JP2003032994A - リニアモータ - Google Patents

リニアモータ

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JP2003032994A
JP2003032994A JP2001382371A JP2001382371A JP2003032994A JP 2003032994 A JP2003032994 A JP 2003032994A JP 2001382371 A JP2001382371 A JP 2001382371A JP 2001382371 A JP2001382371 A JP 2001382371A JP 2003032994 A JP2003032994 A JP 2003032994A
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究 村田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リニアモータの推力の反力を低減すると共に
推力の向上を図る。 【解決手段】 磁極歯部15aを多数並設する電機子コ
ア15の長手方向の端部に壁部15eを突出すると共に
各磁極歯部15a間のスロット10に巻装してあるコイ
ル2を装着する。スロット150及び磁極歯部15aと
壁部15eとの間の空間160には、磁性体製の反力抑
止板35を固着して電機子24を形成する。電機子24
を含むリニアモータは、壁部15eにより電機子コア1
5の歯先側全長を調節して推力の反力を低減すると共
に、スムーズな作動を確保して推力を増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、推力の反力(ディ
テント力)を低減すると共に推力の向上も可能としたリ
ニアモータに関する。
【0002】
【従来の技術】リニアモータの固定子又は可動子として
用いられる電機子は、鉄製の長寸の棒材の長手方向に、
角柱の磁極歯部を夫々スロットを隔てて複数並設して電
機子コアとなし、該電機子コアの相異なるスロットに挿
入保持し、磁極歯部を周回するようにしてコイルを巻装
してなる。
【0003】図28は、従来のリニアモータに備えられ
ている電機子の模式的縦断面図である。図中13は鉄製
の電機子コアであり、該電機子コア13は、矩形断面を
有する長寸の棒状である基部の一面に、所定の深さを有
する矩形溝型のスロット130,130,…を夫々隔て
る四角柱の磁極歯部13a,13a,…を突出して複数
並設してあり、対応する該磁極歯部13a,13aに導
線を夫々整列巻きに巻き付けてコイルを構成してなる。
又は、対応する該磁極歯部13a,13aを周回するよ
うにして、相異なるスロット130,130に挿入保持
して、あらかじめ整列巻きに成形されているコイル2
0,20,…を巻装してなる。また、スロット130,
130,…には、前記コイル又はコイル20,20,…
の抜け止めとして図示しない合成樹脂が夫々充填してあ
る。
【0004】以上のような電機子は、コイル又はコイル
20が整列巻きに形成されているため、コイル又はコイ
ル20を構成する導線のスロット130内の占積率が高
く、該電機子を備えるリニアモータの効率を向上する。
また、あらかじめ成形されているコイル20,20,…
をスロット130,130,…に巻装する場合は、磁極
歯部13a,13a,…に導線を巻き付けてコイルを形
成する必要がないため導線の占積率を容易に向上するこ
とができる。なお、図28のリニアモータは三相(U
相、V相、W相)モータとして構成され、計6個の各コ
イル20毎に三相の何れか一相を順次割り当てること
で、電機子全体では「120°一層配置」の巻き方によ
り三相を形成している。
【0005】また、図29に示すように、ブロック状の
電機子コア13からなる電機子との対向側をS極にする
磁石55sと該対向側をN極にする磁石55nとを交互
に隔離配置して界磁部を構成するリニアモータ50で、
電機子コア13の長手方向における一端側の磁極歯部1
3aから他端側の磁極歯部13aまでの歯先側全長L
が、 L=P×(Z+1/2) …(1) (Pは磁石55sと磁石55nとの磁石ピッチ、Zは自
然数)の関係を満たす場合、リニアモータのディテント
力が最小になることが経験的に知られており、歯先側全
長Lが磁石ピッチPの1.5倍、2.5倍、3.5倍…
等になる場合、ディテント力が最小になる。
【0006】例えば、図30のグラフに示すように、デ
ィテント力は、電機子を可動子にすると共に界磁部側を
固定子51としたリニアモータ50において、歯先側全
長L/磁石ピッチPを変更すると、一定の周期で変更
し、上述した歯先側全長Lが磁石ピッチPの1.5倍、
2.5倍、3.5倍…等になる位相箇所でグラフの谷と
なり、ディテント力が最小になる。なお、ブロック状の
電機子コア13からなる電機子の代わりにダミー鉄心と
して一枚板を用いた場合も、一枚板の全長Lが数式
(1)の関係を満たす場合、ディテント力が最小にな
る。
【0007】さらに、図31に示すように、固定子51
の各磁石55s、55nに、リニアモータの進行方向と
直交する方向に対する角度K(以下、スキュー角度Kと
称す)が付与された場合、ディテント力自体の数値が全
体に低減されることも知られている。図30のグラフで
は、曲線Aはスキュー角度Kが0度の場合を示し、以
下、曲線Bはスキュー角度Kが15度、曲線Cはスキュ
ー角度Kが30度の場合であり、スキュー角度Kが大き
くなる程、ディテント力が低減されることを示してい
る。
【0008】図32は、従来のリニアモータに備えられ
ている半閉型スロットを有する電機子の模式的縦断面図
である。図中14は鉄製の電機子コアであり、該電機子
コア14は、矩形断面を有する長寸の棒状である基部の
一面に、所定の深さを有する矩形溝型のスロット14
0,140,…を夫々隔てる四角柱の磁極歯部14a,
14a,…を突出して複数並設してあり、対応する該磁
極歯部14a,14aに導線を夫々集中巻きに巻き付け
てコイル21,21,…を構成してなる。各磁極歯部1
4aの歯先には、磁極歯部14a,14a,…の並設方
向に突出して突出部14b,14bが夫々設けられてお
り、突出部14b,14b,…によってスロット14
0,140,…の開口部の一部が夫々塞がれて、スロッ
ト140,140,…は半閉型になっている。また、ス
ロット140,140,…には、コイル21,21,…
の抜け止めとして図示しない合成樹脂が夫々充填してあ
る。
【0009】以上のような電機子は、スロット140,
140,…の夫々の開口部の一部が突出部14b,14
b,…によって塞がれており、そのため隣り合う磁極歯
部14a,14aの歯先と歯先との間の距離が小さくな
り、磁界に対する歯先の影響が小さくなるため、該電機
子を備えるリニアモータのディテント力を低減する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】突出部14b,14
b,…を有する電機子を備える従来のリニアモータを用
いる場合、ディテント力を低減できても、スロット14
0,140,…の開口部の面積が狭く、電機子コア14
に整列巻きのコイルを形成する作業、又は、あらかじめ
成形されているコイルのスロットへの巻装や組込を行う
作業が困難であるという問題がある。そのため、電機子
コア14には集中巻きのコイルを形成してあるが、集中
巻きはスロット内の導線の占積率が低く、このためリニ
アモータの効率を向上することができないという問題が
あった。また、突出部14b,14b,…を持たない電
機子を備える図28、29に示す従来のリニアモータを
用いる場合、スロット130,130,…の開口部の面
積が広いため、磁極歯部13a,13a,…の歯先の磁
界に対する影響が大きくなって、ディテント力が増大す
るという問題があった。更に、ディテント力が増大する
と無効電流が大きくなり、コイル20,20,…での発
熱量が増大するという問題もあった。
【0011】以上のような問題を解決するために、特開
平6−165469号公報では、各磁極歯部の歯先に、
該歯先の面に対して直角に、歯先近傍に切り欠き部分を
有する突起部を形成し、コイルを巻装した後で前記突起
部を歯先に対して平行になるよう切り欠き部分で折り曲
げてスロットの開口部を塞ぐ電機子を備えるリニアモー
タが開示されている。しかしながら、突起部は切り欠き
部分の剛性が弱く、破損しやすいという問題があった。
また、特開2000−262035公報では、歯先と歯
先との間の距離を低減する突出部が形成された単数の磁
極歯部を有する電機子コアを、複数、屈曲可能に夫々連
結して、コイルを巻き付けるときは電機子コアと電機子
コアとの間を屈曲させてスロットの開口部を広く開けて
おき、コイルを巻き付けた後で電機子コアを棒状にして
形成してある電機子が開示されている。しかしながら、
該電機子を用いる場合、電機子コアに屈曲部があるた
め、磁気結合が弱くなり、また、構造が複雑になるとい
う問題があった。
【0012】さらに、図28の電機子は三相モータ用と
