JP2631574B2 - アーク加工用非消耗電極 - Google Patents

アーク加工用非消耗電極

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JP2631574B2
JP2631574B2 JP2268340A JP26834090A JP2631574B2 JP 2631574 B2 JP2631574 B2 JP 2631574B2 JP 2268340 A JP2268340 A JP 2268340A JP 26834090 A JP26834090 A JP 26834090A JP 2631574 B2 JP2631574 B2 JP 2631574B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は酸素プラズマ或いは空気プラズマ等のプラズ
マアーク加工に用いられる非消耗電極に関するものであ
る。
〈従来の技術〉 今日、鋼板,ステンレス鋼板等の被加工材に対し切
断,溶接等の加工を施す際に、酸素ガス,空気を含む酸
素ガスを5%以上含有したガス(以下『酸素系ガス』と
いう)を用いたプラズマアーク加工法を利用することが
行われている。
酸化系ガスを用いたプラズマアーク加工法は、トーチ
の電極部に於いて発生した超高温のプラズマを酸化系ガ
スと共にノズルから超高速で被加工材に向けて噴射する
ことで、被加工材を溶融,酸化させると共に溶融物及び
酸化生成物を排除して切断するものである。この加工法
は鉄系金属に適用した場合に、切断面の高品質化,加工
の高速化等をはかることが出来るため有利である。
またプラズマアーク加工法にはアークの発生方式に応
じて移行式、及び非移行式と呼ばれる方式がある。移行
式と呼ばれる方式は、直流電源の陰極側と接続されたト
ーチの電極と、直流電源の陽極側と接続された被加工材
との間でプラズマアークを発生させるものであり、また
非移行式と呼ばれる方式は、直流電源の陽極側と接続さ
れたトーチのノズル部と電極との間でプラズマアークを
発生させるものである。
プラズマアークを発生させるためのトーチは、該トー
チの中心軸上に配設された銅又は銅合金からなるホルダ
ーに作用インサートを嵌合させて構成した電極と、電極
の前面であってトーチの中心軸上に配設されたノズルを
有し且つ電極と電気的に絶縁されたノズルキャップと、
電極とノズルキャップとで構成される空間に酸化系ガス
を供給する通路を有して構成されており、前記電極及び
ノズルキャップは夫々強制冷却されているのが一般であ
る。
プラズマアーク加工法は種々の利点を有する。然し、
作用インサート及びホルダーが熱電子の放出に伴う温度
上昇により溶融,蒸発して消耗するという問題がある。
ここで電極の消耗プロセスについて説明すると、プラ
ズマアークの発生により作用インサートの先端から熱電
子が放出され高温状態となる。また動作ガスとしては酸
化系ガスを用いることにより作用インサートは酸化し、
熱電子の放出と酸化反応の相乗効果により作用インサー
トの先端はより高温状態となり溶融,蒸発することで消
耗する。作用インサートの先端の消耗に伴ってプラズマ
アークは電極の表面から内部に入り込み、ホルダーを加
熱する。ホルダーに対する冷却と入熱とのバランスがく
ずれ、入熱量が臨界状態を越えるとホルダーが一気に溶
融し、これにより電極が消耗する。
そして従来より上記問題を解決するために多くの提案
がなされている。例えば、特許第877804号(特公昭52−
6932号)に開示される技術は、銅又は銅合金によって製
作されたホルダーにハフニウム又はハフニウム合金によ
って製作された作用インサートを嵌合すると共に、前記
ホルダーと作用インサートとの全接触面にアルミニウム
又はアルミニウム合金によって製作された金属スペーサ
を配置した電極に関するものである。
前記技術によれば、酸化系ガス雰囲気中でプラズマア
