JP2002178111A - 溶鋼の加熱用プラズマトーチ - Google Patents

溶鋼の加熱用プラズマトーチ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマトーチの電極に熱やスプラッシュに
よる溶損や磨耗が発生するのを抑制し、プラズマトーチ
の長寿命化を図り、鋳造操業や鋳片の品質を向上するこ
とができる溶鋼の加熱用プラズマトーチを提供する。 【解決手段】 使用にあっては、溶鋼31の表面の上方
に対となるアノード側プラズマトーチ10aとカソード
側プラズマトーチ10bを配置し、アノード側プラズマ
トーチ10aとカソード側プラズマトーチ10bにプラ
ズマ形成用のアルゴンガスを供給しながら通電して、溶
鋼31を加熱するプラズマトーチ10において、アノー
ド側プラズマトーチ10aの電極18の組成をタングス
テンを70重量%超含む銅合金、又はタングステンとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマトーチの
アノード電極の溶損を抑制して長寿命化を図ることがで
きる溶鋼の加熱用プラズマトーチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋳片は、溶鋼を取鍋からタンディ
ッシュに受湯してから、タンディッシュの底部に設けた
浸漬ノズルから鋳型に注湯し、鋳型による冷却と、支持
セグメントに布設した冷却水ノズルからの散水によっ
て、凝固させてからピンチロールによって所定の速度で
引き抜いて製造される。しかし、タンディッシュに受湯
する溶鋼は、常に大気に熱を放散しており、取鍋の容量
が大きい場合や鋼種によって溶鋼の過熱温度を低く制限
される場合に、鋳造途中からタンディッシュ内の溶鋼温
度が標準温度よりも低下する。この温度低下は、鋳型に
注湯する浸漬ノズルの詰まりを生じたり、不純物(介在
物)の分離が阻害されるため、鋳片の品質を損なうこと
になり、極端に温度が低下すると、鋳造作業そのものが
中断する場合がある。この対策として、特開平3−42
159号公報に記載されているように、タンディッシュ
内の溶鋼表面の上方にアノード電極とカソード電極を備
えた一対のプラズマトーチを配置し、通電して溶鋼にプ
ラズマアークを飛ばすことにより、プラズマアークの熱
による溶鋼の加熱と、このプラズマ用のガスにアルゴン
とCOガスを用いてアーク電圧を増加させてプラズマア
ークの出力を高めることが行われている。更に、特開平
6−344096号公報に記載されているように、タン
ディッシュ内の溶鋼表面の上方にアノード側プラズマト
ーチを配置し、溶鋼中にカソード側電極を浸漬してお
き、アノード電極から溶鋼表面にプラズマアークを飛ば
して、溶鋼を加熱することが行われている。
【0003】しかし、従来から行われているこれ等のプ
ラズマトーチを用いた溶鋼の加熱方法では、プラズマア
ークを飛ばして溶鋼を加熱する際に、アノード側プラズ
マトーチは、プラズマアークの熱、溶鋼からの輻射熱等
の影響を受ける。すなわちこれ等の熱によって、プラズ
マ電極の冷却水の温度が上昇し、溶鋼表面に近いプラズ
マ電極の先端部の底板の温度が上昇して溶損する。ま
た、溶鋼の表面にプラズマアークを飛ばすため、プラズ
マアークやプラズマ形成用のアルゴンガス等に起因した
溶鋼のスプラッシュが発生し、このスプラッシュによっ
て、プラズマトーチの電極の先端部が磨耗あるいは溶損
してプラズマ電極の寿命が大幅に低下し、溶鋼の加熱処
理コストが上昇する。しかも、プラズマトーチの電極寿
命の低下により、プラズマトーチの取り替え時間等が増
加し、操業に支障をきたしている。そこで、本発明者等
は、この技術課題を解決するために、特願平11−36
8225号に記載のタンディッシュ内溶鋼加熱用プラズ
マトーチにおいて、Cuに30〜70重量%のW(タン
グステン)を加えた合金からなるプラズマトーチ(電
極)を提案し、プラズマトーチの寿命の延長を図った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶鋼の
加熱を行う際の電極の表面に、プラズマアークの熱、溶
鋼の輻射熱及び溶鋼のスプラッシュ等による局部的に溶
損や磨耗が生じたり、電極の先端の板厚みが薄くなって
外側に変形し、その表面に凸部(あるいは出張り)が形
成されることがある。凸部が発生すると、凸部から集中
