JP2003028286A - トロイダル式無段変速機 - Google Patents

トロイダル式無段変速機

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JP2003028286A
JP2003028286A JP2001215036A JP2001215036A JP2003028286A JP 2003028286 A JP2003028286 A JP 2003028286A JP 2001215036 A JP2001215036 A JP 2001215036A JP 2001215036 A JP2001215036 A JP 2001215036A JP 2003028286 A JP2003028286 A JP 2003028286A
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variable transmission
clutch
vehicle
clutch means
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JP2001215036A
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Kazuhiko Ueda
和彦 上田
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Mazda Motor Corp
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンと無段変速機構との間の動力伝達を
接断する始動クラッチを備えたトロイダル式無段変速機
の円滑な発進を実現することを課題とする。 【解決手段】 レンジが非走行レンジにあるとき、又は
走行レンジにあるときで車速がゼロ、ブレーキON、ア
クセルOFFのときに車両が停車状態にあると判断して
無段変速機構20,20をクリープ力が生成する発進時
変速比に制御した後、始動クラッチ70を解放する。車
両の停車中はエンジン1と無段変速機構20,20との
間の動力伝達を接断する始動クラッチ70を解放するか
ら、無段変速機構20,20を含めた駆動輪側のイナー
シャがエンジン1に作用せず燃費性能が向上する。たと
え車速が急激に低下し、目標変速比が急激に変化し、車
両が急停車したような場合でも、発進時変速比を確実に
生成できるから、次の発進時に始動クラッチ70を締結
したときに該発進時変速比で良好に発進する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトロイダル式無段変
速機、より詳しくは、エンジンと無段変速機構との間の
動力伝達が接断可能に構成されたトロイダル式無段変速
機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両への実用化が進む無段変速機
として、例えば特開2000−104804号公報に
は、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に、入出
力ディスクとパワーローラとを備える周知のトロイダル
式無段変速機構を配置すると共に、この無段変速機構と
エンジンとの間に動力伝達を接断する始動クラッチを設
けたものが開示されている。この無段変速機において
は、始動クラッチを解放すれば、エンジンが無段変速機
構から切り離されるから、エンジンに作用するイナーシ
ャが軽減して始動性が向上する。一方、走行中は、始動
クラッチを締結状態とし、エンジンからの動力を無段変
速機構を経由させて駆動輪に伝達させる。そして、この
状態で車速やスロットル開度等の走行状態に応じて設定
される目標変速比に無段変速機構の変速比を制御する。
【0003】前述のように始動クラッチを解放すればエ
ンジンに作用するイナーシャが軽減するから、始動時の
みならず、エンジンの運転中においても、例えば信号待
ちや渋滞中あるいは一時駐車等で車両が停車していると
きに始動クラッチを解放して燃費性能の向上を図ること
が考えられる。しかし車両が停車状態にあればいつでも
始動クラッチを解放してよいわけではない。すなわち、
停車中の車両が次に発進するときは、始動クラッチをつ
ないでエンジンからの動力を無段変速機構に入力するこ
とになるが、そのときの変速比は予め決められた発進時
変速比でなければならない。
【0004】発進時変速比としては、例えばギヤードニ
ュートラルを実現させる変速比(GN変速比)近傍の変
速比が好ましく採用される。発進時変速比としてGN変
速比を採用した場合は、始動クラッチをつないでも駆動
輪は回転せず車両は動き出さない。そして変速比をGN
変速比から少しづつ変化させることにより車両が前進又
は後進し始める。また、発進時変速比としてGN変速比
から少しずれた変速比を採用した場合には、始動クラッ
チをつないだときにトルクコンバータ搭載車のようなク
リープ力が発生し、アクセルペダルを踏み込まなくても
車両は動き出す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】車速が比較的緩やかに
低下していって車両が停車した場合は、目標変速比も無
段変速機構の変速比(実変速比)も滑らかに推移してい
き、最終的に発進時変速比に到達している。よって、こ
の場合は、車両が停車した段階で始動クラッチを解放し
てよい。次の発進時に始動クラッチをつないだときに車
両は上記発進時変速比で支障なく発進する。
【0006】ところが、急ブレーキやパニックブレーキ
等で車速が急激に低下して車両が停車した場合は、無段
変速機構の機械的な変速動作が目標変速比の急変に追い
つかず、車両がすでに停車状態にあると判断されても、
パワーローラがまだ傾転中であったりする。あるいは運
転状態の急変によりパワーローラの姿勢ないし傾転角が
大きく崩れたりする。このような場合に、例えば車速か
ら車両の停車を判断し、始動クラッチを解放すると、無
段変速機構の実変速比が発進時変速比まで至らずに、あ
るいは一致せずに終わる可能性がある。なぜならば、始
動クラッチを解放した時点で、無段変速機構にエンジン
側からの回転が入力されなくなり、無段変速機構の正確
な変速比制御が行なえなくなるからである。その結果、
次の発進時に始動クラッチをつないだときには、停車時
のまま発進時変速比からずれた変速比が生成されて発進
が円滑に行なえない。
【0007】本発明は、上記のような不具合に対処する
もので、エンジンと無段変速機構との間の動力伝達を接
断するクラッチ手段を備え、該クラッチ手段を車両の停
車中は解放するようにした無段変速機において、たとえ
車両が急停車したような場合でも、次の発進時には確実
