JP2003032937A - 回転機および回転機用回転体への金属焼嵌め方法 - Google Patents

回転機および回転機用回転体への金属焼嵌め方法

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JP2003032937A
JP2003032937A JP2001214336A JP2001214336A JP2003032937A JP 2003032937 A JP2003032937 A JP 2003032937A JP 2001214336 A JP2001214336 A JP 2001214336A JP 2001214336 A JP2001214336 A JP 2001214336A JP 2003032937 A JP2003032937 A JP 2003032937A
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shrink
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film
insulating cylinder
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Hisashi Hirai
久之 平井
Katsuhiko Yoshida
勝彦 吉田
Hideki Chiba
英樹 千葉
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Toshiba Corp
Toshiba Industrial Technology Corp
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Toshiba Corp
Toshiba Industrial Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼嵌め温度が300℃以上の高温になって
も、有機絶縁体の層間剥離の発生を抑制し、金属リング
焼嵌め時の作業性が容易な回転機および回転機用回転体
への金属焼嵌め方法を提供すること。 【解決手段】 回転子に設けられたコイルエンド部の外
周面に有機物のFRP製絶縁円筒10を設け、この絶縁
円筒10の外周面に低熱伝導筒体を設ける。この低熱伝
導筒体は、膜厚125μmのPIフィルム11が室温硬
化タイプのシリコーン接着剤により貼着された層であ
る。この低熱伝導筒体に金属リング12を焼嵌めしてロ
ータのコイルエンド部を形成した発電機である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属リングの焼嵌
め時に発生するプラスチックなど有機絶縁体のクラック
を防止した回転機および回転機用回転体への金属焼嵌め
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発電機たとえばタービン発電機は円筒状
固定子内に同軸的にタービンの回転軸に連係された回転
子(ロータ)が設けられた構成である。このロータは、
2極機の場合通常1分間に3000ないし3600回転
で運転され、また、4極機では1500ないし1800
回転で運転される。したがって、ロータを構成する回転
子鉄心や回転子コイルの円周部は、強大な遠心力を受け
るので回転子コイルを始めとした部品類の強度に応じた
固定法が採用されている。
【0003】このロータの回転子鉄心は、ロータ自身に
安定して固定されているが、回転子コイルの特にコイル
エンド部分は、高速回転に伴う遠心力で変形しないよう
に強固に取り付けられた構成になっている。ロータの構
成は、周知であり、図4および図5に示す通りである。
図4はロータ21内に収納されるコイルの配置を示す図
であり、図5は図4のコイルエンド部分の遠心力対策し
た構造を説明するための図である。
【0004】図4のロータ21は、回転子コイル22が
収納されるスロット23の配置状態を示すもので、コイ
ル直線部24とコイルエンド部25とからなる。このコ
イル直線部24はロータ21内に多数の回転子コイルの
縦続接続回路が設けられている。コイルエンド部25は
図5に示すように回転子コイル22の縦続接続回路がロ
ータ21の外周面から露出し高速回転により変形しない
ようにロータ21に固定されている。
【0005】この固定構造は露出する各回転子コイル2
2が飛出ないようにプラスチック製絶縁円筒26が嵌合
されている。この絶縁円筒26の一部を囲繞して短絡リ
ング27が嵌合されている。これらの短絡リング27お
よび絶縁円筒26をロータ21に強固に固定するために
エンドリングとして金属リング28が焼嵌めされてい
る。
【0006】さらに詳言すると、ロータ21に形成され
たスロット23内には、スロットアーマにより絶縁し
て、回転子コイル22が挿入される。スロット23内に
挿入された回転子コイル22は、コイル直線部24でス
ロットアーマと楔により鉄心に強固に固定される。
【0007】コイルエンド部5は回転子コイル22間に
