JP2003033862A - 溶鋼加熱用プラズマトーチ - Google Patents
溶鋼加熱用プラズマトーチInfo
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Abstract
電極に生じる熱による溶損やスプラッシュによる磨耗を
防止して、プラズマトーチの長寿命化を図り、鋳造操業
や鋳片の品質を向上することができる溶鋼加熱用プラズ
マトーチを提供する。 【解決手段】 底が塞がれ内部を冷却水が流れる外筒1
2と、外筒12の内側にアルゴンガスを通過する隙間を
もって装着された有底で内部に冷却水供給路20を設け
た筒状のトーチ電極16を備え、しかも、トーチ電極1
6の下端部が放電電極部15となったプラズマトーチ1
0において、放電電極部15が内部を流れる冷却水と接
する底面15bから先端15aまでの距離Lにおける平
均直径をDとした場合、距離Lと平均直径Dが下式を満
たしている。 0.5〜1.1=L/D
Description
トーチ電極の溶損を抑制して長寿命化を図ることができ
る溶鋼加熱用プラズマトーチに関する。
ッシュに受湯してから、タンディッシュの底部に設けた
浸漬ノズルから鋳型に注湯し、鋳型による冷却と、支持
セグメントに布設した冷却水ノズルからの散水による冷
却によって、凝固させてからピンチロールによって所定
の速度で引き抜いて製造される。しかし、タンディッシ
ュに受湯する溶鋼は、常に大気に熱を放散しており、取
鍋の容量が大きく、鋳造時間が長くなる場合や鋼種によ
って溶鋼の過熱温度を低く制限される場合に、鋳造途中
からタンディッシュ内の溶鋼温度が標準温度よりも低下
する。この温度低下は、鋳型に注湯する浸漬ノズルの詰
まりを生じたり、不純物(介在物)の分離が阻害される
ため、鋳片の品質を損なうことになり、極端に低下する
と、鋳造作業そのものが中断する場合がある。この対策
として、特開平3−42159号公報に記載されている
ように、タンディッシュ内の溶鋼表面の上方にトーチ電
極(アノード電極とカソード電極)を備えた一対のプラ
ズマトーチを配置し、溶鋼にプラズマアークを飛ばし
て、プラズマアークの熱による溶鋼の加熱と、このプラ
ズマ用のガスにアルゴンとCOガスを用いてアーク電圧
を増加させてプラズマアークの出力を高めることが行わ
れている。更に、特開平6−344096号公報に記載
されているように、タンディッシュ内の溶鋼表面の上方
に、プラズマトーチのアノード電極を配置し、陰極を構
成するカソード電極を溶鋼中に浸漬しておき、アノード
電極から溶鋼表面にプラズマアークを飛ばして、溶鋼を
加熱することが行われている。
3−42159号公報、特開平6−344096号公報
に記載された溶鋼の加熱方法では、プラズマトーチの先
端が溶損や磨耗によって損耗し、プラズマトーチの寿命
が極端に低下する。この溶鋼の加熱を行う際のプラズマ
トーチのトーチ電極の表面は、プラズマアークの熱や溶
鋼の輻射熱、及びプラズマアークやプラズマ形成用のア
ルゴンガス等に起因した溶鋼のスプラッシュ等によっ
て、局部的な溶損や磨耗が発生する。その結果、電極の
表面に凹凸が形成されたり、トーチ電極の先端の板厚み
が薄くなり、外側に変形していわゆる凸部(あるいは出
っ張り)が発生する。凸部が発生すると、その凸部にプ
ラズマアークが集中し、凸部の熱負荷が大きくなり、そ
の表面温度が電極の材料の融点より高くなる。しかも、
溶鋼の加熱は、500〜5000Aの高電流を通電し、
プラズマアークを溶鋼の表面に連続して飛ばして行われ
るため、凸部へのプラズマアークの集中と、凸部の溶損
(磨耗)とが繰り返され、溶損(損耗)は急激に進行す
る。そして、トーチ電極の表面の急激な損耗は、プラズ
マトーチの寿命を大幅に低下して溶鋼の加熱処理コスト
が上昇し、プラズマトーチの取り替え時間が発生し、加
熱が不可能になり溶鋼温度の低下に伴う鋳片の品質の低
下、浸漬ノズル詰まり等による鋳造操業の不安定化等の
問題が生じる。
で、溶鋼の加熱に用いるプラズマトーチのトーチ電極に
生じる熱による溶損やスプラッシュによる磨耗を防止し
て、プラズマトーチの長寿命化を図り、鋳造操業や鋳片
の品質を向上することができる溶鋼加熱用プラズマトー
