JP2003027315A - 手袋用素材および手袋 - Google Patents

手袋用素材および手袋

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JP2003027315A
JP2003027315A JP2001218498A JP2001218498A JP2003027315A JP 2003027315 A JP2003027315 A JP 2003027315A JP 2001218498 A JP2001218498 A JP 2001218498A JP 2001218498 A JP2001218498 A JP 2001218498A JP 2003027315 A JP2003027315 A JP 2003027315A
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glove
regenerated cellulose
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Jiyunko Deguchi
潤子 出口
Akihiko Yoshizato
明彦 吉里
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸れやべたつきが生じにくく、着用快適性に
優れ、重金属吸着性がなく、耐久的制電性に優れ、汗に
よるイオンの発散も少ないため、特にクリーンルーム作
業用インナー手袋に有用な手袋用素材を提供する。 【解決手段】 再生セルロースフィラメント糸20〜8
0wt%と、ポリアミド糸以外の疎水性フィラメント糸
との複合糸を用いてなり、30℃、90%RHでの吸湿
率が9%以上であり、且つ、洗濯後の洗剤の残留量が7
0mg/m以下である手袋用素材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手袋用素材および
これを用いてなる手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】作業用手袋は、いわゆる軍手等、綿製の
ものの他、ポリエチレン製、あるいは合成ゴム、天然ゴ
ム製等のものがあり、ビルメンテナンス、清掃作業、手
術、歯科治療等の医療関連作業、半導体、製薬等のクリ
ーンルーム等での作業、仕出し、お弁当製造等食品関連
作業の他、一般家庭でも広く使用されている。
【0003】人間の手掌部は人体の中で最も不感蒸泄の
大きい部位で、体幹部や腕部、脚部に比べ数倍の不感蒸
泄があるため、ポリエチレン製、あるいは合成ゴム、天
然ゴム製等の手袋のような、通気性、吸湿性に劣る素材
では、作業中に不感蒸泄、発汗等で手袋内が非常に蒸れ
やすく、着用時には多くの場合、すぐにびっしょりと濡
れてしまい、着用感が非常に悪く、手あれが生じやすい
という問題がある。
【0004】綿素材の手袋は、吸湿性に優れ、作業中の
蒸れは低減できるものの、綿素材は水との親和性が非常
に高いため、汗(不感蒸泄を含む)をかいた場合、綿素
材自体が水を保持し、その際に手袋は人体に密着してい
る為、べたつきを生じ、着用時の快適性を大きく改善す
ることはできない。このようなべたつきを生じる状態
は、環境条件にもよるが、概ね30分も着用すると不感
蒸泄により自然に起こり、着用感を害するので好ましく
ない。
【0005】また、綿素材の手袋は、繊維の毛羽のため
に滑りが悪く作業しづらい。さらに、一般に綿製の手袋
は地厚であり、緻密な作業がしにくく作業性に劣り、の
みならず、本発明者らの研究によると、綿素材等親水性
繊維の短繊維素材は、洗濯を行うと脱水時の水切れが悪
く、洗濯液が繊維に残ったまま乾燥されるため、また短
繊維の毛羽の部分に洗剤粒子が入り込み易いため、洗剤
成分が繊維に残留しやすいという問題がある。洗剤中の
主成分の一つである直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸
ナトリウムは、肌荒れ、手あれを引き起こす原因の一つ
であるといわれており、これら洗剤成分が繊維に残った
ままで、再度、着用により汗等で濡れた状態になると、
洗剤成分が皮膚に再吸収され、手あれの原因となる。
【0006】ゴムラテックス等を用いた手袋の内側に