ークを発生させた場合、金属スペーサの材料であるアル
ミニウムが酸化し、このアルミニウム酸化物の融点が高
いことからホルダーを加熱と酸化から保護する遮蔽材と
して作用するため、電極の寿命を延長させることが出来
る。
〈発明が解決しようとする課題〉 プラズマ加工用のトーチに於ける電極の寿命は長いこ
とが好ましいが、一方では電極の消耗時間が安定したも
のであることが要求されている。即ち、同一仕様の電極
に於ける消耗時間がバラツキの無いものであることが要
求されている。
これは従来、例えば数値制御式加工装置、或いは倣い
加工装置等の如き自動加工装置にプラズマ加工用のトー
チを搭載して被加工材に対し所定の加工を施す場合、予
め電極の消耗時間を明確に判断することが出来ず、電極
が消耗したことを検出してから交換作業を実施するた
め、加工途中で電極を交換することがあり、オペレータ
ーが加工装置から完全に手を離すことが出来ない。従っ
て、電極の消耗時間が安定したものであれば、被加工材
に対する加工を実施する際に予め電極の交換時点を設定
しておくことが可能となり、加工装置の効率を向上させ
ることが出来るという理由に基づくものである。
電極の消耗時間を延長させ且つ安定させるためには、
作用インサートとホルダーとの熱伝達効率を向上させる
と共に作用インサートの先端で発生する熱を効率良く除
去することが必要である。
作用インサートとホルダーとの熱伝達効率を向上させ
るための対策として、作用インサートとホルダーとの嵌
合精度を向上させる方法がある。然し、ホルダーに作用
インサートの嵌合孔を機械加工によって形成する場合、
加工精度の確保が困難であり、且つ加工コストが上昇す
るという問題がある。
また上記特許第877804号に係る電極では、金属スペー
サとしてのアルミニウムの酸化状態が使用する酸化系ガ
スの酸素濃度、酸化系ガスの流量等の条件によって左右
されて安定性が無く、従って、消耗時間のバラツキが生
ずるという問題がある。
本発明の目的は、消耗時間が長く且つ安定したプラズ
マアーク加工用非消耗電極を提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 上記課題を解決するために本件発明者は種々の実験を
行った結果、以下の点が判明した。
金属スペーサを有しない通常の酸化系ガス用電極を用
い、冷却流体によってホルダーを強制冷却した場合、第
6図に示すように、電極の消耗時間は冷却流体の温度が
低い程延長される。このことは、電極、即ち作用インサ
ートを冷却することで電極の消耗時間を延長させること
が可能であることを示している。
従って、作用インサートとホルダーとの熱伝達効率を
向上させることで、電極の消耗時間を向上させることが
出来る。
作用インサートとホルダーとの間に金属スペーサを介
在させた電極は、消耗時間を延長させることが出来る。
ホルダーと作用インサートとの間に介在させる金属ス
ペーサの材料は、良好な熱伝導性と良好な導電性を有す
ることが必要である。
ホルダーと金属スペーサ及び作用インサートと金属ス
ペーサとの接触面に空隙が形成された場合、この空隙の
大きさに応じて熱伝導性,導電性が阻害され電極の消耗
時間を安定させることが出来ない。また熱伝導性,導電
性は接触面の表面状態によっても影響される。
金属スペーサの材料としてアルミニウム又はアルミニ
ウム合金を使用した場合、酸化アルミニウムの融点が高
くホルダーに対する熱遮蔽材としての機能を有する。然
し、前記酸化物の融点がホルダーの融点よりも高いため
に、金属スペーサが蒸発等により消耗したとき、ホルダ
ーが直接プラズマアークにさらされて溶融することがあ
る。
金属スペーサの材料としてアルミニウム又はアルミニ
ウム合金を使用した場合、該金属の酸化挙動が使用する
酸化系ガスの酸素濃度,流量等の条件に影響されて不安
定となり、電極の消耗時間を安定させることが困難であ
る。