して構成されるため、コイル20を3の倍数の個数分、
配置する必要があることから、磁極歯部13aやスロッ
ト130等の寸法が制限され、電機子コア13の歯先側
全長Lを上述した数式(1)の関係を満たすように設定
するのが難しいという問題がある。また、この数式
(1)の関係を満たすことができなければ、図30のグ
ラフに示すように、ディテント力が大きくなりリニアモ
ータの滑らかな動作を確保するのが困難となる。
【0013】さらに、また、図29のリニアモータ50
は、固定子51と対向する電機子の箇所は、磁極歯部1
3aの歯先面に限定されるため、強大な磁気結合力を得
ることはできない上、電機子コアの長手方向の端部では
外側に磁路を構成できないので磁気抵抗が生じ、これら
を要因としてリニアモータ自体の推力を向上できにくい
という問題もある。
【0014】本発明は斯かる問題を解決するためになさ
れたものであり、電機子コアのスロット内に、反力抑止
板を磁極歯部の歯先近傍に密着配置等することにより、
電機子コアを理想的なブロック形状又は一枚板形状に近
付けて、ディテント力を低減し性能を向上できるリニア
モータを提供することを目的とする。本発明の他の目的
は、穴部を有する反力抑止板を隣り合う磁極歯部に密着
配置することにより、電機子の剛性を向上し、歯先を保
護し、また、取り付けられた反力抑止板の安定性を向上
するリニアモータを提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、反力抑止板は凸部を
有し、該凸部を、磁極歯部に設けられた凹部に挿入して
着脱可能に固着してあることにより、反力抑止板の取付
け又は取外し作業性を容易にし、整列巻きのコイルの装
着を簡易化して組立作業性の向上及び装着したコイルの
脱落の防止を図るリニアモータを提供することにある。
【0016】また、本発明の他の目的は、電機子コアの
端部に壁部を設けることにより、電機子コアの歯先側全
長をディテント力の低減可能な寸法に設定できると共に
電機子コアの体積を増大して推力も向上できるリニアモ
ータを提供することにある。さらに、本発明の他の目的
は、界磁部を構成する磁石に面取りを施すことによりデ
ィテント力の低減を図るリニアモータを提供することに
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1発明に係るリニアモ
ータは、スロットを隔てて複数並設してある磁極歯部を
有する電機子コアと、前記磁極歯部に巻装してあるコイ
ルとを備える電機子を用いてなるリニアモータにおい
て、前記電機子は、前記スロット内に、前記磁極歯部の
歯先近傍に密着配置してある磁性体製の反力抑止板を備
えることを特徴とする。
【0018】第1発明にあっては、リニアモータの可動
子又は固定子として用いられる電機子は、該電機子の磁
極歯部側に対向して固定子又は可動子が配置され、該固
定子又は可動子は磁極歯部に対向して界磁部を有する。
界磁部は、例えば対向側をS極にする永久磁石と対向側
をN極にする永久磁石とを、磁極歯部の並設方向に、交
互に離隔配置してなる。界磁部と電機子とが前記並設方
向に相対移動するとき、磁界が磁極歯部の歯先の端部の
影響を受け、界磁部から電機子に対して作用する吸引力
が、前記歯先の端部の影響を受けることによって、吸引
力の前記並設方向の成分が、相対移動方向の逆方向に大
きくなる場合、前記成分はディテント力と呼ばれるリニ
アモータの推力の反力として作用する。歯先と歯先との
間の距離が大きいほど前記影響は顕著になるが、反力抑
止板は磁極歯部の歯先近傍に密着してスロット内に配置
してあり、該反力抑止板によって歯先と歯先との間の距
離を小さくして、前記影響を小さくするため、ディテン
ト力を低減することができる。
【0019】また、ディテント力が減少することによっ
て推力の低下が抑制され、無効電流が小さくなってリニ
アモータの発熱量を低減し、また、前記影響が小さいた
め、該影響の度合が相対移動に伴って変動し、ディテン
ト力が変動することによって推力が大きく変動すること
を抑制できるため、リニアモータの性能を向上すること
ができる。また、反力抑止板と磁極歯部とを密着してい
るため、歯先と反力抑止板との磁気的結合を向上するこ
とができる。
【0020】また、反力抑止板を配置する前に、磁極歯
部に導線を整列巻きに巻き付けてコイルを形成すること
によって、スロット内の導線の占積率を向上できるた
め、リニアモータの効率を向上することができる。又
は、磁極歯部に、あらかじめ導線を整列巻きにして成形
されているコイルを巻装することができるため、導線の
占積率を容易に向上することができて、リニアモータの
効率を向上することができる。また、反力抑止板が開口
部の面積を減少するため、コイルの脱落を防止すること
ができる。
【0021】第2発明に係るリニアモータは、前記反力
抑止板は穴部を有し、該反力抑止板の両端部が、前記ス
ロットの開口部を隔てて隣り合う磁極歯部に、夫々密着
していることを特徴とする。
【0022】第2発明にあっては、各反力抑止板を、該
反力抑止板の両端部が隣り合う磁極歯部に密着し、該磁
極歯部の歯先に隣り合うように配置することによって、
隣り合う磁極歯部同士が反力抑止板によって一体化する
こととなり、磁極歯部の並設方向の外力が磁極歯部に加
えられた場合、該外力を複数の磁極歯部に分散して支え
ることができるため、電機子の剛性を向上する。また、
歯先に直接外力が加わることを防止できるため、歯先を
保護することができる。また、隣り合う磁極歯部に反力
抑止板を固定することができるため、取り付けられた反
力抑止板の安定性を向上する。更に、反力抑止板の穴部
はスロットの開口部として作用するため、第1発明に記
載のリニアモータと同様の効果を得ることができる。
【0023】なお、前記反力抑止板は、コの字型の板状
に形成すると共に前記磁極歯部を挟むように配置するよ
うにしてもよい。このようにすることで、反力抑止板に
より歯先へ直接外力が加わることを防止し、歯先を保護
できる上、磁極歯部の並設方向の両側面に反力抑止板の
固定が可能となり、取付状態の反力抑止板の安定性を向
上できる。更に、反力抑止板により、前記並設方向に突
出する突出部を歯先に設けた場合と同様に歯先と歯先と
の間の距離を低減できるため、第1発明に係るリニアモ
ータと同様の効果を得ることができる。
【0024】また、隣り合う前記反力抑止板は、前記ス
ロットの開口部の外部で、一端又は他端が一体化してい
ることも好適である。このような形態を適用すること
で、隣り合う磁極歯部同士が磁極歯部の並設方向に一体
化されることとなり、磁極歯部の並設方向の外力が磁極
歯部に加えられた場合、該外力を複数の磁極歯部へ分散
支持でき電機子の剛性を向上できる。また、一体化した
反力抑止板を、隣り合う磁極歯部に固定することができ
るため、取り付けられた反力抑止板の安定性を更に向上
できる。更に、反力抑止板は、スロットの開口部の外部
で一体化していると共に磁極と直接的に対向しないた
め、一体化している部分が磁界に大きな影響を与えるこ
とはない。
【0025】第3発明に係るリニアモータは、前記反力
抑止板は、前記磁極歯部の並設方向の端部に、該並設方
向に突出する凸部を有し、前記磁極歯部は、前記並設方
向の側面の歯先近傍に、該歯先に略平行となる位置に、
前記凸部を嵌合すべき凹部を有し、該凹部に前記凸部を
挿入して、前記反力抑止板を前記磁極歯部に着脱可能に
固着してあることを特徴とする。第3発明にあっては、
反力抑止板は、歯先近傍に設けられた凹部に挿入して着
脱可能に固着する。このため、例えば、コイルの組み込
み、コイルの巻きなおし又はコイルの交換を行なう必要
がある場合に、反力抑止板の着脱が容易であるため、反
力抑止板の取り付け又は取り外しの作業性が向上する。
また、反力抑止板と磁極歯部とを、凸部及び凹部を用い
て密着しているため、歯先と反力抑止板との磁気的結合
を向上することができる。
【0026】また、隣り合う反力抑止板が、非磁性体を
用いてなる補強部材で一体化してあることが好ましい。
外力が反力抑止板に加えられた場合、該外力を複数の反
力抑止板に分散して支えることができる上、反力抑止板
に外力が直接加えられることを補強部材で防止でき、取
り付けられた反力抑止板の安定性が向上し、反力抑止板
を保護できる。なお、補強部材は非磁性体を用いてなる
ため、補強部材が磁界に影響を与えることはない。
【0027】第4発明に係るリニアモータは、スロット
を隔てて複数並設してある磁極歯部を有する電機子コア
と、前記磁極歯部に巻装してあるコイルとを備える電機
子を用いてなるリニアモータにおいて、前記電機子は、
前記磁極歯部の歯先と、前記スロットの開口部の一部と
を覆うべく、前記歯先上に密着配置してある磁性体製の
反力抑止板を備えることを特徴とする。第4発明にあっ
ては、歯先と開口部の一部とを反力抑止板で覆い、該反
力抑止板は磁極歯部に密着配置してあるため、反力抑止
板によって、歯先と歯先との間の距離を減少して、磁界
に対する歯先の影響を小さくするため、第1発明に記載