してプラズマアークが溶鋼の表面に飛ぶため、凸部の表
面温度が電極の材料の融点より高くなり、この凸部の溶
損(磨耗)を繰り返しながら加熱が行われる。更に、2
00〜400Vの高電圧の通電によって、プラズマアー
クを溶鋼の表面に連続して飛ばすため、これ等の溶損
(損耗)は、急激に進行する。この急激な溶損(損耗)
は、Wの含有量を30〜70重量%にした材料をプラズ
マ電極に用いることによって、かなり改善される。しか
し、プラズマ電極の表面の凸部の形成を安定して抑制す
ることができず、急激に溶損(損耗)する場合があり、
プラズマ電極の寿命が短くなって、加熱処理コストの上
昇やプラズマトーチの取り替え時間のロスの発生、品質
の低下等を招き、十分に安定して使用できるプラズマ電
極と言い難い問題があった。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、プラズマトーチの電極に熱やスプラッシュによる溶
損や磨耗が発生するのを抑制し、プラズマトーチの長寿
命化を図り、鋳造操業や鋳片の品質を向上することがで
きる溶鋼の加熱用プラズマトーチを提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明の
溶鋼の加熱用プラズマトーチは、使用にあっては、溶鋼
の表面の上方に対となるアノード側プラズマトーチとカ
ソード側プラズマトーチを配置し、前記アノード側プラ
ズマトーチとカソード側プラズマトーチにプラズマ形成
用のアルゴンガスを供給しながら通電して、前記溶鋼を
加熱するプラズマトーチにおいて、前記アノード側プラ
ズマトーチの電極の組成をタングステンを70重量%超
含む銅合金、又はタングステンとしている。これによ
り、アノード側プラズマトーチのプラズマ電極の先端部
の耐溶損、耐磨耗性が向上し、先端部の表面に凸部が形
成されるのを防止し、プラズマ電極の中心近傍からの正
常なプラズマアークを形成することができる。電気伝導
度は、純Cuよりも低下するが、先端部の表面の中心部
から正常なプラズマアークが形成できるため、電極と溶
鋼の表面の間以外にプラズマアークが発生するサイドア
ークを抑制することができる。Wの含有量が70重量%
以下になると、プラズマ電極の先端部の耐溶損、耐磨耗
性が低くなり、先端部の表面が粗くなって、プラズマア
ークの集中による溶損や磨耗を招く。
【0007】ここで、前記アノード側プラズマトーチの
電極下部には内側を通過する冷却水によって冷やされる
底板があって、該底板の実質的な厚みを1〜5mmする
のが好ましい。これにより、プラズマ電極の先端部にお
ける内側からの冷却による抜熱を強化し、プラズマアー
クの熱及び輻射熱、溶鋼のスプラッシュ等による溶損及
び磨耗を抑制して、電極の寿命を延長することができ
る。底板の厚みが1mm未満になると、冷却による抜熱
が良好になるが、プラズマアークの熱及び輻射熱、溶鋼
のスプラッシュ等による溶損や磨耗に耐えられず、電極
の寿命が短くなる。一方、底板の厚みが5mmを超える
と、冷却水による抜熱が低下して表面温度が上昇して、
輻射熱やスプラッシュ等による損耗が激しくなり、同様
に電極の寿命が短くなる。
【0008】更に、前記アノード側プラズマトーチとカ
ソード側プラズマトーチとに供給する前記アルゴンガス
量を300〜1000NL/分にすると良い。電極と溶
鋼間をアルゴンガスのシール膜で覆って、電極から溶鋼
表面に向かうアルゴンガス流が形成され、イオン化され
たアルゴンガスがこのアルゴンガス流の内部に形成され
る。これにより、電極から溶鋼表面に飛ぶプラズマアー
クが電気の流れ易いイオン化されたアルゴンガスに沿っ
て形成されるので、プラズマアーク乱れをなくすことが
でき、サイドアークの発生を防止することができる。ア
ルゴンガス量が300NL/分未満になると、イオン化
されたアルゴンガスの流れが弱くなり、電極の外周を覆
うアルゴンガス流が形成されず、サイドアークが発生し
易くなる。一方、アルゴンガス量が1000NL/分を
超えると、プラズマアークの安定効果の向上が期待でき
ず、アルゴンガス流による溶鋼のスプラッシュが発生し
て、電極の寿命が低下する。従来、プラズマトーチの電
極の材料として、電気伝導度の良好な素材である銅(C
u)を用い、正常なプラズマアークを形成し、サイドア
ークを防止していた。しかし、この電極では、電極の先
