JP2003012701A - 酵母由来の新規多糖体 - Google Patents

酵母由来の新規多糖体

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JP2003012701A
JP2003012701A JP2001201753A JP2001201753A JP2003012701A JP 2003012701 A JP2003012701 A JP 2003012701A JP 2001201753 A JP2001201753 A JP 2001201753A JP 2001201753 A JP2001201753 A JP 2001201753A JP 2003012701 A JP2003012701 A JP 2003012701A
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mannose
glucose
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polysaccharide
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Kiyoshi Ito
伊藤  潔
Hiroshi Mochizuki
大資 望月
Junko Tokuda
淳子 徳田
Tadashi Araki
安楽城  正
Hitoshi Takahashi
均 高橋
Satoshi Yoshitani
敏 吉谷
Nobuo Kato
暢夫 加藤
Yasuyoshi Sakai
康能 阪井
Masahiro Sakamoto
正弘 坂本
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】キャンディダ・ボイディニが生産する新規な多
糖体を提供する。 【解決手段】キャンディダ・ボイディニを高濃度培養或
いは一日以上の長期間培養し、得られた培養液から所望
の多糖体を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な多糖体、特
に酵母由来の新規な多糖体に関する。より具体的には、
キャンディダ属ボイディニ種に属する酵母が産生する新
規な多糖体に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物や植物細胞を培養すると、培養液
が粘調になったり、pHの変化でゲル状になる等の現象
が見出される場合がある。この現象は、該微生物や該植
物細胞が、細胞外に多糖体を産生していることに起因し
ている場合が多い。そこで、そのような多糖体の性質を
食品や医薬品、香粧品などの幅広い分野で利用しようと
いう試みが既になされている。具体的には、多糖体に特
徴的な分子構造および化学的性質から、増粘剤・レオロ
ジー改良剤・保湿剤・整腸剤・制癌剤等の用途が知られ
ている。たとえば、デキストラン・キサンタンガム・プ
ルランなどをその代表例として挙げることができる。
【0003】微生物の一種である酵母もまた、菌体外に
多糖体を分泌する事が多数報告されている。たとえば、
Annales de Microbiologie誌(Vol.40, pp245-253, 199
0)では、そのような例として、Aureobasidium属、Cand
ida属、Cryptococcus属、Hansenula属、Lipomyces属、R
hinocladiella属、Rhodotorula属、Bullera属、Sporobo
lomyces属、Trichosporon属に属する菌株が挙げられて
いる。また、ポリマーのタイプとしては、マンナン型、
グルカン型、グルコマンナン型、ガラクトマンナン型、
フォスフォマンナン型等が知られている。
【0004】キャンディダ属ボイディニ種(Candida bo
idinii)に属する酵母は、メタノールなどの安価な炭素
源を原料として、タンパク質やアルデヒド類などの有用
物質を生産するための酵母宿主としてしばしば利用され
てきたが、多糖体を産生することは知られていなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、キャ
ンディダ属ボイディニ種に属する酵母が生産し得る新規
な多糖体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、キャンデ
ィダ属ボイディニ種に属する酵母が多糖体を産生するこ
