、水や蒸気や各種イオン等の
金属腐食成分に対する充分な耐透過性を確保することが
できる。
【0071】また、そのような樹脂被覆シームレス缶
(印刷済みフィルム貼着缶体)を製造するための本実施
形態の方法によれば、有底円筒状に成形された缶体につ
いて、ネック・フランジ加工を施す前に、後加熱処理に
よって、高融点の熱可塑性樹脂での配向結晶状態を残し
たまま、低融点の熱可塑性樹脂だけを改めて非晶質化す
ることができ、その結果、製造される缶体の内面側の保
護被膜を確実に非晶質層と配向結晶層との二層構造にす
ることができる。また、有底円筒状に成形された缶体に
対して、高温により潤滑剤を除去したり、印刷済み樹脂
フィルムを熱貼着するために缶体を加熱してから、その
後の後加熱処理によって低融点の熱可塑性樹脂を非晶質
化していることで、後加熱処理により非晶質化された熱
可塑性樹脂の球晶化が進むようなことはなく、非晶質層
の球晶化による耐デント性の低下が起きるようなことは
ない。
【0072】なお、印刷済みフィルム貼着缶体を製造す
る場合、内外両面に熱可塑性樹脂の保護被膜がラミネー
トされている缶体に対して、その胴部外面側に印刷済み
樹脂フィルムを熱貼着する際に、缶体が比較的高い温度
(170〜210℃)に加熱されて、缶内面側の保護被
膜の熱可塑性樹脂が軟化した状態となることで、フィル
ム貼着時に缶体に加えられる押圧力で缶体がフィルム貼
着装置のマンドレルに強く押圧されると、缶内面側の保
護被膜の熱可塑性樹脂が白く変色するように傷付いて耐
内容物性が悪化したり、また、フィルム貼着装置のマン
ドレルと缶内面側の熱可塑性樹脂とが粘着して缶体がマ
ンドレルから外れ難くなり、その都度フィルム貼着装置
を停止させる必要が生じて生産効率の悪化を招くという
ような問題がある。
【0073】これに対して、本実施形態の方法では、印
刷済みフィルム貼着缶体の製造において、印刷済み樹脂
フィルムの缶体への熱貼着を、缶内面側の保護被膜の少
なくとも高融点の熱可塑性樹脂の粘着開始温度よりも低
い温度で行っていることから、上記のような問題が起き
るようなことはなく、しかも、印刷済み樹脂フィルムの
接着剤層の活性化温度以上の温度で後加熱処理している
ことで、印刷済み樹脂フィルムを接着剤層を介して缶外
面側に確実に接着させることができて、その後の加工時
に印刷済み樹脂フィルムが缶体から剥離するのを確実に
防止することができる。
【0074】以上、本発明の樹脂被覆シームレス缶およ
びその製造方法の一実施形態について説明したが、本発
明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものでは
なく、例えば、印刷済みフィルム貼着缶体に限らず、円
筒状の胴部に印刷・塗装を施すような缶体としても実施
可能であり、また、通常の2ピース缶用のシームレス缶
に限らず、口頸部と肩部と胴部が一体成形されたボトル
型のシームレス缶としても実施可能である等、適宜変更
可能なものであることは言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】以上説明したような本発明の樹脂被覆シ
ームレス缶によれば、缶内面側の保護被膜が、球晶化の
ない非晶質層と配向結晶層との二層構造に形成されてい
ることにより、少なくとも缶内面側で、球晶化のない非
晶質層によって、保護被膜の接着性や加工性を充分に確
保することができ、ネック・フランジ加工やその後の缶
体搬送時等において、保護被膜が金属面から剥離した
り、球晶化により耐デント性が低下して、耐内容物性が
悪化するようなことを防止できると共に、配向結晶化さ
れた熱可塑性樹脂層によって、水や蒸気や各種イオン等
の金属腐食成分に対する充分な耐透過性を確保すること
ができる。また、本発明の樹脂被覆シームレス缶の製造
方法によれば、シームレス缶の缶内面側にラミネートさ
れている保護被膜を、球晶化のない非晶質層と配向結晶
層との二層構造に確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆シームレス缶の一実施形態に
係る印刷済みフィルム貼着缶体について、(A)ネック
・フランジ加工前と(B)ネック・フランジ加工後のそ
れぞれの状態の外観を示す側面図。
【図2】本発明の樹脂被覆シームレス缶の一実施形態に
係る印刷済みフィルム貼着缶体について、(A)缶体を
製造するための樹脂被覆金属板,(B)印刷済み樹脂フ
ィルム,および(C)印刷済みフィルム貼着缶体の胴部
における積層構造をそれぞれ示す断面図。
【符号の説明】
1 印刷済みフィルム貼着缶体(樹脂被覆シーム