のリニアモータと同様の効果を得ることができる。更
に、歯先に直接外力が加わることを防止できるため、歯
先を保護することができる。
【0028】第5発明に係るリニアモータは、前記電機
子コアの前記磁極歯部の並設方向の少なくとも何れか一
方の端部に設けてある壁部を更に備えることを特徴とす
る。第5発明にあっては、電機子コアの磁極歯部の並設
方向の端部に壁部を備えるので、電機子コアの歯先側全
長を、壁部の前記並設方向の厚み寸法によりディテント
力が低減されるように容易に調節できる。
【0029】更に、壁部の存在により電機子コアの端部
まで磁路が構成され、磁気抵抗を減少できると共に電機
子と界磁部とが対向する面積も増大し磁気的な結合力も
強化でき、その結果、リニアモータの推力を大幅に向上
することができる。また、壁部を設けることで電機子コ
アの体積が増大して熱容量を増加でき、コイルの温度上
昇を緩和してモータの安定した動作を確保できる。
【0030】なお、磁束のバランス等を考慮すると、電
機子コアの前記磁極歯部の並設方向の両端部に同形状の
壁部を設けることが最も好ましいが、リニアモータの使
用状況等の制限から前記両端部に同形状の壁部を設ける
ことが困難な場合、寸法の相異する壁部を夫々端部に設
けるようにしてもよく、または、いずれか一方の端部の
みに壁部を設けるようにしてもよい。
【0031】また、前記壁部の先端は、前記磁極歯部の
歯先と同等の高さにしてあることが好適である。壁部の
先端と各磁極歯部の歯先を同等の高さにすることで、壁
部を各磁極歯部と同様に界磁部へ対向させることがで
き、電機子コアと界磁部との対向面積を増加させて壁部
においても磁路を構成し、モータ推力を確実に向上でき
る。なお、壁部の先端が磁極歯部の歯先と同等の高さで
はなく、少し差が有る場合でも、前記歯先との高さ寸法
の差に応じた程度でモータ推力を向上できる。
【0032】第6発明に係るリニアモータは、前記壁部
と、該壁部に隣り合う前記磁極歯部との間に配置してあ
る磁性体製の反力抑止板を更に備えることを特徴とす
る。第6発明にあっては、壁部と磁極歯部との間にも反
力抑止板を配置しているので、該反力抑止板により壁部
の先端と磁極歯部の歯先との距離を小さくして、ディテ
ント力を一段と低減することができる。さらに、上述し
た箇所に反力抑止板を配置することで、電機子コアの剛
性を端部でも向上でき、安定したリニアモータの作動を
確保できる。
【0033】第7発明に係るリニアモータは、前記磁極
歯部の歯先と対向配置してあり、前記歯先との対向側を
S極にする磁石と該対向側をN極にする磁石とを前記磁
極歯部の並設方向へ交互に隔離配置してある界磁部を更
に備え、前記電機子コアの歯先側全長Lは、 L=P×(Z+1/2) …(1) (Pは前記交互に隔離配置されてある磁石の磁石ピッ
チ、Zは自然数)の関係を満たすことを特徴とする。
【0034】第7発明にあっては、ディテント力の低減
に係る公知の内容である上述の数式(1)の関係を満た
すために、前記壁部を利用することでディテント力を確
実に低減できる。即ち、電機子コアの端部に前記壁部を
設けることで、電機子コアの歯先側全長は壁部の厚み寸
法分だけ増加するので、この厚み寸法を上述の数式
(1)を満たす数値に設定すれば、ディテント力が最小
になる周期の位相と合致してディテント力を確実に低減
できる。
【0035】第8発明に係るリニアモータは、前記磁極
歯部の歯先と対向配置してあり、前記歯先との対向側を
S極にする磁石と該対向側をN極にする磁石とを前記磁
極歯部の並設方向へ交互に隔離配置してある界磁部を更
に備え、前記磁石は直方体状であり、モータ進行方向の
断面で前記歯先との対向側の端部を、平面又は曲面で面
取りしてあることを特徴とする。
【0036】第8発明にあっては、界磁部を構成する前
記各磁石を上述したように面取りすることにより、ディ
テント力を低減できる。即ち、本出願人は、リニアモー
タに関して鋭意研究を進める中、固定子又は可動子の界
磁部構成用に配置される各磁石の上述した端部に面取り
を施すことにより、ディテント力を低減できることを見
出した。よって、前記箇所を平面又は曲面で面取りする
ことで、ディテント力を低減できる。
【0037】第9発明に係るリニアモータは、前記電機
子コアの歯先側全長Lは、 L=P×(Z+1/2+α+β) …(2) (Pは前記交互に隔離配置されてある磁石の磁石ピッ
チ、Zは自然数、αは前記磁石の面取りに係る係数、β
は及び前記反力抑止板の枚数に係る係数の和)の関係を
満たすことを特徴とする。
【0038】第9発明にあっては、リニアモータに関す
る鋭意研究の中で、本出願人は、界磁部を構成する各磁
石に施した面取り及び電機子コアに固着する反力抑止板
等による電機子コア形状等に応じて、数式(2)に示す
ように、ディテント力を最小にする電機子コアの歯先側
全長が、公知の数式(1)より長くなることを見出し
た。このように長くなる程度は、特に磁石の面取りの寸
法及び反力抑止板の枚数が影響し、磁石の面取りに係る
係数をα、前記反力抑止板の枚数に係る係数をβとすれ
ば、αとβとを加算した数値に磁石ピッチPを乗算した
分だけ数式(1)より延長させることで、新たに見出し
たディテント力が最小となる周期の位相に合致させてデ
ィテント力を低減できる。
【0039】係数αは、面取り寸法、面取りを平面で行
うか曲面で行う等により夫々数値が相異するものであ
り、面取り寸法に関しては、一般に面取りの寸法が大き
い程、係数αの数値も大きくなる。なお、係数αの数値
範囲は、面取りの状況に応じて0以上0.1以下程度に
なる。また、界磁部構成用の磁石に面取りを施さなけれ
ばα=0となり、数式(2)に係数αが影響を及ばさな
い場合もある。
【0040】一方、係数βは、電機子コアに取り付ける
反力抑止板の枚数に応じて変動する数値であり、反力抑
止板の枚数によりディテント力を最小にできる電機子コ
アの歯先側全長が相異することになる。なお、係数βの
数値範囲は、反力抑止板の枚数に応じて0以上0.2以
下程度になり、反力抑止板の枚数が多いほど係数α2の
数値は大きくなる。よって、反力抑止板の枚数が少なけ
れば、β=0になることもあり、数式(2)に係数βが
影響しない場合もある。
【0041】よって、前記α+βの数値は、面取り寸法
が大きく及び反力抑止板の枚数が多いときには最大で
0.3程度になる。なお、数式(2)は上述した係数
α、β以外にも、電機子コアの各所の形状、寸法、材
質、界磁部構成用の各磁石の寸法、電機子コアの各磁極
歯部と界磁部構成用の各磁石との位置関係によっても影
響を受けることがある。
【0042】また、歯先側全長は、数式(2)を満たす
近辺の数値でも、数式(2)を満たす値との差に応じて
ディテント力を適宜低減できる。なお、数式(2)の関
係は、壁部を備えていない第1発明乃至第4発明の何れ
のリニアモータ、又は、従来のリニアモータにも適用す
ることが可能である。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面に基づいて詳述する。 実施の形態 1.図1は本発明の実施の形態1に係るリ
ニアモータに備えられる電機子の構成を示す模式的斜視
図、図2は前記電機子の模式的縦断面図であり、図3は
電機子のコイルを省略して電機子コアへの反力抑止板の
取付状態を示す模式的平面配置図である。図中1は鉄製
の電機子コアであり、該電機子コア1は、矩形断面を有
する長寸の棒状である基部1dの一面に、所定の深さを
有する矩形溝型のスロット10,10,…を夫々隔てる
四角柱の磁極歯部1a,1a,…を突出して複数並設し
てあり、該磁極歯部1a,1a,…は夫々突出方向の長
さが等しい。また、各磁極歯部1aには、隣り合うスロ
ット10,10に挿入保持して、あらかじめエナメル線
を整列巻きに成形し、保護及び絶縁強化のための絶縁紙
を巻き付けてなるコイル2を巻装してある。
【0044】各スロット10の開口部10aには、鉄製
の反力抑止板3が、該反力抑止板3の一面が、磁極歯部
1a,1aの歯先1c,1cの面と略同一平面上に位置
し、他面がスロット10内部側に位置するように、前記
開口部10aを塞いで配置してある。各反力抑止板3
は、中央に長円型の穴部3bを有する矩形の板状であ
り、幅(磁極歯部1a,1a,…の並設方向の長さ)は
開口部10aの幅に等しく、長さ(前記並設方向の直交
方向の長さ)は開口部10aの長さ、即ち歯先1c,1
cの長さより充分に長く、厚さ(前記突出方向の長さ)
は、該反力抑止板3を配置したときに、前記他面がスロ
ット10内のコイル2,2に接触しない厚さである。ま
た、前記並設方向の両端部に、夫々前記並設方向に突出
する凸部3a,3aを有する。
【0045】磁極歯部1aは、前記並設方向の側面の歯
先1c,1c近傍に、前記凸部3a,3aを嵌合すべき
溝状の凹部1b,1bを夫々該歯先1c,1cに平行に
有する。各反力抑止板3は、凸部3a,3aを、開口部
10aを挟んで隣り合う磁極歯部1a,1aの対応する
凹部1b,1bに前記直交方向から挿入して、前記磁極
歯部1a,1aに着脱可能に固着してある。
【0046】以上のような電機子4は、反力抑止板3の