は、着用快適性の改善のため、インナー手袋が着用され
る場合がある。インナー手袋としては各種の素材の製品
があるが、ポリアミドあるいはポリエステル等の合成繊
維素材を用いた場合には、素材としての吸湿性が劣るた
め、上述のような作業中に発汗等で手袋内が非常に蒸れ
やすく、着用感が非常に悪い。また、インナー手袋とし
て綿製の手袋を使用した場合には、吸湿性により着用時
のむれは低減できるものの、上記と同様な問題が生じ、
着用快適性の向上や手あれの低減は期待できない。
【0007】クリーンルーム用手袋については、ゴムラ
テックス等を用いた吸湿性、通気性のない手袋を着用し
た場合に、作業中に発汗等で手袋内がべたべたになる
と、上述のように着用感が非常に悪いという問題に加
え、汗の成分であるアンモニウムイオン、ナトリウムイ
オンなどが拡散、放出されて、クリーン度が低下するた
め問題となる。
【0008】従って、クリーンルーム用手袋の場合に
は、手袋の内側に上記のインナー手袋が着用される場合
が多いが、クリーンルーム用であるため、インナー手袋
にも高い防塵性が要求され、例えば綿素材は吸湿性に優
れてはいるものの、上述の問題点の他に、リントが発生
するために用いることができない。従ってインナー手袋
には、ナイロンあるいはポリエステル素材が広く使われ
ているが、上述のごとく素材の吸湿性に乏しく、着用中
の蒸れや発汗を十分に抑えることが難しいという問題が
あった。
【0009】このような問題点を改良するため、実開平
6−61917号公報には、20℃、65%RHにおけ
る吸湿率が8%以上である合成繊維マルチフィラメント
糸条からなる手袋に関する考案が記載されている。しか
し、この考案では、吸湿性を付与するにあたって、合成
繊維マルチフィラメント糸をアルカリ金属で置換された
アクリル酸やメタクリル酸等の酸性不飽和化合物をグラ
フト重合する方法をとっている。しかし、このような化
合物は反応基の活性が非常に高いため、該グラフト重合
されたマルチフィラメント糸は、作業時あるいはクリー
ン洗浄時に環境中の重金属(Na、K、Ca、Al、M
g、Fe、P、S、Si、Zn、Pb、Cr、Cd等)
を吸着し易い。クリーンルーム、特に半導体製造工場な
どのクリーンルームで着用する手袋にこれらの重金属が
吸着されていると、重金属が半導体に移行するため大き
な問題となる。さらには着用する人体側にも重金属が触
れることになり、肌荒れ等の問題が起こる可能性もあ
る。
【0010】また、本発明者らの実験によると、特にポ
リアミド繊維を用いた場合は、活性の強いアミノ基の吸
着作用により、これら重金属を著しく吸着するため、使
用中さらにはクリーン洗浄後の手袋においても、種々の
重金属が検出されるので好ましくない。このことは実開
平6−61917号公報に記載の手袋のみならず、従来
インナー手袋として一般に用いられているナイロン手袋
は、クリーンルーム用手袋として問題を抱えていること
を意味している。
【0011】さらに、本発明者らの研究によると、ポリ
アミド繊維やグラフト重合による高吸湿化素材の手袋
は、洗濯を行うと、綿素材の手袋よりも洗剤成分を非常
に吸着しやすいということが判明した。洗剤成分は、肌
荒れ、手あれを引き起こす原因の一つであるといわれて
いることから、クリーンルーム用以外のインナー手袋用
素材としても、洗剤の吸着は好ましくない。
【0012】また、特にクリーンルーム用インナー手袋
には、作業性と環境内外のほこりの吸着を防ぐため、耐
久性のある制電性が要求される。この目的で、制電性の
低い素材、例えば、制電加工を施したポリエステル繊維
やポリアミド繊維、あるいはカーボン等の導電糸を混入
させた素材等が用いられているが、制電加工剤等を繊維
上に付着させる制電加工は、一般に耐久性に乏しく、滅
菌工程、洗濯工程等により制電性能が大きく低下する。
さらに、制電剤の浸み出しによる作業場や試料等の汚染
も懸念される。また、導電糸を混入させた素材の場合
も、使用及び洗濯を重ねることにより、導電糸が切断さ
れることが多く、制電性能が大きく低下するばかりでは
なく、切断された導電糸により作業場や試料等が汚染さ
れるという問題もあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、着用
快適性、汗処理性に優れ、洗剤の残留が少なく、べたつ
