JP2003031223A - アルカリ蓄電池用正極板およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用正極板およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池

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JP2003031223A
JP2003031223A JP2001209128A JP2001209128A JP2003031223A JP 2003031223 A JP2003031223 A JP 2003031223A JP 2001209128 A JP2001209128 A JP 2001209128A JP 2001209128 A JP2001209128 A JP 2001209128A JP 2003031223 A JP2003031223 A JP 2003031223A
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alkaline storage
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Yoshiyuki Muraoka
芳幸 村岡
Ichiro Takeuchi
一郎 竹内
Yusuke Ozaki
祐介 尾崎
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量でサイクル特性が良好なアルカリ蓄電
池を構成できるアルカリ蓄電池用正極板およびその製造
方法、ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池を提供す
る。 【解決手段】 導電性の金属からなる支持体11と支持
体11に支持され活物質を含有する層12とを備え、層
12が、水酸化ニッケルを主成分とする活物質の粉末と
バインダとを含み、バインダが、テトラフルオロエチレ
ンとパーフルオロメチルビニルエーテルとエチレンとの
共重合体を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池用
の正極板およびその製造方法、ならびにそれを用いたア
ルカリ蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ蓄電池用のニッケル正極には大
別して焼結式と非焼結式の二つがある。後者の非焼結式
正極としては、たとえば、多孔度95%程度の発泡ニッ
ケル基板に水酸化ニッケル粒子を支持させたものが提案
されており(特許第1094063号公報、特許第10
82016号公報、特許第1143092号公報参
照)、現在、広く用いられている。しかしながら、発泡
ニッケル基板は、その製法が複雑なため高価である。
【0003】これに対し、パンチングシートやエキスパ
ンドメタルといった基板は、金属箔を加工することによ
って形成できるため、安価である。しかしながら、これ
らの基板は、3次元構造をもたないために、基板からの
活物質が生じるという問題や、基板と極板表面層の活物
質との距離が遠く集電性が悪いという問題があった。
【0004】このような問題を解決するため、金属箔を
3次元的に立体加工することによって基板を製造する方
法が試みられている。たとえば、金属箔を加工すること
によって両面に突起を形成した基板が報告されている
(実開平6−79065号公報参照)。しかしながら、
この基板を用いても活物質の脱落の防止が十分ではなか
った。
【0005】そのため、基板からの活物質の脱落を防止
するため、活物質を含有する層に添加するバインダの検
討が行われている。バインダとしては、従来からポリテ
トラフルオロエチレンが用いられている。また、近年、
フッ化ビニリデンを用いて形成されるフッ素ゴムが注目
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のバインダは以下のような技術的な課題を有す
る。
【0007】(1)ポリテトラフルオロエチレンを用い
た場合、正極板が柔軟性に欠ける。また、ポリテトラフ
ルオロエチレンは金属との結合力が小さいため、金属製
の基板から活物質が脱落することを防止することが難し
い。
【0008】(2)フッ化ビニリデンを用いて形成され
るフッ素ゴムでは、主鎖にあるメチレン基がフッ化され
た炭素基と隣接しているため、メチレン基中の水素原子
の電子が隣接するフッ素原子に吸引されている。そのた
め、メチレン基中の水素原子が、アルカリ溶液中でプロ
トンとして引き抜かれやすい。したがって、バインダと
してフッ化ビニリデン系フッ素ゴムを用いると、アルカ
リ電解液中でバインダが分解し、活物質が基板から脱落
しやすくなる。バインダの分解生成物は、負極の反応性
を低下させ、その結果、サイクル特性が低下する。ま
た、活物質の脱落は、電池の容量を低下させる。
【0009】上記課題を解決するため、本発明は、高容