絶縁ブロックなどを挿入して、夫々をしっかりとロータ
21に固定されている。この固定子コイル22列の外周
側は、金属リング28を焼嵌めすることにより回転子コ
イル22をロータ21に強固に固定されている。スロッ
ト23から露出するコイルエンド部25の回転子コイル
22の縦続接続回路は、所定の電気的接続と電気的絶縁
手段が行われ、必要に応じてリード線により外部に導出
される。
【0008】コイルエンド部25の外周には、絶縁と回
転子コイル22を遠心力から固定し保護のためにプラス
チック製絶縁円筒26が設けられる。絶縁円筒26の一
部の外周にはロータ21の表面電流を流すための短絡リ
ング27が設けられる。絶縁円筒26、短絡リング27
の外周には、金属リング28が焼嵌めされる。この金属
リング28の焼嵌めは、ロータ21が高速回転すること
により発生する強大な遠心力から回転子コイル22が変
形するのを保護するための重要な固定手段である。
【0009】金属リング28の焼嵌めは、金属リング2
8の口径を絶縁円筒26の外径より小さく形成し、加熱
して熱膨張させることにより、絶縁円筒26に嵌め込
み、その後冷却することにより熱収縮させて強固な嵌合
を完成させる手段である。この金属リング28の締め付
け力は、絶縁円筒26の外径よりどの程度小さく設計す
るかの寸法差で決まる。これらの金属リング28焼嵌め
温度は、通常200〜300℃でありガスバーナにより
加熱されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タービ
ン発電機が大型化し、ロータ21の回転速度が高速化さ
れると、この高速回転に絶え得る高い締め付け力の金属
リング28の焼嵌めが要求される。この高い締め付け力
の焼嵌めは、寸法差を大きくとるため更に350℃以上
の高温度が必要になる。このため通常ガラス繊維強化エ
ポキシ積層板(以下FRPと略す)で構成されている絶
縁円筒26は、金属リング28の焼嵌め時の温度でヒー
トショック(熱衝撃)を受け、層間剥離(クラック)が
発生して絶縁円筒26の機械的な強さが大幅に低下する
現象が生じる。この結果絶縁円筒26は、電気回路の絶
縁効果が無くなり、高電圧発生時絶縁破壊を起こす。
【0011】この回転子コイル22と金属リング28に
挟まれた絶縁円筒26には、遠心力、電磁力、運転によ
る熱伸びの差などのストレスが加わるので、層間剥離が
あると、さらに進展して大幅な強度低下をきたして回転
子の信頼性を損なう恐れがある。また、この信頼性の低
下を回避する手段としては、金属リング28の焼嵌め時
の温度を極力小さくする必要があり、金属リング8挿入
時の絶縁円筒26とのギャップが小さくなり作業性が良
くない。
【0012】このように高温度の焼嵌めは、FRP製絶
縁円筒26の層間にクラックが生じて機械的強さを低下
させ、信頼性が低下することが課題であった。また、上
記のFRP絶縁円筒26の保護の為には、エンドリング
挿入時のギャップを小さくする必要があり、作業性が良
くないことが課題であった。
【0013】焼嵌めで無機のセラミック製絶縁内筒にク
ラックが発生することは特開平6−48854号公報に
記載されている。しかしこの文献に記載された技術は、
焼嵌め後の冷却工程において外筒と内筒との熱膨張の相
違により軸方向の伸び差が生じ、接触面に引張り応力が
発生して、クラックが発生することが記載されたもので
ある。即ち、上記文献には、この応力歪みによるクラッ
クの発生を回避するための手段が記載されたものであ
る。この応力歪みの回避手段は、外筒と内筒との接触面
に潤滑材の粉末を噴霧して応力歪みを吸収する技術であ
る。したがって、この文献に記載された技術は課題、対
象技術を異にするもので、焼嵌め温度の高温度化による
絶縁筒のクラックを解決するものではない。
【0014】本発明はかかる従来の事情に対処してなさ
れたものであり、プラスチック製絶縁筒への焼嵌め温度
による絶縁筒の層間剥離の発生を抑制し、また金属リン
グ焼嵌め時の作業性を容易にする回転機および回転機用
回転体への金属焼嵌め方法を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、次のような手段により回転機および回転機
用回転体への金属焼嵌め方法を提供するものである。
【0016】請求項1記載の回転機は、回転体内に設け
られた回転子コイルと、この回転子コイルが露出する前
記回転体の外周面に被覆されたプラスチック製の絶縁筒
と、この絶縁筒の表面に設けられた耐熱緩衝層と、この
耐熱緩衝層上に焼嵌めされた金属リングとを具備してな
ることを特徴とする。
【0017】請求項2記載の回転機は、回転体内に設け
られた回転子コイルと、この回転子コイルに励磁電流を
供給するバイアス回路が導出される前記回転体の外周面
に被覆されたプラスチック製の絶縁筒と、この絶縁筒の
表面に設けられた耐熱緩衝層と、この耐熱緩衝層上に焼
嵌めされた金属リングとを具備してなることを特徴とす
る。
【0018】請求項1、2によれば、絶縁筒と焼嵌めさ
れる金属リングとの間に耐熱緩衝層が介在されているの
で、絶縁筒に高温に暖められた金属リングが直接接触す
