JP2003015307A - 感光性平版印刷版 - Google Patents

感光性平版印刷版

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JP2003015307A
JP2003015307A JP2001197924A JP2001197924A JP2003015307A JP 2003015307 A JP2003015307 A JP 2003015307A JP 2001197924 A JP2001197924 A JP 2001197924A JP 2001197924 A JP2001197924 A JP 2001197924A JP 2003015307 A JP2003015307 A JP 2003015307A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高鮮鋭で鮮明な画像を形成し得る、赤外線感
光性平版印刷版を提供する。 【解決手段】 支持体の画像形成層を設ける側に下塗り
層が設けられていて、及び/又は支持体の裏面にバック
コート層が設けられていて、並びに赤外線吸収剤を含む
画像形成層が設けられている赤外線感光性平版印刷版で
あって、該下塗り層及び/又はバックコート層がノニオ
ン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤
からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有すること
を特徴とする赤外線感光性平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ等の
デジタル信号に基づき、赤外線レーザー走査により直接
製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な感光性平版
印刷版に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、レーザーの発展はめざましく、特
に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザー、半導
体レーザーは、高出力かつ小型のものが容易に入手でき
るようになっており、このデジタルデータから直接製版
するシステムの露光光源として、これらのレーザーは非
常に有用である。レーザー書き込みに適する画像記録材
料として、例えば特開平7−285275号公報にはク
レゾール樹脂のような結着剤と、光を吸収して熱を発生
する物質と、キノンジアジドのような熱分解性であっ
て、且つ分解前の状態では前記結着剤の溶解性を実質的
に低下させうる化合物とを含有するポジ型の画像記録材
料が提案されている。これは、赤外線照射により露光部
分において前記光を吸収して熱を発生する物質が発熱
し、露光部分をアルカリ可溶性にするもの(ヒートモー
ド型)であるが、支持体であるアルミニウムに吸熱され
てしまうため熱効率が低く、現像工程におけるアルカリ
現像処理液に対する溶解性は満足のいくものではなかっ
た。このため、現像液のアルカリ濃度を上げ、露光部分
の溶解性を確保してきた。 【0003】ところが、ヒートモード型の平版印刷版原
版は、上記のような高濃度のアルカリ条件下では画像部
のアルカリ現像処理液に対する耐溶解性が低く、画像記
録材料表面に僅かに傷があるだけで溶解され、画像部に
欠陥を生ずるなどの問題があった。特に、アルカリ水溶
液に対して可溶性の高い高分子化合物を使用するポジ型
の平版印刷版原版において、その傾向はより顕著であっ
た。従って、非画像部に残膜が生じないようにアルカリ
現像液のアルカリ濃度を上げるには限度があり、形成し
た画像部に欠陥を与えることなく、高鮮鋭で鮮明な画像
を形成するのは困難であった。特に、ドット部や細線な
どを含む精細な画像において、その高鮮鋭化、再現性の
向上が要求されている。そのため、現像液に各種界面活
性剤を添加することが検討されており、画像の高鮮鋭化
に関してある程度の向上が得られている。しかしなが
ら、現像液中への感光層成分の溶け込みによって、その
性能が減少することが問題となっている。よって、より
高鮮鋭で鮮明な画像を形成するために、現像処理液のア
ルカリ濃度を高めることや現像処理液中への各種界面活
性剤の配合には限界がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来におけ
る諸問題を解決し、高鮮鋭で鮮明な画像を形成し得る、
赤外線感光性平版印刷版を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、感光性平版印刷版の支
持体に下塗り層及び/又はバックコート層を設け、該層
中に特定の界面活性剤を含ませておくことにより、該層
に含有させた界面活性剤が感光性平版印刷版の製版過程
で良質な画像形成に寄与できることを見出し、本発明を
完成させるに至った。従って本発明は、支持体の画像形
成層を設ける側に下塗り層が設けられていて、及び/又
は支持体の裏面にバックコート層が設けられていて、並
びに赤外線吸収剤を含む画像形成層が設けられている赤
外線感光性平版印刷版であって、該下塗り層及び/又は
バックコート層がノニオン界面活性剤、両性界面活性剤
及びカチオン界面活性剤からなる群から選ばれる少なく
とも1種を含有することを特徴とする赤外線感光性平版
印刷版に向けられている。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明の赤外線感光性平版印刷版
は、支持体に下塗り層及びバックコート層の双方が設け
られていてもよいし、その一方のみが設けられていても
よく、支持体上にさらに画像形成層を有し、さらに必要
に応じて他の層を有していてもよい。 【0007】[支持体]本発明の赤外線感光性平版印刷
版に使用される支持体は、アルミニウムおよびアルミニ
ウム合金からなる板状物であり、また、紙やプラスチッ
クの両面にアルミニウムやアルミニウム合金の板状物を
貼り合わせたものが用いられる。好適なアルミニウム板
は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分と
し、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウ
ムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィル
ムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、
ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の
異元素の含有量は高々10質量%以下のものが好まし
い。好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、
完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であ
るので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このよ
うにアルミニウム板は、その組成が特定されるものでは
なく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJIS
A1050、JIS A1100、JISA3003、
JIS A3103、JIS A3005などを適宜利用
することが出来る。本発明に用いられるアルミニウム板
の厚みは、通常およそ0.1mm〜0.6mm程度であ
る。 【0008】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂
処理が行われる。まず、アルミニウム板の表面は粗面化
処理されるが、その方法としては、機械的に粗面化する
方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化
学的に表面を選択溶解させる方法がある。機械的方法と
しては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨
法、バフ研磨法などと称せられる公知の方法を用いるこ
とが出来る。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸
または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法が
ある。また、特開昭54−63902号公報に開示され
ているように機械的粗面化法と電気化学的粗面化法の両
者を組み合わせた方法も利用することができる。 【0009】このように粗面化されたアルミニウム板
は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理
された後、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極
酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に
用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するも
のならばいかなるものでも使用することができ、一般に
は硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸
が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類に
よって適宜決められる。 【0010】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解
質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電
流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時
間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。中でも、硫
酸を電解質とし、英国特許第1,412,768号明細
書に記載されているような高電流密度で陽極酸化する方
法および米国特許第4,211,619号明細書に記載
されているような低濃度の硫酸水溶液中で陽極酸化する
方法が好ましく、硫酸の濃度が5〜20質量%、溶存ア
ルミニウムイオンの濃度が3〜15質量%、温度25〜
50℃の電解液中で5〜20A/dm2の電流密度で直
流で陽極酸化する方法が最も好ましい。 【0011】陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 以上が
好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2
の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2 より少な
いと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部
に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付
着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。尚、このよ
うな陽極酸化処理は平版印刷版の支持体の印刷に用いる
面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも
0.01〜3g/m2 の陽極酸化皮膜が形成されるのが
一般的である。 【0012】陽極酸化処理を施された後、アルミニウム
表面は必要により親水化処理が施される。親水化処理と
しては、米国特許第2,714,066号、第3,18
1,461号、第3,280,734号および第3,9
02,734号に開示されているようなアルカリ金属シ
リケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法に於いては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液
中で浸漬処理されるかまたは電解処理される。他に、特
公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジル
コン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868
号、第4,153,461号および第4,689,27
2号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処
理する方法などが用いられる。 【0013】[下塗り層及びバックコート層]上述した
支持体に画像形成層を塗設する前に下塗り層を、及び/
又は、支持体の画像形成層を設ける側の反対側の面にバ
ックコート層を設ける。この下塗り層及びバックコート
層の双方、又はいずれか一方に、ノニオン界面活性剤、
両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤からなる群から
選ばれる少なくとも1種を含有させる。ノニオン界面活
性剤としてはポリエチレングリコール型ノニオン界面活
性剤が挙げられ、例えば以下のような式で表される。 (式中、R1は水素原子、芳香族炭化水素基、又は炭素
原子数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、R2及びR3
は各々水素原子又は−CH3を表し、a、bは各々0〜
300の整数であって但し、a+bは0でない。) 式中、R1の芳香族炭化水素基としてアリール基があ
り、具体的にフェニル基、ナフチル基、アントラニル基
などがあり、それらの芳香族環が炭素原子数1〜30の
アルキル基又はアルケニル基で置換されていてもよい。
また、R1の脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐してい
てもよく、また飽和でも不飽和でもよく、例えばアルキ
ル基、アルケニル基などが挙げられる。 【0014】具体的に、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル類、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、
ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン
ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチ
ルエーテル類、ポリエチレングリコールもしくはその誘
導体、又はポリプロピレングリコールもしくはその誘導
体などがある。ここでポリオキシエチレンとあるのは、
ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキ
シブチレンなどのポリオキシアルキレン、又はそれらの
組み合わせにしてもよい。2種以上のポリオキシアルキ
レン部があるとき、ランダムでもブロックの共重合体で
もよい。 【0015】これらの界面活性剤の分子量としては、5
0〜10000が好ましく、100〜5000がより好
ましく、500〜3500が最も好ましい。前記分子量
が50未満であると画像部に対する溶解抑止力を得るこ
とができないことがあり、10000を超えると非画像
部の現像性が低下することがある。 【0016】上記のようなノニオン界面活性剤は市場に
おいて一般に入手することができる。それらの市販品の
例として式中R1が脂肪族基のものとして旭電化製、花
王石鹸製、三洋化成製、新日本理化製、第一工業製薬
製、竹本油脂製、東邦化学製、日本油脂製などのものが
ある。式中R1が芳香族基のものとして花王石鹸製、三
洋化成製、第一工業製薬製、竹本油脂製、東邦化学製な
どのものがある。 【0017】カチオン系界面活性剤として第四級アンモ
ニウム塩類などが挙げられる。具体的に以下の式で表さ
れるものがある。 (式中、R4〜R7は各々、炭素原子数1〜30のアルキ
ル基又はアルケニル基を表し、X-は各種の酸基イオ
ン、酸エステルイオン(例えばR-O-SO3 -)、ハロゲンイ
オン、水酸イオンなどを表す。) 【0018】また、両性界面活性剤としてアミノカルボ
ン酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤など
が挙げられる。アミノカルボン酸型両性界面活性剤とし
て、例えば以下の式で表される化合物及びその塩類があ
る。 (式中、R8及びR9はそれぞれ炭素原子数1〜30の炭
化水素基を表し、d、e及びfはそれぞれ1〜10の整
数を表す。) R8及びR9は、好ましくは脂肪族炭化水素基であって、
直鎖でも分岐していてもよく、また、飽和でも不飽和で
もよく、具体的にアルキル基、アルケニル基などが挙げ
られる。上記式の化合物の塩類としては、アルカリ金属
塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩、
アンモニウム塩及びアミン塩などが挙げられる。 【0019】ベタイン型両性界面活性剤としては、以下
の式で表されるものがある。 (式中、R10、R11、R12はそれぞれ炭素原子数1〜3
0の炭化水素基を表し、gは1〜10の整数を表す。) R10、R11、R12は、好ましくは脂肪族炭化水素基であ
って、直鎖でも分岐していてもよく、また、飽和でも不
飽和でもよく、具体的にアルキル基、アルケニル基など
が挙げられる。 【0020】上記のノニオン界面活性剤、両性界面活性
剤及びカチオン界面活性剤からなる群から選ばれる少な
くとも1種は、下塗り層あるいはバックコート層中に、
固形分として0.001〜10.0質量%添加されるの
が適当であり、好ましくは0.01〜5.0質量%の範
囲で、より好ましくは0.1〜1.0質量%で添加され
る。以下に下塗り層及びバックコート層についてより詳
しく説明する。 【0021】[下塗り層]下塗り層、より詳しくは有機
下塗層には、上記界面活性剤の他に、有機化合物として
は例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリ
ン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などの
アミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよい
フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホ
スホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸
およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置
換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、
アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸
エステル、置換基を有してもよいフェニルホスフィン
酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およ
びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリ
シンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタ
ノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するア
ミンの塩酸塩などから選ばれるものが用いられ、二種以
上混合して用いてもよい。 【0022】また、下塗り層としては、下記一般式で表
される構成単位を有する有機高分子化合物の少なくとも
1種を含ませることも好ましい。 式中、R51は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を
表し、R52及びR53は、それぞれ独立に水素原子、水酸
基、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリ
ール基、置換アリール基、−OR54、−COOR55、−