電極の消耗時間を延長させ且つ安定させるためには、
ホルダーをプラズマアークから遮蔽された状態に維持す
ることが必要である。
上記〜から、消耗時間を向上させると共に安定さ
せるためには、ホルダーと作用インサートとの間に、自
体の導電性及び熱伝導性が良く、作用インサートとホル
ダーに対する熱伝達性が良く、溶融物或いは酸化物が熱
伝導性及び熱伝達性を阻害することが無く、蒸発潜熱が
高く、母材の融点或いは酸化物の融点が作用インサート
及びホルダーの融点よりも低い材料からなる金属スペー
サ或いは金属層を介在させることで、作用インサートに
対する冷却効率を向上させると共にホルダーをプラズマ
アークから遮蔽することが出来る。との結論を得た。
本発明にかかるプラズマ加工用非消耗電極は、酸素系
ガスを使用するアーク加工用非消耗電極であって、銅ま
たは銅合金からなるホルダーと、前記ホルダーの端面に
固定されるハフニウム、ハフニウム合金、ジルコニウ
ム、ジルコニウム合金のグループから選択された金属か
らなる作用インサートと、前記ホルダーと前記作用イン
サートとの接触部における80%以上の接触面に銀合金又
は金合金からなる金属層を、接触する前記ホルダーと作
用インサートに対して拡散結合するように介在させたア
ーク加工用非消耗電極として構成している。
また、他のアーク加工用非消耗電極は、前記ホルダー
と前記インサートとの間には銀合金を拡散結合するよう
に介在させ、銀合金が銀24%〜95%、銅5%〜76%の成
分を有することを特徴とするものである。
〈作用〉 上記手段によれば、酸化系ガスを使用するアーク加工
用非消耗電極(以下単に『電極』という)の消耗時間を
延長させることが出来、且つ消耗時間を安定させること
が出来る。
即ち、上記電極に於いて、ホルダーを構成する銅の融
点は1083℃であり、作用インサートを構成するハフニウ
ムの融点は2230℃,ジルコニウムの融点は1852℃であ
る。これに対し銀合金の融点は968℃,金合金の融点は1
063℃である。また熱伝導性,導電性は銀,銅,金の順
序で夫々良導体であることが知られており、これ等の値
はアルミニウムよりも夫々優れたものであることも知ら
れている。このため、熱伝達効率を向上させることが出
来、従って、電極の消耗時間を延長させることが出来
る。
またプラズマアークの発生により作用インサートの先
端から熱電子が放射されると、該先端部分が局部的に高
温となる。この熱は作用インサートから金属スペーサ又
は金属層を構成する銀合金又は金合金を介してホルダー
全体に良好に伝達される。このため、ホルダー全体が一
様に昇温し該ホルダーの局部的な溶融を防止することが
出来る。また熱伝達効率の向上によって、作用インサー
トの過度の昇温を防止し、これにより、作用インサート
の消耗を低減することが出来る。
また熱電子の放射に伴い、作用インサートの先端が溶
融,蒸発して消耗することで、プラズマアークの発生点
が徐々に電極内部に侵入し、作用インサートとホルダー
との間に段差が生ずる。このとき、銀合金又は金合金も
溶融して作用インサートとホルダーとの間に生じた段差
部に於けるホルダーの表面に沿って流動し、該表面に前
記溶融金属による層を形成する。そして前記層によって
ホルダーをプラズマアークから遮蔽することで、ホルダ
ーの局部的な溶融を防止することが出来る。
このように、作用インサート先端からの熱電子の放出
に伴い、銀合金又は金合金が溶融,流動してホルダーの
表面に溶融層を形成することから、金属スペーサ又は金
属層とホルダーとの接触面に空隙が形成されている場合
であっても、この空隙を埋めることが出来る。従って、
作用インサートとホルダーとの熱伝達効率をこれ等の表
面状態に影響されることなく安定させることが出来る。
また金属スペーサ又は金属層を作用インサートとホルダ
ーとの接触部に於ける全接触面に配置することは必ずし
も必要では無く、これ等の接触部に於ける80%以上の接
