JP2003025338A - 光学材料の製造方法 - Google Patents

光学材料の製造方法

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JP2003025338A JP2001220537A JP2001220537A JP2003025338A JP 2003025338 A JP2003025338 A JP 2003025338A JP 2001220537 A JP2001220537 A JP 2001220537A JP 2001220537 A JP2001220537 A JP 2001220537A JP 2003025338 A JP2003025338 A JP 2003025338A
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polysilane
light
optical material
mixture
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JP2001220537A
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Seizo Miyata
清蔵 宮田
Denshin Yana
傳信 梁
Shiyodo To
緒堂 陶
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム形状や、ファイバ、レンズなどの種
々の形状への成形性に優れ、かつ機械的強度を向上させ
ることができ、また製造コストも安い、新規なポリシラ
ン系光学材料の製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリシランと250〜400nmに吸収
を有する低分子物質とを含む混合物を所定形状に成形す
る工程と、成形した前記混合物に光照射し前記ポリシラ
ンを前記低分子物質を介して架橋させる工程とを備える
光学材料の製造方法からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学材料の製造方
法に関する。さらに詳しくは、光導波路、光回折格子
(ファイバグレーティング)、光メモリ、光ファイバ、
レンズなどの各種光学デバイスとして利用される光学材
料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ファイバ、レンズ等に用いられ
る光学材料として、各種のポリマー材料が広く知られて
いる。しかしながら、ポリマー材料の耐熱性は一般的に
低く、例えば、代表的な光学材料であるポリメタクリル
酸メチル(PMMA)では熱変形温度が100℃程度で
あり、さらなる耐熱性の向上が強く望まれていた。この
ような状況の中、最近では、主鎖がSi-Si結合から構成
されたポリシランが注目されている。ポリシランは、耐
熱性に優れるとともに、紫外線を照射することによって
光化学反応を誘起し屈折率を大きく減少させることがで
きるため、これを利用して部分的に屈折率を減少させ、
光導波路や光回折格子、あるいは光メモリなどを製造す
ることができる。
【0003】例えば、特開平6−222234号公報に
は、直鎖状のポリシランを、この直鎖状のポリシランよ
り屈折率の小さい基板上に積層し、前記ポリシランのコ
アに該当する箇所にマスクを施し、前記ポリシランに光
を照射して前記マスクを施していない箇所をクラッドと
して屈折率を変化させる光導波路の製造方法が開示され
ている。また、特開平7−92313号公報には、ポリ
シランからなるコアを具備した光ファイバー構造をな
し、光の照射により前記コアに周期的な屈折率変化を与
えることによって、光ファイバー型回折格子(ファイバ
グレーティング)を作製する技術が開示されている。さ
らに、特開平11−287916号公報は、光導波路の
コアを横切るように切り込み溝を形成し、その切り込み
溝内にアモルファス状有機ポリシランを充填し、そのポ
リシランに光照射して屈折率を変化させることにより、
非対称マッハツェンダー型干渉計の位相調整を行うもの
である。
【0004】しかしながら、一般にポリシランは、平均
分子量が1万以上のものを得るのが困難であり、そのた
め、成形体の機械的強度がほとんど得られず、上記のよ
うにポリシラン単独で光導波路や光回折格子を作製して
も、容易に破断してしまって実用的でないという欠点が
あった。
【0005】そこで本発明者は、ポリシランの機械的強
度を向上させるため、モノマーであるメチルフェニルジ
クロロシランを重合させる際に、ビニルフェニルジクロ
ロシランを10wt%加え、トルエン中ナトリウム存在
下で脱塩縮合を試みたところ、架橋反応によって機械的
強度が非常に高い硬化体を得た。しかしながら、得られ
た硬化体は不溶不融であり、成形性がないという不都合
があった。そのため、成形性を維持しつつ、機械的強度
を向上させることができる技術の開発が望まれた。
【0006】また、その他の従来技術として、特開平5
−25282号公報には、メチルフェニルジクロロシラ
ンに対してモル分率でフェニルトリクロロシランを0.