CONHR56、−COR57又は−CNを表し、前記R52
及びR53は互いに結合して環構造を形成してもよい。こ
こで、R54〜R57はそれぞれ独立にアルキル基又はアリ
ール基を表す。Xは水素原子、金属原子、−NR5859
6061を表す。ここで善意R58〜R61はそれぞれ独立
に水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基
又は置換アリール基を表し、R58及びR59は互いに結合
して環構造を形成してもよい。mは1〜3の整数を表
す。 【0023】この有機下塗層は次のような方法で設ける
ことができる。即ち、水またはメタノール、エタノー
ル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれら
の混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアル
ミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水または
メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有
機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を
溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記有機
化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、乾
燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法で
は、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度
の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコータ
ー塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などい
ずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶
液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05
〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましく
は25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、
好ましくは2秒〜1分である。 【0024】これに用いる溶液は、アンモニア、トリエ
チルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩
酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1
〜12の範囲で使用することもできる。また、光重合性
平版印刷版の調子再現性改良のために黄色染料を添加す
ることもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜
200mg/m2 が適当であり、好ましくは5〜100
mg/m2 である。上記の被覆量が2mg/m2 より少
ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg
/m2 より大きくても同様である。 【0025】[バックコート層]バックコート層には、
上記の界面活性剤成分の他に、有機金属化合物又は無機
金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られるゾル−
ゲル反応液、有機高分子化合物及び可塑剤を含ませるこ
とができる。バックコート層に用いられるゾル−ゲル反
応液においては金属酸化物としてシリカ(酸化珪素)、
酸化チタン、酸化ホウ素、酸化アルミニウムや酸化ジル
コニウム及びそれらの複合体などが含まれる。バックコ
ート層中のゾル−ゲル反応液は、有機金属化合物あるい
は無機金属化合物を水および有機溶媒中で、酸、または
アルカリなどの触媒で加水分解、及び縮重合反応を起こ
させたいわゆるゾル−ゲル反応液でる。 【0026】ここで用いる有機金属化合物あるいは無機
金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、金属
アセチルアセトネート、金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、
金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属オキシ塩化
物、金属塩化物およびこれらを部分加水分解してオリゴ
マー化した縮合物が挙げられる。金属アルコキシドはM
(OR)n の一般式で表される(Mは金属元素、Rはア
ルキル基、nは金属元素の酸化数を示す)。その例とし
ては、Si(OCH34、Si(OC254、Si
(OC374、Si(OC494、Al(OC
33、Al(OC253、Al(OC373、Al
(OC493、B(OCH33、B(OC253、B
(OC373、B(OC493、Ti(OCH34
Ti(OC254、Ti(OC374、Ti(OC4
94、Zr(OCH34、Zr(OC254、Zr
(OC374、Zr(OC494などが用いられる。
他にGe、Li、Na、Fe、Ga、Mg、P、Sb、
Sn、Ta、Vなどのアルコキシドが挙げられる。さら
に、CH3Si(OCH33、C25Si(OC
33、CH3Si(OC253、C25Si(OC2
53などのモノ置換珪素アルコキシドも用いられる。 【0027】金属アセチルアセトネートの例としては、
Al(COCH2COCH33、Ti(COCH2COC
34、などが挙げられる。金属シュウ酸塩の例として
はK2TiO(C242など、金属硝酸塩の例としては
Al(NO33、ZrO(NO32・2H2Oなどがあ
る。金属硫酸塩の例としてはAl2(SO43、(N
4)Al(SO42、KAl(SO42、NaAl
(SO42、金属オキシ塩化物の例としてはSi2OC
6、ZrOCl2、塩化物の例としてはAlCl3、S
iCl4、ZrCl2、TiCl4などがある。 【0028】これらの有機金属化合物あるいは無機金属
化合物は単独、または二つ以上のものを組み合わせて用
いることができる。これらの有機金属化合物あるいは無
機金属化合物のなかでは金属アルコキシドが反応性に富
み、金属−酸素の結合からできた重合体を生成しやすく
好ましい。それらのうち、Si(OCH34、Si(O
254、Si(OC374、Si(OC494
などの珪素のアルコキシド化合物が安価で入手し易く、
それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液性に優
れており特に好ましい。また、これらの珪素のアルコキ
シド化合物を部分加水分解して縮合したオリゴマーも好
ましい。この例としては、約40質量%のSiO2 を含
有する平均5量体のエチルシリケートオリゴマーが挙げ
られる。 【0029】更に、上記の珪素のテトラアルコキシ化合
物の一個または二個のアルコキシ基をアルキル基や反応
性を持った基で置換したいわゆるシランカップリング剤
を併用するのも好ましい例として挙げられる。これに用
いられるシランカップリング剤としては、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ(メタク
リロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β(アミルエチル)γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルト
リメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランなど
である。 【0030】他方、触媒としては有機、無機の酸および
アルカリが用いられる。その例としては、塩酸、硫酸、
亜硫酸、硝酸、亜硝酸、フッ素、リン酸、亜リン酸など
の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコー
ル酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フ
ロロ酢酸、ブロモ酢酸、メトキシ酢酸、オキサロ酢酸、
クエン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フ
マル酸、マレイン酸、マロン酸、アスコルビン酸、安息
香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸のような置換安息香
酸、フェノキシ酢酸、フタル酸、ピクリン酸、ニコチン
酸、ピコリン酸、ピラジン、ピラゾール、ジピコリン
酸、アジピン酸、p−トルイル酸、テレフタル酸、1,
4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、エルカ
酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸な
どの有機酸、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水
酸化物、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミンなどのアルカリが挙げら
れる。 【0031】他にスルホン酸類、スルフィン酸類、アル
キル硫酸類、ホスホン酸類、およびリン酸エステル類な
ど、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル
酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン
酸フェニル、リン酸ジフェニルなどの有機酸も使用でき
る。 【0032】これらの触媒は単独または二種以上を組み
合わせて用いることができる。触媒は原料の金属化合物
に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ま
しくは0.05〜5質量%の範囲である。触媒量がこの
範囲より少ないとゾル−ゲル反応の開始が遅くなり、こ
の範囲より多いと反応が急速に進み、不均一なゾル−ゲ
ル粒子ができるため、得られる被覆層は耐現像液性に劣
る。 【0033】ゾル−ゲル反応を開始させるには更に適量
の水が必要であり、その好ましい添加量は原料の金属化
合物を完全に加水分解するのに必要な水の量の0.05
〜50倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜30
倍モルである。水の量がこの範囲より少ないと加水分解
が進みにくく、この範囲より多いと原料が薄められるた
めか、やはり反応が進みにくくなる。 【0034】ゾル−ゲル反応液には更に溶媒が添加され
る。溶媒は原料の金属化合物を溶解し、反応で生じたゾ
ル−ゲル粒子を溶解または分散するものであればよく、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールな
どの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、ジエチルケトンなどのケトン類が用いられる。また
バックコート層の塗布面質の向上等の目的でエチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコ
ールなどのグリコール類のモノまたはジアルキルエーテ
ルおよび酢酸エステルを用いることができる。これらの
溶媒の中で水と混合可能な低級アルコール類が好まし
い。ゾル−ゲル反応液は塗布するのに適した濃度に溶媒
で調製されるが、溶媒の全量を最初から反応液に加える
と原料が希釈されるためか加水分解反応が進みにくくな
る。そこで溶媒の一部をゾル−ゲル反応液に加え、反応
が進んだ時点で残りの溶媒を加える方法が好ましい。 【0035】ゾル−ゲル反応は金属酸化物原料、水、溶
媒および触媒を混合することにより進む。反応の進行は
それらの種類、組成比および反応の温度、時間に依存
し、成膜後の膜質にも影響を与える。特に反応温度の影
響が大きいので、反応中温度制御することが好ましい。
ゾル−ゲル反応液には上述の必須成分に加えて、ゾル−
ゲル反応を適度に調整するために水酸基、アミノ基や活
性水素を分子内に含む化合物を添加してもよい。それら
の化合物としてはポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、それらのブロック共重合体、およびそ
れらのモノアルキルエーテルまたはモノアルキルアリー
ルエーテル、フェノールやクレゾールなどの各種フェノ
ール類、ポリビニルアルコールおよび他のビニルモノマ
ーとの共重合体、リンゴ酸、酒石酸などの水酸基を持つ
酸、脂肪族及び芳香族アミン、ホルムアルデヒドおよび
ジメチルホルムアルデヒドなどが挙げられる。 【0036】さらに、バックコート層中には塗布液乾固
物の有機溶剤に対する親和性を向上させ可溶化させるた
めに有機高分子化合物が添加される。有機高分子化合物
としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアセテート、ポリビニルフェノール、ポ
リビニルハロゲン化フェノール、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポ
リアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポ
リカーボネート、エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク、又はレゾールフェノール類とアルデヒド又はケトン
との縮合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シ
リコーン樹脂、活性メチレン、フェノール性水酸基、ス
ルホンアミド基、カルボキシル基等のアルカリ可溶性基
を有するアクリル系共重合体およびこれらの二元、又は
三元以上の共重合樹脂などが挙げられる。 【0037】特に好ましい化合物は、具体的には、フェ
ノールノボラック樹脂又はレゾール樹脂であり、フェノ
ール、クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、
m/p混合クレゾール)、フェノール/クレゾール(m
−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾー
ル)、フェノール変性キシレン、tert−ブチルフェ
ノール、オクチルフェノール、レゾルシノール、ピロガ
ロール、カテコール、クロロフェノール(m−Cl、p
−Cl)、ブロモフェノール(m−Br、p−Br)、
サリチル酸、フロログルシノールなどのホルムアルデヒ
ドとの縮合のノボラック樹脂及びレゾール樹脂、さらに
上記フェノール類化合物とアセトンとの縮合樹脂などが
挙げられる。 【0038】その他の好適な高分子化合物として以下
(1)〜(12)に示すモノマーをその構成単位とする
通常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げること
ができる。 (1)芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタク
リルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エ
ステル類およびヒドロキシスチレン類、例えばN−(4
−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4
−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−
およびp−ヒドロキシスチレン、o−、m−およびp−
ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレー
ト、(2)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類
およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキ
シエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、(3)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アク
リル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレー
ト、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置
換)アクリル酸エステル、 【0039】(4)メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−
2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチ
ル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステ
ル、(5)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシル
メタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミ
ド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロ
キシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアク
リルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニ
ルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N
−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアク
リルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N
−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよびN−エチ
ル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミ
ドもしくはメタクリルアミド、 【0040】(6)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなど
のビニルエーテル類、(7)ビニルアセテート、ビニル
クロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル
などのビニルエステル類、(8)スチレン、メチルスチ
レン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、(9)
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビ
ニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン
類、(10)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブ
タジエン、イソプレンなどのオレフィン類、(11)N
−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビ
ニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
など、 【0041】(12)N−(o−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニル
フェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノス
ルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミ
ノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルア
ミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メ
タクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニ
ル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホ
ニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリル
アミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリ
レート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、
p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3
−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートな
どのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミ
ド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m
−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミ
ノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミ
ノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどの
メタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド。 【0042】これらは、重量分子量が500〜2000
0、数平均分子量が200〜60000であることが好
ましく、添加量は具体的には、原料の金属化合物に対し
て1〜200質量%が適当であり、2〜100質量%が
更に好ましく、5〜50質量%が最も好ましい。添加量
がこれより多いと印刷中に用いる薬品によってバックコ
ート層が剥れ本来の機能を損うことになる。また、裏面
にインキなどの親油性物質が付着した場合、ゾル−ゲル
本来の親水性が劣化し、非常にインキがおとしにくくな
ってしまう。 【0043】さらに、塗布液乾固物の鱗片状の剥離にと
もなう製造塗布中のゴミ付き故障防止のために上述の有
機高分子化合物と併せて、皮膜に可とう性をもたせるた
め可塑剤を添加する。バックコート層中の可塑剤として
は、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオ
クチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソ
デシルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレー
ト、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリ
ルブチルグリコレート、ジイソブチルフタレート、オク
チルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレー
ト、ジトリデシルフタレート、ジアリルフタレート、ジ
メチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグ
リコレート、メチルフタリルエチルグリコレート,ブチ
ルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコー
ルジカプリル酸エステル、トリオクチルトリメリテー
ト、ジオクチルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジ
ブチルセバケート、ジオクチルセバケート、メチルアセ
チルリシノレート、ジメチルマレート、ジエチルマレー
ト、ジブチルマレート、ジオクチルマレート、ジブチル
フマレート、ジオクチルフマレート、 【0044】アジピン酸−プロピレングリコールエステ
ル、アジピン酸−1,3−ブチレングリコールエステ
ル、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブ
チレート、セルロースアセテートフタレート、トリメチ
ルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチル
ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキ
シエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェー
ト、トリスジクロロプロピルホスフェート、モノ−2,
3−ジクロロプロピル−ビス−2,3−ジブロモプロピ
ルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレ
ジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレ
ジルジフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキ
セニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェー
ト、トリフェニルホスファイト、トリラウリルトリチオ
ホスファイト、トリスクロロエチルホスファイト、トリ
ラウリルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファ
イト、トリスジノニルフェニルホスファイト、ジブチル
ハイドロジエンホスファイト、イソプロピルアシッドホ
スフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホ
スフェート、オクチルアシッドホスフェート、ジオクチ
ルホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、モ
ノイソデシルホスフェート、トリデカノールアシッドホ
スフェートなどが有効である。なかでも760mmHg
での沸点が250℃以上のものが特に有効である。また
製版時における親油性物質の付着による汚れ性を劣化さ
せないため、できるだけ親水性の高いものが好ましい。
可塑剤はバックコート層がべとつかない範囲で添加され
るが原料の金属化合物に対して1〜100質量%が適当
であり、3〜60質量%が更に好ましく、5〜30質量
%が最も好ましい。これより添加量が多いと裏面にイン
キなどの親油性物質が付着し汚れ易くなるためである。 【0045】バックコート層には更に、着色して版種を
判別するための染料や顔料を添加することができる。好
ましい染料の例としては、ローダミン6G塩化物、ロー
ダミンB塩化物、クリスタルバイオレット、マラカイト
グリーンシュウ酸塩、オキサジン4パークロレート、キ
ニザリン、2−(α−ナフチル)−5−フェニルオキサ
ゾール、クマリン−4が挙げられる。他の染料として具
体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#
103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、
オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブ
ラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−
505(以上、オリエント化学工業(株)製)、ビクト
リアピュアブルー、クリスタルバイオレット(Cl42
555)、メチルバイオレット(Cl42535)、エ
チルバイオレット、メチレンブルー(Cl5201
5)、パテントピュアブルー(住友三国化学社製)、ブ
リリアントブルー、メチルグリーン、エリスリシンB、
ベーシックフクシン、m−クレゾールパープル、オーラ
ミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミナフトキノ
ン、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルアセトアニリ
ドなどに代表されるトリフェニルメタン系、ジフェニル
メタン系、オキサジン系、キサンテン系、イミノナフト
キノン系、アゾメチン系またはアントラキノン系の染料
が挙げられる。 【0046】上記色素は、バックコート層中に通常約
0.05〜10質量%、より好ましくは約0.5〜5質
量%含有される。バックコート層には更に、o−ナフト
キノンジアジド化合物、感光性アジド化合物、不飽和二
重結合含有モノマーを主成分とする光重合性組成物、桂
皮酸やジメチルマレイミド基を光架橋性組成物およびジ
アゾニウム塩モノマーや、芳香族ジアゾニウム塩と反応
性カルボニル基含有有機縮合剤、特にホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類またはアセタ
ール類とを酸性媒体中で縮合したジアゾ樹脂を耐薬品性
の向上などのために添加することができる。o−ナフト
キノンジアジド化合物としては、ポジ型感光層で使用さ
れるo−ナフトキノンジアジド化合物が好適に用いられ
る。芳香族ジアゾニウム塩としてはその最も代表的なも
のにp−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドと
の縮合物がある。これらのジアゾ樹脂の合成法は、例え
ば、米国特許第2,679,498号、同第3,05
0,502号、同第3,311,605号および同第
3,277,074号の明細書に記載されている。 【0047】更に、ジアゾニウム塩としては、特公昭4
9−48,001号公報記載の芳香族ジアゾニウム塩と
ジアゾニウム基を含まない置換芳香族化合物との共縮合
ジアゾニウム化合物が好適に用いられ、中でもカルボキ
シル基や水酸基のようなアルカリ可溶基で置換された芳
香族化合物との共縮合ジアゾ化合物が好ましい。更に
は、特開平4−18559号、同4−190361号、
同4−172353号公報記載のアルカリ可溶性基を持
つ反応性カルボニル化合物で芳香族ジアゾニウム塩を縮
合したジアゾニウム塩化合物も用いられる。 【0048】これらのジアゾニウム塩の対アニオンとし
て塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの鉱酸また
は塩化亜鉛との複塩などの無機アニオンを用いたジアゾ
ニウム化合物があるが、実質的に水不溶性で有機溶剤可
溶性のジアゾニウム化合物の方が特に好ましい。かかる
好ましいジアゾニウム化合物は特公昭47−1167号
公報、米国特許第3,300,309号明細書に詳しく
記載されている。 【0049】更には特開昭54−98613号、同56
−121031号公報に記載されているようなテトラフ
ルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸などのハロゲン化
ルイス酸および過塩素酸、過ヨウ素酸などの過ハロゲン
酸を対アニオンとしたジアゾニウム化合物が好適に用い
られる。また、特開昭58−209733号、同62−
175731号、同63−262643号公報に記載さ
れている長鎖のアルキル基を有するスルホン酸を対アニ
オンとしたジアゾニウム化合物も好適に用いられる。 【0050】ジアゾニウム化合物はバックコート層中に
0.5〜60質量%、好ましくは5〜50質量%の範囲
で含有させられる。バックコート層には更に滑らせ剤と
してベヘン酸、ベヘン酸アミド、ステアリン酸、ステア
リン酸アミド、アルケニルコハク酸無水物などの高級脂
肪酸や高級脂肪酸アミド、ワックス、ジメチルシロキサ
ン、ポリエチレン粉末などが加えられる。 【0051】またバックコート層には親水性の向上や皮
膜性の改質のために、シリカ微粉末、コロイダルシリ
カ、メタノールシリカゾルおよび無水ホウ酸などが加え
られる。本発明で用いられるバックコート層の厚さは基
本的には現像時アルミニウムの陽極酸化皮膜の溶出を抑
えられる厚さがあればよく、0.001〜10g/m2
の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1g/m
2 が好ましく、0.02〜0.1g/m2 が最も好まし
い。バックコート層をアルミニウム支持体の裏面に被覆
する方法としては種々の方法が適用できるが、上記の塗
布量を確保する上で最も好ましいのは溶液にして塗布、
乾燥する方法である。 【0052】[画像形成層]本発明の赤外線感光性平版
印刷版は、支持体に上記のように下塗り層及び/又はバ
ックーコート層が設けられており、さらに画像形成層を
有している。画像形成層は少なくとも(A)赤外線吸収
剤、及び(B)アルカリ可溶性高分子化合物を含み、そ
の他に(C)アルカリ可溶性高分子化合物と相溶させて
該アルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ水溶液への溶
解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性低下作
用が減少する化合物、(D)環状酸無水物などを含有し
て構成される。また、ネガ型の感光性平版印刷版の場合
には、露光部が硬化して画像部となるため、画像形成層
にさらに(E)熱により酸を発生する化合物と、(F)
酸により架橋する架橋剤とを含有して構成される。以下
に、画像形成層の各構成成分について簡単に説明する。 【0053】−(A)赤外線吸収剤− 赤外線吸収剤(以下、「(A)「成分」ということがあ
る。)は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有す
る。本発明において使用可能な赤外線吸収剤としては、
波長700nm以上の領域に、好ましくは波長750nm〜
1200nmの波長領域に赤外線を高効率に吸収しうる染
料又は顔料が好ましく、波長760nm〜1200nmの領
域に吸収極大を有する染料又は顔料がより好ましい。 【0054】前記染料材としては、市販の染料又は文献
(例えば、「染料便覧」、有機合成化学協会編集、昭和
45年刊)に記載の公知のものが挙げられ、例えば、ア
ゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフ
トキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染
料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染
料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。 【0055】中でも、例えば、特開昭58−12524
6号、特開昭59−84356号、特開昭59−202
829号、特開昭60−78787号等に記載のシアニ
ン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−1
81690号、特開昭58−194595号等に記載の
メチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58
−224793号、特開昭59−48187号、特開昭
59−73996号、特開昭60−52940号、特開
昭60−63744号等に記載のナフトキノン染料、特
開昭58−112792号等に記載のスクワリリウム色
素、英国特許434,875号明細書に記載のシアニン
染料、米国特許5,380,635号明細書に記載のジ
ヒドロペリミジンスクアリリウム染料等が好適に挙げら
れる。 【0056】また、米国特許第5,156,938号明
細書に記載の近赤外吸収増感剤も好ましく、米国特許第
3,881,924号明細書に記載の置換されたアリー
ルベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1426
45(米国特許第4,327,169号明細書)に記載
のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1810
51号、同58−220143号、同59−41363
号、同59−84248号、同59−84249号、同
59−146063号、同59−146061号に記載
のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号に
記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号
明細書に記載のペンタメチンチオピリウム塩等、特公平
5−13514号、同5−19702号に記載のピリリ
ウム化合物、市販品としては、Epolight III-178、E
polight III-130、Epolight III-125、Epolight
IV−62A(エポリン社製)等も好ましい。 【0057】さらに、米国特許第4,756,993 号明細書に
記載の式(I)、(II)で表される近赤外線吸収染料も
好適なものとして挙げることができる。上記のうち、シ
アニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッ
ケルチオレート錯体がより好ましい。 【0058】前記顔料としては、市販の顔料又はカラー
インデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日
本顔料技術協会編)、1977年刊)、「最新顔料応用
技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載の顔料が挙げ
られ、たとえば、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔
料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔
料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他ポリマー結合色素が
挙げられる。 【0059】具体的には、例えば、不溶性アゾ顔料、ア
ゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタ
ロシナニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及
びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン
系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔
料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔
料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、
無機顔料、カーボンブラック等が挙げられる。中でも、
カーボンブラックが好ましい。 【0060】前記顔料は、表面処理をせずに用いてもよ
いし、表面処理を施した後に用いてもよい。表面処理の
方法としては、樹脂やワックスを表面コートする方法、
界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シ
ランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネ
ート等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。
これらの表面処理の方法は、「金属石鹸の性質と応用」
(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、198
4年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、19
86年刊)に記載されている。 【0061】前記顔料の粒径としては、0.01μm 〜1
0μm が好ましく、0.05μm 〜1μm がより好まし
く、0.1μm 〜1μm が最も好ましい。前記粒径が、0.
