JP2003033876A - 耐低温割れ性に優れた高強度溶接金属部とその形成方法 - Google Patents
耐低温割れ性に優れた高強度溶接金属部とその形成方法Info
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Abstract
強度溶接鋼管などにおいて、引張強さ750MPa以上
で、低温靱性に優れ、かつ、耐低温割れ性に優れた溶接
金属部が確実に得られるようにする。 【解決手段】溶接金属成分として少なくとも、C:0.
01〜0.15質量%、Si:0.02〜0.6質量
%、Mn:0.6〜3.0質量%、P:0.03質量%
以下、S:0.03質量%以下、Al:0.004〜
0.08質量%、Ti:0.003〜0.03質量%、
B:0.005質量%以下、N:0.01質量%以下、
CaまたはMg:0.005質量%以下を含有し、か
つ、Pcmが0.23〜0.35質量%の範囲の溶接金
属部を得た後、溶接後100°Cに冷却されるまでの冷
却時間Tが T[秒]≧exp(7.0×Pw+4.6
6)(Pw=Pcm+HD/60)を満足するように予
熱または後熱や保温を行う。
Description
の引張強さ(TS)を有し、かつ、低温靱性に優れる溶
接鋼管、パイプライン、海洋構造物、圧力容器、タンク
等の高強度鋼構造物に適用される耐低温割れ性に優れた
高強度溶接金属部とその形成方法に関するものである。
するパイプラインでは、操業圧力の上昇に伴って輸送効
率が改善され、天然ガス等の輸送コストが低減される。
操業圧力を高めるためには、パイプの肉厚を増加させる
か、または、パイプ材を高強度化することが必要とな
る。パイプの厚肉化は、現地での溶接施工能率の低下と
重量増加分の地盤強化等の問題を生じる。このような背
景のもと、溶接鋼管に対する高強度化のニーズが高まっ
ており、近年では、例えば、米国石油協会(API)に
よって、降伏強さ(YS)551MPa以上で、かつ、
引張強さ(TS)620MPa以上のX80グレードの
溶接鋼管が規格され実用に供されている。
管に関しても、X80グレード溶接鋼管の製造技術をも
とに、低温靱性と現地溶接性に優れた、TS950MP
aを越える高張力鋼等が提案されている(特開平8−1
04922号公報、特開平8−209291号公報)。
よび溶接部の性能確保もさることながら、溶接金属部の
低温割れを防止することが重要である。一般的に溶接金
属の強度は、母材の強度より高くなければならず、鋼管
母材強度の上昇に伴い、溶接金属強度も上昇させる必要
がある。通常、鋼管母材は、圧延時の加工熱処理(制御
圧延〜加速冷却)の適用により容易に強度を上昇させる
ことができるが、溶接金属部の強度は、溶接金属中の化
学成分と溶接後の冷却速度で決定されるため、溶接条件
が一定の場合(例えば、板厚が一定の場合)、溶接金属
部の強度は、合金元素の添加量で、ほぼ決まると考えら
れる。
の強度を上昇させるためには、多量の合金元素を添加す
る必要がある。しかしながら、多量に合金元素を添加し
た場合、溶接時に溶接金属中に取り込まれた水素による
低温割れ感受性を著しく高めてしまう。
関する提案としては、特開平10−306348号公報
があり、溶接金属中の酸素量を増加させることで、水素
割れ感受性を低減させることが示されている。しかしな
がら、この方法では、溶接金属中の酸素量が高くなるた
め、溶接金属の靱性が低下するだけでなく、スラグ巻き
込みやピンホール等の欠陥が溶接金属中に発生しやすく
なるため、溶接品質の低下を招いてしまう。
なされたものであり、サブマージアーク溶接法により製
造される引張強さ(TS)750MPa以上の強度を有
する高強度溶接鋼管などにおいて、TSが750MPa
以上で、低温靱性に優れ、かつ、耐低温割れ性に優れた
溶接金属部を確実に形成することができる高強度溶接金
属部とその形成方法を提供することを目的とする。
材(鋼管等)同士を接合する溶接金属部(例えば引張強
さ(TS)750MPa以上の強度を有する溶接金属
部)であり、その溶接金属成分として少なくとも、C:
0.01〜0.15質量%、Si:0.02〜0.6質
量%、Mn:0.6〜3.0質量%、P:0.03質量
%以下、S:0.03質量%以下、Al:0.004〜
0.08質量%、Ti:0.003〜0.03質量%、
B:0.005質量%以下、N:0.01質量%以下、
CaまたはMg:0.005質量%以下を含有し、か
つ、下記の(3)式で表されるPcm(溶接割れ感受性
組成)が0.23〜0.35質量%の範囲にあり、溶接
後100°Cに冷却されるまでの時間Tが下記の(1)
式を満足するように形成されていることを特徴とする耐
低温割れ性に優れた高強度溶接金属部である。 T[秒]≧exp(7.0×Pw+4.66)…(1)式 ここで、 Pw=Pcm+HD/60…(2)式 Pcm[質量%]=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+ Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(3)式 HD[ml/100g]:溶接直後の溶接金属中水素量
接金属部において、その溶接金属成分として、Cu:0
〜1.2質量%、Ni:0〜3質量%、Cr:0〜1.
