JP2003017912A - 可変共振器及び周波数可変フィルタ - Google Patents

可変共振器及び周波数可変フィルタ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周波数可変フィルタ及び可変共振器に能動素
子などを実装することなく、フィルタの中心周波数や帯
域幅あるいは共振器の共振周波数を電気的に制御するこ
とが可能となる簡易な構成の周波数可変フィルタ及び可
変共振器を提供することである。 【解決手段】 誘電率が電気的制御信号により変化する
誘電体材料からなる誘電体層と、前記誘電体層を介して
対向する、もしくは前記誘電体層の同一面に並行して配
置される一対の電極と、前記一対の電極に電圧を印加す
る電源とを備え、前記電源から前記一対の電極に印加す
る電圧を制御し、前記誘電体層の誘電率を変化させ共振
周波数を可変させる可変共振器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変共振器及び周
波数可変フィルタに関し、特に、フィルタの中心周波数
や帯域幅あるいは共振器の共振周波数を外部信号により
変化させる周波数可変フィルタ及び可変共振器に適用し
て有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の周波数可変フィルタ及び可変共振
器では、フィルタの中心周波数や帯域幅、あるいは共振
器の共振周波数を外部信号より調節する方法には、大き
く分けて以下の示すような方法が知られている。
【0003】(1)伝送線路の近傍や空洞共振器へ調整
ねじを挿入したり、あるいは空洞共振器の大きさを物理
的に変化させるなどの機械的な調整方法が良く知られて
いる。
【0004】(2)電気的調整手段としては、例えば、
特開2000−100659では、電圧で調整する可変
容量キャパシタで回路の共振周波数を調整し、チューナ
ブルフィルタを実現している。また、特開2000−3
57905、特開平9−205324、特開平7−32
1509では、ダイオードをスイッチとして用いること
により、制御電圧によって共振器の共振周波数を変化さ
せることにより,周波数可変フィルタを実現している。
【0005】(3)特開2000−151205では、
空洞共振器内に導体板を置き、この導体板と空洞共振器
を光導電素子で接続し、光導電素子に光を照射して光導
電素子のインピーダンスを変化させることにより空洞共
振器の共振周波数を調整して、チューナブルフィルタを
実現している。
【0006】このように、従来の周波数可変フィルタ及
び可変共振器では、フィルタの中心周波数や帯域幅、あ
るいは共振器の共振周波数を外部より制御する場合、外
部からの制御信号は電気信号が一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記従来
技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0008】従来の周波数可変フィルタ及び可変共振器
の共振周波数を外部より制御する方法の内で、前述する
(1)の調整ねじの挿入量を増減するというような機械
的制御方法は、制御信号としての電気信号と親和性が悪
い。このような方法では、制御のための電気信号をモー
タなどにより機械的な信号に変換しなければならず、非
常に複雑な装置の構成となってしまう問題があった。
【0009】また、前述する(3)の光導電素子に光を
照射する方法についても、制御のための電気信号をいっ
たん光に変換しなければならず、複雑な装置構成となっ
てしまうという問題があった。
【0010】一方、前述する(2)の可変容量キャパシ
タやダイオードのようなアクティブ素子を組み合わせる
方法については、フィルタの中心周波数や帯域幅あるい
は共振器の共振周波数を直接電気的に制御することがで
きる。制御信号から制御手段まですべてを電気的に処理
することが可能となるので、装置の構成は前記の機械的
調整方法に比べれば簡単になる。しかしながら、この
(2)の方法では、フィルタや共振器にアクティブ素子
を実装するなどの手間が必要であった。
【0011】本発明の目的は、周波数可変フィルタ及び
可変共振器に能動素子などを実装することなく、フィル
タの中心周波数や帯域幅あるいは共振器の共振周波数を
電気的に制御することが可能となる簡易な構成の周波数
可変フィルタ及び可変共振器を提供することにある。
【0012】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らか
になるであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0014】(1)誘電率が電気的制御信号により変化