チを提供することを目的とする。
係る溶鋼加熱用プラズマトーチは、底が塞がれ内部を冷
却水が流れる外筒と、該外筒の内側にアルゴンガスを通
過する隙間をもって装着された有底で内部に冷却水供給
路を設けた筒状のトーチ電極を備え、しかも、前記トー
チ電極の下端部が放電電極部となったプラズマトーチに
おいて、前記放電電極部が内部を流れる冷却水と接する
底面から先端までの距離Lにおける平均直径をDとした
場合、距離Lと平均直径Dが下式を満たしている。 0.5〜1.1=L/D ・・・・・(1) これにより、トーチ電極の放電電極部の外表面の冷却が
良好になり、プラズマアーク熱や溶鋼の輻射熱に起因し
た放電電極部の温度の上昇を抑制し、放電電極部の表面
の溶損を防止でき、更に、スプラッシュ等に起因する先
端の磨耗を抑制することができ、同時に冷却水の圧力等
による張り出しを抑制して放電電極部の表面を平滑に維
持し、プラズマアークの集中による溶損を防止すること
ができる。L/Dが0.5未満になると、放電電極部の
厚みが薄くなって放電電極部表面の抜熱を良くできる
が、放電電極部表面に形成された凸部にプラズマアーク
が集中して急激な溶損を生じた際、トーチ先端肉厚全体
を貫通する孔が開いてトーチ電極の寿命が低下する。一
方、L/Dが1.1を超えると、放電電極部表面の冷却
が悪くなり、表面温度の上昇による溶損やトーチ電極表
面に形成される凸部に集中するプラズマアークによって
急激に溶損が進行し、トーチ電極の寿命を延長すること
ができない。この理由からL/Dを0.6〜0.9にす
るとより好ましい結果が得られる。
ーチとカソードトーチに用いると良い。これにより、ト
ーチ電極を用いたアノードトーチとカソードトーチの耐
溶損性が高められ、プラズマトーチの寿命を安定して延
長することができる。
0Aとした場合、前記プラズマトーチに供給するプラズ
マ形成用のアルゴンガス量を300〜1000NL/分
にすることが好ましい。放電電極部と溶鋼の表面の間
に、放電電極部の先端を包み、しかも、放電電極部から
溶鋼表面に向かってイオン化されたアルゴンガスを含む
アルゴンガス流が形成されるので、放電電極部から溶鋼
表面に飛ぶプラズマアークの乱れをなくしてサイドアー
クの発生を防止することができる。アルゴンガス量が3
00NL/分未満になると、イオン化されたアルゴンガ
スの流れが弱くなり、放電電極部の外周を覆うアルゴン
ガス流が形成されず、サイドアークが発生し易くなる。
一方、アルゴンガス量が1000NL/分を超えると、
プラズマアークの安定効果が期待できず、アルゴンガス
流による溶鋼のスプラッシュが発生して、放電電極部の
寿命が低下する。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る
溶鋼加熱用プラズマトーチの先端部の断面図、図2は距
離L/平均直径Dとトーチ電極寿命指数の関係を表すグ
ラフである。図1に示すように、本発明の一実施の形態
に係る溶鋼加熱用のプラズマトーチ10は、先端を底部
11によって塞いで、内部には冷却水が流れる二重管か
らなる外筒(フロントエンドともいう)12と、この外
筒12の内側に、アルゴンガス通路13aを有するスペ
ーサ13を挟んで、装着された有底で筒状のトーチ電極
16を有している。外筒12とトーチ電極16の間に
は、アルゴンガスが通過する隙間を形成するアルゴンガ
ス供給路14が設けられている。更に、トーチ電極16
は、外側の内外管17と内側の内管19とで構成される
二重管からなり、内外管17の先端部には、その先端1
5aを先細りにし図示しない加電手段に連通した放電電
極部15が取付けられている。内管19の内部には、冷
却水給水路20が設けており、冷却水給水路20に供給
された冷却水は、内管19の先端に放電電極部15の底
面15bと2〜10mmの隙間を開けて設けた冷却水案
内板(デバイザー)21を介して、内外管17と内管1
9の間の冷却水の排水路18へ流れるようになってい
る。
熱用プラズマトーチ10の動作について説明する。外筒
12の内部に、200NL/分の冷却水を供給し、外筒
12の内部及び外筒12の底部11を冷却することによ
り、雰囲気中の熱によってトーチ電極16の先端部や胴