量でサイクル特性が良好なアルカリ蓄電池を構成できる
アルカリ蓄電池用正極板およびその製造方法、ならびに
それを用いたアルカリ蓄電池を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のアルカリ蓄電池用正極板は、金属からなる
導電性の支持体と前記支持体に支持され活物質を含有す
る層とを備えるアルカリ蓄電池用正極板であって、前記
層が、水酸化ニッケルを主成分とする活物質の粉末とバ
インダとを含み、前記バインダが、テトラフルオロエチ
レンとパーフルオロメチルビニルエーテルとエチレンと
の共重合体を含むことを特徴とする。この正極板では、
フッ化ビニリデン系フッ素ゴムをバインダとして用いた
場合とは異なり、電解液中でバインダが分解されること
を防止できる。そのため、活物質の脱落を防止でき、高
容量でサイクル特性が良好なアルカリ蓄電池を構成でき
る正極板が得られる。
【0011】上記正極板では、前記支持体が、金属箔を
加工することによって形成された支持体であってもよ
い。この構成によれば、活物質が特に脱落しにくい正極
板が得られるとともに、正極板の集電性が向上する。
【0012】上記正極板では、前記層が、前記粉末と前
記バインダとを重量比で100:A(ただし、1.0≦
A≦3.0)の割合で含んでもよい。
【0013】上記正極板では、前記共重合体のガラス転
移温度が−10℃以下であってもよい。この構成によれ
ば、低温でもバインダの柔軟性が高いため、活物質の脱
落を特に防止できる。
【0014】また、本発明のアルカリ蓄電池用正極板の
製造方法は、アルカリ蓄電池に用いられるアルカリ蓄電
池用正極板の製造方法であって、(i)水酸化ニッケル
を主成分とする活物質の粉末とバインダと水とを含むペ
ーストを作製する工程と、(ii)前記ペーストを金属か
らなる導電性の支持体に塗布することによってシートを
形成したのち、前記シートを乾燥および圧延する工程と
を含み、前記バインダが、テトラフルオロエチレンとパ
ーフルオロメチルビニルエーテルとエチレンとの共重合
体を含むことを特徴とする。この製造方法によれば、本
発明の正極板を容易に製造できる。
【0015】上記製造方法では、前記支持体が、金属箔
を加工することによって形成された支持体であってもよ
い。
【0016】上記製造方法では、前記(i)の工程にお
いて、前記バインダの水分散ディスパージョンまたは平
均粒径が5μm以下の粉末を用いて前記ペーストを作製
してもよい。水分散ディスパージョンを用いることによ
って、樹脂の比表面積が向上し、優れた結着力が得られ
る。
【0017】上記製造方法では、前記ペーストの含水率
が、17質量%〜25質量%の範囲内であってもよい。
【0018】上記製造方法では、前記(ii)の工程にお
いて、80℃〜120℃の範囲内の温度で前記シートの
乾燥を行ってもよい。
【0019】上記製造方法では、前記共重合体のガラス
転移温度が−10℃以下であってもよい。
【0020】また、本発明のアルカリ蓄電池は、正極と
負極とセパレータと電解液とを備えるアルカリ蓄電池で
あって、前記正極が上記本発明のアルカリ蓄電池用正極
板であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形
態は一例であり本発明は以下の実施の形態に限定されな
い。
【0022】(実施形態1)実施形態1では、本発明の
アルカリ蓄電池用正極板について一例を説明する。実施
形態1の正極板10について一部断面図を図1に模式的
に示す。
【0023】図1を参照して、正極板10は、導電性の
支持体11と支持体11に支持された層12とを備え
る。
【0024】支持体11は、導電性の金属からなり、た
とえば、ニッケルや、ニッケルメッキされた鉄からな
る。支持体11には、金属箔を加工したものを用いるこ
とができる。たとえば、パンチングメタルや、3次元の
構造を有するように加工された加工箔を用いることがで
きる。具体的には、金属箔の両面からニードルで貫通孔
を形成することによって、両面に突起を形成した加工箔
を用いることができる。このような加工箔を用いること
によって、層12の脱落を特に防止できる。
【0025】層12は、活物質の粉末とバインダとを含
有する。また、層12は、さらに、コバルト化合物など
の導電剤や、カルボキシメチルセルロース(CMC)な
どの増粘剤、消泡剤などを含んでもよい。活物質の粉末
には、水酸化ニッケルを主成分とする粉末を用いること
ができ、具体的には、水酸化ニッケルにコバルトや亜鉛
といった元素を固溶させた固溶体の粉末を用いることが
できる。
【0026】層12に含まれるバインダには、テトラフ
ルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルと
エチレンとの共重合体を用いることができる。このよう
なバインダは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ
メチルビニルエーテルとエチレンとを共重合させること