する誘電体材料からなる誘電体層と、前記誘電体層を介
して対向する、もしくは前記誘電体層の同一面に並行し
て配置される一対の電極と、前記一対の電極に電圧を印
加する電源とを備え、前記電源から前記一対の電極に印
加する電圧を制御し、前記誘電体層の誘電率を変化させ
共振周波数を可変させる可変共振器。
【0015】(2)誘電率が電気的制御信号により変化
する誘電体材料からなる誘電体層と、前記誘電体層を介
して対向する、もしくは前記誘電体層の同一面に並行し
て配置される一対の電極と、前記一対の電極に電圧を印
加する電源とを備える複数の可変共振器が電磁結合さ
れ、前記電源から前記一対の電極に印加する電圧を制御
し、前記誘電体層の誘電率を変えて可変共振器の共振周
波数を変化させ、中心周波数及び帯域幅を可変する周波
数可変フィルタ。
【0016】前述した(1)の手段によれば、電源から
一対の電極に印加する電圧を制御することによって、誘
電体層の誘電率が変化して共振周波数が変化する。その
結果、可変共振器に能動素子などを実装することなく、
共振周波数を直接電気的に制御できる比較的簡単な構成
となる。このように能動素子が不要であり構造が非常に
簡単であるため、製造コストを低減することができる。
【0017】前述した(2)の手段によれば、電源から
一対の電極に印加する電圧を制御することによって、誘
電体層の誘電率が変化して電磁結合される可変共振器の
共振周波数が変化する。その結果、周波数可変フィルタ
の中心周波数及び帯域幅が変化するので、周波数可変フ
ィルタに能動素子などを実装することなく、中心周波数
及び帯域幅を直接電気的に制御できる比較的簡単な構成
となる。このように能動素子が不要であり構造が非常に
簡単であるため、製造コストを低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、発明の実
施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明
する。
【0019】なお、発明の実施の形態を説明するための
全図において、同一機能を有するものは同一符号を付
け、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1の可変高周波伝送路を用いた可変共振器の概略構成
を説明するための図である。ただし、実施の形態1の可
変共振器は、マイクロストリップ可変共振器である。図
1において、101は液晶層、102はセラミクス基
板、103はストリップ導体、104はグランド電極、
105は制御電圧源、106は入出力線路を示す。
【0021】図1に示すように、実施の形態1の可変共
振器は、液晶層101と、この液晶層101を介して対
向配置される2枚のセラミクス基板(第1及び第2のセ
ラミクス基板102a,102b)と、伝送路であるス
トリップ導体103と、グランド電極104と、制御電
圧源105と、入出力線路106とから構成される。
【0022】一方のセラミクス基板である第1のセラミ
クス基板102aの対向面にはストリップ導体103が
形成されている。このストリップ導体103は、蒸着な
どの周知の方法により第1のセラミクス基板102aの
対向面に形成された導体薄膜であり、周知のエッチング
などの方法で所望の形状に加工される。このストリップ
導体103には、一方の辺には入力ポートとなる入出力
線路106aが形成され、この入出力線路106aが形
成された辺に対向する辺には出力ポートとなる入出力線
路106bが形成される。さらには、実施の形態1で
は、ストリップ導体103に制御電圧源105からの電
圧を印加するための図示しない制御電圧用線路が形成さ
れ、第1のセラミクス基板102aの側面部分に接続可
能に取り出される構成となっている。従って、第1のセ
ラミクス基板102aの対向面には、ストリップ導体1
03と、このストリップ導体103の入出力ポートとな
る入出力線路106a,106bと、制御電圧源105
に接続される制御電圧用線路とが形成される。
【0023】一方、他方のセラミクス基板である第2の
セラミクス基板102bの対向面にはグランド電極10
4となる電極が形成され、第2のセラミクス基板102
bの側面部分に接続可能に取り出される構成となってい
る。
【0024】従って、第1のセラミクス基板102aと
第2のセラミクス基板102bとの対向面を対向させ、
2枚のセラミクス基板102a,102bとの間に液晶
を封入した後に、封止することによって、液晶層101
を誘電体基板とし、ストリップ導体103とグランド電
極104で構成したマイクロストリップ共振器となる。
ただし、図1では共振器の両端に信号の入出力線路10
6a,106bが付加されているが、この入出力線路1