01μm 未満であると、感光層塗布液等の分散液を調製
したときの分散物の安定性が劣化することがあり、10
μm を超えると、画像形成層の均一性が悪化することが
ある。 【0062】顔料を分散する方法としては、インク製造
やトナー製造等に汎用の分散機等、公知の分散技術から
適宜選択することができる。前記分散機としては、超音
波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、ス
ーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、
KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミ
ル、加圧ニーダー等が挙げられる。その詳細について
は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)に記載がある。 【0063】前記染料又は顔料の含有量としては、画像
形成層の全固形分質量に対して0.01〜50質量%が好
ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、さらに染料
の場合には、0.5〜10質量%が最も好ましく、顔料の
場合には、3.1〜10質量%が最も好ましい。前記含有
量が0.01質量%未満であると、感度が低くなることが
あり、50質量%を超えると、画像形成層の均一性が低
下し、その耐久性が劣化することがある。前記染料又は
顔料は、他の成分と同一層に添加してもよいし、別の層
を設けてそこに添加してもよい。別の層とする場合は、
後述の(C)成分を含有する層に隣接する層に添加する
ことが好ましい。また、染料又は顔料と、アルカリ可溶
性高分子化合物とは同一の層に含有することが好ましい
が、別の層にそれぞれ含有させても構わない。 【0064】−(B)アルカリ可溶性高分子化合物−使用
可能なアルカリ可溶性高分子化合物(以下、「(B)成
分」ということがある。)としては、下記(1)〜
(3)の酸性基を主鎖及び/又は側鎖の構造中に有する
アルカリ水可溶性の高分子化合物を用いることができ
る。 (1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CON
HSO2R〕 前記(1)〜(3)中、Arは置換基を有していてもよ
い2価のアリール連結基を表し、Rは、置換基を有して
いてもよい炭化水素基を表す。以下に、その具体例を示
すが、本発明においては、これらに限定されるものでは
ない。 【0065】(1)フェノール基を有するアルカリ可溶
性高分子化合物としては、例えば、フェノールとホルム
アルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアル
デヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒ
ドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムア
ルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m
−、p−又はm−/p−混合のいずれでもよい。)とホ
ルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂又はピ
ロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができ
る。さらに、フェノール基を側鎖に有するモノマーを重
合させた高分子化合物を挙げることもできる。 【0066】側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子
化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽
和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる
重合性モノマーを単独重合、或いは、該重合性モノマー
に他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化
合物が挙げられる。フェノール基を側鎖に有するモノマ
ーとしては、フェノール基を側鎖に有するアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。 【0067】具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニ
ル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)
アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アク
リルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリ
ルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリル
アミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルア
ミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒド
ロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニル
アクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレー
ト、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒド
ロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレ
ン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレ
ン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレー
ト、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレー
ト、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレー
ト、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレ
ート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリ
レート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタク
リレート等を好適に挙げることができる。 【0068】前記フェノール基を有するアルカリ可溶性
高分子化合物の質量平均分子量としては、5.0×102
〜2.0×105のものが、数平均分子量としては、2.0
×10 2〜1.0×105のものが、画像形成性の点で好ま
しい。また、フェノール基を有するアルカリ可溶性高分
子化合物は、単独での使用のみならず、2種類以上を組
合わせて使用してもよい。組合わせる場合には、米国特
許第4123279号明細書に記載されているような、
t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体
や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合
体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として
有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体を併
用してもよい。これらの縮重合体も、質量平均分子量が
5.0×102〜2.0×105のもの、数平均分子量が2.0
×102〜1.0×105のものが好ましい。 【0069】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
可溶性高分子化合物としては、例えば、スルホンアミド
基を有する化合物を主たるモノマー構成単位とする重合
体、即ち、単独重合体又は前記モノマー構成単位に他の
重合性モノマーを共重合させた共重合体を挙げることが
できる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとし
ては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基−SO2 −NH−と、
重合可能な不飽和結合とを、それぞれ1以上有する低分
子化合物からなるモノマーが挙げられる。中でも、アク
リロイル基、アリル基又はビニロキシ基と、置換或いは
モノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ
基と、を有する低分子化合物が好ましい。前記低分子化
合物としては、例えば、下記一般式(a)〜(e)で表
される化合物が挙げられるが、本発明においては、これ
らに限定されるものではない。 【0070】 【0071】式中、X1、X2は、それぞれ独立に酸素原
子又はNR7 を表す。R1 、R4 は、それぞれ独立に水
素原子又はCH3を表す。R2、R5、R9、R12、R
16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数
1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリー
レン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、R13は、
それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭
素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリー
ル基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、そ
れぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12
のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラル
キル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水
素原子又はCH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立
に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12
のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又
はアラルキレン基を表す。Y1、Y2はそれぞれ独立に単
結合又はCOを表す。 【0072】中でもm−アミノスルホニルフェニルメタ
クリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メ
タクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。 【0073】(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶
性高分子化合物としては、例えば、活性イミド基を有す
る化合物を主たるモノマー構成単位とする重合体を挙げ
ることができる。活性イミド基を有する化合物を主たる
モノマー構成単位とする重合体としては、1分子中に、
下記式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和結
合とをそれぞれ1以上有する低分子化合物からなるモノ
マーを単独重合、或いは、該モノマーに他の重合性モノ
マーを共重合させて得られる高分子化合物を挙げること
ができる。 【0074】【0075】このような化合物としては、具体的には、
N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N
−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適
に挙げることができる。さらに、上記のほか、前記フェ
ノール基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を
有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合
性モノマーのうちのいずれか2種類以上を重合させた高
分子化合物、或いは、これら2種以上の重合性モノマー
にさらに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高
分子化合物も好適に挙げられる。 【0076】フェノール基を有する重合性モノマー(M
1)に、スルホンアミド基を有する重合性モノマー(M
2)及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマー
(M3)を共重合させる場合の配合比(M1:M2及び
/又はM3;質量比)としては、50:50〜5:95
が好ましく、40:60〜10:90がより好ましい。 【0077】アルカリ可溶性高分子化合物が、前記酸性
基(1)〜(3)より選ばれるいずれかを有するモノマ
ー構成単位と、他の重合性モノマーの構成単位とから構
成される共重合体である場合、該共重合体中に、前記酸
性基(1)〜(3)より選ばれるいずれかを有するモノ
マー構成単位を10モル%以上含むことが好ましく、2
0モル%以上含むことがより好ましい。前記モノマー構
成単位の含有量が、10モル%未満であると、十分なア
ルカリ可溶性が得られずに、現像ラチチュードが狭くな
ることがある。前記共重合体の合成方法としては、従来
より公知のグラフト共重合法、ブロック共重合法、ラン
ダム共重合法等を用いることができる。 【0078】前記酸性基(1)〜(3)より選ばれるい
ずれかを有するモノマーを構成単位とする重合性モノマ
ーと共重合させる。他の重合性モノマーとしては、例え
ば、下記(a)〜(1)に挙げるモノマーを挙げること
ができるが、本発明においては、これらに限定されるも
のではない。 【0079】(a)2−ヒドロキエチルアクリレート又
は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸
基を有するアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステ
ル類。 (b)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベ
ンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルア
クリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等
のアルキルアクリレート。 (c)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−ク
ロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレー
ト。 【0080】(d)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリ
ルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロ
ヘキシルアクリるアミド、N−ヒドロキシエチルアクリ
ルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフ
ェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアク
リルアミド等のアクリルアミド、又はメタクリルアミ
ド。 (e)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニル
エーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニ
ルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル類。 (f)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビ
ニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル
類。 (g)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等とスチレン類。 【0081】、(h)メチルビニルケトン、エチルビニ
ルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケト
ン等のビニルケトン類。 (i)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジェ
ン、イソプレン等のオレフィン類。 (j)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾー
ル、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等。 (k)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、
N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタ
クリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリ
ルアミド等の不飽和イミド。 (l)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸等の不飽和カルボン酸。 【0082】前記アルカリ水可溶性高分子化合物として
は、単独重合体、共重合体に関わらず、膜強度の点で、
質量平均分子量が2000以上、数平均分子量が500
以上のものが好ましく、質量平均分子量が5000〜3
00000、数平均分子量が800〜250000であ
り、分散度(質量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜
10のものがより好ましい。また、前記アルカリ可溶性
高分子化合物が、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、
クレゾール−アルデヒド樹脂等である場合には、質量平
均分子量が500〜20000であって、数平均分子量
が200〜10000のものが好ましい。 【0083】前記アルカリ水可溶性高分子化合物の含有
量としては、画像形成層の全固形分質量に対して30〜
99質量%が好ましく、40〜95質量%がより好まし
く、50〜90質量%が最も好ましい。前記含有量が、
30質量%未満であると、画像形成層の耐久性が低下す
ることがあり、99質量%を越えると、感度、耐久性が
低下することがある。また、前記高分子化合物は、1種
類のみを用いても、2種類以上を組合わせて用いてもよ
い。 【0084】−(C)前記アルカリ可溶性高分子化合物
と相溶させて該アルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ
水溶液への溶解性を低下させるとともに、加熱により該
溶解性低下作用が減少する化合物− この(C)成分は、分子内に存在する水素結合性の官能
基の働きにより、前記(B)アルカリ可溶性高分子化合
物との相溶性が良好であり、均一な画像形成層用塗布液
を形成しうるとともに、アルカリ可溶性高分子化合物と
の相互作用により、該アルカリ可溶性高分子化合物のア
ルカリ可溶性を抑制する機能(溶解性抑制作用)を有す
る化合物を指す。 【0085】また、加熱によりアルカリ可溶性高分子化
合物に対する前記溶解性抑制作用は消滅するが、この赤
外線吸収剤自体が加熱により分解する化合物である場合
には、分解に十分なエネルギーが、レーザー出力や照射
時間等の諸条件により付与されないと、アルカリ可溶性
高分子化合物の溶解性抑制作用を十分に低下させること