るのを防ぎ、かつ熱伝導率が低いので絶縁筒への熱の伝
わりが緩衝され、絶縁筒内の温度傾斜が緩和される。そ
の影響で絶縁筒内部の温度分布による膨張差が少なくな
るので絶縁筒の層間で生じる剥離の発生を大幅に抑制で
きる。このため絶縁筒の機械的強さの低下を抑制でき
る。さらに、電気回路を良好に絶縁保護することができ
る。
【0019】請求項3記載の回転機は請求項1又は2記
載の回転機において、前記耐熱緩衝層は耐熱性のフィル
ム、クロス、不織布のうち少なくとも一つの材料である
ことを特徴とする。
【0020】請求項3によれば、絶縁筒と焼嵌めされる
金属リングとの間に耐熱性のフィルムまたはクロス、不
織布が介在されるので、絶縁筒に高温に暖められた金属
リングが直接接触するのを防ぎ、かつ熱伝導率が低いの
で絶縁筒への熱の伝わりが大幅に緩衝され、絶縁筒内の
温度傾斜が緩和される。その影響で内部の温度分布によ
る膨張差が少なくなるので絶縁筒の層間で生じる剥離の
発生を大幅に抑制できる。このため絶縁筒の機械的強さ
の低下を抑制できる。
【0021】請求項4記載の回転機は請求項1、2又は
3記載の回転機において、前記耐熱緩衝層は前記絶縁筒
の表面に接着剤により接着されたものであることを特徴
とする。
【0022】請求項5記載の回転機は請求項4記載の回
転機において、前記絶縁筒および前記耐熱緩衝層とを接
着する接着剤は、シリコーン系、エポキシ系、ポリアミ
ド系融着フィルム、エチレン系アイオノマーフィルムの
少なくとも一種であることを特徴とする。
【0023】請求項4、5によれば、絶縁筒上に低熱伝
導体で接着するので、金属リングが焼嵌めされたときこ
の焼嵌めの高温度を瞬時に絶縁筒が受けず、漸次温度上
昇し、緩和されるのでクラックの発生を抑制できる。特
にシリコーン系、エポキシ系は、耐熱性がよく、強力な
接着力を有する。
【0024】請求項6記載の回転機は請求項3記載の回
転機において、前記耐熱性のフィルム、クロス、不織布
の材質はポリイミド系、ガラスクロス、ポリアミド系で
あることを特徴とする。
【0025】請求項6によれば、特にクロスや不織布は
内部に空気層を有するため断熱効果が大きく絶縁筒を効
率的に保護することができる。
【0026】請求項7記載の回転機は請求項1記載の回
転機において、前記回転体は発電機のロータであること
を特徴とする。
【0027】請求項7によれば、高温度の金属焼嵌めに
より強固に固定することができるので、ロータを高速回
転して大電力の発電をすることができる。
【0028】請求項8の回転機用回転体への金属焼嵌め
方法は、収納された回転子コイルおよびその回路が露出
および導出する回転機用回転体の外周面に被覆されたプ
ラスチック製の絶縁筒に金属リングを焼嵌めする焼嵌め
方法において、前記絶縁筒の外周面に耐熱緩衝層を設
け、この耐熱緩衝層上に金属リングを350℃以上の温
度に加熱して焼嵌めすることを特徴とする。
【0029】請求項9の回転機用回転体への金属焼嵌め
方法は、収納された回転子コイルおよびその回路が露出
および導出する回転機用回転体の外周面に被覆されたプ
ラスチック製の絶縁筒に金属リングを焼嵌めする焼嵌め
方法において、前記絶縁筒をガラスエポキシ積層板によ
り形成し、このガラスエポキシ積層板製絶縁筒外周面に
耐熱性のフィルム、クロス又は不織布からなる耐熱緩衝
層を接着し、この耐熱緩衝層上に金属リングを350℃
以上の温度に加熱して焼嵌めすることを特徴とする。
【0030】請求項8、9によれば、回転体の回転速度
が高速化されても、適合した強固な締め付け力を有する
金属リングの焼嵌めを行なうことができる。強固な締め
付け力を得るためには、焼嵌め温度を高温度にしなけれ
ばならない。この発明は焼嵌め温度を高温度にしても絶
縁筒の層間剥離を抑制できる。その結果、強固な締め付
け力を有する焼嵌めは、高速回転による遠心力や、高速
回転運転による絶縁筒と金属リングとの熱伸びの差によ
るストレス、運転、停止のヒートサイクルによる劣化な
どに対して信頼性の高い絶縁構造を得ることができる。
【0031】さらに、絶縁筒の外周面に耐熱緩衝層を設
け、この耐熱緩衝層に金属リングを焼嵌めするので、絶
縁筒に高温に暖められた金属リングが直接接触するのを
防ぎ、かつ耐熱緩衝層により絶縁筒への熱の伝わりが緩
衝され、絶縁筒内の温度傾斜が緩和される。その影響で
絶縁筒内部の温度分布による膨張差が少なくなるので絶
縁筒の層間で生じるクラックの発生を大幅に抑制でき
る。
【0032】絶縁筒の外周面に設ける耐熱緩衝層は、耐
熱性のフィルムまたはクロス、不織布を単独または複合
にしてもよいし、同一材料を積層してもよい。耐熱緩衝
層は単層より積層した方が、絶縁筒の層間剥離防止効果
が大きい。耐熱緩衝層は、低熱伝導体で耐熱性、軟化温
度が高く、熱伝導性の悪い材料が最適である。耐熱性は
350℃以上の短時間加熱で炭化しない材料が好まし
い。熱伝導性は0.3w/cm以下の材料が好まし
い。
【0033】耐熱緩衝層としてポリイミド系耐熱性フィ
ルムを使用した場合、短時間で高温度の焼嵌めをしても
ポリイミド系耐熱性フィルムは、炭化したり溶融流出せ
