JP4216459B2 - 溶鋼の加熱用プラズマトーチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマトーチのアノード電極の溶損を抑制して長寿命化を図ることができる溶鋼の加熱用プラズマトーチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳片は、溶鋼を取鍋からタンディッシュに受湯してから、タンディッシュの底部に設けた浸漬ノズルから鋳型に注湯し、鋳型による冷却と、支持セグメントに布設した冷却水ノズルからの散水によって、凝固させてからピンチロールによって所定の速度で引き抜いて製造される。
しかし、タンディッシュに受湯する溶鋼は、常に大気に熱を放散しており、取鍋の容量が大きい場合や鋼種によって溶鋼の過熱温度を低く制限される場合に、鋳造途中からタンディッシュ内の溶鋼温度が標準温度よりも低下する。
この温度低下は、鋳型に注湯する浸漬ノズルの詰まりを生じたり、不純物(介在物)の分離が阻害されるため、鋳片の品質を損なうことになり、極端に温度が低下すると、鋳造作業そのものが中断する場合がある。
この対策として、特開平3−42159号公報に記載されているように、タンディッシュ内の溶鋼表面の上方に一対のプラズマトーチを配置し、通電して溶鋼にプラズマアークを飛ばすことにより、プラズマアークの熱による溶鋼の加熱と、このプラズマ用のガスにアルゴンとCOガスを用いてアーク電圧を増加させてプラズマアークの出力を高めることが行われている。
更に、特開平6−344096号公報に記載されているように、タンディッシュ内の溶鋼表面の上方にアノード側プラズマトーチを配置し、溶鋼中にカソード側電極を浸漬しておき、アノード電極から溶鋼表面にプラズマアークを飛ばして、溶鋼を加熱することが行われている。
【0003】
しかし、従来から行われているこれ等のプラズマトーチを用いた溶鋼の加熱方法では、プラズマアークを飛ばして溶鋼を加熱する際に、アノード側プラズマトーチは、プラズマアークの熱、溶鋼からの輻射熱等の影響を受ける。
すなわちこれ等の熱によって、プラズマ電極の冷却水の温度が上昇し、溶鋼表面に近いプラズマ電極の先端部の底板の温度が上昇して溶損する。
また、溶鋼の表面にプラズマアークを飛ばすため、プラズマアークやプラズマ形成用のアルゴンガス等に起因した溶鋼のスプラッシュが発生し、このスプラッシュによって、プラズマトーチの電極の先端部が磨耗あるいは溶損してプラズマ電極の寿命が大幅に低下し、溶鋼の加熱処理コストが上昇する。
しかも、プラズマトーチの電極寿命の低下により、プラズマトーチの取り替え時間等が増加し、操業に支障をきたしている。
そこで、本発明者等は、この技術課題を解決するために、タンディッシュ内溶鋼加熱用プラズマトーチにおいて、Cuに30〜70重量%のW(タングステン)を加えた合金からなるプラズマトーチ(電極)を提案し、プラズマトーチの寿命の延長を図った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶鋼の加熱を行う際の電極の表面に、プラズマアークの熱、溶鋼の輻射熱及び溶鋼のスプラッシュ等による局部的に溶損や磨耗が生じたり、電極の先端の板厚みが薄くなって外側に変形し、その表面に凸部(あるいは出張り)が形成されることがある。
凸部が発生すると、凸部から集中してプラズマアークが溶鋼の表面に飛ぶため、凸部の表面温度が電極の材料の融点より高くなり、この凸部の溶損(磨耗)を繰り返しながら加熱が行われる。
更に、200〜400Vの高電圧の通電によって、プラズマアークを溶鋼の表面に連続して飛ばすため、これ等の溶損(損耗)は、急激に進行する。
この急激な溶損(損耗)は、Wの含有量を30〜70重量%にした材料をプラズマ電極に用いることによって、かなり改善される。
しかし、プラズマ電極の表面の凸部の形成を安定して抑制することができず、急激に溶損(損耗)する場合があり、プラズマ電極の寿命が短くなって、加熱処理コストの上昇やプラズマトーチの取り替え時間のロスの発生、品質の低下等を招き、十分に安定して使用できるプラズマ電極と言い難い問題があった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、プラズマトーチの電極に熱やスプラッシュによる溶損や磨耗が発生するのを抑制し、プラズマトーチの長寿命化を図り、鋳造操業や鋳片の品質を向上することができる溶鋼の加熱用プラズマトーチを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明の溶鋼の加熱用プラズマトーチは、使用にあっては、溶鋼の表面の上方に対となるアノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチを配置し、前記アノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチにプラズマ形成用のアルゴンガスを供給しながら通電して、前記溶鋼を加熱するプラズマトーチにおいて、