一面と歯先1cとが略同一平面上に位置し、また、反力
抑止板3と磁極歯部1aとを密着しているため、歯先1
cと反力抑止板3との磁気的結合を向上できる。また、
隣り合う磁極歯部1a,1a同士が反力抑止板3によっ
て一体化することとなるため、電機子4の剛性を向上
し、また、歯先1cに直接外力が加わることを防止でき
るため、歯先1cを保護することができる。また、前記
磁極歯部1a,1aに反力抑止板3を固定するため、取
り付けられた反力抑止板3の安定性を向上する。また、
反力抑止板3,3,…の取り付け又は取り外しが容易で
あるため、必要に応じて容易にコイル2,2,…を交換
することができると共に、コイル2,2,…の組込作業
性も向上できる。また、反力抑止板3,3,…がスロッ
ト10,10,…の開口部10aの面積を減少するた
め、コイル2,2,…の脱落を防止できる。また、あら
かじめ成形されているコイル2,2,…を巻装するた
め、導線の占積率を容易に向上することができる。
【0047】図4及び図5は前記リニアモータの側面及
び正面の構成を示す模式図である。前記電機子4を可動
子として用い、磁極歯部1a,1a,…の並設方向に移
動可能に配置し、該電機子4の磁極歯部1a,1a,…
側に、適宜の空隙を介して固定子5を対向配置してあ
り、固定子5は磁極歯部1a,1a,…に対向し、この
対向側をS極にする永久磁石5s,5s,…と、該対向
側をN極にする永久磁石5n,5n,…とを、前記並設
方向に交互に離隔配置してなる。各永久磁石5s,5n
の長さL1 は、各歯先1cの長さ(即ち各磁極歯部1a
の長さ)と略等しく、各反力抑止板3の穴部3bの長さ
L2 は、L1 より充分に長い。
【0048】以上のようなリニアモータを用いる場合、
電機子4と固定子5とが前記並設方向に相対移動すると
き、磁界が磁極歯部1a,1a,…の歯先1c,1c,
…の端部の影響を受け、永久磁石5s,5s,…又は永
久磁石5n,5n,…から電機子4に対して作用する吸
引力の前記並設方向の成分がディテント力として作用す
るが、反力抑止板3,3,…によって、歯先1cと歯先
1cとの間の距離を小さくしてあるため、ディテント力
を低減でき、リニアモータの性能が向上する。また、コ
イル2,2,…は占積率が高い整列巻きであるため、リ
ニアモータの効率が向上する。また、前記L2 が前記L
1 より充分に長いため、漏れ磁束の影響は少ない。
【0049】なお、各スロット10の反力抑止板3とコ
イル2,2との間の空隙を合成樹脂で充填しても良い。
この場合、コイル2,2,…は更に抜け落ち難くなる。
また、各コイル2を、相異なるスロット10,10に挿
入保持して、複数の磁極歯部1a,1a,…を周回する
ようにして電機子コア1に巻装してあっても良い。ま
た、隣り合うコイル2,2はスロット10の内部で前記
並設方向に隣り合うようにして巻装しても良く、また、
スロット10の内部で前記突出方向に積層するようにし
て巻装しても良い。また、反力抑止板3を設計する際
に、許容可能なディテント力に応じて各反力抑止板3の
穴部3bの幅を調節することによって所要の性能を有す
るリニアモータを得ることができる。穴部3bの形状
は、長円形のみならず、矩形であっても良く、また、漏
れ磁束の影響が許容可能な大きさである場合は、複数の
穴部を前記長さ方向に並設しても良い。また、反力抑止
板は、突出部を凹部に挿入するのみならず、反力抑止板
を磁極歯部と磁極歯部との間に圧入、ネジ止め、接着、
又はモールド等の方法で固定しても良い。さらに、反力
抑止板は、コスト低減や軽量化等のため必ず全てのスロ
ット10に取り付ける必要はなく、所要のスロット10
のみに反力抑止板を取り付けるようにしてもよい。
【0050】次に、本出願人は、反力抑止板の有無によ
りディテント力が低減されるかを確認するために、従来
の反力抑止板を有しないリニアモータと、実施の形態1
に係る反力抑止板を有するリニアモータとを比較する実
験1を行った。
【0051】実験1では、従来のリニアモータに、図2
9の電機子コア13で全長L3を基準寸法として、全長
L3と歯先側全長Lの比がL3:L=1:0.85とな
る電機子コア13を用い、各スロット130にエナメル
線を整列巻きして成形したコイル20を巻装して120
°一層配置の巻き方の三相の電機子を形成して可動子に
した。
【0052】一方、実施の形態1に係るリニアモータ
は、上述した電機子コア13と同等の寸法の電機子コア
1に上述のコイル20と同等のコイル2を巻装して構成
された電機子4を可動子として使用した。なお、両方の
リニアモータ共、固定子の界磁部を形成する各永久磁石
には、直方体形状の各角部が直角のものを使用し、各永
久磁石の磁石ピッチPは、電機子コア1、13の磁極歯
部1a、13aのピッチの3倍に夫々設定した。
【0053】上述した各リニアモータを、他力の送り機
構により可動側を一定の低速で送り、ディテント力の最
大値と平均値を夫々測定した。この測定結果を表1に示
す。また、電機子と固定子の相対位置とディテント力の
関係を図6、7に示す。なお、図6は従来のリニアモー
タを用いた場合のグラフであり、図7は実施の形態1に
係るリニアモータを用いた場合のグラフであり、各グラ
フにおいて、横軸は電機子と固定子との相対位置であ
り、縦軸はディテント力(×100N)である。
【0054】
【表1】
【0055】表1より従来のリニアモータに比べて、実
施の形態1に係るリニアモータは、ディテント力の最大
値を約25%低減でき、平均値では約35%もディテン
ト力を低減できた。また、図6より従来のリニアモータ
に作用するディテント力はP−P60Nであり、図7よ
り実施の形態1のリニアモータに作用するディテント力
はP−P30Nであった。よって、これらの結果より反
力抑止板を電機子に設けることで、確実にディテント力
を低減できることが確認できた。
【0056】実施の形態 2.図8は本発明の実施の形
態2に係るリニアモータに備えられる電機子においてコ
イルを省略して電機子コアへの反力抑止板の取付状態を
示す模式的平面配置図であり、図9は前記電機子の模式
的縦断面図である。反力抑止板31,31,…はコの字
型の板状であり、各反力抑止板31は、前記並設方向の
端部のうち、内側の端部に、夫々前記並設方向に突出す
る凸部3a,3aを有し、該凸部3a,3aを磁極歯部
1aの歯先1c近傍に設けられている溝状の凹部1b,
1bに挿入して、磁極歯部1aを挟むようにして着脱可
能に固着してある。このとき、該反力抑止板31と、隣
り合う磁極歯部1aに配置してある反力抑止板31とは
接触しない。その他、実施の形態1に対応する部分には
同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0057】以上のような電機子は、反力抑止板31の
一面と歯先1cとが略同一平面上に位置し、また、反力
抑止板31と磁極歯部1aとを密着しているため、歯先
1cと反力抑止板31との磁気的結合を向上できる。ま
た、歯先1cに直接外力が加わることを防止できるた
め、歯先1cを保護することができる。また、反力抑止
板1cを前記並設方向の両側面に固定することができる
ため、取り付けられた反力抑止板31の安定性を向上す
る。また、反力抑止板31,31,…の取り付け又は取
り外しが容易であるため、必要に応じて容易にコイル
2,2,…を交換することができる。また、反力抑止板
31,31,…がスロット10,10,…の開口部10
aの面積を減少するため、コイル2,2,…の脱落を防
止できる。更に、あらかじめ成形されているコイル2,
2,…を巻装するため、導線の占積率を容易に向上する
ことができる。
【0058】また、前記電機子を備えるリニアモータ
は、反力抑止板31,31,…によって歯先1cと歯先
1cとの間の距離を減少するため、実施の形態1のリニ
アモータと同様の効果を得ることができる。
【0059】実施の形態 3.図10は本発明の実施の
形態3に係るリニアモータに備えられる電機子において
コイルを省略して電機子コアへの反力抑止板の取付状態
を示す模式的平面配置図であり、図11は前記電機子の
模式的縦断面図である。本実施の形態の反力抑止板31
は、実施の形態2の反力抑止板31の一端が、開口部外
部に設けられた板状の連結部31aによって、隣り合う
反力抑止板31と一体化しているような形状である。そ
の他、実施の形態2に対応する部分には同一符号を付し
てそれらの説明を省略する。
【0060】以上のような電機子は、反力抑止板31の
一面と歯先1cとが略同一平面上に位置し、また、反力
抑止板31と磁極歯部1aとを密着しているため、歯先
1cと反力抑止板31との磁気的結合を向上できる。ま
た、歯先1cに直接外力が加わることを防止できるた
め、歯先1cを保護することができる。また、隣り合う
磁極歯部1a,1a同士が前記並設方向に連結部31a
によって一体化することとなり、前記並設方向の外力が
磁極歯部1aに加えられた場合、該外力を2個の磁極歯
部1a,1a,…に分散して支えることができるため、
電機子の剛性を向上する。また、反力抑止板31を磁極
