JP2003026839A - 多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

多孔性フィルム及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透気性(空気透過性)、透湿性(水蒸気透過
性)などに優れ、しかも、優れた液に対する防漏性、浸
み出し防止性と、隠蔽性を発揮し、接着部の遮蔽性にも
優れた多孔性フィルム、およびその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 第1発明は、熱可塑性樹脂(A)、充填材
(B)、および、ひまし油(C1)とシロキサン結合を骨格と
するシリコーン類(C2)との混合物を少なくとも含む樹脂
組成物から製造され、少なくとも一軸方向に延伸され、
熱収縮率が特定の範囲にある多孔性フィルムを要旨と
し、第2発明は、第1発明に係る多孔性フィルムの製造
方法を要旨とする。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔性フィルム及
びその製造方法に関する。詳しくは、透気性(空気透過
性)、透湿性(水蒸気透過性)などに優れ、しかも、優
れた液に対する防漏性、浸み出し防止性能と隠蔽性を発
揮し、接着部の遮蔽性にも優れた多孔性フィルムおよび
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィン系樹脂および無機
充填剤を含むフィルムを一軸方向または二軸方向に延伸
し、フィルムに連通した空孔(ボイド)を発生させて多
孔性フィルムを製造する方法が多数提案されている。そ
して、この種の多孔性フィルムは衛生材料、医療用材
料、建築用材料、電池セパレーターなどの多様な用途に
使用されている。
【0003】近年、大人用の使い捨てオムツの需要が高
まっており、吸湿(水)性素材を包むバックシートにつ
き、透気化、透湿化の要求も年々高まってきている。こ
の大人用オムツは、子供用オムツに比べて、内部で局部
的に高い圧力がかかり透気性バックシートを通過して、
尿がオムツの外に漏れるケースがあり、問題となってい
る。また使い捨てナプキン用途でも、バックシートへ透
気性フィルムを用いる傾向も強まっている。ナプキン用
途はオムツに比べ、さらに高い圧力がかかるのと、血液
の表面張力が尿に比べて低いので、尿に比べて細孔から
漏れ易いという状況にある。
【0004】また、近年、ナプキン用バックシートとし
て、透気性フィルムが使用されるようになったが、ナプ
キンのバックシート用として使用する場合、吸湿(水)
性素材に吸収された経血がバックシートシートを通して
透けて見えるので、バックシートの隠蔽性を高めること
が求められてきている。また、使い捨てオムツまたはナ
プキンを人体に止着テープで固定する際、接着テープに
含まれる成分が多孔性フィルムに移行し、不透明性の多
孔性フィルムを透明化し内側が透けて見えるということ
が問題にされており、ナプキン用の場合はより深刻な問
題である。
【0005】このため、優れた防漏性、浸み出し防止性
を具備し、かつ、優れた隠蔽性を発揮し、接着部の遮蔽
性も良好な多孔性フィルムが要求されている。また、多
孔性フィルムを使い捨てオムツ、生理用品の資材として
用いた場合、人尿、血液などは洩らさず、湿気のみを通
す性能を備えた多孔性フィルムが要求されている。
【0006】上記の問題を解決する手段として、基体樹
脂に充填剤を配合し、さらに第三成分として脂肪酸アミ
ド、流動パラフィン、ソルビタン脂肪酸エステルの少な
くとも1種を添加してフィルム化する手法が提案されて
いる(例えば、特開昭62−250038号公報参
照)。本発明者らの実験によれば、これらの第三成分を
添加することにより、フィルム製造時の均一延伸性と、
得られたフィルムの柔軟性は達成され得るが、親水性液
体の浸み出し防止性、透気性、透湿性、接着部の遮蔽性
などにおいて、バランスのとれたフィルムは得られない
ことが分かった。
【0007】また、特開昭58−15538号公報に
は、第三成分として炭化水素重合体(側鎖を有するもの
も含む)として、液状ポリブタジエン、液状ポリブテ
ン、末端ヒドロキシ液状ポリブタジエンなどを添加する
例が記載されており、特開昭58−149925公報に
は、液状ポリイソプレンを添加する例が記載されている
が、本発明者らの実験によれば、このような第三成分を
添加しても、親水性液体の浸み出し防止性が低く、延伸
ムラもあり、隠蔽性も低いことが分かった。
【0008】さらにまた、登録特許1763293号公
報には、第三成分として、シリコーンオイルおよび/ま
たはポリグリセリン脂肪酸エステル界面活性剤の添加す
ること、これらを添加することによって、フィルムの柔
軟性、引張強度、引裂強度、均一延伸性、耐水圧などが
向上する旨の記載がある。しかしながら、本発明者らの
実験によれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルに関して
は、浸み出し防止性、隠蔽性が不十分であることが分か
った。シリコーンオイル場合は、上記の脂肪酸エステル
や炭化水素重合体に比べると良好な浸み出し防止性を示
すが、フィルムの配向状態、孔径、空孔率などの空孔構
造を特定の狭い範囲に制御しないと、第三成分を含む樹
脂組成が同一であっても、大幅に浸み出し防止性が低下
し、防漏性も不十分であることが分かっている。例え
ば、二軸方向に3.0倍×3.0倍に延伸したフィルム
の場合、フィルムの配向状態が等方的になるため、空孔
厚さ方向への液の連通性が高くなりすぎるばかりで
なく、孔径が大きくなりすぎるので、浸み出し防止性は
不十分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
状況に鑑み、透気性、透湿性などに優れ、優れた液に対
する防漏性、浸み出し防止性能、良好な隠蔽性を発揮
し、接着部の遮蔽性が良好な多孔性フィルム、およびそ
の製造方法を提供することを目的として、鋭意検討した
結果本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1発明では、ポリオレフィン系樹脂{(A)成分}、
充填剤{(B)成分}、および、ひまし油{(C1)成分}とシ
ロキサン結合を骨格とするシリコーン類{(C2)成分}と
の混合物{(C)成分}のそれぞれを少なくとも含む樹脂組
成物を、溶融・混練して製造された多孔性フィルムあっ
て、温度を200℃としたシリコーンオイル中に60秒
間浸漬した際の収縮率が、収縮の小さい方向が−5%〜
−40%(膨張率として5〜40%)、収縮の大さい方
向が40%〜95%であることを特徴とする多孔性フィ
ルムを提供する。
【0011】また、第2発明では、メルトインデックス
0.1〜8g/10分、密度0.89〜0.950g/cm3
の線型低密度ポリエチレン30〜100重量%と、およ
び、メルトインデックス0.1〜8g/10分、密度0.