前記アノード側プラズマトーチの電極の組成をタングステンを70.5〜95重量%含む銅合金として、前記アノード側プラズマトーチの電極下部には内側を通過する冷却水によって冷やされる、厚みが1〜5mmの底板があって、しかも、前記カソード側プラズマトーチも前記アノード側プラズマトーチと同一の構成となっている
これにより、アノード側プラズマトーチのプラズマ電極の先端部の耐溶損、耐磨耗性が向上し、先端部の表面に凸部が形成されるのを防止し、プラズマ電極の中心近傍からの正常なプラズマアークを形成することができる。
電気伝導度は、純Cuよりも低下するが、先端部の表面の中心部から正常なプラズマアークが形成できるため、電極と溶鋼の表面の間以外にプラズマアークが発生するサイドアークを抑制することができる。
Wの含有量が70重量%以下になると、プラズマ電極の先端部の耐溶損、耐磨耗性が低くなり、先端部の表面が粗くなって、プラズマアークの集中による溶損や磨耗を招く。
【0007】
ここで、前記アノード側プラズマトーチの電極下部には内側を通過する冷却水によって冷やされる底板があって、該底板の実質的な厚みを1〜5mmすることにより、プラズマ電極の先端部における内側からの冷却による抜熱を強化し、プラズマアークの熱及び輻射熱、溶鋼のスプラッシュ等による溶損及び磨耗を抑制して、電極の寿命を延長することができる。
底板の厚みが1mm未満になると、冷却による抜熱が良好になるが、プラズマアークの熱及び輻射熱、溶鋼のスプラッシュ等による溶損や磨耗に耐えられず、電極の寿命が短くなる。一方、底板の厚みが5mmを超えると、冷却水による抜熱が低下して表面温度が上昇して、輻射熱やスプラッシュ等による損耗が激しくなり、同様に電極の寿命が短くなる。
【0008】
更に、前記アノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチとに供給する前記アルゴンガス量を300〜1000NL/分にすると良い。
電極と溶鋼間をアルゴンガスのシール膜で覆って、電極から溶鋼表面に向かうアルゴンガス流が形成され、イオン化されたアルゴンガスがこのアルゴンガス流の内部に形成される。
これにより、電極から溶鋼表面に飛ぶプラズマアークが電気の流れ易いイオン化されたアルゴンガスに沿って形成されるので、プラズマアーク乱れをなくすことができ、サイドアークの発生を防止することができる。
アルゴンガス量が300NL/分未満になると、イオン化されたアルゴンガスの流れが弱くなり、電極の外周を覆うアルゴンガス流が形成されず、サイドアークが発生し易くなる。一方、アルゴンガス量が1000NL/分を超えると、プラズマアークの安定効果の向上が期待できず、アルゴンガス流による溶鋼のスプラッシュが発生して、電極の寿命が低下する。
従来、プラズマトーチの電極の材料として、電気伝導度の良好な素材である銅(Cu)を用い、正常なプラズマアークを形成し、サイドアークを防止していた。しかし、この電極では、電極の先端(底板)が急激に溶損して短時間の加熱しかできない。
本発明者等は、この溶損のメカニズムを解明し、プラズマアークの電極先端部への熱流束(熱負荷)を実験結果によって推定して、電極として耐溶損、耐磨耗の材料の採用が可能であること、及び材料の強度を高めることによって、電極の底板の厚みの選択が可能であり、しかも、材料の高強度の選択と冷却水による抜熱を考慮すれば厚みを薄くできること、更に、電気伝導度がある程度低下してもサイドアークを防止して溶鋼の加熱が可能であること等を知見し、本発明の完成に至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る溶鋼の加熱プラズマトーチのアノード側プラズマトーチの部分断面図、図2は同溶鋼の加熱用プラズマトーチを用いた加熱装置の全体図、図3は電極のW含有量とアノードトーチのアルゴンガス量及び電極溶損指数の関係を表す説明図である。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る加熱用プラズマトーチ10は、対となるアノード側プラズマトーチ(以下アノードトーチという)10aとカソード側プラズマトーチ(以下カソードトーチという)10bを有し、溶鋼31の表面の上方に配置されて、プラズマアークを飛ばして溶鋼31を加熱するようにしている。