ができず、感度が低下するおそれがある。このため、
(C)成分の熱分解温度としては、150°C以上が好
ましい。 【0086】(C)成分としては、前記(B)アルカリ
可溶性高分子化合物との相互作用を考慮して、例えば、
スルホン化合物、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ア
ミド化合物等の前記アルカリ可溶性高分子化合物と相互
作用しうる化合物の中から適宜選択することができる。
特に、例えば、前記(B)成分として、ノボラック樹脂
を単独で用いる場合には、後述する「(A+C)成分」
が好ましく、以下に例示するシアニン染料A等がより好
ましい。(A+C)成分については後述する。 【0087】(C)成分と前記(B)アルカリ可溶性高
分子化合物との配合比(C/B)としては、一般に1/
99〜25/75が好ましい。前記混合比が、1/99
未満、即ち、(C)成分が少なすぎると、アルカリ可溶
性高分子化合物との相互作用が不十分となり、アルカリ
可溶性を低下させることができず、良好に画像形成する
ことができないことがあり、25/75を超える、即
ち、(C)成分が多すぎると、相互作用が過大となり、
感度が著しく低下することがある。 【0088】−(A+C)成分− 前記(A)成分及び(C)成分に代えて、これら双方の
特性を有する化合物((A+C)成分)を用いることが
できる。前記(A+C)成分は、光を吸収して熱を発生
する性質(即ち、(A)成分の特性)を有し、しかも7
00〜1200nmの波長領域に吸収域を持つと共に、さ
らにアルカリ可溶性高分子化合物と良好に相溶しうる塩
基性染料である。(A+C)成分は、その分子内にアン
モニウム基、イミニウム基等のアルカリ可溶性高分子化
合物と相互作用する基を有する(即ち、(C)成分の特
性)ため、前記高分子化合物と相互作用して、そのアル
カリ可溶性を抑制することができる。前記(A+C)成
分としては、例えば、下記一般式(Z)で表される化合
物を挙げることができる。 【0089】 【0090】前記一般式(Z)中、R21〜R24は、それ
ぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭
素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ
基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R21
22、R23とR24はそれぞれ結合して環構造を形成して
いてもよい。R21〜R24としては、例えば、水素原子、
メチル基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチ
ル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げ
られ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよ
い。ここで、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、
カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、
カルボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エス
テル等が挙げられる。 【0091】式中、R25〜R30は、それぞれ独立に置換
基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表
し、前記R25〜R30としては、例えば、メチル基、エチ
ル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、ビニル
基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これら
の基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置
換基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、
ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル
基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げ
られる。 【0092】式中、R31〜R33は、それぞれ独立に水素
原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数
1〜8のアルキル基を表し、前記R32は、前記R31又は
33と結合して環構造を形成していてもよく、m>2の
場合は、複数のR32同士が結合して環構造を形成してい
てもよい。前記R31〜R33としては、例えば、塩素原
子、シクロヘキシル基、R32同士が結合してなるシクロ
ペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられ、これらの
基は、さらに置換基を有していてもよい。ここで、置換
基としては、例えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニ
トロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、
カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられ
る。また、mは1〜8の整数を表し、中でも1〜3が好
ましい。 【0093】式中、R34〜R35は、それぞれ独立に水素
原子、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよい炭素数
1〜8のアルキル基を表し、前記R34は、R35と結合し
て環構造を形成していてもよく、m>2の場合は、複数
のR34同士が結合して環構造を形成していてもよい。前
記R34〜R35としては、例えば、塩素原子、シクロヘキ
シル基、R34同士が結合してなるシクロペンチル環、シ
クロヘキシル環等が挙げられ、これらの基は、さらに置
換基を有していてもよい。ここで、置換基としては、例
えば、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリ
ル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エス
テル、スルホン酸エステル等が挙げられる。また、m
は、1〜8の整数を表し、中でも、1〜3が好ましい。 【0094】式中、X-は、アニオンを表し、例えば、
過塩素酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソ
プロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−O−トル
エンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベン
ゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−
クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホ
ン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ド
デシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スル
ホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイ
ル−ベンゼンスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸等
が挙げられる。中でも、六フッ化リン酸、トリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼン
スルホン酸等のアルキル芳香族スルホン酸が好ましい。 【0095】前記一般式(Z)で表される化合物は、一
般にシアニン染料と呼ばれる化合物であり、具体的に
は、以下に示す化合物が好適に用いられるが、本発明に
おいては、これらに限られるものではない。 【化1】【0096】上述の(A)成分及び(C)成分に代え
て、これら双方の特性を有する前記(A+C)成分を用
いる場合、該(A+C)成分と前記(B)成分との使用
量比〔(A+C)/(B)〕としては、1/99〜30
/70が好ましく、1/99〜25/75がより好まし
い。 【0097】−(D)環状酸無水物− 平版印刷版原版には、さらに環状酸無水物を使用するこ
とができる。該環状酸無水物は、その構造内にカルボン
酸無水物のカルボニル基と共役する結合を有し、そのカ
ルボニル基の安定性を増すことで分解速度を制御し、保
存経時において適当な速度で分解して酸を発生する。そ
のため、保存経時での現像性劣化を抑え、現像性を長期
間安定に維持しうる。前記環状酸無水物としては、下記
一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられ
る。 【0098】 【化2】 【0099】一般式(I)中、R41、R42はそれぞれ独
立に水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素原子
数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ
基、シクロアルキル基、アリール基、カルボニル基、カ
ルボキシ基もしくはカルボン酸エステルを表す。なお、
41、R42は互いに連結して環構造を形成してもよい。
前記R41、R42としては、例えば水素原子、又は炭素原
子数1〜12の無置換のアルキル基、アリール基、アル
ケニル基、シクロアルキル基などが好適に挙げられ、具
体的には水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、
ドデシル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロ
ヘキシル基などが挙げられ、これらの基は、さらに置換
基を有していてもよい。R41、R42が互いに連結して環
構造を形成する場合、その環状基としては、例えばフェ
ニレン基、ナフチレン基、シクロヘキセン基、シクロペ
ンテン基などが挙げられる。前記置換基としては、例え
ばハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボニル基、スルホ
ン酸エステル、ニトロ基、ニトリル基などが挙げられ
る。 【0100】一般式(II)中、R43、R44、R45、R46
は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、塩素など
のハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、又は置換基を
有していてもよい炭素年始数1〜12のアルキル基、ア
ルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリー
ル基、カルボニル基、カルボキシ基もしくはカルボン酸
エステル基などを表す。前記R43、R44、R45、R46
しては、例えば水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1
〜12の無置換のアルキル基、アルケニル基、炭素原子
数6〜12のアリール基などが好適に挙げられ、具体的
にはメチル基、ビニル基、フェニル基、アリル基などが
挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していても
よい。前記置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒド
ロキシ基、カルボニル基、スルホン酸エステル、ニトロ
基、ニトリル基、カルボキシ基などが挙げられる。 【0101】環状酸無水物として、例えば無水フタル
酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、3−ヒドロキシ無水フタル酸、
3−メチル無水フタル酸、3−フェニル無水フタル酸、
無水トリメット酸、無水ピロメット酸、無水マレイン
酸、フェニル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン
酸、ジクロロ無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸な
どが好適に挙げられる。環状酸無水物の含有量として
は、画像形成層の全固形分含量に対して0.5〜20質量
%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、1〜1
0質量%が最も好ましい。前記含有量が0.5質量%未満
であると現像性の維持効果が不十分となることがあり、
20質量%を超えると画像を形成できないことがある。 【0102】以下は、ネガ型平版印刷版の記録層を構成
する成分である。 −(E)熱により酸を発生する化合物− 画像形成材料がネガ型の場合、加熱時に酸を発生する化
合物(以下、「酸発生剤」という。)を併用する。この
酸発生剤は、100°C以上に加熱することにより分解
して酸を発生する化合物を増す。発生する酸としては、
スルホン酸、塩酸等の pKa が2以下の強酸であること
が好ましい。前記酸発生剤としては、ヨードニウム塩、
スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩等の
オニウム塩を好適に挙げることができる。具体的には、
米国特許4,708,925号や特開平7−20629
号に記載の化合物を挙げることができ、中でも、スルホ
ン酸イオンを対イオンとするヨードニウム塩、スルホニ
ウム塩、ジアゾニウム塩が好ましい。 【0103】前記ジアゾニウム塩としては、米国特許第
3,867,147号に記載のジアゾニウム塩化合物、
米国特許第2,632,703号明細書に記載のジアゾ
ニウム化合物、特開平1−102456号、特開平1−
102457号の各公報に記載のジアゾ樹脂も好適に挙
げることができる。また、米国特許第5,135,83
8号、米国特許第5,200,544号に記載のベンジ
ルスルホナート類、特開平2−100054号、特開平
2−100055号、特開平8−9444号に記載の活
性スルホン酸エステルやジスルホニル化合物類も好まし
い。その他特開平7−271029号に記載の、ハロア
ルキル置換されたS−トリアジン類も好ましい。前記酸
発生剤の添加量としては、画像形成層の全固形分質量に
対し0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜40質量%
がより好ましく、0.5〜30質量%が最も好ましい。 【0104】−(F)酸により架橋する架橋剤− 平版印刷版原版がネガ型である場合、酸により架橋する
架橋剤(以下、単に「架橋剤」という場合がある。)を
併用する。 前記架橋剤としては、以下のものを挙げることができ
る。 (i)アルコキシメチル基又はヒドロキシメチル基で置
換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル
基又はN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物 さらに、特開平11−254850号公報に記載のもの
やフェノール誘導体等も挙げることができる。 【0105】前記架橋剤の添加量としては、画像形成層
の全固形分質量に対し5〜80質量%が好ましく、10
〜75質量%がより好ましく、20〜70質量%が最も
好ましい。前記フェノール誘導体を架橋剤として使用す
る場合、該フェノール誘導体の添加量としては、画像形
成材料の全固形分質量に対し5〜70質量%が好まし
く、10〜50質量%がより好ましい。上記の各種化合
物の詳細については、特開2000−267265号公
報に記載されている。 【0106】−その他の成分− 好適な平版印刷版原版の画像形成層には、必要に応じ
て、さらに種々の添加剤を添加することができる。例え
ば、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノ
ール類、有機酸類、スルホニル化合物類等の公知の添加
剤を併用することもできる。前記環状酸無水物として
は、米国特許第4,115,128号明細書に記載のテ
トラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、
3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル
酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水
プロメリット酸などが挙げられる。フェノール類として
は、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エ
トキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベン
ゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノ
ン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−
トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,
4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラ
メチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。 【0107】前記有機酸類としては、、特開昭60−8
8942号公報、特開平2−96755号公報などに記
載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキ
ル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類およびカル
ボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホ
ン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスル
フィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニル
ホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安
息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、
3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル
酸、4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、エル
カ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸
などが挙げられる。スルホニル化合物類としては、例え
ばビスヒドロキシフェニルスルホン、メチルフェニルス
ルホン、ジフェニルジスルホンなどが挙げられる。前記
環状酸無水物、フェノール類、有機酸類又はスルホニル
化合物類の添加量としては、画像形成層の全固形分質量
に対し、0.05〜20質量%が好ましく、0.1〜15質
量%がより好ましく、0.1〜10質量%が最も好まし
い。 【0108】また、現像条件に対する処理性の安定性を
拡げる目的で、特開昭62−251740号公報、特開
平3−208514号公報等に記載の非イオン界面活性
剤、特開昭59−121044号、特開平4−1314
9号公報等に記載の両性界面活性剤、EP950517
号公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特
開平11−288093号公報に記載されているような
フッ素含有のモノマー共重合体を添加することができ
る。非イオン界面活性剤としては、例えばソルビタント
リステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビ
タントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられ
る。両性界面活性剤としては、例えばアルキルジ(アミ
ノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシ
ン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テト
ラデシル−N,N−ベタイン型(例えば商品名:アモー
ゲンK、第1工業(株)製)などが挙げられる。シロキ
サン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアル
キレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例
として(株)チッソ社製、DBE−224、DBE−6
21、DBE−712、DBP−732、DBP−53
4、独Tego社製、Tego Glide 100等のポリアルキレ
ンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。前記
非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤の使用量として
は、画像形成層の全固形分質量に対し、0.05〜15質
量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。 【0109】前記画像形成層には、露光による加熱後、
直ちに可視像を得るための焼き出し剤や画像着色剤とし
ての染料や顔料を加えることができる。前記焼き出し剤
としては、例えば、露光による加熱によって酸を発生す
る化合物と塩を形成しうる有機染料との組合せが挙げら
れる。具体的には、特開昭50−36209号、特開昭
53−8128号の各公報に記載の、o−ナフトキノン
ジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染
料との組合せ、特開昭53−36223号、特開昭54
−74728号、特開昭60−3626号、特開昭61
−143748号、特開昭61−151644号及び特
開昭63−58440号の各公報に記載の、トリハロメ
チル化合物と塩形成性有機染料との組合せ、が挙げられ
る。前記トリハロメチル化合物として、オキサゾール系
化合物とトリアジン系化合物があり、いずれも経時安定
性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。前記画像着色
剤としては、例えば、前記塩形成性有機染料以外に、他
の染料を用いることができ、例えば、油溶性染料、塩基
性染料が好適に挙げられる。 【0110】具体的には、オイルイエロー#101、オ
イルイエロー#103、オイルピンク#312、オイル
グリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#6
03、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイ
ルブラックT−505(以上、オリエント化学工業
(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイ
オレット(C.I.42555)、メチルバイオレット
(C.I.42535)、エチルバイオレット、ローダ
ミンB(C.I.145170B)、マラカイトグリー
ン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.I.
52015)等を挙げることができる。また、特開昭6
2−293247号公報に記載の染料は、特に好まし
い。前記各種染料の添加量としては、画像形成層の全固
形分質量に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.1
〜3質量%がより好ましい。 【0111】また、必要に応じて、その塗膜に柔軟性等
を付与する目的で、可塑剤を添加することができる。可
塑剤としては、例えばブチルフタリル、ポリエチレング
リコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオク
チル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸
トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、ア
クリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマーな
どが挙げられる。 【0112】さらに必要に応じて、以下の種々添加剤を
添加することができる。例えば、オニウム塩、o−キノ
ンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スル
ホン酸エステル化合物等の、熱分解性で、未分解状態で
はアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低
下させる化合物を併用することができる。該化合物の添
加は、画像部の現像液への溶解阻止能の向上を図る点で
好ましい。前記オニウム塩としては、例えばジアゾニウ
ム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム
塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩
などが挙げられる。中でも、例えばS.I. Schlesinger,
Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974), T.S.Bal et al,
Polymer, 21, 423 (1980), 特開昭5−158230号
公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,
055号、同4,069,056号、特開平3−140
140号に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et a
l, Macromolecules, 17, 2468 (1984), C. S. Wen et a
l, The Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, O
ct (1988)、米国特許第4,069,055号、同4,
069,056号に記載のホスホニウム塩、J. V. Criv
elloet et al. Macromolecules, 10(6), 1307 (1977)、
Chem. & Eng. News, Nov. 28, p.31 (1988)、欧州特許
第104,143号、米国特許第339,049号、同
第410,201号、特開平2−150848号、特開
平2−296514号に記載のヨードニウム塩、 【0113】J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 7
3 (1985)、J. V. Crivello et al, J.Org. Chem., 43,
3055 (1978)、W. R, Watt et al, J. Polymer Sci., Po
lymerChem. Ed., 22, 1789 (1984)、J. V. Crivello et
al, Polymer bull., 14, 279 (1985)、J. V. Crivello
et al, Macromolecules, 14(5), 1141 (1981), J.V.Cr
ivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed.,
17. 2877 (1979), 欧州特許第370,693号、同2
33,567号、同297,443号、同297,44
2号、米国特許第4,933,377号、同3,90
2,114号、同410,201号、同399,049
号、同4,760,013号、同4,734,444
号、同2,833,827号、独国特許第2,904,
626号、同3,604,580号、同3,604,5
81号に記載のスルホニウム塩、 【0114】J. V. Crivello et al, Macromolecules,
10(6), 1307 (1977), J.V. Crivelloet al, J. Polymer
Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979)に記載の
セレノニウム塩、C. S. Wen et al, The Proc. Conf. R
ad. Curing ASIA, p.478, Tokyo, Oct (1988)に記載の
アルソニウム塩などが挙げられる。上記のうち、ジアゾ
ニウム塩が好ましく、中でも、特開平5−158230
号公報に記載のものがより好ましい。 【0115】オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化
ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5
−スルホサチリル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホ
ン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2
−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスル
ホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロ
カプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスル
ホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキ
シ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホ
ン酸、及びパラトルエンスルホン酸などを挙げることが
できる。中でも、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナ
フタレンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホ
ン酸などのアルキル芳香族スルホン酸が好ましい。 【0116】前記o−キノンジアジド化合物としては、
少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物
で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものが挙げら
れ、種々の構造の化合物を用いることができる。前記o
−キノンジアジドは、熱分解により結着剤の溶解抑制能
を喪失し、且つo−キノンジアジド自身がアルカリ可溶
性の物質に変化する、両効果により平版印刷版原版の溶
解性を助ける。 【0117】上記のようなo−キノンジアジド化合物と
しては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティ
ブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第33
9〜352頁に記載の化合物が使用可能であるが、中で
も、種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物又は芳香族アミ
ノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸
エステル又はスルホン酸アミドが好ましい。また、特開
昭43−28403号公報に記載の、ベンゾキノン
(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又は、米国
特許第3,046,120号、同第3,188,210
号に記載のベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホ
ン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジ
ド−5−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアル
デヒド樹脂とのエステルも好ましい。 【0118】さらに、ナフトキノン−(1,2)−ジア
ジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムア
ルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹
脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド
−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン
樹脂とのエステルも好ましい。その他、例えば特開昭4
7−5303号、特開昭48−63802号、特開昭4
8−63803号、特開昭48−96575号、特開昭
49−38701号、特開昭48−13354号、特公
昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公
昭49−17481号、米国特許第2,797,213
号、同ぢ3,454,400号、同第3,544,32
3号、同第3,573,917号、同第3,674,4
95号、同第3,785,825号、英国特許第1,2
27,602号、同第1,251,345号、同第1,
267,005号、同第1,329,888号、同第
1,330,932号、ドイツ特許第854、890号
などに記載のものも有用である。これらの化合物は単独
でも、数種を組み合わせて混合物として使用してもよ
い。前記オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香
族スルホン酸エステル等の添加量としては、画像形成層
の全固形分質量に対し、0.1〜50質量%が好ましく、
0.5〜30質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が
最も好ましい。 【0119】その他、画像のディスクリミネーションの
強化や表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特
開2000−187318号公報に記載されているよう
な、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基
を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合
成分とする重合体を併用することが好ましい。添加量と
しては画像形成層の全固形分質量に対し、0.1〜10質
量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%であ
る。また、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面
の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもでき
る。具体的には、米国特許第6117913号明細書に
開示されているような長鎖アルキルカルボン酸のエステ
ルなどを挙げることができる。その添加量として好まし
いのは、画像形成層の全固形分質量に対し0.1〜10質
量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%である。ま
た、画像形成層の溶解性を調節する目的で種々の溶解抑
制剤を含んでもよい。溶解抑制剤としては、特開平11
−119418号公報に記載されるようなジスルホン化
合物又はスルホン化合物が好適に用いられ、具体例とし
て4,4'-ビスヒドロキシフェニルスルホンを用いること
が好ましい。その添加量として好ましいのは、画像形成
層の全固形分質量に対し0.05〜20質量%であり、よ
り好ましくは0.5〜10質量%である。 【0120】本発明の感光性平版印刷版の具体例とし
て、特願2000−378507号に開示されるような
画像形成層を2層構造のポジ型感熱層とした平版印刷版
原版も挙げられる。即ちこのポジ型感熱層は積層構造を
有し、表面(露光面)に近い位置に設けられている感熱
層と、支持体に近い側に設けられいるアルカリ可溶性高
分子化合物を含有する下層とを有することを特徴とす
る。該感熱層と下層の双方に或いは一方に、上述してき
た(A)赤外線吸収剤、(B)アルカリ可溶性高分子化合物、
(C)アルカリ可溶性高分子化合物と相溶させて該アルカ
リ可溶性高分子化合物のアルカリ水溶液への溶解性を低
下させるとともに、加熱により該溶解性低下作用が減少
する化合物、−その他の成分−を含有させることができ
る。下層で用いられるアルカリ可溶性高分子化合物とし
ては、アクリル樹脂が、緩衝作用を有する有機化合物と
塩基とを主成分とするアルカリ現像液に対して下層の溶
解性を良好に保持し得るため、現像時の画像形成の観点
から好ましい。さらにこのアクリル樹脂としてスルホア
ミド基を有するものが特に好ましい。また、感熱層で用
いられるアルカリ可溶性高分子化合物としては、未露光
部では強い水素結合性を生起し、露光部においては、一
部の水素結合が容易に解除される点などからフェノール
性水酸基を有する樹脂が望ましい。更に好ましくはノボ
ラック樹脂である。赤外線吸収染剤は、感熱層のみなら
ず、下層にも添加することができる。下層に赤外線吸収
剤を添加することで下層も感熱層として機能させること
ができる。下層に赤外線吸収剤を添加する場合には、上
部の感熱層におけるのと互いに同じ物を用いてもよく、
また異なる物を用いてもよい。その他の添加剤は下層の
みに含有させてもよいし、感熱層のみに含有させてもよ
く、更に両方の層に含有させてもよい。 【0121】感光性平版印刷版の画像形成層(上記2層
構造も含む)は、上記各成分を溶媒に溶かして、適当な
支持体上に塗布することができる。溶媒として、例えば
エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチ
ルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−
2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1
−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタ
ン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセト
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチル
グレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン、α−ブチロラクトン、トルエンなどが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記
溶媒は単独でも2種以上を混合してもよい。 【0122】画像形成層を2層構造とする場合、感熱層
に用いるアルカリ可溶性高分子化合物と下層に用いるア
ルカリ可溶性高分子化合物に対して溶解性の異なるもの
を選ぶことが好ましい。つまり、下層を塗布した後、そ
れに隣接して上層である感熱層を塗布する際、最上層の
塗布溶剤として下層のアルカリ可溶性高分子化合物を溶
解させうる溶剤を用いると、層界面での混合が無視でき
なくなり、極端な場合、重層にならず均一な単一層にな
ってしまう場合がある。このため、上部の感熱層を塗布
するのに用いる溶剤は、下層に含まれるアルカリ可溶性
高分子化合物に対する貧溶剤であることが好ましい。 【0123】画像形成層を塗布する場合の溶媒中の上記
成分の全固形分濃度は、一般的に1〜10質量%が好ま
しい。また、支持体上に塗布、乾燥して設けられる画像
形成層の乾燥塗布量(固形分)としては、一般的に0.5
〜5.0g/m2が好ましい。2層構造とする場合には、
感熱層は0.05〜1.0g/m2であり、下層は0.