歯部1aの並設方向の両側面及び隣り合う磁極歯部1a
に固定することができるため、取り付けられた反力抑止
板31の安定性を更に向上する。また、連結部31aは
開口部の外部にあるため、連結部31aが磁界に大きな
影響を与えることはない。また、反力抑止板31,3
1,…の取り付け又は取り外しが容易であるため、必要
に応じて容易にコイル2,2,…を交換することができ
る。また、反力抑止板31,31,…がスロット10,
10,…の開口部10aの面積を減少するため、コイル
2,2,…の脱落を防止できる。更に、あらかじめ成形
されているコイル2,2,…を巻装するため、導線の占
積率を容易に向上することができる。
【0061】また、前記電機子を備えるリニアモータ
は、反力抑止板31,31,…によって歯先1cと歯先
1cとの間の距離を減少するため、実施の形態1のリニ
アモータと同様の効果を得ることができる。
【0062】図12及び図13は前記電機子においてコ
イルを省略して電機子コアへの反力抑止板の取付状態を
示す模式的平面配置図である。反力抑止板31,31,
…の連結部の位置は、前記一端でなくても良く、該一端
を連結部31aで一体化する代わりに、図12のよう
に、他端を連結部31bで一体化しても同様の効果を得
られる。また、図13のように、全ての反力抑止板3
1,31,…の一端を前記連結部31a,31a,…で
一体化しても同様の効果を得ることができ、また、前記
並設方向の外力が磁極歯部1aに加えられた場合、該外
力を複数の磁極歯部1a,1a,…に分散して支えるこ
とができるため、電機子の剛性を更に向上する。
【0063】実施の形態 4.図14は本発明の実施の
形態4に係るリニアモータに備えられる電機子において
コイルを省略して電機子コアへの反力抑止板の取付状態
を示す模式的平面配置図であり、図15は前記電機子の
模式的縦断面図である。本実施の形態は、実施の形態2
の反力抑止板31,31,…の前記直交方向の両端部
を、合成樹脂性の補強部材6,6で夫々一体化してあ
る。その他、実施の形態2に対応する部分には同一符号
を付してそれらの説明を省略する。以上のような電機子
は、外力が反力抑止板31,31,…に加えられた場
合、該外力を複数の磁極歯部1a,1a,…に分散して
支えることができ、また、反力抑止板31,31,…の
前記両端部に外力が直接加えられることを補強部材6,
6で防止できるため、取り付けられた反力抑止板31,
31,…を保護して、安定性を向上する。また、補強部
材6,6は非磁性体であるため、磁界に影響を与えな
い。
【0064】実施の形態 5.図16は本発明の実施の
形態5に係るリニアモータに備えられる電機子において
コイルを省略して電機子コアへの反力抑止板の取付状態
を示す模式的平面配置図であり、図17は前記電機子の
模式的縦断面図である。図中11は鉄製の電機子コアで
あり、該電機子コア11は、矩形断面を有する長寸の棒
状である基部11dの一面に、所定の深さを有する矩形
溝型のスロット110,110,…を夫々隔てる四角柱
の磁極歯部11a,11a,…を突出して複数並設して
あり、該磁極歯部11a,11a,…は夫々突出方向の
長さが等しい。また、各磁極歯部11aには、隣り合う
スロット110,110に挿入保持して、あらかじめエ
ナメル線を整列巻きに成形し、保護及び絶縁強化のため
の絶縁紙を巻き付けてなるコイル2を巻装してある。
【0065】各スロット110の開口部110aには、
矩形の板状である鉄製の反力抑止板32,32が、該反
力抑止板32,32の一面が、隣り合う磁極歯部11
a,11aの歯先11c,11cの面と略同一平面上に
位置し、他面がスロット110内部側に位置するよう
に、前記開口部110aの一部を塞いで夫々配置してあ
る。各反力抑止板32は、前記突出方向に脚部32bを
有し、幅は開口部110aの幅の1/2未満であり、長
さは開口部110aの長さより長い。磁極歯部11a
は、前記並設方向の両側面の歯先11c近傍に、夫々脚
部32bを嵌合すべき凹部11b,11bを有し、各凹
部11b及び脚部32bは、ネジ32a,32a,…に
対応する複数のネジ穴を有する。各反力抑止板32は、
脚部32bを凹部11bに嵌合して、ネジ32a,32
a,…を用いて、脚部32bを磁極歯部11aに固定し
てある。
【0066】以上のような電機子は、反力抑止板32の
一面と歯先11cとが略同一平面上に位置し、また、反
力抑止板32と磁極歯部11aとを密着しているため、
歯先11cと反力抑止板32との磁気的結合を向上でき
る。また、歯先11cに直接外力が加わることを防止で
きるため、歯先11cを保護することができる。また、
反力抑止板32,32,…がスロット110,110,
…の開口部110aの面積を減少するため、コイル2,
2,…の脱落を防止できる。更に、あらかじめ成形され
ているコイル2,2,…を巻装するため、導線の占積率
を容易に向上することができる。また、前記電機子を備
えるリニアモータは、反力抑止板32,32,…によっ
て歯先11cと歯先11cとの間の距離を減少するた
め、実施の形態1のリニアモータと同様の効果を得るこ
とができる。
【0067】実施の形態 6.図18は本発明の実施の
形態6に係るリニアモータに備えられる電機子において
コイルを省略して電機子コアへの反力抑止板の取付状態
を示す模式的平面配置図であり、図19は前記電機子の
模式的縦断面図である。図中12は鉄製の電機子コアで
あり、該電機子コア12は、矩形断面を有する長寸の棒
状である基部12dの一面に、所定の深さを有する矩形
溝型のスロット120,120,…を夫々隔てる四角柱
の磁極歯部12a,12a,…を突出して複数並設して
あり、該磁極歯部12a,12a,…は夫々突出方向の
長さが等しい。また、各磁極歯部12aには、隣り合う
スロット120,120に挿入保持して、あらかじめエ
ナメル線を整列巻きに成形し、保護及び絶縁強化のため
の絶縁紙を巻き付けてなるコイル2を巻装してある。
【0068】各磁極歯部12aの歯先12cには、ネジ
33a,33a,…に対応したネジ穴が設けられてい
る。該ネジ穴に対応したネジ穴を夫々有する反力抑止板
33,33,…は鉄製の矩形の板状であり、各反力抑止
板33の長さは開口部120aの長さより長く、幅は磁
極歯部12aの幅より長く、また、歯先12cにネジ3
3aを用いて固定されて、隣り合うスロット120,1
20の前記突出方向の開口部120a,120aを、一
部を塞いで配置してある。このとき、該反力抑止板33
と、隣り合う磁極歯部12aに配置してある反力抑止板
33とは接触しない。
【0069】以上のような電機子は、反力抑止板33,
33,…が、夫々歯先12c,12c,…と密着して略
同一平面上に位置し、該歯先12c,12c,…と開口
部120a,120a,…の一部とを覆うため、歯先1
2cと反力抑止板33との磁気的結合を向上できる。ま
た、歯先12cに直接外力が加わることを防止できるた
め、歯先12cを保護することができる。また、反力抑
止板33,33,…がスロット120,120,…の開
口部120a,120a,…の面積を減少するため、コ
イル2,2,…の脱落を防止できる。更に、あらかじめ
成形されているコイル2,2,…を巻装するため、導線
の占積率を容易に向上することができる。また、前記電
機子を備えるリニアモータは、反力抑止板33,33,
…によって歯先12cと歯先12cとの間の距離を減少
するため、実施の形態1のリニアモータと同様の効果を
得ることができる。
【0070】実施の形態 7.図20は本発明の実施の
形態7に係るリニアモータに備えられる電機子の構成を
示す模式的斜視図、図21は実施の形態7に係るリニア
モータの模式的縦断面図である。電機子コア15は、長
手方向の両端部を除けば実施の形態1等のリニアモータ
の電機子コア1等と同様の構成であり、基部15dの一
面にスロット150,150…を夫々隔てる磁極歯部1
5a,15a…を突出しており、各磁極歯部15aにコ
イル2を巻装すると共に各磁極歯部15aの凹部15b
に反力抑止板35を固着してある。実施の形態1等の電
機子コア1等との相異点は、基部15dの各磁極歯部1
5aの並設方向の端部に壁部15eを突出させると共
に、壁部15eと隣り合う磁極歯部15aとの間に形成
される空間160の開口部160aにも磁性体製の反力
抑止板35を固着していることである。
【0071】壁部15eは基部15dと同等の幅寸法を
有しており、先端15fの高さを磁極歯部15aの歯先
15cの高さと同等の寸法に設定している。また、壁部
15eの基部15dからの突出位置及び各磁極歯部15
aの並設方向の壁部15eの厚みは、電機子コア15の
歯先側全長Lが数式(2)を満たすことができる寸法に
設定している。
【0072】即ち、図21のリニアモータ30は、電機
子24を可動子とし、この電機子24と対向する固定子
26に、交互に隔離配置される永久磁石25sと永久磁
石25nとを設けて界磁部を構成し、電機子コア15の
一方の壁部15eから他方の壁部15eまでの歯先側全
長Lが、永久磁石25s、25nの磁石ピッチPの2.