06a,106bは、可変共振器の動作とは関係ないこ
とはいうまでもない。また、液晶層101は、液晶溶液
を含浸させた樹脂を、第1のセラミクス基板102aと
第2のセラミクス基板102bとで挟み込む構成とする
ことによって、液晶層101を所定の厚さに容易に保持
できる。
【0025】制御電圧源105は、出力の何れか一方の
出力がストリップ導体103に接続される図示しない制
御電源用線路に接続され、他方の出力がグランド電極1
04に接続され、共振器の共振周波数に応じて調整され
た直流、あるいは低周波交流電圧信号を、ストリップ導
体103とグランド電極104との間に印加する構成と
なっている。従って、制御電圧源105の出力電圧に応
じて、液晶層101の誘電率が変化することとなるの
で、マイクロストリップ可変共振器の共振周波数を制御
することができる。ただし、図1では、制御電圧源10
5の信号出力側がストリップ導体103に接続され、グ
ランド側がグランド電極104に接続される場合を示し
ている。
【0026】可変共振器の共振周波数をf、共振器の物
理長をLとした場合、下記の数1となる。
【0027】
【数1】 ただし、Cは光の速度、εeffはマイクロストリップの
実効誘電率であり液晶の誘電率εの関数である。
【0028】この数1より、制御電源105の電圧を調
整(制御)することによって、液晶の誘電率εが変化し
て、共振周波数fを調整できることがわかる。
【0029】ただし、液晶層101で使用される液晶
は、高周波に対して誘電率異方性を有し、細長い液晶分
子の長軸方向の誘電率は、短軸方向のものに比べて高
い.その誘電率異方性は、可能な限り使用周波数の範囲
を大きく変化できるため、誘電率異方性が大きなネマテ
ィック液晶、コーステリック液晶、スメクティック液
晶、またはこれら液晶の混合液晶を選択して用いること
ができる。ただし、高速性を得るには低粘性かつ高弾性
のネマティック液晶が適している。特に、屈折率異方性
の大きなシアノビフェニル系、ターフェニル系、ピリジ
ン系、ピリミジン系およびトラン系のネマティック液晶
が最適である。一方、スメクティック液晶を用いる場合
には、自発分極を有して高速応答を示す強誘電性液晶が
有用である。
【0030】一方、これらの液晶を包含するための樹脂
としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリビニールアルコ
ール、またはこれらの共重合体(例えばアクリル・ウレ
タン共重合体)などが適当である。また、液晶層101
は、純粋な液晶のみならず、液晶が小滴状もしくは連通
状態で樹脂に分散された構造の液晶・樹脂複合体(J.
W.Doane,N・A・Vaz,B.G.Wu an
d S.Zumer,“Field controll
ed light scattering from
nematicmicrodroplets,”App
l.Pbys.Lett,VOl.48,no.4,p
p.269−271(1986))、あるいは、繊維な
どに液晶を含浸させた繊維含浸液晶などを利用した構造
も有効である。すなわち、繊維を絡み合わせて形成した
平板状部材あるいは多孔質膜に液晶を含浸させた繊維誘
電体により誘電体層である液晶層101を形成してもよ
いことはいうまでもない。この場合には、液晶層101
の厚さは繊維を絡み合わせて形成した平板状部材あるい
は多孔質膜によって保持されることとなるので、例えば
第1及び第2のセラミクス基板102a,102bを筐
体とするかわり、柔軟性を有する合成樹脂として例えば
ポリイミドを筐体として用いることによって、可変共振
器の配置形状による特性を変化させることなく、配置位
置に応じてその形状に変形させることが可能となる。そ
の結果、可変共振器を機器に組み込む際の部品配置の自
由度を向上させることができるという効果を得ることが
できる。
【0031】なお、実施の形態1の可変共振器では、液
晶層101に電圧(電界)を印加する電極としてストリ
ップ導体103を用いる構成としたが、これに限定され
ることはなく、例えば、第1のセラミクス基板102a
に電圧印加用の電極を設け、この電極とグランド電極1
04とに制御電圧源105を接続する構成としてもよい
ことはいうまでもない。さらには、実施の形態1の可変
共振器の側面部分である液晶層101の側面に電極を設
ける構成としてもよいことはいうまでもない。
【0032】(実施の形態2)図2は本発明の実施の形
態2の可変高周波伝送路を用いた周波数可変フィルタの
概略構成を説明するための図である。ただし、実施の形
態2の周波数可変フィルタは、チューナブルマイクロス
トリップフィルタであり、実施の形態1の可変共振器と
同様の構成を有する可変共振器を複数個組み合わせた構
成である。このような構成のチューナブルマイクロスト