2質量%、Mo:0〜2質量%、V:0〜0.05質量
%、Nb:0〜0.05質量%のうち1種類以上を含有
していることを特徴とする耐低温割れ性に優れた高強度
溶接金属部である。即ち、請求項1に記載の溶接金属成
分にCu等の合金成分が少なくとも1種類添加されてい
る溶接金属部である。残部はFeおよび不可避的不純物
である。
を接合する溶接金属部(例えば引張強さ(TS)750
MPa以上の強度を有する溶接金属部)の形成方法であ
り、その溶接金属成分として少なくとも、C:0.01
〜0.15質量%、Si:0.02〜0.6質量%、M
n:0.6〜3.0質量%、P:0.03質量%以下、
S:0.03質量%以下、Al:0.004〜0.08
質量%、Ti:0.003〜0.03質量%、B:0.
005質量%以下、N:0.01質量%以下、Caまた
はMg:0.005質量%以下を含有し、かつ、上記の
(3)式で表されるPcm(溶接割れ感受性組成)が
0.23〜0.35質量%の範囲にある溶接金属部を形
成し、溶接後100°Cに冷却されるまでの時間Tが上
記の(1)式を満足するように前記溶接金属部を形成す
る(溶接前の予熱、溶接後の後熱や保温などの手段を用
いる)ことを特徴とする耐低温割れ性に優れた高強度溶
接金属部の形成方法である。
成方法において、溶接金属部の溶接金属成分として、C
u:0〜1.2質量%、Ni:0〜3質量%、Cr:0
〜1.2質量%、Mo:0〜2質量%、V:0〜0.0
5質量%、Nb:0〜0.05質量%のうち1種類以上
を含有していることを特徴とする耐低温割れ性に優れた
高強度溶接金属部の形成方法である。即ち、請求項3に
記載の溶接金属成分にCu等の合金成分が少なくとも1
種類添加されるようにする。残部はFeおよび不可避的
不純物である。
主として溶接ワイヤによって添加することができ、ま
た、母材やフラックス等からも添加することができる。
最終的に得られた溶接金属成分が上記成分範囲およびP
cmの上記範囲を満たすようにすればよい。
より製造されるTS750MPa以上の強度を有する耐
低温割れ性に優れた溶接金属部を安定して形成する方法
を鋭意検討した。その結果、溶接金属中の合金元素の添
加量を適正な範囲に限定すると共に、溶接後の冷却時間
を限定することにより、低温割れを防止できることを見
出し、本発明に至った。
は、各元素量を制御し、かつ、Pcm値[質量%]を
0.23〜0.35にすることが必要となる。これは、
低温靱性を損なうことなく、目的とする溶接金属部の強
度・靱性バランスを達成するためである。但し、これだ
けでは、低温割れを防止することができない。
の水素量を低減させる必要があるが、本発明者らは、溶
接後100゜Cまでの冷却時間の下限を制限することに
より、脱水素量を促進させ、低温割れを防止できること
を見出した。これは、100゜C以上の温度域であれ
ば、水素は十分に拡散可能であるため、溶接直後の高温
域から100゜Cに冷却されるまでの時間を延長するこ
とにより、脱水素が促進されることを示している。
金属中の水素量とPcm値の増加によって増大するた
め、具体的な冷却時間は、(1)式で示される範囲とな
る。即ち、溶接金属中の水素量とPcm値が増加すれ
ば、(1)式、(2)式に基づき、溶接後100゜Cに
冷却されるまでの冷却時間Tを増加させる。
元素を範囲を限定することが望ましい。そこで、先ず溶
接金属中の成分範囲について説明する。
%以上とする。一方、過剰なCは、炭化物の析出量の増
加および炭化物の粗大化を招き、靱性を劣化させるの
で、その上限を0.15質量%とする。さらに、良好な
靱性を得るためには、0.1質量%以下とし、さらに望
ましくは0.08質量%以下とするのがよい。
有する元素である。その効果を得るため、溶接金属中の
Siは、0.02質量%以上とする。しかし、過剰なS
i添加は、溶接金属の靱性低下の原因となると共に、耐
割れ感受性の劣化を生ずるので、その上限を0.6質量
%とする。
た、脱酸効果を有する元素である。その効果を得るた
め、下限を0.6質量%とする。しかし、3.0質量%
を越えると、溶接金属の靱性低下の原因となると共に、
耐割れ感受性の劣化を生ずるので、上限を3.0質量%
とする。靱性および耐割れ性をさらに良好にするために
は、2.5質量%以下とし、さらに望ましくは1.7質
量%とするのがよい。
揮させるためには、下限を0.004質量%とする。一
方、過剰なAlは、粗大な介在物の生成原因となるの
で、その上限を0.08質量%とする。
BがNと結合するのを防ぎ、Bの焼き入れ性を確保し
て、溶接金属強度を増加させるのに有効である。その効