触面に配置されていれば目的を達成することが出来る。
また銀合金又は金合金が蒸発する際の蒸発潜熱によっ
て、作用インサート先端に於ける局部的な熱を吸収する
ことが出来る。
従って、熱電子の放出に伴う作用インサート全体の熱
を金属スペーサ又は金属層を介してホルダーに伝達する
と共に、作用インサート先端の局部的な熱を金属スペー
サ又は金属層を構成する銀合金又は金合金の蒸発潜熱に
よって吸収することで、電極の消耗時間を延長させると
共に安定させることが出来る。
またホルダーと作用インサートとの接触部に銀合金又
は金合金からなる金属層をホルダー及び作用インサート
と拡散結合させて介在させることによって、ホルダーと
金属層及び作用インサートと金属層の夫々の接触面に空
隙が形成される虞が無い。このため、電極に於ける熱伝
達性,導電性を向上させることが出来る。
金属スペーサ又は金属層を銀合金又は金合金によって
構成することで、酸化系ガス雰囲気中でも溶融,流動,
蒸発等の物理的な挙動を安定して発揮させることが出来
る。
即ち、銀は通常の酸化系ガス雰囲気では酸化されず、
オゾンによって酸化される。従って、プラズマアークを
発生することによって酸化銀が生成することがある。然
し,高温域に於ける酸化銀は銀と酸素とに分解されるた
め、溶融,流動等の挙動は安定したものとなる。また金
も通常の酸化系ガス雰囲気では酸化しないため、溶融,
流動等の挙動は安定したものとなる。
また銀合金又は金合金の主成分を銀又は金及び銅とす
ることによって、ホルダー及び作用インサートとの拡散
結合性を向上させると共に熱伝達率を向上させることが
出来る。
また銀合金にパラジウムを4%以上含有させることに
よって、溶融温度を上昇させると共に含有率に応じて溶
融温度を制御することが出来る。
また金合金にニッケルを2%以上含有させることによ
って、溶融温度を上昇させると共に含有率に応じて溶融
温度を制御することが出来る。
〈実施例〉 以下上記手段を適用した電極の実施例について図を用
いて説明する。
第1図(a)は電極の断面説明図、第1図(b)は電
極の正面説明図、第2図は切断加工を施す際の模式説明
図、第3図(a),(b)は電極が消耗する過程を示す
説明図である。
第1図に示す電極Aは、銅又は銅合金からなるホルダ
ー1と、このホルダー1の中心軸上であって前端面1a側
から嵌挿されたハフニウム,ハフニウム合金,ジルコニ
ウム,ジルコニウム合金の中から選択された金属によっ
て構成された作用インサート2と、ホルダー1と作用イ
ンサート2との接触部に配置された銀合金又は金合金か
らなる金属層3とによって構成されている。
ホルダー1の前端側(図に於ける下側)に前端面1aが
形成されており、後端側(図に於ける上側)から比較的
大きな径を有する孔1bが形成されている。この孔1bは冷
却流体の通路となるものであり、後述するように電極A
をトーチ5に取り付けたとき、該トーチ5に設けられた
導管7が嵌挿されて冷却流体を流通させるように構成し
ている。
ホルダー1の中心軸上であって前端面1a側に作用イン
サート2,金属層3を形成するための孔1cが形成されてい
る。この孔1cの寸法は厳密に管理されることが必要であ
る。
ホルダー1の中心軸上であって孔1bの前端面1aと対向
する位置に突起部1dが形成されている。この突起部1dは
冷却流体と接触するホルダー1の表面積を大きくするこ
とで、ホルダー1に対する冷却効率を向上させる機能を
有する。
作用インサート2は電極Aの加工能力に応じた寸法を
有する円筒状に形成されている。この作用インサート2
は電極Aによりプラズマアークを発生させる際の発生点
となるものである。
金属層3は、作用インサート2とホルダー1を電気的
及び熱的に結合する機能を有しており、作用インサート
2と図示しない直流電源とをトーチ5を介して接続する
と共に、作用インサート2で発生した熱をホルダー1に