5倍に磁石ピッチPに係数βを掛けた数値を加えた寸法
となるように、壁部15eの突出位置及び厚み寸法を設
定している。
【0073】なお、永久磁石25sは電機子24の磁極
歯部15aの歯先15cとの対向側をS極にして固定子
26の基部26a側をN極にする一方、永久磁石25n
は磁極歯部15aの歯先15cとの対向側をN極にして
基部26a側をS極にしている。また、各永久磁石25
s、25nには面取りを施していないので、本実施形態
では、数式(2)において係数αは影響しなくなり、係
数βのみが反力抑止板35の枚数に応じて影響を及ぼす
ことになる。
【0074】これら両側の壁部15eは、磁束のバラン
スを考慮して電機子コア15の長手方向の中心に対して
対称な位置に突出させると共に、同等の厚み寸法に設定
している。さらに、各壁部15eは、磁極歯部15aと
対向する側の先端15f近傍に、磁極歯部15aの凹部
15bと同様の壁凹部15gを形成し、空間160の開
口部160aに穴部35bを有する反力抑止板35を固
着している。なお、このように反力抑止板35を固着す
ることで、電機子コア15の壁部15eを設けた端部の
剛性を確保している。また、電機子コア15の各スロッ
ト150及び壁部15eと磁極歯部15aで形成される
空間160に、自己融着線のエナメル線で整列巻きに成
形したコイル2を収め、「120°一層配置」の巻き方
の三相(U相、V相、W相)を形成している。
【0075】上述したように形成されたリニアモータ3
0は、電機子24の歯先側全長Lが数式(2)の関係を
満たしているので、ディテント力が最小になり、スムー
ズな動作を実現している。また、電機子24は、両端の
壁部15eにより両端箇所でも磁路が構成されて磁気抵
抗が減少している。さらに、壁部15eは、高さを各磁
極歯部15aと同等の高さにしているので、壁部15e
の先端面と各磁極歯部15aの歯先面は同一面になり、
固定子26との対向面積が増加して磁気結合力が増大
し、リニアモータの推力は向上している。また、壁部1
5eの存在により電機子コア15の体積が増大して熱容
量が増加しているので、使用により発熱するコイルの温
度上昇を緩和し、安定した動作を確保している。
【0076】なお、実施の形態7に係るリニアモータ
は、上記形態以外にも種々の変形が可能であり、例え
ば、電機子24の歯先側全長Lは、種々の制限等により
数式(2)の関係を満たすことができない場合でも、数
式(2)を満たす寸法に近い値に設定したほうがよい。
このようにすることで、ディテント力も最小値に近付
き、ディテント力を低減できる。
【0077】また、両端の壁部15eは、必ずしも各所
を同等の寸法に設定する必要はなく、何れか一方の壁部
15eの厚み寸法を他方の壁部15eの厚み寸法と相異
させるようにしてもよく、高さ寸法も磁極歯部15aの
歯先高さを基準にして適宜増減させてもよい。なお、壁
部15eの高さは、磁極歯部15aの歯先高さと同等に
するのが界磁部へ均等に対向させる観点から好ましい
が、壁部15eと磁極歯部15aの高さの差が数ミリメ
ートル以内であれば、壁部15eと磁極歯部15aの高
さが同一の場合と、ほぼ同等の程度でリニアモータの推
力を向上できる。また、壁部15eは必ずしも電機子コ
ア15の両方に設ける必要はなく、磁束のバランスは悪
くなるが、数式(2)の関係を満たす場合、又は、数式
(2)を満たす値に近似すれば、何れか一方の端部のみ
に壁部15eを設けるようにしてもよい。
【0078】また、電機子コア15に固着する反力抑止
板35は、図21に示す中央に穴部35bを有する形態
以外にも、実施の形態2から実施の形態6へ至る何れか
のリニアモータに使用される各種反力抑止板を適用する
ことも可能である。さらに、軽量化や反力抑止板35に
対するコスト低減等の観点から、壁部15eと磁極歯部
15aで形成される空間160に固着する反力抑止板3
5は省略するようにしてもよい。このように端部側の反
力抑止板を省略した場合、電機子コア15の形態が相異
することになり、数式(2)の係数βの数値も変化す
る。
【0079】さらに、また、各磁極歯部15a間に固着
する反力抑止板35の枚数を低減して、反力抑止板35
の影響が低減された場合は、電機子コア15の歯先側全
長Lが数式(2)ではなく、数式(1)を満たすよう
に、壁部15eの厚みを設定して、ディテント力を低減
するようにしてもよい。
【0080】次に、本出願人は、壁部15eによるディ
テント力の低減を確認するため、壁部の無い実施の形態
1に係るリニアモータと、壁部を有する実施の形態7に
係るリニアモータとを比較する実験2を行った。
【0081】実験2では、壁部の無いリニアモータに
は、実験1で使用した反力抑止板を固着した電機子を可
動子にするものを用いた。一方、壁部の有るリニアモー
タは、図21に示す電機子24であって、電機子コア1
5には、全長及び歯先側全長Lが、実験1の壁部の無い
リニアモータの電機子の全長L3の1.27倍、基部1
5dの外面から壁部15eの先端15fまでの高さHが
磁極歯部15aの歯先と同一の高さに揃えたものを用い
た。
【0082】また、固定子26の界磁部を形成する各永
久磁石25n、25sは、直方体形状で各角部が直角で
あり、電機子24との対向側からの平面視で各辺の比が
5:4のものを用いると共に、短辺側を電機子24の進
行方向に一致させて、磁石ピッチPを各磁極歯部15a
のピッチの3倍となるように配置した。上述した2種類
のリニアモータを実験1と同一の条件で一定時間作動さ
せた場合のディテント力の最大値及び平均値を測定し
た。以下、この測定結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】壁部の有るリニアモータは、ディテント力
の最大値が37.5Nとなり、壁部の無いリニアモータ
に対して25%、ディテント力が低減された。また、デ
ィテント力の平均値に関しても、壁部の有るリニアモー
タは30.0Nとなり、壁部の無いリニアモータに対し
て25%、ディテント力が低減された。なお、壁部の有
るリニアモータは、実験1における表1の反力抑止板の
無い従来のリニアモータと比べると、ディテント力の最
大値及び平均値が約30.0N以上も低減されたことも
確認できた。
【0085】このようにディテント力を低減できた理由
としては、壁部の有るリニアモータの方が、壁部を設け
ることで歯先側全長Lが数式(2)の関係を満たす数値
に近付けることができたためと考えられる。即ち、壁部
の有るリニアモータは、歯先側全長L/磁石ピッチPの
値が2.63となる一方、壁部の無いリニアモータは歯
先側全長L/磁石ピッチPの値は1.77となるので、
壁部の有るリニアモータの方が一段と数式(2)の関係
を近似できるためと考えられる。
【0086】また、本出願人は、壁部15eによるリニ
アモータの推力の向上を確認するため、壁部の無い実施
の形態1に係るリニアモータと、壁部の有る実施の形態
7に係るリニアモータとを比較する実験3を行った。実
験3では、実験2で使用したものと同様の2種類のリニ
アモータ、即ち、壁部の無いリニアモータと、壁部の有
るリニアモータとで比較した。
【0087】上述した2種類のリニアモータの電機子に
通電する最大電流が、夫々250%(定格100%)、
300%、350%となる計3通りの場合に、電機子の
速度が0、2、3メートル毎秒において推力(N)がど
のように変化するかを測定した。この測定結果を表3に
示す。また、上述した2種類のリニアモータに接続する
リニアモータ用ドライブを操作し、電流の比率を0%か
ら上昇させた場合に、発生した推力(N)を測定した。
この測定結果を図22のグラフに示す。なお、図22の
グラフにおいて線Dは壁部の無いリニアモータのもので
あり、線Eは壁部の有るリニアモータのものである。
【0088】
【表3】
【0089】表3より、壁部の有るリニアモータの推力
は、壁部の無いリニアモータに対して、あらゆる最大電
流の全速度域で上回った。詳しくは、速度が0メートル
毎秒、即ち、リニアモータが発進しようとする際の最大
電流が300%及び350%の場合では、壁部の有るリ
ニアモータの推力が約30N以上も壁部の無いリニアモ
ータより大きくなった。
【0090】また、リニアモータが一旦動き出した後、
速度が2メートル毎秒及び3メートル毎秒になった場合
は、あらゆる最大電流で壁部を有するリニアモータの推
力が約34N以上、壁部の無いリニアモータより大きく
なった。このように壁部を設けることでリニアモータの
推力が確実に向上することが判明した。
【0091】一方、図22のグラフにおいても、リニア
モータ用ドライバの電流をどのような比率に設定して
も、壁部の有るリニアモータは、壁部の無いリニアモー
タに比べて発生する推力が大きくなっており、特に、リ
ニアモータ用ドライバによる電流の比率が大きくなるほ
ど、発生する推力の差は大きくなった。
【0092】即ち、電流の比率が100%の場合、壁部
の有るリニアモータの推力は約65Nである一方、壁部
の無いリニアモータの推力は約50Nであり、その差は
約15Nであった。また、電流の比率が200%の場
合、壁部の有るリニアモータの推力は約125Nである
一方、壁部の無いリニアモータの推力は約100Nであ
り、その差は約25Nに広がった。さらに、電流の比率
が300%の場合では、壁部の有るリニアモータの推力
は約190Nである一方、壁部の無いリニアモータの推
力は約150Nであり、その差は約40Nに広がった。
【0093】このように、電機子コアに壁部を設けるこ
とにより、リニアモータの推力が向上することが確認で
き、また、電流の比率が大きくなるほど、向上する度合
いも大きくなることが確認できた。なお、本出願人は、
壁部を有する実施の形態7に係るリニアモータとして、
電機子コア15の歯先側全長Lが、実験1の従来のリニ
アモータにおける電機子コア13の全長の1.29倍の
電機子コアを製作し、上述した実験3と同様に推力を測
定した結果、全ての場合において、壁部のあるリニアモ
ータの推力が、壁部の無いリニアモータの推力を上回る
ことも確認した。
【0094】実施の形態8.図23は本発明の実施の形
態8に係るリニアモータの模式的縦断面図である。実施
の形態8のリニアモータ40は、電機子に実施の形態7
に係る電機子24と同等の構成の電機子24′を用いる
と共に、電機子24′と対向配置される固定子41の界
磁部を、電機子24′の磁極歯部15a′の歯先15
c′との対向側をS極にする永久磁石45と、該対向側
をN極にする永久磁石46とを交互配置することで構成
している。また、各永久磁石45、46のモータ進行方
向の端部45c、46cを面取りした形状にしている。
【0095】具体的には、図24(a)に示すように、
各永久磁石45(46)は直方体状であり、リニアモー
タ40の電機子24′の進行方向と同方向の断面を想定
した場合において、歯先15c′と対向する面45a
(46a)の両側の端部45b(46b)を平面45c
(46c)で面取りした形状にしている。この実施の形
態8に係るリニアモータ40の電機子24′の歯先側全
長Lも数式(2)の関係を満たす寸法に設定し、ディテ
ント力を低減するようにしている。