果を得るために、下限は0.003質量%とする。一
方、過剰なTiは、TiCの析出を生じ、溶接金属の靱
性を著しく劣化させるので、その上限を0.03質量%
とする。
度化に寄与するので、0.002質量%以上とするのが
望ましい。一方、過剰のB添加は、耐低温割れ性の劣化
を生じるので、その上限を0.005質量%とする。さ
らに良好な耐溶接割れ性を確保するためには、0.00
4質量%以下とし、望ましくは0.003質量%以下と
するのがよい。
向上に寄与するので、高強度とする場合には添加する。
しかし、1.2質量%を越えると、溶接割れを発生しや
すくなるので、含有させる場合でも、1.2質量%以下
とする。さらに耐低温割れ性を高めるためには、0.8
質量%以下とし、望ましくは0.6質量%以下とするの
がよい。
大きいので、より高靱性とする場合には添加する。しか
し、3質量%を越えると、溶接時に湯流れが悪くなり、
溶接欠陥を生じやすくなるので、含有させる場合でも、
3質量%以下とする。
ので、溶接金属を高強度にする場合には添加する。しか
し、1.2質量%を越えると、低温割れを生じるので、
含有させる場合でも、1.2質量%以下とする。
析出硬化を生じ、強度上昇に有効なので、溶接金属を高
強度にする場合には添加する。しかし、1質量%を越え
ると、低温割れを発生しやすくなるので、含有させる場
合でも、1質量%以下とするのが望ましい。
昇に有効なので、溶接金属を高強度にする場合には添加
する。しかし、0.05質量%を越えると、低温割れを
発生しやすくなるので、含有させる場合でも、0.05
質量%以下とする。
度上昇に有効なので、溶接金属を高強度にする場合には
添加する。しかし、0.05質量%を越えると、低温割
れを発生しやすくなるので、含有させる場合でも、0.
05質量%以下とする。
を防止するためには、上記のように、各元素の成分範囲
を限定することに加え、溶接割れ感受性組成Pcm(=
C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60
+Cr/20+Mo/15+V/10+5B)を限定す
ることが重要である。Pcmが0.23質量%以下で
は、溶接金属強度が低強度となり、0.35質量%以上
では、溶接金属の靱性が得られないこと、および、低温
割れが発生しやすくなるため、0.23〜0.35質量
%の範囲に限定した。
接金属において、P:0.03質量%以下、S:0.0
3質量%以下、N:0.01質量%以下、CaまたはM
g:0.005質量%以下であれば、本発明の特徴を何
ら損なうものではない。
イヤによって添加されるが、母材、溶接ワイヤ、フラッ
クスのいずれから添加してもよく、最終的に得られた溶
接金属の成分が上記の範囲内にあれば、本発明の特徴を
何ら失うことはない。
めには、上記のように各成分範囲およびPcmを限定す
るだけでは、不十分である。そこで、本発明では、溶接
後100°Cに冷却されるまでの時間Tを下記の(1)
式の範囲に制限した。 T[秒]≧exp(7.0×Pw+4.66)…(1)式 (Pw=Pcm+HD/60…(2)式)
れの発生原因である溶接金属中の水素量を低下させる必
要がある。溶接金属中の水素量を低減するためには、
溶接後に脱水素の実施、溶接時の浸入水素量の低減、
の2種類の方法が考えられる。通常、サブマージアーク
溶接法では、フラックスが吸湿してしまうため、フラッ
クスを乾燥して溶接を行うが、水素低減には限界があ
り、完全に低温割れを防止することができない。
り、溶接後の脱水素量を増加させるべく、溶接後の冷却
時間を規定した。水素は、100°C以上の温度域で
は、拡散速度が速いため、十分に脱水素効果を発揮させ
ることができ、溶接直後の高温域から100°Cまでの
温度域に滞留する時間を確保することで、脱水素量を確
保し、低温割れを防止しようというものである。
定するに当たり、低温割れは、溶接金属中の成分量、即
ちPcmの増大と、溶接金属中の水素量(HD)の増加
により、発生しやすくなるため、割れ発生防止に必要な
冷却時間を長く取る必要がある。そこで、本発明者ら
は、PcmとHDをパラメータとして冷却時間を規定で
きることを見出し、前述した(1)式を得た。
もしくは保温により、調整することが可能であるが、こ
れらの手段によらず、上記(1)式で規定される冷却時
間が確保できれば、何ら本発明の本質を損なうものでは
ない。従って、(1)式の範囲を下回る冷却時間であれ
ば、低温割れが発生してしまうが、(1)式の範囲であ
れば、低温割れを防止することが可能となった。
の成分範囲に制御し、Pcmの範囲を0.23〜0.