伝達することで作用インサート2を冷却するためのもの
である。
また金属層3は作用インサート2からの熱電子の放出
による昇温によって溶融してホルダー1と作用インサー
ト2との間に流動し、ホルダー1をプラズマアーク11か
ら遮蔽すると共に、蒸発する際の潜熱によって作用イン
サート2の先端から局部的に熱を吸収する機能を有する
ものでもある。
金属層3としては、作用インサート2の外径に応じた
内径を有し、且つ所定の厚さを有する筒状に形成した所
謂金属スペーサを用いることが可能である。この場合、
金属スペーサに作用インサート2を嵌合し、更にホルダ
ー1の孔1cに圧入されることで、作用インサート2とホ
ルダー1の接触部に配置される。
また金属層3として、ホルダー1に形成した孔1cと作
用インサート2との間に溶融した銀合金又は金合金を注
入して形成しても良い。この場合、金属層3とホルダー
1及び金属層3と作用インサート2を夫々拡散結合させ
ることが可能であり、これらの接触面に空隙が形成され
る虞が無い。従って、熱伝導性,導電性を向上させると
共に安定させることが可能である。
以下、本実施例では作用インサート2とホルダー1の
間に金属層3として、筒状の金属スペーサを介在させた
場合について説明する。
実験の結果、前記金属スペーサ3の厚さとしては、0.
01mm〜0.8mmの範囲で設定することが好ましい。これ以
下の厚さであると、ホルダー1とプラズマアーク11との
遮蔽及び蒸発潜熱による熱の吸収機能を有効に発揮する
ことが出来ず、またこれ以上の厚さであると、金属スペ
ーサ3全体が溶融してホルダー1から作用インサート2
が脱落する虞がある。
金属スペーサ3の材料として銀合金又は金合金を用い
ている。
即ち、前述した実験結果から、作用インサート2及び
金属スペーサ3が消耗し、ホルダー1が露出する虞のあ
るとき、溶融した金属スペーサ3の金属がホルダー1の
表面に沿って流動して該表面に溶融金属層を形成するこ
とが可能であれば、ホルダー1の局部的な溶融を防止す
ることが可能となり、且つホルダー1と金属スペーサ3
との接触面に空隙が形成されている場合であっても、こ
の空隙に溶融金属が流れ込んで熱伝導性を向上させるこ
とが可能となり、従って、電極Aの消耗時間を延長させ
ると共に安定させることが可能であるとの結論に基づい
て、酸化系ガス雰囲気中及び高温雰囲気中での安定性、
材料の入手の容易さ、加工の容易さ等を検討して選定し
たものである。
銀合金、金合金の溶融温度はホルダー1を構成する銅
又は銅合金及び作用インサート2を構成するハフニウ
ム,ハフニウム合金,ジルコニウム,ジルコニウム合金
の溶融温度よりも低く、また銀,金は酸化系ガス雰囲気
中で酸化することが無く、更に、プラズマアークの発生
によって酸化銀が生成したとしても、この酸化銀は高温
雰囲気中で銀と酸素に分解され、また酸化金が生成した
としても、この酸化金は高温雰囲気中では金と酸素に分
解される。従って、前記銀合金,金合金は酸化系ガス雰
囲気及び高温雰囲気に於ける挙動が安定したものであ
る。
銀合金,金合金としては銅系の合金が好ましい。これ
は合金中に含有される銅がホルダー1を構成する銅又は
銅合金及び作用インサート2を構成するハフニウム,ハ
フニウム合金,ジルコニウム,ジルコニウム合金との拡
散結合性が良好であるためである。
実験の結果、銀合金としては主成分として、銀50%〜
95%,銅5%以上含有したものであれば目的を達成する
ことが可能であった。また銀の含有率が50%以下である
場合には銅の含有率を増大させることが必要であった。
例えば、銀の含有率が24%である場合には銅の含有率を
35%以上にする必要があり、また銀の含有率が40%であ
る場合には銅の含有率を10%に設定することで目的を達
成することが出来た。従って、銀合金としては主成分と
して銀24%〜95%,銅5%〜76%を含むものであれば目
的を達成することが可能である。
