JP2003021699A - 蛍光体シートおよびその製造方法 - Google Patents

蛍光体シートおよびその製造方法

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JP2003021699A JP2001208384A JP2001208384A JP2003021699A JP 2003021699 A JP2003021699 A JP 2003021699A JP 2001208384 A JP2001208384 A JP 2001208384A JP 2001208384 A JP2001208384 A JP 2001208384A JP 2003021699 A JP2003021699 A JP 2003021699A
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恵子 ▲錬▼石
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性、耐湿性および透明性に優れた保護層
を有する蛍光体シート、およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 支持体、蛍光体層および保護層をこの順
に有する蛍光体シートの製造方法であって、支持体上に
蛍光体層を気相堆積法により形成し、次いで該蛍光体層
上に、金属アルコキサイドからなる主反応成分と、ホウ
素およびハロゲン化物を含む触媒とを含有する溶液を塗
布した後、室温乃至200℃の範囲の温度で加熱して、
ガラス質保護層を形成する蛍光体シートの製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線撮影に用い
られる蛍光体シート、特に放射線写真画像の撮影に際し
て用いられる放射線増感スクリーン、および蓄積性蛍光
体を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射
線像変換パネル、並びにそれらの製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、医療診断や物質の非破壊検査
などに利用されているX線撮影等の放射線撮影では、放
射線写真フィルムと放射線増感スクリーンとを組み合わ
せて用いる放射線画像形成方法(放射線写真法)が採用
されている。この方法は、放射線写真フィルムの片面も
しくは両面に放射線増感スクリーンを配置して、被検体
を透過したあるいは被検体から発せられたX線、電子線
などの放射線に露光することにより画像を形成するもの
である。
【0003】一方、従来の放射線写真法に代わる方法と
して、蓄積性蛍光体を用いる放射線画像記録再生方法も
知られている。この方法は、X線などの放射線が照射さ
れると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そのの
ち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受
けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す
性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用する
ものであり、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放
射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体
から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情
報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起
光を照射して順次発光光(輝尽発光光)として放出さ
せ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を
得ることからなる。読み取りを終えたパネルは、残存す
る放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のた
めに備えられて繰り返し使用される。
【0004】また、上記放射線画像記録再生方法の別法
として、従来の輝尽性蛍光体における放射線吸収機能と
エネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍
光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変
換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光
を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光ス
クリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法を利用
することもできる。この方法は、被検体を透過などした
放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収
用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、そ
の光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像
情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光
を照射して発光光を放出させ、この輝尽発光光を光電的
に読み取って画像信号を得るものである。
【0005】上記放射線写真画像形成方法および放射線
画像記録再生方法のいずれにおいても、使用される蛍光
体シート(すなわち前者では放射線増感スクリーン、後
者では放射線像変換パネル)は、基本構造として支持体
とその表面に設けられた蛍光体層とからなる。そして、
蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には
通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変
質あるいは物理的な衝撃から保護している。ただし、放
射線増感スクリーンの蛍光体層が普通の蛍光体を含有し
ているのに対し、放射線像変換パネルの蛍光体層(蓄積
性蛍光体層とも称する)は蓄積性蛍光体を含有してい
る。また、蛍光体シートにおいて蛍光体層が自己支持性