35質量%とし、溶接後100°Cに冷却されるまで
の冷却時間Tを、Pcm値と溶接金属中水素量(HD)
に応じて延長させることにより、引張強さ(TS)が7
50MPa以上で、低温靱性に優れ、かつ、低温割れの
無い溶接金属を確実に得ることができる。さらに、従来
の溶接金属中の酸素量を増加させる方法のように、スラ
グ巻き込みやピンホール等の欠陥が発生することがな
く、また、溶接金属中の成分範囲の上限下限外れによる
欠陥の発生もなく、溶接品質の低下も防止することがで
きる。
て説明する。この実施形態は、パイプライン用等の溶接
鋼管に本発明を適用した例である。転炉−連続鋳造法で
得られた種々の鋼成分の鋼片から種々の製造法により肉
厚12〜24mmの鋼管を製造して、諸性質を調査し
た。製管後、鋼管の機械的性質を調査すると共に、低温
割れ等の溶接欠陥については、溶接後48時間経過した
後、超音波探傷(URT)により評価した。
AW)により行い、そのときの溶接直後の溶接金属中の
水素量を測定した。水素の測定方法は、製管に用いたフ
ラックスを使用し、JIS Z 3118に従い実施し
た。溶接金属中の水素量は、4ml/100gであっ
た。
化するが、4ml/100g以下の条件であれば、低温
割れ感受性が低下するため、本発明により低温割れを防
止することが可能である。また、溶接後の100°Cま
での冷却時間は、溶接前の予熱もしくは予熱後の保温に
より調整した。
(表は3分割されているが連続した表である)に示す。
なお、本発明の鋼管は、優れた強度・靱性と優れた耐低
温割れ性を兼ね備えたものであるため、溶接金属部の性
能の目標を引張強さ(TS)≧750MPa、溶接金属
シャルピー衝撃値vE−20≧100Jとした。
述の(3)式で得られる溶接割れ感受性組成Pcmが本
発明の下限(0.23)以下のため、溶接金属部の強度
が未達(750MPa以下)である。
での冷却時間Tが前述の(1)式で規定された必要冷却
時間Ta以下であるため、低温割れが発生している。
も、溶接金属中の成分が適切でないと、溶接金属の性能
を確保することができない。実施例19はC、実施例2
3はMnが本発明の成分範囲の下限から外れているため
(Pcmも下限から外れている)、実施例33はBが少
なくPcmの下限から外れているため、溶接金属の引張
強さ(TS)が未達となっている。
n、実施例26はCr、実施例27はMo、実施例28
はV、実施例29はNb、実施例32はBが本発明の成
分範囲の上限から外れているため、溶接金属の低温靱性
(シャルピー衝撃値)および低温割れ性が劣化してい
る。
施例30はTiの上限外れ、実施例31はTiの下限外
れ、実施例35はAlの下限外れのため、溶接金属の低
温靱性(シャルピー衝撃値)が低下している。
め脱酸不足で欠陥が発生し、実施例24はCuが上限外
れのため高温割れが発生し、実施例25はNiが上限外
れのためビード形状不安定による欠陥が発生し、実施例
34はAlが上限外れのためスラグ巻き込みによる欠陥
が発生し、溶接品質に異常が生じている。
属中の成分が本発明の成分範囲を満たし、Pcmの範
囲が0.23〜0.35質量%を満たし、溶接後10
0°Cに冷却されるまでの冷却時間Tが上記(1)式か
ら得られる必要冷却時間Taを上回るため、引張強さ
(TS)が750MPa以上で、低温靱性が高く(シャ
ルピー衝撃値100J以上)、低温割れの全く無い溶接
金属を得ることができた。
生の有無を、Pcmと冷却時間Tで整理したものである
(実施例1〜17、本発明の実施例36〜46)。低温
割れは、冷却時間T≧exp(7.0×Pw+4.6
6)により、防止可能であることが分かる。
せる方法(特開平10−306348号)では、溶接金
属中の酸素量が高くなるため、溶接金属の靱性が低下す
るだけでなく、スラグ巻き込みやピンホール等の欠陥が
溶接金属中に発生しやすいが、本発明では、冷却時間を
延長するため、前記のような欠陥の発生がなく、また、
実施例21、24、25、34のように溶接金属中の成
分範囲の上限下限外れによる欠陥の発生もなく、溶接品
質の低下も防止することができる。
管に適用した例について説明したが、これに限らず、海