01から0.50を存在させ、金属ナトリウム存在下脱
塩縮合して有機シリコン高分子共重合体を製造し、その
共重合体からなる薄膜に紫外線を照射して光導波路を作
製する技術が開示されている。さらに、特許第2931
979号には、ジメチルシラン単位Aとメチルプロピル
シラン単位Bとからなり、該ジメチルシラン単位Aの含
有量[A]と該メチルプロピルシランBの含有量[B]との
重量比[A]/[B]が3/7〜6/4の範囲にあり、かつ
その数平均分子量が50,000以上である共重合ポリ
シラン、およびその共重合ポリシランからなる延伸フィ
ルムが開示されている。これらの技術は、いずれも共重
合反応を伴うため、生産工程が煩雑となり、製造コスト
がかかって製品が高価になるという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
ポリシランを利用した光学材料には、機械的強度と成形
性とを同時に満足するものがなく、また製造コストも高
いという問題があった。そこで本発明は、上記従来の状
況に鑑み、フィルム形状や、ファイバ、レンズなどの種
々の形状への成形性に優れ、かつ機械的強度を向上させ
ることができ、また製造コストも安い、新規なポリシラ
ン系光学材料の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の光学材料の製造方法は、請求項1として、
ポリシランと250〜400nmに吸収を有する低分子
物質とを含む混合物を所定形状に成形する工程と、成形
した前記混合物に光照射し前記ポリシランを前記低分子
物質を介して架橋させる工程とを備えることを特徴とす
る。
【0009】上記手段によれば、混合物が適宜手段によ
り所望の形状に成形された後、光照射され、照射した領
域に低分子物質を介してポリシランの架橋反応が起こ
り、機械的強度が向上する。これにより、従来機械的強
度がないために不可能とされていた比較的大きい成形体
(例えば厚いフィルム)を製造することが可能となる。
【0010】また、請求項2は、請求項1記載の製造方
法において、光照射により架橋させると同時にポリシラ
ンの分極率を小さくし、混合物の屈折率を減少させるこ
とを特徴とする。
【0011】上記手段によれば、ポリシランの光化学反
応が誘起されて分極率が小さくなり、それに伴い屈折率
が減少する。光照射した領域の屈折率のみが変化するた
め、光導波路や光回折格子の作製に好適に利用される。
【0012】また、請求項3は、請求項1又は2記載の
製造方法において、架橋させる工程とは別に、架橋させ
る光よりも短波長の光を照射してポリシランの分極率を
小さくし、混合物の屈折率を減少させる工程を備えるこ
とを特徴とする。
【0013】上記手段によれば、屈折率を減少させるた
めに、より効果的な波長が選択され、架橋させる工程と
は別の工程として、改めて屈折率の制御が行われる。
【0014】また、請求項4は、請求項1〜3のいずれ
か記載の製造方法において、ポリシランと低分子物質と
の混合割合が、ポリシラン100重量部に対し低分子物
質0.1〜50重量部であることを特徴とする。
【0015】上記手段によれば、機械的強度と成形性・
透明性とのバランスを考慮し、ポリシランと低分子物質
との混合割合が最適化される。
【0016】また、請求項5は、請求項1〜4のいずれ
か記載の製造方法において、ポリシランが、ポリメチル
フェニルシラン、ポリジフェニルシラン、ポリジビフェ
ニルシラン、またはポリアルキルナフチルシランから選
ばれる一以上であることを特徴とする。
【0017】上記手段によれば、耐熱性、透明性、およ
び光に対する反応性などの観点から、ポリシランの具体
的な構造が最適化される。
【0018】さらに、請求項6は、請求項1〜5のいず
れか記載の製造方法において、低分子物質が、9-ビニル
アントラセン、9-ビニルカルバゾール、2-ビニルナフタ
レン、臭化ビニルトリフェニルホスホニウム、3,9-ジビ
ニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
トリス[2-(アクリロキシ)エチル]イソシアネートから選
ばれる一以上であることを特徴とする。
【0019】上記手段によれば、光に対する反応性など
の観点から、低分子物質の具体的な構造が最適化され
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の光学材料の製造方法は、ポリシランと低
分子物質とを含む混合物を所定形状に成形する工程と、
成形した混合物に光照射し、ポリシランを低分子物質を
介して架橋させる工程とを備えて概略構成される。
【0021】まず、ポリシランは、主鎖がSi-Si結合か
ら構成されたポリマーであり、以下の(化1)の一般式
で表される。なお、ポリシランは、直鎖状、枝分かれ状
のいずれも適用可能であるが、枝分かれの方がより好ま
しい。また、ポリシランのガラス転移温度Tgは、得ら
れる光学材料が高温条件下でも安定した光学特性を維持
できるように、100〜150℃程度であることが好ま
しい。
【0022】
【化1】
【0023】上記(化1)において、置換基R1、および
R2は、特に限定されるものではなく、ポリシランの耐熱
性、透明性、および光に対する反応性などを考慮して適
宜決定される。具体例として、メチル基、エチル基、n-
プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル
基、n-ヘキシル基、c-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オ
クチル基、n-デシル基、n-テトラデシル基、n-ドデシル
基、2-(3-シクロヘキセニル)エチル基、フェニル基、
フェニルエチレン基、p-t-ブチルフェニル基、2,4,5-ト
リメチルフェニル基、ベンジル基、p-メトキシフェニル
基、p-n-オクトキシフェニル基、p-ジメチルアミノフェ
ニル基、3-ヒドロフェニルメチルエチレン基、p-メトキ
シフェニルプロピル基、β-ナフチル基、p-ビフェニル
基、p-トシル基、トリメチルシリル基、p-トリメチルシ
リルフェニル基、p-(トリメチルシリル)メチルフェニ
ル基、などを挙げることができる。その中でも特に、
R1、R2がそれぞれフェニル基、メチル基であるポリメチ
ルフェニルシラン、フェニル基、フェニル基であるポリ
ジフェニルシラン、ビフェニル基、ビフェニル基である
ポリジビフェニルシラン、アルキル基、ナフチル基であ
るポリアルキルナフチルシランは、耐熱性が良好である
ため好適に用いられる。なお、本発明の光学材料は、安
価に製造できることを特徴の一つとするので、ポリシラ
ンはホモポリマーであることが望ましいが、場合によっ
ては複数種のシランモノマーからなる共重合体を用いる
こともできる。
【0024】ポリシランの分子量は、小さ過ぎると、架
橋しても十分な力学特性が得られないため、ひび割れが
起こりやすく、デバイス化ができない。逆に分子量が大
き過ぎると、成形性や透明性が低下するため好ましくな
い。したがって、これらのバランスを考慮して適宜設定
される。具体的には、重量平均分子量で5×103〜1
×105程度が適当であり、好ましくは1×104〜8×
104である。
【0025】上記ポリシランを合成するに際しては、上
述のような種々の置換基を有するモノマーを原料とし
て、従来知られた方法を適宜採用して行われる。具体例
としては、アルカリ金属の存在下にクロロシラン類を脱
塩素重縮合させる方法(キッピング法)、電極還元によ
りクロロシラン類を脱塩素重縮合させる方法、金属触媒
の存在下にヒドロシラン類を脱水素重縮合させる方法、
ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合に
よる方法、環状シラン類の開環重合による方法などを挙
げることができる。
【0026】次に、本発明で用いる低分子物質は、25
0〜400nmの領域に吸収を有することを特徴とす
る。これにより、ポリシランと低分子物質との混合物に
対して上記波長範囲内で光を照射したときに、低分子物
質が活性化してポリシランと反応し、ポリシランの架橋
反応が進行して機械的強度が向上する。なお、ここで
「低分子」とは、高分子(通常は分子量1万以上)以外
の分子であって、ビニル基などの架橋可能な官能基を有
するものを意味している。
【0027】上記低分子物質としては、250〜400
nmに吸収があり、光照射によって反応する物質であれ
ば特に限定されることなく適用可能である。特に好適な
具体例として、9-ビニルアントラセン、9-ビニルカルバ
ゾール、2-ビニルナフタレン、臭化ビニルトリフェニル
ホスホニウム、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサス
ピロ[5,5]ウンデカン(化2)、トリス[2-(アクリロキ
シ)エチル]イソシアネート(化3)などを挙げることが
できる。また、上記の低分子物質は、必要に応じて2種
以上を併用することができる。
【0028】
【化2】
【化3】
【0029】ポリシランと低分子物質との混合割合は、
物質の種類によって異なり、特に限定されるものではな
いが、一般に低分子物質が少な過ぎると、架橋が十分に
行われず、機械的強度が得られないため不適であり、逆
に低分子物質が多過ぎると、混合物の成形性が悪化し、
また透明性も低下するため好ましくない。具体的には、
ポリシラン100重量部に対し、低分子物質が0.1〜
50重量部、特に好ましくは10〜50重量部である。
【0030】ポリシランと低分子物質とを混合させるに
あたっては、種々の方法を用いることができ、例えば、
バンバリーミキサ等の各種混練機を用いて適宜行うこと
ができる。
【0031】続いて、ポリシランと低分子物質との混合
物を所定形状に成形するが、その方法は、従来知られた
種々の方法により行うことができる。例えば、混合物を
適当な溶媒に溶かして溶液を作製し、その溶液からスピ
ンコート、キャスティングなどの方法によりフィルム状
の光学材料とすることができる。その際、混合物の溶媒
として、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、キ
シレン、またはベンゼンを用いると、理由は定かではな
いが、得られる光学材料の透明性が特に優れるため好ま
しい。また別の成形方法として、射出成形、溶融押出、
プレス成形などを挙げることができ、これらの方法によ
り、ファイバ状、板状、シート状、フィルム状等の各種
形状の光学材料を得ることができる。成形する際に混合
物を軟化させる温度は、ポリシランの構造や、分子量、