きが少ない手袋用素材を提供することであり、特に、リ
ントの発生がなく、重金属を吸着しにくく、耐久的制電
性に優れ、クリーンルーム用のインナー手袋として好適
な手袋用素材を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。
【0015】即ち、本発明は下記の通りである。
【0016】1.再生セルロースフィラメント糸20〜
80wt%と、ポリアミド糸以外の疎水性フィラメント
糸との複合糸を用いてなり、30℃、90%RHでの吸
湿率が9%以上であり、且つ、洗濯後の洗剤の残留量が
70mg/m以下である手袋用素材。
【0017】2.べたつき指数が2以下である上記1記
載の手袋用素材。
【0018】3.再生セルロースフィラメント糸がキュ
プラフィラメント糸であり、疎水性フィラメント糸がポ
リエステルフィラメント糸である上記1又は2記載の手
袋用素材。
【0019】4.再生セルロースフィラメント糸がキュ
プラフィラメント糸であり、疎水性フィラメント糸がポ
リトリメチレンテレフタレートフィラメント糸である上
記1又は2記載の手袋用素材。
【0020】5.再生セルロースフィラメント糸とポリ
アミド糸以外の疎水性フィラメント糸が、混繊と仮撚り
の組合せにより複合されていることを特徴とする上記1
〜4のいずれかに記載の手袋用素材。
【0021】6.クリーン洗浄後に、重金属の付着がな
いことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の手袋
用素材。
【0022】7.洗濯10回後において、20℃、40
%RHでの摩擦帯電圧が1500V以下であることを特
徴とする上記1〜6のいずれかに記載の手袋用素材。
【0023】8.0.05〜5%omfの吸水系柔軟加
工を施してなることを特徴とする上記1〜7のいずれか
に記載の手袋用素材。
【0024】9.上記1〜8のいずれかに記載の手袋用
素材を用いてなる手袋。
【0025】10.上記1〜8のいずれかに記載の手袋
用素材を用いてなるインナー手袋。
【0026】以下、本発明について詳述する。
【0027】本発明において、再生セルロースフィラメ
ント糸としてはキュプラ繊維、レーヨン繊維等が好適に
用いられる。再生セルロースフィラメント糸を用いるこ
とにより、吸湿性が付与され、着用快適性を向上するこ
とができ、しかも、フィラメント糸であるために、洗濯
による繊維への洗剤の残留が少なく、手荒れ防止性に優
れる。
【0028】再生セルロースフィラメント糸の総繊度は
特に制限されないが、33〜167dtexの糸状を1
本又は2〜3の複数本どりが好適に用いられる。単繊維
の繊度も特に制限されず、0.3〜5dtexの繊維が
好適に用いられる。
【0029】クリーン度の要求レベルが高いクリーンル
ームの場合には、レーヨンは湿潤時の強度が低く、着用
及び洗濯を繰り返すとリントが発生するおそれがあるた
め、湿潤時の強度が比較的高いキュプラのフィラメント
糸が特に好適に用いられる。
【0030】本発明において、疎水性フィラメント糸と
しては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメ
チレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維等のフ
ィラメント糸を好適に用いることができ、その総繊度お
よび単繊維の繊度は特に限定されない。
【0031】ただし、ナイロン6、ナイロン66繊維等
のポリアミド繊維は、前記のように、アミノ基による重
金属等のイオン吸着性が著しいため、本発明における疎
水性フィラメント糸からは除外される。
【0032】べたつきを低減するため、また伸縮性向上
のため、ウーリー加工糸が好適に用いられる。また、特
にポリトリメチレンテレフタレート繊維は、伸縮性が大
きく、肌触りが柔らかいため、手袋とした場合にフィッ
ト感が増すので好ましい。
【0033】本発明の手袋用素材は、再生セルロースフ
ィラメント糸と疎水性フィラメント糸との複合糸を用い
る。複合糸を用いることにより、汗処理性が向上する。
【0034】再生セルロースフィラメント糸は繊維自身
に水を含み易く、繊維表面にも水分が比較的多く存在す
るため、汗をかくとべたつきを生じ易い。逆に、ポリエ
ステル等の疎水性繊維は繊維自体に水を含みにくく繊維