ず、低い熱伝導率と高い弾性率を有しており適例であ
る。低熱伝導体としてクロス部材は、無機質のクロスで
あれば耐熱的に対応でき、多品種で入手の容易さと価格
の点で適例である。
【0034】耐熱緩衝層として不織布は、ポリイミド系
の耐熱性不織布が適している。耐熱緩衝層としてクロス
および不織布は、内部に空気層を含んでいるので熱伝導
性が低く、プラスチック製の絶縁筒に熱適にダメージを
与えにくく良好な材料である。不織布はたとえばポリア
ミド不織布、クロスはたとえばガラスクロスである。
【0035】プラスチック製の絶縁筒と耐熱緩衝層との
接着剤は、シリコーン系とエポキシ系が耐熱性と接着力
の強さの面で適例である。プラスチック製の絶縁筒と耐
熱緩衝層との接着剤として融着フィルムは、ポリアミド
系およびエチレン系アイオノマーが接着力と短時間の高
温度で炭化しにくく適例である。短時間の高温度とは高
温度の期間が約1時間である。
【0036】接着剤は、たとえばシリコーン、エポキ
シ、アミド系フィルム、エチレン系アイオノマーフィル
ムなどである。これら接着剤のうちアミド系フィルム、
エチレン系アイオノマーフィルムは、焼嵌め温度で溶融
し、焼嵌め温度の低下に応じて接着するプロセスで接着
する。
【0037】発電機用絶縁筒の材質としては、ガラス繊
維強化エポキシ積層板(以下FRPと略す)が代表例で
ある。FRP製絶縁筒には高温度の金属リングが直接接
触せず、絶縁筒の外周面に耐熱性のフィルム、またはク
ロス、不織布等の熱伝導率の低い材料を介在させるの
で、FRP製絶縁筒厚さ方向の温度傾斜が低くなりFR
P製絶縁筒の層間クラックの発生を抑制できる。
【0038】焼嵌め時、低熱伝導率材料の介在は、FR
P材料の機械的強さの低下を抑制できる。その結果得ら
れた焼嵌め金属リングは、高速回転による遠心力や、運
転による熱伸びの差によるストレス、運転停止によるヒ
ートサイクルによる劣化などに対して充分耐えることが
できる。更に、金属リングの焼嵌め温度を従来より高く
設定できる為、焼嵌め時の金属リングの口径と低熱伝導
率材料筒体の外径との間のギャップを従来より大きくす
ることが出来、作業性の向上を図ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】次に、本発明の回転機および回転
機用回転体への金属焼嵌め方法の実施形態を図1を参照
して説明する。この実施形態は360℃の焼嵌め温度で
プラスチック製の絶縁板を保護するための耐熱緩衝層の
材料を変えた実施例である。
【0040】有機絶縁体の基板1は、大きさ例えば15
0×150mm、厚さ例えば10mmFRP板である。
各実施例により製造された絶縁構造体2は、絶縁体基板
1上に載置されて評価される。絶縁構造体2の構造は、
絶縁筒に相当するプラスチック製絶縁板3上には、耐熱
緩衝層板例えば低熱伝導体板4が載置されている。この
低熱伝導体板4上には、金属リングに相当する錘5が設
けられている。
【0041】錘5はステンレス製で約7kgを用いた。
この錘5は焼嵌め温度を設定して所定温度に暖めた加熱
炉に2時間以上放置された後、低熱伝導体板4上に載置
され、焼嵌め温度の条件で実施した。即ち、この状態で
2時間以上放置した後、絶縁板3と低熱伝導体板4から
なる試験片6は、取り出された。
【0042】この試験片6はJIS K 7055(ガ
ラス繊維強化プラスチックの曲げ試験方法)に準じて室
温における3点曲げによる破壊強度試験機で劣化の程度
が評価された。破壊強度試験機は試験片6を大きさ15
×80mm、厚さ3mmのFRP基板上に設置して評価
した。表1は次に説明する各実施例の断熱効果を一覧表
にしたものである。
【表1】
【0043】比較例1 比較例1はこの評価の基準として実施したものである。
この基準は低熱伝導体4を設けず絶縁板3のみである。
絶縁板3はFRP板で、このFRP板上に室温(RT)
の錘5を設置した。この後、FRP板は破壊強度試験機
にセットされ曲げ強さが測定された。このときの測定値
は、曲げ強さ比100と設定した。
【0044】比較例2 比較例2は比較例1において、錘5の温度(焼嵌め温度
として設定)を310℃に加熱したときのFRP板の曲
げ強さを測定し、比較例1との相対比を曲げ強さ比とし
て求めた。この曲げ強さ比は84であった。FRP板に
は層間剥離の発生は見当らなかった。
【0045】比較例3 比較例3は比較例2において、錘5の温度(焼嵌め温度
として設定)を360℃に高温度にしたときのFRP板
の曲げ強さを測定し、比較例1との相対比を曲げ強さ比
として求めた。この曲げ強さ比は52であった。錘5の
温度を50℃高温度にしたことにより曲げ強さ比は、3
2も低下したことがわかる。360℃の比較例3は、曲
げ強さの低下が大きく層間剥離が拡大していた。FRP
板は絶縁体として利用困難であった。
【0046】実施例1 この実施例は、絶縁板3としてのFRP板と錘5との間
に低熱伝導体4を介在させた例である。低熱伝導体4
は、厚さ25μmのポリイミドフィルム(以下PIフィ
ルムと略す)の単層であり、接着剤としてエポキシ樹脂
フィルム(以下EPフィルムと略す)により上記FRP