900〜0.930g/cm3の分岐状低密度ポリエチレン
0〜70重量%との混合ポリエチレン系樹脂{(A)成分}
25〜50重量部、平均粒径が0.5〜3.0μmの無
機充填剤{(B)成分}75〜50重量部を含み、かつ、
{(A)成分}と{(B)成分}の2成分100重量部に対し
て、ひまし油{(C1)成分}とシロキサン結合を骨格とす
るシリコーン類{(C2)成分}との混合物{(C)成分}0.
1〜10重量部を、少なくとも含む樹脂組成物を溶融・
混練してフィルム状に成形し、得られたフィルムを室温
〜樹脂の軟化温度の範囲で、一軸方向にのみ1.2〜5
倍延伸することを特徴とする多孔性フィルムの製造方法
を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る多孔性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂
{以下、(A)成分と略称することがある}を基体とした
樹脂組成物から製造される。本発明においてポリオレフ
ィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブテンなどの
モノオレフィン類の重合体、および共重合体を主成分と
するものを言う。具体的には、高密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、線型(または直鎖状、以下「線型」
と記載する。)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン・プ
ロピレンブロック共重合体、ポリブテン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、およびこれらの混合物が挙げられ
る。中でも、線型低密度ポリエチレンがしなやかで強靱
であることから、特に好ましい。
【0013】線型低密度ポリエチレンは、分岐状低密度
ポリエチレンとを混合して用いるのが好ましい。線型低
密度ポリエチレンは、炭素数が3〜8個の分子骨格であ
るα−オレフィンとエチレンとの共重合体である。好ま
しい線型低密度ポリエチレンは、密度が0.890〜
0.950g/cm3、メルトインデックス(MI)が0.
1〜8g/10分の範囲のものである。密度が0.890
g/cm3未満であると、フィルムを製造する際の均一延伸
性が低下し、0.950g/cm3を超えると延伸フィルム
のソフト感が損なわれ、いずれも好ましくない。また、
メルトインデックスが0.1g/10分未満になると、フ
ィルムを製造する際に異常流動が起こり、厚さの均一な
フィルムが製造し難くなり、8g/10分を超えると均一
延伸性が悪化し、いずれも好ましくない。
【0014】分岐状低密度ポリエチレンは、エチレンを
従来から知られている高圧法での重合によって得られる
もので、メルトインデックスが0.1〜8g/10分、密
度が0.90〜0.930g/cm3のものである。メルト
インデックスが0.1g/10分未満であると、上記線型
低密度ポリエチレンと混合し難くなり、2g/10分を超
えると、均一厚さのフィルムが得られなくなり、いずれ
も好ましくない。また、密度が0.930を超えると、
均一厚さのフィルムの製造が困難となる。
【0015】線状低密度ポリエチレンは、分岐状低密度
ポリエチレンと混合物してを使用する場合は、線型低密
度ポリエチレン30〜100重量%、分岐状低密度ポリ
エチレン0〜70重量%の割合で組み合わせるのが好ま
しい。分岐状低密度ポリエチレンが30重量%を超える
と、溶融状態でのフィルムの伸びがなくなり、フィルム
に加工することが難しなり、好ましくない。上記の範囲
で特に好ましいのは、線型低密度ポリエチレン70〜9
8重量%、分岐状低密度ポリエチレン2〜30重量%の
範囲の混合物であり、とりわけ好ましいのは線型低密度
ポリエチレン70〜96重量%、分岐状低密度ポリエチ
レン4〜30重量%の範囲の混合物である。
【0016】上記のポリオレフィン系樹脂には、フィル
ムに柔軟性を付与する目的で、さらにエチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重
合体エチレンアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸共重合体などのアイオノマーや、エチレン−プロピ
レンゴム(EPR)、エチレン−ブチレンゴム(EB
M)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(E
PDM)などのオレフィン系エラストマーや、エチレン
・ビニルアルコール共重合体などを混合することができ
る。
【0017】(A)成分には、充填剤{以下、(B)成分と略
称することがある}を配合する。(B)成分は、樹脂組成
物からフィルムを製造する際に、フィルムに空孔を形成
し多孔性として透湿性を付与し、人尿、経血の浸み出し
を防止するように機能する。(B)成分葉、無機系充填
剤、有機系充填剤のいずれであってもよい。無機系充填
剤の具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸
化チタン、シリカ、タルクなどが挙げられる。有機系充
填剤の具体例としては、木粉、パルプ粉などのセルロー
ス系粉末が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシウム
および硫酸バリウムが特に好ましい。
【0018】(B)成分の平均粒径は、浸み出し防止性に
極めて大きな影響があり、平均粒径は0.5〜3.0μ
mの範囲のものとする。平均粒径が0.5μm未満であ
ると、フィルムに空孔が形成され難く、透気性、透湿性
が不十分となり、3.0μmを超えると空孔が大きくな
り過ぎて、人尿、経血の浸み出し量が多くなり、いずれ
も好ましくない。(B)成分は、(A)成分との分散性を向上
させるために表面処理が施されたものが好ましい。表面
処理剤は、(B)成分の表面を被覆することにより、凝集
を防止し、その表面を疎水化できるものが好ましく、例