洋構造物、圧力容器、タンク等の高強度鋼構造物の溶接
金属部にも適用できることは言うまでもない。
れた高強度溶接鋼管等の溶接金属部において、溶接金属
中の成分を適宜の成分範囲に制御し、Pcmの範囲を
0.23〜0.35質量%とし、溶接後100°Cに冷
却されるまでの冷却時間Tを、Pcm値と溶接金属中水
素量(HD)に応じて延長させることにより、引張強さ
(TS)が750MPa以上で、低温靱性に優れ、か
つ、低温割れの無い溶接金属を確実に得ることができ
る。さらに、従来の溶接金属中の酸素量を増加させる方
法のように、スラグ巻き込みやピンホール等の欠陥が発
生することがなく、また、溶接金属中の成分範囲の上限
下限外れによる欠陥の発生もなく、溶接品質の低下も防
止することができる。
間Tとの関係を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 母材同士を接合する溶接金属部であり、
その溶接金属成分として少なくとも、 C :0.01〜0.15質量%、 Si:0.02〜0.6質量%、 Mn:0.6〜3.0質量%、 P :0.03質量%以下、 S :0.03質量%以下、 Al:0.004〜0.08質量%、 Ti:0.003〜0.03質量%、 B :0.005質量%以下、 N :0.01質量%以下、 CaまたはMg:0.005質量%以下 を含有し、かつ、下記の(3)式で表されるPcmが
0.23〜0.35質量%の範囲にあり、溶接後100
°Cに冷却されるまでの時間Tが下記の(1)式を満足
するように形成されていることを特徴とする耐低温割れ
性に優れた高強度溶接金属部。 T[秒]≧exp(7.0×Pw+4.66)…(1)式 ここで、 Pw=Pcm+HD/60…(2)式 Pcm[質量%]=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+ Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(3)式 HD[ml/100g]:溶接直後の溶接金属中水素量 - 【請求項2】 請求項1に記載の溶接金属部において、
その溶接金属成分として、 Cu:0〜1.2質量%、 Ni:0〜3質量%、 Cr:0〜1.2質量%、 Mo:0〜2質量%、 V :0〜0.05質量%、 Nb:0〜0.05質量% のうち1種類以上を含有していることを特徴とする耐低
温割れ性に優れた高強度溶接金属部。 - 【請求項3】 母材同士を接合する溶接金属部の形成方
法であり、その溶接金属成分として少なくとも、 C :0.01〜0.15質量%、 Si:0.02〜0.6質量%、 Mn:0.6〜3.0質量%、 P :0.03質量%以下、 S :0.03質量%以下、 Al:0.004〜0.08質量%、 Ti:0.003〜0.03質量%、 B :0.005質量%以下、 N :0.01質量%以下、 CaまたはMg:0.005質量%以下 を含有し、かつ、下記の(3)式で表されるPcmが
0.23〜0.35質量%の範囲にある溶接金属部を形
成し、溶接後100°Cに冷却されるまでの時間Tが下
記の(1)式を満足するように前記溶接金属部を形成す
ることを特徴とする耐低温割れ性に優れた高強度溶接金
属部の形成方法。 T[秒]≧exp(7.0×Pw+4.66)…(1)式 ここで、 Pw=Pcm+HD/60…(2)式 Pcm[質量%]=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+ Cr/20+Mo/15+V/10+5B…(3)式 HD[ml/100g]:溶接直後の溶接金属中水素量 - 【請求項4】 請求項3に記載の形成方法において、溶
接金属部の溶接金属成分として、 Cu:0〜1.2質量%、 Ni:0〜3質量%、 Cr:0〜1.2質量%、 Mo:0〜2質量%、 V :0〜0.05質量%、 Nb:0〜0.05質量% のうち1種類以上を含有していることを特徴とする耐低
温割れ性に優れた高強度溶接金属部の形成方法。
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