端(底板)が急激に溶損して短時間の加熱しかできな
い。本発明者等は、この溶損のメカニズムを解明し、プ
ラズマアークの電極先端部への熱流束(熱負荷)を実験
結果によって推定して、電極として耐溶損、耐磨耗の材
料の採用が可能であること、及び材料の強度を高めるこ
とによって、電極の底板の厚みの選択が可能であり、し
かも、材料の高強度の選択と冷却水による抜熱を考慮す
れば厚みを薄くできること、更に、電気伝導度がある程
度低下してもサイドアークを防止して溶鋼の加熱が可能
であること等を知見し、本発明の完成に至った。
【0009】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここで、図1は本発明の一実施の形
態に係る溶鋼の加熱用にプラズマトーチのアノード側プ
ラズマトーチの部分断面図、図2は同溶鋼の加熱用プラ
ズマトーチを用いた加熱装置の全体図、図3は電極のW
含有量とアノードトーチのアルゴンガス量及び電極溶損
指数の関係を表す説明図である。図1、図2に示すよう
に、本発明の一実施の形態に係る加熱用プラズマトーチ
10は、対となるアノード側プラズマトーチ(以下アノ
ードトーチという)10aとカソード側プラズマトーチ
(以下カソードトーチという)10bを有し、溶鋼31
の表面の上方に配置されて、プラズマアークを飛ばして
溶鋼31を加熱するようにしている。アノードトーチ1
0aは、先端に底部15が設けられた二重管11の内部
に、冷却水の送水路12及び排水路13を形成する分割
部材(冷却水デバイザ)14を配置した外筒16を備
え、この外筒16の内側には、先端部(下部)に1〜5
mmの厚みを有する底板17が設けられた中空筒状の電
極18を備えている。この電極18は、タングステン
(W)を70重量%超から100重量%未満含む銅合
金、あるいはWからなる材質を用いている。外筒16の
内側壁と電極18の外周間には、塩化ビニール、テフロ
ン(登録商標)等からなり通気孔19aを有する絶縁ブ
ロック19が嵌合されており、外筒16と電極18間に
アルゴンガスの供給路20を形成している。更に、電極
18の内部には、その中央に給水路22を有し、その先
端に広がり部21を有する筒状の分割部材(冷却水デバ
イザ)25を設けており、この分割部材25は、電極1
8の下部の底板17と5〜20mmの間隙を有してお
り、電極18の内側及び底板17内側の間隙に連通した
排水路23が形成されている。また、電極18の上側外
周部には、塩化ビニール、強化プラスチック等からなる
絶縁体24を張り付けており、電極18に通電した際に
外筒16との電気的な短絡を防止している。なお、カソ
ードトーチ10bは、前述したアノードトーチ10aと
実質的に同一の構成となっているので、その説明を省略
する。
【0010】次に、本実施の形態に係る溶鋼の加熱用プ
ラズマトーチ10を用いた加熱装置30について説明す
る。加熱装置30は、図示しない鋳型に溶鋼31を注湯
する浸漬ノズル38を底部に取付けたタンディッシュ3
2と、タンディッシュ32の上を覆って加熱室33を形
成する蓋34と、蓋34に穿った挿入口35、36から
加熱室33内に図示しない進退装置によってそれぞれ挿
入するアノードトーチ10aとカソードトーチ10bか
らなるプラズマトーチ10を有し、更にアノードトーチ
10aとカソードトーチ10bに通電する加電装置37
とを備えている。
【0011】次に、本実施の形態に係る溶鋼の加熱用プ
ラズマトーチ10を適用した加熱装置30の動作につい
て説明する。タンディッシュ32に受湯した溶鋼31を
浸漬ノズル38から鋳型に注湯する際に、タンディッシ
ュ32内の溶鋼31の残量が少なくなるか、あるいは注
湯時間が長くなる場合、溶鋼31の温度が放熱によって
通常1〜2℃/分低下する。この溶鋼31の温度低下を
防止するため、蓋34に設けた挿入口35、36から進
退装置を作動して、それぞれアノードトーチ10aとカ
ソードトーチ10bを加熱室33に挿入し、下降させて
溶鋼31の表面から上方100〜500mmの位置にア
ノードトーチ10aとカソードトーチ10bの先端が来
るように保持する。更に、アノードトーチ10a及びカ
ソードトーチ10bには、二重管11内に設けた分割部
材14によって形成された送水路12に200NL/分
の冷却水を供給し、供給された冷却水は、外筒16の底
部15を冷却してから排水路13を通り、外筒16を冷