えば、ステアリン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸また
はそれらの金属塩などを挙げることができる。なお、
(B)成分の平均粒径は、恒圧式透過法により測定した比
表面積(島津式粉体比表面積測定器、型式:SS−10
0を使用して測定)から算出した値を意味する。
【0019】(A)成分には、(B)成分の他にさらに、ひま
し油{(C1)成分}とシロキサン結合を骨格とするシリコ
ーン類{(C2)成分}との混合物{以下、(C)成分と略称
することがある}を配合する。(C)成分は、多孔性フィ
ルムを製造する際の加工性を改良し、多孔性フィルムの
撥水性を向上させ、多孔性フィルムに接着テープとの接
着性、良好な浸み出し防止性、遮蔽性などを付与する。
【0020】(C1)成分は、トウゴマの種子から得られる
天然の不乾性油を精製、脱水、水素添化などの操作によ
ってえられた誘導品を総称し、精製ひまし油、脱水ひま
し油、重合脱水ひまし油、吸込みひまし油、などの常温
で液状を呈するひまし油、硬化ひまし油などの常温で固
体のものも挙げられる。中でも、硬化ひまし油が好適で
ある。ひまし油は、脱水縮重合などの合成により得られ
た脂肪酸グリセリドなどの脂肪酸モノ、またはポリエス
テルなどに比べると、天然の化合物の状態で存在し、分
子内の水酸基などの官能基による水素結合や、または、
その結合に起因する結晶構造の影響により、他の油類、
一部を除く有機溶媒全般に対して、低い親和性を示し、
この性質がシロキサン結合を骨格とするシリコーン類(C
2)と組み合わされて、良好な接着性と遮蔽性、優れた浸
み出し防止性などを発揮する。
【0021】(C2)成分としては、シリコーンオイル、シ
リコーンゴム、シリコーンレジンなどが挙げられる。シ
リコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン(ジ
メチルシリコーンオイル)、ポリメチルフェニルシロキ
サン、環状ジメチルポリシロキサンのようなシロキサン
構造とアルキル基のみで構成されるものや、アルキル基
が各種の官能基で変性されたエポキシ変性シリコーンオ
イル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性
シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイ
ル、アルコール変性シリコーンオイル、メタクリル変性
シリコーンオイル、メチルスチリルシリコーンオイル、
フッ素変性シリコーンオイル、メルカプトシリコーンオ
イル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、高級脂肪
酸変性オイル類、メチルアルコキシ変性シリコーンオイ
ル類などが挙げられる。
【0022】また、シリコーンレジンとしては、通常の
ジメチルポリシロキサンの他に、トリメチルシロキシケ
イ酸のポリマー、またゴム状のシリコーンゴムとして
は、加熱架橋(HTV)のミラブルゴム、液状ゴム、室
温硬化(RTV)の液状ゴムなどが挙げられる。また、
ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共
重合体などのシロキサンシロキサン構造を有するモノマ
ー同士の共重合体やエチレン・プロピレンゴムを特殊な
ポリオルガノシロキサンで変性した変性シリコーンゴム
(SEP)なども挙げられる。
【0023】多孔性フィルム製造用の樹脂組成物は、
(A)成分25〜50重量部、(B)成分75〜50重量部を
含み、かつ、(A)成分と(B)成分の2成分100重量部に
対して、(C)成分0.1〜10重量部をそれぞれ少なく
とも含むものが好ましい。(A)成分と(B)成分とを組み合
わせる際、(B)成分が50重量部未満であると、(A)成分
と(B)成分との界面が剥離してできる隣接した空孔(ボ
イド)同士が連通しなくなり、好ましい通気性が得られ
なくなる。また、75重量部を超えると、フィルムの延
伸時の伸びがなくなり、延伸が困難になり好ましくな
い。
【0024】(C)成分は、前記のとおり、ひまし油(C1)
およびシロキサン結合を骨格とするシリコーン類(C2)の
混合物で構成される。(C)成分の添加量は、フィルム製
造時の延伸性、厚さの均一性、風合い、後加工性、風合
い、防水性、親水性、液体に対する浸み出し防止性、接
着テープとの接着性、隠蔽性などに影響を及ぼす。ひま
し油(C1)の添加量が多すぎると、多孔性フィルムが硬く
なり過ぎ、風合いが悪くなり、厚さの均一性も悪くな
る。ひまし油(C1)の添加量が少ないと、接着剤層または
粘着剤層の低分子成分に対する多孔性フィルムの濡れ性
が向上し、低分子成分が多孔性フィルムの空孔内に移行
し、接着強度が低下、多孔性フィルムが透明化して遮蔽
性が低下する。
【0025】また、シロキサン結合を骨格とするシリコ
ーン類(C2)の添加量が多すぎると、多孔性フィルムから
接着剤層または粘着剤層の低分子成分に対する多孔性フ
ィルムの濡れ性が向上し、低分子成分が多孔性フィルム
の空孔内に移行し、接着強度が低下、多孔性フィルムが
透明化して遮蔽性が低下する。シロキサン結合を骨格と
するシリコーン類(C2)の添加量が少ないと、多孔性フィ
ルムの表面の撥水性が低下し、十分な親水性液体の浸み
出し防止性が得られず、さらに多孔性フィルムの柔軟性
が損なわれ、多孔性フィルムの透明性も若干高くなり、
ナプキンのバックシートなどに使用した場合、吸湿
(水)性素材に吸収された経血がバックシートシートを
通して透けて見えるようになり、好ましくない。
【0026】上記の状況を勘案すると、(C)成分の添加
量は上記範囲が好ましい。(A)成分と(B)成分の2成分1
00重量部に対して、0.1重量部未満であると、樹脂
組成物から製造される多孔性フィルムに、十分な浸み出
し防止性、遮蔽性などを付与することができず、10重
量部を超えると多孔性フィルムの生産性が低下し、いず
れも好ましくない。特に好ましい範囲は、0.5〜5重
量部である。