の空隙に水を保持するため、繊維表面は濡れ感が少な
い。そこで、再生セルロースフィラメント糸と疎水性フ
ィラメント糸を複合することにより、不感蒸泄や汗によ
り人体から放出される水分を保持しつつ、繊維表面に濡
れ感が少ない、すなわち、汗処理が良く、汗によるべた
つきの少ない素材となる。
【0035】疎水性フィラメント糸として、W型、L型
等の凹部を含む異形断面繊維を用いると、毛細管現象に
より汗の拡散作用が大きくなり、皮膚上の汗が効果的に
移行するため、丸型断面糸の場合よりさらにべたつきが
解消され、特に好ましい。
【0036】本発明の手袋用素材は、べたつき指数が2
以下であることが好ましく、1.5以下であるとさらに
べたつきが小さいので好ましい。べたつき指数が2以下
であると、湿潤時の摩擦抵抗も小さい。べたつき指数
は、べたつきの度合いを表す指数で、後述のように、一
定水分下での湿潤時摩擦係数を測定することで数値化が
可能である。着用時に繊維表面に存在する水分が増加す
るとべたつき感を覚えるが、その際、皮膚表面と繊維と
の摩擦抵抗は増加する。べたつき指数と着用時のべたつ
きの官能評価との対応を調べると、べたつき指数が2以
下の場合にべたつきが小さいことがわかる。
【0037】再生セルロースフィラメント糸と疎水性フ
ィラメント糸を複合する方法は特に限定されず、引き揃
え、合撚、混繊、混繊と仮撚りの組み合わせ、タスラン
加工等の方法が可能である。なかでも、糸1本の中で再
生セルロースフィラメント糸と疎水性フィラメント糸が
均一に混合されている場合は、汗処理性、洗濯時の風合
い保持等の耐久性にも優れるため特に好ましい。
【0038】この観点から複合する方法としては混繊が
好適に用いられ、なかでも混繊と仮撚りを組み合わせる
と、汗処理性、洗濯時の風合い保持に特に優れ、最も好
ましい。混繊あるいは混繊と仮撚りを組み合わせる方法
は、交編での複合に比べ、表面の再生セルロースフィラ
メント繊維比率が減少するため、クリーンルーム用とし
て使用した場合にもリントの発生が少なく特に好まし
い。
【0039】汗処理性をより一層高めるためには、該複
合糸よりなる手袋用素材または手袋に、0.05〜5%
omfの吸水系柔軟加工を施すのが好ましい。吸水系の
処理剤の効果により、吸水作用が増し、上述の拡散作用
がより一層すみやかに行われ、べたつきの改善につなが
るので好ましい。
【0040】本発明における複合糸は、再生セルロース
フィラメント糸が20〜80wt%、好ましくは30〜
70wt%含有されている。
【0041】再生セルロースフィラメント糸の含有率が
この範囲であると、吸湿性が適度で、着用快適性に優れ
るとともに、蒸れ感が少なく、発汗等が生じにくく、特
にクリーンルーム用インナー手袋としては前述のイオン
拡散が起こりにくい。また、繊維表面に親水性の再生セ
ルロース繊維が出すぎることがないためべたつきを生じ
にくく、加えて、特に混繊等により複合する際の加工性
が良く、製品としたときの洗濯時の風合い変化も少な
く、強度の高い手袋が得られる。
【0042】本発明の手袋用素材は、30℃、90%R
Hでの吸湿率が9%以上である。30℃、90%RHと
は、人体の皮膚温相当の温度で発汗時を想定した環境を
意味し、このような条件で吸湿率が9%以上である場合
には、着用テストの結果から、発汗による蒸れを十分に
低減でき、汗をかきにくく、大変快適である。また、こ
のため汗成分の発散が防止でき、クリーンルームおよび
作業時の汚染防止効果に優れる。
【0043】再生セルロースフィラメント糸を20wt
%以上含むことで、該吸湿率がおおむね9%以上とな
り、さらに、50wt%以上含むと吸湿率が12%以上
となり、蒸れ低減効果及び汗成分の発散防止効果が著し
く、着用快適性に優れる手袋用素材となるので非常に好
ましい。
【0044】本発明の手袋用素材は、洗濯後の洗剤の残
留量が70mg/m以下であり、好ましくは50mg
/m以下である。これは、敏感肌の20名により、洗
剤残留量の異なる手袋の着用テストによるかゆみ調査の
結果、洗剤残留量が70mg/m以下であればかゆみ
を申告した人数が非常に少なく(3名)、50mg/m
以下であればかゆみを申告した人はいないと言う結果
に基づく。
【0045】洗剤の残留量を低減させ、かつ、肌に対す
る物理的刺激を低減し、柔軟性を高めるためには、0.