とを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明者
らは、該酵母を液体培地中で培養した場合、本酵母が菌
体外に多糖体を蓄積することを見出し、さらに好ましく
は、高濃度(たとえば、乾菌体重量で5g/L以上)条
件下で培養したり、一日以上の長期間培養(連続培養も
含む)を行うと、本酵母が菌体外に多糖体を著量蓄積す
ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】即ち、本発明は以下のとおりである。 [1]下記の特徴を有する新規多糖体。 1)水に可溶。エタノール、メタノール、アセトン、エ
ーテル、酢酸エチル、及び、ベンゼンに不溶。 2)構成単糖が、実質的にグルコース、マンノース及び
グルコサミンからなる。 3)グルコースとマンノースの構成比が、1:(0.7
〜4.5)。 [2]構成単糖として、非還元末端マンノース、1→2
結合マンノース、1→6結合マンノース、1→2および
1→6結合マンノース、非還元末端グルコース又は1→
6結合グルコースを含むことを特徴とする[1]記載の
新規多糖体。 [3] 非還元末端マンノースに対する他の構成単糖の
平均組成比が、下記a)〜f)の何れかを満足すること
を特徴とするおよび[2]記載の新規多糖体。 a)非還元末端マンノース;1.0 b)1→2結合マンノース;7.4 c)1→6結合マンノース;3.6 d)1→2および1→6結合マンノース;2.8 e)非還元末端グルコース;2.7 f)1→6結合グルコース;1.6 [4]キャンディダ属ボイディニ種(Candida boidini
i)に属する酵母が産生することを特徴とする[1]か
ら[3]の何れか一項に記載の新規多糖体。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明におけるキャンディダ属ボ
イディニ種に属する酵母とは、該多糖体を産生するもの
であれば特に制限はないが、特にキャンディダ属ボイデ
ィニ種S2AOU−1株、または、その派生株を好適な
例として挙げることができる。また、近年は遺伝子組換
え技術を用いてキャンディダ属ボイディニ種を改変する
ことも比較的容易になっており、そのような遺伝子組換
えキャンディダ属ボイディニ種も本発明のキャンディダ
属ボイディニ種に属する酵母に含まれるものとする。
【0009】このようなキャンディダ属ボイディニ種に
属する酵母の代表例としては、MT−40544株を挙
げることができる。尚、本菌株は、平成9年5月1日よ
り特許手続き上の微生物寄託の国際的承認に関する条約
に基づいて、受託番号:FERM−BP−5936とし
て茨城県つくば市東1丁目1番1号中央第6の独立行政
法人・産業技術総合研究所・特許生物寄託センターに寄
託されている。
【0010】キャンディダ属ボイディニ種に属する酵母
に該多糖体を産生させるためには、通常の有機、および
/または、無機成分を含有する液体培地中で該微生物を
培養すればよい。培養するための液体培地の組成は、キ
ャンディダ属ボイディニ種に属する酵母が円滑に生育
し、かつ、目的の多糖体が培養液中に産生される限り特
に限定されるものではない。炭素源としては、メタノー
ル、グリセロール、エタノール、グルコースなどを好適
な例として挙げることができる。窒素源としては、各種
ペプトン、コーンスティープリカー、酵母エキス、硫酸
アンモニウムなどの有機体、あるいは、無機体窒素源を
一つあるいは組み合わせて用いることができる。また、
マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどの金属の塩類
(リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩)、微量金属や各種ビタミ
ン類、核酸関連物質、アンモニアや苛性ソーダ等のpH
調整剤などを培地に添加することができる。
【0011】本発明の方法に使用される培養液を得るた
めの液体培養の方法および培養条件、培養期間には特に
制限はない。具体的な培養条件は概ね以下のとおりであ
る。培養温度は15℃から35℃、好ましくは、25℃
から30℃である。液体培養中の培養液のpHは本酵母
が生育できるpHであれば特に制限はされないが、通常
pH2から8、より好ましくは、pH4から7の範囲で
ある。培養期間は通常1日から60日間程度、好ましく
は3日から40日間程度であり、連続培養状態の液から
