JP3537781B2 - 光学材料の屈折率制御法 - Google Patents

光学材料の屈折率制御法

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JP3537781B2 JP2001127872A JP2001127872A JP3537781B2 JP 3537781 B2 JP3537781 B2 JP 3537781B2 JP 2001127872 A JP2001127872 A JP 2001127872A JP 2001127872 A JP2001127872 A JP 2001127872A JP 3537781 B2 JP3537781 B2 JP 3537781B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学材料の屈折率
制御方法に関する。さらに詳しくは、光導波路、光回折
格子(ファイバグレーティング)、光メモリ、光ファイ
バなどの各種光学デバイスを製造する際に利用できる光
学材料の屈折率制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学材料に対し紫外線等の光を照
射して屈折率変化を誘起することにより、ファイバグレ
ーティング等の光回折格子や、光導波路などを作製する
技術が広く知られている。そのような屈折率変化を誘起
しうる光学材料として、最近では、ポリシランが注目さ
れている。ポリシランは、一般に耐熱性に優れ、また光
照射により得られる屈折率差が大きいという利点を有し
ている。
【0003】上記ポリシランからなる光学材料の屈折率
変化を誘起する技術として、例えば、特開平7−923
13号公報には、ポリシランからなるコアを具備した光
ファイバー構造をなし、光の照射により前記コアに周期
的な屈折率変化を与えることによって、光ファイバー型
回折格子(ファイバグレーティング)を作製する技術が
開示されている。また、特開平6−222234号公報
には、直鎖状のポリシランのコアに該当する箇所にマス
クを施し、前記ポリシランに光を照射して前記マスクを
施していない箇所をクラッドとして屈折率を変化させる
光導波路の製造方法が開示されている。さらに、特開平
11−287916号公報は、光導波路のコアを横切る
ように切り込み溝を形成し、その切り込み溝内にアモル
ファス状有機ポリシランを充填し、そのポリシランに光
照射して屈折率を変化させることにより、非対称マッハ
ツェンダー型干渉計の位相調整を行うものである。しか
しながら、一般にポリシランは、平均分子量が1万以上
のものを得るのが困難であり、そのため、成形体の機械
的強度がほとんど得られず、上記ポリシラン単独で光フ
ァイバや光導波路を形成しても、容易に破断してしまう
などの問題点があった。また、ポリシランは、そのSi-S
i結合に由来する吸収を300〜400nmに有するた
め、ファイバグレーティング、光導波路や、あるいは3
次元光メモリなどの成形体を作製したときに、屈折率変
化を書き込むための紫外光の透明性が十分に得られず、
そのため屈折率変化が成形体の表面近傍でのみ起こり、
実用的とはいい難かった。
【0004】また、特開平5−25282号公報には、
メチルフェニルジクロロシランに対してモル分率でフェ
ニルトリクロロシランを0.01から0.50を存在さ
せ、金属ナトリウム存在下脱塩縮合して有機シリコン高
分子共重合体を製造し、その共重合体からなる薄膜に紫
外線を照射して光導波路を作製する技術が開示されてい
る。しかし、この発明も、上述の場合と同様に、成形体
の透明性が得られないという欠点があり(それゆえに厚
さ0.3μmという超薄膜を用いている)、また、共重
合反応を行う必要があるため、生産工程が煩雑となり、
結果として製造コストがかかり製品が高価になるという
欠点があった。
【0005】さらに、特開平5−65351号公報に
は、ポリメチルフェニルシランをポリエチレン中に0.