リップフィルタは、例えば、小西良弘,“マイクロ波回
路の基礎とその応用”,総合電子出版,pp.370,
付図10.3と同様なものである。なお、実施の形態で
は、両端が開放される第1〜第3のストリップ導体20
3〜205を並列結合させた並列結合型のフィルタであ
るが、ストリップ導体は、3に限定されるものではな
く、2以上でよいことはいうまでもない。
【0033】図2において、201は液晶層、202は
セラミクス基板、203は第1のストリップ導体、20
4は第2のストリップ導体、205は第3のストリップ
導体、206はグランド電極、207は第1の制御電圧
源、208は第2の制御電圧源、209は第3の制御電
圧源、210は入出力線路を示す。
【0034】図2に示すように、実施の形態2の周波数
可変フィルタは、液晶層201と、この液晶層201を
介して対向配置される2枚のセラミクス基板(第1及び
第2のセラミクス基板202a,202b)と、第1〜
第3のストリップ導体203〜205と、グランド電極
206と、第1〜第3の制御電圧源207〜209とか
ら構成される。
【0035】実施の形態2の周波数可変フィルタでは、
第2のセラミクス基板202bは実施の形態1のセラミ
クス基板102bと同様の構成である。一方、第1のセ
ラミクス基板202aの対向面には、第1〜第3のスト
リップ導体203〜205がそれぞれ離間され、延在方
向にずらされて形成されている。ただし、第1〜第3の
ストリップ導体203〜205は、実施の形態1と同様
に、蒸着等の周知の方法により第1のセラミクス基板2
02aの対向面に形成された導体薄膜であり、周知のエ
ッチングなどの方法で所望の形状に加工される。また、
第1のストリップ導体203には入力ポートとなる入出
力線路210aが離間して形成され、第3のストリップ
導体205には出力ポートとなる入出力線路210aが
離間して形成されている。さらには、実施の形態2で
は、第1〜第3のストリップ導体203〜205にそれ
ぞれ対応する第1〜第3の制御電圧源207〜209か
らの電圧を印加するための図示しない制御電圧用線路が
それぞれ形成され、第1のセラミクス基板202aの側
面部分に接続可能に取り出される構成となっている。従
って、第1のセラミクス基板202aの対向面には、第
1〜第3のストリップ導体203〜205と、実施の形
態2の周波数可変フィルタの入出力ポートとなる入出力
線路210a,210bと、第1〜第3の制御電圧源2
07〜209に接続される3本の制御電圧用線路とが形
成される。
【0036】従って、第1のセラミクス基板202aと
第2のセラミクス基板202bとの対向面を対向させ、
2枚のセラミクス基板202a,202bとの間に液晶
を封入した後に、封止することによって、液晶層201
を誘電体基板とすることによって、チューナブルマイク
ロストリップフィルタとなる。ただし、図2では周波数
可変フィルタの両端に信号の入出力線路210a,21
0bが付加されているが、この入出力線路210a,2
10bは、周波数可変フィルタの動作とは関係ないこと
はいうまでもない。
【0037】このような構成とすることによって、第1
〜第3のストリップ導体203〜205は、実施の形態
1の可変共振器と同様に、それぞれ可変共振器を構成す
る。そして、このように構成された共振器が電磁結合す
ることにより、マイクロストリップフィルタを構成す
る。
【0038】実施の形態2の周波数可変フィルタの中心
周波数は、フィルタを構成する共振器の共振周波数によ
り決まるので、実施の形態1に示すように、第1〜第3
の制御電圧源207〜209の出力電圧をそれぞれ調整
し、第1〜第3のストリップ導体203〜205とグラ
ンド電極206との間に印加する制御電圧を調整するこ
とによって、中心周波数を調整できる。
【0039】一方、高周波信号は、第1〜第3のストリ
ップ導体203〜205に対応する3つの可変共振器の
電磁結合によって伝送されることとなり、この結合量は
特願2000−312906号公報に開示されるよう
に、液晶層201の誘電率の変化により調整できるの
で、第1〜第3の制御電圧源207〜209の出力電圧
をそれぞれ調整し、第1〜第3のストリップ導体203
〜205とグランド電極206との間に印加する制御電
圧を調整することによって、周波数可変フィルタの帯域
が調整されることとなる。
【0040】(実施の形態3)図3は本発明の実施の形
態3の可変高周波伝送路を用いた周波数可変フィルタの
概略構成を説明するための図である。ただし、実施の形
態3の周波数可変フィルタは、チューナブルマイクロス
トリップフィルタであり、実施の形態2と同様に、実施
の形態1の可変共振器と同様の構成を有する可変共振器
を複数個組み合わせた構成である。