酵母菌体と上清液を分離する際は特に培養期間は限定さ
れない。
【0012】こうして得られた培養液から目的とする多
糖体を分離するためには、該培養液中の菌体およびその
他の夾雑物を遠心分離またはろ過で除去した後、得られ
た上清液または濾過液にアセトンやエタノール、メタノ
ールなどの親水性の有機溶媒を添加し該多糖体を不溶化
させたのち、濾別・乾燥させればよい。また、親水性の
有機溶媒を添加する前に、または、濾別した沈殿物を再
度水に溶解した後に、活性炭、ゲルろ過、各種高分子
膜、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、あるいは、
透析などの操作により塩類や他の不純成分を除去した後
に、前述の不溶化・濾別・乾燥の操作を行っても良い。
【0013】このようにして得られた多糖体は、実施例
において詳細に示すような溶解性試験、酸や酵素による
部分分解分析、メチル化分析、分子量測定に供すること
により、その諸性質を明かにすることができる。
【0014】溶解性試験は、本実施例においては、該多
糖体を任意に選んだ溶媒と混合し、目視で該多糖体が確
認できない場合にのみ溶解性があると判定したが、これ
に限定されるものではなく、方法並びに判定条件の違い
によってその結果が変動することがある。
【0015】酸や酵素による部分分解分析は、本実施例
においては、塩酸並びにプルラナーゼによる部分分解処
理を代表的な例として採用したが、これに限定されるも
のではなく、方法並びに分析条件の違いによってその測
定結果が変動することがある。
【0016】メチル化分析は、本実施例においては、粉
末NaOH法によって行い、生成したメチル化多糖を加
水分解して各単糖に分解した後、還元アセチル化し、部
分メチル化糖アルコールのアセチル誘導体(部分メチル
化アルジトールアセテート)の形にして、ガスクロマト
グラフィー分析(以下、GC)、並びに、ガスクロマト
グラフィー/マススペクトル分析(以下、GC/MS)
に供したが、これに限定されるものではなく、方法並び
に分析条件の違いによってその測定結果が変動すること
がある。特に、本実施例において示したメチル化分析
は、工程数が比較的多く、また、洗浄操作や抽出操作を
含むため、本発明者らの経験によれば少なくとも10%
程度の測定誤差を見込む必要がある。
【0017】分子量測定は、本実施例においては、プル
ランを分子量とするGPC分析を代表的な例として採用
したが、これに限定されるものではなく、方法、分子量
マーカー、並びに分析条件の違いによってその測定結果
が変動することがある。
【0018】また、本発明における新規多糖体とは、キ
ャンディダ属ボイディニ種に属する酵母が産生する多糖
体であるが、該酵母を培養している間や培養液から該多
糖体を精製する際に物理的または化学的な作用により断
片化された多糖体も含まれるものとする。また、その利
用目的によっては、酵素処理などを行うことにより、人
為的に断片化して利用する場合もあり、そのような多糖
体も本発明に含まれるものとする。
【0019】すなわち、本発明は、キャンディダ属ボイ
ディニ種に属する酵母を培養し、その培養液中に産生さ
れ、かつ、下記の特徴を有する新規多糖体を提供する。
但し、分析方法並びに分析条件の違いによってその分析
結果が変動することもあるため、下記の2)〜4)の特
徴は、あくまでも平均的な姿である。 1)水に可溶。エタノール、メタノール、アセトン、エ
ーテル、酢酸エチル、及び、ベンゼンに不溶。 2)構成単糖が、実質的にグルコースとマンノースから
なり、かつ、グルコースとマンノーの構成比が、1:
(0.7〜4.5)。 3)構成単糖として、非還元末端マンノース、1→2結
合マンノース、1→6結合マンノース、1→2および1
→6結合マンノース、非還元末端グルコース、1→6結
合グルコースを含む。 4)非還元末端マンノースに対する他の構成単糖の平均
組成比が、 a)非還元末端マンノース;1.0 b)1→2結合マンノース;7.4 c)1→6結合マンノース;3.6 d)1→2および1→6結合マンノース;2.8 e)非還元末端グルコース;2.7 f)1→6結合グルコース;1.6 本発明における新規多糖体は、食品や医薬品、香粧品な
どの幅広い分野で利用することができる。具体的には、
増粘剤・レオロジー改良剤・保湿剤・整腸剤・制癌剤等