板に接着される。360℃(焼嵌め温度として設定)に
加熱された錘5は、低熱伝導体4を介して絶縁板3に載
置される。
【0047】このような熱衝撃による絶縁板3の曲げ強
さ比は、63で比較例3と比較すると11も改善されて
いる。この結果はPIフィルタの効果である。絶縁板3
の第1層の1箇所層間剥離があった。FRP板は絶縁体
として利用可能であった。表1ではプラスチック製絶縁
板3と低熱伝導体4と接着剤の順で「+」記号で積層材
料を関係付けて示している。
【0048】実施例2 低熱伝導体4は、厚さ50μmのPIフィルムの単層で
あり、接着剤としてEPフィルムにより上記FRP板に
接着される。360℃に加熱された錘5は、低熱伝導体
4を介して絶縁板3に載置される。このような熱衝撃に
よる絶縁板3の曲げ強さ比は、75で実施例1と比較す
ると12も改善されている。PIフィルムの厚さを50
μmと厚くしたことにより断熱効果が高くなっているこ
とがわかる。絶縁板3の第1層の1箇所に層間剥離が発
生する場合があった。FRP板は絶縁体として利用可能
であった。
【0049】実施例3 この実施例は実施例2の接着剤であるEPフィルムをシ
リコーンフィルム(以下Siフィルムと略す)に置換し
た例である。低熱伝導体4は、厚さ50μmのPIフィ
ルムの単層であり、接着剤としてシリコーンフィルム
(以下Siフィルムと略す)により上記FRP板に接着
される。
【0050】360℃に加熱された錘5は、低熱伝導体
4を介して絶縁板3に載置される。このような熱衝撃に
よる絶縁板3の曲げ強さ比は、75で実施例2とほぼ同
じ結果となっている。絶縁板3の第1層の1箇所に層間
剥離が発生する場合があった。FRP板は絶縁体として
利用可能であった。
【0051】実施例4 この実施例は実施例3の低熱伝導体4のPIフィルムを
2枚積層した例である。低熱伝導体4は、厚さ50μm
のPIフィルムが2枚積層されて層であり、接着剤とし
てシリコーンフィルム(以下Siフィルムと略す)によ
り上記FRP板に接着される。360℃に加熱された錘
5は、低熱伝導体4を介して絶縁板3に載置される。こ
のような熱衝撃による絶縁板3の曲げ強さ比は、78で
実施例2、3とほぼ同じ結果となっている。絶縁板3の
第1層の1箇所に層間剥離が発生する場合があった。F
RP板は絶縁体として利用可能であった。
【0052】実施例5 この実施例は実施例3のPIフィルムを膜厚75μmに
厚くした例である。低熱伝導体4は、厚さ75μmのP
Iフィルムの単層であり、接着剤としてシリコーンフィ
ルム(以下Siフィルムと略す)により上記FRP板に
接着される。360℃に加熱された錘5は、低熱伝導体
4を介して絶縁板3に載置される。このような熱衝撃に
よる絶縁板3の曲げ強さ比は、83で実施例3と比較し
てPIフィルムを厚く形成した分、断熱効果が改善され
ている。絶縁板3の第1層の1箇所に層間剥離が発生す
る場合があった。FRP板は絶縁体として利用可能であ
った。
【0053】実施例6 この実施例は実施例5のPIフィルムを膜厚125μm
に厚くした例である。低熱伝導体4は、厚さ125μm
のPIフィルムの単層であり、接着剤としてSiフィル
ムにより上記FRP板に接着される。360℃に加熱さ
れた錘5は、低熱伝導体4を介して絶縁板3に載置され
る。このような熱衝撃による絶縁板3の曲げ強さ比は、
85で実施例5と比較してPIフィルムを厚く形成した
分、断熱効果が改善されている。絶縁板3の層間剥離は
見当らなかった。FRP板は絶縁体として利用可能であ
った。
【0054】実施例7 この実施例は実施例3に、さらにポリアミド不織布(以
下Nフィルムと略す)を増加して多層に積層した例であ
る。低熱伝導体4は、厚さ50μmのPIフィルムと厚
さ120μmのNフィルムの積層フィルムである。この
積層フィルムは、接着剤としてSiフィルムにより上記
FRP板に接着される。360℃に加熱された錘5は、
低熱伝導体4を介して絶縁板3に載置される。このよう
な熱衝撃による絶縁板3の曲げ強さ比は、85で実施例
6とほぼ同じ結果となっている。絶縁板3の層間剥離は
見当らなかった。FRP板は絶縁体として利用可能であ
った。
【0055】実施例8 この実施例は低熱伝導体4として実施例3のPIフィル
ムを膜厚100μmガラスクロス(以下GLフィルムと
略す)に置換した例である。低熱伝導体4は、厚さ10
0μmのGLフィルムの単層である。このGLフィルム
は、この積層フィルムは、接着剤としてSiフィルムに
より上記FRP板に接着される。360℃に加熱された
錘5は、低熱伝導体4を介して絶縁板3に載置される。
このような熱衝撃による絶縁板3の曲げ強さ比は、87
で実施例3と比較して12も断熱効果が改善されてい
る。絶縁板3の層間剥離は見当らなかった。FRP板は
絶縁体として利用可能であった。
【0056】実施例9 この実施例は実施例5の接着剤Siフィルムをエチレン
系アイオノマーフィルム(以下ETフィルムと略す)に
置換した例である。低熱伝導体4は、厚さ75μmのP
Iフィルムの単層である。このPIフィルムは、接着剤
としてのETフィルムを介在して上記FRP板上に載置