に所定の発進時変速比で良好に発進できるようにするこ
とを課題とする。以下、その他の課題を含め、本発明を
詳しく説明する。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記課題を解
決するため、本願の請求項1に記載の発明は、エンジン
からの動力が無段変速機構を経由して駆動輪に伝達され
るように構成されたトロイダル式無段変速機であって、
エンジンと無段変速機構との間の動力伝達を接断するク
ラッチ手段と、車両が走行状態又は停車状態にあること
を検出する車両状態検出手段と、車両が走行状態にある
ときは、上記クラッチ手段を締結したうえで上記無段変
速機構を該走行状態に応じて設定される所定の変速比に
制御する一方、車両が停車状態にあるときには、上記無
段変速機構を車両発進時の所定の変速比に制御したうえ
で上記クラッチ手段を解放する制御手段とを有すること
を特徴とする。
【0009】この発明によれば、車両が停車状態にある
ことが検出されたときには、たとえ運転中であっても、
エンジンと無段変速機構との間の動力伝達を接断するク
ラッチ手段を解放するから、無段変速機構より駆動輪側
の重量物がエンジンに掛からなくなり、その分、燃費性
能の向上を図ることができる。
【0010】加えて、この発明によれば、上記クラッチ
手段を解放する前に、換言すれば、変速比を正確に制御
することが可能であるうちに、無段変速機構を所定の発
進時変速比に制御するから、たとえ運転状態が急変し、
車速が急激に低下し、目標変速比が急激に変化し、車両
が急停車したような場合でも、上記手順に従う限り、発
進時変速比が確実に生成され、次の発進時にクラッチ手
段を締結したときには、上記発進時変速比での良好な発
進が担保される。
【0011】次に、請求項2に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明において、制御手段は、低油温時はク
ラッチ手段の解放を規制することを特徴とする。
【0012】この発明によれば、無段変速機構の機械的
な変速動作が改善される。つまり、クラッチ手段を解放
すると、エンジンからの動力が無段変速機構に入力され
なくなるから、該機構が暖機されず、作動油の応答性向
上が阻害される。よって、低油温時は、クラッチ手段の
解放を規制することにより、無段変速機構の暖機を図
り、もって変速制御の応答遅れを抑制するようにしたの
である。
【0013】次に、請求項3に記載の発明は、上記請求
項2に記載の発明において、制御手段は、クラッチ手段
の解放規制により油温が高くなったときはクラッチ手段
の解放を許可し、クラッチ手段の解放許可により油温が
低くなったときはクラッチ手段を締結することを特徴と
する。
【0014】この発明によれば、状況に応じて無段変速
機構の暖機が行われるから、変速制御の応答遅れの抑制
と、燃費性能の向上とが合理的に両立する。つまり、無
段変速機構の暖機を目的としてクラッチ手段の解放を規
制した結果、油温が高くなれば目的が達成されたわけで
あるから、今度は当初の燃費性能の向上を目的としてク
ラッチ手段の解放を許可する。しかしその結果、油温が
また低くなれば再び無段変速機構の暖機を目的としてク
ラッチ手段を再締結する。つまり、作動油の応答性を確
保するのに必要最低限の時間だけクラッチ手段を締結状
態とするのである。
【0015】次に、請求項4に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明において、制御手段は、パーキングレ
ンジが第1の所定時間以上継続して選択されていると
き、又はニュートラルレンジが上記第1の所定時間より
長い第2の所定時間以上継続して選択されているときに
クラッチ手段を解放することを特徴とする。
【0016】この発明によれば、過度に鋭敏にクラッチ
手段を解放することを防止することができる。つまり、
PレンジやNレンジ等の非走行レンジが長時間継続して
選択されていることをクラッチ手段の解放許可条件とし
たから、まずDレンジやRレンジ等の走行レンジが選択
されている状況ではクラッチ手段は解放されない。これ
は、レンジが走行レンジにあるということは短時間のう
ちに車両が再び発進すると解されるからである。
【0017】クラッチ手段を解放すると発進時には再び
該クラッチ手段を締結しなければならず、その分、発進
応答性が低下する。レンジが走行レンジのままであり、
運転者が長時間継続して停車する意志を有していないと
きに、再発進時にそのような発進応答性の低下があると
違和感が大きくなる。これに対し、レンジを非走行レン
ジに入れ、長時間継続して停車した後の再発進時にその
ような発進応答性の低下があっても違和感はそれほど大
きくない。
【0018】加えて、単なるシフトレバーのレンジ切換
操作でいちいちクラッチ手段が解放されることが避けら
れる。つまり、DレンジとRレンジの切換時にはシフト
レバーがその間にあるNレンジを通過する。これを誤っ
てNレンジが選択されたものと判断し、その都度クラッ
チ手段を解放することのないようにしたのである。ここ
で、通常、レンジの列の一番端にあるPレンジも考慮に
入れたのは、規制ボタンを押したままシフトレバーを揺
動したときに、勢い余ってレバーがPレンジに入ってし
まう場合があるからである。ただし、シフトレバーが誤
ってPレンジに入る頻度よりも、シフトレバーがNレン
ジを通過する頻度のほうが大きい。よって、Nレンジ滞
在判定時間(第2の所定時間)をPレンジ滞在判定時間
(第1の所定時間)よりも長くして、いずれにおいて
も、クラッチ手段が早まって解放されることが確実に回
避されるようにしたのである。
【0019】次に、請求項5に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明において、エンジン始動時はクラッチ
手段を解放し、エンジン始動後にクラッチ手段を締結す
る始動時クラッチ制御手段を有することを特徴とする。
【0020】この発明によれば、前述したように、エン
ジンが無段変速機構より駆動輪側の重量物を引きずらな
くて済むから始動性が向上する。
【0021】次に、請求項6に記載の発明は、エンジン
からの動力が無段変速機構を経由して駆動輪に伝達され
るように構成されたトロイダル式無段変速機であって、
エンジンと無段変速機構との間の動力伝達を接断する第
1のクラッチ手段と、無段変速機構と駆動輪との間の動
力伝達を接断する第2のクラッチ手段と、運転者の停車
意志又は発進意志を検出する運転者意志検出手段と、運
転者の停車意志が検出されたときは、上記第2のクラッ
チ手段を解放した後、上記無段変速機構を車両発進時の
所定の変速比に制御したうえで上記第1のクラッチ手段
を解放する一方、運転者の発進意志が検出されたときに