アノードトーチ10aは、先端に底部15が設けられた二重管11の内部に、冷却水の送水路12及び排水路13を形成する分割部材(冷却水デバイザ)14を配置した外筒16を備え、この外筒16の内側には、先端部(下部)に1〜5mmの厚みを有する底板17が設けられた中空筒状の電極18を備えている。
この電極18は、タングステン(W)を70重量%超から100重量%未満含む銅合金、あるいはWからなる材質を用いている。
外筒16の内側壁と電極18の外周間には、塩化ビニール、テフロン等からなり通気孔19aを有する絶縁ブロック19が嵌合されており、外筒16と電極18間にアルゴンガスの供給路20を形成している。
更に、電極18の内部には、その中央に給水路22を有し、その先端に広がり部21を有する筒状の分割部材(冷却水デバイザ)25を設けており、この分割部材25は、電極18の下部の底板17と5〜20mmの間隙を有しており、電極18の内側及び底板17内側の間隙に連通した排水路23が形成されている。
また、電極18の上側外周部には、塩化ビニール、強化プラスチック等からなる絶縁体24を張り付けており、電極18に通電した際に外筒16との電気的な短絡を防止している。
なお、カソードトーチ10bは、前述したアノードトーチ10aと実質的に同一の構成となっているので、その説明を省略する。
【0010】
次に、本実施の形態に係る溶鋼の加熱用プラズマトーチ10を用いた加熱装置30について説明する。
加熱装置30は、図示しない鋳型に溶鋼31を注湯する浸漬ノズル38を底部に取付けたタンディッシュ32と、タンディッシュ32の上を覆って加熱室33を形成する蓋34と、蓋34に穿った挿入口35、36から加熱室33内に図示しない進退装置によってそれぞれ挿入するアノードトーチ10aとカソードトーチ10bからなるプラズマトーチ10を有し、更にアノードトーチ10aとカソードトーチ10bに通電する加電装置37とを備えている。
【0011】
次に、本実施の形態に係る溶鋼の加熱用プラズマトーチ10を適用した加熱装置30の動作について説明する。
タンディッシュ32に受湯した溶鋼31を浸漬ノズル38から鋳型に注湯する際に、タンディッシュ32内の溶鋼31の残量が少なくなるか、あるいは注湯時間が長くなる場合、溶鋼31の温度が放熱によって通常1〜2℃/分低下する。
この溶鋼31の温度低下を防止するため、蓋34に設けた挿入口35、36から進退装置を作動して、それぞれアノードトーチ10aとカソードトーチ10bを加熱室33に挿入し、下降させて溶鋼31の表面から上方100〜500mmの位置にアノードトーチ10aとカソードトーチ10bの先端が来るように保持する。
更に、アノードトーチ10a及びカソードトーチ10bには、二重管11内に設けた分割部材14によって形成された送水路12に200NL/分の冷却水を供給し、供給された冷却水は、外筒16の底部15を冷却してから排水路13を通り、外筒16を冷却してから排水される。
電極18の中央に設けた給水路22からも冷却水120NL/分を供給し、分割部材25を介して電極18の底板17と電極18の外周の冷却を行っている。
【0012】
同時に、電極18と外筒16の内側に配置された通気孔19aを有する絶縁ブロック19によって、電極18と外筒16の間に形成された供給路20から、アルゴンガスが300〜1000NL/分供給され、電極18を包むように溶鋼31に向かうプラズマ形成用のアルゴンガス流が形成される。
そして、加電装置37によって、アノードトーチ10aに1000〜5000アンペアを通電し、アノードトーチ10aの電極18の底板17からプラズマアークが溶鋼31に向かって形成され、溶鋼31の表面とカソードトーチ10bの間にも高温のプラズマアークが形成される。
この加熱によって、プラズマアークの熱及び火点や溶鋼31の輻射熱、プラズマアークやアルゴンガス流による溶鋼31のスプラッシュが発生し、電極18の底板17の表面が過酷な負荷を受ける。
しかし、底板17を含む電極18の材料を、Wが70重量%を超える銅合金、又は、Wにしているので、材料の融点が1200〜3410℃に高められ、底板17を含む電極18の硬度を1.2〜1.9倍にできる。