【0027】(C)成分を構成するひまし油(C1)とシロキ
サン結合を骨格とするシリコーン類(C2)の割合は、(C1)
/(C2)を重量比で0.3〜3.0の範囲とするのが好ま
しい。(C1)と(C2)の合計量が同じであっても、ひまし油
(C1)の割合が少ないと、接着剤層または粘着剤層への移
行による接着性、遮蔽性が十分でない傾向があり、逆に
多くなり過ぎると、浸み出し防止性、多孔性フィルムの
隠蔽性が低下する傾向がある。
【0028】多孔性フィルム製造用の樹脂組成物は、上
記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分を少なくと
も含み、これらの他に従来から知られている各種の樹脂
添加剤、例えば、加工助剤{以下、(D)成分と略称する
ことがある}、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外
線吸収剤、中和剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電
防止剤、スリップ剤、着色剤などを配合することができ
る。これら各種の樹脂添加剤の配合量は、上記樹脂組成
物100重量部に対し、5重量部以下とするのが好まし
く、一種類でもよいし、複数を組み合わせて配合しても
よい。
【0029】加工助剤{(D)成分}としては、アミド化合
物、側鎖を有する炭化水素化合物、鉱油、ワックス類な
どが挙げられる。アミド化合物は、アミンとカルボン酸
からなる構造のモノまたはポリアミド化合物であれば特
に制限はなく、アミノ基およびカルボニル基末端を分子
内に残した化合物でも、アミド基の形で封鎖された化合
物のいずれでもよい。具体的には、ステアリン酸アミ
ド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン
酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサ
メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオク
タトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレン
ビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸
アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリル
フタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、
イプシロンカプロラクタム、およびこれらの誘導体が挙
げられる。
【0030】側鎖を有する炭化水素重合体としては、ポ
リα−オレフィン類で、炭素数4以上の側鎖を有する通
常オリゴマーに分類されるものが好ましい。具体的に
は、エチレン−プロピレンの共重合体やそのマレイン酸
誘導体(例えば、三井石油化学工業社製、商品名:ルー
カント)、イソブチレンの重合体(例えば、出光石油化
学工業社製、商品名:ポリブテンHV−100)、ブタ
ジエン、イソプレンのオリゴマーおよびその水添物、1
−ヘキセンの重合物、ポリスチレンの重合物およびこれ
らから誘導される誘導体、ヒドロキシポリブタジエンや
その水添物、末端ヒドロキシポリブタジエン水添物(三
菱化学製、商品名:ポリテールHA)、などが挙げられ
る。鉱油としては、流動パラフィン、パラフィンワック
スなどが挙げられる。
【0031】多孔性フィルム製造用の樹脂組成物を調製
するには、次のいずれかの方法によることができる。
(1)まず、(A)成分、(B)成分および(C)成分と、さらに要
すれば(D)成分などの他の樹脂添加剤を各々所定量秤量
し、各成分をドラムタンブラー、リボンブレンダー、ヘ
ンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの混合機によ
って混合物とする。ついで、一軸押出機、二軸押出機、
ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの混練機に
よって溶融・混練し、ペレット化する方法。(2)(A)成分
と(C)成分とをあらかじめ混合しておき、これに(B)成分
とさらに要すれば(D)成分などの他の樹脂添加剤を混合
・混練する方法。なお、各成分の混合物をペレット化し
ないで、混合物から本発明に係る多孔性フィルムを直接
製造することもできる。
【0032】上記樹脂組成物から多孔性フィルムを製造
するには、上記の方法で調製したペレットまたは混合物
を、押出機で溶融・混練してフィルム化する。フィルム
化するには、従来から知られている方法、例えばインフ
レーション法、Tダイ法などによって未延伸フィルムを
製造し、引き続き一方向にのみ、すなわち縦方向(フィ
ルム引き取り方向、MD)にのみ延伸したフィルムとす
る。延伸倍率は、1.2〜5.0倍が好ましい。なお、
縦方向にのみ延伸すると、MDと直角の方向(フィルム
横方向、CD)に積極的に延伸しなくても、CDに若
干、例えば1.1倍程度延伸されるのを排除するもので
はなく、本発明の第2発明に含まれる。
【0033】未延伸フィルムを延伸する際には、従来か
ら知られている方法、例えば、ロール法、テンター法、
チューブラー法などによればよい。延伸するには、室温
ないし(A)成分の軟化点(JIS−K6760に準拠し
て測定される値)の範囲で、少なくとも一軸方向に延伸
を行い、フィルム内で(A)成分と(B)成分との界面を剥離
させ、多孔質フィルムとする。延伸は、一段(同時)延
伸方式、二段以上の多段(逐次)延伸方式のいずれであ
ってもよい。
【0034】多孔性フィルムの厚さは、特に制限はない
が、10〜200μmの範囲のものが好ましい。厚さが
10μm未満であると、多孔性フィルムの強度が不十分
で後加工する際に破れ易くなり、200μmを越える
と、多孔性フィルムが硬くなり、布のようなソフト感、
良好な風合いのものが得られない。
【0035】多孔性フィルムは、空孔の最大孔径が0.