また銀合金として、銀−銅系合金にパラジウムを4%
〜35%含有させることで、該合金の溶融温度を上昇させ
ることが可能であり、且つこの含有率を適宜設定するこ
とで、銀合金の溶融温度を適宜設定することが可能であ
る。
また金合金としては、主成分として金80%乃至90%,
銅5%を含むものであれば目的を達成することが可能で
あった。また金の含有率を30%とした場合には銅の含有
率は20%以上に設定することが必要であった。従って、
金合金としては主成分として金30%〜95%,銅5%〜70
%を含むものであれば目的を達成することが可能であ
る。
また金合金として、金−銅系合金にニッケルを2%乃
至20%含有させることで、該合金の溶融温度を上昇させ
ることが可能であり、且つこの含有率を適宜設定するこ
とで、金合金の溶融温度を適宜設定することが可能であ
る。
金属スペーサ3を構成する銀合金,金合金は、夫々上
記の如き成分と含有率を持って構成される。然し,亜
鉛,カドミウム,錫,リチウム,鉛等が含有されても性
能上ほとんど影響の無いことを確認している。
上記の如く構成した電極Aを用いて鋼板4に対する切
断加工を施す場合について第2図を用いて説明する。
電極Aはトーチ5の電極台6にネジ等の手段によって
着脱可能に装着される。このとき、電極Aに形成した孔
1bに冷却流体を流通させるための導管7が嵌合し、該導
管7に冷却水を流通させることで、電極Aを構成するホ
ルダー1を直接冷却し得るように構成している。トーチ
5の先端にはノズルキャップ8が着脱可能に装着されて
おり、このノズルキャップ8の内側にノズル9が配置さ
れている。このノズルキャップ8及びノズル9は電極A
を冷却した冷却水によって冷却されている。また電極A
とノズル9とで形成される空間に酸化系ガスを供給する
ための通孔10が設けられている。
上記構成に於いて、図示しない直流電源の陰極側を作
用インサート2と接続すると共に陽極側を鋼板4と接続
して直流電圧を印加し、且つ通孔10を介して酸化系ガス
を供給すると、ノズル9によって高電流密度に絞られた
プラズマアーク11と酸化系ガスが鋼板4に向かって噴射
され、鋼板4の表面を溶融すると共に酸化させ、溶融金
属及び酸化溶融物を鋼板4から除去することで、該鋼板
4を切断することが可能となる。
次に、電極Aに於ける消耗プロセスについて第3図
(a),(b)を用いて説明する。
記述したように、酸化系ガス雰囲気中で作用インサー
ト2の先端から熱電子が放出されると、この先端部分は
局部的に超高温(6000℃〜7000℃)となる。尚、作用イ
ンサート2に於ける熱電子の放出部分は、作用インサー
ト2の表面であって且つ中心部分であると考えられてい
る。
前記熱により作用インサート2を構成する金属は溶融
し且つ蒸発する。このとき、作用インサート2の先端で
発生する熱は作用インサート2全体に伝達され、更に金
属スペーサ3を介してホルダー1に伝達される。そして
ホルダー1を強制冷却することによって、該ホルダー1
を介して作用インサート2を冷却することが可能とな
る。
同図(a)に示すように、作用インサート2の先端に
於ける金属の蒸発により、該先端部分にクレーター1eが
発生する。クレーター1eに対応する位置にある金属スペ
ーサ3は、作用インサート2から発生する熱により溶融
及び蒸発する。然し、金属スペーサ3を構成する材料と
して銀合金,金合金の何れを用いた場合であっても、こ
れ等の融点がホルダー1を構成する銅又は銅合金の融点
よりも低いため、ホルダー1は溶融しない。また金属ス
ペーサ3が蒸発する際の蒸発潜熱により、作用インサー
ト2の先端部分に於ける熱を吸収することが可能であ
り、従って、クレーター1eに対応する部分のホルダー1
の昇温を抑制することが可能となる。
電極Aの稼働時間が増加すると、同図(b)に示すよ
うにクレーター1eが成長して熱電子の放出点が電極Aの
内部に侵入する。このようなクレーター1eの成長過程に