この材料の特性によって、プラズマアークの熱及び火点や溶鋼31の輻射熱に対して耐溶損を発現でき、しかも、輻射熱やスプラッシュ等による溶損、磨耗を抑制して電極18の底板17の表面を略平滑に維持でき、表面の凹凸化によって起きる急激な溶損を防止できる。
【0013】
更に、プラズマアークやアルゴンガス流によって溶鋼31のスプラッシュが発生した際に、電極18の底板17の融点及び硬度を高めているので、底板17の表面の磨耗を抑制できる。
そして、底板17の強度が強くなるため、底板17の厚みを1〜5mmにすることができ、底板17の抜熱を良好にでき、プラズマアークの熱や溶鋼31の輻射熱等に対する耐溶損と輻射熱やスプラッシュ等による溶損、磨耗等の抑制効果をより発現でき、電極18の底板17の表面を長期間にわたり平滑に維持して急激な溶損等を防止できる。
この電極18の材料のWの含有量が70重量%以下になると、融点や硬度が低くなって、熱による溶損やスプラッシュによる磨耗が発生するので、Wの含有量を75重量%以上にするとより好ましい結果が得られる。
【0014】
供給路20に供給されたアルゴンガスは、供給路20の先端から溶鋼31に向かう流れを形成し、この流れが電極18の外周を囲んでいるので、アノードトーチ10aの周辺の冷却を行うと共に、アルゴンガス流によって周囲との遮断効果を高め、アルゴンガスの一部がイオン化される。しかも、電極18を包むイオン化されたアルゴンガスの流れを形成するので、アノードトーチ10aと溶鋼31の表面間に安定したプラズマアークを形成することができる。
更に、電極18と溶鋼31の表面間に、イオン化されたアルゴンガスの流れが形成されているので、電極18から溶鋼31の表面以外にプラズマアークが発生するサイドアークを抑制することができる。
また、このアルゴンガスの働きは、カソードトーチ10bについても同様である。
【0015】
そして、タンディッシュ32内に貯湯された溶鋼31は、周囲への放熱によって温度が低下するのを防止するため、アノードトーチ10aから通電し、溶鋼31を介して図2中矢印で示すカソードトーチ10bへの電流の流れを形成し、プラズマアーク熱及び抵抗熱によって溶鋼31を加熱し、1〜2℃/分の昇温を行う。
その結果、温度を所定の範囲に維持でき、溶鋼31を鋳型に注湯する浸漬ノズル38の詰まりを抑制し、不純物(介在物)の分離が促進され、鋳片の品質向上及び鋳造作業の安定化を図ることができる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の一実施例に係る溶鋼の加熱用プラズマトーチについて説明する。取鍋からタンディッシュに40トンの溶鋼を受湯し、浸漬ノズルから鋳型に注湯中に残湯が20トンになった時点で、10℃の溶鋼温度の低下が予想されたので、タンディッシュの蓋に設けた挿入口からアノードトーチとカソードトーチを挿入して、その先端が溶鋼表面から300mmの位置になるように下降させて保持し、このアノードトーチ及びカソードトーチの電極と外筒の間に形成された供給路から供給するアルゴンガスを変化させ、200V、3000アンペアの電流を流してプラズマアークを発生させて溶鋼を10℃昇温した。
そして、この加熱に用いるアノードトーチ及びカソードトーチの電極の材料と底板の厚みの条件を、(ア)Wを70.5重量%含有する銅合金を用いて底板の厚みを5mm、(イ)Wを80重量%含有する銅合金を用いて底板の厚みを4mm、(ウ)Wを95重量%含有する銅合金を用いて底板の厚みを3mm、(エ)Wを100重量%にして底板の厚みを1mmに設定した。なお、従来の無酸素銅を用い底板の厚みを5mmとした場合の電極溶損を指数1として、(ア)〜(エ)の電極溶損指数を調査した。
【0017】
図3に示すように、電極の材料をWを70.5重量%含有する銅合金、Wを80重量%含有する銅合金、Wを95重量%含有する銅合金、Wを100重量%の場合の電極溶損の指数は、それぞれ(ア)0.93、(イ)0.86、(ウ)0.74、(エ)0.69となり良好な結果が得られ、プラズトーチの取り替え頻度が少なくなり、しかも、浸漬ノズルの詰まり等の鋳造操業のトラブルが無く、鋳片の品質を向上することができた。
図3に示すように、電極がWを70重量%超含有する銅合金の場合は、電極と外筒の間に形成された供給路から供給するアルゴンガス量を300NL/分以上にすることにより、サイドアークの発生が抑制できており、安定したプラズマアークを形成することができた。