1〜10重量%含有し、厚みが10〜1000μmであ
ることを特徴とする有機シリコン高分子含有ポリエチレ
ン膜が記載されており、実施例3では、この膜に紫外線
を照射して光学回路(光導波路)を作製する技術が開示
されている。しかし、ポリエチレンは、ガラス転移温度
が−125℃(すなわち室温でゴム状態)であるため耐
熱性に劣り、また、透明性が不十分である(そなわち損
失が大きい)ため、ファイバグレーティング、光導波路
等の光伝送を前提とするデバイスへの応用は困難であっ
た。また、ポリシランを0.1〜10重量%程度しかポ
リエチレンに混合できないため、大きな屈折率変化が得
られず、そのため応用分野、用途が限定されるという問
題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来
の、ポリシラン系光学材料の屈折率を変化させる技術
は、光を照射する対象である光学材料の機械的強度、透
明性が不十分であり、したがって、実際に各種光デバイ
スの作製に応用することは困難であった。また、共重合
反応等の工程を要する場合には、コストが高くなるとい
う問題もあった。そこで本発明は、上記従来の状況に鑑
み、光学材料の機械的強度、透明性を向上させることに
より、ファイバグレーティング、光導波路等の各種光学
デバイスに応用でき、かつ屈折率を精密に制御でき、ま
た工程が簡素であるため安価に実施できる、新規な光学
材料の屈折率制御方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る光学材料の屈折率制御方法は、請求項
1として、ポリシランと、ポリメタクリル酸メチルとを
混合した光学材料に対し、ポリシランの分極率を小さく
するように光照射し、前記光学材料の屈折率を減少させ
ることを特徴とする。
【0008】上記構成によれば、ポリシランとポリメタ
クリル酸メチルとの混合により、透明性・成形性に優
れ、また高い耐熱性を有する光学材料が得られる。そし
て、その光学材料に対し紫外線などの光を照射すること
により、ポリシランの分極率を小さくするような反応が
誘起され、それに伴い光学材料の屈折率が減少する。な
お、ポリメタクリル酸メチルは、光照射により屈折率が
増加するが、その増加量よりも、ポリシランに起因する
屈折率減少量が多くなるように構成する。
【0009】また、請求項2は、請求項1記載の屈折率
制御方法において、ポリシランが、上記(化1)で表さ
れるポリメチルフェニルシラン、ポリジフェニルシラ
ン、ポリジビフェニルシラン、またはポリアルキルナフ
チルシランから選ばれる一以上であることを特徴とす
る。すなわち、上記(化1)において、(R1、R2)=
(メチル基、フェニル基)、(フェニル基、フェニル
基)、(ビフェニル基、ビフェニル基)、または(アル
キル基、ナフチル基)である。
【0010】上記構成によれば、ポリメタクリル酸メチ
ルとの相溶性、および光照射に対する反応性などの観点
から、ポリシランの具体的な構造が最適化される。
【0011】また、請求項3は、請求項1または2記載
の屈折率制御方法において、ポリシランが70〜30重
量%、ポリメタクリル酸メチルが30〜70重量%の割
合で混合されたことを特徴とする。
【0012】上記構成によれば、混合して得られる光学
材料の透明性・成形性を考慮し、また光照射したときに
屈折率の減少量が十分に得られるように、ポリシランと
ポリメタクリル酸メチルとの最適な混合比が設定され
る。
【0013】また、請求項4は、請求項1〜3のいずれ
か記載の屈折率制御方法において、照射する光の強度が
4〜100mW/cm2であることを特徴とする。さら
に、請求項5では、請求項1〜4のいずれか記載の屈折
率制御方法において、照射する光の波長が256〜45
0nmであることを特徴とする。
【0014】上記構成によれば、ポリシランの分極率が
小さくなるような反応を誘起し、光学材料の屈折率を全
体として低下させるための、光(紫外光)の照射条件が
最適化される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の屈折率制御方法は、ポリシランと、ポリ
メタクリル酸メチル(PMMA)とを混合した光学材料
に対し、ポリシランの分極率を小さくするように光照射
し、その光学材料の屈折率を減少させる方法である。
【0016】まず、ポリシラン(ポリシリン)は、主鎖
がSi-Si結合から構成されたポリマーであり、上記(化
1)の一般式で表される。なお、ポリシランは、直鎖
状、枝分かれ状のいずれも適用可能であるが、ポリメタ
クリル酸メチルとの相溶性、および溶媒に溶かす場合の
溶解性を考慮して枝分かれ状の方がより好ましい。ま
た、ポリシランのガラス転移温度Tgは、得られる光学
材料が高温条件下でも安定した光学特性を維持できるよ
うに、100〜150℃程度であることが好ましい。
【0017】上記(化1)において、置換基R1、および
R2は、特に限定されるものではないが、ポリメタクリル
酸メチルとの相溶性が良く、また光照射の前後における
分極率の変化量が大きいものが好ましく用いられる。具
体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プ
ロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、
c-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-デシル
基、n-テトラデシル基、n-ドデシル基、2-(3-シクロヘ
キセニル)エチル基、フェニル基、フェニルエチレン
基、、p-t-ブチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニ
ル基、ベンジル基、p-メトキシフェニル基、p-n-オクト
キシフェニル基、p-ジメチルアミノフェニル基、3-ヒド
ロフェニルメチルエチレン基、p-メトキシフェニルプロ
ピル基、β-ナフチル基、p-ビフェニル基、p-トシル
基、トリメチルシリル基、p-トリメチルシリルフェニル
基、p-(トリメチルシリル)メチルフェニル基、などを
挙げることができる。その中でも特に、R1、R2がそれぞ
れメチル基、フェニル基であるポリメチルフェニルシラ
ン、フェニル基、フェニル基であるポリジフェニルシラ
ン、ビフェニル基、ビフェニル基であるポリジビフェニ
ルシラン、アルキル基、ナフチル基であるポリアルキル
ナフチルシランは、Tgが高く、またPMMAの好溶媒
であるトルエン、THF、ベンゼンなどに溶けやすいた
め好適に用いられる。さらに、その他の適用可能なポリ
シランとして下記の(化2)〜(化5)に示す物質を挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。なお、本発明で用いる光学材料は、安価に製造でき
ることを特徴の一つとするので、ポリシランはホモポリ
マーであることが望ましいが、場合によっては複数種の
シランモノマーからなる共重合体を用いることもでき
る。
【0018】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0019】ポリシランの分子量は、小さ過ぎると、十
分な力学特性が得られないため、ひび割れが起こりやす
く、デバイス化ができない。また、光照射による屈折率
の変化量が小さくなるため、デバイスとしての必要な光
学特性が得られない可能性がある。逆に分子量が大き過
ぎると、ポリメタクリル酸メチルとの相溶性が損なわ
れ、成形性や透明性が低下するため好ましくない。した
がって、これらのバランスを考慮して適宜設定される。
具体的には、重量平均分子量で5×103〜1×105
度が適当であり、好ましくは1×104〜8×104であ
る。
【0020】上記ポリシランを合成するに際しては、上
述のような種々の構造を有するモノマーを原料として、
従来知られた方法を適宜採用して行われる。具体例とし
ては、アルカリ金属の存在下にクロロシラン類を脱塩素
重縮合させる方法(キッピング法)、電極還元によりク
ロロシラン類を脱塩素重縮合させる方法、金属触媒の存
在下にヒドロシラン類を脱水素重縮合させる方法、ビフ
ェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による
方法、環状シラン類の開環重合による方法などを挙げる
ことができる。
【0021】次に、ポリメタクリル酸メチルについて説
明する。ポリメタクリル酸メチルは、光学ポリマーの中
でも優れた透明性・耐光性を有するとともに、複屈折が
起こりにくく、また、成形性が良好で機械的強度もバラ
ンスしている。このポリメタクリル酸メチルをポリシラ
ンと混合させることにより、透明性、成形性、機械的強
度を維持しつつ、耐熱性を向上させることができる。上
記ポリメタクリル酸メチルは、通常ホモポリマーを用い
るが、必要に応じてメタクリル酸メチルの共重合体を用
いることもできる。共重合体の具体例として、メタクリ
ル酸メチルとスチレンとのランダム共重合体であるMS
樹脂が挙げられる。なお、上記ポリメタクリル酸メチル
の分子量は、特に限定されるものではないが、得られる
光学材料の成形性、ポリシランとの相溶性、および光学
材料の機械的強度のバランスを考慮して、重量平均分子
量が1×104〜1.5×105程度とすることが好まし
い。
【0022】上記ポリシランとポリメタクリル酸メチル
とを混合する際の混合比は、ポリシランの割合が大き過
ぎると、光学材料の機械的強度が損なわれるため好まし
くない。また光学材料の透明性が低下するので、光学材
料に対し照射する光が表面近傍で吸収され(屈折率が表
面部分だけしか減少せず)、さらにデバイス化して光を
伝送する際に損失が大きいため不適である。逆にポリメ
タクリル酸メチルの割合が大き過ぎると、ポリシランに
よる耐熱性向上の効果が得られず、また屈折率減少量が
小さくなるので、これらを考慮して適宜設定される。な
お、ポリメタクリル酸メチルは光照射によって屈折率は
増加するので、その増加分をポリシランの屈折率減少で
相殺し、全体として十分な減少量が得られるような割合
とすることが肝要である。具体的には、ポリシランが7
0〜30重量%、ポリメタクリル酸メチルが30〜70
重量%の割合とすることが好ましく、その中でも、ポリ
シランが40〜60重量%、ポリメタクリル酸メチルが
60〜40重量%の割合とすることが特に好ましい。
【0023】上記ポリシランおよびポリメタクリル酸メ
チルから光学材料を成形するにあたっては、種々の方法
により成形することができる。例えば、ポリシランおよ