される。360℃に加熱された錘5は、低熱伝導体4を
介して絶縁板3に載置される。
【0057】この錘5が載せられたとき、錘5の熱でE
Tフィルム接着剤は、融点以上のため溶融し、錘5の加
熱温度が低下するとともにPIフィルムとFRP板を接
着する。同時に、この錘5が載せられたとき、錘5の熱
でETフィルム接着剤は、融点以上のため熱伝導率を小
さくする働きと共にPIフィルムとFRP板間に生じる
熱ストレスを緩和する。したがって、冷却後でも高い曲
げ強さを保持している。このような熱衝撃による絶縁板
3の曲げ強さ比は、90で実施例5と比較して7も断熱
効果が改善されている。 絶縁板3の層間剥離は見当ら
なかった。FRP板は絶縁体として利用可能であった。
【0058】実施例10 この実施例は実施例9のPIフィルムを125μmに厚
くした例である。低熱伝導体4は、厚さ125μmの単
層である。このPIフィルムは、接着剤としてのETフ
ィルムを介在して上記FRP板上に載置される。360
℃に加熱された錘5は、低熱伝導体4を介して絶縁板3
に載置される。この錘5が載せられたとき、錘5の熱で
ETフィルム接着剤は、融点以上のため溶融し、錘5の
加熱温度が低下するとともにPIフィルムとFRP板を
接着する。
【0059】同時に、この錘5が載せられたとき、錘5
の熱でETフィルム接着剤は、融点以上のため熱伝導率
を小さくする働きと共にPIフィルムとFRP板間に生
じる熱ストレスを緩和する。したがって、冷却後でも高
い曲げ強さを保持している。このような熱衝撃による絶
縁板3の曲げ強さ比は、95で実施例9と比較してPI
フィルムを厚くした分断熱効果が改善されている。絶縁
板3の層間剥離は見当らなかった。FRP板は絶縁体と
して利用可能であった。
【0060】実施例11 この実施例は実施例9の接着剤ETフィルムをアミド系
フィルム(以下AMフィルムと略す)に置換した例であ
る。低熱伝導体4は、厚さ75μmのPIフィルムの単
層である。このPIフィルムは、接着剤としてのAMフ
ィルムを介在して上記FRP板上に載置される。360
℃に加熱された錘5は、低熱伝導体4を介して絶縁板3
に載置される。
【0061】この錘5が載せられたとき、錘5の熱でA
Mフィルム接着剤は、融点以上のため溶融し、錘5の加
熱温度が低下するとともにPIフィルムとFRP板を接
着する。同時に、この錘5が載せられたとき、錘5の熱
でAMフィルム接着剤は、融点以上のため熱伝導率を小
さくする働きと共にPIフィルムとFRP板間に生じる
熱ストレスを緩和する。したがって、冷却後でも高い曲
げ強さを保持している。このような熱衝撃による絶縁板
3の曲げ強さ比は、90で実施例9と同等の断熱効果で
ある。絶縁板3の層間剥離は見当らなかった。FRP板
は絶縁体として利用可能であった。
【0062】実施例12 この実施例は実施例11のPIフィルムの膜厚を厚くし
た例である。低熱伝導体4は、厚さ125μmのPIフ
ィルムの単層である。このPIフィルムは、接着剤とし
てのAMフィルムを介在して上記FRP板上に載置され
る。360℃に加熱された錘5は、低熱伝導体4を介し
て絶縁板3に載置される。この錘5が載せられたとき、
錘5の熱でAMフィルム接着剤は、融点以上のため溶融
し、錘5の加熱温度が低下するとともにPIフィルムと
FRP板を接着する。
【0063】同時に、この錘5が載せられたとき、錘5
の熱でAMフィルム接着剤は、融点以上のため熱伝導率
を小さくする働きと共にPIフィルムとFRP板間に生
じる熱ストレスを緩和する。したがって、冷却後でも高
い曲げ強さを保持している。このような熱衝撃による絶
縁板3の曲げ強さ比は、94で実施例11と比較すると
膜厚を厚くした分、断熱効果が改善されている。絶縁板
3の層間剥離は見当らなかった。FRP板は絶縁体とし
て利用可能であった。
【0064】上記実施例の結果から絶縁板3の層間剥離
は、曲げ強さ比で85以上は見当たらなかった。曲げ強
さ比で75〜84では、絶縁板3の1層目に層間剥離が
発生する場合があった。曲げ強さ比で63〜74では、
絶縁板3の1層目に層間剥離が発生する程度で電気的絶
縁効果は得られた。
【0065】上記実施例の結果から比較例2は、錘5の
温度が310℃のとき、曲げ強さ比が84で良好な結果
が得られている。従って、絶縁板3に層間剥離が発生す
るかどうかの焼嵌め温度について、焼嵌め温度が310
℃では層間剥離が発生せず、低熱伝導体4は、無くても
よいことを示している。焼嵌め温度が360℃では、曲
げ強さ比が52と悪くなっており、層間剥離が発生し絶
縁効果に課題がある。この層間剥離の発生は、350℃
から発生している。
【0066】上記実施例の結果から実施例3〜6は、P
Iフィルムの厚さが75μm以上で、オリジナルFRP
板の80%(比較例3の1.6倍)以上の曲げ強さを保
持している。さらに、低熱伝導体4は、同一材料層を1
層で形成するより、薄層を積層した方が、曲げ強さ比が
改善される。さらに、低熱伝導体4による断熱効果は、
単層より、異種材料を複数層積層する方がよい。さら
に、低熱伝導体4の厚さは、1mm以上で厚すぎ、0.