3〜3.0g/m2であることが好ましい。塗布量が少
なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像形
成層の皮膜特性は低下する。支持体上に塗布する方法と
しては、公知の種々の方法の中から適宜選択できるが、
例えばバーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カ
ーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、グレー
ド塗布、ロール塗布などを挙げることができる。画像形
成層用塗布液中には、塗布性を良化する目的で界面活性
剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載のフ
ッ素系界面活性剤などを添加することができる。その添
加量としては、画像形成層の全固形分質量に対して0.0
1〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好
ましい。 【0124】上記のようにして作成された感光性平版印
刷版は、赤外線レーザーで記録することができる他、紫
外線ランプによる記録やサーマルヘッド等による熱的な
記録も可能である。前記赤外線レーザーとしては波長7
00〜1200nmの赤外線を放射するレーザーが好ま
しく、同波長範囲の赤外線を放射する固体レーザー又は
半導体レーザーがより好ましい。 【0125】[現像液]現像処理に用いるアルカリ現像
処理液(以下、単に「現像液」ともいう。)はアルカリ
性の水溶液であって、従来公知のアルカリ水溶液の中か
ら適宜選択することができる。アルカリ水溶液として
は、ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖と、塩基とからな
る現像液が挙げられ、特にpH12.5〜14.0のものが
好ましい。前記ケイ酸アルカリとしては、水に溶解した
ときにアルカリ性を示すものであり、例えばケイ酸ナト
リウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどのアルカ
リ金属ケイ酸塩、ケイ酸アンモニウムなどが挙げられ
る。ケイ酸アルカリは1種単独でも、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。 【0126】上記アルカリ水溶液は、ケイ酸塩の成分で
ある酸化ケイ素SiO2とアルカリ酸化物M2O(Mはア
ルカリ金属又はアンモニウム基を表す。)との混合比
率、及び濃度の調整により、現像性を容易に調節するこ
とができる。前記アルカリ水溶液の中でも、前記酸化ケ
イ素SiO2とアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(Si
2/M2O:モル比)が0.5〜3.0のものが好ましく、
1.0〜2.0のものがより好ましい。前記SiO2/M2
が0.5未満であると、アルカリ強度が強くなっていくた
め、平版印刷版原版の支持体として汎用のアルミニウム
板などをエッチングしてしまうといった弊害を生ずるこ
とがあり、3.0を超えると、現像性が低下することがあ
る。 【0127】また、現像液中のケイ酸アルカリの濃度と
しては、アルカリ水溶液の質量に対して1〜10質量%
が好ましく、3〜8質量%がより好ましく、4〜7質量
%が最も好ましい。この濃度が1質量%未満であると現
像性、処理能力が低下することがあり、10質量%を超
えると沈澱や結晶を生成しやすくなり、さらに廃液時の
中和の際にゲル化しやすくなり、廃液処理に支障をきた
すことがある。 【0128】非還元糖と塩基とからなる現像液におい
て、非還元糖とは遊離性のアルデヒド基やケトン基を持
たないために還元性を有しない糖類を意味し、還元基同
士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非
糖類が結合した配糖体、糖類に水素添加して還元した糖
アルコールに分類される。本発明ではこれらのいずれも
好適に用いることができる。トレハロース型少糖類とし
ては、例えばサッカロースやトレハロースが挙げられ、
前記配糖体としては、例えばアルキル配糖体、フェノー
ル配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。糖アルコ
ールとしては、例えばD,L−アラビット、リビット、
キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニッ
ト、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシッ
ト、アロズルシットなどが挙げられる。さらには、二糖
類の水素添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素
添加で得られる還元体(還元水あめ)なども好適に挙げ
ることができる。 【0129】上記のうち、非還元糖としては、糖アルコ
ール、サッカロースが好ましく、中でも特に、D−ソル
ビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に
緩衝作用がある点でより好ましい。これらの非還元糖は
単独でも、二種以上を組み合わせてもよく、現像液中に
占める割合としては、0.1〜30質量%が好ましく、1
〜20質量%がより好ましい。 【0130】前記ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖に
は、塩基としてアルカリ剤を従来公知の物の中から適宜
選択して組み合わせることができる。該アルカリ剤とし
ては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、
リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二
カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナト
リウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウムなどの無
機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウ
ム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。 【0131】さらにモノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジ
イソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブ
チルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチ
レンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も好適に
挙げることができる。これらのアルカリ剤は単独で用い
ても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由
は、非還元糖に対する添加量を調整することにより、広
いpH領域においてpH調整が可能となるためである。
また、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウムなどもそれ自身に緩衝作用があ
るので好ましい。 【0132】アルカリ現像処理液は、上記のとおり、ケ
イ酸アルカリ若しくは非還元糖と、塩基を含む現像液を
用いるが、そのカチオン成分として従来よりLi+、N
+、K+、NH4 +が用いられ、中でも、イオン半径の小
さいカチオンを多く含有する系では、画像形成層への浸
透性が高く現像性に優れる一方、画像部まで溶解して画
像欠陥を生ずる。従って、アルカリ濃度を上げるには、
ある程度の限度があり、画像部に欠陥を生ずることな
く、且つ非画像部に画像形成層(残膜)が残存しないよ
うに完全に処理するためには、微妙な液性条件の設定が
要求された。しかし、前記カチオン成分として、そのイ
オン半径の大きいカチオンを用いることにより、画像形
成層中への現像液の浸透性を抑制することができ、アル
カリ濃度、即ち、現像性を低下させることなく、画像部
の溶解抑止効果をも向上させることができる。前記カチ
オン成分としては、上記アルカリ金属カチオン及びアン
モニウムイオンのほか、他のカチオンも用いることがで
きる。 【0133】アルカリ現像処理液には、さらに現像性能
を高める目的で、以下のような添加剤を加えることがで
きる。例えば特開昭58−75152号公報に記載のN
aCl、KCl、KBrなどの中性塩、特開昭58−1
90952号公報に記載のEDTA、NTAなどのキレ
ート剤、特開昭59−121336号公報に記載の[C
o(NH36]Cl3、CoCl2・6H2Oなどの錯
体、特開昭50−51324号公報に記載のアルキルナ
フタレンスルホン酸ソーダ、n−テトラデシル−N,N
−ジヒドロキシエチルベタインなどのアニオン又は両性
界面活性剤、米国特許第4,374,920号明細書に
記載のテトラメチルデシンジオールなどの非イオン性界
面活性剤、特開昭55−95946号公報に記載のp−
ジメチルアミノメチルポリスチレンのメチルクロライド
4級化合物などのカチオニックポリマー、特開昭56−
142528号公報に記載のビニルベンジルトリメチル
アンモニウムクロライドとアクリル酸ソーダとの共重合
体などの両性高分子電解質、特開昭57−192951
号公報に記載の亜硫酸ソーダなどの還元性無機塩、特開
昭58−59444号公報に記載の塩化リチウムなどの
無機リチウム化合物、特開昭59−75255号公報に
記載の有機Si、Tiなどを含む有機金属界面活性剤、
特開昭59−84241号公報に記載の有機ホウ素化合
物等が挙げられる。 【0134】現像処理の態様は特に限定されるものでは
ない。近年では、特に製版・印刷業界において、製版作
業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像
機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現
像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と
各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷
版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液
をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものであ
る。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中
ガイドロールなどによって印刷用版材を浸漬搬送させて
処理する方法も知られている。このような自動処理にお
いては、各処理液に処理量や稼働時間などに応じて補充
液を補充しながら処理することができる。 【0135】この場合、現像液よりもアルカリ強度の高
い水溶液を補充液として現像液中に加えることによっ
て、長時間現像タンク中に現像液を交換することなく多
量の画像形成材料を処理できる。アルカリ現像処理液を
使用するに際しても、この補充方式を採用することが好
ましい態様である。前記補充液としても、上記のアルカ
リ現像処理液を、現像用の現像液よりもアルカリ強度の
高い水溶液として使用することができる。 【0136】前記現像液及び現像液補充液には、現像性
の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親イ
ンキ性を高める目的で、必要に応じて上記以外の種々の
界面活性剤や有機溶剤などを添加することもできる。界
面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン
系又は両性界面活性剤が使用できる。中でも、上記に説
明した支持体への下塗り層及び/又はバックコート層へ
含ませるノニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチ
オン性界面活性剤から選ばれるものを含ませることが好
ましい。このような界面活性剤の添加量としては、アル
カリ現像処理液中に0.001〜10質量%が適当であ
り、0.01〜5.0質量%が好ましい。さらに0.1〜
1.0質量%が最も好ましい。また、有機溶剤としては
ベンジルアルコールなどが好ましい。また、ポリエチレ
ングリコールもしくはその誘導体、又はポリプロピレン
グリコールもしくはその誘導体などの添加も好ましい。
さらに必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜
硫酸又は亜硫酸水素酸のナトリウム塩若しくはカリウム
塩などの無機塩系還元剤、有機カルボン酸、消泡剤、硬
水軟化剤を加えることもできる。 【0137】本発明の赤外線感光性平版印刷版を赤外線
露光後、アルカリ現像処理液及び補充液を用いて現像処
理された得られた平版印刷版は、水洗水や界面活性剤な
どを含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含
む不感脂化液で後処理がなされる。この後処理には、こ
れらの処理液を種々組み合わせて行うことができる。ま
た、実質的に未使用の現像処理液などの処理液で処理す
る、いわゆる使い捨て処理方式とすることも可能であ
る。 【0138】 【発明の効果】本発明の赤外線感光性平版印刷版によれ
ば、現像処理過程で、現像液に感光層成分が溶け込んで
も、良好な現像性を維持しながら処理でき、画像部に画
像欠陥を招くことなく、エッジ調の高鮮鋭で鮮明な画像
を有する平版印刷版を提供することができる。 【0139】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、
実施例中の「%」は全て「質量%」を表す。 【SiO2含有のアルカリ現像処理液の調製】酸化ケイ
素SiO2及び酸化カリウムK2Oの混合比SiO2/K2