あるいは架橋の程度によって異なり一概には決まらない
が、一般的に、280〜330℃程度で成形可能とな
る。
【0032】次に、所定形状に成形した混合物に対し光
照射するが、その光源としては、照射する波長を考慮し
て適宜選択される。具体例として、高圧水銀ランプ、低
圧水銀ランプ、紫外線レーザー等を挙げることができ
る。さらに、照射するに当たっては、特定の波長を照射
するために、波長フィルタを用いることができる。
【0033】混合物に光照射することにより、照射した
領域内のポリシランが低分子物質を介して架橋し、結果
として機械的強度が向上することとなる。この場合、光
照射によってポリシランを架橋させると同時にポリシラ
ンの分極率を小さくし、それによって屈折率を減少させ
ることができる。屈折率の減少は光を照射した領域のみ
で起きるため、これを利用して種々の光デバイスを製造
することができる。なお、分極率の減少は、ポリシラン
の主鎖が酸化されてSi-O-Si結合ができることが一つの
原因と考えられるが定かではない。
【0034】上記の光デバイスを製造する例として、例
えば、板状に成形した混合物に対しマスクを介して光照
射することにより、マスクされていない部位の屈折率を
減少させてクラッドとし、光導波路を製造することがで
きる。また、ファイバ状に成形した混合物に対し、干渉
縞とした光を照射してファイバの長さ方向に屈折率を周
期的に変化させることによりファイバグレーティングを
作製することもできる。あるいは、照射する光をレンズ
等で集光し、その焦点近傍のみが、ポリシランの分極率
を小さくするような条件になるように設定すれば、成形
した混合物の深さ方向における特定位置の屈折率を減少
させることもできる。この方法は、例えば、3次元光メ
モリにおける書き込みに応用できる。
【0035】屈折率を減少させるときの、照射する光の
強度は、小さ過ぎるとポリシランの光化学反応を誘起す
ることができず、したがって屈折率変化を得ることがで
きないため不適であり、逆に強度が大き過ぎると、成形
した混合物が着色したり、脆くなる場合があるため、こ
れらを考慮して適宜設定される。具体的には、照射する
波長などによっても異なるが、20〜100mW/cm
2程度とすることが適当であり、好ましくは30〜60
mW/cm2である。
【0036】また、光を照射する時間は、得ようとする
屈折率の減少量を考慮して適宜設定される。すなわち、
本発明の方法によれば、混合物の屈折率は、光の照射に
よって連続的に減少するので、照射時間を適当な値に設
定することにより、屈折率の値を任意に制御することが
できる。具体的な照射時間は、照射光の波長・強度によ
って異なるが、例えば、ポリメチルフェニルシラン10
0重量部に、ビニルナフタレンを10重量部混合させた
厚さ1.2μmの膜状の成形体に対して、325nmの
紫外線を60mW/cm2の強度で照射し、全体の屈折
率を0.06減少させようとするときの照射時間は、約
1〜2分間程度とすることが適当である。
【0037】また、光を照射するに当たっては、混合物
の温度を高くして行うことができる。これにより、ポリ
シランの反応性が高まり、屈折率をより効率的に減少さ
せることができる。具体的な温度は、混合物の溶融温度
を超えない範囲で適宜設定することができる。
【0038】さらに、ポリシランを架橋させ(あるいは
架橋と同時に屈折率を減少させ)る工程とは別に、架橋
させる際に照射する光よりも短波長の光を改めて照射す
ることによって、ポリシランの光化学反応をより効果的
に誘起し、分極率を大きく減少させることができる。こ
れにより、非常に大きな屈折率減少を得ることができ、
例えば、光回折格子を作製した場合に、その回折効率を
向上させることができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、これらに限定されるものではない。 (実施例1)ナトリウムをトルエンに溶かしてからジク
ロロメチルフェニルシランを滴下し、6時間還流してポ
リメチルフェニルシランを合成した。重量平均分子量は
3×104であった。このポリシラン100重量部に対
し、2-ビニルナフタレンを10重量部混合し、その混合
物をトルエンに溶解させ、攪拌して溶液を作製した。こ
の溶液からスピンコートにより、石英基板上に厚さ10
μmの膜を形成した。得られた膜に対し、光源として高
圧水銀ランプを用い、波長320nmの紫外線を照射し
た。照射強度は、膜の表面において50mW/cm2
あった。そして、光照射に伴う膜の紫外・可視吸収スペ
クトルの変化を測定した。その結果、図1に示すよう
に、320nm付近の吸収が消失した。このことから、
ポリシランが構造変化して架橋反応を起こしていること
が示唆された。また、400nm以上ではほとんど吸収
が見られず、透明性に優れることも明らかとなった。さ
らに、光照射に伴う膜の屈折率変化を、m−line法
により測定したところ、図2に示すように、60秒の紫
外線照射によって膜の屈折率は約0.12減少し、光デ
バイスにとって十分に大きい屈折率差が得られた。
【0040】(実施例2)ポリシランと混合する低分子
物質として、2-ビニルナフタレンの代わりに、トリス[2
-(アクリロキシ)エチル]イソシアネートを用いた以外
は、上記実施例1と同様にして厚さ10μmの膜を形成