於いて、作用インサート2は定常的に溶融し且つ蒸発
し、金属スペーサ3も溶融し且つ蒸発する。このとき、
金属スペーサ3の溶融金属はホルダー1に形成した孔1c
の表面に沿って流動し、これにより、ホルダー1のプラ
ズマアーク11と対応する面、即ち孔1cの表面に溶融金属
層12が形成される。そして前記溶融金属層12によって、
ホルダー1をプラズマアーク11に直接さらすこと無く遮
蔽することが可能である。
前記溶融金属層12は、クレーター1eの成長に伴って金
属スペーサ3が連続的に溶融することから、溶融金属が
定常的に供給され、常に略一定の厚さに維持される。そ
して溶融金属層12とホルダー1との接触面を介して熱が
ホルダー1に伝達されると共に、溶融金属層12のプラズ
マアーク11と対向する面からは連続的に溶融した金属の
蒸発が行われて熱を吸収することが可能となる。このた
め、プラズマアークの発生時に於ける電極の温度分布を
定常状態とすることが可能である。
上記の如く、クレーター1eの成長に伴って熱電子の放
出点が電極Aの内部に侵入したとき、ホルダー1のプラ
ズマアーク11と対向する面に金属スペーサ3の溶融金属
層が形成されることで、ホルダー1が直接プラズマアー
ク11にさらされることを防止すると共に温度分布を定常
状態とすることが可能であり、これにより、電極Aの消
耗時間を延長させると共に安定させることが可能とな
る。
第4図はカップ状に形成された金属スペーサ13を用い
て構成した電極Bの説明図である。
図に於いて、作用インサート2はカップ状の金属スペ
ーサ13に嵌挿されており、この金属スペーサ13がホルダ
ー1に形成した孔1cに嵌挿されている。従って、金属ペ
ーサ13は、作用インサート2とホルダー1との接触部に
於ける全接触面にわたって配置されている。
電極Bを上記の如く構成しても、前述した電極Aと同
様に消耗時間を延長させると共に安定させることが可能
である。
第5図(a),(b)は作用インサート2がホルダー
1の中心軸に対して偏心して構成された電極Cの説明図
である。
作用インサート2とホルダー1との間に溶融した銀合
金又は金合金を注入して電極を構成する場合に、上記の
如き電極Cが構成されることがある。
図に示す電極Cは、ホルダー1の孔1cと作用インサー
ト2の表面が直接接触している。このような電極Cにあ
っては、作用インサート2の先端から熱電子を放射した
場合に、ホルダー1が直接プラズマアーク11にさらされ
て溶融する虞がある。
然し、実験の結果、作用インサート2とホルダー1と
の接触部に於ける接触面積の80%以上に金属層3を介在
させることによって、電極Cの消耗時間を延長させると
共に安定させることが可能であった。
即ち、金属層3を構成する材料として銀合金又は金合
金を用いた場合、作用インサート2からの熱電子の放射
によって発熱すると、ホルダー1の溶融に先立って金属
層3を構成する銀合金,金合金が溶融し、作用インサー
ト2とホルダー1とが直接接触している部分に流れ込む
ことで、瞬時にホルダー1の孔1cの表面に溶融金属層12
を形成する。この溶融金属層12は、作用インサート2の
消耗によりクレーター1eが成長しても、金属層3の定常
的な溶融により溶融金属が連続して供給されることで、
途切れること無く定常的に形成される。このため、電極
Cの消耗時間を延長させると共に安定させることが可能
である。
上記の如く、金属スペーサ3又は金属層3は必ずし
も、作用インサート2とホルダー1の接触部に於ける全
接触面に介在させることは必要では無く、80%以上の接
触面に介在させることで目的を達成し得ることが確認さ
れた。これは、銀合金,金合金に於ける溶融温度は銀,
金を含有率に応じた一定温度となり、従って、金属スペ
ーサ3又は金属層3の体積を一定とすることで、銀合
金,金合金の溶融,流動の挙動を略一定の状態で行わせ
ることが可能であるためと考えられる。