05〜0.3μmのものが好ましい。空孔は、多孔性フ
ィルムをオムツなどのバックシートとして使用した際
に、多孔性フィルムが吸湿(水)性素材に吸収された液
体をオムツの外部に漏らさず、湿気のみを通すように機
能する。空孔は、未延伸フィルムを延伸することによ
り、(A)成分と(B)成分との界面が剥離して形成される。
【0036】多孔性フィルムは、空孔率が10〜40%
の範囲が好ましい。空孔率が10%未満であると、多孔
性フィルムの通気性、透湿性が不十分で、40%を越え
ると、親水性、液体の浸み出し防止性が不十分であり、
いずれも好ましくない。
【0037】多孔性フィルムは、曲折率Wが0.4〜
4.0の範囲が好ましい。ここで曲折率Wとは、多孔性
フィルムの空孔が管状モデルとなっていると仮定した場
合、どれだけ曲がっているかという孔の厚さ方向の連通
性の指標であり、この値が小さいと厚さ方向の流路長が
短いことを意味し、この値が大きいと流路長が長いこと
を意味する。この曲折率Wは、次式により算出される。
すなわち、曲折率W(sec/100cc)={透気度(sec/100c
c)×空孔率×ピーク孔径(μm)}/膜厚(μm)。曲
折率Wが0.4未満であると、厚さ方向の流路長が短
く、人尿、経血の漏れが生じ易く、また4.0を越える
と、透気性、透湿性が著しく低下し、多孔性フィルムを
使い捨てナプキンなどの用途に使用した場合、肌の蒸れ
などが発生し易く、ともに好ましくない。
【0038】多孔性フィルムの配向状態は、温度200
℃としたシリコーンオイル中に60秒間浸漬した際の収
縮率で評価することができる。空孔の配向状態を制御す
ることは、人尿、血液などの体液の浸み出し防止性と、
透湿性(水蒸気透過性)、透気性(空気透過性)を両立
させるのに極めて重要である。温度200℃としたシリ
コーンオイル中に60秒間浸漬した際の収縮率が、収縮
が小さい方向が−5%〜−40%(膨張率として5%〜
40%)、収縮が大きい方向の収縮率が40%〜95%
であることが必要である。収縮が小さい方向とは、延伸
倍率の小さいCD方向を意味し、収縮が大きい方向と
は、延伸倍率の大きいMD方向を意味する。上記の加熱
条件で多孔性フィルムが、収縮が大きい方向が40%〜
95%、収縮が小さい方向が−5%〜−40%(膨張率
として5%〜40%)であると、浸み出し防止性、透湿
性または透気性ともに良好となる。
【0039】多孔性フィルムの空孔の最大孔径、平均孔
径、ピーク孔径、空孔率、加熱収縮率、厚さ、曲折率W
などは、(A)成分の種類、配合割合、(B)成分の種類、平
均粒径、配合割合、(C)成分の種類、配合割合、フィル
ム製造時の温度条件、延伸倍率、延伸温度などを選ぶこ
とによって容易に調節することができる。
【0040】本発明に係る多孔性フィルムは、適度の透
気性、透湿性、接着剤成分の移行に関する遮蔽性、良好
な浸み出し防止特性、隠蔽性、柔軟性を有する。そのた
め、使い捨て紙オムツ、体液吸収用パット、ベッドシー
ツなどの衛生材料、手術衣、温湿布用基材などの医療用
材料、ジャンパー、雨着などの衣料用材料、壁紙、屋根
防水材などの建築用材料、乾燥剤、防湿剤、脱酸素剤、
使い捨てカイロ、鮮度保持包装、食品包装などの包装
材、電池用セパレーターなどの産業用資材として極めて
好適に使用できる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明するため、本発明はその趣旨を越えない限り、
以下に記載の例に限定されるものではない。
【0042】以下に記載の例おいて使用した各成分は、
表−1に略称で記載したが、略称で記載したものの詳細
は次のとおりである。 (1)FW20G:(A)成分であって、密度が0.921g/c
m3、MIが1g/10分の線型低密度ポリエチレン(日本
ポリケム社製、商品名:FW20G)である。 (2)LF441:(A)成分であって、密度が0.919g/c
m3、MIが2g/10分の分岐状低密度ポリエチレン(日
本ポリケム社製、商品名:LF441)である。
【0043】(3)HC−WX:(C1)成分の硬化ひまし油
(豊国製油社製、商品名:カスターワックスHC−W
X)である。 (4)DCO:(C1)成分の脱水ひまし油(豊国製油社製、
商品名:DCO)である。 (5)TSF451−3000:(C2)成分としてのシリコ
ーンオイル(東芝GEシリコーン社製、商品名:ジメチ
ルシリコンTSF451−3000)である。 (6)HIVAC F−5:(C2)成分としてのシリコーン
オイル(信越シリコーン社製、商品名:メチルフェニル
シリコーンオイルHIVAC F−5)である。
【0044】(7)KF861:(C2)成分としてのシリコ
ーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:アミノ変性
シリコーンオイルKF861)である。 (8)B3000:(D)成分としてのポリブタジエン(日本
曹達社製、商品名:B3000)である。 (9)J−4081:(D)成分としてのテトラグリセリンス
テアレート(理研ビタミン社製、商品名:ポエムJ−4
081)である。 (10)S−95:(D)成分としてのグリセリントリ・ジステ
アレート(理研ビタミン社製、商品名:ポエムS−9
5)である。
【0045】以下に記載の例おいて、各種物性は以下に
記載の方法で評価したものである。 (a)平均粒径(μm):(B)成分につき、恒圧式透過法(島
津式粉体比表面積測定器SS−100使用)により、測
定した比表面積から算出した。試料の重量を3.0g、
試料を厚さ1.35cmとし、試料層の断面積を2cm2
空気圧力を50cmH2Oの条件下で測定し、空気の粘性
係数を181×10-6g/(cm.sec)として計算した。 (b)収縮率(%):試料の多孔性フィルムを用い、フィル
ム引き取り方向(MD)とMDに対して直角方向(T
D)を示すように線を描き、直径10cmの円形状に打ち