である場合には必ずしも支持体を必要としない。
【0006】蛍光体層は、通常は蛍光体(または蓄積性
蛍光体)と結合剤とを適当な有機溶剤に分散、溶解して
塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に塗布、乾燥す
ることなどにより形成される。ただし、蛍光体層として
は、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まな
いで蛍光体の凝集体のみから構成されるものや、蛍光体
の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知
られている。
【0007】上記の放射線写真画像形成方法並びに放射
線画像記録再生方法は医療分野などにおいて広く利用さ
れている方法であるが、この方法に用いられる放射線増
感スクリーンおよび放射線像変換パネルにあっても、で
きる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性な
ど)の良好な画像を与えるものであることが望まれてい
る。
【0008】感度および画質を高めることを目的とし
て、例えば特公平6−77079号公報に記載されてい
るように、放射線像変換パネルの製造方法として、蛍光
体層を気相堆積法により形成する方法が提案されてい
る。気相堆積法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例
えば蒸着法は、蓄積性蛍光体またはその原料からなる蒸
発源を抵抗加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源
を蒸発、飛散させ、金属シートなどの基板表面にその蒸
発物を堆積させることにより、蓄積性蛍光体の柱状結晶
からなる蛍光体層を形成するものである。
【0009】気相堆積法により形成された蛍光体層は、
結合剤を含有せず、輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽性
蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)
が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光の取
出し効率を上げることができるので高感度であり、また
励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮
鋭度の画像を与えることができる。
【0010】一方、放射線増感スクリーンおよび放射線
像変換パネルが、感度および画質を維持しながら繰り返
し使用できるためには、蛍光体層の表面に設けられる保
護層は耐久性、耐湿性および透明性に優れていることが
望ましい。特に、蛍光体層をアルカリ金属ハロゲン化物
系蛍光体を用いて蒸着法などの気相堆積法により形成し
た場合には、この蛍光体は水分を吸湿しやすいので、耐
湿性の高い保護層を付設することが望まれている。
【0011】また、蛍光体層表面に保護層を付設する際
には、蛍光体層に悪い影響を及ぼさずに付設することが
要求される。一般に、焼結法により形成された蛍光体層
であれば、保護層を形成する際に300℃前後まで加熱
しても蛍光体層に悪影響が及ぶことはない。しかしなが
ら、気相堆積法により形成された蛍光体層では、200
℃を越えると蛍光体層と支持体の熱膨張率の差により蛍
光体層が支持体から剥離することがある。
【0012】特公平7−7117号公報には、支持体上
に輝尽性蛍光体層と少なくとも一層の保護層とを構成層
として有する放射線像変換パネルにおいて、前記少なく
とも一層の保護層を、有機ケイ素化合物を主成分とする
有機溶媒溶液を塗設、乾燥し焼成してガラス質保護層と
することを特徴とする、ガラス質保護層を有する放射線
像変換パネルの製造方法が開示されている。この製造方
法では、ガラス質保護層を形成する際に焼成することが
必須条件となっていて、実施例では400℃の温度で焼
成が行われている。
【0013】特開平2−250000号公報には、輝尽
性蛍光体からなる蛍光体層と保護膜とを有する放射線像
変換パネルの製造法であって、前記保護膜を、変性アル
キルシリケートを主成分とする有機溶媒溶液を蛍光体層
上に塗布し、次いでこれを300℃以下の温度で加熱処
理することにより形成することを特徴とする放射線像変
換パネルの製造法が開示されている。しかしながら、こ
の公報に記載されている蛍光体層は焼結法により形成さ
れた蛍光体層である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐久性、耐
湿性および透明性に優れた保護層を有する蛍光体シート
を提供することにある。本発明はまた、支持体と蛍光体
層との間に剥離を生じさせずに、耐久性、耐湿性および
透明性に優れた保護層を形成することが可能な蛍光体シ
ートの製造方法を提供することにもある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、放射線増感
スクリーンおよび放射線像変換パネルの保護層について
検討した結果、気相堆積法により形成された蛍光体層上
に、常温ガラス技術を利用して保護層用材料を塗布、乾
燥することにより、支持体と蛍光体層との接着性を良好
に維持しながら特性の優れたガラス質保護層を形成でき
ることを見い出した。
【0016】従って、本発明は、支持体、蛍光体層およ
び保護層をこの順に有する蛍光体シートの製造方法であ
って、支持体上に蛍光体層を気相堆積法により形成し、
次いで該蛍光体層上に、金属アルコキサイドからなる主
反応成分と、ホウ素およびハロゲン化物を含む触媒とを
含有する溶液を塗布した後、室温乃至200℃の範囲の
温度で加熱して、ガラス質保護層を形成することを特徴
とする蛍光体シートの製造方法にある。
【0017】本発明はまた、上記の方法により製造され
た、支持体、気相堆積法により形成された蛍光体層およ
びガラス質保護層を有する蛍光体シートにもある。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の蛍光体シートの製造方法
において、金属アルコキサイドとしては、ケイ素のアル
コキサイドを用いることが好ましい。あるいは、金属ア
ルコキサイドとして、ケイ素のアルコキサイドとアルミ
ニウム、チタンおよび/またはジルコニウムのアルコキ
サイドとの混合物を用いることもできる。特に好ましく
は、ケイ素のアルコキサイドとジルコニウムのアルコキ
サイドとの混合物である。