によって得られる。具体的には、たとえば、デュポン・
ダウ・エラストマー社製のバイトンETPエクストリー
ムを用いることができる。バイトンETPエクストリー
ムは、エチレンの共重合量が10%、フッ素含有量が6
7%以下のフッ素ゴムである。バインダは、ガラス転移
温度が−10℃以下であることが好ましい。
【0027】層12は、活物質の粉末とバインダとを重
量比で100:A(ただし、1.0≦A≦3.0であ
り、好ましくは、2≦A≦3)の割合で含んでもよい。
【0028】(実施形態2)実施形態2では、アルカリ
蓄電池用の正極板を製造するための本発明の方法につい
て説明する。
【0029】実施形態2の製造方法では、まず、水酸化
ニッケルを主成分とする活物質の粉末とバインダと水と
を含むペーストを作製する(工程(i))。活物質の粉
末およびバインダには、それぞれ、実施形態1で説明し
た粉末およびバインダを用いることができる。ペースト
は、活物質の粉末およびバインダの他に、さらにコバル
ト化合物などの導電剤や、CMCなどの増粘剤、消泡剤
などを含んでもよい。ペーストは、活物質の粉末とバイ
ンダと水とを含む混合物を混練することによって作製で
きる。ペーストの含水率は、17質量%〜25質量%の
範囲内であることが好ましい。混合物の混練は、プラネ
タリーミキサやディスパーなどを用いて行うことができ
る。なお、工程(i)においては、バインダの水分散デ
ィスパージョンまたは平均粒径が5μm以下の粉末を用
いてペーストを作製することができる。
【0030】次に、工程(i)で作製したペーストを、
導電性の金属からなる支持体に塗布することによってシ
ートを形成したのち、そのシートを乾燥および圧延する
(工程(ii))。導電性の支持体には、実施形態1で説
明した支持体を用いることができる。ペーストの塗布
は、たとえば、ドクターブレード法やダイコート法によ
って行うことができる。シートの乾燥は、80℃〜12
0℃の範囲内の温度で行うことが好ましい。圧延は、た
とえば、ローラプレス機を用いて行うことができる。
【0031】上記工程によって、本発明の正極板が得ら
れる。なお、本発明の製造方法は、工程(ii)によって
得られた正極板をさらに切断したり、これにリードを接
続したりする工程をさらに含んでもよい。実施形態2の
製造方法によれば、実施形態1の正極板10を容易に製
造できる。
【0032】(実施形態3)実施形態3では、本発明の
アルカリ蓄電池について説明する。実施形態3のアルカ
リ蓄電池20について、一部分解斜視図を図2に示す。
【0033】図2を参照して、アルカリ蓄電池20は、
ケース21と、ケース21内に封入された正極板22、
負極板23、電解液(図示せず)、および正極板22と
負極板23との間に配置されたセパレータ24と、安全
弁を備える封口板25とを含む。
【0034】正極板22には、実施形態1で説明した正
極板または実施形態2の製造方法で製造される正極板を
用いることができる。ケース21、負極板23、電解
液、セパレータ24、および封口板25には、アルカリ
蓄電池に一般的に用いられるものを使用できる。具体的
には、たとえば、負極板23には、水素吸蔵合金を主体
とする負極板や、カドミウムを主体とする負極板を用い
ることができる。セパレータ24には、スルホン化処理
などの親水化処理を施したポリプロピレン不織布やポリ
エチレン不織布を用いることができる。電解液には、水
酸化カリウムを主な溶質とする電解液を用いることがで
きる。
【0035】実施形態3のアルカリ蓄電池20は、本発
明の正極板を用いているため、高容量でサイクル特性が
良好である。なお、図2に示したアルカリ蓄電池は一例
であり、本発明の正極板を用いるアルカリ蓄電池であれ
ば、どのような形態のアルカリ蓄電池であってもよい。
【0036】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0037】(実施例1)実施例1では、本発明の正極
板を作製した一例について説明する。
【0038】活物質の粉末は、以下の方法によって作製
した。まず、硫酸ニッケルを主な溶質とし、硫酸コバル
トおよび硫酸亜鉛を所定量だけ溶解させた水溶液に、ア
ンモニア水で水溶液のpHを調整しながら水酸化ナトリ
ウムを徐々に滴下し、球状の粒子を析出させた。この粒
子は、コバルトおよび亜鉛が固溶した水酸化ニッケルか
らなるものであった。この粒子を水洗および乾燥するこ
とによって、活物質の粉末を得た。この粉末をレーザー
回折式粒度計で測定したところ、平均粒径は10μmで
あった。また、この粉末をBET法によって評価したと
ころ、比表面積は12m2/gであった。
【0039】導電剤である水酸化コバルトの粉末は、以
下の方法によって作製した。まず、水酸化ナトリウムの
水溶液中に、水溶液が温度が35℃でpHが12を維持
するように調整しながら、1mol/Lの濃度の硫酸コ
バルト水溶液を徐々に加えて攪拌し、水酸化コバルト
(β型)の粒子を析出させた。この粒子を水洗および乾
燥することによって、水酸化コバルトの粉末を得た。こ