【0096】なお、実施の形態8に係るリニアモータ4
0は、上記形態に限定されるものではなく、種々の変形
が可能である。例えば、可動子として適用するのは、実
施の形態7に係るリニアモータの電機子24′に限定さ
れるものではなく、他の実施の形態に係るリニアモータ
の電機子を、数式(2)を満たす寸法に設定して適用す
るようにしてもよい。また、各電機子の歯先側全長は、
数式(2)の関係を満たす数値に近い寸法を設定して
も、ディテント力をある程度、低減できる。
【0097】さらに、界磁部を構成する永久磁石45、
46は、電機子24′と対向する面45a(46a)の
全周を面取りするようにしてもよく、その他にも、図2
4(c)に示すように、端部45b(46b)を曲面R
で面取りするようにしてもよい。
【0098】次に、本出願人は、界磁部を構成する永久
磁石に面取りを施した場合に、面取りを施さないものと
比べて、ディテント力を最小にできる電機子の歯先側全
長がどのように相異するかを確かめるため、実験4を行
った。実験4では、固定子側の永久磁石に面取りを施し
ていないリニアモータと、2種類の固定子側の永久磁石
に面取りを施したリニアモータとに対して、電機子コア
の歯先側全長と固定子の各永久磁石との比を適宜変更し
て、ディテント力の変化を測定し、その結果を図25の
グラフに示す。
【0099】図25のグラフにおいて、(2:1)面取
りとは、図24(b)においてY方向の面取り寸法yを
基準寸法として1に設定すると共に、X方向の面取り寸
法xとY方向の面取り寸法yとの比が2:1であること
を意味し、(4:1)面取りは、(2:1)面取りの基
準寸法に対して、X方向の面取り寸法xが4倍、Y方向
の面取り寸法yが1倍であることを意味する。
【0100】図25のグラフにおいて、面取りの無い永
久磁石のリニアモータは、数式(1)の関係を満たす場
合、即ち、歯先側全長/磁石ピッチが1.5、2.5に
なる場合、ディテント力が最小になる。また、(2:
1)面取りの永久磁石のリニアモータ及び(4:1)面
取りの永久磁石のリニアモータは、ディテント力が最小
になる歯先側全長/磁石ピッチは、面取りの無い永久磁
石のリニアモータに比べて大きくなり、ディテント力の
変化周期の位相がずれることが分かった。
【0101】さらに、本出願人は、歯先側全長が同一の
電機子を有する各リニアモータにおいて、固定子側の永
久磁石に面取りを施すことによりディテント力がどのよ
うに変化するかを確認するため、固定子の永久磁石の各
角部が直角のリニアモータと、固定子の永久磁石を面取
りしたリニアモータとのディテント力を比較する実験5
を行った。
【0102】実験5では、各電機子の歯先側全長を、実
験1の電機子コア13の全長L3の1.26倍に統一
し、実験4と同様に固定子側の永久磁石が面取り無しの
もの、(2:1)の面取りをしたもの、(4:1)の面
取りをしたものの計3種類のリニアモータを比較した。
これら各リニアモータは、固定子側の永久磁石を、磁石
ピッチを電機子の各磁極歯部のピッチの3倍で配置し
た。また、各リニアモータの可動子の電機子には実験2
の壁部の有るものと同等のものを使用した。これらのリ
ニアモータを実験1及び実験2と同一条件で一定時間作
動させた場合のディテント力の最大値(N)と平均値
(N)とを測定した。この測定結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】表4より、(2:1)面取りのリニアモー
タは、面取り無しのリニアモータに対し、ディテント力
の最大値及び平均値の両方が半減された。また、(4:
1)面取りのリニアモータは、面取り無しのリニアモー
タに対し、ディテント力の最大値は僅かに低減され、平
均値は半減された。
【0105】このように同一長の歯先側全長を有する電
機子に対して、固定子側の永久磁石に面取りを施すこと
で、ディテント力を低減できたのは、面取りの有無で図
25に示すようにディテント力の変化周期の位相がずれ
るため、実験5に係る電機子の歯先側全長が、(2:
1)面取りのリニアモータにおけるディテント力の最小
となる周期箇所に合致あるいは近接したためと考えられ
る。
【0106】なお、(2:1)面取りのリニアモータ及
び(4:1)面取りのリニアモータは、実験1における
表1の反力抑止板の無い従来のリニアモータと比べる
と、ディテント力の最大値及び平均値共、大幅に低減さ
れており、特に平均値においては、従来のリニアモータ
の4分の1以下に低減されたことが確認できた。
【0107】また、本出願人は、壁部を有しない電機子
に対しても、界磁部を構成する永久磁石に面取りを施す
ことでディテント力を低減できるかを確認するために、
壁部を有しない電機子のリニアモータを用いて実験6を
行った。
【0108】実験6では、実験5と同様に3種類のリニ
アモータの比較を行った。各3種類のリニアモータの固
定子の永久磁石の面取りの有無及び面取りの程度、磁石
ピッチは、実験4と同様にした。一方、各リニアモータ
の可動子の電機子には実験1の壁部の無い電機子コアと
同一寸法の歯先側全長で、反力抑止板を固着したものを
使用した。
【0109】これら各リニアモータを実験1、2及び5
と同一条件で一定時間作動させた場合のディテント力の
最大値(N)と平均値(N)とを測定した。この測定結
果を表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】表5より、(2:1)面取りのリニアモー
タ及び(4:1)面取りのリニアモータの両者は、面取
り無しのリニアモータに対して、ディテント力の最大値
及び平均値が低減され、特に、(4:1)面取りのリニ
アモータの方が低減される程度が大きかった。このよう
に実験6から、電機子コアの壁部の有無に関わらず、界
磁部を形成する永久磁石に面取りを施すことで、ディテ
ント力を大幅に低減できることが判明した。
【0112】さらに、本出願人は、永久磁石の面取り寸
法が、数式(2)の係数αにどのような変化を及ぼすか
を確認するために実験7を行った。実験7では2種類の
リニアモータを使用し、一方のリニアモータには固定子
側の永久磁石に、実験4で適用した(2:1)面取りの
ものを用い、他方のリニアモータは固定子側の永久磁石
に(4:1)面取りのものを用いた。また、両方のリニ
アモータは、電機子に図21の電機子24と同等の反力
抑止板35を7枚固着した構成で、両端の壁部15eの
厚みを調整可能にしたものを用いた。
【0113】実験7では、壁部15eの厚みを適宜変更
することで、電機子コアの歯先側全長と、永久磁石が配
置される一定の磁石ピッチとの割合を適宜変化させた場
合のディテント力を夫々測定した。この結果を図26の
グラフに示す。
【0114】図26のグラフに示すように、(2:1)
面取りのリニアモータは、歯先側全長/磁石ピッチが
2.67の時にディテント力が最小になったが、(4:
1)面取りのリニアモータは、歯先側全長/磁石ピッチ
が2.7の時にディテント力が最小になった。このこと
より、数式(2)において界磁部を構成する永久磁石の
面取り寸法が大きいほど係数αの数値も大きくなり、デ
ィテント力を最小にする電機子コアの歯先側全長が長く
なることを確認した。
【0115】さらに、また、本出願人は、電機子コアに
固着される反力抑止板の枚数が、数式(2)の係数βに
どのような変化を及ぼすかを確認するために実験8を行
った。実験8でも2種類のリニアモータを使用し、一方
のリニアモータの電機子には実験7と同様の構成であり
反力抑止板35を7枚固着したものを用い、他方のリニ
アモータの電機子には反力抑止板の枚数以外は同様の構
成であり反力抑止板35を5枚固着したものを用いた。
なお、固定子側の永久磁石には、共に(4:1)面取り
のものを用いた。実験8でも、実験7と同様に歯先側全
長/磁石ピッチを適宜変化させた場合のディテント力を
夫々測定した。この結果を図27のグラフに示す。
【0116】図27のグラフに示すように、7枚の反力
抑止板を固着したリニアモータは、歯先側全長/磁石ピ
ッチが2.7の時にディテント力が最小になったが、5
枚の反力抑止板を固着したリニアモータは、歯先側全長
/磁石ピッチが2.6の時にディテント力が最小になっ
た。このことより、数式(2)において電機子の反力抑
止板の枚数が多いほど係数βの数値も大きくなり、ディ
テント力を最小にする電機子コアの歯先側全長が長くな
ることを確認した。
【0117】
【発明の効果】本発明のリニアモータによれば、電機子
コアのスロット内に、反力抑止板を磁極歯部の歯先近傍
に密着配置して備えることにより、リニアモータの可動
子又は固定子として用いられる電機子は、該電機子の磁
極歯部側に対向して固定子又は可動子が配置され、該固
定子又は可動子は磁極歯部に対向して界磁部を有する。
界磁部は、例えばS極の永久磁石とN極の永久磁石と
を、磁極歯部の並設方向に、交互に離隔配置してなる。
界磁部と電機子とが前記並設方向に相対移動するとき、
磁界が磁極歯部の歯先の端部の影響を受け、界磁部から
電機子に対して作用する吸引力が、前記歯先の端部の影
響を受けることによって、吸引力の前記並設方向の成分
が、相対移動方向の逆方向に大きくなる場合、前記成分
はディテント力と呼ばれるリニアモータの推力の反力と
して作用する。歯先と歯先との間の距離が大きいほど前
記影響は顕著になるが、反力抑止板は磁極歯部の歯先近
傍に密着してスロット内に配置してあり、該反力抑止板
によって歯先と歯先との間の距離を小さくして、前記影
響を小さくするため、ディテント力を低減することがで
きる。
【0118】また、ディテント力が減少することによっ
て推力の低下が抑制され、無効電流が小さくなってリニ
アモータの発熱量を低減し、また、前記影響が小さいた
め、該影響の度合が相対移動に伴って変動し、ディテン
ト力が変動することによって推力が大きく変動すること
を抑制できるため、リニアモータの性能を向上すること
ができる。また、反力抑止板と磁極歯部とを密着してい
るため、歯先と反力抑止板との磁気的結合を向上するこ
とができる。また、反力抑止板を配置する前に、磁極歯
部に導線を整列巻きに巻き付けてコイルを形成すること
によって、スロット内の導線の占積率を向上できるた
め、リニアモータの効率を向上することができる。又
は、磁極歯部に、あらかじめ導線を整列巻きにして成形
されているコイルを巻装することができるため、導線の
占積率を容易に向上することができて、リニアモータの
効率を向上することができる。また、反力抑止板が開口
部の面積を減少するため、コイルの脱落を防止すること
ができる。
【0119】また、穴部を有する反力抑止板を隣り合う
磁極歯部に密着配置することにより、各反力抑止板を、
該反力抑止板の両端部が隣り合う磁極歯部に密着し、該
磁極歯部の歯先に隣り合うように配置することによっ
て、隣り合う磁極歯部同士が反力抑止板によって一体化
することとなり、磁極歯部の並設方向の外力が磁極歯部
に加えられた場合、該外力を複数の磁極歯部に分散して
支えることができるため、電機子の剛性を向上する。ま
た、歯先に直接外力が加わることを防止できるため、歯
先を保護することができる。また、隣り合う磁極歯部に
反力抑止板を固定することができるため、取り付けられ