【0019】本発明の蛍光体シートは、放射線写真フィ
ルムと放射線増感スクリーンとを組み合わせて放射線写
真画像を形成する方法に用いられる放射線増感スクリー
ンであることが好ましい。
【0020】本発明の蛍光体シートは、放射線画像情報
を蓄積記録させた後、励起光を照射することにより発光
光を放出させ、次いで該発光光を光電変換して検出する
ことにより放射線画像情報を再生することからなる放射
線画像記録再生方法に用いられる、蓄積性蛍光体からな
る蛍光体層と保護層とを有する放射線像変換パネルであ
ることが好ましい。
【0021】次に、本発明の蛍光体シートの製造方法に
ついて放射線像変換パネルの場合を例にとって詳細に述
べる。本発明に係る放射線像変換パネルは、基本構成と
して順に支持体、蛍光体層および保護層からなるが、公
知の放射線像変換パネルと同様な構成とすることができ
る。
【0022】まず、支持体(基板)上に蓄積性蛍光体か
らなる蛍光体層を気相堆積法により形成する。気相堆積
法の一種である電子線蒸着法により形成する場合を例に
とって述べる。蒸着法のうちでも電子線蒸着法は、抵抗
加熱法などと比較して、蒸着源を局所的に加熱して瞬時
に蒸発させるので、蒸発源として仕込んだ蛍光体もしく
はその原料の組成と形成された蛍光体層中の蛍光体の組
成との不一致を小さくできる利点がある。
【0023】蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線
像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射
線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選
ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシ
ート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金
属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。公
知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度
また画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸
化チタンなどの光反射性物質から形成された光反射層、
もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる
光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用
いられる基板についても、これらの各種の層を設けるこ
とができ、それらの構成は所望とするパネルの目的、用
途などに応じて任意に選択することができる。さらに特
開昭58−200200号公報に記載されているよう
に、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、基板の
蛍光体層側の表面(基板の蛍光体層側の表面に下塗層
(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補
助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面
であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよ
い。
【0024】蓄積性蛍光体としては、波長が400〜9
00nmの範囲の励起光の照射により、300〜500
nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好まし
い。そのような輝尽性蛍光体の例は、特公平7−845
88号、特開平2−193100号および特開平4−3
10900号の各公報に詳しく記載されている。
【0025】これらのうちでも、基本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I) で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体
は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb
及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアル
カリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、B
a、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表
し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選
ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表
し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、N
a、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選
ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。
X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びI
からなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表
す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦
b<0.5、0≦z<0.2の範囲内の数値を表す。
【0026】上記基本組成式(I)中のMIとしては少
なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては
少なくともBrを含んでいることが好ましい。Aとして
は特にEu又はBiであることが好ましい。また、基本
組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、
二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加
物として、MI1モルに対して、0.5モル以下の量で
加えてもよい。
【0027】また、基本組成式(II): MIIFX:zLn ‥‥(II) で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン
化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、
Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、E
u、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbから
なる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表
す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2
の範囲内の数値を表す。
【0028】上記基本組成式(II)中のMIIとしては、
Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとして
は、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基
本組成式(II)では表記上F:X=1:1のように見え
るが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すも
のであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すもの
ではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの
空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態
が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める
上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にある
ことが多い。
【0029】なお、基本組成式(II)では省略されてい
るが、必要に応じて下記のような添加物を一種もしくは
二種以上を基本組成式(II)に加えてもよい。 bA, wNI, xNII, yNIII ただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属
酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上で
は、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子で
IIFXとの反応性が低いものを用いることが好まし
い。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を
表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土
類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、
Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選
ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これ
らの金属化合物としては、特開昭59−75200号公
報に記載のようなハロゲン化物を用いることが好ましい
が、それらに限定されるものではない。
【0030】また、b、w、x及びyはそれぞれ、MII
FXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0
≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦
0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成
やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては
最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけでは
ない。また、上記化合物には最終的な組成物において添
加されたままの化合物として残留するものもあれば、M
IIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものも
ある。
【0031】その他、上記基本組成式(II)には更に必
要に応じて、特開昭55−12145号公報に記載のZ
n及びCd化合物;特開昭55−160078号公報に
記載の金属酸化物であるTiO2、BeO、MgO、C
aO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、I
23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、Th
2;特開昭56−116777号公報に記載のZr及
びSc化合物;特開昭57−23673号公報に記載の
B化合物;特開昭57−23675号公報に記載のAs
及びSi化合物;特開昭59−27980号公報に記載
のテトラフルオロホウ酸化合物;特開昭59−4728
9号公報に記載のヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオ
ロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価
もしくは2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;特開
昭59−56480号公報に記載のV、Cr、Mn、F
e、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加し
てもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を
含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成
を有するものであれば如何なるものであってもよい。
【0032】ただし、本発明において蛍光体は輝尽性蛍
光体に限定されるものではなく、X線などの放射線を吸
収して紫外乃至可視領域に(瞬時)発光を示す蛍光体で
あってもよい。そのような蛍光体の例としては、LnT
aO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、L
nOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系
(Xはハロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22
S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd
3Ga512:Cr,Ce、HfO2等を挙げることがで
きる。
【0033】上記の蓄積性蛍光体からなる蒸発源を用意
する。蒸発源は、加圧圧縮によりタブレット(錠剤)の
形状に加工しておくことが好ましい。加圧圧縮は、一般
に800〜1000kg/cm2の範囲の圧力を掛けて
行う。圧縮の際に、50〜200℃の範囲の温度に加温
してもよい。加圧圧縮後、得られたタブレットに脱ガス
処理を施すことが好ましい。タブレットの相対密度は、
80%以上98%以下であることが好ましい。蓄積性蛍
光体の代わりにその原料もしくは原料混合物を用いるこ
とも可能である。
【0034】次に、蒸発源と被蒸着物である基板を蒸着
装置内に設置し、装置内を排気して3×10-10〜3×
10-12kg/cm2程度の真空度とする。このとき、真
空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガスな
どの不活性ガスを導入してもよい。次いで、電子銃から
電子線を発生させて、蒸発源に照射する。電子線の加速
電圧は1.5kV以上で5.0kV以下に設定すること
が望ましい。
【0035】電子線の照射により、蒸発源である蓄積性
蛍光体等は加熱されて蒸発、飛散し、基板表面に堆積す
る。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般
には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ましく
は1〜100μm/分の範囲にある。なお、電子線の照
射を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形成し
てもよいし、あるいは複数の電子銃を用いて異なる蛍光
体を共蒸着させてもよい。また、蛍光体の原料を用いて
基板上で蛍光体を合成すると同時に蛍光体層を形成する
ことも可能である。その場合に、他の蛍光体層を別の蛍
光体、例えば公知の各種の蓄積性蛍光体や特願2000
−400426号明細書記載の放射線吸収用蛍光体から
構成してもよい。さらに、蒸着の際に必要に応じて被蒸
着物(基板)を冷却または加熱してもよいし、あるいは
蒸着終了後に蛍光体層を加熱処理(アニール処理)して
もよい。
【0036】このようにして、蓄積性蛍光体の柱状結晶
がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。蛍光体
層は、蓄積性蛍光体のみからなり、蓄積性蛍光体の柱状
結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。
蛍光体層の層厚は、通常は100μm〜1mmの範囲に
あり、好ましくは200μm〜700mmの範囲にあ
る。
【0037】本発明において蒸着法は、電子線蒸着法に
限られるものではなく、抵抗加熱器を用いて蒸発源を加
熱蒸発させることからなる抵抗加熱法など他の蒸着法も
利用することができる。
【0038】また、スパッタ法も利用することができ、
その場合には、まず基板をスパッタ装置内に設置し、装
置内を一旦排気して3×10-10kg/cm2程度の真空
度にした後、スパッタ用の気体としてArガス、Neガ
スなどの不活性ガスを導入して3×10-7kg/cm2
程度のガス圧とする。次いで、前記のタブレットをター
ゲットとして放電し、イオン化した気体の衝撃により蛍
光体および/またはその組成成分を飛散させて基板表面
に蓄積性蛍光体を所望の厚みで堆積させる。スパッタリ
ングは、複数回に分けて行ってもよいし、あるいは必要
に応じて、装置内にO2ガス、H2ガスを導入して反応性
スパッタリングを行ってもよい。さらに、スパッタリン
グの際に必要に応じて基板を冷却または加熱してもよい
し、あるいはスパッタリング終了後に蛍光体層を加熱処
理(アニール処理)してもよい。
【0039】さらに、化学蒸着(CVD)法など公知の
他の気相堆積法を利用することも可能である。これら他
の蒸着法および気相堆積法の詳細は、公報を含む公知の
各種の文献に記載されており、それらを参照することが
できる。
【0040】本発明において、蛍光体層の表面には、放
射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変
化の回避のために、保護層が設けられる。保護層は、励
起光の入射や輝尽発光光の出射に殆ど影響を与えないよ
うに、透明であることが望ましく、また外部から与えら
れる物理的衝撃や化学的影響からパネルを十分に保護す
ることができるように、化学的に安定で耐湿性が高く、
かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
【0041】本発明に係る保護層は、ガラス質保護層で
あり、常温ガラス技術を利用して金属アルコキサイドお
よび触媒を用いて形成する。金属アルコキサイドとして
は、下記一般式で表される化合物が用いられる。
【0042】M(OR)n (ただし、Mはケイ素、もしくはケイ素とアルミニウ
ム、チタンおよび/またはジルコニウムとの混合物であ
り;Rはメチル、エチル、ブチルおよび/またはオクチ
ルであり;そしてnは3または4である)
【0043】触媒としては、ホウ素およびハロゲン化物
を用いる。上記の金属アルコキサイドと触媒をまず、有
機溶媒に溶解して塗布液を調製する。有機溶媒は、前記
アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体などの蓄積性蛍光体
を溶解しない溶媒であり、その例としてはアセトン、イ
ソアミルアルコールを挙げることができる。塗布液には
更に、公知の各種の機能性物質を添加してもよい。この
塗布液を蛍光体層表面に塗布して塗膜を形成する。塗布
手段としては、ワイヤーバー、グラビアコート、ディッ
プコートなどを利用することができる。次いで、この塗
膜を、一般に室温乃至200℃の範囲の温度で10分〜
10時間かけて乾燥する。
【0044】これにより、上記金属の酸化物皮膜からな
るガラス質保護層が形成される。この金属酸化物皮膜
は、以下のような反応により形成される。
【0045】
【化1】 B3+ + 4X- → BX4 - (1) M(OR)n + BX4 - + n/2H2O → MXn+1 - + nROH + B3+ (2) MXn+1 - + nH2O → M(OH)n + (n+1)X- (3) M(OH)n → 金属酸化物ガラス + H2O (4) (MOn/2 + MOn/2 + … )