8mm以下で0.5mm以下が特に望ましい。
【0067】さらに、上記実施例は、絶縁板3であるF
RPに低熱伝導体4を接着した例について説明したが、
接着しなくても錘5が直接FRPに接触しない形態であ
れば何れでも同様な効果を得ることができる。さらに、
上記実施例では有機物製絶縁板3としてFRP板につい
て説明したが、有機物(プラスチック)の絶縁体であれ
ば上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0068】次にタービン発電機のロータに設けられて
いるエンドリングに適用した実施形態を図2を参照して
説明する。タービン発電機のロータの構成は、図3で説
明したので、エンドリング部3のみ抽出して説明する。
図1、3、4と同一部分については、同一符号を付与
し、その説明を省略する。放射状に配列された各回転子
コイル縦続接続回路を保護するように有機物のFRP製
絶縁円筒10が設けられている。この絶縁円筒10は組
み付けを容易にするため2分割されている。
【0069】この絶縁円筒10の外周面上には、低熱伝
導体例えば膜厚125μmのPIフィルム11が室温硬
化タイプのシリコーン接着剤により貼着されている。こ
のPIフィルム11が貼着された2分割の絶縁円筒10
は、回転子コイル列を囲繞して円筒状に配設される。
【0070】この絶縁円筒10の外周面上には、金属製
のエンドリング12が焼嵌めされている。このエンドリ
ング12は内径が絶縁円筒3の外形より小さく設計され
る。このエンドリング12は短時間例えば1時間で焼嵌
めする。この焼嵌め工程は、エンドリング12を焼嵌め
温度に加熱例えばガスバーナで炙り350℃以上の温度
例えば360℃の高温度にする。高温度に加熱されたエ
ンドリング12は、熱膨張して口径が絶縁円筒10より
大きくなり、絶縁円筒10の外周面への嵌め込みが容易
になる。
【0071】絶縁円筒10に嵌め込まれたエンドリング
12は、冷却することにより熱収縮して絶縁円筒10の
外周面上に密着し、絶縁円筒10を強固に固定する。こ
の実施形態では、焼嵌め工程において加熱されたエンド
リング12がPIフィルム11と接触し、絶縁円筒10
と直接接触しない。この結果、絶縁円筒10は加熱され
たエンドリング12がPIフィルム11と接触したの
ち、漸次温度上昇するため急激な熱衝撃を受けず層間剥
離を生じない。従って、絶縁円筒10はエンドリングの
焼嵌め工程を高温度で実施しても、回転子コイルなど電
気回路を良好に絶縁する。
【0072】発電機の発電出力の大出力化は、ロータ2
1がより高速回転になる。ロータ回転速度の高速化は、
エンドリング12の締め付け度を高くすることである。
即ち、絶縁円筒10の外径に対してエンドリング12の
径は、より小さく設計される。エンドリング12の径を
より小さく設計することは、エンドリング12をより高
温度に加熱して焼嵌めすることである。
【0073】エンドリング12を高温度に加熱して焼嵌
めしたとき、PIフィルム11による断熱効果は、薄層
で効率的に絶縁円筒10を保護する。このように構成さ
れたロータ21は、回転試験の結果、振動などは無く、
金属リングを300℃以下で焼き嵌めした条件と同等で
FRPの損傷がなく信頼性の高い絶縁構成であることが
確認できた。
【0074】発電機には他の焼嵌め部として回転子コイ
ル22に励磁電流を供給するコレクタリングがある。こ
の実施形態はコレクタリング(正極と負極)の焼嵌めに
適用したもので、ロータ21の高速回転に耐え得る強固
な焼嵌めを目的としたものである。この実施形態を図3
を参照して説明する。図1、2、4、5と同一部分は同
一符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0075】回転子コイル22への励磁電流供給部でロ
ータ21外周面には、回転子コイルのバイアス回路が露
出し、この部分にコレクタリング15が焼嵌めにより設
けられる。このコレクタリング15は正極リング15a
と負極リング15bが離隔して設けられる。このコレク
タリング15とロータ21の外周面間には、上記回転子
コイルのバイアス回路と絶縁し、かつ保護するために絶
縁円筒16が設けられている。
【0076】絶縁円筒16の外周面上には、この実施形
態の特徴とする低熱伝導筒体4が形成されている。この
低熱伝導筒体4の部材は、表1の各実施例で説明したフ
ィルムで同様な製法により形成する。この低熱伝導筒体
4上に正極リング15aと負極リング15bを焼嵌めす
る。焼嵌め方法は上記実施形態で説明した方法により形
成できる。
【0077】各正極リング15aと負極リング15bの
周縁部には、多数の回転子コイル22に励磁電流を供給
するための回転子コイルバイアス回路を形成する銅線か
らなる配線17列に接続された引出端子18が設けられ
ている。この引出端子18と各正極リング15aと負極
リング15bとは、外部で電気的に配線される。このよ
うに低熱伝導体4の形成は、コレクタリング15の焼嵌
め温度が350℃以上になっても、絶縁円筒16に層間
剥離を生ずることがない。
【0078】このように発電機のロータ21において、
焼嵌めによる組立技術が行なわれている個所は、ロータ
21の外周面で回転子コイル回路が露出する場所であ
る。各正極リング15aと負極リング15bの固定子に
設けられるブラシと接触する表面は、電気的接触を良好
にするために粗面に加工され、溝19が設けられてい
る。
【0079】上記実施形態では、発電機のロータにおい
て金属リングの焼嵌め個所に適用した実施形態について
説明したが、回転機であれば発電機に限らずモータでも
よく、ロータ内に設けられる電子回路はコイルに限ら
ず、トランスポンダなどの電気回路が収納される回路で
も同様な効果が得られる。
【0080】上記実施形態によれば、絶縁基材のFRP
の表面に耐熱性のフィルム、またはクロス、不織布を配
置、または接着した外周部に高温度に加熱した金属リン
グを焼き嵌めした絶縁構造体を備えた発電機のロータ1
を得ることができる。低熱伝導体として耐熱性のフィル
ム、またはクロス、不織布を絶縁基材表面に配置、また
は接着することは、絶縁基材であるFRPが焼嵌め用高
温度の金属の接触により炭化や劣化することから保護さ
れることである。熱伝導率の低いこれら材料は、絶縁基
材であるFRPへの熱伝導を遅くし緩和するので絶縁基
材中の温度傾斜を低くでき、熱ひずみが小さくなる。
【0081】この結果、上記低熱伝導体を設けること