尚、前述した電極Aと従来のアルミニウムの金属スペ
ーサを有する電極との消耗時間を比較したところ、電極
の仕様によっても異なるが、電極Aは平均して50%消耗
時間を延長させることが出来た。
また消耗時間の安定性について、多数の電極Aと多数
従来の電極とを用いて比較したところ、安定精度を80%
向上させることが出来た。
〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明のアーク加工用非消耗電
極によれば、ホルダーと作用インサート間の接触部に銀
合金又は金合金からなる金属層を、これらホルダーと作
用インサートに対して拡散結合するように介在させたの
で、これら接触面に空隙が生じることを防止し、もって
熱電導性、誘電性を向上させるとともに電極の消耗プロ
セスを安定させることができる。
特に、銀合金を用いた場合は、酸化系ガス雰囲気及び
高温雰囲気に措ける挙動を安定させることができる。ま
た、銀合金を銅系にすることで、ホルダーを構成する銅
または銅合金と、及び作用インサートを構成するハフニ
ウム、ハフニウム合金、ジルコニウム、ジルコニウム合
金との拡散結合性が良好なものとすることができる。さ
らに、パラジウムを所定割合で含有させることで、該合
金の溶融温度を上昇させ、溶融温度を所定温度に設定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は電極の断面説明図、第1図(b)は電極
の正面説明図、第2図は切断加工を施す際の模式説明
図、第3図(a),(b)は電極が消耗する過程を示す
説明図、第4図はカップ状の金属スペーサを用いた電極
の説明図、第5図(a),(b)は作用インサートとホ
ルダーが直接接触した電極の説明図、第6図は従来の電
極に於ける冷却流体と消耗時間との関係説明図である。 A,B,Cは電極、1はホルダー、1cは孔、2は作用インサ
ート、3は金属スペーサ又は金属層、4は鋼板、5はト
ーチ、6は電極台、7は導管、8はノズルキャップ、9
はノズル、10は動作ガス通孔、11はプラズマアーク、12
は溶融金属層、13は金属スペーサである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 圭介 東京都江戸川区西小岩3―35―16 小池 酸素工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−225727(JP,A) 特開 昭50−152949(JP,A) 特開 昭49−18739(JP,A) 特公 昭44−19982(JP,B1) 特公 昭39−824(JP,B1) 実公 昭36−7332(JP,Y1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素系ガスを使用するアーク加工用非消耗
    電極であって、銅または銅合金からなるホルダーと、前
    記ホルダーの端面に固定されるハフニウム、ハフニウム
    合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金のグループから
    選択された金属からなる作用インサートと、前記ホルダ
    ーと前記作用インサートとの接触部における80%以上の
    接触面に銀合金又は金合金からなる金属層を、接触する
    前記ホルダーと作用インサートに対して拡散結合するよ
    うに介在させたことを特徴としたアーク加工用非消耗電
    極。
  2. 【請求項2】前記ホルダーと前記作用インサートとの間
    には銀合金を拡散結合するように介在させ、銀合金が銀
    24%〜95%、銅5%〜76%の成分を有することを特徴と
    する第1請求項記載のアーク加工用非消耗電極。
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