は、上記第1のクラッチ手段を締結した後、上記第2の
クラッチ手段を締結したうえで上記無段変速機構を走行
状態に応じて設定される所定の変速比に制御する制御手
段とを有することを特徴とする。
【0022】この発明によれば、無段変速機構と駆動輪
との間の動力伝達を接断する第2のクラッチ手段がさら
に備えられている。この第2のクラッチ手段は、例えば
締結することにより低速走行用又は高速走行用の動力伝
達モードを達成するロークラッチやハイクラッチ等であ
る。
【0023】この場合、運転者が停車の操作をしたと
き、つまり走行状態から停車状態への移行時には、先ず
第2クラッチ手段を切った後、発進時変速比への制御と
第1クラッチ手段の解放とを行なう。第2クラッチ手段
をつないだままで発進時変速比への制御を行なうと、車
両は該変速比で走行することになり、違和感が生じ、走
行フィーリングが低下する。これに対し、無段変速機構
と駆動輪との間の動力伝達を遮断した状態であれば、実
際の走行に影響を及ぼすことなく変速比を自由に変化さ
せることができる。
【0024】また、運転者が発進の操作をしたとき、つ
まり停車状態から走行状態への移行時には、第1クラッ
チ手段、第2クラッチ手段の順につないでいく。これに
より、第1クラッチ手段の締結時には、まだ無段変速機
構と駆動輪との間の動力伝達が遮断されているから、イ
ナーシャが低減して締結動作自体が行ない易くなる。加
えて、たとえ車両が停車中であっても、エンジンストー
ルを起こすことなく第1クラッチ手段を完全締結するこ
とが可能になる。以下、発明の実施の形態を通して、本
発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
【発明の実施の形態】[機械的構成]図1に示すよう
に、本実施の形態に係るトロイダル式無段変速機10
は、エンジン1の出力軸2にトーショナルダンパ3を介
して連結された車両の横方向に延びる入力軸11と、こ
の入力軸11の外側に遊嵌合された中空軸12と、これ
らの軸11,12に平行に配置された出力軸13及び中
間軸14とを有する。入力軸11及び中空軸12に2つ
のトロイダル式無段変速機構20,20及びローディン
グカム30が配設され、出力軸13に遊星歯車機構4
0、第2のクラッチ手段、すなわちロークラッチ50及
びハイクラッチ60が配設され、中間軸14に第1のク
ラッチ手段、すなわち始動クラッチ70が配設されてい
る。
【0026】無段変速機構20はいずれも対向面がトロ
イダル面である入力ディスク21及び出力ディスク22
を有し、これらのディスク21,22間に動力を伝達す
るパワーローラー23が2つづつ介設されている。入力
ディスク21は中空軸12の端部に結合され、出力ディ
スク22は中空軸12の中間部に回転自在に支持されて
いる。
【0027】入力軸11に結合された第1ギヤ列80の
第1ギヤ81と、中間軸14に回転自在に支持された第
2ギヤ82とが噛合している。中空軸12に回転自在に
支持され、ローディングカム30に結合された第2ギヤ
列90の第1ギヤ91と、中間軸14に回転自在に支持
された第2ギヤ92と、出力軸13に回転自在に支持さ
れた第3ギヤ93とが噛合している。出力ディスク2
2,22の外周に結合された第3ギヤ列100の第1ギ
ヤ101と、出力軸13に回転自在に支持された第2ギ
ヤ102とが噛合している。
【0028】ロークラッチ50は第2ギヤ列90の第3
ギヤ93と遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ41と
の間に介設されている。ハイクラッチ60は第3ギヤ列
100の第2ギヤ102と出力軸13との間に介設され
ている。始動クラッチ70は中間軸14上の2つのギヤ
82,92の間に介設されている。遊星歯車機構40の
サンギヤ42と第3ギヤ列100の第2ギヤ102とが
結合され、リングギヤ43と出力軸13とが結合されて
いる。
【0029】出力軸13の端部に出力ギヤ列110の第
1ギヤ111が結合され、2つのアイドルギヤ112,
113を介してディファレンシャル装置120に設けら
れた第2ギヤ114と連結している。ディファレンシャ
ル装置120から左右に延びる駆動軸4,5に図示しな
い左右の駆動輪が設けられている。入力軸11とオイル
ポンプ130との間にオイルポンプ駆動用のギヤ13
1,132及びスプロケット133が配設されている。
【0030】[動力伝達モード]この無段変速機10に
おいて、第1のクラッチ手段70と、第2のクラッチ手
段50又は60とを締結すると、エンジン1と駆動輪と
の間の動力伝達経路が完成する。例えば、始動クラッチ
70を締結し、ロークラッチ50を締結し、ハイクラッ
チ60を解放した場合には、低速走行用のローモードの
動力伝達経路が形成される。すなわち、エンジン1から
の動力は、入力軸11から第1ギヤ列80及び始動クラ
ッチ70を経由して第2ギヤ列90に至り、第2ギヤ9
2で分岐して、一方は、第3ギヤ93からロークラッチ
50を経由して遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ4
1に伝達されると同時に、他方は、第1ギヤ91からロ
ーディングカム30、無段変速機構20,20及び第3
ギヤ列100を経由して遊星歯車機構40のサンギヤ4
2に伝達される。このとき無段変速機構20,20の変
速比を所定の変速比(GN変速比)に制御すると、リン
グギヤ43及び出力軸13の回転がゼロとなってギヤー
ドニュートラル(GN)の状態が達成される。このGN
状態から無段変速機構20,20の変速比を変化させる
と、リングギヤ43及び出力軸13が前進方向または後
退方向に回転して発進する。
【0031】一方、始動クラッチ70を締結し、ローク
ラッチ50を解放し、ハイクラッチ60を締結した場合
には、高速走行用のハイモードの動力伝達経路が形成さ
れる。すなわち、エンジン1からの動力は、入力軸11
から第1ギヤ列80及び始動クラッチ70を経由して第
2ギヤ列90に至り、第2ギヤ92から第1ギヤ91、
ローディングカム30、無段変速機構20,20、第3
ギヤ列100及びハイクラッチ60を経由して出力軸1
3に伝達される。このとき無段変速機10の最終変速比
(ユニットレシオRu)を無段変速機構20,20の変
速比(トロイダルレシオRt)に直接対応させて制御す
ることができる。
【0032】これに対し、この無段変速機10におい
て、始動クラッチ70を解放すると、エンジン1は無段
変速機構20,20から切り離される。すなわち、エン
ジン1からの動力は、入力軸11から第1ギヤ列80を
経由して始動クラッチ70に至るが、該クラッチ70が
切れているから、エンジン1と無段変速機構20,20