抜き、200℃の温度に調節したシリコーンオイルに侵
漬し、最大(MAX)収縮率と最小(MIN)収縮率(膨張率)と
を測定した。マイナス記号(−)は、膨張率を意味す
る。
【0046】(c)最大孔径、ピーク孔径(μm):コール
ター社製のポロメーターを使用し、JIS−K3832
に準拠して測定した。最大孔径は、測定した孔径分布に
おいて、大孔径側の分布の端で、孔径=0から立ち上る
ポイントの孔径である。ピーク孔径は、測定した孔径分
布において、最も単位面積当たりの孔数が多い部位での
孔径であり、多孔性フィルムでは、ほぼ平均孔径に近似
する。 (d)空孔率(%):多孔性フィルムから10cm角の試料を
切り取り、その重量w(g)と厚さt(μm)を計測
し、樹脂組成物の比重ρ(g/cm3)から、次式、すなわ
ち、空孔率(%)=[1−{w/(10×10×0.0
001×ρ)}]×100、から算出した。
【0047】(e)曲折率W(sec/100cc):次式、{透気度
(sec/100cc)×空孔率(%)×ピーク孔径(μm)/多
孔性フィルムの厚さ(μm)}、によって算出した。 (f)透気度(sec/50cc):JIS−P8117に準拠し測
定した。透気度は、数値が小さいほど空気を通過させ易
いことを意味する。 (g)浸み出しテスト(g):試料の多孔性フィルム上にコ
ットンを置き、その上から試験液(Aerosol−OTの0.
01重量%水溶液)を3cc滴下し、コットンに接触する
ように、直径60mmで重量2000gの分銅を載せて、
荷重を加え、20分間放置した後、あらかじめ、多孔性
フィルムの下に敷いてあった濾紙の重量増加分を測定
し、多孔性フィルムを通過して、浸み出した試験液の量
を測定する方法。浸み出し量は、少ないほど好ましい。
【0048】(h)全光線透過率(%):ヘーズメーター
(日本電色社製、型式:NDH−200)を使用し、J
IS-K7105に準拠して測定した。 (i)フィルム外観:試料の多孔性フィルムの均一延伸性
を、目視観察して評価した。判定基準は、延伸ムラ殆ど
認められないものを○、延伸ムラ認められるものを△、
延伸ムラ著しく認められるものを×とした。 (j)経時の接着強度(g/25mm幅):多孔性フィルムの片面
に、幅25mmの両面粘着テープ(コクヨ社製、商品名:
コクヨT−225)の片面を貼付して試料とし、この試
料を40℃、75%の恒温高湿中に1週間放置した後、
室温に戻し、残りの剥離紙を剥がし、剥がした面にガー
ゼを貼りあわせて、テンシロン引張試験機によって、粘
着面からガーゼを剥がす際の剥離応力を、JIS-Z0
237に規定される180度引き剥がし法によって測定
した。
【0049】(k)遮蔽性(%):ヘーズメーター(日本電
色社製、型式:NDH−200)を使用し、JIS−K
7105に準拠して全光線透過率T1とT2を測定し、T
1とT2の差(T1−T2)を意味する。T1は、試料の多
孔性フィルムの片表面に、幅25mmの両面粘着テープ
(コクヨ社製、商品名:コクヨT−225)の片面を貼
付し、引き続き残りの剥離紙をはがして測定した全光線
透過率である。T2は、試料の多孔性フィルムの片表面
に、幅25mm両面粘着テープ(コクヨ社製、商品名:コ
クヨT−225)の片面を貼付し、この試料を40℃、
75%の恒温高湿中に1週間放置した後、室温に戻し、
残りの剥離紙をはがした全光線透過率である。この値
は、小さい方が好ましい。
【0050】[実施例1](A)成分としてのFW20G
を30.0重量部、LF441を5.0重量部、平均粒
径が1.2μmの炭酸カルシウムを63.0重量部、H
C−WXを2重量部、TFS451−3000を2重量
部それぞれ秤量し、タンブラーミキサーによって混合し
た後、シリンダー温度を220℃に設定したタンデム型
混練押出機によって、溶融・混練してペレット化した。
このペレットを、Tダイを装着した押出成形機によっ
て、シリンダー温度を200℃に設定して溶融して無延
伸フィルムを製造した。この無延伸フィルムを、60℃
に加熱したロールと延伸ロールとの間で、引き取り方向
に延伸倍率2.0倍に一軸延伸し、厚さ25μmの多孔
性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムについて各
種物性を評価し、測定結果を表−1に示した。
【0051】[実施例2]実施例1に記載の例におい
て、(A)成分としてのFW20Gを28.5重量部、L
F441を7.0重量部に変更し、(C)成分をDCO
1.5重量部と、HIVACF−5を1.4重量部との
混合物に変更した他は、同例におけると同様の手順で多
孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムについて
各種物性を評価し、測定結果を表−1に示した。
【0052】[実施例3]実施例1に記載の例におい
て、(C)成分をHC−WX3重量部と、KF861を1
重量部との混合物に変更した他は、同例におけると同様
の手順で多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィル
ムについて各種物性を評価し、測定結果を表−1に示し
た。
【0053】[比較例1]実施例1に記載の例におい
て、(C1)成分をなくし、(C2)成分をTFS451−30
00を4重量部に変更した他は、同例におけると同様の
手順でペレット化し、同例に記載したと同様の手順で多
孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムについて
各種物性を評価し、測定結果を表−1に示した。
【0054】[比較例2]実施例2に記載の例におい
て、(C2)成分をなくし、(C1)成分のHC−WXを4.5
重量部に変更した他は、同例におけると同様の手順でペ
レット化し、同例に記載したと同様の手順で多孔性フィ
ルムを得た。得られた多孔性フィルムについて各種物性