【0041】図3において、301は液晶層、302は
セラミクス基板、303は第1の可変共振器、304は
第2の可変共振器、305は第3の可変共振器、306
はグランド電極、307は第1の制御電圧源、308は
第2の制御電圧源、309は第3の制御電圧源、310
は入出力線路を示す。
【0042】図3から明らかなように、実施の形態3の
周波数可変フィルタは、実施の形態2の周波数可変フィ
ルタの第1〜第3のストリップ導体203〜205をそ
れぞれ3つのストリップ導体で構成する、すなわち第1
〜第3の可変共振器303〜305を形成するストリッ
プ導体を3つのストリップ導体で構成し、この3つのス
トリップ導体にそれぞれ異なる制御電圧源を設け、3つ
のストリップ導体とグランド電極306との間に印加す
る電圧を調整可能としたものである。
【0043】このような構成とすることによって、中心
周波数と帯域幅をほぼ独立に調整できるようにしたもの
である。
【0044】以下、図4に本実施の形態3の第1〜第3
の可変共振器を形成するストリップ導体の概略構成を説
明するための図を示し、以下、図4に基づいて図3に示
す実施の形態3の周波数可変フィルタの構成を説明す
る。ただし、前述するように、実施の形態3の周波数可
変フィルタは、第1〜第3の可変共振器303〜305
を構成するストリップ導体と、各ストリップ導体とグラ
ンド電極306との間に印加する第1〜第3の制御電圧
源307〜309の接続形態とが異なるのみで他の構成
は実施の形態2と同様となる。従って、以下の説明で
は、第1〜第3の可変共振器303〜305の内、第2
の可変共振器304について詳細に説明する。
【0045】図4において、401は第1のストリップ
導体、402は第2のストリップ導体、403は第3の
ストリップ導体、404は第4のストリップ導体、40
5は第5のストリップ導体を示す。
【0046】図4に示すように、第2の可変共振器30
4(第2の可変共振器304を形成するストリップ導
体)は、直線上に配列された第1のストリップ導体40
1と、第2のストリップ導体402と、第3のストリッ
プ導体403とから形成される。ただし、実施の形態3
では、第1のストリップ導体401と第2のストリップ
導体402との間隔、及び第2のストリップ導体402
と第3のストリップ導体403との間隔は、それぞれ隣
接する第1及び第3の可変共振器303,305を形成
するストリップ導体との間隔より小さい間隔で離間され
る構成となっている。
【0047】従って、第2の可変共振器304を形成す
る第1のストリップ導体401と第2のストリップ導体
402、及び第2のストリップ導体402と第3のスト
リップ導体403と結合は、隣接する可変共振器を構成
するストリップ導体との結合(例えば、第1のストリッ
プ導体401と第4のストリップ導体404との間隔
や、第3のストリップ導体403と第5のストリップ導
体405との間隔)よりも密な容量結合となっている。
その結果、第1〜第3のストリップ導体401〜403
は、容量結合により電磁結合して、ひとつの可変共振器
として動作する。ただし、前述した実施の形態2に示す
ように、第2の可変共振器304は、離間して配置され
た第1の可変共振器303及び第3の可変共振器305
とも電磁結合することとなる。すなわち、第1のストリ
ップ導体401と第4のストリップ導体404、及び第
3のストリップ導体403と第5のストリップ導体40
5とがそれぞれ電磁結合する。
【0048】その結果、第1〜第3の可変共振器303
〜305によって、実施の形態3の周波数可変フィルタ
であるマイクロストリップフィルタが形成される。
【0049】このとき、実施の形態3の周波数可変フィ
ルタでは、前述するように、一の可変共振器(第2の可
変共振器304)において、第1〜第3のストリップ導
体401〜403は、図示しない制御電圧信号線を介し
て第1〜第3の制御電圧源307〜309にそれぞれ接
続されており、第1〜第3のストリップ導体401〜4
03とグランド電極306との間に印加する制御電圧を
独立に調整できるようになっている。
【0050】このように形成されたフィルタの中心周波
数は、フィルタを構成する共振器の共振周波数により決
定されるので、可変共振器の共振周波数が変化するごと
く、中心周波数が調整できる。すなわち、実施の形態3
では、一の可変共振器(例えば、第2の可変共振器30
4)を構成する第1〜第3のストリップ導体401〜4
03にそれぞれに接続する第1〜第3の制御電圧源30
7〜309の電圧をそれぞれ調整することによって、第
1〜第3のストリップ導体401〜403の電気長Lを
調整できるので共振周波数が変化し、中心周波数を調整
することができる。
【0051】特に、一の可変共振器(例えば、第2の可