との間の動力伝達が遮断される。よって、ロークラッチ
50又はハイクラッチ60が締結されているか否かに拘
わらず、エンジン1には無段変速機構20,20を含ん
でそれより駆動輪側の重量物が掛からず、エンジン1は
大きなイナーシャを引きずらなくて済み、始動性及び運
転中の燃費性能が向上する。
【0033】このとき無段変速機構20,20にはエン
ジン1側からの回転が入力されないから、たとえローク
ラッチ50又はハイクラッチ60が締結されていても、
つまり駆動輪側の回転が入力されていても、無段変速機
構20,20を正確に変速比制御することはできない。
【0034】[油圧制御回路]無段変速機構20,20
は油圧の給排を受けて作動する油圧作動式である。すな
わち、図2に示すように、パワーローラ23は支持部材
としてのトラニオン24に回転自在に支持されている。
トラニオン24にピストン26が組みつけられ、該ピス
トン26が例えば変速機ケースに形成されたシリンダを
増速用油圧室(増速室)27と減速用油圧室(減速室)
28とに区画する。
【0035】この無段変速機10の油圧制御回路には、
レギュレータバルブ211と、リリーフバルブ213
と、マニュアルバルブ215と、変速制御弁220とが
配設されている。レギュレータバルブ211は、オイル
ポンプ130から吐出される作動油の圧力を所定のライ
ン圧Plnに調整してメインライン201に出力する。
リリーフバルブ213は、メインライン201から供給
されるライン圧Plnを該ライン圧Plnより低い所定
のリリーフ圧Prfに調整してリリーフ圧ライン203
に出力する。ライン202から供給される一定圧を所定
の制御圧に調整して上記レギュレータバルブ211及び
リリーフバルブ213に作用させるライン圧Pln制御
用及びリリーフ圧Prf制御用リニアソレノイドバルブ
212,214が備えられている。
【0036】マニュアルバルブ215は、Dレンジでは
メインライン201をロークラッチライン204及びハ
イクラッチライン205と連通させ、Rレンジではロー
クラッチライン204のみと連通させ、Pレンジ及びN
レンジでは両クラッチライン204,205から遮断す
る。両クラッチライン204,205共、ロークラッチ
圧Plc制御用又はハイクラッチ圧Phc制御用デュー
ティソレノイドバルブ(DSV)216,218とアキ
ュムレータ217,219とを備える。メインライン2
01と始動クラッチライン241との間に始動クラッチ
圧Psc制御用デューティソレノイドバルブ(オンオフ
ソレノイドバルブでもよい)240が備えられている。
【0037】各DSV216,218,240は、デュ
ーティ値(Duty)が0%のときに全開(クラッチ5
0,60,70完全締結)、100%のときに全閉(ク
ラッチ50,60,70完全解放)となり、その間のデ
ューティ値においてクラッチ50,60,70の締結力
ないしスリップ量を増減制御する。
【0038】変速制御弁220は、例えばバルブボディ
に形成されたボア内に軸方向に移動自在に嵌合されたス
リーブ221と、該スリーブ221内に同じく軸方向に
移動自在に嵌合されたスプール222とを有する三層弁
である。変速制御弁220は、メインライン201から
供給されるライン圧Plnと、リリーフ圧ライン203
から分岐した2つのライン206,207から供給され
るリリーフ圧Prfとから、増速用油圧(増速圧)Ph
iと減速用油圧(減速圧)Ploとを生成し、それぞれ
トラニオン24の増速室27及び減速室28に至る増速
圧ライン208及び減速圧ライン209に出力する。
【0039】スリーブ221はステップモータ230に
より軸方向に移動される。図2においてスリーブ221
が右に移動すると、メインライン201と増速圧ライン
208との連通度及びリリーフ圧ライン207と減速圧
ライン209との連通度が大きくなり、増速圧Phiが
高く、減速圧Ploが低くなって、トラニオン24が下
に移動する。すると、b方向に回転するパワーローラ2
3が、入力ディスク21のa方向の回転と、出力ディス
ク22のc方向の回転とにより傾転し、入力ディスク2
1との接触位置が半径方向の外側に、出力ディスク22
との接触位置が半径方向の内側に移動して無段変速機構
20の変速比が小さくなる(増速)。
【0040】パワーローラ23の傾転によりトラニオン
24の先端部に設けられたプリセスカム25が回動し、
L字レバー29が揺動して、スプール222が右に移動
し、メインライン201と増速圧ライン208との連通
度及びリリーフ圧ライン207と減速圧ライン209と
の連通度が小さくなり、増速圧Phiが低く、減速圧P
loが高くなって、トラニオン24が元の位置に戻り、
変速が終了する。以上に準じて、スリーブ221が左に
移動すると、無段変速機構20の変速比が大きくなる
(減速)。
【0041】[制御システム]図3に示すように、この
無段変速機10のコントロールユニット300は、車速
を検出する車速センサ301、エンジン1の回転数を検
出するエンジン回転数センサ302、出力ディスク22
の回転数を検出する出力回転数センサ303、エンジン
1のスロットル開度を検出するスロットル開度センサ3
04、選択されたレンジを検出する選択レンジセンサ3
05、ロークラッチ圧Plc及びハイクラッチ圧Phc
を検出するロークラッチ圧センサ306及びハイクラッ
チ圧センサ307、アクセルペダルの解放を検出するア
イドルスイッチ308、ブレーキペダルの踏込みを検出
するブレーキスイッチ309、路面勾配を検出する勾配
センサ310、作動油の温度を検出する油温センサ31
1、ライン圧Plnを検出するライン圧センサ312等
からの信号を入力する。
【0042】コントロールユニット300は、これらの
センサやスイッチからの信号が示す車両ないしエンジン
1の運転状態に基いて、ライン圧制御用及びリリーフ圧
制御用リニアソレノイドバルブ212,214、ローク
ラッチ圧制御用及びハイクラッチ圧制御用デューティソ
レノイドバルブ216,218、変速制御用ステップモ
ータ230、始動クラッチ圧制御用デューティソレノイ
ドバルブ240等に制御信号を出力する。
【0043】[変速制御の基本動作]図4に示すよう
に、トロイダルレシオRtはステップモータ230に対
するパルス数が減少するに従って大きくなる。パルス数
はスリーブ221の位置、パワーローラ23の傾転角、
トロイダルレシオRtと対応する。図5に示すように、
ユニットレシオRuは、ハイモードHでは、トロイダル
レシオRtと同様、パルス数が減少するに従って大きく
なる。これに対し、前進ローモードLでは、パルス数が
増加するに従って符号AのようにユニットレシオRuが
大きくなり、GNで無限大となる。また、後退ローモー
ドRでは、パルス数が減少するに従って符号Bのように