却してから排水される。電極18の中央に設けた給水路
22からも冷却水120NL/分を供給し、分割部材2
5を介して電極18の底板17と電極18の外周の冷却
を行っている。
【0012】同時に、電極18と外筒16の内側に配置
された通気孔19aを有する絶縁ブロック19によっ
て、電極18と外筒16の間に形成された供給路20か
ら、アルゴンガスが300〜1000NL/分供給さ
れ、電極18を包むように溶鋼31に向かうプラズマ形
成用のアルゴンガス流が形成される。そして、加電装置
37によって、アノードトーチ10aに1000〜50
00アンペアを通電し、アノードトーチ10aの電極1
8の底板17からプラズマアークが溶鋼31に向かって
形成され、溶鋼31の表面とカソードトーチ10bの間
にも高温のプラズマアークが形成される。この加熱によ
って、プラズマアークの熱及び火点や溶鋼31の輻射
熱、プラズマアークやアルゴンガス流による溶鋼31の
スプラッシュが発生し、電極18の底板17の表面が過
酷な負荷を受ける。しかし、底板17を含む電極18の
材料を、Wが70重量%を超える銅合金、又は、Wにし
ているので、材料の融点が1200〜3410℃に高め
られ、底板17を含む電極18の硬度を1.2〜1.9
倍にできる。この材料の特性によって、プラズマアーク
の熱及び火点や溶鋼31の輻射熱に対して耐溶損を発現
でき、しかも、輻射熱やスプラッシュ等による溶損、磨
耗を抑制して電極18の底板17の表面を略平滑に維持
でき、表面の凹凸化によって起きる急激な溶損を防止で
きる。
【0013】更に、プラズマアークやアルゴンガス流に
よって溶鋼31のスプラッシュが発生した際に、電極1
8の底板17の融点及び硬度を高めているので、底板1
7の表面の磨耗を抑制できる。そして、底板17の強度
が強くなるため、底板17の厚みを1〜5mmにするこ
とができ、底板17の抜熱を良好にでき、プラズマアー
クの熱や溶鋼31の輻射熱等に対する耐溶損と輻射熱や
スプラッシュ等による溶損、磨耗等の抑制効果をより発
現でき、電極18の底板17の表面を長期間にわたり平
滑に維持して急激な溶損等を防止できる。この電極18
の材料のWの含有量が70重量%以下になると、融点や
硬度が低くなって、熱による溶損やスプラッシュによる
磨耗が発生するので、Wの含有量を75重量%以上にす
るとより好ましい結果が得られる。
【0014】また、電極材料のWの含有量の増加によっ
て、電気伝導度が低下し、プラズマアークが不安定(着
火不良)になったり、電気伝導度の良い周辺の材料に短
絡するサイドアーク等が発生することも考えられるが、
電極18をWを70重量%を超える銅合金、又は、Wに
することにより、電気伝導度の低下量を最小限に止める
ことができ、プラズマアークの不安定化やサイドアーク
等を抑制することができる。供給路20に供給されたア
ルゴンガスは、供給路20の先端から溶鋼31に向かう
流れを形成し、この流れが電極18の外周を囲んでいる
ので、アノードトーチ10aの周辺の冷却を行うと共
に、アルゴンガス流によって周囲との遮断効果を高め、
アルゴンガスの一部がイオン化される。しかも、電極1
8を包むイオン化されたアルゴンガスの流れを形成する
ので、アノードトーチ10aと溶鋼31の表面間に安定
したプラズマアークを形成することができる。更に、電
極18と溶鋼31の表面間に、イオン化されたアルゴン
ガスの流れが形成されているので、電極18から溶鋼3
1の表面以外にプラズマアークが発生するサイドアーク
を抑制することができる。また、このアルゴンガスの働
きは、カソードトーチ10bについても同様である。
【0015】そして、タンディッシュ32内に貯湯され
た溶鋼31は、周囲への放熱によって温度が低下するの
を防止するため、アノードトーチ10aから通電し、溶
鋼31を介して図2中矢印で示すカソードトーチ10b
への電流の流れを形成し、プラズマアーク熱及び抵抗熱
によって溶鋼31を加熱し、1〜2℃/分の昇温を行
う。その結果、温度を所定の範囲に維持でき、溶鋼31
を鋳型に注湯する浸漬ノズル38の詰まりを抑制し、不
純物(介在物)の分離が促進され、鋳片の品質向上及び
鋳造作業の安定化を図ることができる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の一実施例に係る溶鋼の加熱用
プラズマトーチについて説明する。取鍋からタンディッ