を評価し、測定結果を表−1に示した。
【0055】[比較例3]実施例1に記載の例におい
て、(C1)成分のHC−WXを2重量部、(D)成分のB−
3000を4重量部の混合物に変更した他は、同例にお
けると同様の手順でペレット化し、同例に記載したのと
同様の手順で多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フ
ィルムについて各種物性を評価し、測定結果を表−1に
示した。
【0056】[比較例4]実施例1に記載の例におい
て、(C1)成分のHC−WXを2重量部、(D)成分のJ−
4081を2重量部の混合物に変更した他は、同例にお
けると同様の手順でペレット化し、同例に記載したと同
様の手順で多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィ
ルムについて各種物性を評価し、測定結果を表−2に示
した。
【0057】[比較例5]実施例1に記載の例におい
て、(C2)成分のTSF451−3000を2重量部と、
S−95を2重量部の混合物に変更した他は、同例に記
載したのと同様の手順で多孔性フィルムを得た。得られ
た多孔性フィルムについて各種物性を評価し、測定結果
を表−2に示した。
【0058】[比較例6]実施例1に記載の例におい
て、同例に記載したのと同様の手順でペレット化し、こ
のペレットから、同例におけると同様の手順で無延伸フ
ィルムを製造した。この無延伸フィルムを60℃に加熱
したロールと延伸ロールとの間で、引き取り方向に延伸
倍率1.3倍延伸したあと、テンター式延伸機で引き取
り方向に直角方向に1.2倍延伸した。得られた多孔性
フィルムについて各種物性を評価し、測定結果を表−2
に示した。
【0059】[比較例7]実施例1に記載の例におい
て、延伸倍率を5.2に代えた他は、同例に記載したの
と同様の手順で多孔性フィルムを得た。得られた多孔性
フィルムについて各種物性を評価し、測定結果を表−2
に示した。
【0060】[比較例8]実施例1に記載の例におい
て、延伸倍率を1.1に代えた他は、同例に記載したの
と同様の手順で多孔性フィルムを得た。得られた多孔性
フィルムについて各種物性を評価し、測定結果を表−2
に示した。
【0061】[比較例9]比較例8に記載の例におい
て、(B)成分を平均粒径が3.6μmの炭酸カルシウム
にえた他は、同例に記載したのと同様の手順で多孔性フ
ィルムを得た。得られた多孔性フィルムについて各種物
性を評価し、測定結果を表−2に示した。
【0062】[比較例10]比較例9に記載の例におい
て、延伸倍率を2.0に代えた他は、同例に記載したの
と同様の手順で多孔性フィルムを得た。得られた多孔性
フィルムについて各種物性を評価し、測定結果を表−2
に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】表−1および表−2より、次のことが明ら
かとなる。 (1)(A)成分、(B)成分、および(C)成分を2種類{(C1)お
よび(C2)}を含み、収縮率が請求項1の要件を満たす多
孔性フィルムは、透気度、浸み出し防止性、隠蔽性およ
び接着部の隠蔽性などが優れている(実施例1〜実施例
3参照)。 (2)これに対して、(A)成分と(B)成分を含み、(C)成分の
うち(C1)成分を含まず(C2)成分を多く含むものは、経時
の接着強度が低く、遮蔽性にも劣る(比較例1参照)。
【0066】(3)また、(C)成分のうち(C1)のみを多く含
み(C2)成分を含まないフィルムは、浸み出し防止性と外
観が劣る(比較例2〜比較例参照)。また、(C2)と他
の(D)成分とを組み合わせても、(C1)を含まないフィル
ムは、経時の接着性、隠蔽性が劣る(比較例5参照)。 (4)二軸延伸したフィルムは延伸倍率が小さくても、収
縮率が請求項1の要件を満たさず、最大孔径が好ましい
範囲外であり、浸み出し量が多い(比較例6参照)。 (5)(A)成分、(B)成分、および(C)成分を2種類{(C1)お
よび(C2)}を含んでいても、延伸倍率が好ましい範囲よ
り大きいフィルムは、熱収縮性が好ましい範囲外とな
り、空孔率が好ましい範囲より大きくなり、透気度が低
く、経時の接着強度が極端に劣る(比較例7参照)。
【0067】(6)(A)成分、(B)成分、および(C)成分を2
種類{(C1)および(C2)}を含んでいても、延伸倍率が好
ましい範囲より小さいフィルムは、熱収縮性が好ましい
範囲外となり、空孔率、曲折率Wが好ましい範囲より小
さいので、通気性が劣る(比較例8参照)。 (7)(B)成分が請求項1で規定する範囲より大きい平均粒
径のものを配合し、好ましい範囲より小さい倍率で延伸
したフィルムは、熱収縮性が好ましい範囲外となり、空
孔率が小さく、浸み出し防止性、隠蔽性が劣る(比較例
9参照)。 (8)(B)成分が請求項1で規定する範囲より大きい平均粒
径のものを配合し、好ましい倍率で延伸したフィルム
は、透気度が極端に大きくなり好ましくない(比較例1
0参照)。
【0068】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る多孔性フィルムは、染み出し防止性、
通気性、接着性、遮蔽性、隠蔽性の優れた多孔性フィル
ムである。 2.本発明に係る多孔性フィルムは、染み出し防止性、
通気性、接着性、遮蔽性、隠蔽性の優れ、下着または他
の部材との接着部の粘着剤の染み込みによって透明化し
難く、外観も隠蔽性も高いので、人尿や血液が漏れ難
く、紙おむつ、ナプキンのなどの吸湿(水)性素材を包
む透湿性バックシートとしての用途に好適である。 3.本発明に係る多孔性フィルムの製造方法によれば、
透湿度、浸み出し防止性、隠蔽性、および接着部の隠蔽