ユニットレシオRuが小さくなり、GNで無限小とな
る。
【0044】符号Cで示すように、ローモードLとハイ
モードHとがモード切換変速比(ユニットレシオRu
x,トロイダルレシオRtx)で交差し、このポイント
Cでロークラッチ50とハイクラッチ60とを掛け替え
ることにより、ユニットレシオRuを急変させることな
くモードL,Hを切り換えることができる。
【0045】コントロールユニット300は、車速セン
サ301及びスロットル開度センサ304からの信号に
基づいて、現時点における車速及びスロットル開度を読
み取り、これらを図6に示す変速特性のマップにあては
めて目標エンジン回転数Neoを決定する。そして、こ
の目標エンジン回転数Neoに対応する目標ユニットレ
シオRuoが得られるように、図5に示す特性に基づい
て、ステップモータ230に対するパルス制御(変速比
制御)と、デューティソレノイドバルブ216,218
に対するロークラッチ50及びハイクラッチ60の締結
制御(モード切換制御)とを行う。
【0046】[始動時における始動クラッチ制御動作]
エンジン1の停止中は、始動クラッチ70、ロークラッ
チ50及びハイクラッチ60がいずれも解放されてい
る。コントロールユニット300は、エンジン1の始動
時は始動クラッチ70を解放したままとし、エンジン1
の始動後に始動クラッチ70を締結する。これにより、
前述したように、始動時にはエンジン1が無段変速機構
20,20を含んで駆動輪側の重量物を引きずらなくて
済むから始動性が向上する。これは請求項5に記載の制
御動作に該当する。
【0047】すなわち、図7に示すように、ステップS
1でイグニッションスイッチ(Ig.Sw)がONにな
ったと判定された時点でステップS2に進む。ステップ
S2でさらに始動クラッチ70を解放状態のままに維持
した後、ステップS3でライン圧Plnを検出する。そ
して、ステップS4でライン圧Plnが所定の圧力範囲
(P1≦Pln≦P2)に落ち着いたと判定された時点
でステップS5に進んで始動クラッチ70を締結状態と
する。
【0048】ここで、ステップS4でライン圧Plnが
所定範囲(P1〜P2)に安定に落ち着くまで始動クラ
ッチ70の締結を遅延する理由は、1つには、ライン圧
Plnの上昇によってエンジン1の始動を確認するため
である。また、2つには、ライン圧Plnが十分上昇し
て、無段変速機構20,20のトラニオン24…24
が、ライン圧Plnから生成される変速用油圧Phi,
Ploによりトルクに抗して安定に支えられることを図
るためである。
【0049】[停車状態における始動クラッチ制御動
作] 〈問題の所在〉この無段変速機10では、発進時のトロ
イダルレシオRtとして、図4に示すように、GN変速
比Rtgnから少し大きいほうにずれた変速比Rtsd
(Dレンジの場合)又は少し小さいほうにずれた変速比
Rtsr(Rレンジの場合)が採用される。これによ
り、発進時にはトルクコンバータ搭載車のようなクリー
プ力が発生し、アクセルペダルを踏み込まなくても車両
は動き出す。なお、もちろん、発進時変速比Rtとして
GN変速比Rtgnを採用してもよい。
【0050】一方、この無段変速機10では、燃費性能
の向上を図るために、エンジン1の運転中においても、
車両が停車しているときは、基本的に、始動クラッチ7
0を解放する。よって、次の発進の際の始動クラッチ7
0の締結時には、トロイダルレシオRtは上記発進時変
速比Rtsd又はRtsrに一致していなければならな
い。
【0051】この場合、車速が比較的緩やかに低下して
いって車両が停車したのであれば、図6に示す変速特性
から設定される目標変速比Ruoも、また無段変速機構
20,20の実レシオRtも、いずれも滑らかに推移し
ていって、その停車の際には上記発進時変速比Rtsd
又はRtsrがすでに実現している。ところが、パニッ
クブレーキ等で車速が急激に低下して車両が停車したよ
うなときには、無段変速機構20,20の機械的な変速
動作(変速用油圧Phi,Ploの給排、パワーローラ
23…23の傾転等)が目標変速比Ruoの急変に追い
つかず、その停車の際にはまだ実レシオRtが上記発進
時変速比Rtsd又はRtsrに到達していない可能性
が大きい。あるいは運転状態の急変に起因してパワーロ
ーラ23…23の姿勢が崩れ、実レシオRtが目標レシ
オから大きくずれている可能性が大きい。
【0052】ここで、前述したように、始動クラッチ7
0を解放すると、無段変速機構20,20にエンジン1
側からの回転が入力されなくなり、ロークラッチ50又
はハイクラッチ60が締結されているいないに拘わら
ず、トロイダルレシオRtの正確な制御ができなくなる
から、車両が停車したからといって直ちに始動クラッチ
70を解放していたのでは、結局、実トロイダルレシオ
Rtが発進時変速比Rtsd又はRtsrに至らずに、
あるいは一致せずに終わってしまうことになる。その結
果、次の発進の際の始動クラッチ70の締結時には、上
記発進時変速比Rtsd又はRtsrからずれた変速比
が生成されて円滑な発進が望めなくなる。
【0053】〈動作第1例〉そこで、車両が停車状態に
あるときには、トロイダルレシオRtを発進時変速比R
tsd又はRtsrに制御した後に、始動クラッチ70
を解放する。この手順に従う限り、たとえ運転状態が急
激に変化し、車速が急激に低下し、目標変速比Ruoが
急激に変化し、車両が急激に停車したような場合でも、
発進時変速比Rtsd又はRtsrが確実に実現し、次
の発進の際の始動クラッチ70の締結時には、上記発進
時変速比Rtsd又はRtsrでの良好な発進が担保さ
れる。これは請求項1に記載の制御動作に該当する。
【0054】すなわち、図8に示すように、ステップS
11でまず状態量を検出する。状態量には、変速比R
t,Ru、スロットル開度tvo、エンジン回転数N
e、選択レンジ、車速V、油温tmp、勾配等の他、ア
イドルスイッチ308及びブレーキスイッチ309の作
動状態が含まれる。
【0055】ステップS12で車両が走行状態にあるか
停車状態にあるかを判定する。例えばPレンジやNレン
ジ等の非走行レンジが選択されているときは、車両が多
少動いていても停車状態であると判定する。これに対
し、DレンジやRレンジ等の走行レンジが選択されてい
るときには、車速がゼロであり、且つアイドルスイッチ
308及びブレーキスイッチ309の両方がONである
ときに停車状態であると判定する。その結果、走行状態
にあるときは、ステップS13に進んで変速比を走行状
態に応じて制御する。つまり図6に示す変速特性に基い
て通常の変速制御を行なう。一方、停車状態にあるとき
には、ステップS14に進む。
【0056】ステップS14では始動クラッチ70がO
FFか否かを判定する。その結果、OFFのときはその