【0046】触媒のホウ素とハロゲン化物により、
(1)式に示すようにBX4 -錯イオンが生成する。この
BX4 -錯イオンは、(2)式に示すようにM(OR)n
のMと極めて容易に置換してMXn+1 -錯イオンとなる。
このMXn+1 -錯イオンは、(3)式に示す加水分解反
応、(4)式に示す脱水縮合反応を生じて、金属酸化物
ガラスが得られる。
【0047】これらの一連の反応を利用することによっ
て、金属酸化物皮膜を常温領域で形成することができる
とともに、一成分系のみならず、多成分系で非晶質セラ
ミック膜を形成することができる。ガラス質保護層の層
厚は一般に10〜1000μmの範囲にある。
【0048】このガラス質保護層に加えて、有機高分子
物質からなる保護層を設けてもよい。これらの保護層は
どちらが蛍光体層側に配置されていてもよい。有機高分
子物質からなる保護層としては、セルロース誘導体、ポ
リメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂
などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解
して調製した溶液を塗布することで形成されたもの、あ
るいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フ
ィルムを別に形成して適当な接着剤を用いて設けたもの
などが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微
粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹
脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋
剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。この
保護層の層厚は一般に約0.1〜20μmの範囲にあ
る。
【0049】保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染
性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フ
ッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(また
は分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面
に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹
脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。ま
た、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパー
フルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することも
できる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて
更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィ
ラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚
は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素
樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防
止剤などのような添加成分を用いることができる。特に
架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有
利である。
【0050】上述のようにして本発明の放射線像変換パ
ネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各
種のバリエーションを含むものであってもよい。たとえ
ば、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的とし
て、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し
輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色して
もよい(特公昭59−23400号公報参照)。
【0051】次に、放射線増感スクリーンについて簡単
に説明する。基板(支持体)としては、前記放射線像変
換パネルの基板と同様のものを用いることができる。基
板の蛍光体層側の表面には、光反射層、光吸収層、下塗
層、導電層などの補助機能層を設けてもよく、また支持
体表面には多数の凹部を形成してもよい。
【0052】この基板上には、前述したようにして、電
子線蒸着法などの気相堆積法により蛍光体層を形成す
る。本発明の放射線増感スクリーンに用いる蛍光体とし
ては、特に制限はなく、放射線増感スクリーン用の蛍光
体として公知の各種の蛍光体を用いることが可能であ
る。好ましくは、前記基本組成式(I)で代表されるア
ルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体であり、特に好ましく
はCsI:Na、CsI:Tl蛍光体である。
【0053】そして、この蛍光体層上には上述したガラ
ス質保護層を同様にして設ける。なお、本発明の放射線
増感スクリーンの構成は、公知の各種のバリエーション
を含むものであってもよい。
【0054】
【実施例】[実施例1] 放射線像変換パネル (1)蒸発源の作製 臭化セシウム100g(CsBr、0.47モル)、お
よび臭化ユーロピウム1.8404g(EuBr3、約
4.7×10-3モル)をそれぞれ、温度150℃で2時
間排気して脱ガス処理した。ついで、各々を圧力800
kg/cm2にて加圧圧縮して二個のタブレットを作製
した。各タブレットに更に、温度150℃で2時間排気
して脱ガス処理を施した。
【0055】(2)蛍光体層の形成 支持体として石英基板を蒸着装置内に設置した。装置内
の所定位置に別々に上記の二個の蒸発源を置いた後、装
置内を排気して4.0×10-9kg/cm2の真空度と
した。次いで、蒸発源それぞれに電子銃で加速電圧4.