性などが優れた多孔性フィルムを、安定的に製造するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:04 B29K 105:04 105:16 105:16 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 川合 豊 滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂 株式会社長浜工場内 (72)発明者 辻井 昌儀 滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂 株式会社長浜工場内 Fターム(参考) 4F074 AA18 AA20 AA22 AA24 AA25 AA26 AA90 AB05 AG01 CA02 DA22 DA59 4F210 AA03 AA08 AA33 AB11 AB16 AG01 AG20 AH66 AR06 QC01 QC02 QD13 QG01 QG18 4J002 AE053 BB031 BB032 BB061 BB121 BB151 BB171 CP034 DE076 DE106 DE136 DE146 DE236 DG046 DG056 DJ016

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂{(A)成分}、充填
    剤{(B)成分}、および、ひまし油{(C1)成分}とシロキ
    サン結合を骨格とするシリコーン類{(C2)成分}との混
    合物{(C)成分}のそれぞれを少なくとも含む樹脂組成物
    を、溶融・混練して製造された多孔性フィルムあって、
    温度を200℃としたシリコーンオイル中に60秒間浸
    漬した際の収縮率が、収縮の小さい方向が−5%〜−4
    0%(膨張率として5〜40%)、収縮の大さい方向が
    40%〜95%であることを特徴とする多孔性フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 樹脂組成物が、ポリオレフィン系樹脂
    {(A)成分}25〜50重量部、充填剤{(B)成分}75〜
    50重量部を含み、かつ、{(A)成分}と{(B)成分}の2
    成分100重量部に対して、ひまし油{(C1)成分}とシ
    ロキサン結合を骨格とするシリコーン類{(C2)成分}と
    の混合物{(C)成分}0.1〜10重量部のそれぞれを少
    なくとも含むものである、請求項1に記載の多孔性フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂{(A)成分}が、メ
    ルトインデックス0.1〜8g/10分、密度0.89〜
    0.950g/cm3の線型低密度ポリエチレン30〜10
    0重量%と、および、メルトインデックス0.1〜8g/
    10分、密度0.900〜0.930g/cm3の分岐状低
    密度ポリエチレン0〜70重量%との混合物である、請
    求項1または請求項2に記載の多孔性フィルム。
  4. 【請求項4】 ひまし油{(C1)成分}が硬化ひまし油で
    あり、シロキサン結合を骨格とするシリコーン類{(C2)
    成分}がシリコーンオイルである、請求項1ないし請求
    項3のいずれか一項に記載の多孔性フィルム。
  5. 【請求項5】 シリコーンオイルが、ジメチルポリシロ
    キサン(ジメチルシリコーン)である、請求項4に記載
    の多孔性フィルム。
  6. 【請求項6】 多孔性フィルムが、樹脂組成物を、溶融
    ・混練してフィルム状に成形し、得られたフィルムを室
    温〜樹脂の軟化温度の範囲において、一軸方向にのみ
    1.2〜5倍延伸されたものである、請求項1ないし請
    求項5のいずれか一項に記載の多孔性フィルム。
  7. 【請求項7】 多孔性フィルムが、最大孔径が0.05
    〜0.3μm、空孔率が10〜40%、曲折率が0.4
    〜4.0である、請求項1ないし請求項6のいずれか一
    項に記載の多孔性フィルム。
  8. 【請求項8】 多孔性フィルムが、厚さが10〜200
    μmである、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に
    記載の多孔性フィルム。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれか一項
    に記載の多孔性フィルムを、構成要素とする使い捨てナ
    プキン用バックシート。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項8のいずれか一
    項に記載の多孔性フィルムを、構成要素とする使い捨て
    オムツ用バックシート。
  11. 【請求項11】 メルトインデックス0.1〜8g/10
    分、密度0.89〜0.950g/cm3の線型低密度ポリ
    エチレン30〜100重量%と、および、メルトインデ
    ックス0.1〜8g/10、密度0.900〜0.93
    0g/cm3の分岐状低密度ポリエチレン0〜70重量%と
    の混合ポリエチレン系樹脂{(A)成分}25〜50重量
    部、平均粒径が0.5〜3.0μmの無機充填剤{(B)成
    分}75〜50重量部を含み、かつ、{(A)成分}と{(B)
    成分}の2成分100重量部に対して、ひまし油{(C1)
    成分}とシロキサン結合を骨格とするシリコーン類{(C
    2)成分}との混合物{(C)成分}0.1〜10重量部、を
    少なくとも含む樹脂組成物を溶融・混練してフィルム状
    に成形し、得られたフィルムを室温〜樹脂の軟化温度の
    範囲で、一軸方向にのみ1.2〜5倍延伸することを特
    徴とする多孔性フィルムの製造方法。
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