Oが1.1のケイ酸カリウム4.0%水溶液1リットル
に、各種界面活性剤(以下に示すA〜T)を表1に記載
の濃度(g/リットル)で添加し、アルカリ現像処理液
(1)〜(20)を作製した。 【0140】 【非還元糖含有のアルカリ現像処理液の調製】非還元糖
と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウム
2Oよりなるカリウム塩5.0%水溶液1リットル
に、各種界面活性剤(以下に示すA〜T)を表1に記載
の濃度(g/リットル)で添加し、現像処理液(21)〜
(40)を作製した。 【0141】界面活性剤A〜T 【化3】 【0142】 【化4】【0143】 【表1】【0144】実施例1〜120及び比較例1〜40 支持体に種々の態様でバックコート層及び下塗り層を設
けてなる赤外線感光性平版印刷版を作製し、赤外線露光
後、上記の現像液にて現像処理した。 <平版印刷版原版の作成>0.3mm厚のアルミニウム
板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂
した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水
懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄し
た。洗浄後、このアルミニウム板を45℃の25%水酸
化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行
い、水洗した後、さらに20%硝酸水溶液に20秒間浸
漬し、再度水洗した。このときの砂目立て表面のエッチ
ング量は、約3g/m 2であった。次に、このアルミニ
ウム板を7%硫酸を電解液として、電流密度15A/d
2の直流電流で3g/m2の陽極酸化被膜を設けた後、
水洗、乾燥した。これを、30℃の珪酸ナトリウム2.
5%水溶液で10秒処理した。 【0145】[基板の裏面へのバックコート層の塗設]
各種界面活性剤A〜Tのいずれかを下記のように添加さ
せたゾル−ゲル反応液を調製した。また、界面活性剤を
含まないゾル−ゲル反応液も調製した。 <ゾル−ゲル反応液> テトラエチルシリケート 50質量部 水 86.4質量部 メタノール 10.8質量部 リン酸(85%) 0.08質量部 界面活性剤A〜T 50質量部又は0質量部 上記成分を混合、攪拌すると約35分で発熱した。40
分間攪拌して反応させた後、メタノールを700質量部
加えてバックコート液を調製した。上記のように処理さ
れた基板の裏面に、このバックコート液をバーコーター
で塗布し、100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が
120mg/m2のバックコート層を設けた。 【0146】[基板の画像形成層を設ける側への下塗り
層の塗設]さらに、各種界面活性剤A〜Tのいずれかを
下記のように添加させた下塗り層用塗布液、及び界面活
性剤を含まない下塗り層用塗布液を調製し、上記基板の
画像形成層を設ける側へ塗布し、80℃15秒間乾燥し
て支持体を得た。乾燥後の下塗り層の乾燥塗布量は75
mg/m2であった。 <下塗り層用塗布液> 下記共重合体P(分子量28000) 0.3g メタノール 100g 水 1g 界面活性剤A〜T 1.2g又は0g 【0147】 【化5】 【0148】<特定の共重合体の合成> 合成例(特定の共重合体1) 攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三つ口
フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、
クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセ
トニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合
物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4
g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより
滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下で3
0分間混合物を攪拌した。この反応混合物にp-アミノベ
ンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加
え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌し
た。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を
攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌し
た。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水
500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、
得られた固体を乾燥することにより、N-(p-アミノスル
ホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られ
た(収量46.9g) 【0149】次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備え
た20ml三つ口フラスコにN-(p-アミノスルホニルフェ
ニル)メタクリルアミド4.61g、(0.0192モ
ル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.0258モ
ル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)
及びN,N-ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴に
より65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合
物に「V-65」(和光純薬(株)製)0.15gを加
え、65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌
した。この反応混合物にさらにN-(p-アミノスルホニル
フェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸
エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,N-
ジメチルアセトアミド及び「V−65」0.15gの混
合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終
了後、さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌し
た。反応終了後、メタノール40gを混合物に加え、冷
却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌し
ながら投入し、30分間混合物を攪拌した後、析出物を
ろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色
固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
により、この特定の共重合体の重量平均分子量(ポリス
チレン標準)を測定したところ、53,000であっ
た。 【0150】上記のように用意した支持体上に下記画像
形成層塗布液を塗布し、150℃、30秒乾燥させて、
乾燥塗布量を1.8g/m2とし、ポジ型の平版印刷版
原版を得た。 <画像形成層用塗布液> 上記特定の共重合体1[(B)成分] 0.4g m,p−クレゾールノボラック[(B)成分] 0.6g (m/p比=6/4、重量平均分子量8000、 未反応クレゾールを0.5%含有) シアニン染料A[(A+C)成分] 0.1g 無水フタル酸[(D)成分] 0.05g p−トルエンスルホン酸 0.002g エチルバイオレット 0.02g (対イオン:6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸) ナフトキノン1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドと ピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化物 0.01g フッ素系界面活性剤 0.05g (商品名:メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) メチルエチルケトン 8g 1−メトキシ−2−プロパノール 4g 【0151】上記より得られた赤外線感光性平版印刷版
に出力500mW、波長830nmビーム径17μm
(1/e2)の半導体レーザーを用いて主走査速度5m
/秒にて露光し、25℃に保持した。この版を、上記の
各種アルカリ現像処理液を満たした自動現像機PS90
0NP(富士写真フイルム(株)製)により、現像温度3
0℃、12秒で現像処理した。補充液の補充なしに、5
0m2、100m2、200m2、300m2、400
2、500m2と処理した。現像処理が終了したのち、
水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))などで処
理して、製版が完了した平版印刷版を得た。 【0152】実施例1〜120及び比較例1〜40で用
いた感光性平版印刷版の、支持体に設けたバックコート
層及び下塗り層に含まれる界面活性剤、及び現像処理に
用いた現像液を以下の表2〜4にまとめる。なお、表中
「−」は、バックコート層又は下塗り層に界面活性剤が
含まれていないことを表す。 【0153】 【表2】 【0154】 【表3】【0155】 【表4】【0156】<画像部/非画像部のバランスの評価> (非画像部の現像性の評価)上記のようにして現像直
後、50m2、100m2、200m2、300m2、40
0m2、500m2と処理して得た平版印刷版の非画像部
の現像性を「非画像部の残膜の有無」を観察することで、
官能評価を行った。 −基準− ○:十分に現像され、非画像部上の画像形成層の残存は
認められなかった。印刷物上に汚れがなかった。 △:非画像部上に画像形成層が若干残存していた。印刷
物上には汚れがなかった。 ×:現像不良が認められ、非画像部に画像形成層が残存
していた。印刷物上に汚れが発生した。 【0157】<画像部の膜べりの評価>上記のようにし
て現像直後、50m2、100m2、200m2、300
2、400m2、500m2と処理して得た平版印刷版
の「画像部の欠陥」を下記基準に従い、目視により観察
し、官能評価を行った。 −基準− ○:画像部に欠陥は認められなかった。印刷物上でも画
像部の白ぬけはなかった。 △:画像部濃度が若干低下し、一部に欠陥が認められ
た。印刷物上では、画像部の白ぬけはなかった。 ×:画像部濃度が大幅に低下し、画像部に欠陥した部分
有り。印刷物上に画像部の色抜けが発生した。 以下の表5〜14に、実施例1〜120及び比較例1〜
40で得られた平版印刷版の非画像部の現像性、画像部
の膜べりの評価結果をまとめる。 【0158】 【表5】【0159】 【表6】 【0160】 【表7】【0161】 【表8】【0162】 【表9】【0163】 【表10】【0164】 【表11】【0165】 【表12】【0166】 【表13】 【0167】 【表14】
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA02 AA04 AB03 AC08 AD01 AD03 BE00 BE01 CB29 CC11 CC17 DA31 FA17 2H096 AA06 BA06 BA10 CA05 CA20 EA04 EA23 GA08 2H114 AA04 AA14 AA22 AA23 AA29 AA30 BA01 BA10 DA51 DA53 DA59 DA60 DA61 DA62 EA01 EA02 FA10

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体の画像形成層を設ける側に下塗り
    層が設けられていて、及び/又は支持体の裏面にバック
    コート層が設けられていて、並びに赤外線吸収剤を含む
    画像形成層が設けられている赤外線感光性平版印刷版で
    あって、該下塗り層及び/又はバックコート層がノニオ
    ン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤
    からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有すること
    を特徴とする赤外線感光性平版印刷版。
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JP2009098590A (ja) * 2006-12-28 2009-05-07 Fujifilm Corp 平版印刷版の作製方法
JP2009237380A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Fujifilm Corp 平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法及び平版印刷方法
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JP2016139123A (ja) * 2014-12-30 2016-08-04 ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド オーバーコートされたフォトレジストと共に使用するためのコーティング組成物

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