ままリターンする。一方、ONのときはステップS15
で変速比が発進時変速比Rtsd又はRtsrか否かを
判定する。その結果、NOのときはステップS16で変
速比を該発進時変速比Rtsd又はRtsrに制御す
る。そして、YESになれば始動クラッチ70をOFF
にする。
【0057】これにより、ステップS12で車両の停車
状態が検出されると、まずステップS16で変速比Rt
が発進時変速比Rtsd又はRtsrに制御される。そ
して該発進時変速比Rtsd又はRtsrが達成された
段階で、ステップS17で始動クラッチ70が解放され
る。これにより、始動クラッチ70を解放することによ
る燃費性能の向上と、次の発進のための発進時変速比R
tsd又はRtsrへのレシオ修正とが共に達成され
る。
【0058】〈動作第2例〉始動クラッチ70を解放す
ると、エンジン1からの動力が油圧作動式の無段変速機
構20,20に入力されなくなり、該機構20,20の
暖機が進まず、作動油の応答性向上が阻害される。よっ
て、低油温時は、始動クラッチ70の解放を規制して、
無段変速機構20,20の暖機を図り、該機構20,2
0の機械的な変速動作を改善して、トロイダルレシオR
tの制御の応答遅れを抑制するとよい。これは請求項2
に記載の制御動作に該当する。
【0059】なお、図9のステップS21〜S26は図
8のステップS11〜S16と同様である。すなわち、
図9のステップS25で発進時変速比Rtsd又はRt
srが達成されたと判定されても、ステップS27で油
温tmpが所定温度tmp1より低いと判定されるとき
はそのままリターンする。つまり低油温時は始動クラッ
チ70を解放しない。これにより無段変速機構20,2
0の暖機が続行され、油温tmpの上昇が図られて、変
速制御の応答遅れが抑制される。
【0060】そして、ステップS27で油温tmpが所
定温度tmp1以上と判定されたときに始めてステップ
S28に進んで始動クラッチ70を解放する。すなわ
ち、無段変速機構20,20の暖機を目的として始動ク
ラッチ70の解放を規制した結果、油温tmpが高くな
ればその目的が達成されたわけであるから、次は燃費性
能の向上を目的として始動クラッチ70の解放を許可す
るのである。
【0061】〈動作第3例〉始動クラッチ70の解放規
制の結果、油温tmpが高くなり、始動クラッチ70の
解放を許可すると、無段変速機構20,20の暖機が中
止される。その場合、停車状態が依然として続いている
と、始動クラッチ70が解放されたままとなり、油温t
mpがまた低くなる。よって、そのようなときは再び無
段変速機構20,20の暖機を目的として始動クラッチ
70を再締結するとよい。結果として、長時間停車して
いる場合に、作動油の応答性を確保するのに必要最低限
の時間だけ始動クラッチ70が締結状態とされ、状況に
応じて無段変速機構20,20の暖機が行われるから、
変速制御の応答遅れの抑制と、燃費性能の向上とが合理
的に両立する。これは請求項3に記載の制御動作に該当
する。
【0062】なお、図10のステップS31〜S38は
図9のステップS21〜S28と同様である。すなわ
ち、図10のステップS37で油温tmpが所定温度t
mp2以上と判定され、ステップS38で始動クラッチ
70を解放した後は、ステップS32で停車状態である
と判定されている期間中は、ステップS34からS39
に進んで、油温tmpが所定温度tmp3より低いか否
かを判定する。その結果、NOのときはそのままリター
ンする。つまり始動クラッチ70の解放を維持する。そ
して、YESになった段階で、ステップS40に進んで
始動クラッチ70を再締結する。
【0063】以降は、停車状態が続いている限り、始動
クラッチ70の状態に応じてステップS34からS37
又はS39に進み、そして油温tmpに応じて始動クラ
ッチ70の解放・締結を繰り返すことになる。
【0064】ここで、ステップS27の所定温度tmp
1とステップS37の所定温度tmp2とは同じでも異
なっていてもよい。ただし、ステップS37の所定温度
tmp2とステップS39の所定温度tmp3とでは、
前者tmp2のほうが高い値に設定されている。これは
ヒステリシスであり、始動クラッチ70の解放・締結が
短時間のうちに頻繁に繰り返されないように企図されて
いる。
【0065】〈動作第4例〉この第4の動作例は請求項
4に記載の制御動作に該当し、始動クラッチ70が過度
に鋭敏に解放されることを抑制するものである。前述し
たように、本実施の形態では、PレンジやNレンジ等の
非走行レンジが選択されているときでも、またDレンジ
やRレンジ等の走行レンジが選択されているときでも、
条件さえ合えば、ステップS12,S22,S32等で
停車状態であると判定される。そして、さらに以下のス
テップで条件が合えば、ステップS17,S28,S3
8等で始動クラッチ70が解放される。
【0066】しかし、たとえ種々の条件が合ったとして
も、DレンジやRレンジ等の走行レンジが選択されてい
る以上は、車両はそれほど長時間停車せず、短時間のう
ちに発進すると解される。始動クラッチ70を解放する
と、発進時における該始動クラッチ70の締結動作に時
間が掛かり発進応答性が低下する。特にレンジが走行レ
ンジのままとされ、運転者が長時間継続して停車する意
志を有していないときに、そのような発進応答性の低下
があると違和感が大きい。よって、この第4の動作例で
は、DレンジやRレンジ等の走行レンジが選択されてい
るときは始動クラッチ70の解放を禁止するようにした
のである。
【0067】また、DレンジとRレンジの切換時には、
シフトレバーがその間にあるNレンジを通過する。これ
を誤ってNレンジが選択されたものと判断し、その都度
いちいち始動クラッチ70を解放していたのでは、該ク
ラッチ70が短時間のうちに解放されたり締結されたり
して好ましくない。同様に、DレンジからRレンジへの
切換時には、規制ボタンを押した状態でシフトレバーを
Pレンジ方向に揺動する。そのとき勢い余ってシフトレ
バーがRレンジを越えてPレンジに入ってしまうことが
ある。これを誤ってPレンジが選択されたものと判断
し、その都度いちいち始動クラッチ70を解放していた
のでは、やはり該クラッチ70が短時間のうちに解放さ
れたり締結されたりして好ましくない。よって、この第
4の動作例では、そのような不具合を回避するために、
PレンジやNレンジ等の非走行レンジが長時間継続して
選択されていることを始動クラッチ70の解放許可条件
とした。この解放許可条件に合致した場合は、上記のよ
うな始動クラッチ70の再締結に起因する発進応答性の
低下があっても、非走行レンジで長時間継続して停車し
た後の再発進時であるから、違和感はそれほど大きくな
い。
【0068】なお、図11のステップS51〜S52,