体等の温度が上昇するのを防止し、プラズマトーチ10
が溶損したり、あるいは曲がり(変形)等の発生を防止
している。この外筒12の内側とトーチ電極16の外側
の間に形成されたアルゴンガス供給路14に300〜1
000NL/分のアルゴンガスが供給され、このアルゴ
ンガスは、トーチ電極16の下端部(先端部)の放電電
極部15の周囲を包み、しかも、下流側に向かうアルゴ
ンガス流を形成し、雰囲気をアルゴンガスによって置換
すると共に、プラズマ形成用のガスとして利用される。
更に、トーチ電極16の内管19の内部の冷却水給水路
20に供給された冷却水は、下流側(図中矢印)に流下
し、放電電極部15の底面15bを十分に冷却した後、
排水路18を通り、外筒12の内側を冷却してから排水
される。
部15に500〜5000Aで通電を行い、これによ
り、放電電極部15の先端15aからプラズマアークが
例えば、溶鋼に向かって形成される。このプラズマアー
クは、2500〜3000℃の高温であるため、プラズ
マアーク熱や溶鋼等の輻射熱による熱を受けて放電電極
部15の先端15aの表面温度が上昇し、トーチ電極1
6が急激に溶損したり、溶鋼のスプラッシュにより損耗
して寿命が低下する。
放電電極部15が冷却水に接する底面15bまでの所定
間隔毎の放電電極部15の直径を求め、この値を平均し
た平均直径Dと、放電電極部15の冷却水に接する底面
15bから放電電極部15の先端15aまでの距離Lが
下式を満たすようにしている。 0.5〜1.1=L/D ・・・・・(1) なお、L/Dの比を用いるのは、放電電極部15の平均
直径Dが受熱面として仮定でき、この受熱面から伝わる
熱を底面15bから冷却水によって冷却することから、
底面15bから放電電極部15の先端15aまでの距離
Lが重要になるからである。このL/Dの値が0.5〜
1.1の範囲を満たすことにより、放電電極部15の表
面に集中する前記したプラズマアーク熱や溶鋼等の輻射
熱による熱を放電電極部15の底面15bから抜熱して
放電電極部15の表面を冷却し、放電電極部15の先端
15aの表面温度が上昇するのを抑制でき、しかも、放
電電極部15の先端15aの温度の上昇を抑制すること
により、放電電極部15の先端15aの表面を平滑に維
持することができ、プラズマアークの集中を抑制し、温
度の上昇に起因する急激な溶損や溶鋼のスプラッシュに
より損耗を防止してトーチ電極16の寿命を大幅に向上
することができる。
アルゴンガスは、放電電極部15を囲み溶鋼に向かう流
れを形成する。このアルゴンガスによって、放電電極部
15と溶鋼の間をアルゴンガス雰囲気にしているので、
放電電極部15への通電によって雰囲気中のアルゴンガ
スがイオン化して溶鋼に向かうプラズマアークを導き、
放電電極部15の先端15aから溶鋼間に良好なプラズ
マアークを形成することができる。その結果、アルゴン
ガスのイオン化の促進によって、プラズマアークの乱れ
を抑制する効果がより高められ、プラズマアークを安定
させることができる。更に、プラズマアークの乱れを抑
制することによって、放電電極部15の先端15aと溶
鋼表面の間以外の部分、例えば、外筒12の底部11等
に短絡するサイドアークをより確実に防止することがで
きる。
は、Cu(銅)やCuに、W(タングステン)、Cr
(クロム)、Ni(ニッケル)、Zr(ジルコン)、C
o(コバルト)等の一種、あるいは二種以上を添加した
組成のものを用いることができる。特に、Cu・W合金
を用いると、導電性が良好になり、しかも、放電電極部
15の耐熱強度が高められ、プラズマアークの熱や溶鋼
の輻射熱に対する耐溶損、及びスプラッシュ等による耐
磨耗を発現できる。
用プラズマトーチの実施例について説明する。トーチ電
極の放電電極部にCuが70重量%、Wが重量%の材料
を用い、放電電極部の平均直径をDmm、放電電極部の
先端部から冷却水によって冷却される底面までの距離を
Lmmとし、この時のL/Dを変化させ、このトーチ電
極をカソードのプラズマトーチに用いて、アルゴンガス
を500NL/分供給し、200V、3000Aの電流
を流してプラズマアークを発生させて溶鋼の加熱を行
い、従来のカソードのプラズマトーチのトーチ電極のL
/Dを指数1とした場合のトーチ電極寿命指数を調査し