びポリメタクリル酸メチルを適当な溶媒に溶かして溶液
を作製し、その溶液からスピンコート、キャスティング
などの方法によりフィルム状の光学材料とすることがで
きる。その際、ポリシランおよびポリメタクリル酸メチ
ルの溶媒として、トルエン、テトラヒドロフラン(TH
F)、キシレン、またはベンゼンを用いると、成形体の
透明性が特に優れるため好ましい。これは、PMMA及
びポリシランがともにこれらの溶媒に良く溶けて均一に
混ざり合っているためと考えられる。
【0024】また、ポリシランおよびポリメタクリル酸
メチルの混合物を原料として、射出成形、溶融押出、プ
レス成形などの種々の方法により、ファイバ状、板状、
シート状、フィルム状等の各種形状の光学材料を得るこ
とができる。成形する際に原料を軟化させる温度は、ポ
リシランの構造や、分子量によっても異なり一概には決
まらないが、一般的に、280〜330℃程度とする
と、得られる光学材料の透明性が良いため好ましい。
【0025】次に、上記のポリシランおよびポリメタク
リル酸メチルを混合して構成された光学材料に対し、特
定の条件下で光照射する。照射する光の波長は、ポリシ
ランの光化学反応を誘起して構造変化させ、その分極率
を小さくするような波長であれば特に限定されることな
く設定可能である。具体的には、ポリシランの分子構造
によっても異なるが、一般に256〜450nm、就中
256〜325nmとすることが好ましい。なお、ポリ
シランは、光照射を受けるとSi-Si鎖が酸化されSi-O-Si
鎖に変換されるために分極率が小さくなると考えられる
が定かではない。また、照射光の光源は、照射する波長
を考慮して適宜選択される。具体例として、高圧水銀ラ
ンプ、低圧水銀ランプ、紫外線レーザー等を挙げること
ができる。さらに、照射するに当たっては、特定の波長
を照射するために、波長フィルタを用いることができ
る。
【0026】照射する光の強度は、小さ過ぎるとポリシ
ランの光化学反応を誘起することができず、したがって
屈折率変化を得ることができないため不適であり、逆に
強度が大き過ぎると、光学材料が着色したり、脆くなる
場合があるため、これらを考慮して適宜設定される。具
体的には、照射する波長や、ポリシランとポリメタクリ
ル酸メチルとの混合比によっても異なるが、4〜100
mW/cm2程度とすることが適当であり、好ましくは
40〜60mW/cm2である。
【0027】光を照射する時間は、得ようとする屈折率
の減少量を考慮して適宜設定される。すなわち、本発明
の方法によれば、光学材料の屈折率は、光の照射によっ
て連続的に減少するので、照射時間を適当な値に設定す
ることにより、屈折率の値を任意に制御することができ
る。具体的な照射時間は、ポリシランとポリメタクリル
酸メチルとの混合比や、照射光の波長・強度によって異
なるが、例えば、ポリメチルフェニルシラン:ポリメタ
クリル酸メチル=6:4の光学材料に対し、325nm
の紫外線を60mW/cm2の強度で照射し、全体の屈
折率を0.1減少させようとするときの照射時間は、約
1〜2分間程度とすることが適当である。
【0028】また、光を照射するに当たっては、光学材
料の温度を高くして行うことができる。これにより、ポ
リシランの反応性が高まり、屈折率をより効率的に減少
させることができる。具体的な温度は、光学材料の溶融
温度を超えない範囲で適宜設定することができるが、例
えばポリメチルフェニルシランおよびポリメタクリル酸
メチルを混合した光学材料の場合、約300〜310℃
が適当である。
【0029】本発明の屈折率制御方法は以上説明の通り
であるが、この方法を利用することにより種々の光デバ
イスを作製することができる。具体的には、例えば、板
状の光学材料に対しマスクを介して光照射することによ
り、マスクされていない部位の屈折率を減少させてクラ
ッドとし、光導波路とすることができる。この光導波路
を作製する際には、表面から深い位置であっても照射光
が吸収されずに届いて屈折率を減少させることができる
ため、従来のような超薄膜ではなく実用的な厚さの光導
波路を得ることができ、かつ光を実際に導波させるとき
の透明性にも優れている。また、ファイバ状に形成した
光学材料に対し、干渉縞とした光を照射してファイバの
長さ方向に屈折率を周期的に変化さることによりファイ
バグレーティングを作製することもできる。あるいは、
照射する光をレンズ等で集光し、その焦点近傍のみが、
ポリシランの分極率を小さくするような条件になるよう
に設定すれば、光学材料の深さ方向における特定位置の
屈折率を減少させることもできる。この方法は、例え
ば、3次元光メモリにおける書き込みに応用できる。
【0030】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、これらに限定されるものではない。 (実施例1)ナトリウムをトルエンに溶かしてからジク
ロロメチルフェニルシランを滴下し、6時間還流してポ
リメチルフェニルシランを合成した。重量平均分子量は
3×104であった。このポリシラン60重量%と、ポ
リメタクリル酸メチル(平均分子量1×105)40重
量%とを、トルエンに溶解させ(濃度100重量%)、
攪拌して溶液を作製した。この溶液からスピンコートに