S54〜S56,S58〜S59,S68,S72〜S
73は図10のステップS31〜S32,S33〜S3
5,S36〜S37,S38,S39〜S40と同様で
ある。すなわち、図11のステップS59で油温tmp
が所定温度tmp2以上と判定されると、ステップS6
0〜S61でタイマーtがゼロであればタイマーtをセ
ットしたうえでステップS62に進む。
【0069】ステップS62〜S64ではPレンジが所
定時間tp以上継続するまでタイマーtを1づつ加算す
る。同様に、ステップS65〜S67ではNレンジが所
定時間tn以上継続するまでタイマーtを1づつ加算す
る。そしていずれの場合もレンジ滞在時間tが判定時間
tp又はtn以上となったときに初めてステップS68
に進んで始動クラッチ70を解放する。
【0070】一方、これ以外のルーティンを辿った場
合、すなわち、停車状態でない場合(ステップS52で
NO)、変速比がまだ発進時変速比Rtsd又はRts
rに到達していない場合(ステップS56でNO)、レ
ンジがPレンジでもNレンジでない場合(ステップS6
5でNO)、油温tmpが所定温度tmp2より低い場
合(ステップS59でNO)及び始動クラッチ70がも
う解放されている場合(ステップS55でYES)は、
それぞれステップS53,S57,S69,S70及び
S71でタイマーtをゼロにリセットする。
【0071】これにより、図13にDレンジからNレン
ジを選択した場合で例示するように、車両が停車状態に
なり、レンジがNレンジに入れられ、油温tmpが所定
温度tmp2以上あり、変速比が発進時変速比に収束し
た時刻t1から所定時間tnが経過した時刻t2に始動
クラッチ70がOFFとされる。これに対し、レンジが
Dレンジのままであれば、たとえ所定時間が経過しても
始動クラッチ70は解放されない。また、レンジがNレ
ンジに切り換えられても、所定時間tn以内に発進した
ときは、結局、始動クラッチ70は解放されることなく
発進する。
【0072】ここで、Nレンジ滞在判定時間はPレンジ
滞在判定時間よりも長い値としている(tn>tp)。
これは、シフト操作中にシフトレバーが誤ってPレンジ
に入る頻度・確率よりも、シフトレバーがNレンジを通
過する頻度・確率のほうが大きいことに着目したもので
ある。いずれにしても、始動クラッチ70の解放が過度
に鋭敏になったり過度に鈍感になることを回避できる適
正な数値に調整する。
【0073】〈動作第5例〉この第5の動作例は請求項
6に記載の制御動作に該当し、エンジン1と無段変速機
構20,20との間の動力伝達を接断する始動クラッチ
70の他に、無段変速機構20,20と駆動輪の間の動
力伝達を接断するロークラッチ50及びハイクラッチ6
0の動作も含めて制御するものである。
【0074】すなわち、図12のステップS81で、上
記各動作例1〜4と同様に状態量を検出したのち、ステ
ップS82で、アクセルOFF(アイドルON)且つブ
レーキONの状態か否かを判定する。この状態は、運転
者が加速ないし走行を中止して、制動ないし停車の意志
を有していることを表わしている(図14の時刻t11
〜t13の状態)。これ以外の状態、例えばアクセルO
FF(アイドルON)且つブレーキOFFの状態は、車
両が慣性で走行し、エンジン1が駆動輪側から逆駆動さ
れている状態であり、運転者はまだ積極的に制動してお
らず、この段階では停車の意志はないと解する。また、
例えばアクセルON(アイドルOFF)且つブレーキO
FFの状態は、運転者が加速又は発進の意志を有してい
るものと解される。
【0075】ステップS82でNOのとき、つまり上記
のように逆駆動で走行しているとき、又は正駆動で(加
速)走行しているとき、又は発進(加速)時は、ステッ
プS83〜S86で始動クラッチ70及びロークラッチ
50(ローモードLのとき)又はハイクラッチ(ハイモ
ードHのとき)60を締結した状態で、ステップS87
に進んで変速比を走行状態に応じて制御する。つまり図
6に示す変速特性に基いて通常の変速制御を行なう。
【0076】このとき、特に発進時であれば(時刻t1
3)、それまで第1クラッチ70及び第2クラッチ50
又は60が解放されているから、結局、ステップS83
〜S84で先に第1クラッチ70を締結した後に、ステ
ップS85〜S86で第2クラッチ50又は60を締結
してエンジン1と駆動輪との間の動力伝達経路を完成さ
せることになる(時刻t13以降参照)。
【0077】このように運転者が発進の操作をしたと
き、つまり停車状態から走行状態への移行時には、第1
クラッチ70、第2クラッチ50又は60の順に締結し
ていくから、始動クラッチ70の締結時には、まだ無段
変速機構20,20と駆動輪との間の動力伝達が遮断さ
れている。よって、始動クラッチ70に作用するイナー
シャが低減して締結動作自体が行ない易くなる。また、
車両が停車中であっても、エンジンストールを起こすこ
となく始動クラッチ70を完全締結することができる。
【0078】これに対し、ステップS82でYESのと
き、つまり上記のように制動時又は停車時は、ステップ
S88で上記各動作例1〜4と同様に停車状態か否かを
判定し、停車状態でないときは、ステップS89で車速
Vが所定車速V1以下に十分に落ちてから(時刻t1
2)、ステップS90で第2クラッチ50又は60を解
放する。上記所定車速V1は例えば停車直前の極めて低
い車速である。
【0079】次に、ステップS88で停車状態と判定さ
れたときは(時刻t12〜t13参照)、例えば第1動
作例のステップS14〜S17と同様に、ステップS9
1で始動クラッチ70がOFFか否かを判定し、その結
果、OFFのときはそのままリターンする一方、ONの
ときにはステップS92で変速比が発進時変速比Rts
d又はRtsrか否かを判定する。そして、NOのとき
はステップS93で変速比を該発進時変速比Rtsd又
はRtsrに制御した後に、YESになった段階で始動
クラッチ70を解放する。
【0080】このように運転者が停車の操作をしたと
き、つまり走行状態から停車状態への移行時には、先ず
ロークラッチ50又はハイクラッチ60を切った後に、
発進時変速比への制御を行ない、最後に始動クラッチ7
0の解放を行なう。ここでロークラッチ50又はハイク
ラッチ60をつないだままで発進時変速比への制御を行
なうと、車両は該変速比で実際にまだ走行することにな
り、違和感が生じ、走行フィーリングが低下する。これ
に対し、先にロークラッチ50又はハイクラッチ60を
切って無段変速機構20,20と駆動輪との間の動力伝
達を遮断したから、車両の実際の走行に影響を及ぼすこ
となくトロイダルレシオRtを自由に発進時変速比Rt
sd又はRtsrに変化させることができるようになる
のである。