0kVの電子線を同時に20分間照射して、250℃に
加温した石英基板上にCsBr:Eu輝尽性蛍光体を2
5μm/分の速度で堆積させた。その後、各電子線の照
射を止め、装置内を大気圧に戻し、装置から石英基板を
取り出した。石英基板上には、幅が約3μm、長さが約
450μmの蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林
立した構造の蛍光体層(層厚:450μm)が形成され
ていた。
【0056】(3)保護層の形成 金属アルコキサイドとホウ素およびハロゲン化物からな
る触媒とを含有する溶液(主成分:SiO2系、GA−
1、伊藤忠非鉄マテリアル(株)製)を、イソアミルアル
コールで希釈して塗布液を調製した。この塗布液をワイ
ヤーバーにより蛍光体層の表面に塗布した後、200℃
で30分間乾燥して、酸化ケイ素からなるガラス質保護
層を形成した。このようにして、支持体、蓄積性蛍光体
層およびガラス質保護層からなる本発明の放射線像変換
パネルを製造した。得られたパネルの蛍光体層と支持体
との接着性は良好であった。
【0057】[実施例2] 放射線像変換パネル 実施例1と同様にして、支持体上に蛍光体層を形成し
た。次に、金属アルコキサイドとホウ素およびハロゲン
化物からなる触媒とを含有する溶液(主成分:SiO2
−ZrO2−B23系、GA−4、伊藤忠非鉄マテリア
ル(株)製)を、イソアミルアルコールで希釈して塗布液
を調製した。この塗布液をワイヤーバーにより蛍光体層
の表面に塗布した後、200℃で60分間乾燥して、酸
化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび酸化ホウ素からなる
ガラス質保護層を形成した。このようにして、支持体、
蓄積性蛍光体層およびガラス質保護層からなる本発明の
放射線像変換パネルを製造した。得られたパネルの蛍光
体層と支持体との接着性は良好であった。
【0058】[比較例1] 放射線像変換パネル 実施例1と同様にして、支持体上に蛍光体層を形成し
た。次に、有機ケイ素化合物溶液(Si−8000、東
京応化(株)製)をディップコートにより蛍光体層の表面
に塗布した。その後、100℃で5分間、200℃30
分間乾燥し、400℃で30分間加熱して保護層を形成
した。このようにして、支持体、蓄積性蛍光体層および
保護層からなる比較のための放射線像変換パネルを製造
した。得られたパネルは、蛍光体層の一部が支持体から
剥離していた。
【0059】
【発明の効果】本発明の方法によれば、蒸着法などの気
相堆積法により形成された蛍光体層と支持体との間に剥
離を生じさせることなく、その表面にガラス質保護層を
形成することができる。そして、形成されたガラス質保
護層は、耐久性、耐湿性および透明性において優れてい
る。よって、本発明の方法に従って製造された、支持
体、気相堆積法により形成された蛍光体層およびガラス
質保護層を有する蛍光体シートは、高感度であって、高
画質の放射線画像を与え、そして繰り返しの使用に適し
た耐久性の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 5/17 G03C 5/17 Fターム(参考) 2G083 AA02 AA03 BB01 CC01 CC03 DD01 DD14 EE02 EE03 EE07 EE08 2H016 AA03 4H001 CA01 CA08 XA35 XA53 XA55 YA11 YA63 YA81

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、蛍光体層および保護層をこの順
    に有する蛍光体シートの製造方法であって、支持体上に
    蛍光体層を気相堆積法により形成し、次いで該蛍光体層
    上に、金属アルコキサイドからなる主反応成分と、ホウ
    素およびハロゲン化物を含む触媒とを含有する溶液を塗
    布した後、室温乃至200℃の範囲の温度で加熱して、
    ガラス質保護層を形成することを特徴とする蛍光体シー
    トの製造方法。
  2. 【請求項2】 金属アルコキサイドが、ケイ素のアルコ
    キサイドである請求項1に記載の蛍光体シートの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 金属アルコキサイドが、ケイ素のアルコ
    キサイドとジルコニウムのアルコキサイドとの混合物で
    ある請求項2に記載の蛍光体シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちのいずれかの方法
    により製造された蛍光体シート。
  5. 【請求項5】 蛍光体シートが、放射線写真フィルムと
    組み合わせて放射線写真画像を形成する方法に用いられ
    る放射線増感スクリーンである請求項4に記載の蛍光体
    シート。
  6. 【請求項6】 蛍光体シートが、放射線画像情報を蓄積
    記録させた後、励起光を照射することにより発光光を放
    出させ、次いで該発光光を光電変換して検出することに
    より放射線画像情報を再生することからなる放射線画像
    記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルであっ
    て、蓄積性蛍光体からなる蛍光体層と保護層とを有する
    請求項4に記載の蛍光体シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006267099A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 General Electric Co <Ge> 蛍光体フィルム、画像形成組立体およびそれらの検査方法並びにフィルム形成方法、

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JP2006267099A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 General Electric Co <Ge> 蛍光体フィルム、画像形成組立体およびそれらの検査方法並びにフィルム形成方法、

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