の用途を挙げることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0021】実施例1 500ml容のバッフル付三角フラスコ3本のそれぞれ
に[表1]に示す組成の液体培地を80ml入れ、高圧
蒸気滅菌した。キャンディダ属ボイディニ種に属する酵
母AOU-1株を接種し、27℃で2日間振とう培養を行っ
た。
【0022】
【表1】培地組成 ───────────────────────── グルコース 20.0g/L イーストナイトロゲンベース 1.7g/L 酵母エキス 5.0g/L 硫酸アンモニウム 5.0g/L pH 6.5 ─────────────────────────
【0023】次に、[表2]に示す組成の培地5Lを入
れて高圧蒸気滅菌した10L容ジャーファーメンターに
前記で得られた培養液240ml(フラスコ3本分)を
接種し、温度27℃、通気量5L/分間、回転数500
rpmで、アンモニア水を用いてpHを6.0に保ちな
がら、14日間培養した。追加炭素源としてはメタノー
ルを用いた。
【0024】
【表2】培地組成 ───────────────────── グリセロール 30.0g/L コーンスティープリカー 30.0g/L K2HPO4 1.0g/L MgSO4・7H2O 0.5g/L NaCl 0.1g/L 硫酸アンモニウム 5.0g/L メタノール 15.0ml/L ─────────────────────
【0025】上記培養終了後、培養終了液を遠心処理
(9、000×g、5分間)し、酵母菌体を一次除去し
た後、その一部(50mL)を5Lの10mM酢酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)に対する透析処理に4回供
した。続いて、得られた透析内液を10mMの酢酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)で予め平衡化した東ソー社
製のトヨパール650Mを担体とするカラムクロマトグ
ラフィーに供し、700mLの10mMの酢酸ナトリウ
ム緩衝液(pH6.0)で溶離させた。この溶離液を滅
菌水で予め洗浄したキュノ(株)製のゼータプラスフィ
ルターBioCap60S(粒子径0.2〜0.5μ
m)でろ過処理した。得られたろ液に等容量のメタノー
ルを加え、4℃にて一晩放置後、遠心処理(9、000
×g、30分間)を行って沈殿物を集めた。この沈殿物
を100mLの水に溶解した後、武田薬品工業製の活性
炭(白鷺)を1g加えて、室温で1時間かく拌後、ろ過
操作により該溶解液より活性炭を除去して、活性炭処理
液を得た。この溶液に等容量のメタノールを加え、4℃
にて一晩放置後、遠心処理(25、000×g、30分
間)を行って沈殿物を集めた。得られた沈殿物を凍結乾
燥処理して、白色不定形の乾燥物1gを得た。尚、上記
の操作は4連で実施したが、いずれの場合においてもほ
ぼ同様の結果が得られた。該乾燥物50mgと各種溶媒
(純水、エタノール、メタノール、アセトン、エーテ
ル、酢酸エチル、ベンゼン)5mLを混合し、50℃に
て10分間激しく混和させた。混和処理後、純水中には
該乾燥物を目視で確認できなかったが、他の溶媒中では
該乾燥物を目視で確認することができた。すなわち、純
水以外の溶媒に該乾燥物は溶解しなかった。
【0026】実施例2 実施例1で得られた乾燥物1mgと1N硫酸1mLを混
合し、100℃で6時間加水分解処理を行った。処理液
を減圧乾固させた後、適当量の純水に溶解して、以下の
条件でHPLC分析を行い、中性糖並びにアミノ糖の分
析を行った。その結果、中性糖としてはグルコース及び
マンノース、アミノ糖としてはグルコサミンが検出され
た。すなわち、本乾燥物は、多糖体であることが確認さ
れた。また、以下の[表3]に各糖のモル比率について
記した。 a)中性糖の分析条件 カラム:東ソー TSK-gel Sugar AXG 4.6mm×150mm カラム温度:70℃ 移動相:0.5M ホウ酸カリウム緩衝液(pH8.7) 移動相流速:0.4mL/分 ポストカラム標識: 反応試薬:1%アルギニン/3%ホウ酸 反応試薬流速:0.5mL/分 反応温度:150℃ 検出器:分光蛍光光度計 検出波長:EX.320nm、EM.430nm b)アミノ糖の分析条件 カラム:東ソー TSK-gel SCX 6mm×150mm カラム温度:60℃ 移動相:0.04M ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH7.