【0081】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、車両が
停車状態にあるときは、無段変速機構の変速比を所定の
発進時変速比に制御した後、始動クラッチを解放するよ
うにしたから、たとえパニックブレーキや急ブレーキ等
で運転状態が急激に変化し、車速が急激に低下し、目標
変速比が急激に変化し、車両が急停車したような場合で
も、発進時変速比への確実なレシオ修正が行われて、次
の発進時には該発進時変速比での良好な発進が担保され
る。併せて、始動クラッチの解放により、無段変速機構
を含めた駆動輪側の大きなイナーシャがエンジンに作用
しなくなるので、停車中におけるエンジンの燃費性能の
向上を図ることができる。本発明は、トロイダル式無段
変速機への幅広い利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るトロイダル式無段
変速機の機械的構成を示す骨子図である。
【図2】 同無段変速機の油圧制御回路図である。
【図3】 同無段変速機の制御システム図である。
【図4】 ステップモータに対するパルス数とトロイダ
ルレシオとの関係を示す特性図である。
【図5】 ステップモータに対するパルス数とユニット
レシオとの関係を示す特性図である。
【図6】 変速特性のマップである。
【図7】 始動時における始動クラッチ制御動作のフロ
ーチャートである。
【図8】 停車状態における始動クラッチ制御動作の第
1例のフローチャートである。
【図9】 同第2例のフローチャートである。
【図10】 同第3例のフローチャートである。
【図11】 同第4例のフローチャートである。
【図12】 同第5例のフローチャートである。
【図13】 上記第4例のタイムチャートである。
【図14】 上記第5例のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 10 トロイダル式無段変速機 20 無段変速機構 50,60 モードクラッチ(第2のクラッチ手段) 70 始動クラッチ(第1のクラッチ手段) 300 コントロールユニット(制御手段、始動時
クラッチ制御手段) 301 車速センサ(車両状態検出手段) 305 選択レンジセンサ(車両状態検出手段) 308 アイドルスイッチ(車両状態検出手段、運
転者意志検出手段) 309 ブレーキスイッチ(車両状態検出手段、運
転者意志検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:18 F16H 59:24 59:24 59:44 59:44 59:54 59:54 59:72 59:72 59:74 59:74 63:06 63:06 F16D 25/14 640W Fターム(参考) 3J051 AA03 AA08 BA03 BE09 CA05 CB07 ED11 ED15 FA01 3J057 AA03 BB03 FF07 FF10 FF12 FF15 GA17 GA21 GB02 GB04 GB05 GB22 GB30 GB32 GB36 GB40 GE07 GE08 HH01 3J062 AA01 AB01 AB06 AB16 AC03 BA31 CG03 CG13 CG35 CG38 CG52 CG82 3J552 MA09 MA13 MA15 MA26 NA01 NB01 PA15 PA45 PA59 RA27 RB02 RB17 RC07 RC13 SA44 SB05 UA03 VA48W VA63W VA65W VA76W VB01W VD01W VD11W VD16W

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンからの動力が無段変速機構を経
    由して駆動輪に伝達されるように構成されたトロイダル
    式無段変速機であって、エンジンと無段変速機構との間
    の動力伝達を接断するクラッチ手段と、車両が走行状態
    又は停車状態にあることを検出する車両状態検出手段
    と、車両が走行状態にあるときは、上記クラッチ手段を
    締結したうえで上記無段変速機構を該走行状態に応じて
    設定される所定の変速比に制御する一方、車両が停車状
    態にあるときには、上記無段変速機構を車両発進時の所
    定の変速比に制御したうえで上記クラッチ手段を解放す
    る制御手段とを有することを特徴とするトロイダル式無
    段変速機。
  2. 【請求項2】 制御手段は、低油温時はクラッチ手段の
    解放を規制することを特徴とする請求項1に記載のトロ
    イダル式無段変速機。
  3. 【請求項3】 制御手段は、クラッチ手段の解放規制に
    より油温が高くなったときはクラッチ手段の解放を許可
    し、クラッチ手段の解放許可により油温が低くなったと
    きはクラッチ手段を締結することを特徴とする請求項2
    に記載のトロイダル式無段変速機。
  4. 【請求項4】 制御手段は、パーキングレンジが第1の
    所定時間以上継続して選択されているとき、又はニュー
    トラルレンジが上記第1の所定時間より長い第2の所定
    時間以上継続して選択されているときにクラッチ手段を
    解放することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル
    式無段変速機。
  5. 【請求項5】 エンジン始動時はクラッチ手段を解放
    し、エンジン始動後にクラッチ手段を締結する始動時ク
    ラッチ制御手段を有することを特徴とする請求項1に記
    載のトロイダル式無段変速機。
  6. 【請求項6】 エンジンからの動力が無段変速機構を経
    由して駆動輪に伝達されるように構成されたトロイダル
    式無段変速機であって、エンジンと無段変速機構との間
    の動力伝達を接断する第1のクラッチ手段と、無段変速
    機構と駆動輪との間の動力伝達を接断する第2のクラッ
    チ手段と、運転者の停車意志又は発進意志を検出する運
    転者意志検出手段と、運転者の停車意志が検出されたと
    きは、上記第2のクラッチ手段を解放した後、上記無段
    変速機構を車両発進時の所定の変速比に制御したうえで
    上記第1のクラッチ手段を解放する一方、運転者の発進
    意志が検出されたときには、上記第1のクラッチ手段を
    締結した後、上記第2のクラッチ手段を締結したうえで
    上記無段変速機構を走行状態に応じて設定される所定の
    変速比に制御する制御手段とを有することを特徴とする
    トロイダル式無段変速機。
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