05〜5%omfの吸水系柔軟加工を施すことが好まし
い。繊維の柔軟加工剤は各種あるが、例えば、ポリエス
テル系の柔軟加工剤等が好適に用いられる。
【0046】本発明の手袋用素材は、クリーン洗浄後
に、重金属の付着がないことが好ましい。そのために、
本発明においては、疎水性フィラメント糸として、ポリ
アミド糸以外の、ポリエステル繊維、ポリトリメチレン
テレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維等のフィラメ
ント糸を用いる。手袋を、半導体製造工場などのクリー
ンルームで着用する場合、手袋に重金属が付着している
と、該重金属が半導体に移行して大きな問題となるから
である。重金属とは、Na、K、Ca、Al、Mg、F
e、P、S、Si、Zn、Pb、Cr、Cd等を言い、
また、付着がないとは、後記の測定法で検出されないこ
とを意味する。
【0047】本発明の手袋用素材は、上述のように素材
としての吸湿率が大きいため、洗濯などを繰り返しても
耐久的制電性があり、半永久的に制電性を保持すること
ができる。着用時に静電気が問題にならないためには、
20℃、40%RHに調湿し、JIS L 1094−
B法の摩擦帯電圧測定法にて規定のポリエステル布を摩
擦布として測定した場合に、1500V以下であること
が好ましい。さらにクリーンルーム用の手袋としては、
ほこりの吸着を防ぐという点から1000V以下である
ことが好ましい。従って、本発明の手袋用素材は、特に
クリーンルーム用インナー手袋として、現行のポリエス
テル繊維やポリアミド繊維の制電加工品、あるいは導電
糸混入素材では実現することが困難であった、耐久的制
電性を有する手袋用素材である。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例を用いて
本発明をさらに説明する。
【0049】なお、測定方法、評価方法等は下記の通り
である。
【0050】(1)吸湿率 試料を、30℃、90%RHに24時間調湿し、吸湿後
の質量(g)と絶乾質量(g)から、吸湿率(%)を次
式により算出する。
【0051】吸湿率={(吸湿後の質量−絶乾質量)/
(絶乾質量)}×100 (2)重金属付着性 着用とクリーン洗浄を5回繰り返した試料を、理学電機
株式会社製蛍光X線分析装置(RIX3001型)によ
り、重金属付着性を調べた。
【0052】表1には、0.5kcps以上の強度で検
出された重金属を検出量の多いものから3種示した。
【0053】(3)洗剤の残留量 JIS L 0217−103法に準じ、洗剤として弱
アルカリ性洗剤(アタック:花王製)を用い、洗濯を1
0回行った後、蛍光X線分析装置にて洗剤中のS成分を
測定した。定量値は、洗剤の100ppm水溶液を作成
し、検量線から、生地1m当たりの洗剤固形分の残留
量を求めた。
【0054】(4)べたつき指数 カトーテック社製、摩擦感テスター(KES−SE)を
用い、試料台にアクリル板を取り付ける。タテ5cm、
ヨコ3cmの試料に、800g/mの水分を付着さ
せ、試料の短辺側の端部にピン(長さ2.8cm、太さ
0.8mm)を取り付け、周長25cmの糸(シキボウ
Tスパン60番)をピンと摩擦感テスターのセンサー部
に掛け渡らせる。糸がたるまず、力の掛からない、かつ
水平状態にし、装置をスタートさせる。摩擦係数(MI
U)を読みとり、これをべたつき指数とする。
【0055】(5)摩擦帯電圧 試料を、着用とクリーン洗浄を5回繰り返した後、20
℃、40%RHに調湿し、JIS L 1094−B法
の摩擦帯電圧測定法にて、規定のポリエステル布を摩擦
布として測定した。
【0056】(6)リントの発生量 試料を、着用とクリーン洗浄を5回繰り返した後、ドラ
ム式リント測定装置を用いて、手袋10双の0.3μm
以上のリント数(個/cf)を測定し、10で除し、1
双当たりの発生リント量を求めた。
【0057】(7)着用快適性 ラテックス製手袋のインナー手袋として、23℃、45
%RHのクリーンルーム内で3時間着用し、着用時の快
適性を主観評価で実施し、次の点数付けを行い、10名
の平均を求めた。
【0058】5:非常に快適、4:快適、3:どちらと
もいえない、2:不快、1:非常に不快 [実施例1]再生セルロースフィラメント糸として56
dtexのキュプラフィラメント糸を、疎水性フィラメ
ント糸として56dtexのW型断面のポリエステルフ
ィラメント糸を用い、インターレース仮撚り法により複