の粉末をSEMで観察した結果、平均粒径は0.2μm
であった。また、この粉末をBET法によって評価した
ところ、比表面積は25m2/gであった。
【0040】次に、上記粉末を用いてペーストを作製し
た。実施例1では、バインダにとして、デュポン・ダウ
・エラストマー社製のバイトンETPエクストリーム
(以下、バイトンETPという場合がある)を用いた。
まず、活物質の粉末100質量部(重量部)と水酸化コ
バルトの粉末10質量部とを、練合機によって十分に混
合した。続いて、攪拌を続けながら、CMCの水溶液
(CMC濃度:1質量%)を、混合機内に徐々に滴下し
ていき、さらに平均粒径が3μm以下のバイトンETP
の粉末を加えて混合し、ペーストを得た。このとき、ペ
ーストの含水率が18質量%となるように、且つ、活物
質の粉末とバイトンETPとの質量比が100:3にな
るように、混合を行った。なお、バイトンETPの粉末
化については、株式会社セイシン企業製のインペラーミ
ルを用いて行った。具体的には、まず、バイトンETP
を微粉化したのち、微粉末を分級することによって目的
とする粒度分布の粉末を得た。
【0041】次に、上記ペーストを導電性の支持体に塗
布してシート状にした。支持体には、厚さ25μmのニ
ッケル箔を加工したものを用いた。具体的には、ニッケ
ル箔の両面からニードルを用いて方形の貫通孔を形成す
ることによって、ニッケル箔の両面に錐状の突起を形成
した。これによって、開口率が50%で突起を含む厚さ
が350μmの支持体を形成した。
【0042】次に、上記シートを120℃の熱風で10
分間乾燥させた。その後、このシートをロールプレス機
を用いて厚さが400μmになるように圧延した。この
ようにして得られたシートを切断し、集電タブを接続す
ることによって、本発明の正極板(以後、正極板Aとい
う)を作製した。
【0043】(比較例1)比較例1では、バインダの材
料のみが実施例1とは異なる正極板(以後、正極板Bと
いう)を作製した。比較例1では、バインダとして、ポ
リテトラフルオロポリエチレン(旭硝子株式会社製:A
D936)を用いた。
【0044】(比較例2)比較例2では、バインダの材
料のみが実施例1とは異なる正極板(以後、正極板Cと
いう)を作製した。比較例2では、バインダとして、フ
ッ化ビニリデンを含むモノマを共重合させて得られるフ
ッ素ゴム(ダイキン株式会社製:ダイエル)を用いた。
【0045】(実施例3)実施例3では、上述した正極
板A、B、およびCを用いて、AAAサイズで公称容量
900mAh(1C=900mA)のニッケル・水素蓄
電池を作製した。以後、正極板A、B、およびCを用い
たこれらの電池を、それぞれ電池A、B、およびCとい
う。AAAサイズの一般的な公称容量は700mAhで
あり、電池A、B、およびCは、高容量の電池である。
電池A、B、およびCの負極には、水素吸蔵合金を主体
とする負極板を用いた。セパレータには、親水化処理を
施したポリプロピレン不織布を用いた。電解液には、主
な溶質として8Nの水酸化カリウムを含む電解液を用い
た。
【0046】それぞれの電池は、組み立て後に、0.1
C(90mA)の充電レートで15時間充電し、0.2
Cの放電レートで4時間充電する充放電サイクルを2サ
イクル行った。その後、45℃の環境下に3日間放置す
ることによって負極合金を活性化した。
【0047】このようにして活性化した電池について、
電池の放電容量を測定することによって正極の利用率を
評価した。放電容量は、0.2Cの充電レートで7.5
時間電池を充電したのち、30分放置し、その後一定の
放電レートで電池電圧が0.8Vになるまで放電するこ
とによって測定した。放電レートは、0.2C、1C、
または2Cとした。正極の利用率は、利用率(%)=
(放電容量の測定値)*100/(正極の理論容量)で
求められる。ここで、正極の理論容量とは、活物質中の
水酸化ニッケルの質量に、水酸化ニッケルが1電子反応
をするとしたときの電気容量(289mAh/g)を乗
じた値である。利用率の評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示すように、本発明の正極板Aを用
いた電池Aの利用率は、比較例の電池BおよびCと比べ
て高い水準にあった。電池Bに比べて電池Aの利用率が
高いのは、正極板Bよりも正極板Aの方が、バインダの
柔軟性および結着性が高く、電池構成時の活物質の脱落
が抑制され、見かけ上の利用率が向上したためであると
考えられる。また、電池Cの利用率が低いのは、フッ化
ビニリデンを含むモノマの共重合体をバインダとして用
いていることにより、電解液中でバインダが分解して電
解液が正極板に取り込まれたためであると考えられる。
【0050】また、上記電池A、BおよびCについて、
充放電サイクル特性を測定した結果を図3に示す。な
お、充放電サイクルは、1Cの充電レートで−ΔV(Δ
V=0.01V)制御方式で充電した後、1Cの放電レ
ートで電池電圧が0.8Vになるまで放電する充放電を
1サイクルとした。