た反力抑止板の安定性を向上する。更に、反力抑止板の
穴部はスロットの開口部として作用するため、請求項1
に記載のリニアモータと同様の効果を得ることができ
る。
【0120】また、反力抑止板は凸部を有し、該凸部
を、磁極歯部に設けられた凹部に挿入して着脱可能に固
着してあることにより、反力抑止板は、歯先近傍に設け
られた凹部に挿入して着脱可能に固着する。このため、
例えば、コイルの組み込み、コイルの巻きなおし又はコ
イルの交換を行なう必要がある場合に、反力抑止板の着
脱が容易であるため、反力抑止板の取り付け又は取り外
しの作業性が向上する。また、反力抑止板と磁極歯部と
を、凸部及び凹部を用いて密着しているため、歯先と反
力抑止板との磁気的結合を向上することができる。
【0121】また、電機子コアの並設方向の端部に壁部
を備えるので、電機子コアの歯先側全長を調節してディ
テント力が低減できると共に、壁部による界磁部との対
向面積の増大等によりリニアモータの推力も向上でき、
その結果、スムーズに作動し且つ推力の大きなリニアモ
ータを実現できる。更に、新たに設けた壁部と磁極歯部
との間にも反力抑止板を配置することで、壁部の先端と
磁極歯部の歯先との間の距離を小さくして、ディテント
力を一段と低減することができる。更に、また、壁部を
設けることにより電機子コアの歯先側全長を、経験的に
ディテント力が最小になる寸法に設定することで、リニ
アモータの一段とスムーズな作動を確保できる。
【0122】また、界磁部を構成する磁石に面取りを施
すことで、ディテント力を低減できる。更に、界磁部を
構成する磁石に面取り、及び、電機子に固着された反力
抑止板に応じて、電機子の歯先側全長を調整すること
で、ディテント力が最小になる位相に合致させ、ディテ
ント力を確実に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るリニアモータに備
えられる電機子の構成を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るリニアモータに備
えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るリニアモータに備
えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面配
置図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るリニアモータの側
面の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るリニアモータの正
面の構成を示す模式図である。
【図6】従来のリニアモータを用いた場合のディテント
力を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態1に係るリニアモータを用
いた場合のディテント力を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係るリニアモータに備
えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面配
置図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るリニアモータに備
えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るリニアモータに
備えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面
配置図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るリニアモータに
備えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るリニアモータに
備えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面
配置図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係るリニアモータに
備えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面
配置図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係るリニアモータに
備えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面
配置図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係るリニアモータに
備えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図16】本発明の実施の形態5に係るリニアモータに
備えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面
配置図である。
【図17】本発明の実施の形態5に係るリニアモータに
備えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図18】本発明の実施の形態6に係るリニアモータに
備えられる電機子のコイルを省略した状態の模式的平面
配置図である。
【図19】本発明の実施の形態6に係るリニアモータに
備えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図20】本発明の実施の形態7に係るリニアモータに
備えられる電機子の構成を示す模式的斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態7に係るリニアモータに
備えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図22】本発明の実施の形態7に係るリニアモータを
用いた場合の推力を示すグラフである。
【図23】本発明の実施の形態8に係るリニアモータに
備えられる電機子の模式的縦断面図である。
【図24】本発明の実施の形態8に係るリニアモータの
界磁部を構成する永久磁石であり、(a)は斜視図、
(b)は要部拡大図、(c)は変形例の要部拡大図であ
る。
【図25】本発明の実施の形態8に係るリニアモータを
用いた場合のディテント力を示すグラフである。
【図26】実験7に係るグラフである。
【図27】実験8に係るグラフである。
【図28】従来のリニアモータに備えられている電機子
の模式的縦断面図である。
【図29】従来のリニアモータの側面の構成を示す模式
図である。
【図30】リニアモータに対して経験的に知られるディ
テント力の変化を示すグラフである。
【図31】リニアモータにおける固定子の永久磁石に係
るスキュー角度を示す模式図である。
【図32】従来のリニアモータに備えられている半閉型
スロットを有する電機子の模式的縦断面図である。
【符号の説明】
1 電機子コア 10 スロット 10a 開口部 1a 磁極歯部 1c 歯先 2 コイル 3 反力抑止板 3b 穴部 4 電機子 15e 壁部 25n、25s 永久磁石 26 固定子 30 リニアモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村田 究 大阪府大阪市鶴見区鶴見4丁目17番96号 株式会社椿本チエイン内 Fターム(参考) 5H641 BB06 BB18 BB19 GG02 GG03 GG04 GG08 GG12 HH02 HH03 HH05 HH08 HH09 HH13 HH14 HH16 HH17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スロットを隔てて複数並設してある磁極
    歯部を有する電機子コアと、前記磁極歯部に巻装してあ
    るコイルとを備える電機子を用いてなるリニアモータに
    おいて、 前記電機子は、前記スロット内に、前記磁極歯部の歯先
    近傍に密着配置してある磁性体製の反力抑止板を備える
    ことを特徴とするリニアモータ。
  2. 【請求項2】 前記反力抑止板は穴部を有し、該反力抑
    止板の両端部が、前記スロットの開口部を隔てて隣り合
    う磁極歯部に、夫々密着していることを特徴とする請求
    項1に記載のリニアモータ。
  3. 【請求項3】 前記反力抑止板は、前記磁極歯部の並設
    方向の端部に、該並設方向に突出する凸部を有し、前記
    磁極歯部は、前記並設方向の側面の歯先近傍に、該歯先
    に略平行となる位置に、前記凸部を嵌合すべき凹部を有
    し、該凹部に前記凸部を挿入して、前記反力抑止板を前
    記磁極歯部に着脱可能に固着してあることを特徴とする
    請求項1又は2に記載のリニアモータ。
  4. 【請求項4】 スロットを隔てて複数並設してある磁極
    歯部を有する電機子コアと、前記磁極歯部に巻装してあ
    るコイルとを備える電機子を用いてなるリニアモータに
    おいて、 前記電機子は、前記磁極歯部の歯先と、前記スロットの
    開口部の一部とを覆うべく、前記歯先上に密着配置して
    ある磁性体製の反力抑止板を備えることを特徴とするリ
    ニアモータ。
  5. 【請求項5】 前記電機子コアの前記磁極歯部の並設方
    向の少なくとも何れか一方の端部に設けてある壁部を更
    に備える前記請求項1乃至4の何れかに記載のリニアモ
    ータ。
  6. 【請求項6】 前記壁部と、該壁部に隣り合う前記磁極
    歯部との間に配置してある磁性体製の反力抑止板を更に
    備える請求項5に記載のリニアモータ。
  7. 【請求項7】 前記磁極歯部の歯先と対向配置してあ
    り、前記歯先との対向側をS極にする磁石と該対向側を
    N極にする磁石とを前記磁極歯部の並設方向へ交互に隔
    離配置してある界磁部を更に備え、 前記電機子コアの歯先側全長Lは、 L=P×(Z+1/2) (Pは前記交互に隔離配置されてある磁石の磁石ピッ
    チ、Zは自然数)の関係を満たす請求項5又は6に記載
    のリニアモータ。
  8. 【請求項8】 前記磁極歯部の歯先と対向配置してあ
    り、前記歯先との対向側をS極にする磁石と該対向側を
    N極にする磁石とを前記磁極歯部の並設方向へ交互に隔
    離配置してある界磁部を更に備え、 前記磁石は直方体状であり、モータ進行方向の断面で前
    記歯先との対向側の端部に、平面又は曲面の面取りがし
    てある請求項1乃至6の何れかに記載のリニアモータ。
  9. 【請求項9】 前記電機子コアの歯先側全長Lは、 L=P×(Z+1/2+α+β) (Pは前記交互に隔離配置されてある磁石の磁石ピッ
    チ、Zは自然数、αは前記磁石の面取りに係る係数、β
    は前記反力抑止板の枚数に係る係数)の関係を満たす請
    求項8に記載のリニアモータ。
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