6) 移動相流速:0.3mL/分 ポストカラム標識: 反応試薬:1%アルギニン/3%ホウ酸 反応試薬流速:0.5mL/分 反応温度:150℃ 検出器:分光蛍光光度計 検出波長:EX.320nm、EM.430nm
【0027】
【表3】
【0028】実施例3 実施例1で得られた乾燥物1.8mgと1N塩酸100
μLを混合し、75℃で4時間加水分解処理を行った。
処理液を減圧乾固させた後、適当量の純水に溶解して、
以下の条件でアミンカラム分析を行った結果、本乾燥物
由来の8種類のピークが観察された。それぞれの部分分
解物のピーク画分を分取した後、実施例2に記載した中
性糖の分析を実施し、グルコースとマンノースの組成比
を求めた。[表4]に示された結果より、本多糖体のグ
ルコースとマンノースの構成比は、1:(0.7〜4.
5)であった。 a)アミンカラム分析条件 カラム:旭化成 Asahipak NHP-50 25cm×4.6mmI.D. カラム温度:30℃ 移動相:純水/アセトニトリル 移動相流速:0.5ml/分 検出器:示差屈折計
【0029】
【表4】
【0030】実施例4 実施例1で得られた乾燥物1.8mgと緩衝液100μ
L、並びに、Klebsiella pnemoniae由来のプルラナーゼ
溶液50μL(20mユニット含有)を混合し、37℃
で16時間加水分解処理を行った。処理液を100℃に
て5分間の加熱処理を行った後、適当量の純水に溶解し
て、実施例3に記載の条件でアミンカラム分析を行った
結果、本乾燥物由来の4種類のピークが観察された。そ
れぞれの部分分解物のピーク画分を分取した後、実施例
2に記載した中性糖の分析を実施し、グルコースとマン
ノースの組成比を求めた。[表5]に示された結果よ
り、本多糖体のグルコースとマンノースの構成比は、
1:(3.1〜4.2)であった。
【0031】
【表5】
【0032】実施例5 実施例1で得られた乾燥物1.8mgとDMSO600
μLを混合し、室温で3時間かく拌した。続いて、粉末
のNaOHを40mg添加し、室温で30分間かく拌し
た。次に、ヨウ化メチルを300μL添加し、室温で3
0分間かく拌した。得られたヨウ化メチル処理液を、フ
ァルマシア社製のセファデックスLH−20を担体と
し、クロロホルムを溶離液とするカラムクロマトグラフ
ィー(1cm×20cm)に供し、溶離液を1mlずつ
分取した。オルシノール硫酸法を用いたTLC分析によ
り、メチル化多糖化画分を確認した後、該画分全てを混
合し、さらに、これを乾固させた。メチル化多糖化画分
の乾固残さを90%ギ酸水溶液1mLに溶解し、100
℃で6時間加熱処理を行った後、これを乾固させた。該
乾固残さを2Nトリフルオロ酢酸1mLに溶解し、10
0℃で6時間加熱処理を行った後、これを再び乾固させ
た。次に、該乾固残さを少量の純水で3回洗浄した後、
NaBH410mg及び500μLの純水と混合し、一
晩室温で放置した。適当量の酢酸を加えて過剰のNaB
4を分解した後、減圧乾固した。この乾固残さを2m
Lのメタノールで5回洗浄した後、無水酢酸500μL
及びピリジン500μLに溶解し、100℃で4時間加
熱処理を行った。これを再び乾固させた後、2mLのク
ロロホルムを用いて抽出操作を行った。該クロロホルム
相に対して純水1mLを用いた脱塩処理を5回、続いて
無水硫酸ナトリウム1gを用いた脱水処理を1回実施し
た後、該クロロホルム相を再び乾固させた。乾固残さを
適当量のクロロホルムに再溶解して、以下に示した条件
にてGC分析及びGC/MS分析に供した。その結果、
部分メチル化アルジトールアセテートの主要なピークと
して6種類が観察され、それぞれのピークのマススペク
トルを標準マススペクトルと照らし合わせることによ
り、各ピークを同定した。さらに、GC分析で得られた
各ピークの面積並びに各ピークの炭素数より、部分メチ
ル化アルジトールアセテートの組成比を求めた。これら
の結果を[表6]にまとめた。これより、本多糖体は、
構成単糖として、非還元末端マンノース、1→2結合マ
ンノース、1→6結合マンノース、1→2および1→6
結合マンノース、非還元末端グルコース、1→6結合グ
ルコースを含むことが判明した。さらに、非還元末端マ