【0051】ここで、図3の縦軸の容量維持率は、容量
維持率(%)=(各サイクルにおける放電容量)*10
0/(初期充放電時の放電容量)で表される値である。
放電容量には、1Cの充電レートで−ΔV(ΔV=0.
01V)制御方式で充電した後、1C放電レートで電池
電圧が0.8Vになるまで放電したときの値を用いた。
【0052】図3に示すように、本発明の正極板Aを用
いた電池Aは、比較例の電池Cに比べて容量維持率が高
かった。電池Cは、フッ化ビニリデン含むモノマを共重
合して得られるフッ素ゴムをバインダとして含むため、
バインダの分解によって電解液が正極中に取り込まれサ
イクル特性が低下したものと考えられる。
【0053】(実施例4)実施例4では、活物質の粉末
とバイトンETPとの質量比を変えることを除いて、実
施例1と同様の方法で正極板を作製した。具体的には、
活物質の粉末100質量部(重量部)に対して、加える
バイトンETPの量を、0.5質量部、1.0質量部、
3.0質量部、および5.0質量部に変化させた。そし
て、得られた正極板を用いて、実施例4と同様の方法で
電池を作製し、実施例4と同様に正極の利用率を測定し
た。得られた結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】表2から明らかなように、水酸化ニッケル
を主成分とする活物質の粉末100質量部に対するバイ
トンETPの添加量は、1.0質量部〜3.0質量部の
範囲内であることが好ましい。バイトンETPの量を
1.0質量部以上とすることによって、金属支持体の表
面と活物質粉末とを十分な結合力で結合でき、集電を良
好に行うことができる。また、バイトンETPの量を
3.0質量部以下とすることによって、活物質間の接触
が阻害されることを防止でき、良好な放電特性が得られ
る。
【0056】(実施例5)実施例5では、活物質を含有
するペーストの含水率が異なることを除いて実施例1と
同様に正極板を作製した。さらに、この正極板を用い
て、実施例4と同様の方法で電池を作製し、実施例4と
同様に正極の利用率を測定した。得られた結果を表3に
示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3から明らかなように、ペーストの含水
率は、17質量%〜25質量%の範囲内であることが好
ましい。含水率をこの範囲内とすることによって、活物
質の粉末とバイトンETPとを均一に混合することがで
きる。そのため、少量のバイトンETPの添加で、金属
支持体と活物質粉末とを十分な結合力で結合できる。
【0059】(実施例6)実施例6では、シートの乾燥
温度が異なることを除いて実施例1と同様の方法で正極
板を作製した。さらに、この正極板を用いて、実施例4
と同様の方法で電池を作製し、実施例4と同様に正極の
利用率を測定した。得られた結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】表4から明らかなように、乾燥温度を80
℃〜120℃の範囲内とすることが好ましい。これは、
乾燥温度をこの範囲内とすることによって、水酸化ニッ
ケルの酸化を防止できるとともに、バインダの偏在を防
止できるためであると考えられる。
【0062】以上、本発明の実施の形態について例を挙
げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定され
ず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用する
ことができる。
【0063】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のアルカ
リ蓄電池用正極板およびその製造方法によれば、高容量
でサイクル特性が良好なアルカリ蓄電池を構成できるア
ルカリ蓄電池用正極板が得られる。特に、この製造方法
によれば、取り扱いが容易な活物質ペーストを用いるこ
とができるため、正極板を容易かつ安価に製造できる。
【0064】また、本発明のアルカリ蓄電池は、本発明
のアルカリ蓄電池用正極板を用いているため、高容量で
サイクル特性が良好である。特に、高容量化を図った場
合であっても、高い正極利用率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアルカリ蓄電池用正極板について一
例を示す断面図である。
【図2】 本発明のアルカリ蓄電池について一例を示す
一部分解斜視図である。
【図3】 本発明および比較例のアルカリ蓄電池につい
て、サイクル数と容量維持率との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10、22 正極板 11 支持体 12 層 20 アルカリ蓄電池 21 ケース 23 負極板 24 セパレータ 25 封口板