変共振器304)を構成する第2のストリップ導体40
2は、隣接する可変共振器(例えば、第1もしくは第3
の可変共振器303,305)とは電磁結合していない
ので、第2のストリップ導体402に接続している制御
電圧源308の電圧を調整して電気長Lを変化させる
ことによって、隣接する可変共振器との結合量を変化さ
せることなく、第2の可変共振器304の電気長Lを調
整でき、もっぱらフィルタの中心周波数を調整すること
ができる。また、特願2000−312906号公報に
開示されるように、第1の制御電圧源307と第3の制
御電圧源309とを調整することにより、例えば第1の
ストリップ導体401と第4のストリップ導体404の
との結合量を調整できるので、結果として第1〜第3の
可変共振器303〜305の結合量を調整できる。これ
により、実施の形態3の制御電圧源307,309を調
整することで、もっぱらフィルタの帯域の調整が可能と
なる。
【0052】なお、実施の形態1〜3では、可変共振
器、チューナブルフィルタに用いる伝送線路の形態とし
てマイクロストリップ線路を例示したが、本発明におけ
る伝送線路はマイクロストリップ線路だけに制限される
ものではなく、同軸線路、コプレーナ線路、ストリップ
線路などの高周波信号の伝搬媒体として誘電体を使った
伝送線路すべてに応用可能である。例えば、図5に示す
コプレーナ線路を用いた可変共振器では、501は液晶
層、502はセラミック基板、503はストリップ導
体、504はグランド電極、505は制御電圧源、50
6は入出力線路を示す。このコプレーナ線路を用いた可
変共振器は、前述する図1に示すマイクロストリップ線
路を用いた可変共振器のグランド電極104を、ストリ
ップ導体103及び入出力線路106と同じ平面(共平
面)に移した構造としている他は、図1に示す実施の形
態1の可変共振器と同様の構造となる。従って、コプレ
ーナ線路を用いた可変共振器においても、実施の形態1
の可変共振器と同様に、制御電圧源505の出力電圧に
応じて、液晶層501の誘電率を変化させることができ
るので、可変共振器の共振周波数を制御することが可能
となる。
【0053】また、実施の形態1〜3では、誘電体層で
ある液晶層101,201,301,501を介して対
向配置されるストリップ導体103,203〜205,
401〜405,503とグランド電極104,20
6,306,504とに制御電圧源105,207〜2
09,307〜309,505からの電圧を印加し液晶
層101,201,301,501の誘電率を変化させ
る構成としたが、これに限定されることはなく、例えば
グランド電極104,206,306,504が形成さ
れる面やストリップ導体103,203〜205,40
1〜405,503が形成される面のように、液晶層1
01,201,301,501の同一面に並行して配置
される一対の電極を設け、この一対の電極に制御電圧源
105,207〜209,307〜309,505から
の電圧を印加し液晶層101,201,301,501
の誘電率を変化させる構成としてもよいことはいうまで
もない。
【0054】以上、本発明者によってなされた発明を、
前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本
発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能で
あることは勿論である。
【0055】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下
記の通りである。
【0056】(1)制御電源から誘電体層に印加する電
圧の大きさ及び/又は方向を制御することによって、誘
電体層の誘電率が変化することとなるので、可変共振器
に能動素子などを実装することなく、可変共振器の共振
周波数を直接制御することができる。
【0057】(2)制御電源から可変共振回路の誘電体
層に印加する電圧の大きさ及び/又は方向を変えること
によって、誘電体層の誘電率が変化することとなり、可
変共振器の共振周波数を可変することができるので、当
該周波可変フィルタに能動素子などを実装することな
く、中心周波数及び/又は帯域幅を直接制御することが
できる。
【0058】(3)能動素子が不要であり構造が非常に
簡単であるため、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の可変高周波伝送路を用
いた可変共振器の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態2の可変高周波伝送路を用
いた周波数可変フィルタの概略構成を説明するための図
である。
【図3】本発明の実施の形態3の可変高周波伝送路を用