シュに40トンの溶鋼を受湯し、浸漬ノズルから鋳型に
注湯中に残湯が20トンになった時点で、10℃の溶鋼
温度の低下が予想されたので、タンディッシュの蓋に設
けた挿入口からアノードトーチとカソードトーチを挿入
して、その先端が溶鋼表面から300mmの位置になる
ように下降させて保持し、このアノードトーチ及びカソ
ードトーチの電極と外筒の間に形成された供給路から供
給するアルゴンガスを変化させ、200V、3000ア
ンペアの電流を流してプラズマアークを発生させて溶鋼
を10℃昇温した。そして、この加熱に用いるアノード
トーチ及びカソードトーチの電極の材料と底板の厚みの
条件を、(ア)Wを70.5重量%含有する銅合金を用
いて底板の厚みを5mm、(イ)Wを80重量%含有す
る銅合金を用いて底板の厚みを4mm、(ウ)Wを95
重量%含有する銅合金を用いて底板の厚みを3mm、
(エ)Wを100重量%にして底板の厚みを1mmに設
定した。なお、従来の無酸素銅を用い底板の厚みを5m
mとした場合の電極溶損を指数1として、(ア)〜
(エ)の電極溶損指数を調査した。
【0017】図3に示すように、電極の材料をWを7
0.5重量%含有する銅合金、Wを80重量%含有する
銅合金、Wを95重量%含有する銅合金、Wを100重
量%の場合の電極溶損の指数は、それぞれ(ア)0.9
3、(イ)0.86、(ウ)0.74、(エ)0.69
となり良好な結果が得られ、プラズトーチの取り替え頻
度が少なくなり、しかも、浸漬ノズルの詰まり等の鋳造
操業のトラブルが無く、鋳片の品質を向上することがで
きた。図3に示すように、電極がWを70重量%超含有
する銅合金の場合は、電極と外筒の間に形成された供給
路から供給するアルゴンガス量を300NL/分以上に
することにより、サイドアークの発生が抑制できてお
り、安定したプラズマアークを形成することができた。
これに対して、アノードトーチ及びカソードトーチの電
極の材料と底板の厚みの条件を、銅を100重量%に
し、底板の厚みを5mmにした場合、及びWを70重量
%含有する銅合金を用いて底板の厚みを4mmにした場
合において、それぞれアルゴンガス量を200NL/分
にして、溶鋼の加熱を行った結果、プラズマアークが不
安定になり、電極と外筒の間、あるいは溶鋼と外筒の先
端との間にサイドアークが発生して、特にアノードトー
チの寿命が大幅に低下した。
【0018】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨
を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲であ
る。例えば、アノードトーチ及びカソードトーチは、タ
ンディッシュ内の溶鋼の加熱を行う場合の他に、取鍋等
の溶鋼を貯湯する容器や樋等の溶鋼を流す容器等に適用
して加熱を行うことができる。更に、プラズマトーチに
用いるプラズマ形成用のガスとしては、アルゴンガスの
他に、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス等を用いる
か、アルゴンガスとこれ等のガスを混合して使用するこ
とができる。
【0019】
【発明の効果】請求項1〜3記載の溶鋼の加熱用プラズ
マトーチは、使用にあっては、溶鋼の表面の上方に対と
なるアノード側プラズマトーチとカソード側プラズマト
ーチを配置し、アノード側プラズマトーチカソード側プ
ラズマトーチにプラズマ形成用のアルゴンガスを供給し
ながら通電して、溶鋼を加熱するプラズマトーチにおい
て、アノード側プラズマトーチの電極の組成をタングス
テンを70重量%超含む銅合金、又はタングステンとし
ているので、溶鋼の加熱に用いる電極が熱やスプラッシ
ュによって溶損や磨耗するのを抑制し、プラズマトーチ
の長寿命化を図り、鋳造操業や鋳片の品質を向上するこ
とができる。
【0020】特に、請求項2記載の溶鋼の加熱用プラズ
マトーチは、アノード側プラズマトーチの電極下部には
内側を通過する冷却水によって冷やされる底板があっ
て、底板の実質的な厚みを1〜5mmとするので、冷却
水による底板部の抜熱を強化して、底板の表面に発生す
る溶損及び磨耗を防止し、電極の寿命を延長することが
でき、鋳造操業や鋳片の品質をより安定して向上するこ
とができる。
【0021】請求項3記載の溶鋼の加熱用プラズマトー
チは、アノード側プラズマトーチとカソード側プラズマ