より、石英基板上に厚さ3μmの膜を形成させた。次
に、得られた膜状の光学材料に対し、光源としてエキシ
マレーザを用い、波長256nmの紫外線を照射した。
照射強度は、膜の表面において60mW/cm2であっ
た。そして、光照射に伴う膜の屈折率変化をm−lin
e法により測定した。その結果を表1、および図1に示
す。結果から明らかなように、120秒の紫外線照射に
よって膜の屈折率は0.047減少し、光デバイスにと
って十分に大きい屈折率差が得られた。
【0031】
【表1】
【0032】(実施例2)ポリメチルフェニルシランと
ポリメタクリル酸メチルとの混合比を、1:0.6とし
た以外は、上記実施例1と同様にして、光照射に伴う膜
の屈折率変化を調べた。その結果は、表2および図2に
示すように、膜の屈折率は1.6170から120秒の
照射で1.5566まで減少し、0.060の屈折率差
が得られた。
【0033】
【表2】
【0034】(実施例3)ポリメチルフェニルシランと
ポリメタクリル酸メチルとの混合比を、3:1とした以
外は、上記実施例1と同様にして、光照射に伴う膜の屈
折率変化を調べた。その結果は、表3および図3に示す
ように、膜の屈折率は1.6428から120秒の照射
で1.5594まで減少し、0.083という大きい屈
折率差が得られた。
【0035】
【表3】
【0036】(実施例4)上記実施例1で得られた膜状
の光学材料に対し、光源としてエキシマレーザ(波長2
56nmの紫外線)を用い、それを干渉縞にして照射す
ることにより回折格子を作製した。照射強度は膜の表面
において60mW/cm2であった。また、照射時間は
10秒間とした。そして、得られた回折格子について、
回折効率を測定したところ、水平回折効率が100%、
垂直回折効率が25%であった。なお、水平とは、膜の
断面から光を入射する場合をいい、垂直とは、膜の表面
に対して垂直な方向から光を入射する場合をいう。
【0037】
【発明の効果】以上、本発明に係る光学材料の屈折率制
御方法は、光照射の対象である光学材料を、ポリシラン
とポリメタクリル酸メチルとの混合物から形成したの
で、光学材料の透明性、機械的強度が向上し、そのた
め、ファイバグレーティング等の光回折格子、光導波路
その他の各種デバイスの作製に好適に応用することがで
きる。また、照射する光が吸収され難いので、屈折率を
精密かつ任意に制御することができる。さらに、共重合
反応などが不要であるため、光学材料の生産工程が簡素
になり、全体として安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の測定結果を示すグラフである。
【図2】 実施例2の測定結果を示すグラフである。
【図3】 実施例3の測定結果を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 83/16 C08L 83/16 G02B 3/00 G02B 3/00 5/18 5/18 6/00 391 6/00 391 6/10 6/10 C 6/12 6/16 6/122 6/12 N 6/13 M 6/16 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/04 G02B 3/00 G02B 6/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリシランと、ポリメタクリル酸メチル
    とを混合した光学材料に対し、ポリシランの分極率を小
    さくするように光照射し、前記光学材料の屈折率を減少
    させることを特徴とする光学材料の屈折率制御法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の屈折率制御方法におい
    て、ポリシランが、(化1)で表されるポリメチルフェ
    ニルシラン、ポリジフェニルシラン、ポリジビフェニル
    シラン、またはポリアルキルナフチルシランから選ばれ
    る一以上であることを特徴とする光学材料の屈折率制御
    法。 【化1】 上記(化1)において、(R1、R2)=(メチル基、フェ
    ニル基)、(フェニル基、フェニル基)、(ビフェニル
    基、ビフェニル基)、または(ナフチル基、アルキル
    基)である。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の屈折率制御方法
    において、ポリシランが70〜30重量%、ポリメタク
    リル酸メチルが30〜70重量%の割合で混合されたこ
    とを特徴とする光学材料の屈折率制御法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の屈折率制
    御方法において、照射する光の強度が4〜100mW/
    cm2であることを特徴とする光学材料の屈折率制御
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の屈折率制
    御方法において、照射する光の波長が256〜450n
    mであることを特徴とする光学材料の屈折率制御法。
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