いた周波数可変フィルタの概略構成を説明するための図
である。
【図4】本実施の形態3の第1〜第3の可変共振器を形
成するストリップ導体の概略構成を説明するための図で
ある。
【図5】コプレーナ線路を用いた可変共振器の概略構成
を説明するための図である。
【符号の説明】
101…液晶層 102…セラミ
クス基板 103…ストリップ導体 104…グラン
ド電極 105…制御電圧源 106…入出力
線路 201…液晶層 202…セラミ
クス基板 203…第1のストリップ導体 204…第2の
ストリップ導体 205…第3のストリップ導体 206…グラン
ド電極 207…第1の制御電圧源 208…第2の
制御電圧源 209…第3の制御電圧源 210…入出力
線路 301…液晶層 302…セラミ
クス基板 303…第1の可変共振器 304…第2の
可変共振器 305…第3の可変共振器 306…グラン
ド電極 307…第1の制御電圧源 308…第2の
制御電圧源 309…第3の制御電圧源 310…入出力
線路 401…第1のストリップ導体 402…第2の
ストリップ導体 403…第3のストリップ導体 404…第4の
ストリップ導体 405…第5のストリップ導体 501…液晶層 502…セラミック基板 503…ストリ
ップ導体 504…グランド電極 505…制御電
圧源 506…入出力線路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉之下 文康 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会 放送技術研究所内 Fターム(参考) 5J006 HB03 JA01 LA11 MA08 MA13 NA04 NA07 NB07 NC02 NE16 PB04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電率が電気的制御信号により変化する
    誘電体材料からなる誘電体層と、前記誘電体層を介して
    対向する、もしくは前記誘電体層の同一面に並行して配
    置される一対の電極と、前記一対の電極に電圧を印加す
    る電源とを備え、前記電源から前記一対の電極に印加す
    る電圧を制御し、前記誘電体層の誘電率を変化させ共振
    周波数を可変させることを特徴とする可変共振器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の可変共振器において、
    前記誘電体層は液晶層からなることを特徴とする可変共
    振器。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の可変共振器において、
    前記液晶層は前記誘電体層は繊維を絡み合わせて形成し
    た平板状部材あるいは多孔質膜に液晶を含浸させた繊維
    誘電体からなることを特徴とする可変共振器。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の内の何れかに記載の可
    変共振器において、前記一対の電極の内の一方の電極
    は、前記誘電体層を介して高周波信号を伝送する伝送路
    と対向して配置されることを特徴とする可変共振器。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の内の何れかに記載の可
    変共振器において、前記一対の電極の内の他方の電極
    は、高周波信号を伝送する伝送路と兼用されることを特
    徴とする可変共振器。
  6. 【請求項6】 誘電率が電気的制御信号により変化する
    誘電体材料からなる誘電体層と、前記誘電体層を介して
    対向する、もしくは前記誘電体層の同一面に並行して配
    置される一対の電極と、前記一対の電極に電圧を印加す
    る電源とを備える複数の可変共振器が電磁結合され、前
    記電源から前記一対の電極に印加する電圧を制御し、前
    記誘電体層の誘電率を変えて可変共振器の共振周波数を
    変化させ、中心周波数及び帯域幅を可変することを特徴
    とする周波数可変フィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の周波数可変フィルタに
    おいて、前記複数の可変共振器はそれぞれが電磁結合さ
    れる複数の第2の可変共振器から構成され、前記電源は
    前記第2の可変共振器の共振周波数を変化させて、中心
    周波数及び帯域幅を可変することを特徴とする周波数可
    変フィルタ。
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