合し、112dtexの複合糸を得た。得られた複合糸
2本を合撚し、13ゲージの島精機製全自動シームレス
手袋編機(NEW SFG−13ゲージL3)で編み立
て、下記条件にて仕上げ加工を行い手袋を得た。
【0059】セット:80℃、5分→精練:70℃、2
0分→水洗:5分→吸水柔軟加工 (ナイスポールPRS;日華化学製;1%):60℃、
10分 得られた手袋は、30℃、90%RHでの吸湿率が1
2.8%であり、クリーン洗浄後の重金属の付着がな
く、インナー手袋として着用した場合にべたつきが少な
く、着用快適性に著しく優れるものであった。また、着
用とクリーン洗浄を繰り返してもリントの脱落は少なか
った。
【0060】[実施例2]再生セルロースフィラメント
糸として167dtexのキュプラフィラメント糸を、
疎水性フィラメント糸として86dtexの丸断面のポ
リエステルフィラメントウーリー糸を用い、300回/
mで合撚し、実施例1と同様の方法で編み立て、仕上げ
加工を行い手袋を得た。
【0061】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が12.5%であり、クリーン洗浄後の重金属の
付着がなく、インナー手袋として着用した場合にもべた
つきが少なく、着用快適性に優れるものであった。
【0062】[実施例3]再生セルロースフィラメント
糸として86dtexのキュプラフィラメント糸を、疎
水性フィラメント糸として167dtexのポリトリメ
チレンテレフタレートウーリー糸を用い、300回/m
で合撚し、実施例1と同様の方法で編み立て、仕上げ加
工を行い手袋を得た。
【0063】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が9.1%であり、クリーン洗浄後の重金属の付
着がなく、インナー手袋として着用した場合、肌触り、
フィット感がよく着用快適性に非常に優れるものであっ
た。
【0064】[実施例4]実施例1で得られた複合糸
と、56dtexのポリエステルフィラメントウーリー
糸を300回/mで合撚し、実施例1と同様の方法で編
み立て、仕上げ加工を行い手袋を得た。
【0065】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が9.5%であり、クリーン洗浄後の重金属の付
着がなく、インナー手袋として着用した場合の着用快適
性に優れるものであった。
【0066】[比較例1]疎水性フィラメント糸を、5
6dtexのナイロン6フィラメントウーリー糸とした
以外は、実施例1と同様にして手袋を得た。
【0067】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が13.5%であるが、べたつきが大きく、イン
ナー手袋として着用した場合の着用快適性は劣り、クリ
ーン洗浄後の重金属の付着も見られ、着用による手あれ
も2名で生じた。
【0068】[比較例2]167dtexのポリエステ
ルフィラメントウーリー糸2本を300回/mで合撚
し、実施例1と同様の方法で編み立て、仕上げ加工を行
い手袋を得た。
【0069】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が1.3%であり、インナー手袋として着用した
場合は、蒸れ及び発汗が生じ、着用快適性に劣った。
【0070】[比較例3]111dtexのポリエステ
ルフィラメントウーリー糸にナトリウムで置換されたア
クリル酸をグラフト重合し、吸湿率8.3%の繊維を
得、該繊維を2本300回/mで合撚し、実施例1と同
様の方法で編み立て、仕上げ加工を行い手袋を得た。
【0071】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が8.3%であるが、クリーン洗浄後の重金属の
付着が見られ、着用による手あれも4名で生じた。
【0072】[比較例4]111dtexのポリエステ
ルフィラメントウーリー糸と、5%の導電カーボン繊維
を含む111dtexのポリエステルフィラメントウー
リー糸を、7:1の割合で交編し、手袋に編み立て、実
施例1と同様の方法で仕上げ加工を行い手袋を得た。
【0073】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が1.3%であり、着用した場合には、蒸れ及び
発汗が著しく、着用快適性に劣るばかりではなく、洗濯
10回後の20℃、40%RHにおける摩擦帯電圧が3