フロントページの続き (72)発明者 尾崎 祐介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H017 AA02 AS02 AS10 BB12 CC01 CC05 DD01 5H028 AA05 BB03 BB04 BB05 BB06 BB15 CC07 CC12 EE06 FF04 HH00 HH01 HH05 HH08 5H050 AA07 AA08 BA11 CA03 CB16 DA02 DA04 DA11 EA23 EA24 EA28 FA15 FA18 GA02 GA03 GA04 GA08 GA10 GA27 HA00 HA02 HA05 HA14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属からなる導電性の支持体と前記支持
    体に支持され活物質を含有する層とを備えるアルカリ蓄
    電池用正極板であって、 前記層が、水酸化ニッケルを主成分とする活物質の粉末
    とバインダとを含み、 前記バインダが、テトラフルオロエチレンとパーフルオ
    ロメチルビニルエーテルとエチレンとの共重合体を含む
    ことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極板。
  2. 【請求項2】 前記支持体が、金属箔を加工することに
    よって形成された支持体である請求項1に記載のアルカ
    リ蓄電池用正極板。
  3. 【請求項3】 前記層が、前記粉末と前記バインダとを
    重量比で100:A(ただし、1.0≦A≦3.0)の
    割合で含む請求項1または2に記載のアルカリ蓄電池用
    正極板。
  4. 【請求項4】 前記共重合体のガラス転移温度が−10
    ℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ
    蓄電池用正極板。
  5. 【請求項5】 アルカリ蓄電池に用いられるアルカリ蓄
    電池用正極板の製造方法であって、 (i)水酸化ニッケルを主成分とする活物質の粉末とバ
    インダと水とを含むペーストを作製する工程と、 (ii)前記ペーストを金属からなる導電性の支持体に塗
    布することによってシートを形成したのち、前記シート
    を乾燥および圧延する工程とを含み、 前記バインダが、テトラフルオロエチレンとパーフルオ
    ロメチルビニルエーテルとエチレンとの共重合体を含む
    ことを特徴とするアルカリ蓄電池用正極板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記支持体が、金属箔を加工することに
    よって形成された支持体である請求項5に記載のアルカ
    リ蓄電池用正極板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記(i)の工程において、前記バイン
    ダの水分散ディスパージョンまたは平均粒径が5μm以
    下の粉末を用いて前記ペーストを作製する請求項5また
    は6に記載のアルカリ蓄電池用正極板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ペーストの含水率が、17質量%〜
    25質量%の範囲内である請求項5〜7のいずれかに記
    載のアルカリ蓄電池用正極板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記(ii)の工程において、80℃〜1
    20℃の範囲内の温度で前記シートの乾燥を行う請求項
    5〜8のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用正極板の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記共重合体のガラス転移温度が−1
    0℃以下である請求項5〜9のいずれかに記載のアルカ
    リ蓄電池用正極板の製造方法。
  11. 【請求項11】 正極と負極とセパレータと電解液とを
    備えるアルカリ蓄電池であって、 前記正極が請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリ蓄
    電池用正極板であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
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JP2004355967A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd アルカリ蓄電池用正極およびその製造方法、並びにその正極を含むアルカリ蓄電池
US8062790B2 (en) 2006-03-21 2011-11-22 Saft Plasticized electrode for an alkaline battery

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