JP2003026432A - 光学素子の成形装置 - Google Patents

光学素子の成形装置

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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B11/12Cooling, heating, or insulating the plunger, the mould, or the glass-pressing machine; cooling or heating of the glass in the mould
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形温度に速く到達させて成形サイクルを短
縮すること。 【解決手段】 上型1の背部のプレス軸11の内部に対
して、パッケージヒータ6を収納し、下型2の背部のプ
レス軸12の内部に対して、パッケージヒータ7を収納
する。上型1の内部には温度検出器としての熱電対9を
設け、この熱電対の検出信号をパッケージヒータ6の電
源から供給する電流のフィードバック信号として、上型
1の温度を制御する。同じく、下型1の内部に熱電対1
0を設け、この熱電対10でパッケージヒータ7の出力
を制御する。下胴型4と比べてより速く高温となる上胴
型3の側面に対して、熱電対8を取り付け、赤外線ラン
プヒータ5の出力を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱によって軟化
したガラス素材を、一組の成形用型によってプレスする
ことにより、非球面レンズなどの高精度の光学素子を成
形する光学素子の成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学素子の成形装置における成形
型及びガラス素材の加熱手段として、特登録02811
239号に開示されているように、赤外線ランプを成形
型の外周に配置した成形装置が広く採用されている。
【0003】この特登録02811239号では、赤外
線ランプを上下の型にそれぞれ対応させて上下に配置
し、この各赤外線ランプの発熱量を個別に制御すること
によって、上下の型の温度の制御性に自由度を持たせて
いる。
【0004】また、各赤外線ランプは、成形型に対して
上下方向に移動可能であり、ガラス素材の供給時や成形
品の取出し時には、成形品の搬送装置と干渉しないよう
に型の上部に待避させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな加熱制御方法を採用した成形装置では、以下のよう
な問題がある。
【0006】たとえ、赤外線ランプを上下の型にそれぞ
れ対応させて配置しても、上下の赤外線ランプの熱エネ
ルギーは、完全に上下に個別に分離されることはなく、
上型に対応した赤外線ランプの熱エネルギーの一部が下
型に伝達されて、同じく、下型に対応した赤外線ランプ
の熱エネルギーの一部が上型に伝達される。このため、
その熱エネルギーがそれぞれの赤外線ランプの制御に対
する外乱となり、目標の温度に安定させる制御が非常に
困難となる。
【0007】したがって、この解決手段として、次の二
通りの方法が考えられる。
【0008】1.上下の型をプレス軸に取り付けた状態
の上下の型の熱収支が同等になるように、上下の型の熱
容量(体積)を調整し、さらに、赤外線ランプの上下の
出力を等しくし、できるだけ上記外乱の影響を抑える。
【0009】2.赤外線ランプの出力を制御する温度調
節計の制御パラメーターであるPID(比例+積分+微
分)制御の定数を適当な値に調整する。
【0010】しかし、このうち、前者の方法を採用して
制御する方法は実際には至難であり、仮にできたとして
も、金型の設計の自由度がなくなり、多品種の製品の成
形型に採用することはできない。また、後者の方法は、
赤外線ランプの発熱量を早い段階で絞らなければならな
いので、赤外線ランプの定格容量を効率よく使うことが
できない。結局は、目標の温度に安定させるための制御
時間が長くなり、その結果、成形サイクルが延びる。
【0011】さらに、ガラス素子の供給及び成形終了後
の成形品の取り出しのためには、赤外線ランプユニット
は、次工程の設備の配置上成形型の上部に待避させるた
め、その間は成形型の温度が大幅に下がる。したがっ
て、次のガラス素材の成形のために加熱すべき温度幅が
増えて、これ又成形サイクルが長くなる。
【0012】本発明は、上述した課題に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、上下の型の熱容
量や形状の如何にかかわらず、目標温度に速く、且つ、
安定して到達させ成形サイクルを短縮することのできる