ンノースに対する他の構成単糖の平均組成比は、 a)非還元末端マンノース;1.0 b)1→2結合を含むマンノース;7.4 c)1→6結合を含むマンノース;3.6 d)1→2および1→6結合を含むマンノース;2.8 e)非還元末端グルコース;2.7 f)1→6結合を含むグルコース;1.6 であることが判明した。 a)GC分析条件 装置:Hewlett-Packerd HP5890A カラム 液相:SP-2380(スペルコジャパン) タイプ:Fused silica capillary 25m×0.25 mmI.D. キャリアーガス:He カラム温度:100℃、1分→[20℃/分]→230
℃→15分間保持→[40℃/分]→275℃→10分
間保持 注入口温度:270℃ 検出モード:FID 検出器温度:270℃ 注入量:1μL 注入モード:spilitless b)GC/MS分析条件 装置:Hewlett-Packerd HP5890A ガスクロマトグラフ 日本電子 JMS DX-303 質量分析計 データ処理:日本電子 JMA DA5000 データ処理システ
ム GC部: 装置:Hewlett-Packerd HP5890A ガスクロマトグラフ カラム 液相:SP-2380(スペルコジャパン) タイプ:Fused silica capillary 25m×0.25 mmI.D. キャリアーガス:He カラム温度:100℃、1分→[20℃/分]→230
℃→15分間保持→[40℃/分]→275℃→10分
間保持 注入口温度:270℃ 注入量:1μL 注入モード:spilitless MS部: イオン化方式:EI 電子加速電圧:70V イオン化電流:300μA イオン化温度:250℃ イオン化加速電圧:3.0kV 多段電子増倍管電圧:1.3kV 走査速度:1sec/scan(m/z10〜500) 走査間隔:1sec
【0033】
【表6】
【0034】実施例6 昭和電工製のShoudex Pulluanを50mMのリン酸バッ
ファーに溶解し、以下に示す条件にてGPC分析に供し
た。[表7]に示したように各スタンダードの分子量と
溶出量(mL)の関係より検量線を作成した。次に実施例
1で得られた乾燥物1mgを50mMのリン酸バッファ
ーに溶解し、同様の条件にて、GPC分析(計3回)に
供し、上述の検量線より分子量を算出したところ、平均
分子量が270kダルトンのピークが確認された。[表
8]に分析結果を示す。 a)GPC分析条件 分析装置:Waters 741Data Module 検出器:Toso RI-8 (Differential Refractometer) カラム:YMC-diol S-5 200A カラムサイズ:8.0mm×50.0cm 溶媒:0.05Mリン酸buffer pH6.8 流速:1mL/分
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】実施例7 実施例1で得られた乾燥物3gを純水100mLに溶解
した後、酢酸溶液でpH4.0に調整した。新日本化学
工業製のスミチームACH20mgを該溶液に加えて、
50℃にて3時間処理した後、凍結乾燥を行った。該凍
結乾燥物1mgを50mMのリン酸バッファーに溶解
し、実施例6と同様の条件にて、GPC分析に供したと
ころ、平均分子量が270kダルトン、74kダルトン
及び38kダルトンの3種類のピークが確認された。ま
た、3種類のピークの濃度比は、270kダルトン:7
4kダルトン:38kダルトン=100:67:22で
あった。
【0038】
【発明の効果】本発明の多糖体は、新規の多糖体であ
り、各種産業分野において広く適応が可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月10日(2001.7.1
0)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】即ち、本発明は以下のとおりである。 [1]下記の特徴を有する新規多糖体。 1)水に可溶。エタノール、メタノール、アセトン、エ
ーテル、酢酸エチル、及び、ベンゼンに不溶。 2)構成単糖が、実質的にグルコース、マンノース及び
グルコサミンからなる。 3)グルコースとマンノースの構成比が、1:(0.7