は、高温度による絶縁基材中のクラックを抑制できるの
で絶縁基材の機械的強さの劣化を防ぐことができる。さ
らに、締め付け力を強くするために焼き嵌め温度を高く
しても絶縁特性を損なうことなく十分な信頼性を有する
発電機を構成することができる。また、エンドリングの
焼嵌め時温度を従来の焼嵌め温度より高く設定できる
為、エンドリング挿入時のギャップを従来より大きくす
ることが出来、強固な締め付けができ、作業性の向上を
図ることができる。
【0082】
【発明の効果】この発明によれば、有機絶縁体の外周面
への焼嵌めにおいて、焼嵌め温度が300℃以上の高温
になっても、有機絶縁体の層間剥離の発生を抑制し、金
属リング焼嵌め時の作業性が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための断面図。
【図2】本発明を発電機に適用した実施形態を説明する
ためのエンドリング部の斜視図。
【図3】図2他の実施形態を説明するためのコレクタリ
ング部の断面図。
【図4】従来の発電機のロータに形成された回転子コイ
ルの配置を示す説明図。
【図5】図4のコイルエンド部のエンドリング焼嵌め部
の構造を説明するための断面図。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁構造体、3…絶縁板、4…低熱伝導
体、5…錘、6…試験片、10…絶縁円筒、11…ガラ
ス繊維強化エポキシ樹脂、12…エンドリング、15…
コレクタリング、16…絶縁円筒、17…配線、18…
引出端子、19…溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 勝彦 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 千葉 英樹 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 5H002 AA07 AB07 AC10 AE08 5H603 AA03 AA04 BB02 BB09 BB12 CA02 CA05 CB03 CB04 CB11 CB22 CB25 CC01 CC17 EE08 EE13 FA24 FA29 FA30 5H604 AA05 AA08 BB03 BB10 BB14 CC02 CC05 CC11 CC13 DA06 DA15 DA19 DA25 DB01 DB11 DB26 PB04 PC00 QA06 QB15 5H619 AA03 AA04 BB02 PP02 PP04 PP11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転体内に設けられた回転子コイルと、 この回転子コイルが露出する前記回転体の外周面に被覆
    されたプラスチック製の絶縁筒と、 この絶縁筒の表面に設けられた耐熱緩衝層と、 この耐熱緩衝層上に焼嵌めされた金属リングとを具備し
    てなることを特徴とする回転機。
  2. 【請求項2】 回転体内に設けられた回転子コイルと、 この回転子コイルに励磁電流を供給するバイアス回路が
    導出される前記回転体の外周面に被覆されたプラスチッ
    ク製の絶縁筒と、 この絶縁筒の表面に設けられた耐熱緩衝層と、この耐熱
    緩衝層上に焼嵌めされた金属リングとを具備してなるこ
    とを特徴とする回転機。
  3. 【請求項3】 前記耐熱緩衝層は耐熱性のフィルム、ク
    ロス、不織布のうち少なくとも一つの材料であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の回転機。
  4. 【請求項4】 前記耐熱緩衝層は前記絶縁筒の表面に接
    着剤により接着されたものであることを特徴とする請求
    項1、2又は3記載の回転機。
  5. 【請求項5】 前記絶縁筒および前記耐熱緩衝層とを接
    着する接着剤は、シリコーン系、エポキシ系、ポリアミ
    ド系融着フィルム、エチレン系アイオノマーフィルムの
    少なくとも一種であることを特徴とする請求項4記載の
    回転機。
  6. 【請求項6】 前記耐熱性のフィルム、クロス、不織布
    の材質はポリイミド系、ガラスクロス、ポリアミド系で
    あることを特徴とする請求項3記載の回転機。
  7. 【請求項7】 前記回転体は発電機のロータであること
    を特徴とする請求項1又は2記載の回転機。
  8. 【請求項8】 収納された回転子コイルおよびその回路
    が露出および導出される回転機用回転体の外周面に被覆
    されたプラスチック製の絶縁筒に金属リングを焼嵌めす
    る焼嵌め方法において、前記絶縁筒の外周面に耐熱緩衝
    層を設け、この耐熱緩衝層上に金属リングを350℃以
    上の温度に加熱して焼嵌めすることを特徴とする回転機
    用回転体への金属焼嵌め方法。
  9. 【請求項9】 収納された回転子コイルおよびその回路
    が露出および導出される回転機用回転体の外周面に被覆
    されたプラスチック製の絶縁筒に金属リングを焼嵌めす
    る焼嵌め方法において、前記絶縁筒をガラスエポキシ積
    層板により形成し、このガラスエポキシ積層板製の絶縁
    筒外周面に耐熱性のフィルム、クロス又は不織布からな
    る耐熱緩衝層を接着し、この耐熱緩衝層上に金属リング
    を350℃以上の温度に加熱して焼嵌めすることを特徴
    とする回転機用回転体への金属焼嵌め方法。
JP2001214336A 2001-07-13 2001-07-13 回転機および回転機用回転体への金属焼嵌め方法 Withdrawn JP2003032937A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009213285A (ja) * 2008-03-05 2009-09-17 Mitsuba Corp ブラシレスモータ
JP2009284579A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Hitachi Ltd 回転電機
JP2014036568A (ja) * 2012-08-10 2014-02-24 Toyota Motor Corp レゾルバステータ

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