100Vで、制電性能も悪化したものであった。
【0074】[比較例5]綿番手40番の綿糸を用い
て、手袋に編み立て、実施例1と同様の方法で仕上げ加
工を行い手袋を得た。
【0075】得られた手袋は、30℃、90%RHでの
吸湿率が13%であり、着用した場合には、蒸れは低減
するものの、発汗してくるとべたつきが著しく、着用快
適性にやや劣り、手あれも2名で生じた。また、リント
の発生量は著しく多かった。
【0076】以上の実施例、比較例における評価結果
を、まとめて表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明の手袋用素材は、着用快適性、汗
処理性に優れ、洗剤の残留が少なく、蒸れやべたつきが
少なく、手あれをおこしにくいという特長を有する手袋
用素材であり、特に、リントの発生がなく、重金属を吸
着しにくく、吸湿性が高いために耐久的制電性に優れ、
汗によるイオンの発散も少ないため、クリーンルーム用
のインナー手袋として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 A41D 31/00 501N 501P 502 502C 503 503E D02G 1/02 D02G 1/02 B 3/04 3/04 3/28 3/28 Fターム(参考) 3B033 AB01 AB07 AB14 AC04 4L036 MA04 MA39 PA33 PA42 PA46 UA25

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生セルロースフィラメント糸20〜8
    0wt%と、ポリアミド糸以外の疎水性フィラメント糸
    との複合糸を用いてなり、30℃、90%RHでの吸湿
    率が9%以上であり、且つ、洗濯後の洗剤の残留量が7
    0mg/m以下である手袋用素材。
  2. 【請求項2】 べたつき指数が2以下である請求項1記
    載の手袋用素材。
  3. 【請求項3】 再生セルロースフィラメント糸がキュプ
    ラフィラメント糸であり、疎水性フィラメント糸がポリ
    エステルフィラメント糸である請求項1又は2記載の手
    袋用素材。
  4. 【請求項4】 再生セルロースフィラメント糸がキュプ
    ラフィラメント糸であり、疎水性フィラメント糸がポリ
    トリメチレンテレフタレートフィラメント糸である請求
    項1又は2記載の手袋用素材。
  5. 【請求項5】 再生セルロースフィラメント糸とポリア
    ミド糸以外の疎水性フィラメント糸が、混繊と仮撚りの
    組合せにより複合されていることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の手袋用素材。
  6. 【請求項6】 クリーン洗浄後に、重金属の付着がない
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の手袋
    用素材。
  7. 【請求項7】 洗濯10回後において、20℃、40%
    RHでの摩擦帯電圧が1500V以下であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載の手袋用素材。
  8. 【請求項8】 0.05〜5%omfの吸水系柔軟加工
    を施してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の手袋用素材。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の手袋用
    素材を用いてなる手袋。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに記載の手袋
    用素材を用いてなるインナー手袋。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1317346C (zh) * 2002-06-04 2007-05-23 富士通株式会社 建筑材料用的抗菌防污涂料以及用其涂装的建筑材料
JP2010229568A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Asahi Kasei Fibers Corp セルロース複合糸条及び織編物

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