レス缶) 2 胴部 10 樹脂被覆金属板 11 金属板 12 缶内面側の保護被膜 12a 低融点の熱可塑性樹脂層(非晶質層) 12b 高融点の熱可塑性樹脂層(配向結晶層) 13 缶外面側の保護被膜 20 印刷済み樹脂フィルム 24 (印刷済み樹脂フィルムの)接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/09 B65D 1/12 Z 1/12 1/00 B C Fターム(参考) 3E033 AA06 BA07 BA17 BB08 CA16 CA20 DA02 DA08 DD05 EA04 EA05 EA10 FA10 4F100 AB01B AK01A AK01C AK01D AK42C AK42D BA04 BA07 BA10A BA10D BA26 DA01 EC032 EJ263 EJ423 GB16 JA04A JA04C JA04D JA12D JA20A JB02 JB16A JB16C JB16D JD01 JK06 JL01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面に熱可塑性樹脂の保護被膜がラミネ
    ートされた樹脂被覆金属板から一体成形されるシームレ
    ス缶において、缶内面側にラミネートされている保護被
    膜が、金属面の側から順に、低融点の熱可塑性樹脂によ
    る非晶質層と、高融点の熱可塑性樹脂による配向結晶層
    との二層構造に形成されていることを特徴とする樹脂被
    覆シームレス缶。
  2. 【請求項2】 缶外面側にラミネートされている保護被
    膜が、少なくとも金属面の側で、缶内面側の保護被膜の
    配向結晶層よりも低融点の熱可塑性樹脂による非晶質層
    として形成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の樹脂被覆シームレス缶。
  3. 【請求項3】 シームレス缶が、胴部の外面側で保護被
    膜の上から印刷済み樹脂フィルムが接着剤層を介して貼
    着されている印刷済みフィルム貼着缶体であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の樹脂被覆シームレス
    缶。
  4. 【請求項4】 両面に熱可塑性樹脂の保護被膜がラミネ
    ートされ、缶内面となる側の保護被膜が、金属板の側か
    ら順に低融点の熱可塑性樹脂層と高融点の熱可塑性樹脂
    層との二層構造とされ、該保護被膜の少なくとも低融点
    の熱可塑性樹脂層が予め非晶質化されている樹脂被覆金
    属板を材料として、胴部を薄肉に延伸させた状態の有底
    円筒状の缶体を一体成形してから、その開口端部側にネ
    ック・フランジ加工を施す前に、後加熱処理として、缶
    内面側の保護被膜の高融点の熱可塑性樹脂の融点よりも
    低い温度で、缶内面側の保護被膜の低融点の熱可塑性樹
    脂を溶融させるように、短時間加熱してから急冷するよ
    うにしたことを特徴とする樹脂被覆シームレス缶の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 樹脂被覆金属板の缶外面となる側にラミ
    ネートされる保護被膜の少なくとも金属板の側の部分
    を、缶内面となる側の保護被膜の高融点の熱可塑性樹脂
    よりも融点の低い熱可塑性樹脂によって形成すると共
    に、後加熱処理において、缶外面側の保護被膜の少なく
    とも金属面の側の部分で熱可塑性樹脂を溶融させるよう
    にしたことを特徴とする請求項4に記載の樹脂被覆シー
    ムレス缶の製造方法。
  6. 【請求項6】 胴部の外面側で保護被膜の上から印刷済
    み樹脂フィルムを接着剤層を介して貼着することで印刷
    済みフィルム貼着缶体を製造する場合に、印刷済み樹脂
    フィルムに形成される接着剤層を、缶内面側の保護被膜
    の少なくとも高融点の熱可塑性樹脂の粘着開始温度より
    も低い温度で缶外面側の保護被膜と接着可能なものにす
    ることで、樹脂被覆金属板から胴部を薄肉に延伸させた
    状態の有底円筒状の缶体を一体成形した後、缶内面側の
    保護被膜の少なくとも高融点の熱可塑性樹脂の粘着開始
    温度よりも低い温度で缶体を予備加熱して、缶体の胴部
    外面に保護被膜の上から印刷済み樹脂フィルムを接着剤
    層を介した熱接着により貼着してから、ネック・フラン
    ジ加工を施す前に、印刷済み樹脂フィルムが貼着された
    缶体に対して、印刷済み樹脂フィルムの接着剤層の活性
    化温度以上の温度で後加熱処理を施すようにしたことを
    特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂被覆シームレス
    缶の製造方法。
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