光学素子の成形を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明の光学素子の成形装置で
は、上型及び下型の背部にそれぞれパッケージヒータを
設け、このパッケージヒータを制御する温度検出器を上
型及び下型の内部に設け、共通の加熱源の出力を制御す
る温度検出器を上型又は下型のうちのより速く高温とな
る側の型の表面に設ける。
【0014】なお、共通の加熱源の設定温度Tlと前記
パッケージヒータの設定温度Tpの関係をTl≦Tpと
することが好ましく、下型に供給されるガラス素材の供
給信号及びガラス素材の成形品の取出し信号により、パ
ッケージヒータの設定温度を成形品の搬出温度に制御す
るのが好ましい。
【0015】すなわち、赤外線ランプの出力の制御は2
系統とせず1系統で制御する。しかも、赤外線ランプの
制御用のフィードバック信号を検出する温度センサが型
の表面に設置されているため、赤外線ランプの通電電流
の制御量と型の表面の温度との応答が早くなり、制御性
が向上する。
【0016】なお、上下の型の熱容量に差があって、相
互間に温度差が発生した場合でも、より速く高温となる
側の型に対して、赤外線ランプの通電電流を制御する温
度センサを取り付けることで、他方の型が目標温度を超
過することを防ぐ。
【0017】さらに、上下の型の温度差は各型の背面に
設置したパッケージヒータで補い、各パッケージヒータ
の出力は、型の内部に設置した温度センサで制御する。
【0018】上下の型の表面温度θfと型の内部温度θ
iの関係は、θf>θiとなるので、赤外線ランプの設
定温度Tlとパッケージヒータの設定温度Tpの関係を
Tl≦Tpとすることで、設定温度域の赤外線ランプと
パッケージヒータとの熱的干渉を解消する。
【0019】なお、パッケージヒータは、型の背面から
型に熱を伝えるので、上下のパッケージヒータの間で熱
的に干渉することはない。さらに、加熱時には赤外線ラ
ンプヒータとパッケージヒータの双方で加熱するので、
ランプヒータのみの場合よりも加熱速度は速い。
【0020】さらに、ガラス素材の成形型への供給及び
成形されたガラス素子の成形型からの取り出し時には、
上下の型の背面に設けたパッケージヒータにより、上下
の型の温度をそれぞれ個別に加熱するので、次の素材の
成形のための加熱温度を減らすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光学素子の成形装
置の一実施の形態を図1を参照して詳細に説明する。
【0022】図1は、成形装置の成形部を示す縦断面図
であり、不活性ガスが充填された成形室(図示せず)に
納められている。
【0023】図1において、上下に対置する上型1と下
型2の対向面には、凸レンズの曲面が転写されてガラス
素材13が成形される光学機能面が形成されており、上
型1は上胴型3に保持され、下型2は下胴型4によって
保持される。
【0024】以下、上型1と上胴型3とで上型ユニット
と呼び、下型2と下胴型4とで下型ユニットと呼ぶ。本
実施の形態の上型ユニットは4kg弱、下型ユニットは
6kg強となっていて、下型ユニットの熱容量は、上型
ユニットの1.5倍となっている。
【0025】円筒状の赤外線ランプヒータ5は20kW
であり、上下の型ユニットの外周に同軸に設置される。
上型1の背面側には、略各凸字状のプレス軸11が設け
られており、このプレス軸11の下面に上胴型3が固定
される。同様に、下型2の背面側となる下方にプレス軸
12が対称に設けられていて、このプレス軸12の上面
に下胴型4が固定される。
【0026】このうち、上方のプレス軸11の下部にパ
ッケージヒータ6が収納され、下側のプレス軸12の上
部にパッケージヒータ7が収納されており、各パッケー
ジヒータ6,7の定格は2kWである。これらのパッケ
ージヒータ6,7は、チッカ珪素セラミックスからなる
一対のプレートの間に抵抗線6a,7aを挟んだ簡単な
構造になっている。
【0027】上下のプレス軸11,12は、同一軸心上
に成形機に組み込まれており、この成形機によって上方
のプレス軸11は上方から下降する。
【0028】上胴8の側面に対して、熱電対8が固定さ
れており、この熱電対8の検出信号をフィードバック信
号として赤外線ランプヒータ5の電源の出力(電流)が
制御される。一方、上型1の内部に対して熱電対9が設
けられ、同様に下型2の内部に熱電対10が設けられて
おり、このうち、上型10の熱電対9は、パッケージヒ
ータ6の電源の電流を制御するフィードバック信号とな
り、下型2の熱電対10は、プレス軸12に収納された
パッケージヒータ7の電源から供給される電流を制御す
るフィードバック信号となる。
【0029】ここで、上胴型3にのみ熱電対8を設けた
理由は、上胴型3の熱容量が下胴型4のそれよりも小