〜4.5)。 [2]構成単糖として、非還元末端マンノース、1→2
結合マンノース、1→6結合マンノース、1→2および
1→6結合マンノース、非還元末端グルコース又は1→
6結合グルコースを含むことを特徴とする[1]記載の
新規多糖体。 [3] 非還元末端マンノースに対する他の構成単糖の
平均組成比が、下記a)〜f)の何れかを満足すること
を特徴とする[1]および[2]記載の新規多糖体。 a)非還元末端マンノース;1.0 b)1→2結合マンノース;7.4 c)1→6結合マンノース;3.6 d)1→2および1→6結合マンノース;2.8 e)非還元末端グルコース;2.7 f)1→6結合グルコース;1.6 [4]キャンディダ属ボイディニ種(Candida boidini
i)に属する酵母が産生することを特徴とする[1]か
ら[3]の何れか一項に記載の新規多糖体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安楽城 正 千葉県茂原市東郷1144 三井化学株式会社 内 (72)発明者 高橋 均 千葉県茂原市東郷1144 三井化学株式会社 内 (72)発明者 吉谷 敏 千葉県茂原市東郷1144 三井化学株式会社 内 (72)発明者 加藤 暢夫 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大 学内 (72)発明者 阪井 康能 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大 学内 (72)発明者 坂本 正弘 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大 学内 Fターム(参考) 4B064 AF21 BA16 BE01 BG01 BH07 BH20 CA06 CD06 CE03 CE06 CE07 CE09 CE16 DA10 4C090 AA01 AA04 BA01 BA91 BB12 BB14 BB17 BB53 BC17 BD02 BD03 CA42 DA03 DA07 DA09 DA23 DA26 DA27

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の特徴を有する新規多糖体。1)水
    に可溶。エタノール、メタノール、アセトン、エーテ
    ル、酢酸エチル、及び、ベンゼンに不溶。 2)構成単糖が、実質的にグルコース、マンノース及び
    グルコサミンからなる。 3)グルコースとマンノースの構成比が、1:(0.7
    〜4.5)。
  2. 【請求項2】 構成単糖として、非還元末端マンノー
    ス、1→2結合マンノース、1→6結合マンノース、1
    →2および1→6結合マンノース、非還元末端グルコー
    ス又は1→6結合グルコースを含むことを特徴とする請
    求項1記載の新規多糖体。
  3. 【請求項3】 非還元末端マンノースに対する他の構成
    単糖の平均組成比が、下記a)〜f)の何れかを満足す
    ることを特徴とするおよび請求項2記載の新規多糖体。 a)非還元末端マンノース;1.0 b)1→2結合マンノース;7.4 c)1→6結合マンノース;3.6 d)1→2および1→6結合マンノース;2.8 e)非還元末端グルコース;2.7 f)1→6結合グルコース;1.6
  4. 【請求項4】 キャンディダ属ボイディニ種(Candida
    boidinii)に属する酵母が産生することを特徴とする請
    求項1から請求項3の何れか一項に記載の新規多糖体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022505483A (ja) * 2018-10-17 2022-01-14 インスティチュート フォー ベーシック サイエンス Treg細胞を誘導する酵母由来多糖体の構造及び機能特性
CN115477708A (zh) * 2021-05-31 2022-12-16 安琪酵母股份有限公司 一种抑菌酵母活性多糖及制备方法、鉴定方法和应用

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