トーチとに供給するアルゴンガス量を300〜1000
NL/分にするので、電極から溶鋼表面に向かうプラズ
マアークの乱れを無くし、電極と外筒との電気的な短絡
を抑制してサイドアークを防止してプラズマトーチの寿
命を大幅に向上することができ、アルゴンガスのイオン
化を促進してプラズマアークを安定させて加熱効果を高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る溶鋼の加熱用プラ
ズマトーチのアノードプラズマトーチの部分断面図であ
る。
【図2】同溶鋼の加熱用プラズマトーチを用いた加熱装
置の全体図である。
【図3】電極のW含有量とアノードトーチのアルゴンガ
ス量及び電極溶損指数の関係を表す説明図である。
【符号の説明】
10:加熱用プラズマトーチ、10a:アノードトー
チ、10b:カソードトーチ、11:二重管、12:送
水路、13:排水路、14:分割部材(冷却水デバイ
ザ)、15:底部、16:外筒、17:底板、18:電
極、19:絶縁ブロック、19a:通気孔、20:アル
ゴンガスの供給路、21:拡がり部、22:給水路、2
3:排水路、24:絶縁体、25:分割部材(冷却水デ
バイザ)、30:加熱装置、31:溶鋼、32:タンデ
ィッシュ、33:加熱室、34:蓋、35:挿入口、3
6:挿入口、37:加電装置、38:浸漬ノズル
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 7/12 H05B 7/12 A 7/18 7/18 E H05H 1/28 H05H 1/28 1/34 1/34 1/44 1/44 (72)発明者 田中 和久 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 朝野 三司 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 安光 和典 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 平本 祐二 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 三武 裕幸 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 河内 毅 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 3K084 AA09 CA09 CB02 CD07 DA14 4E004 MB20 4E014 AA01 EA01 4G075 AA22 AA61 AA63 BB03 CA03 CA48 CA62 EC21 FB02 4K063 AA04 AA12 BA02 CA05 FA56 FA63 FA67

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用にあっては、溶鋼の表面の上方に対
    となるアノード側プラズマトーチとカソード側プラズマ
    トーチを配置し、前記アノード側プラズマトーチとカソ
    ード側プラズマトーチにプラズマ形成用のアルゴンガス
    を供給しながら通電して、前記溶鋼を加熱するプラズマ
    トーチにおいて、前記アノード側プラズマトーチの電極
    の組成をタングステンを70重量%超含む銅合金、又は
    タングステンとしたことを特徴とする溶鋼の加熱用プラ
    ズマトーチ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶鋼の加熱用プラズマト
    ーチにおいて、前記アノード側プラズマトーチの電極下
    部には内側を通過する冷却水によって冷やされる底板が
    あって、該底板の実質的な厚みを1〜5mmすることを
    特徴とする溶鋼の加熱用プラズマトーチ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の溶鋼の加熱用プラ
    ズマトーチにおいて、前記アノード側プラズマトーチと
    カソード側プラズマトーチとに供給する前記アルゴンガ
    ス量を300〜1000NL/分していることを特徴と
    する溶鋼の加熱用プラズマトーチ。
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