これに対して、アノードトーチ及びカソードトーチの電極の材料と底板の厚みの条件を、銅を100重量%にし、底板の厚みを5mmにした場合、及びWを70重量%含有する銅合金を用いて底板の厚みを4mmにした場合において、それぞれアルゴンガス量を200NL/分にして、溶鋼の加熱を行った結果、プラズマアークが不安定になり、電極と外筒の間、あるいは溶鋼と外筒の先端との間にサイドアークが発生して、特にアノードトーチの寿命が大幅に低下した。
【0018】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、アノードトーチ及びカソードトーチは、タンディッシュ内の溶鋼の加熱を行う場合の他に、取鍋等の溶鋼を貯湯する容器や樋等の溶鋼を流す容器等に適用して加熱を行うことができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1、2記載の溶鋼の加熱用プラズマトーチは、使用にあっては、溶鋼の表面の上方に対となるアノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチを配置し、アノード側プラズマトーチカソード側プラズマトーチにプラズマ形成用のアルゴンガスを供給しながら通電して、溶鋼を加熱するプラズマトーチにおいて、アノード側プラズマトーチの電極の組成をタングステンを70.5〜95重量%含む銅合金としているので、溶鋼の加熱に用いる電極が熱やスプラッシュによって溶損や磨耗するのを抑制し、プラズマトーチの長寿命化を図り、鋳造操業や鋳片の品質を向上することができる。
【0020】
また、アノード側プラズマトーチの電極下部には内側を通過する冷却水によって冷やされる底板があって、底板の実質的な厚みを1〜5mmとするので、冷却水による底板部の抜熱を強化して、底板の表面に発生する溶損及び磨耗を防止し、電極の寿命を延長することができ、鋳造操業や鋳片の品質をより安定して向上することができる。
【0021】
請求項記載の溶鋼の加熱用プラズマトーチは、アノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチとに供給するアルゴンガス量を300〜1000NL/分にするので、電極から溶鋼表面に向かうプラズマアークの乱れを無くし、電極と外筒との電気的な短絡を抑制してサイドアークを防止してプラズマトーチの寿命を大幅に向上することができ、アルゴンガスのイオン化を促進してプラズマアークを安定させて加熱効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る溶鋼の加熱用プラズマトーチのアノードプラズマトーチの部分断面図である。
【図2】同溶鋼の加熱用プラズマトーチを用いた加熱装置の全体図である。
【図3】電極のW含有量とアノードトーチのアルゴンガス量及び電極溶損指数の関係を表す説明図である。
【符号の説明】
10:加熱用プラズマトーチ、10a:アノードトーチ、10b:カソードトーチ、11:二重管、12:送水路、13:排水路、14:分割部材(冷却水デバイザ)、15:底部、16:外筒、17:底板、18:電極、19:絶縁ブロック、19a:通気孔、20:アルゴンガスの供給路、21:拡がり部、22:給水路、23:排水路、24:絶縁体、25:分割部材(冷却水デバイザ)、30:加熱装置、31:溶鋼、32:タンディッシュ、33:加熱室、34:蓋、35:挿入口、36:挿入口、37:加電装置、38:浸漬ノズル

Claims (2)

  1. 使用にあっては、溶鋼の表面の上方に対となるアノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチを配置し、前記アノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチにプラズマ形成用のアルゴンガスを供給しながら通電して、前記溶鋼を加熱するプラズマトーチにおいて、
    前記アノード側プラズマトーチの電極の組成をタングステンを70.5〜95重量%含む銅合金として、前記アノード側プラズマトーチの電極下部には内側を通過する冷却水によって冷やされる、厚みが1〜5mmの底板があって、しかも、前記カソード側プラズマトーチも前記アノード側プラズマトーチと同一の構成となっていることを特徴とする溶鋼の加熱用プラズマトーチ。
  2. 請求項1記載の溶鋼の加熱用プラズマトーチにおいて、前記アノード側プラズマトーチとカソード側プラズマトーチとに供給する前記アルゴンガス量を300〜1000NL/分していることを特徴とする溶鋼の加熱用プラズマトーチ。
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