で、かつ、上下のパッケージヒータ6,7の容量は等し
く、その結果、赤外線ランプヒータ5による加熱で上胴
型3の温度が下胴型4よりも高くなるからである。
【0030】次に、本発明の光学素子の成形装置による
光学素子の成形方法の一例を説明する。
【0031】発明者が実施した成形対象は、直径が28
mmの凸メニスレンズであり、ガラス素材には、ホウケ
イ酸ガラスSK12(nd=1.58313、νd=5
9.4、転移点Tg=550℃、屈伏点At=588
℃)を採用した。
【0032】各部の設定温度は、ランプヒータ5を制御
する上胴型3の表面温度Tlが620℃、上型1の背面
のパッケージヒータ6を制御する温度Tp(上)が62
5℃、下型2の背面のパッケージヒータ7を制御する温
度Tp(下)が625℃である。
【0033】まず、図1に示すように、下型2にガラス
素材13が載置された状態で各ヒータによる加熱を開始
した。その結果、上胴型3は約1分で設定温度に到達
し、上型1及び下型2は約1分30秒で設定温度に到達
した。また、その後の温度も変動することなく安定的に
持続させることができた。
【0034】その後、プレス軸11を介して荷重500
kgfで1分間加圧した後ランプヒータ5及び各パッケ
ージヒータ6,7への通電を停止して上下の型ユニット
を冷却した。
【0035】上型1及び下型2の温度が530℃に冷却
した時点で、ランプヒータ5を図示しない昇降ユニット
で上昇させ、以下、図示しないガラス取り置きユニット
によって成形品を取り出し、新たにガラス素材を投入す
る。
【0036】この際、パッケージヒータ6,7によっ
て、上型1及び下型2の温度をそれぞれ530℃に保持
するように各ヒータの電流を自動制御している。したが
って、次の成形サイクルも530℃から開始することが
できる。
【0037】このように構成された成形装置によれば、
従来の成形装置において、成形後の成形品の取り出し時
及びガラス素材の供給並びにガラス取り置き時に型の温
度が下降する事態を回避することができ、成形温度幅を
減らし、成形サイクルを短縮することができる。更に、
万一、搬送機による成形品の取り出しミスが発生した場
合でも、型の温度の更なる低下を防ぐことができ、成形
サイクルを維持することができる。
【0038】なお、上記一実施の形態においては、上胴
型3に熱電対8を設けた例で説明したが、成形品の形状
が上下非対称などの場合に、上胴型3の熱容量よりも下
胴型4の熱容量が小さくて、下胴型4の温度の方が速く
高くなるときには、この下胴型4の側面にのみ熱電対8
を設けてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、上
型及び下型の背部にそれぞれパッケージヒータを設け、
このパッケージヒータを制御する温度検出器を上型及び
下型の内部に設け、共通の加熱源の出力を制御する温度
検出器を上型又は下型のうちのより速く高温となる側の
型の表面に設けることで、上下の型ユニットの熱容量に
差があっても目標温度に速く安定到達させることがで
き、加熱開始温度が常に一定に確保でき、加熱温度幅を
最低限に保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学ガラス素子成形装置の実施例であ
る。
【符号の説明】
1 上型 2 下型 3,4 胴型 5 赤外線ランプヒータ 6,7 パッケージヒータ 8,9,10 熱電対 11,12 プレス軸

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上型及び下型を共通の加熱源によって加
    熱する光学素子の成形装置において、前記上型及び下型
    の背部にそれぞれパッケージヒータを設け、このパッケ
    ージヒータを制御する温度検出器を前記上型及び下型の
    内部に設け、前記共通の加熱源の出力を制御する温度検
    出器を前記上型又は下型のうちのより速く高温となる側
    の型の表面に設けたことを特徴とする光学素子の成形装
    置。
  2. 【請求項2】 前記共通の加熱源の設定温度Tlと前記
    パッケージヒータの設定温度Tpの関係をTl≦Tpと
    したことを特徴とする請求項1記載の光学素子の成形装
    置。
  3. 【請求項3】 前記下型に供給されるガラス素材の供給
    信号及び前記ガラス素材の成形品の取出し信号により、
    前記パッケージヒータの設定温度を前記成形品の搬出温
    度に制御したことを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載の光学素子の成形装置。
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