た。その結果を図2に示す。トーチ電極の放電電極部の
L/Dを1.1以下、0.5以上にすることにより、耐
溶損及び耐磨耗性が向上し、トーチ電極の寿命指数を
1.3〜2.3に向上でき、使用寿命を110〜180
時間と大幅に延長することができた。
/Dを1を超えて1.2未満にした従来の場合、プラズ
マアークの熱や溶鋼の輻射熱に対する溶損及び溶鋼のス
プラッシュによる磨耗等が発生し、トーチ電極の寿命指
数が本実施例に比べて低くなり、使用寿命が50〜70
時間に短くなり、プラズマトーチの取り替え頻度が高く
なり、溶鋼の加熱作業に支障が生じ、操業のコストも高
くなった。
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、トーチの電極の材料としては、Cuや、C
uに、W、Cr、Ni、Zr、Co等の一種以上を添加
した組成の他に、導電性を備えた耐溶損、耐磨耗を有す
る他の金属あるいは合金を使用することができる。ま
た、プラズマトーチに用いるプラズマ形成用のガスとし
ては、アルゴンガスの他に、窒素ガス、ヘリウムガス、
ネオンガス等を用いるか、アルゴンガスとこれ等のガス
を混合して使用することができる。更に、このプラズマ
トーチは、アノードトーチとカソードトーチに用いるこ
とができる。
トーチにおいては、底が塞がれ内部を冷却水が流れる外
筒と、外筒の内側にアルゴンガスを通過する隙間をもっ
て装着された有底で内部に冷却水供給路を設けた筒状の
トーチ電極を備え、しかも、トーチ電極の下端部が放電
電極部となったプラズマトーチにおいて、放電電極部が
内部を流れる冷却水と接する底面から先端までの距離L
における平均直径をDとした場合、距離Lと平均直径D
が所定の範囲を満たしているので、トーチ電極の放電電
極部の先端の表面温度の上昇を抑制し、放電電極部表面
の溶損を防止でき、更に、スプラッシュ等に起因する先
端の磨耗を抑制してプラズマトーチの寿命を延長でき、
しかも、鋳造操業や鋳片の品質を向上と、操業コストを
低減することができる。
においては、プラズマトーチは、アノードトーチとカソ
ードトーチに用いるので、溶鋼の加熱作業が容易にな
り、しかも、溶鋼の加熱効率を高めることができる。
においては、トーチ電極の電流を500〜5000Aと
した場合、プラズマトーチに供給するプラズマ形成用の
アルゴンガス量を300〜1000NL/分にするの
で、トーチ電極から溶鋼表面に向かってイオン化された
アルゴンガスの流れが形成され、良好なプラズマアーク
を形成でき、プラズマアークのサイドアークの発生を防
止することができる。
マトーチの先端部の断面図である。
フである。
ントエンド)、13:スペーサ、13a:アルゴンガス
通路、14:アルゴンガス供給路、15:放電電極部、
15a:先端、15b:底面、16:トーチ電極、1
7:内外管、18:排水路、19:内管、20:冷却水
給水路、21:冷却水案内板(デバイザー)
Claims (3)
- 【請求項1】 底が塞がれ内部を冷却水が流れる外筒
と、該外筒の内側にアルゴンガスを通過する隙間をもっ
て装着された有底で内部に冷却水供給路を設けた筒状の
トーチ電極を備え、しかも、前記トーチ電極の下端部が
放電電極部となったプラズマトーチにおいて、前記放電
電極部が内部を流れる冷却水と接する底面から先端まで
の距離Lにおける平均直径をDとした場合、距離Lと平
均直径Dが下式を満たしていることを特徴とする溶鋼加
熱用プラズマトーチ。 0.5〜1.1=L/D - 【請求項2】 請求項1記載の溶鋼加熱用プラズマトー
チにおいて、前記プラズマトーチは、アノードトーチと
カソードトーチに用いることを特徴とする溶鋼加熱用プ
ラズマトーチ。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の溶鋼加熱用プラズ
マトーチにおいて、前記トーチ電極の電流を500〜5
000Aとした場合、前記プラズマトーチに供給するプ
ラズマ形成用のアルゴンガス量を300〜1000NL
/分にすることを特徴とする溶鋼加熱用プラズマトー
チ。
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