した。得られた膜に対し、光源として高圧水銀ランプを
用い、波長320nmの紫外線を照射した。照射強度
は、膜の表面において50mW/cm2であった。そし
て、光照射に伴う膜の紫外・可視吸収スペクトルの変化
を測定した。その結果、図3に示すように、320〜3
30nm付近の吸収が照射時間とともに減少した。この
ことから、ポリシランの架橋反応が起こっていることが
示唆された。また、光照射に伴う膜の屈折率変化を測定
したところ、60秒照射で約0.06の屈折率差が得ら
れた。
【0041】(実施例3)上記実施例2の光照射した後
の膜に対し、より短波長の光を改めて照射した。光源と
して、エキシマレーザ(波長256nmの紫外線)を用
いた。そして、照射に伴う膜の屈折率変化を測定した。
その結果、上記実施例2の何も照射していない状態から
の屈折率差で0.15という非常に大きい値が得られ
た。
【0042】
【発明の効果】以上、本発明の光学材料の製造方法は、
ポリシランと250〜400nmに吸収を有する低分子
物質とを含む混合物を所定形状に成形した後に、光照射
して架橋させ、機械的強度を向上させるものである。し
たがって、成形の自由度が大きく、従来のポリシラン系
光学材料では不可能であった比較的大きい成形体を製造
することが可能となる。また、ポリシランの光化学反応
を誘起して屈折率を大きく減少させることができる。さ
らに、共重合反応などが不要であるため、製造コストを
安く抑えることができる。本発明の方法は、光導波路、
光回折格子、光メモリ、光ファイバ、レンズなどの各種
光学デバイスの製造に好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における光照射に伴う紫外・可視吸
収スペクトル変化を示す図である。
【図2】 実施例1における光照射に伴う屈折率変化を
示すグラフである。
【図3】 実施例2における光照射に伴う紫外・可視吸
収スペクトル変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 // B29K 33:00 B29K 33:00 B29L 11:00 B29L 11:00 Fターム(参考) 4F073 AA14 BA33 BA34 BA48 BB02 CA46 4F203 AA33 AH73 DA12 DB01 DC01 DF24 4J002 CP011 EA066 EL106 EU056 EU196 EW176 FD146 GP00 GP01 GP02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリシランと250〜400nmに吸収
    を有する低分子物質とを含む混合物を所定形状に成形す
    る工程と、成形した前記混合物に光照射し前記ポリシラ
    ンを前記低分子物質を介して架橋させる工程とを備える
    光学材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法において、光照
    射により架橋させると同時にポリシランの分極率を小さ
    くし、混合物の屈折率を減少させることを特徴とする光
    学材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の製造方法におい
    て、架橋させる工程とは別に、架橋させる光よりも短波
    長の光を照射してポリシランの分極率を小さくし、混合
    物の屈折率を減少させる工程を備えることを特徴とする
    光学材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の製造方法
    において、ポリシランと低分子物質との混合割合が、ポ
    リシラン100重量部に対し低分子物質0.1〜50重
    量部であることを特徴とする光学材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の製造方法
    において、ポリシランが、ポリメチルフェニルシラン、
    ポリジフェニルシラン、ポリジビフェニルシラン、また
    はポリアルキルナフチルシランから選ばれる一以上であ
    ることを特徴とする光学材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか記載の製造方法
    において、低分子物質が、9-ビニルアントラセン、9-ビ
    ニルカルバゾール、2-ビニルナフタレン、臭化ビニルト
    リフェニルホスホニウム、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テト
    ラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリス[2-(アクリロ
    キシ)エチル]イソシアネートから選ばれる一以上である
    ことを特徴とする光学材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7475955B2 (ja) 2020-05-14 2024-04-30 フジコピアン株式会社 樹脂組成物

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